有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002BN6
戸田建設株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社は、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っている。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に着実に成果をあげ、また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っている。
また、常時実験施設の更新・整備を行い、多くの方に見学頂いている。
当連結会計年度における研究開発費の総額は1,201百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりである。
自然エネルギー利用技術に関しては、学校の教室を対象とした単室用ハイブリッド換気システムと多数室用ハイブリッド外気冷房換気システム、及び屋外・半戸外空間や大空間などを対象としたミスト噴霧による蒸発冷却効果の利用技術を開発、整備するとともに、建物計画段階で太陽光発電パネルや風力発電システムなどの自然エネルギー利用効果を簡易に予測するツールを開発し、積極的な活用を図っている。また、事務所ビルを対象とした自然換気システムの研究開発を進めている。
室内環境および精密環境に関連する技術では、室内空気汚染予測システムを開発して実用に供するとともに、ICRを対象にした戸田式室圧制御システムを開発した。並行して、天井の仕上げをなくした、従来よりもローコストなICRを開発した。さらに、トリオシンフィルター(空調吸込口に設置)とS-Plasmaion(空調吹出し口に設置)を併用するトータル除菌空調システムを新たに開発し、病院の手術室や病室をターゲットとして営業展開を進めている。実験施設として技術研究所に「室内環境比較実験室」を新設し、タスク&アンビエント空調・照明などのシステム開発や室内環境評価に活用し、ドラフト感の少ない空調吹出口を開発した。
美術館・博物館や精密機器工場において、空気中のアルカリ物質が収蔵品・製品を破損することを防止するアルカリ汚染対策工法を開発し、これまでに多くの物件に適用している。
また、2009年に環境戦略委員会を立ち上げ、低炭素施工システム(TO-MINICA)の開発、運用やBDFの生産技術の開発、環境最先端テナントビルの設計、建設(2011年3月竣工)などにより、2020年に1990年比CO2排出量を40%削減する目標を掲げて活動中である。
環境最先端テナントビルには「エネまど」と名付けたテナントの自主的な省CO2活動を促す「気づき」マネジメントシステムを開発、採用するとともに、BEMSにより竣工後のエネルギー消費量等を実測検証した。テナントが全館に入居してから1年間の運用エネルギー消費量およびCO2排出量の実績については、基準値[2009年(一財)省エネルギーセンター統計値]に対して40%の削減がほぼ達成された。また、「エネまど」をベースに汎用性を向上させ、他社製品よりも安価で競争力のある改良システムを開発した。
スマートエネルギー関連技術については、埼玉県立がんセンターを中心としたメディカルパークのスマートエネルギーネットワークを構築することでメディカルパーク全体の環境負荷削減に寄与するとともに、スマートビルの設計に利用できる各種設計支援ツールを開発した。また、㈱村田製作所およびウシオライティング㈱と共同開発中の無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」を開発し、同がんセンターに導入した。
ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)に関しては経済産業省のビジョンを踏まえ、当社の今後の展開の基礎となるZEBモデルを構築し、実建物への導入を検討している
建物内の電力供給に関しては、太陽光発電を直流のまま供給できる直流給電システムを技術研究所に試験導入し、データ収集を開始した。
工事排水の濁水処理を行うシステムとして「TSフィルターろ過装置」を開発、従来に無い高度処理を行うことが可能となり実現場に提供している。
ダイオキシン類対策を伴う焼却施設の解体では、チムリス煙突解体工法や煙突自動除染レンガ解体ロボット(スウィンパーロボ)等の除染技術と無害化技術、ICタグによる管理区域安全管理システム等の先端要素技術を統合した環境配慮型焼却施設解体システム(TO-CDS)を開発し、実物件に適用している。
アスベスト対策技術では、低温過熱蒸気による低コスト型アスベスト大量無害化処理・再資源化技術に関し、NEDO((独)新エネルギー・産業技術総合開発機構)の開発資金を活用する共同研究開発を西松建設㈱、大旺新洋㈱と進めており、2009年度にNEDOの委託が終了し、自社研究を続けている。
また、高濃度の放射性廃棄物の保管について、遮蔽機能を増強できる移動に配慮した保管容器TOMコンテナを開発し実証実験を行った。遮蔽機能を増強した状態で、90%の遮蔽効果が得られていることを確認した後、販売を開始した。その他、2種類のドライアイスブラスト除染工法(ワイドバキューム工法、ゲルスプレー工法)やバキュームブラストロボットシステムを開発し、実証実験により高い有効性を検証した。また、放射性物質の拡散防止として、ゼオライトを不織布に固着させるシートを使用した実証実験を行い、その効果を確認した。
放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトやグラウトなど処分場で用いる技術の開発、地下深部での地震動測定システムの開発・測定・耐震性評価を行っている。技術提携の関係にあるフィンランドのフォルツム社の情報調査、新規制基準制定に伴う国内基準の改定の業務などを実施した。
コンクリート充填鋼管(CFT)造では、経済性と耐震性をより向上させるために、高強度のコンクリートを充填した鋼管に鉄筋を内蔵したSuperCFT造を開発、設計施工で高さ178mの複合ビルを含めて8棟の実績がある。
国土交通省の建築基準整備促進事業住宅・建築物の先導的計画技術の開発および技術基盤の強化に関する事業である「長寿命建築システムの開発」等の共同研究にも参画し、構造設計・施工技術の向上を図っている。
免震技術では、基礎免震、柱頭免震、中間階免震、レトロフィット免震、上下床免震(西松建設㈱と共同研究)を実用化している。さらに「すべり支承」を採用した免震構造を開発し、超高層病院、超高層集合住宅、ホテル、生産施設等の実物件に適用している。特に近年、レトロフィット免震による大型公共施設の耐震改修工事を数多く行っている。
精密生産施設の微振動対策技術では、弾性すべり支承と剛すべり支承を用いた微振動対応型の免震工法に加え、BCP対策や外乱の振動特性に合わせて使い分ける対策メニューを整備している。新たに高層住宅の風対策や生産施設の微振動対策用に開発した免震装置は(西松建設㈱等と共同開発)、2013年6月に部材認定を取得し、実物件への適用を予定している。さらに高度な免振技術として、地震の揺れに応じて減衰係数を切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能なセミアクティブ免振技術を開発している(早稲田大学と共同開発)。
制震(振)技術では、建設中も含めて15棟に採用した極低降伏点鋼を用いた「戸田式制震柱(TO-HDC)」、オイルダンパー、制震壁等のデバイスやそれらを組み合わせた複合制震(振)技術を整備して、超高層建物に適用している。また、建物基礎部の浮き上がりを許容し、建物への地震入力を低減するロッキング制震構造技術(西松建設㈱と共同研究)を開発し、(一財)ベターリビングの建築技術性能評定を取得している。
さらに2011年3月の東日本大震災の被害を契機にその対応が急務となっている物流倉庫におけるラックの耐震対策にもいち早く取り組んでいる。ダンパーとワイヤー、滑車を用いた低コストで高性能なラック制振技術を開発し、現在実験によりその性能を検証している。
その他の制振技術では、強風や地震の揺れを抑え、居住性・安全性を向上させるパッシブマスダンパー、ハイブリッドマスダンパーシステム技術や床制振技術を開発し、高層建物や生産施設等、数多くの物件に採用されている。2011年度に、既存の「制振実験試験体」を全面的に改良し、様々な検証実験を可能にする「実大振動試験装置」を完成させた。微振動対応型免振工法やセミアクティブ免振技術はこの装置を用いて実大規模でその性能を検証し、実施物件への適用を検討している。
2011年度には、在来工法天井の落下・脱落防止対策として天井耐震クリップ工法を開発(西松建設㈱と共同研究)、この工法を適用した天井は、東日本大震災において(最大震度6弱)被害が生じなかったこと、さらに低コストで施工が容易であることから、2013年12月現在、150件を超える物件に採用されている。この工法は2013年3月に(一財)ベターリビングより建設技術審査証明を取得した。本工法は、今後も、学校体育館や集会場などの公共建築物をはじめ、ショッピングセンター、生産施設など様々な用途の建物に展開する予定である。また、特に継続使用が重要な生産施設・医療施設等のBCM対策として、「制震天井システム」も開発しており、既に複数の生産施設に採用されている。
また、既存構造物の耐震安全性確保、長寿命化を目指して基礎構造の耐震補強工法の開発を行って、斜杭の活用により耐震性能とともに経済性も確保できる設計手法を整備した。これに用いる斜杭の設計法については(一財)ベターリビングの技術評定を取得した。
パイルド・ラフト基礎については、設計用ツールとしての解析ソフト「hy-PR」を開発したほか、ハード技術としての締固め固化改良杭「HCP工法」を開発して(一財)日本建築センターの技術審査証明を取得し、軟弱地盤における基礎構造の合理化や大型物件での基礎躯体の減量化のために実物件に適用している。
場所打ちコンクリート杭について、杭中間部に拡径部を設けることにより、常時および地震時の支持力を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための技術開発を実施し,(一財)ベターリビングの技術評定を取得した.今後大型物件を中心に適用を進める予定である。
また、東日本大震災での杭基礎建物の被害を受けて、国土交通省建築基準整備促進事業として、杭基礎の耐震安全性向上をはかるための調査、研究を千葉大学、(独)建築研究所他と共同で実施している。
ソイルセメント壁については、本設構造物である建物の地下外壁として有効利用する「TO-SCW工法」について(一財)ベターリビングの技術評定を更新、さらにソイルセメント壁を杭として利用する「TO-PSP工法」については(一財)日本建築総合試験所の技術性能証明を取得し、大深度地下の物件を中心に適用している。RC地下連続壁については(一財)日本建築センターの一般評定を更新、大深度地下構造物や超高層集合住宅等の大型物件に適用している。
また、建設作業中のクレーン作業の転倒を防ぎ安全性を確保するために取り扱いの容易な急速載荷試験を有効利用して施工地盤の支持性能を確認・監理するシステムの整備を行った。
情報化技術に関しては、現場管理業務の効率化のためのコンクリート帳票作成支援システム、写真帳票作成システム、ICタグを利用した入退場管理システム、作業所内物流管理システムのほか、品質向上のためのタブレット端末を使った仕上げ検査システムや音声認識機能を使った鉄筋全数検査システムを開発し、多くの実現場で活用している。また、加速度センサーを用いた打重ね時間管理ツールやCFT打設管理システムで施工管理の効率化も図っている。その他、バーチャルリアリティ(VR)技術を使った病院VRシステムを開発し、手術室、病室のレイアウト検討に活用している。
建設前及び建設中の建物空間内での音の響きや騒音等を予測・実音化、さらに可視化技術を利用して顧客がよりリアルな状態で実際に聞いて各種仕様を検索・確認できる「音場・騒音統合シミュレーションシステム」を開発し、多くの実物件に適用している。また、このシステムを各所に持ち運ぶことができる携帯型の小型システムも開発し、実用に供している。
工事中に問題となる建設機械騒音の低減対策として、逆位相の音を出して打ち消すアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC:ActiveNoiseControl)を用いた戸田式アクティブ騒音制御システム「TANC(タンク)」を開発し、既に41現場に適用している。この技術は、2010年度土木学会賞環境賞、2011年度日本騒音制御工学会環境デザイン賞、2012年度日本音響学会技術開発賞を受賞した。
さらに建設機械だけではなく、ディーゼル発電機にも対応できるように改良し、実現場に適用した。
また、関西大学と共同で、防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発した。今後は建設現場で発生する騒音の低減に加え、屋外に設置される設備機械等から発生する騒音の低減対策にも利用し、周辺環境にやさしい技術として積極的に展開する。既に、2件の建設現場仮囲い、1件の本設防音壁に適用している。
集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対しては、巾木の下部に特殊なモヘヤ材を取付け、重量床衝撃音の低減性能を確保した「モヘヤ付き巾木M」を東京技営(株)と共同で開発した。集合住宅の建設現場に積極的に提案している。既に3現場で採用されている。
2012年6月に音響実験棟が完成した。マイク・スピーカ自動移動装置を有する大無響室、遮音用残響室、遮音用試験体入替カセットとその移動装置、JISに適応した床衝撃音実験室、及びその計測室から成り、一層の研究開発、現場支援に貢献できるものと期待される。
都市型トンネル工事分野では、交差点アンダーパス工法、超大口径管推進工法、管渠更生工法等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでいる。国内で8件しかないφ3500mm以上の超大口径管推進工事の内、2件を当社が施工している。
中低層のCFT造に対して、スランプ21cmのJIS認証コンクリートで施工可能な技術の実証を行った。また、これにより耐火被覆を低減したCFT耐火構造柱の大臣認定による適用範囲を、設計基準強度60N/mm2までのコンクリートに対して拡張している。
品質管理に関しては、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築し、実現場に適用している。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、(一社)日本非破壊検査協会の微破壊試験の規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されている。
コンクリートの剥落防止及びひび割れ発生の抑制を目的としたポリプロピレン短繊維「シムロック」を開発し、道路・鉄道のトンネル覆工コンクリートや高架橋等のコンクリートへの現場適用を図っている。また、トンネル覆工コンクリートの強度増進、乾燥収縮ひび割れ抑制のため、「うるおんマット」を用いた「トンネル覆工コンクリート養生システム」を開発し、総合評価落札方式等において技術提案し、採用されている。さらに、既に豊富な実績を有する、冬場の低温時等に用いられるコンクリートの保温湿潤養生マット「Qマット」や夏場の高温時等に用いられるコンクリート湿潤養生マット「アクアマット」と併せ、多様なコンクリート養生システムを提供している。また、コンクリート表面の気泡・あばたを除去し緻密なコンクリート表面を造る透水性型枠「FSフォーム」も市場に提供している。
既設コンクリートの健全度診断のため、「孔内局部載荷試験装置」を開発した。本装置は、コンクリート表面に小口径(φ42mm)の孔を開け、表面から任意の深さにコンクリート強度を測ることができるもので、構造物への負荷を最小限にした健全度診断システムとして客先に提供している。
なお、子会社においては、研究開発活動は行われていない。
また、常時実験施設の更新・整備を行い、多くの方に見学頂いている。
当連結会計年度における研究開発費の総額は1,201百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりである。
(建築事業及び土木事業)
(1)建築環境関連技術
環境配慮設計技術に関しては、当社がこれまで蓄積してきた環境配慮技術をベースに独自の環境共生集合住宅プロトタイプの開発を行うとともに、超高層集合住宅やリニューアル建物をターゲットにした外断熱工法を新たに開発した。本外断熱工法をUR都市機構西日本支社のルネッサンス計画(向ヶ丘第一団地ストック再生実証試験)に適用してその効果を検証し、良好な結果を得ている。また、自治体や顧客の関心が高い建築環境総合性能評価システム(CASBEE)に関しては、設計時にランクアップを検討するための「用途別・評価項目の重要度判別表」、ランクアップコスト評価事例、評価データベース等のツール・情報を開発・整備し、実用に供している。自然エネルギー利用技術に関しては、学校の教室を対象とした単室用ハイブリッド換気システムと多数室用ハイブリッド外気冷房換気システム、及び屋外・半戸外空間や大空間などを対象としたミスト噴霧による蒸発冷却効果の利用技術を開発、整備するとともに、建物計画段階で太陽光発電パネルや風力発電システムなどの自然エネルギー利用効果を簡易に予測するツールを開発し、積極的な活用を図っている。また、事務所ビルを対象とした自然換気システムの研究開発を進めている。
室内環境および精密環境に関連する技術では、室内空気汚染予測システムを開発して実用に供するとともに、ICRを対象にした戸田式室圧制御システムを開発した。並行して、天井の仕上げをなくした、従来よりもローコストなICRを開発した。さらに、トリオシンフィルター(空調吸込口に設置)とS-Plasmaion(空調吹出し口に設置)を併用するトータル除菌空調システムを新たに開発し、病院の手術室や病室をターゲットとして営業展開を進めている。実験施設として技術研究所に「室内環境比較実験室」を新設し、タスク&アンビエント空調・照明などのシステム開発や室内環境評価に活用し、ドラフト感の少ない空調吹出口を開発した。
美術館・博物館や精密機器工場において、空気中のアルカリ物質が収蔵品・製品を破損することを防止するアルカリ汚染対策工法を開発し、これまでに多くの物件に適用している。
また、2009年に環境戦略委員会を立ち上げ、低炭素施工システム(TO-MINICA)の開発、運用やBDFの生産技術の開発、環境最先端テナントビルの設計、建設(2011年3月竣工)などにより、2020年に1990年比CO2排出量を40%削減する目標を掲げて活動中である。
環境最先端テナントビルには「エネまど」と名付けたテナントの自主的な省CO2活動を促す「気づき」マネジメントシステムを開発、採用するとともに、BEMSにより竣工後のエネルギー消費量等を実測検証した。テナントが全館に入居してから1年間の運用エネルギー消費量およびCO2排出量の実績については、基準値[2009年(一財)省エネルギーセンター統計値]に対して40%の削減がほぼ達成された。また、「エネまど」をベースに汎用性を向上させ、他社製品よりも安価で競争力のある改良システムを開発した。
スマートエネルギー関連技術については、埼玉県立がんセンターを中心としたメディカルパークのスマートエネルギーネットワークを構築することでメディカルパーク全体の環境負荷削減に寄与するとともに、スマートビルの設計に利用できる各種設計支援ツールを開発した。また、㈱村田製作所およびウシオライティング㈱と共同開発中の無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」を開発し、同がんセンターに導入した。
ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)に関しては経済産業省のビジョンを踏まえ、当社の今後の展開の基礎となるZEBモデルを構築し、実建物への導入を検討している
建物内の電力供給に関しては、太陽光発電を直流のまま供給できる直流給電システムを技術研究所に試験導入し、データ収集を開始した。
(2)エネルギー関連技術
再生可能エネルギー関連技術としては、豊富な海洋エネルギーを有効活用する浮体式洋上風力発電施設の構築技術を開発し、環境省からの委託業務として「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」に取り組んでいる。2013年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、早期実用化に向けた取り組みを継続している。また、施工合理化を目指した情報関連技術にも取り組んでおり、「Smartシリーズ」として、気象観測警報、遠隔監視などの各システムを開発し現場に適用している。(3)生物多様性関連技術
生物多様性への取り組みとしては「戸田建設生物多様性行動指針」を策定するとともに、生物多様性への対応が初めての社員でもすぐに業務に活かせるように、設計時、施工時の留意点や関連法令、事例を集めた「生物多様性対応マニュアル」を作成し、実際の業務に展開している。建設工事においては希少生物の保全に努めるとともに、里山の創造的再生を目指した物件に取り組んでいる。研究分野では、里山の生物多様性の研究を明治大学と共同でおこなっている。また、緑地計画を行う際に、生物多様性に配慮した緑地計画が出来ているかを評価する「生物多様性評価システム」も開発し、実際の物件に適用している。さらに、生物多様性関連の商品としては、発泡セラミックス緑化建材を開発している。(4)土壌汚染・濁水処理・アスベスト対策技術
土壌・地下水汚染対策については、操業中の工場などに提案可能な低コストな技術として、揮発性有機化合物による汚染を掘削せずに浄化する、微生物を活用した浄化工法「デクロパワー工法」を開発し、実際の汚染現場に適用した。工事排水の濁水処理を行うシステムとして「TSフィルターろ過装置」を開発、従来に無い高度処理を行うことが可能となり実現場に提供している。
ダイオキシン類対策を伴う焼却施設の解体では、チムリス煙突解体工法や煙突自動除染レンガ解体ロボット(スウィンパーロボ)等の除染技術と無害化技術、ICタグによる管理区域安全管理システム等の先端要素技術を統合した環境配慮型焼却施設解体システム(TO-CDS)を開発し、実物件に適用している。
アスベスト対策技術では、低温過熱蒸気による低コスト型アスベスト大量無害化処理・再資源化技術に関し、NEDO((独)新エネルギー・産業技術総合開発機構)の開発資金を活用する共同研究開発を西松建設㈱、大旺新洋㈱と進めており、2009年度にNEDOの委託が終了し、自社研究を続けている。
(5)放射性物質の対策技術
福島第一原子力発電所の震災被害により発生した放射性物資の除染・減容化・除去が緊急の課題となっている。これまで、日本原子力研究開発機構からの委託業務および環境省からの請負業務として、「放射性物質の汚染廃棄物の洗浄による減容化技術」、「森林から排出される木質系廃棄物の洗浄による汚染濃度低減技術」、「放射性物質に汚染されたガレキのコンクリート骨材への利用」の3件の除染技術実証業務が採択されるなど、除染対策技術の開発に積極的に取り組んでいる。また、高濃度の放射性廃棄物の保管について、遮蔽機能を増強できる移動に配慮した保管容器TOMコンテナを開発し実証実験を行った。遮蔽機能を増強した状態で、90%の遮蔽効果が得られていることを確認した後、販売を開始した。その他、2種類のドライアイスブラスト除染工法(ワイドバキューム工法、ゲルスプレー工法)やバキュームブラストロボットシステムを開発し、実証実験により高い有効性を検証した。また、放射性物質の拡散防止として、ゼオライトを不織布に固着させるシートを使用した実証実験を行い、その効果を確認した。
放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトやグラウトなど処分場で用いる技術の開発、地下深部での地震動測定システムの開発・測定・耐震性評価を行っている。技術提携の関係にあるフィンランドのフォルツム社の情報調査、新規制基準制定に伴う国内基準の改定の業務などを実施した。
(6)超高層建物構工法関連技術
超高層RC造では、SuperHRCシステムをはじめとする様々な超高層フリープランハウジングを実現するメニューを取り揃えており、集合住宅の設計で積極的に採用している。「超高強度コンクリート」と施工の合理化と高品質化を可能にする「PCa工業化工法」等を活用した超高層RC集合住宅(SuperHRCシステム)の実績は建設中を含めて延べ47棟に上る。現在、超高層集合住宅に設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用中である。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、経済性と耐震性をより向上させるために、高強度のコンクリートを充填した鋼管に鉄筋を内蔵したSuperCFT造を開発、設計施工で高さ178mの複合ビルを含めて8棟の実績がある。
国土交通省の建築基準整備促進事業住宅・建築物の先導的計画技術の開発および技術基盤の強化に関する事業である「長寿命建築システムの開発」等の共同研究にも参画し、構造設計・施工技術の向上を図っている。
(7)免震・制震・制振関連技術
地震動の予測、耐震診断、振動解析、風解析等の予測・解析技術から、耐震補強、免震・制震・制振まで、地震あるいは強風に関わる技術を整備している。現在、東日本大震災の教訓を受け、超高層建物や震災時に重要拠点となる公共建築物、病院建築などの建物損傷を迅速かつ適格に評価可能な「建物モニタリング診断システム」を開発している。本システムは、将来のBCM対策の核となるソリューション技術として位置づけており、免震建物や超高層事務所ビル等に採用されている。免震技術では、基礎免震、柱頭免震、中間階免震、レトロフィット免震、上下床免震(西松建設㈱と共同研究)を実用化している。さらに「すべり支承」を採用した免震構造を開発し、超高層病院、超高層集合住宅、ホテル、生産施設等の実物件に適用している。特に近年、レトロフィット免震による大型公共施設の耐震改修工事を数多く行っている。
精密生産施設の微振動対策技術では、弾性すべり支承と剛すべり支承を用いた微振動対応型の免震工法に加え、BCP対策や外乱の振動特性に合わせて使い分ける対策メニューを整備している。新たに高層住宅の風対策や生産施設の微振動対策用に開発した免震装置は(西松建設㈱等と共同開発)、2013年6月に部材認定を取得し、実物件への適用を予定している。さらに高度な免振技術として、地震の揺れに応じて減衰係数を切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能なセミアクティブ免振技術を開発している(早稲田大学と共同開発)。
制震(振)技術では、建設中も含めて15棟に採用した極低降伏点鋼を用いた「戸田式制震柱(TO-HDC)」、オイルダンパー、制震壁等のデバイスやそれらを組み合わせた複合制震(振)技術を整備して、超高層建物に適用している。また、建物基礎部の浮き上がりを許容し、建物への地震入力を低減するロッキング制震構造技術(西松建設㈱と共同研究)を開発し、(一財)ベターリビングの建築技術性能評定を取得している。
さらに2011年3月の東日本大震災の被害を契機にその対応が急務となっている物流倉庫におけるラックの耐震対策にもいち早く取り組んでいる。ダンパーとワイヤー、滑車を用いた低コストで高性能なラック制振技術を開発し、現在実験によりその性能を検証している。
その他の制振技術では、強風や地震の揺れを抑え、居住性・安全性を向上させるパッシブマスダンパー、ハイブリッドマスダンパーシステム技術や床制振技術を開発し、高層建物や生産施設等、数多くの物件に採用されている。2011年度に、既存の「制振実験試験体」を全面的に改良し、様々な検証実験を可能にする「実大振動試験装置」を完成させた。微振動対応型免振工法やセミアクティブ免振技術はこの装置を用いて実大規模でその性能を検証し、実施物件への適用を検討している。
(8)天井脱落対策技術
2008年度から2010年度の3年間に渡り、国交省建築基準整備促進補助事業「非構造部材に関する基準の整備に資する検討」を実施、技術的な基礎資料を蓄積・整備し、国の事業に積極的に協力している。また、2013年度においては、同補助事業「吊り天井の耐震設計に係る基準の高度化に資する検討」を実施した。2011年度には、在来工法天井の落下・脱落防止対策として天井耐震クリップ工法を開発(西松建設㈱と共同研究)、この工法を適用した天井は、東日本大震災において(最大震度6弱)被害が生じなかったこと、さらに低コストで施工が容易であることから、2013年12月現在、150件を超える物件に採用されている。この工法は2013年3月に(一財)ベターリビングより建設技術審査証明を取得した。本工法は、今後も、学校体育館や集会場などの公共建築物をはじめ、ショッピングセンター、生産施設など様々な用途の建物に展開する予定である。また、特に継続使用が重要な生産施設・医療施設等のBCM対策として、「制震天井システム」も開発しており、既に複数の生産施設に採用されている。
(9)基礎・地盤関連技術
杭、基礎構造の耐震性向上、躯体の合理化及び環境負荷の低減のため、地盤改良工法を有効活用した格子状地盤改良杭工法を開発して(一財)ベターリビングの技術評定を取得し、軟弱地盤での杭基礎物件に適用している。また、既存構造物の耐震安全性確保、長寿命化を目指して基礎構造の耐震補強工法の開発を行って、斜杭の活用により耐震性能とともに経済性も確保できる設計手法を整備した。これに用いる斜杭の設計法については(一財)ベターリビングの技術評定を取得した。
パイルド・ラフト基礎については、設計用ツールとしての解析ソフト「hy-PR」を開発したほか、ハード技術としての締固め固化改良杭「HCP工法」を開発して(一財)日本建築センターの技術審査証明を取得し、軟弱地盤における基礎構造の合理化や大型物件での基礎躯体の減量化のために実物件に適用している。
場所打ちコンクリート杭について、杭中間部に拡径部を設けることにより、常時および地震時の支持力を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための技術開発を実施し,(一財)ベターリビングの技術評定を取得した.今後大型物件を中心に適用を進める予定である。
また、東日本大震災での杭基礎建物の被害を受けて、国土交通省建築基準整備促進事業として、杭基礎の耐震安全性向上をはかるための調査、研究を千葉大学、(独)建築研究所他と共同で実施している。
ソイルセメント壁については、本設構造物である建物の地下外壁として有効利用する「TO-SCW工法」について(一財)ベターリビングの技術評定を更新、さらにソイルセメント壁を杭として利用する「TO-PSP工法」については(一財)日本建築総合試験所の技術性能証明を取得し、大深度地下の物件を中心に適用している。RC地下連続壁については(一財)日本建築センターの一般評定を更新、大深度地下構造物や超高層集合住宅等の大型物件に適用している。
また、建設作業中のクレーン作業の転倒を防ぎ安全性を確保するために取り扱いの容易な急速載荷試験を有効利用して施工地盤の支持性能を確認・監理するシステムの整備を行った。
(10)建築仕上げ材料関連技術
仕上げ材料に関しては、高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を実用化し、生産施設を中心とした実物件に適用している。また、病院・福祉施設においては、臭気対策として消臭建材(オド・キャッチャー)を開発し、実物件に適用するとともに、光触媒技術の利用をはじめとした院内感染対策トイレシステムを開発している。その他に、防汚建材についての評価方法を確立し、性能予測も含めて的確に評価された建材を、各種建物用途の実物件で採用している。(11)建築生産システム関連技術
施工技術に関しては、杭工事において施工精度をリアルタイムで管理する「杭芯位置誘導管理システム」、「ケーシング鉛直精度管理システム」を開発・活用している。リニューアル・耐震補強工事においては居付きの耐震補強を可能にする鋼管コッター工法を用いた耐震補強工法(RC耐震壁、枠付き鉄骨ブレース、UFCブロック耐震壁、RMブロック耐震壁、外側枠付き鉄骨ブレース)を開発し(一財)日本建築総合試験所の技術性能証明を取得して、多数の実物件に適用している。さらに、間接接合部に鋼管コッターを用いた制震ブレースを開発し、(一財)ベターリビングの技術性能証明を取得して、埼玉県庁舎等に適用している。さらに、間接接合部に鋼管コッター工法を用いたアタッチメントフレーム工法(外側PCフレーム)を共同開発し、多数の実物件に適用している。さらに、全国に同工法の幅広い普及を図るため、工法研究会を設立している。採用件数は300物件を超え、耐震化普及率の向上に貢献している。解体技術においては、低振動・低騒音の解体工事、リニューアル工事を実現した「水素ガス切断工法」、「泡電動コンクリートカッターによるスラブ斜め切断工法」を開発し、複数の技術提案を行い、活用している。また、超高層建物においては、環境に配慮し二酸化炭素・騒音・粉塵の発生を抑えた「TO-ZERO工法」を「安心・安全」「環境に配慮」「工事の効率化」をコンセプトに開発した。情報化技術に関しては、現場管理業務の効率化のためのコンクリート帳票作成支援システム、写真帳票作成システム、ICタグを利用した入退場管理システム、作業所内物流管理システムのほか、品質向上のためのタブレット端末を使った仕上げ検査システムや音声認識機能を使った鉄筋全数検査システムを開発し、多くの実現場で活用している。また、加速度センサーを用いた打重ね時間管理ツールやCFT打設管理システムで施工管理の効率化も図っている。その他、バーチャルリアリティ(VR)技術を使った病院VRシステムを開発し、手術室、病室のレイアウト検討に活用している。
(12)音響・遮音関連技術
ホールなどの大空間における音楽・講演等での音をより快適に聞くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用している。建設前及び建設中の建物空間内での音の響きや騒音等を予測・実音化、さらに可視化技術を利用して顧客がよりリアルな状態で実際に聞いて各種仕様を検索・確認できる「音場・騒音統合シミュレーションシステム」を開発し、多くの実物件に適用している。また、このシステムを各所に持ち運ぶことができる携帯型の小型システムも開発し、実用に供している。
工事中に問題となる建設機械騒音の低減対策として、逆位相の音を出して打ち消すアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC:ActiveNoiseControl)を用いた戸田式アクティブ騒音制御システム「TANC(タンク)」を開発し、既に41現場に適用している。この技術は、2010年度土木学会賞環境賞、2011年度日本騒音制御工学会環境デザイン賞、2012年度日本音響学会技術開発賞を受賞した。
さらに建設機械だけではなく、ディーゼル発電機にも対応できるように改良し、実現場に適用した。
また、関西大学と共同で、防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発した。今後は建設現場で発生する騒音の低減に加え、屋外に設置される設備機械等から発生する騒音の低減対策にも利用し、周辺環境にやさしい技術として積極的に展開する。既に、2件の建設現場仮囲い、1件の本設防音壁に適用している。
集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対しては、巾木の下部に特殊なモヘヤ材を取付け、重量床衝撃音の低減性能を確保した「モヘヤ付き巾木M」を東京技営(株)と共同で開発した。集合住宅の建設現場に積極的に提案している。既に3現場で採用されている。
2012年6月に音響実験棟が完成した。マイク・スピーカ自動移動装置を有する大無響室、遮音用残響室、遮音用試験体入替カセットとその移動装置、JISに適応した床衝撃音実験室、及びその計測室から成り、一層の研究開発、現場支援に貢献できるものと期待される。
(13)シールド関連技術
狭隘な都市域において立坑用地の確保を容易にした「省面積立坑システム」は、当社施工25件、他社施工分を含めると44件の現場適用実績を持つ。下水道管渠の劣化防止を目的とした内面被覆工法は管渠に対し民間6社で共同研究を実施し、(公財)日本下水道新技術機構の技術審査証明を取得済みである。また、2010年度は下水処理場の内面被覆に対しても技術審査証明を取得した。都市型トンネル工事分野では、交差点アンダーパス工法、超大口径管推進工法、管渠更生工法等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでいる。国内で8件しかないφ3500mm以上の超大口径管推進工事の内、2件を当社が施工している。
(14)山岳トンネル技術
増加基調の山岳トンネルに対応する技術として、覆工品質の向上、吹付けコンクリート材料と施工法の改善、調査計測技術の高度化、環境負荷低減技術など、多方面の開発に取り組んでいる。トンネル掘進断面の地質や破砕帯などを地表から判別する「TDEM探査工法」については工事適用が30件に及び、西松建設㈱と共同開発した割岩工法は、(一社)日本建設機械化協会の審査証明を取得して実用化に成功し、さらに騒音、振動等の環境問題に対応できる技術として、この割岩工法と制御発破を組み合わせた自由面発破工法を実用化している。現在は、部分拡径ロックボルト工、坑内速度検層技術、3次元計測技術による予測管理システムの実用化にめどを立てている。(15)コンクリート技術
超高強度コンクリートに関しては、設計基準強度Fc200N/mm2までの技術を開発し、2011年度に国土交通大臣の建築指定材料認定を取得した。また、設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを実物件に採用し、施工を完了した。さらに、高耐久性コンクリート技術(低収縮コンクリート技術)についても開発し、自社研究施設ならびに病院等の実物件に適用している。中低層のCFT造に対して、スランプ21cmのJIS認証コンクリートで施工可能な技術の実証を行った。また、これにより耐火被覆を低減したCFT耐火構造柱の大臣認定による適用範囲を、設計基準強度60N/mm2までのコンクリートに対して拡張している。
品質管理に関しては、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築し、実現場に適用している。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、(一社)日本非破壊検査協会の微破壊試験の規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されている。
コンクリートの剥落防止及びひび割れ発生の抑制を目的としたポリプロピレン短繊維「シムロック」を開発し、道路・鉄道のトンネル覆工コンクリートや高架橋等のコンクリートへの現場適用を図っている。また、トンネル覆工コンクリートの強度増進、乾燥収縮ひび割れ抑制のため、「うるおんマット」を用いた「トンネル覆工コンクリート養生システム」を開発し、総合評価落札方式等において技術提案し、採用されている。さらに、既に豊富な実績を有する、冬場の低温時等に用いられるコンクリートの保温湿潤養生マット「Qマット」や夏場の高温時等に用いられるコンクリート湿潤養生マット「アクアマット」と併せ、多様なコンクリート養生システムを提供している。また、コンクリート表面の気泡・あばたを除去し緻密なコンクリート表面を造る透水性型枠「FSフォーム」も市場に提供している。
(16)リニューアル技術
既設トンネル等の空洞充填材として「中性系可塑性充填材」を開発し、現場適用を図っている。従来のセメント系充填材(強アルカリ性)に対して、本材料は硬化前後の水素イオン濃度を中性域(pH5.8~8.6)にしたものであり、周辺環境への影響を最小限にすることができる。河川や農用地近傍での工事に提供していく予定である。また、既設トンネル等の補修補強工法として「BFP修繕工法」を開発中である。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道や道路管理者へ提供していく予定である。既設コンクリートの健全度診断のため、「孔内局部載荷試験装置」を開発した。本装置は、コンクリート表面に小口径(φ42mm)の孔を開け、表面から任意の深さにコンクリート強度を測ることができるもので、構造物への負荷を最小限にした健全度診断システムとして客先に提供している。
(17)基盤整備関連技術
わが国の持続的発展を図る上で、土木分野における環境・防災・国際化等のさまざまな観点からの社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施している。特に交通渋滞の改善事業について、オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開している。新型軽量盛土技術「EPラティス工法」、新型雨水浸透貯留施設工法、老朽インフラ更新技術、排泥量削減を目指した地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指すとともに、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでいる。なお、子会社においては、研究開発活動は行われていない。
(不動産事業及びその他の事業)
研究開発活動は特段行われていない。経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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