有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LNHS (EDINETへの外部リンク)
株式会社雪国まいたけ 事業の内容 (2021年3月期)
当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社と子会社3社で構成され、きのこ類(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルーム等)及びきのこ加工食品の生産及び販売(以下「茸事業」という。)を主たる事業としております。
当社では、まいたけの人工栽培に成功した後、まいたけの工業生産による安定的な生産・供給体制及び品質管理体制並びに小売事業者への直接販売を中心とした流通ルートの整備を図るとともに、そのノウハウをエリンギ・ぶなしめじの商品化に活かし、「きのこ総合企業」としての体制を確立してまいりました。
各事業の特徴等は、以下のとおりであります。
[事業系統図]
子会社を含めた事業の系統図は、以下のとおりになります。
(当社グループの生産の特徴)
当社グループでは、独自に開発した工業生産手法により、きのこ(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルーム)を生産しております。主な生産工程と各工程における当社グループの手法の特徴については以下のとおりであります。こうした独自の生産手法により、当社は安定した生産能力、収穫、そして品質を実現しております。
(1) 培地合成
オガ粉と栄養添加物を独自の割合で配合して栽培の土台となる培地を作成し、高温・高圧で殺菌いたします。当社グループでは、独自レシピで培地を配合し、農薬や化学肥料は一切使用しておりません。
(2) 植菌
クリーンルーム管理(無菌状態に管理)した植菌室で培地に種菌を接種いたします。
まいたけの生産に関しては、2015年8月に従来菌に比べて環境変化への耐性が強い新菌を導入し、歩留まり向上と生産の安定化を実現しております。特に、この独自に開発した新菌から収穫されるまいたけ「極」は、後述の培養・育成過程での工夫等を通じて、①弾力性が高く歯ごたえをもたらす「茎」の部分が大きく、食べ応えがあるとともに、②旨みと風味のバランスが良い等の特徴を有しており、高品質なまいたけの生産の実現に繋がっております。加えて、植菌作業の自動化にも取り組んでおります。
(3) 培養・育成
光、温度、湿度等の環境を制御した培養室、発生室の中で、それぞれ菌糸(菌類の栄養体を構成する糸状の細胞列)、子実体(菌類の菌糸が密に集合してできた胞子形成を行う、塊状のもの。大形のものが「きのこ」と呼ばれる。)の生長を促しております。
特にまいたけでは、広大な培養室及び発生室において、天然まいたけが繁殖する深山の気候を再現した独自のデータに基づく科学的な環境管理によって、光、温度、湿度等を適切に制御し、大量生産を実現しております。培養室及び発生室の広さはそれぞれ約1,350㎡であり、業界で最大の規模と考えております。また、当社のまいたけに関しては、培地を袋に入れて培養・育成を行う手法である袋栽培を採用し、生産工程の改善を続けてきたことにより、1株の大きさが約900グラムと大型化することに成功しており、これによって、後述の包装工程において、需給に応じた多様な容量の包装と商品展開を行うことが可能になっております。
なお、当社では、地熱利用の空調や廃棄物を熱源とするボイラー等を活用することにより、生産工程におけるユーティリティコストの低減も実現しております。
(4) 収穫・包装
収穫時期を厳しくチェックし、厳格な社内基準に適合したきのこだけを収穫し、販売用に包装いたします。当社グループでは、FA化(ファクトリーオートメーション)を進めており、ぶなしめじ及びエリンギに関しては、収穫・包装を含むほとんどの工程において自動化を実現しております。また、まいたけについても、包装工程を中心に生産の自動化を推進しております。
また、当社グループのまいたけは、前述のとおり、袋栽培で1株の大きさが大きいため、1株販売、500グラムから50グラムまで自由な量目設定が可能であり、当社グループでは、市況や顧客ニーズに応じた柔軟なアイテム展開を行っております。その結果、価格相場に応じた柔軟なアイテム提案によりキログラム単価の最大化を可能にし、流通顧客利益増(青果部門客単価・値入アップ)と当社利益増のwin-winな関係を実現しております。
(まいたけの特徴)
人口の多い団塊世代が後期高齢者となる「2020年問題」が話題になる等、少子高齢化の波は確実に強くなってきております。人口減少によってあらゆる商品の需要減少が予想されるため、さまざまな業界が警鐘を鳴らしておりますが、当社では、この高齢化の波を前向きに受け止めております。自社アンケートの結果、まいたけのヘビーユーザーは、シニア世代になるほど多くなることがわかっております。
まいたけは、食物繊維等の栄養素が摂取できる食材としてメディアにたびたび露出しており、最近では、まいたけに含まれる栄養成分の健康促進効果等も紹介されるようになりました。健康意識の高いアクティブシニアからの支持が強いまいたけは、需要がいっそう高まってくることが見込まれております。また、新型コロナウイルス感染症拡大により、食生活を通じた健康維持についての関心も高まっていると想定しております。
当社では、創業来長年にわたって高品質・高生産性のきのこ製品の研究開発に取り組んでまいりました。特に、主要製品のまいたけについては、その充実した栄養成分や健康促進効果に関して、研究成果の学会発表を行っております。
当社の研究成果等によれば、まいたけには、食物繊維、α-グルカン、β-グルカン、ビタミンD、キチン、n-ヘキサン等の栄養成分が含まれております。
(きのこの市場及び当社グループの生産量シェアについて)
きのこの国内消費量について、当社では、国内人口の減少傾向や少子高齢化が進む一方で、アクティブシニアをはじめとする健康ニーズの高い消費者層のきのこ消費が増えることによって今後も概ね安定的に推移すると分析しております。また、特に、当社の主力製品であるまいたけの国内消費量については、消費の地域差、消費の季節差、ジェネレーションギャップが存在し、今後の成長ポテンシャルは十分に存在していると考えております。
きのこの価格については、一部のきのこでコモディティ化が生じている一方、上記にありますとおり引き続き需要は伸びることが予想され、価格は大きな変動なく推移すると判断しております。
当社グループのきのこ製品に関する生産量シェアは下表のとおりであり、比較的価格が安定しているまいたけ等の「プレミアムきのこ」を中心に高いシェアを有しております。
※1 市場全体の生産量は、林野庁「特用林産物生産統計調査」(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ)による2019年の国内総生産量、林野庁「特用林産物生産統計調査」(本しめじ、はたけしめじ)及び農林水産省「地域特産野菜生産状況調査」(マッシュルーム)による2018年の国内総生産量にて記載しております。
※2 当社の生産量は、まいたけ、エリンギ、ぶなしめじについては、当社グループの2020年3月期生産量であり、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルームについては、当社グループの2019年3月期の生産量であります。
当社では、まいたけの人工栽培に成功した後、まいたけの工業生産による安定的な生産・供給体制及び品質管理体制並びに小売事業者への直接販売を中心とした流通ルートの整備を図るとともに、そのノウハウをエリンギ・ぶなしめじの商品化に活かし、「きのこ総合企業」としての体制を確立してまいりました。
各事業の特徴等は、以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 担当会社 | 事業等の特徴及び取り組み状況 | |
茸事業 | まいたけ | 当社 | まいたけでは、2015年8月より販売開始した「極」ブランドが市場、小売、消費者のいずれからも高く評価されており、当社まいたけ販売の拡大に寄与しております。当社の調査によれば、「極」ブランドは、旨味成分が従来品と比べて多く、濃厚で旨味・風味があり、バランスのとれたすっきりとした味わいと、従来品と比べて強い歯ごたえや弾力性を有するまいたけとなっております。 |
エリンギ | 当社 | エリンギでは、2017年8月からの新しい菌種導入による品質改善や、消費者が手間をかけずにすぐ使える利便性の高いスライス商品導入等により、販売単価の向上を目指しております。 | |
ぶなしめじ | 当社 株式会社きのこセンター金武 | ぶなしめじでは、顧客ポートフォリオ(アイテム構成)を見直し、販売単価の向上を目指しております。また、包装形態の見直しを図り、株を固定するプラスチックトレーを無くし、フィルム包装に切り替える等、生産コスト低減にも取り組んでおります。なお、株式会社きのこセンター金武は、沖縄地域での地産地消を目的にぶなしめじの生産を行っております。 | |
本しめじ | 瑞穂農林株式会社 | 本しめじは、高級料亭等だけでしかなかなか食べることのできなかった「幻のきのこ」とも呼ばれております。松茸同様に難しいとされていた栽培に成功し、「大黒本しめじ」と呼ばれる、見た目の美しさと旨味成分を兼ね備えた本しめじを生産しております。 | |
はたけしめじ | 瑞穂農林株式会社 | はたけしめじは、きのこ特有の苦味がなく、お子様にもおすすめのきのこであり、また、低カロリーで、食物繊維に加えビタミンやミネラルも含まれているヘルシー食材であります。現在、「雪国大粒丹波しめじ」として、さらなる認知度向上を図っております。 | |
マッシュルーム | 株式会社三蔵農林 | マッシュルームは、他きのこと比べても用途に季節を問わず幅広い世代より好評をいただいております。生産を手掛ける株式会社三蔵農林は、創業45年超の歴史があり、マッシュルーム市場において高い知名度を誇る「ミツクラ」ブランドの下で、ホワイトマッシュルームやブラウンマッシュルームを展開しております。 | |
その他 | 当社 瑞穂農林株式会社 | 当社グループでは、その他の事業として、健康食品の製造(外部委託)及び販売、物産館の運営、並びに瑞穂農林株式会社にて培地活性剤の販売を行っております。 |
[事業系統図]
子会社を含めた事業の系統図は、以下のとおりになります。
(当社グループの生産の特徴)
当社グループでは、独自に開発した工業生産手法により、きのこ(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルーム)を生産しております。主な生産工程と各工程における当社グループの手法の特徴については以下のとおりであります。こうした独自の生産手法により、当社は安定した生産能力、収穫、そして品質を実現しております。
(1) 培地合成
オガ粉と栄養添加物を独自の割合で配合して栽培の土台となる培地を作成し、高温・高圧で殺菌いたします。当社グループでは、独自レシピで培地を配合し、農薬や化学肥料は一切使用しておりません。
(2) 植菌
クリーンルーム管理(無菌状態に管理)した植菌室で培地に種菌を接種いたします。
まいたけの生産に関しては、2015年8月に従来菌に比べて環境変化への耐性が強い新菌を導入し、歩留まり向上と生産の安定化を実現しております。特に、この独自に開発した新菌から収穫されるまいたけ「極」は、後述の培養・育成過程での工夫等を通じて、①弾力性が高く歯ごたえをもたらす「茎」の部分が大きく、食べ応えがあるとともに、②旨みと風味のバランスが良い等の特徴を有しており、高品質なまいたけの生産の実現に繋がっております。加えて、植菌作業の自動化にも取り組んでおります。
(3) 培養・育成
光、温度、湿度等の環境を制御した培養室、発生室の中で、それぞれ菌糸(菌類の栄養体を構成する糸状の細胞列)、子実体(菌類の菌糸が密に集合してできた胞子形成を行う、塊状のもの。大形のものが「きのこ」と呼ばれる。)の生長を促しております。
特にまいたけでは、広大な培養室及び発生室において、天然まいたけが繁殖する深山の気候を再現した独自のデータに基づく科学的な環境管理によって、光、温度、湿度等を適切に制御し、大量生産を実現しております。培養室及び発生室の広さはそれぞれ約1,350㎡であり、業界で最大の規模と考えております。また、当社のまいたけに関しては、培地を袋に入れて培養・育成を行う手法である袋栽培を採用し、生産工程の改善を続けてきたことにより、1株の大きさが約900グラムと大型化することに成功しており、これによって、後述の包装工程において、需給に応じた多様な容量の包装と商品展開を行うことが可能になっております。
なお、当社では、地熱利用の空調や廃棄物を熱源とするボイラー等を活用することにより、生産工程におけるユーティリティコストの低減も実現しております。
(4) 収穫・包装
収穫時期を厳しくチェックし、厳格な社内基準に適合したきのこだけを収穫し、販売用に包装いたします。当社グループでは、FA化(ファクトリーオートメーション)を進めており、ぶなしめじ及びエリンギに関しては、収穫・包装を含むほとんどの工程において自動化を実現しております。また、まいたけについても、包装工程を中心に生産の自動化を推進しております。
また、当社グループのまいたけは、前述のとおり、袋栽培で1株の大きさが大きいため、1株販売、500グラムから50グラムまで自由な量目設定が可能であり、当社グループでは、市況や顧客ニーズに応じた柔軟なアイテム展開を行っております。その結果、価格相場に応じた柔軟なアイテム提案によりキログラム単価の最大化を可能にし、流通顧客利益増(青果部門客単価・値入アップ)と当社利益増のwin-winな関係を実現しております。
(まいたけの特徴)
人口の多い団塊世代が後期高齢者となる「2020年問題」が話題になる等、少子高齢化の波は確実に強くなってきております。人口減少によってあらゆる商品の需要減少が予想されるため、さまざまな業界が警鐘を鳴らしておりますが、当社では、この高齢化の波を前向きに受け止めております。自社アンケートの結果、まいたけのヘビーユーザーは、シニア世代になるほど多くなることがわかっております。
まいたけは、食物繊維等の栄養素が摂取できる食材としてメディアにたびたび露出しており、最近では、まいたけに含まれる栄養成分の健康促進効果等も紹介されるようになりました。健康意識の高いアクティブシニアからの支持が強いまいたけは、需要がいっそう高まってくることが見込まれております。また、新型コロナウイルス感染症拡大により、食生活を通じた健康維持についての関心も高まっていると想定しております。
当社では、創業来長年にわたって高品質・高生産性のきのこ製品の研究開発に取り組んでまいりました。特に、主要製品のまいたけについては、その充実した栄養成分や健康促進効果に関して、研究成果の学会発表を行っております。
当社の研究成果等によれば、まいたけには、食物繊維、α-グルカン、β-グルカン、ビタミンD、キチン、n-ヘキサン等の栄養成分が含まれております。
(きのこの市場及び当社グループの生産量シェアについて)
きのこの国内消費量について、当社では、国内人口の減少傾向や少子高齢化が進む一方で、アクティブシニアをはじめとする健康ニーズの高い消費者層のきのこ消費が増えることによって今後も概ね安定的に推移すると分析しております。また、特に、当社の主力製品であるまいたけの国内消費量については、消費の地域差、消費の季節差、ジェネレーションギャップが存在し、今後の成長ポテンシャルは十分に存在していると考えております。
きのこの価格については、一部のきのこでコモディティ化が生じている一方、上記にありますとおり引き続き需要は伸びることが予想され、価格は大きな変動なく推移すると判断しております。
当社グループのきのこ製品に関する生産量シェアは下表のとおりであり、比較的価格が安定しているまいたけ等の「プレミアムきのこ」を中心に高いシェアを有しております。
きのこの種類 | (a)市場全体の生産量※1 (トン) | (b)当社の生産量※2 (トン) | 当社の生産量シェア(%) (b)/(a) |
まいたけ | 51,108 | 29,207 | 57.1 |
エリンギ | 37,635 | 10,398 | 27.6 |
ぶなしめじ | 118,597 | 18,474 | 15.6 |
本しめじ | 310 | 308 | 99.4 |
はたけしめじ | 562 | 488 | 86.9 |
マッシュルーム | 6,527 | 2,226 | 34.1 |
※2 当社の生産量は、まいたけ、エリンギ、ぶなしめじについては、当社グループの2020年3月期生産量であり、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルームについては、当社グループの2019年3月期の生産量であります。
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