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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L14N (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社竹中工務店 研究開発活動 (2020年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、持続的成長と新たなグループブランドの確立に向けて、お客様満足と収益力の向上に貢献する技術開発はもとより、未来のサステナブル社会の実現を先導する新たなソリューションの創出を目指して研究開発に取り組んでいる。
重点的に取り組むべき領域として、建設技術基盤の強化(デジタル化技術の導入、市場競争力の強化)と社会課題解決を通じた事業領域の拡大を設定し、全社的に技術開発活動を遂行している。
当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は93億円余であり、このうち当社が取り組んだ主な技術開発事例は次のとおりである。
(建設事業)
(1)建設技術基盤の強化(デジタル化技術の導入)
①ロボット施工・IoT分野におけるゼネコン他社との技術連携を推進
当社、鹿島建設㈱および清水建設㈱の3社は、建設業界全体の生産性および魅力の向上を促進することを目的に、ロボット施工・IoT分野での技術連携に関する基本合意書を締結した。本技術連携では、当社と鹿島建設㈱が2019年12月にスタートさせた同分野での協業の取り組みに清水建設㈱が新たに参画した。対象技術は、施工関連技術のうち、ロボット、機械装置、ソフトウェア、IoT技術に関連するものとし、新規技術の共同研究開発、既存技術の機能向上・改良のほか、実用レベルに達した既存ロボット技術等の相互利用に取り組む。
また技術連携の一環として行っている「場内搬送管理システム・建設ロボットプラットフォーム」開発のうち、当社が担っている項目として、ロボットが自律走行するための経路・範囲シミュレーション及び遠隔操作・監視を可能とするBIMデータを活用した基盤システム「建設ロボットプラットフォーム」を開発した。本システムはクラウド上で稼働し、施工中の建物内におけるロボット運用に寄与するものであり、ブレインズテクノロジー㈱に委託し開発を進めた。さらに当社、㈱竹中土木および鹿島建設㈱は、ソフトバンク㈱およびソフトバンクロボティクス㈱の協力を得て、Boston Dynamics社製の四足歩行ロボット「Spot」の建築・土木分野での実用化に向けた共同研究を開始した。
②建設現場向けアプリ「位置プラス®」シリーズを展開
全国の建設会社と協力会社を対象に、建設現場で働く職員・作業員等の業務時間削減、生産性向上に貢献するアプリ「位置プラス®」シリーズの外販を本格化させた。当社は、2019年6月にグループ会社の㈱朝日興産を通じ、レンタル会社1社を窓口とする本シリーズの外販を開始したが、新たに2社のレンタル会社が窓口として加わり、全国の建設現場に向けた更に強固な販売・サービス体制を構築した。建設現場向けアプリ「位置プラス®」シリーズは、建設現場における職員・作業員等の人手不足の解決を目指して開発したアプリであり、人や高所作業車等の位置を記録し、各種の管理業務に活用できる。
さらに仕上工事における現場の進捗管理用アプリ「位置プラス®進捗」(特許出願済)を開発した。作業員がスマートフォン等で部屋ごとの工事の進捗状況を登録することで、現場での情報共有をリアルタイムで行うことが可能となり、工事管理者及び作業員の手間を削減する。本アプリは、当社がこれまでに開発した「位置プラス®」シリーズに追加される4つ目のアプリとなる。
③HoloBuilder(ホロビルダー)社と日本の建設市場に向けた技術開発で連携
建設業におけるイノベーションをさらに加速するために、米国シリコンバレーのスタートアップであるHoloBuilder社と技術開発の連携を開始した。HoloBuilder社は、建設現場で撮影された360°写真を整理・共有するクラウドサービス「HoloBuilder」を開発し、提供している。360°写真は撮影した場所周辺の様子まで記録できるので建設現場の状況を把握でき、さらに遠隔地のプロジェクト関係者とも共有できるため、コミュニケーションの円滑化に役立っている。また、定期的に建設現場を撮影することにより、工事記録アーカイブとして建物の保守運用においても活用が見込まれる。

④建設現場をIoT化するプラットフォーム「TSUNAGATETM」
建設現場をIoT化するプラットフォーム「TSUNAGATETM」を開発した。本システムは、インターネット接続を可能にした仮設分電盤を介し、建設現場にネットワーク(無線LAN)環境を構築することで、様々なICTツールをクラウド管理システムにつなげて一括管理することができる。通常、建設現場では、仮設電源線によって工事用電力を供給しているが、仮設電源線を用いて通信可能な本システムを適用することで、ネットワークカメラやデジタルサイネージなどのツールのために個別に通信用配線を用意する必要がなくなる。また、それらのICTツールの一括管理、照明の遠隔制御、センサー情報の収集など、建設現場におけるIoT化の実現を可能にする。なお、本システムは、当社独自のIoT分電盤とカディンチェ㈱のクラウド技術の連携により実現した。
⑤タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo」を開発
当社と鹿島建設㈱は、㈱アクティオおよび㈱カナモトと共同で、遠隔でタワークレーンを操作できる「TawaRemo」を開発した。本システムを用いて地上にコックピットを配置すれば、作業所事務所や遠隔地のコントロールセンターなどで、場所に捉われずタワークレーンの操作が行えるようになる。また、同一箇所に複数のコックピットを配置できることから、多数の若手オペレータに対して、熟練オペレータ1名による指導教育も行え、熟練から若手への技術伝承ならびに若手の技量向上の一助になる。
⑥建築現場のデジタル変革の共同検討に着手
当社と㈱NTTドコモは、建築現場における「人」の活動や建築現場という「協働」の場での情報伝達をデジタル技術で支援することで、「デジタル技術を活かした建築現場の業務改革」による生産プロセスの最適化を実現する。さらに、建築現場の工事計画や工事管理などの業務データやバイタル、歩数、位置データなどの「人」に関するIoTデータを蓄積し、将来の建築現場に活用することで、生産性の持続的向上を図るとともに、建築現場の最前線における働き方の新しいスタンダードモデルの構築をめざす。
(2)建築技術基盤の強化(市場競争力の強化)
①木造技術に関する開発と実践を推進
当社が開発した木造技術を多く採用した国内最高層の木造建築「フラッツウッズ木場」(地上12階、独身者用家具・サービス付賃貸住宅)が竣工した。当プロジェクトでは、燃エンウッドの荷重支持部に鉄筋を埋め込むことで、従来の耐火性能に加えて強度と硬さを実現するハイブリッドの部材である「燃エンウッドSAMURAI」を初適用した。
また、西日本で初採用となる竹中工務店が開発した2時間耐火集成木材の燃エンウッド®の他、CLT(Cross Laminated Timber:直交集成材)耐震壁+鉄骨ハイブリッド構造を組み合わせた6階建の木造ハイブリッド免震建築である「タクマビル新館(研修センター)」が竣工した。
その他にも、三井不動産㈱と日本橋にて木造構想建築物として国内最大・最高層となる木造賃貸オフィスビルの新築計画の検討に着手しており、想定規模は地上17階建、高さ 約70m、延床面積 約26,000㎡である。今後詳細の検討を進め、2023年着工・2025年竣工を目指している。
②竹中工務店東京本店と竹中技術研究所が「健築®」の実践となる従業員の健康増進等に関する認証を取得
2004年竣工の東京本店オフィス(東京都江東区)において、新しい評価基準の米国・健康建築性能評価制度「WELL Building Standard TM(WELL認証)」で、国内初の「ゴールド」ランクを取得した。また、2019年10月にリニューアルした「竹中技術研究所」(千葉県印西市)において、(一財)建築環境・省エネルギー機構が推進する建物の総合環境性能評価システム「CASBEE-ウェルネスオフィス認証」の最高評価「Sランク」を取得した。今後も、当社が従来から取り組んでいる「健築®」の推進に加えて、WELL認証等の実践による知見を活かし、健康面に配慮した建築(ウェルネス建築)の実現に向けて、ソリューションを展開していく。
③スーパー台風も想定できる数値風洞「Kazamidori®」を開発
時々刻々と大きく変化する風が建物に与える影響を数値シミュレーションで高精度に予測し、風の強さや流れを可視化し、風荷重(建物が風から受ける力)や風速を評価することで、建築と屋外の風に関する様々な問題を解決する「Kazamidori®」を開発した。「Kazamidori®」はコンピュータ上で市街地を再現することで、風洞実験に必要な模型製作に要する費用と期間が削減できるため、中小プロジェクトや設計初期段階で適用することが容易になり、幅広いプロジェクトで活用することができる。

④加温浄化剤により地盤を温め微生物による分解を促進する原位置浄化システム「温促バイオTM」を開発
当社と㈱竹中土木は、クロロエチレン類に汚染された地盤に対する、原位置浄化システム「温促バイオTM」を開発した。「温促バイオTM」は、微生物による分解がもっとも活性化する約25~30℃に地盤を加温する機能と、不均質な地盤へ加温浄化剤を均一に注入する制御機能を両立した世界初のバイオスティミュレーションによる原位置浄化システムである。従来のバイオスティミュレーションと比較して、コストを同程度以下に抑えたままで、浄化期間を約50%以下に短縮することができる。また、重機を使用する掘削除去を必要最小限にできるため、全量を掘削除去する場合と比較して、コスト、CO2排出量を約50%以下まで削減できる。
(3)社会課題解決を通じた事業領域の拡大
①長野県塩尻市と事業創出へ向け連携協定を締結
長野県塩尻市と「森林グランドサイクル®」に関する取り組みを、緊密に連携しながら、互いの資源を有効活用し協働により推進することで、持続可能な社会づくりや地域課題の解決に寄与・貢献することを目的とした「連携協定」を2020年1月25日付けで締結した。「森林グランドサイクル®」は、森林とまちをつなぎ、森林資源の循環と木材を活用した地域経済の循環を構築することである。当社は今回の協定締結を踏まえ、木材の活用をより一層推進し、森林資源の循環と地域経済の循環を構築するとともに、連携事項の実現に向け、新規事業の創出も視野に協働を推進していく。
②水素エネルギーを活用する新しいVPP制御システムを開発・実証
2021年4月から取引が開始される需給調整市場に向け、水素エネルギーを含む建物内の電源リソースを統合制御する新たなバーチャルパワープラント(VPP)制御システム(特許出願済)を開発し、実証を行った。当社が独自開発したエネルギーマネジメントシステム「I.SEM®」では、これまで蓄電池・発電機・電気自動車など複数の電源リソースを統合制御し、VPPに対応してきたが、今回の開発では、再生可能エネルギーから製造して貯蔵することができ、脱炭素を目指した新しいクリーンエネルギーとして期待されている水素エネルギーシステムを、新たな電源リソースとして追加した。本システムは、電力網の電力不足時には電源リソースからの発電・放電を行い、また電力余剰時には充電を行う。これにより、電力会社・アグリゲーターからインセンティブを得ることができる。
③建設MaaSオンデマンド移動&搬送の実証実験を実施
当社と㈱NTTドコモは、㈱NTTドコモの「AI 運行バス®」システムを活用し、建設現場における需要に応じた貨客混載輸送を核とする「建設MaaS™オンデマンド移動&搬送」実証実験において、貨客混載輸送の検証を実施した。建設現場のデジタルトランスフォーメーション(DX) に加え、建設現場の外にも取組み範囲を拡げ、「ヒトの移動」「モノの搬送」にオンデマンド移動&搬送システムを適用してその効果の検証を行った。
また、子会社における研究開発の主なものは次のとおりである。
㈱竹中土木(1)安全安心技術小型施工機を用いて宅地境界を地盤改良壁で囲む液状化対策技術「既存住宅の住まいながら液状化対策工法」を開発
(2)品質管理技術コンクリート打設の情報化と省人化を図る技術
「コンクリート自動締固め管理システム」を開発


(開発事業及びその他)

研究開発活動は特段行われていない。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00169] S100L14N)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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