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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AN02

有価証券報告書抜粋 TAC株式会社 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

(1) 重要な会計方針及び見積り

① 講座に関する売上計上基準
当社の提供する資格試験講座においては、原則として受講者の申込時点で講座受講料を全額前納していただいており、受取った受講料をいったん全額負債としての前受金に計上し、受講期間に応じて受講者にサービスを提供していく都度、月割りで前受金を取崩し売上計上しております。当社の主力である公認会計士・税理士等の難関国家資格講座は、受講期間が1年を超えるものも多く、したがって前受金は1年以上にわたり各月の売上に振り替えられていくことになります。
② フリーレントの会計処理
当社は、資格取得スクールを展開するため多くのビルを賃借しております。貸主からフリーレントを受ける場合、フリーレント期間が長期化し金額的な重要性が増しているため、賃借料の要支払額を賃借期間で按分して会計上の費用として計上しております。

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 全体業績の増減収要因
当連結会計年度の講座への申込みの動向は、前連結会計年度から引き続き堅調に推移しました。分野別では、会計関連の入口資格と位置付けることのできる日商簿記検定において試験申込者数が2年連続で増加したほか、試験合格者が監査法人に就職できる状況が続き初学者が戻って来た公認会計士試験などの財務・会計分野、良好な企業景気に支えられ市場が活発化している不動産鑑定士・宅建士などの不動産分野、一般に不景気時に申し込みが伸びる公務員は好景気が続いている現在でも受講生ニーズを的確に捉え好調でありました。一方で、税務分野及び法律分野は依然として減収を続けております。当社グループが出版しております各種試験対策書籍については、簿記・宅建士・社労士・FP等を始めとして全体的に売れ行きが好調でした。また、新たに出版した「旅行本」の売上も加わり出版事業の売上は大きく増加いたしました。法人研修事業及び人材事業の業績については③及び④に記載の通りです。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度における現金ベース売上高は206億2千7百万円(前連結会計年度比2.6%増)となりました。前受金調整後の発生ベース売上高は、前受金調整額が1億8千7百万円の繰入(同94.8%増)と現金ベース売上高を押し下げる方向に働いたことで、204億4千万円(同2.2%増)となりました。
② コスト要因
コストについては、新たに出版した「旅行本」の制作費用や出版物に係る返品関連の引当金繰入額等が増加したため売上原価で同1億7千5百万円増(同1.4%増)、販促活動の拡充等に伴い販売費及び一般管理費で同1億6千8百万円増(同2.3%増)となりました。これらの結果、営業利益は7億1千3百万円(同1億7百万円増、同17.7%増)となりました。
③ 法人研修事業の業績推移
法人研修事業に係る受講者数、売上高及び営業利益の推移は以下のとおりであります。なお、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用しており、下表では現金ベース(前受金調整前)の売上高及び営業利益で表示しております。

2015年3月期2016年3月期2017年3月期(当期)
受講者数(名)64,50769,47173,584
売上高(千円)4,180,5484,440,8024,156,113
営業利益(千円)1,058,1391,208,2631,110,636

法人研修事業は、現金ベース売上高が41億5千6百万円(前年同期比6.4%減)となりました。良好な企業景気を背景に法人向けの研修は堅調に推移し、地方の個人が主な顧客となる提携校事業も前年並みの売上を確保しましたが、学内セミナーや自治体等の委託訓練は景気回復による需要の減少で前年同期比でマイナスとなりました。また、税務申告ソフト「魔法陣」の取扱を前連結会計年度末をもって終了しているため、法人研修事業全体の売上は大きく減少する結果となりました。
④ 人材ビジネスの業績推移
当社100%子会社の株式会社TACプロフェッションバンク(以下、TPBという。)においては、人材派遣・人材紹介・求人広告の3つの柱で事業を行っております。TPBは、当社の資格取得講座の受講者・合格者を中心に会計・経理分野に強みを持つ人材供給会社として認知されております。当連結会計年度は、会計業界の人材不足を背景に上記3つの売上(人材派遣、人材紹介、求人広告)の全てにおいて増収となりました。
医療事務関連の人材事業は、主に関西エリアで事業を展開している(株)クボ医療及び(株)医療事務スタッフ関西の売上が伸び悩み前年同期をやや下回る結果となりました。一方、主に関東エリアで医療系の人材事業を展開する(株)TAC医療の売上は、2015年12月の設立以来行ってきた販促活動などの取り組みの成果が徐々にではありますが表れ始め、規模はまだ小さいものの人材派遣を中心に売上を伸ばしております。
以上の結果、人材事業の発生ベース売上高は7億1千8百万円(同15.1%増)、発生ベースの営業利益は9千2百万円(同333.3%増)と大幅な増収増益となりました。

2015年3月期2016年3月期2017年3月期(当期)
売上高(千円)544,092623,933718,300
営業利益(千円)6,44121,28692,238

(注)2015年3月期より、医療事務関連の売上を含む人材事業セグメントの売上高及び営業利益を計上しております。

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

① 受験者数の推移
当社の取扱う資格試験の受験者数は、2010年には308万人にまで増加しましたが、翌年以降急激に減少し、2014年には251万人と5年間で50万人以上受験者数が減少しました。これは簿記検定試験が73万人から53万人にまで減少したほか、情報処理関連の受験者数が約15万人減少したこと等が主な要因です。2015年以降の受験者数は比較的安定的に推移しており、直近では、簿記検定試験や公認会計士試験の受験者数が増加に転じたこともあり、全体的な受験者数も増加しております。
一般的には、不景気時に資格試験受験者は増加する傾向がありますが、2011年3月に発生した東日本大震災や消費税増税、公認会計士試験合格者の未就職者問題など、当社の取扱う各資格試験の受験者数は社会情勢や個々の資格ごとの状況などを反映しながらそれぞれ固有の動きをしており、当社の各講座の売上高及び営業利益も各資格試験の受験者の動向に影響を受けてまいります。
② 試験制度の改正等の受験環境
2006年の公認会計士試験制度の改正の前後で、新試験制度に向けた申込み控えや新試験2年目から始まった大量合格傾向、さらには監査法人の採用数減少による未就職者問題などで受験者数が大きく減少し、当社主力の公認会計士講座の売上高は大きく影響を受けました。また、その他の資格においても、合格者数がこれまでと大きく増減すると、当社講座への申し込み状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。このように当社の取り扱う資格試験制度の改正内容、新試験の合格率や難易度等の結果によって、当社の経営成績は大きな影響を受けることがあります。

(4) その他、財政状態及び経営成績に関する分析

① 前受金について
当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん、前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。前受金及びその他の財政状態の指標の推移は以下のとおりであります。


2015年3月期2016年3月期2017年3月期(当期)
総資産(A)(千円)21,304,94521,632,47522,069,442
前受金(B)(千円)5,938,5776,056,4176,262,681
前受金比率(B/A)(%)27.928.028.4
自己資本(C)(注)(千円)4,384,4874,536,6774,954,650
自己資本比率(C/A)(%)20.621.022.5

(注) 自己資本は、純資産の額から非支配株主持分の額を控除して算出しております。
当連結会計年度においては、総資産及び前受金ともに前連結会計年度とほぼ同水準であったことから、前受金比率は前連結会計年度比0.4ポイントの上昇となっております。
前受金に見合う資金は、徐々に取り崩されて営業活動に使用されます。そのため、事業活動に必要な自己資本は相対的に低い水準で済み、自己資本比率は相対的に過小である傾向があります。当連結会計年度は、4億9千万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、自己資本比率は1.5ポイント上昇いたしました。

② 前受金保全信託受益権について
消費者保護の考え方の高まりに対応して、当社は2008年8月末を基準に前受金保全信託制度を新たに導入しました。本制度においては、受講期間が1年を超える受講者を対象に、未経過受講期間が1年を超える期間分の受講料を全額保全し、当社財産と分別管理するしくみとしており、当社に万が一事業を継続できなくなる事態が生じた場合には、信託財産が受益者代理人を通じて、各受講者に返還されます。ただし、受講者にお支払いいただいた前受金のうち未経過受講期間が1年以内に対応する受講料については、他の債権者との関係から受講者に返却できない場合があります。
当連結会計年度末における前受金保全信託受益権は、資産の部・流動資産の区分に4億7千万円計上されており、前連結会計年度から6.2%増加いたしました。これは、主に受講期間の長い公認会計士講座の初学者コースが好調に推移していること等によるためであります。


2015年3月期2016年3月期2017年3月期(当期)
前受金(A)(千円)5,938,5776,056,4176,262,681
前受金保全信託受益権(B)(千円)368,209442,777470,399
前受金保全比率(B/A)(%)6.27.37.5


③ 差入保証金について
当社グループの事業所は原則として賃借によっております。したがって、当社は、教育サービスを提供する教室確保のための直営校各拠点を賃借するために、資産の部・固定資産の「投資その他の資産」の区分に差入保証金を多額に計上しております。

2015年3月期2016年3月期2017年3月期(当期)
差入保証金(A)(千円)3,032,7582,915,9892,925,967
前受金(B)(千円)5,938,5776,056,4176,262,681
保証金比率(A/B)(%)51.148.146.7


賃借契約は原則として2年であり、受講者数の増加に伴い教室スペースの確保のため各拠点の増床や新規拠点の開設を行うと、差入保証金は増加することになります。当連結会計年度においては、小幅な拠点面積の削減等がありましたが、差入保証金はほぼ横ばいであります。

④ 資産除去債務について
当社グループの事業所は賃借ビルが多いため、「資産除去債務に関する会計基準」に基づいて、各賃借ビルの原状回復義務等を資産除去債務として負債の部に多額に計上しております。また、同時に資産の部に計上された資産除去債務相当額からは、その関連する有形固定資産の減価償却方法に準じて減価償却費が発生し、毎期計上されます。これにより、将来、原状回復義務を履行した場合の費用または損失が一時に計上されずに、使用する各期間に費用配分されることになりますが、結果として、各期の減価償却費が押し上げられ、固定費負担が重くなっております。

2015年3月期2016年3月期2017年3月期(当期)
総資産(A)(千円)21,304,94521,632,47522,069,442
資産除去債務(B)(千円)587,687627,190636,217
資産除去債務比率(B/A)(%)2.82.92.9
減価償却費のうち資産除去債務関連(千円)42,26756,36036,566



⑤ 運用有価証券について
前受金が増加していくことは、受講者からの預り資金が増加することを意味します。そのうちの一部は、教室スペース確保のための差入保証金に充当されております。残額は、順次サービスを提供していくため、講師料、賃借料等のほか、教材の印刷費・DVDのダビング費・広告費等に消費されます。そうした消費のタイミングまでは、前受金の一部の資金は現金及び預金または有価証券等の金融商品で保有されます。当社の有価証券投資の方針は運用規程に定められており、元本確保型の安全性を重視した金融商品であって、かつ、利回りを追求した金融商品を中心に運用しております。
過去3期間の運用有価証券の推移は、以下のとおりであります。

2015年3月期2016年3月期2017年3月期(当期)
有価証券(千円)87,773185,83465,750
投資有価証券(千円)444,805651,7931,046,667
合計532,579837,6281,112,418


(5) 戦略的現状と見通し

「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において説明しておりますとおり、売上高の増加が喫緊の課題であります。そのため、①新規事業の開発及びコスト・コントロール、②新規開講講座の収益化、③M&A・業務提携の推進、④コーポレートブランド価値の向上の4点を柱として、売上高増大のための施策を実行してまいります。

(6) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき当社グループが合理的であると判断したものであります。したがって、将来や想定に関する事項には不確実性を内在しており、将来における実際の業績は様々な要因により大きく異なる結果となる可能性があります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E05231] S100AN02)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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