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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1005444

有価証券報告書抜粋 TAC株式会社 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2015年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

(1) 重要な会計方針及び見積り

① 講座に関する売上計上基準
当社の提供する資格試験講座においては、原則として受講者の申込時点で講座受講料を全額前納していただいており、受取った受講料をいったん全額負債としての前受金に計上し、受講期間に応じて受講者にサービスを提供していく都度、月割りで前受金を取崩し売上計上しております。当社の主力である公認会計士・税理士等の難関国家資格講座は、受講期間が1年を超えるものも多く、したがって前受金は1年以上にわたり各月の売上に振り替えられていくことになります。
② フリーレントの会計処理
当社は、資格取得スクールを展開するため多くのビルを賃借しております。貸主からフリーレントを受ける場合、フリーレント期間が長期化し金額的な重要性が増しているため、賃借料の要支払額を賃借期間で按分して会計上の費用として計上しております。

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 講座の増減収要因
当連結会計年度の動向は、消費税増税の駆け込み申込みの反動減が期初に発生し、前連結会計年度に計上した駆け込み申込み分のリードをほぼ吐き出す形となりました。その後も、財務・会計分野、税務分野及び法律分野が減収を続けており、第3四半期でやや持ち直しましたが、第4四半期は前連結会計年度の駆け込み申込みのあった売上との対比で大きく落とすことになりました。公認会計士は大手監査法人の採用が積極姿勢に変わって人手不足が続いており、初学者層が増え始めております。一方、簿記検定・税理士受験者は減少が続いております。景気回復を受けて、金融・不動産分野の講座が増加しており、宅建士、不動産鑑定士、証券アナリスト等が好調であります。また、民間の就職状況が好転してきていることから、公務員人気が沈静化してきており、公務員講座が売上を落としました。また、当連結会計年度に買収した(株)医療事務スタッフ関西及び(株)クボ医療の行う医療事務スタッフの派遣、レセプトの確認請負、医療事務講座等の事業をまとめて、医療・福祉分野として計上することとし、当連結会計年度は第2四半期以降の9か月間で1億6千8百万円の売上高を計上しております。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度における現金ベース売上高は188億4千6百万円(前連結会計年度比7.8%減)となりましたが、前受金調整額が6億9千万円の戻入れ(同5億9千4百万円増)となったため、発生ベース売上高は195億3千7百万円(同4.8%減)となりました。
② コスト要因
コストについては、売上原価で同3億4千1百万円減、販売費及び一般管理費で同1億8千5百万円増となりました。主な内訳は、売上原価の講師料で同1億1百万円減、教材印刷費・ダビング代等の外注費が同2千3百万円増等となりました。販売費及び一般管理費では、本社ビル取得により賃借料が同5千3百万円(3か月分)減、修繕引当金で同3千5百万円増などとなりました。これらの結果、営業利益は1億4千万円(同8億9千3百万円減)となりました。
③ 法人研修事業の業績推移
法人研修事業に係る受講者数、売上高及び営業利益の推移は以下のとおりであります。なお、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用しており、下表では現金ベース(前受金調整前)の売上高及び営業利益で表示しております。

2013年3月期2014年3月期2015年3月期(当期)
受講者数(名)61,20562,62764,507
売上高(千円)4,066,9534,258,0854,180,548
営業利益(千円)1,046,6251,232,0021,058,139


法人研修事業は、現金ベース売上高が41億8千万円(前年同期比1.8%減)となりました。大学内セミナーが同10.2%増、税務申告ソフト「魔法陣」事業が消費税ソフトのバージョンアップ需要をうまくつかみました。一方、地方の専門学校向けコンテンツ提供が同14.3%減、提携校事業は同9.2%減、自治体等の委託訓練が同4.9%減となりました。これらの事業の売上の増減はほぼトントンであり、主力の法人研修事業が同0.9%減(同2千2百万円減)となったのが、結局は法人研修事業の減収額とほぼ同額となりました。
④ 人材ビジネスの業績推移
当社100%子会社の株式会社TACプロフェッションバンク(以下、TPBという。)においては、人材派遣・人材紹介・求人広告の3つの柱で事業を行っております。TPBは、当社の資格取得講座の受講者・合格者を中心に会計・経理分野に強みを持つ人材供給会社として認知されてまいりましたが、当連結会計年度は景気回復に伴う正社員志向の高まりにより登録スタッフが減少しており、人材派遣を中心に売上を落としました。同社単体の売上高は3億8千3百万円(同10.8%減)、営業利益は7千2百万円(同25.6%減)となりました。
また、当連結会計年度より人材事業に医療事務関係の人材派遣等の事業を含めております。2014年6月に買収した(株)クボ医療及び(株)医療事務スタッフ関西の両社単体での合計売上高は1億6千8百万円でしたが、スタッフの派遣が安定しなかったことによる人件費がかさんだほか、大口顧客の滞留債権を貸倒処理したこと及びのれん償却費2千4百万円を計上したこと等により、連結への寄与が遅れております。さらに、関東圏でも両社のノウハウを活かすべく、(株)TAC医療事務スタッフを2014年12月末に設立しております。
以上の結果、人材事業の発生ベース売上高は5億4千4百万円(同26.4%増)、発生ベースの営業利益は6百万円(同93.4%減)となりました。

2013年3月期2014年3月期2015年3月期(当期)
売上高(千円)422,230430,515(注) 544,092
営業利益(千円)62,11297,275(注) 6,441

(注)医療事務関連の売上を含む、当連結会計年度の人材事業セグメントの売上高及び営業利益を計上しております。

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

① 受験者数の推移
当社の取扱う資格試験の受験者数は、直近の底である2005年の271万人から2010年には308万人にまで13.8%増加しました。これは簿記検定試験が53万人から73万人にまで増加したほか、FP試験が21万人増加したこと等が主な要因です。一般的には、不況期に資格受験者は増加する傾向があり、特に当社が強みを有する会計系資格(公認会計士・税理士・簿記検定)においては、2005年の61万人から2010年には81万人と32.6%も増加しております。
しかしながら、公認会計士試験合格者の未就職者問題、簿記検定試験の東日本大震災をきっかけにした受験者大幅減少の継続等により、会計系資格受験者数は2014年には59万人(27.4%減)にまで減少し、平成15~17年頃の安定的な市場レベルをやや下回る水準になっております。これに伴い、当社の取扱う資格試験全体の受験者数も、ピーク時の308万人から急速に減少し、2014年は251万人となっております(18.7%減)。
当社の取扱う各資格試験の受験者数は、社会情勢などを反映しながらそれぞれ固有の動きをしており、現在学習中の方を含めますと受験者数の数倍の市場規模と想定されますので、当社の各講座の売上高及び営業利益も各資格試験の受験者の動向に影響を受けてまいります。
② 試験制度の改正等の受験環境
2006年の公認会計士試験制度の改正の前後で、新試験制度に向けた申込み控えや新試験2年目から始まった大量合格傾向、さらには監査法人の採用数減少による未就職者問題などにより、当社主力の公認会計士講座の売上高は大きく影響を受けてきました。2012年の合格者削減に至り、ようやく未就職者問題は収束に向かっております。このほか、中小企業診断士試験における大量合格者が生じたことによる再受験者の申込み減少、2011年に司法試験予備試験が開始され順調に受験者が増加した結果、2014年には12,600人を超えており、今後の司法試験受験環境やニーズへ影響を及ぼすことが考えられます。このように当社の取り扱う資格試験制度の改正内容、新試験の合格率や難易度等の結果によって、当社の経営成績は大きな影響を受けることがあります。

(4) その他、財政状態及び経営成績に関する分析

① 前受金について
当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん、前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。前受金及びその他の財政状態の指標の推移は以下のとおりであります。


2013年3月期2014年3月期2015年3月期(当期)
総資産(A)(千円)16,808,63918,631,32621,304,945
前受金(B)(千円)6,621,5146,515,5025,938,577
前受金比率(B/A)(%)39.435.027.9
自己資本(C)(注)(千円)3,311,2464,153,3174,384,487
自己資本比率(C/A)(%)19.722.320.6

(注) 自己資本は、純資産の額から少数株主持分の額を控除して算出しております。
前連結会計年度末に生じた消費税増税前の駆け込み申込みによって積み上がった前受金は、当連結会計年度に相当程度消化され、発生ベースの売上高を押し上げる働きをしております。
また、当連結会計年度においては、本社ビルの土地・建物を取得したため、総資産が大きく増加していることから、前受金比率は前連結会計年度比7.1ポイント低下しております。
前受金に見合う資金は、徐々に取り崩されて営業活動に使用されます。そのため、事業活動に必要な自己資本は相対的に低い水準で済み、自己資本比率は相対的に過小である傾向があります。当連結会計年度は、2億8百万円の連結当期純利益を計上しましたが、総資産の金額の伸びが大きかったため、自己資本比率は1.7ポイント低下いたしました。

② 前受金保全信託受益権について
消費者保護の考え方の高まりに対応して、当社は2008年8月末を基準に前受金保全信託制度を新たに導入しました。本制度においては、受講期間が1年を超える受講者を対象に、未経過受講期間が1年を超える期間分の受講料を全額保全し、当社財産と分別管理するしくみとしており、当社に万が一事業を継続できなくなる事態が生じた場合には、信託財産が受益者代理人を通じて、各受講者に返還されます。ただし、受講者にお支払いいただいた前受金のうち未経過受講期間が1年以内に対応する受講料については、他の債権者との関係から受講者に返却できない場合があります。
当連結会計年度末における前受金保全信託受益権は、資産の部・流動資産の区分に3億6千8百万円計上されており、前連結会計年度とほぼ変わらない水準であります。これは、公務員講座の売上がやや減少してきているのに対して、受講期間の長い公認会計士講座の初学者コースが好調に推移しているためであります。

2013年3月期2014年3月期2015年3月期(当期)
前受金(A)(千円)6,621,5146,515,5025,938,577
前受金保全信託受益権(B)(千円)546,180365,638368,209
前受金保全比率(B/A)(%)8.25.66.2



③ 差入保証金について
当社グループの事業所は原則として賃借によっております。したがって、当社は、教育サービスを提供する教室確保のための直営校各拠点を賃借するために、資産の部・固定資産の「投資その他の資産」の区分に差入保証金を多額に計上しております。

2013年3月期2014年3月期2015年3月期(当期)
差入保証金(A)(千円)3,152,3543,151,5323,032,758
前受金(B)(千円)6,621,5146,515,5025,938,577
保証金比率(A/B)(%)47.648.451.1


賃借契約は原則として2年であり、受講者数の増加に伴い教室スペースの確保のため各拠点の増床や新規拠点の開設を行うと、差入保証金は増加することになります。当連結会計年度においては、本社取得による差入保証金の返還を除けば、小幅な拠点面積の削減等がありましたが差入保証金はほぼ横ばいであります。

④ 資産除去債務について
当社グループの事業所は賃借ビルが多いため、「資産除去債務に関する会計基準」に基づいて、各賃借ビルの原状回復義務等を資産除去債務として負債の部に多額に計上しております。また、同時に資産の部に計上された資産除去債務相当額からは、その関連する有形固定資産の減価償却方法に準じて減価償却費が発生し、毎期計上されます。これにより、将来、原状回復義務を履行した場合の費用または損失が一時に計上されずに、使用する各期間に費用配分されることになりますが、結果として、各期の減価償却費が押し上げられ、固定費負担が重くなっております。

2013年3月期2014年3月期2015年3月期(当期)
総資産(A)(千円)16,808,63918,631,32621,304,945
資産除去債務(B)(千円)631,941638,684587,687
資産除去債務比率(B/A)(%)3.83.42.8
減価償却費のうち資産除去債務関連(千円)75,74347,70842,267


⑤ 運用有価証券について
前受金が増加していくことは、受講者からの預り資金が増加することを意味します。そのうちの一部は、教室スペース確保のための差入保証金に充当されております。残額は、順次サービスを提供していくため、講師料、賃借料等のほか、教材の印刷費・DVDのダビング費・広告費等に消費されます。そうした消費のタイミングまでは、前受金の一部の資金は現金及び預金または有価証券等の金融商品で保有されます。当社の有価証券投資の方針は運用規程に定められており、元本確保型の安全性を重視した金融商品であって、かつ、利回りを追求した金融商品を中心に運用しております。
過去3期間の運用有価証券の推移は、以下のとおりであります。

2013年3月期2014年3月期2015年3月期(当期)
有価証券(千円)80,968166,11387,773
投資有価証券(千円)1,593,3051,318,131444,805
合計1,674,2731,484,245532,579

当連結会計年度においては、欧州債務危機の懸念が後退するとともに円安傾向が一層進んだため、外国債券を中心に償還・売却を進めた結果、投資有価証券の期末残高が大きく減少いたしました。


(5) 戦略的現状と見通し

「対処すべき課題」において説明しておりますとおり、コストの下げ余地が限定的であることから、売上高の増加が喫緊の課題であります。そのため、①新規講座の開発、②M&A、業務提携をテコにした成長、③ネット教育の加速と資格試験市場への刺激の3点を柱として、売上高増大のための施策を実行してまいります。

(6) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき当社グループが合理的であると判断したものであります。したがって、将来や想定に関する事項には不確実性を内在しており、将来における実際の業績は様々な要因により大きく異なる結果となる可能性があります。

事業等のリスク株式の総数等


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