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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100JFDU (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ADEKA 研究開発活動 (2020年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。
国内の連結子会社である日本農薬㈱、㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点における研究開発のローカライゼーションも推進しており、国内の研究所から人的支援や技術支援を行っています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、14,398百万円です。

(1) 化学品事業

当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。単に素材を提供するだけでなく、ユーザーにおける課題を解決できるソリューションとして提案すべく、評価技術の向上を図るとともに、グループ内の技術連携にも務めています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。
主な成果は以下の通りです。
① 樹脂添加剤
新興国の経済成長や自動車のマルチマテリアル化などに伴い、プラスチックの需要は拡大の一途をたどっています。その一方で、海洋プラスチック問題で注目されるバイオプラスチックや、廃プラスチック再利用時の実用性向上など、製造側には新たな対策が求められています。当社は以前から、省エネや環境負荷低減を可能とする高機能樹脂添加剤である核剤/透明化剤、光安定剤、難燃剤などの開発を通じ、持続可能な社会に貢献しています。
ポリオレフィン製自動車部材の力学物性を高めることで、軽量化による燃費向上および二酸化炭素削減に寄与する高性能核剤を開発しました。さらに、樹脂のリサイクル時の劣化抑制による用途拡大を可能にする添加剤パッケージを開発しました。また、植物由来の原料を使用した可塑剤や、鉛、カドミウムといった有害重金属を使用しないポリ塩化ビニル用安定剤などの環境配慮型製品の開発も推進しています。
② 情報・電子化学品
5G通信の商用化エリア拡大に伴うスマートフォンの高機能化や基地局の拡大、企業のビッグデータ利用推進によるデータセンターの需要拡大が進んでいます。また、スマートフォンやプリント配線基板では、中国企業の台頭が目覚ましく、中国内での部材の地産地消が進んでいます。このような市場環境変化に加え、主要顧客からの要求に対するスピーディーな対応と、対韓国輸出規制も鑑み、研究開発体制を整えています。
ADEKA KOREAの開発拠点では、半導体メモリ用高誘電成膜材料の評価設備を増設し、現地ユーザー向け開発体制を強化しました。タッチパネル張り合わせなどでディスプレイ用パネル製造において採用が加速しているUV-LED(紫外線発光ダイオード)光源に対応する光重合開始剤やUV硬化樹脂を開発しました。
③ 機能化学品
持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の発効により、以前にも増して環境意識が高まり、環境に関する課題への取組みがますます大きな機会をもたらすと考えられます。当社では以前から、自動車のエンジンオイルへ添加すると燃費向上効果を発揮するモリブデン系潤滑油添加剤「アデカサクラルーブ」や、国内外で排出規制強化が進む揮発性有機化合物(VOC)低減に貢献する水系コーティング材料といった環境配慮型製品の開発を推進しています。
大気汚染の原因となるSOxの規制強化に対応した各種船舶用燃料添加剤を開発しました。スラッジ分散剤「アデカエコロイヤルSD-20」、耐摩耗剤「同AW-37F」、防カビ剤「同AF-50」のユーザーでの評価・採用が進んでいます。化粧品原料では、サスティナビリティーへの対応や自然派化粧品のニーズが高まっていることを受け、使用原料の天然由来化や持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)の認証取得に取り組みました。水系コーティング材料の海外、特に中国での市場開発を加速するため、ADEKA(中国)投資有限公司上海創新中心(イノベーションセンター)を設置しました。


子会社であるADEKAクリーンエイド㈱では、広く殺菌・除菌・防腐成分として用いられているDDAC(ジデシルジメチルアンモニウムクロリド)を一定濃度以上含むものが、2019年7月より劇物指定されたことを受け、DDACを配合していた洗浄剤や除菌剤について性能低下を招くことなく非配合品への代替を実施しました。ついては、DDAC配合の他社製品を使用する顧客へ、非劇物の当社製品を紹介することで採用に繋げています。
また、食品工場向けには、ビール製造設備用の洗浄剤 アデカサイクルBD35を上市しました。本製品に使用したキレート剤(金属イオン封鎖剤)は、他社製品よりもスケール汚れの溶解力に優れ、かつ好気性微生物処理において速やかに生分解されます。そのため、排水処理設備を持つビール工場においては、排水放流基準値の一つであるCOD値(COD:化学的酸素要求量で、排水放流基準値の一つ)の低減に貢献できる洗浄剤となります。

子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、環境対応型湿式伸線剤の開発を加速させるため、外部連携先の探索を開始しました。現在、東京理科大学トライボロジーセンターと共同研究を前提に協議しています。また、塑性加工時の応力シミュレーションが可能な協業先も探索中です。
粉末冶金用潤滑剤では、カナダの鉄粉メーカー向けとして、MEL-03の改良品試作品、2品を設定しました。本試作品は、キャラクターの異なる設計を行い、ユーザーの要望に広く応えるものと期待しています。早期の評価を経て、上市を目指してまいります。

(2) 食品事業

当社食品部門では、市場環境変化に伴う課題を捉え、ユーザーのヒット商品創出に貢献できる新製品開発を行っています。また海外関係会社でも中国や東南アジア諸国など、各国の嗜好性や流行に合致した製品開発を進めています。
① 加工油脂
自然なバター風味と使いやすさを特徴としたコンパウンドタイプの練込油脂「EZマーガリンCP」、折込油脂「オリンピアクレール(スライス)」を上市しました。香料に頼らず作り上げた自然なバター風味によって、低コンパウンド率ながらベーカリー製品に豊かなバター風味を付与できる点に加えて、幅広い温度で使える作業性の良さがお客様の好評をいただいています。
② 加工食品
高品質なフローズンチルドデザート作りを可能にするホイップクリーム「ブレンドホイップFC」を上市しました。人手不足による製造効率化、食品ロス削減、販売チャネル拡大(ネット販売や海外輸出)等の課題によって拡大するフローズンチルドデザートのニーズに応える製品としてお客様の好評をいただいています。
濃厚な風味でなめらかな食感の日持ちクリーム「ナイスワンNEO(カスタード、キャラメル)」を上市しました。ますます活性化する土産菓子やロングライフパン市場において、おいしさを追求した多彩なメニュー開発が可能になる素材として好評をいただいています。

今後も市場環境の変化を鋭敏に捉えながら、お客様の「商品価値」や「作業性、生産性」の向上に貢献する製品開発に取り組んでまいります。

(3) ライフサイエンス事業

連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。
当期における主な成果は以下の通りです。
日本・インド同時開発を進めている新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、2019年2月に日本およびインドで登録申請を完了しており、順調に評価が進んでおります。同剤は日本で2020年、インドで2022年の登録取得を見込んでおります。
汎用性殺菌剤ピラジフルミド(国内商品名「パレード」)は、国内において野菜用で新規処理分野(セル苗灌注処理)での開発を推進し、2019年8月にレタスで、2020年1月にキャベツ、ハクサイでの農薬登録を取得しました。同剤については、グローバルな開発も展開中であり、2019年2月に韓国において製剤登録を取得し、韓国販社と協力し、2020年3月に販売を開始しました。また、2019年11月に米国での農薬登録申請をしました。


(4) 新規事業の推進
注力分野として「ライフサイエンス」、「環境」、「エネルギー」を掲げ、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。
世界に前例のない超高齢化が進む日本では、健康長寿社会の形成が急務です。健康と長寿を共に享受するため、疾病の予防や早期発見による重症化防止、高齢者の生活機能低下の抑制、疾病や創傷の治療のあとのQOL改善のための対策を講じなくてはなりません。当社はこれまでに蓄積した化学品分野と食品分野の技術やネットワークはもちろんのこと、社外リソースの活用も図り、健康長寿社会の形成に貢献する新規事業の創出を加速しています。
国立研究法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターの委託プロジェクト「新規機能性成分によるナス高付加価値化のための機能性表示食品開発」において、国立大学法人信州大学、学校法人電子開発学園北海道情報大学らとともに、ナス由来の成分コリンエステルの血圧改善効果と気分改善効果を臨床試験にて世界で初めて実証しました。本成果は栄養学の分野で評価の高い「Nutrients」に掲載されました。また、医療機器の品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485:2016」認証を、脱細胞化再生医療材料として日本で初めて取得し、サンプル提供を開始しました。臨床応用等に向けた医療機関との共同研究が可能となり、実用化に向けた取り組みを進めていきます。
再生可能エネルギーの導入拡大の中で電源のコスト低減が進み、コスト競争力のある電源となったことで、更なる導入拡大を生むというサイクルが世界的に生じています。しかしながら、太陽光や風力のような変動電源が増加するには出力変動に対応する必要があり、その対策の一つにリチウムイオン二次電池を用いた電力貯蔵技術が挙げられます。当社では、次世代二次電池向けの電極材料や電解液添加剤といった各種材料の開発を推進しています。
レアメタルフリーの次世代二次電池向け電極活物質であるSPAN(硫黄変性ポリアクリロニトリル)や導電助剤として用いられるグラフェンのパイロットプラントを相馬工場に設置しました。電気自動車や定置用蓄電池向けをターゲットにサンプル提供を開始しました。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00878] S100JFDU)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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