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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100NQ9V (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社竹中工務店 研究開発活動 (2021年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、持続的成長と新たなグループブランドの確立に向けて、お客様満足と収益力の向上に貢献する技術開発はもとより、未来のサステナブル社会の実現および社会課題解決を先導する新たなソリューションの創出を目指して研究開発に取り組んでいる。その際、社会から求められる技術の異分野領域への拡大、柔軟なアイデアの獲得を通じた技術力の向上について、オープンイノベーションの活用を推進している。また世界の技術関連機関と連携し、協業するための竹中オープンラボの構築を図っている。
重点的に取り組むべき領域として、建設基盤技術、環境・社会、未来・先端の3つに大別し、全社的に研究開発活動を遂行している
当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は95億円余であり、このうち当社が取り組んだ主な技術開発事例は次のとおりである。
(建設事業)
(1)建設基盤技術領域
①耐火集成木材「燃エンウッド® CLT耐力壁」(遮音仕様)を開発
CLTによる「荷重支持部」とせっこう系セルフレベリング材とカラマツによる「燃え止まり層」、木材による「燃え代層」の2層の耐火被覆層で構成する耐火構造の木造部材「燃エンウッド®CLT耐力壁」に「中空層」を組む合わせた遮音仕様を開発し、国土交通大臣認定を取得した。2時間耐火の耐力壁としての性能と遮音性能を備えることで、建築基準法よりも高い遮音性が必要とされる集合住宅・宿泊施設等へ適用できるとともに、建物の階数に関わらず木現しの壁として様々なプロジェクトに展開できる。また、国産木材のスギ、ヒノキ、カラマツをはじめとしたJAS規格に適合するすべての木材が使用できる。現在、「燃エンウッド® CLT耐力壁」(遮音仕様)の採用を検討しているプロジェクトが数件あり、年間5~10件のプロジェクト適用を見込んでいる。
②「富岳」産業試行課題に数値風洞「Kazamidori®」が採択
当社と筑波大学は、RIST(高度情報科学技術研究機構)で2021年度に公募を開始した「富岳」産業試行課題において「将来の気候変動下における建築物の耐風設計および屋外快適性評価に向けた大規模数値流体シミュレーション」の研究課題名で応募し、採択された。本研究課題の利用プログラムである数値風洞「Kazamidori®」は、風の強さや流れをデジタル空間上で予測、可視化して建物が風から受ける力や風速を評価するために当社で開発したツールである。この数値風洞「Kazamidori®」は気象モデルと連携させることで、将来の気候変動下で増加が懸念されているスーパー台風を想定した強風被害のリスク評価や屋外空間の適風評価が可能であるため、将来の気候変動下においてもその影響を加味しての強風に対する防災や屋外快適空間の拡大に寄与できる。
③新開発部材「CLTエストンブロック」を尾鷲市役所本庁舎の耐震改修工事に初適用
「CLTエストンブロック」を用いた耐震壁は、2014年に当社が開発したコンクリート製の「エストンブロック」と同じ蝶々形をしたブロックを積み上げて構築する壁で、ブロックの素材を木にしたものである。エポキシ樹脂と呼ばれる接着剤でブロックを接着しながら積み上げる。木質材はコンクリート製よりも加工自由度が高く、3次元加工により立体的な陰影を表現できる。また、CLTエストンブロック1つの重さは4kg程度と軽量で扱いやすく施工性にも優れている。使用する木材は地域材利用が可能であるため、地元尾鷲産のヒノキを積極的に活用した。CLTエストンブロック耐震壁は当社と北海道総研・林産試験場、芝浦工業大学、北海学園大学との共同研究を通じて開発されたものである。

④「位置プラス®」シリーズにおいて、「高車管理」および「レンタル品管理」のアプリを開発
建築現場向けのアプリ「位置プラス®」シリーズの新ラインアップとして、建築工事における高所作業車の位置や予約等を総合的に管理できるアプリ「高車管理」を開発し、グループ会社の㈱朝日興産を通じて外販を開始した。高所作業車の位置情報や予約状況がモバイル端末やPCからリアルタイムで確認できることから、元請、協力会社、レンタル会社の作業手間が低減されるとともに、高所作業車のレンタル・運用コストが削減できる。
また、レンタル品を総合的に管理できるアプリ「レンタル品管理」を開発した。元請けとなるゼネコンがレンタル会社から借り受ける台車、ポンプ、コード、電動工具、仮設照明、立馬などのレンタル品をアプリに登録し、レンタル品の貸出先や在庫、位置情報を管理することで、元請、協力会社、レンタル会社それぞれの管理時間を低減するとともに、レンタルコストも削減できる。高所作業車やフォークリフトなど大型の重機を除く建設現場内のレンタル品をアプリで一元管理し、各機能によってレンタル品の①在庫確認、②位置探索、③棚卸、④巡回記録、⑤返却を手軽に実施できる。これらの機能により、レンタル品の管理時間は最大86%の削減を、レンタルコストは約10%の削減が期待できる。
⑤新木架構システム「ダブルティンバー」を開発
戸建住宅用の一般流通材でオフィスなど大スパンの建物を実現する新木架構システム「ダブルティンバー」を開発し、当社の小規模オフィス北海道地区FMセンターに初適用した。梁と柱をそれぞれ二重部材構成により二重柱、二列梁とすることで、荷重分散を図り部材の小断面化を実現するもので、二列梁を受ける直交梁を二段配置とすることで荷重を上下の梁へ分散させて、それぞれの梁断面を小さくすることができる。本システムは設計・調達・製作・施工の各フェーズにおいて特殊技術を必要としない汎用性の高いシステムであることから、住宅を専門としてきた協力会社でも容易に施工できるため、全国各地の国産地域材の地産地消に貢献するとともに、耐震性と執務空間確保の両立、構造用集成材の単価40%程度低減、建設工事におけるCO2排出量70%程度削減(同規模の鉄骨造建物との比較)の特徴も有する。
⑥タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®」を工事に本格導入
当社と鹿島建設㈱は、㈱アクティオ、㈱カナモトと共同開発したタワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®(専用コックピットタイプ)」を、大阪市内の建設現場の解体作業に本格導入した。国内で初めて、日中のすべての作業を地上の専用コックピットから遠隔操作で行った。実際に建設資材を揚重した結果、従来のクレーン頂部に設置された運転席から操作する場合と同等の作業を行えることが確認できた。また高所にある運転席への昇降が不要となることで、オペレーターの作業環境が大幅に改善されたとともに、運転席への昇降に要する時間(約30分)も削減され、生産性の向上にもつながった。
(2)環境・社会領域
①CDPの「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード」に選定
当社は、国際的な環境NPOであるCDPによる評価において、「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード」に選定された。これは、当社のサプライチェーン全体を対象とした温室効果ガス削減の取り組みが評価されたものである。当社は2019年12月に2030年・2050年に向けたCO2削減長期目標を設定し、自社の建設活動・オフィス活動に伴う排出量に加え、サプライチェーン全体に関わる排出量の削減を目指している。原材料に関しては、当社が共同開発したECM®(エネルギー・CO2ミニマム)セメントや軽量ダクト「エボルダン®」等の低炭素型製品・技術の拡大を推進している。また、設計施工一貫のメリットを活かし、お客様との協働でZEB(ゼロ・エネルギービル)プロジェクトのつくり込みや、「取引先活動ガイドライン」の制定等により協力会社と方針を共有し、ともに作業所のCO2削減を推進するなど、バリューチェーン全体を通した取り組みを実践している。

②竹中技術研究所「調の森SHI-RA-BE®」がSITESでゴールド認証を取得
竹中技術研究所(千葉県印西市)敷地内に創出したグリーンインフラや生物多様性保全の研究開発フィールドである「調の森SHI-RA-BE®」が米国発で世界的な屋外環境の認証制度であるSITESでゴールド認証を取得した。千葉県北総地域の谷津景観に代表される地域の自然環境を丁寧に読み解き、生態系の再生・保全に取り組んでいる点が評価された。また、雨水貯留浸透技術レインスケープ®、地域の鳥類の生息環境創出技術、希少な水草類の生息域外保全、在来草原再生、都市農業の生態系サービス評価などの、建設会社の研究所ならではの先進的な取り組みを随所に盛り込み、研究開発・実証フィールドとして、社内外のステークホルダーと連携して積極的に活用している点も高く評価された。
③汚染地盤の加温式原位置浄化技術「温促バイオ®」が第48回環境賞で環境大臣賞を受賞
当社、㈱竹中土木、岡山大学及び横浜国立大学が開発した汚染地盤の加温式原位置浄化技術「温促バイオ®」が環境大臣賞を受賞した。従来の原位置浄化技術と比較して、コストを同程度以下に抑えたままで、浄化期間を約50%以下に短縮でき、また、全量を掘削除去する場合と比較して、重機の使用を必要最小限とすることで、コスト、CO2排出量を約50%以下まで削減できる技術であり、かつ、実現性が高い技術である点が評価された。
④フィジカルディスタンス検知による局所換気量制御システムを開発
新型コロナウイルス感染症対策として、人検知センサによって人体間距離を計測し、演算処理により密接状態を判定することで、局所的に換気量を増強する局所換気量制御システムを開発し、御堂ビルディング(大阪市中央区)に導入した。人が集中する場所に対して適切に換気量を確保するため、感染症対策として有効であり、室全体の換気量を増強する方式と比較して、導入費用を抑え省エネルギーとの両立も可能となる。また換気システムだけではなく照明システムとの連携ができるため、密接状態時には在室者に照明点滅による注意喚起を行うことができる。本システムでは密接状態の判定を記録しており、室利用状況を遡り検証することも可能である。
(3)未来・先端領域
①ビッグデータ、AIによりスマートビルを推進するデータ・プラットフォームの新機能を開発
スマートビル実現のため新機能を有したデータ・プラットフォームである「ビルコミュニケーションシステム®(ビルコミ®)」を開発し、「コモングラウンド・リビングラボ(CGLL)」にて実証実験を開始した。従来ビルコミが備えていたリアルタイムのモニタリングや遠隔制御機能に加え、ビッグデータへの対応、BIMで作成された属性データとの連携、インターネットの標準仕様に準拠したAPI提供のための機能を開発し、これにより、多様なユースケースへの対応が可能になるとともに、ビルコミを用いたサービス開発に要するコストを低減することができる。また、ウェブ、ゲーム、ロボットの開発会社など、多くの開発パートナーの参画が容易になるため、スマートビルのサービス開発の可能性を更に広げることができる。
②「応用脳科学コンソーシアム」において研究テーマ「脳モデル開発ユニット」に参画
「脳モデル開発ユニット」は、当社、旭化成㈱、アサヒクオリティーアンドイノベーション㈱、㈱NTTデータ、㈱NTTデータ経営研究所、高砂香料工業㈱、DIC㈱、㈱三井住友フィナンシャルグループの8つの企業及び国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、脳情報通信融合研究センター(CiNet)などの研究機関や大学の参画による産学連携を主体とした研究開発活動への取り組みである。当社は本ユニットへの参画を通じて空間評価の観点から脳科学とAIの融合研究に取り組み、得られた成果を空間設計や開発事業に活用することで、人々が幸せや喜びを感じることができる豊かで安心な「まちづくり」の実現を目指す。

③2025年大阪・関西万博開催予定地 夢洲での実証実験公募に、都市型自動運転船「海床ロボット」による都
市の水辺のイノベーションが採択され、実証開始
採択されたプロジェクトは、当社を代表法人として、国立大学法人東京海洋大学海洋工学部清水研究室、㈱IHI、炎重工㈱、㈱水辺総研、新木場海床プロジェクト、一般社団法人ウォーター・スマート・レジリエンス研究協会が参加する共同プロジェクトである。都市型自動運転船「海床ロボット」が都市内水域を動き、水辺のさまざまな都市問題を解決し、水辺を変革していく未来を描くような実証を開始した。「海床ロボット」は、海や運河・河川並びに湖沼などの水面に浮かべた床(3m四方)が自動で動き、離着岸する自動運転船である。「海床ロボット」を大阪・関西万博の会場である夢洲内の水域に見立てて大阪城公園の東外堀に浮かべ、新しいモビリティの活用可能性を検証した。今回の実験では、タブレットのインタフェースで操作した「水上自動走行」、高い精度の位置制御による桟橋への「自動離着岸」、デジタルファブリケーションを活用し用途に応じた船の上屋の変更が可能な仕組みの検証を行った。
④ドローン撮影の赤外線画像から、AIが建物の外壁タイルの浮きを自動判定するシステム「スマートタイル
セイバー」を開発し実用化
2021年3月、地上88mの外壁タイル貼り高層マンション「アトモスももち」(福岡市早良区)において、超高層建物の外壁調査に初適用した。竣工から 10年を経過した建築物については、建築基準法第12条により全面打診等による外壁調査が求められている。高層建物等において外壁タイルの赤外線撮影をドローンが行うことにより、打診等人の手による外壁調査の手間がなくなるため、仮設足場の設置などにかかるコストを削減できるうえ、人が高所で行う作業が不要になる。また、取得した赤外線画像をもとに、AIがPC上でタイルの浮きを一枚ごとに自動判定し熱分布データとして抽出する。それにより、どの個所のタイルに浮きが発生しているか誰でも一目でわかるため、デジタル技術を活かした人の感覚によらない高精度・高品質な調査、省人化、調査期間の短縮を実現できる。
⑤国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟で世界初となる袋型培養槽技術による栽培実験を実施
当社、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、キリンホールディングス㈱、国立大学法人千葉大学、東京理科大学は、将来の月探査等での長期宇宙滞在時における食料生産に向けた技術実証を目的として、世界初となる宇宙での袋型培養槽技術によるレタス生育の実証実験を、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟内で実施した。袋型培養槽技術は、小型の袋の内部で植物を増殖させる点が特長的で、この技術を用いた栽培方式は、密閉した袋内で植物を栽培するため、雑菌の混入を防ぎ、臭気発生がないコンパクトなシステムである。
⑥デジタル変革の加速に向けた「建設デジタルプラットフォーム」を構築
営業から維持保全に至る一連の建設プロセスにおけるプロジェクト業務や人事・経理等、事業に係るすべてのデータを一元的に蓄積、AI等で高度利活用するための基盤として「建設デジタルプラットフォーム」をクラウド環境に構築し、2021年11月より運用を開始した。「建設デジタルプラットフォーム」はデータレイクとIoT・BI・AIが一体で機能するデータ基盤とアプリケーション群の統合基盤である。データ基盤では、営業・設計・見積・工務・施工管理・FM支援サービスや人事・経理等、事業に係るすべてのデータを一元的に蓄積し、BIによる可視化、AI等による分析・予測を行うことで意思決定をサポートする。

また、子会社における研究開発の主なものは次のとおりである。
㈱竹中土木(1)品質管理技術転圧ローラに2基のGNSS アンテナを搭載し、盛土の品質管理精度を大幅に向上させた転圧管理システム「Dual Mast Roller(デュアルマストローラ)」を開発
(2)施工の効率化・
自動化技術
・自律走行ロボットを活用した資材運搬自動化のための共同研究を開始
・四足歩行ロボットを用いた実証実験で建設現場での自動巡回と遠隔操作
による業務支援機能を実現


(開発事業及びその他)

研究開発活動は特段行われていない。

事業等のリスク株式の総数等


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