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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007T99

有価証券報告書抜粋 KDDI株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、ネットワークインフラ、プラットフォーム、端末・アプリケーションの各重点技術分野において、実用的な研究開発と先端的・長期的な研究開発の両面で、研究開発を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、18,001百万円となりました。なお、当社グループの行っております研究開発活動は各セグメントに共通するものであり、各セグメントに関連づけて記載しておりません。
研究開発活動の主なトピックスをご紹介します。

1.ネットワークインフラ技術
次世代の移動体通信の通信方式である第5世代移動通信方式(以下、「5G」)に関連する研究開発や、ネットワーク仮想化時代に必要となる高度なネットワーク運用技術の研究開発を推進しております。
5Gが目指す性能を実現するために、ミリ波帯の活用に関する研究開発が活発に行われています。しかし、高周波数帯の電波は減衰が大きく、遠くまで電波が届きにくいことから、広いエリアをカバーすることが難しく、移動通信サービスでの利用が難しいとされてきました。この課題の解決策として、LTEのような広域通信により補完する方法が考えられますが、現在インターネットで広く用いられているTCP/IP通信においては、通信を始める前の処理に時間がかかるため、高周波帯通信とLTEの切り替えに多くの時間を要し、継続的な通信ができないという課題がありました。この課題を解決するため、60GHz帯通信とLTEを協調動作させる通信方式を開発しました。本方式の技術的ポイントは以下の2点になります。
・ ユーザが今後必要とするコンテンツを”先回り”させるシステムの開発
・ 新しいネットワークアーキテクチャ技術として研究が進められているCCN (Content Centric Networking) の使用
これらを用いて、ユーザが到達するであろう60GHz帯エリアをあらかじめLTEエリアで予測、必要なコンテンツを先回りダウンロードさせておくことにより、ユーザが60GHz帯エリアに入るとすぐにダウンロードが開始され、ユーザは60GHz帯とLTEを意識することなく利用できます。この結果、動画などサイズの大きいコンテンツのダウンロード時間の短縮と、LTEのトラフィックを60GHz帯へオフロードが可能となります。検証試験では、ダウン ロード時間がLTEのみを使った場合と比較して5分の1以下にまで削減され、またLTEのトラフィックを最大で約90%、60GHz帯にオフロード可能であることを確認いたしました。
また、5Gにおいては、IoT、高精細動画などの多様なデバイスやコンテンツに対応するため、ネットワークの柔軟性が求められるようになります。このため、5Gの実現に向けて、今後SDN(Software Defined Network)やNFV(Network Function Virtualization)といったネットワーク仮想化技術の導入が進むことが予想されます。さらに、重要な設備の輻輳時に他設備の資源(処理能力)を迅速に融通して深刻な事態を回避する、といった効果も期待されています。しかし、通信設備を対象としたネットワーク仮想化技術は途上段階にあり、特に障害対応作業が複雑化する懸念があります。さらに、同技術では汎用サーバやオープンソースソフトウェアなどの活用に伴い、通常の監視や診断では予測が困難なハードウェアの劣化やソフトウェアのバグなどが運用時の盲点となり、サービスに甚大な影響を引き起こす可能性が指摘されています。そこで当社グループは、ネットワーク仮想化基盤にハードウェアやソフトウェアの深刻な障害の兆候を検知する人工知能を埋め込み、人工知能による故障予測とそれに基づきネットワークを自動運用するシステムを開発しました。そのシステムを用いた実証実験では、ソフトウェアバグなどの異常の兆候を9割以上の精度で事前に検知し、従来の約5倍の速度で仮想化された機能を別拠点などの安全な場所へ移行することに成功しています。

2.プラットフォーム技術
今後のIoTやコネクテッドカーの普及において必要とされる、セキュリティ対策に関する研究開発に取り組んでおります。
現在のデバイスにおける一般的なセキュリティ対策では、ストレージ部分のデータには暗号化対策が為される一方、暗号化で用いた鍵データを格納するメモリ内のデータは十分なセキュリティ対策が施されていないため、メモリへのサイバー攻撃によって鍵データが読み取られてストレージ部分の情報漏えいを引き起す、といった危険性があります。今回、KDDI研究所が有する暗号化技術とソフトウェア保護技術を組み合わせて、メモリ内の データに対しても強固なセキュリティを実現しました。本方式は、従来方式と比較して約10倍の高速処理を実現し、数KBの軽量なソフトウェアで実装できるため、IoT時代に爆発的に増加していくであろう、処理能力が低いデバイスのセキュリティ対策として有用となります。
また、現在、自動車メーカーを中心にコネクテッドカーの開発が活発に行われていますが、車に搭載された電子デバイス同士を接続する車載ネットワークがインターネットからアクセス可能となるため、セキュリティ上の脅威が生じます。そこで、車載ネットワークを不正アクセスから保護する技術を開発しました。携帯電話網に接続して音声通話やデータ通信を行う際に必要となるSIM(Subscriber Identity Module)には契約者情報等が記録されており、高い安全性が確保されていますが、SIMにはアプリケーションが動作する領域(アプリ領域)も有り、そちらも高い安全性を有しています。今回、車にSIMを搭載し、そのアプリ領域でセキュリティアプリを動作させ、車載ネットワークを統括的に保護する仕組みを開発しました。セキュリティアプリから制御マイコンに対し暗号鍵を配布、制御マイコン同士が通信をする際はこの暗号鍵を用いて暗号化・複号化を行うことで、車載ネットワークの安全性を高めます。

3.端末・アプリケーション技術
当社が構築した多言語音声翻訳システムとKDDI研究所が開発した「翻訳精度向上技術」を鳥取県鳥取市の訪日外国人向け観光タクシー「1000円タクシー」に搭載、多言語音声翻訳システムを活用した社会実証を2015年11月より開始しました。従来課題となっていたタクシー運転手と訪日外国人との間のタクシー内における円滑な コミュニケーションを実現させることで、言葉の壁に起因する社会サービスの差を克服することを目指していきます。
また最近は、青少年のスマートフォンの長時間利用が問題となっています。そこで、アメリカの経済学者セイラー氏らが提唱している「Nudge」理論(心理学的なアプローチで行動を促す)をベースに、スマートフォンの利用を物理的に制限することなく、利用者自身が適切にスマートフォンを利用することを支援するホームアプリ「勉強うながしホーム」を開発しました。本アプリでは、ホーム画面として「通常モード」と「勉強モード」の2つのモードを持ち、「通常モード」では、適切な利用への気づきを与え、過度な利用を自ら控えるように促し、「勉強モード」では、勉強に役立つアプリのみを登録しておくことで、スマートフォンが手元にあっても勉強に集中することができるようになります。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E04425] S1007T99)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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