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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002ABC

有価証券報告書抜粋 日産自動車株式会社 事業等のリスク (2014年3月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動


有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2014年6月26日)現在において当社グループが判断したものである。

1.世界経済や景気の急激な変動

(1) 経済状況

当社グループの製品・サービスの需要は、それらを提供している国又は地域の経済状況の影響を強く受けている。従って、日本、中国、アメリカ、メキシコ、ヨーロッパ、アジア、中南米、アフリカなど当社グループの主要な市場における経済や景気及びそれに伴う需要の変動については、正確な予測に努め必要な対策を行っているが、世界同時不況など予測を超えた急激な変動がある時は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

(2) 資源エネルギー情勢

原油価格の高騰など資源やエネルギー情勢の急激な変化により当社グループの製品・サービスに対する需要も大きく変動する。ガソリン価格が上昇すれば燃費の良い製品に需要がシフトすることが予測され、更に上昇すれば全体の需要は低下することも予測される。予測を超えた急激な変動がある時は業績の悪化や機会損失の発生等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

2.自動車市場における急激な変動
自動車業界は世界規模で非常に厳しい競争にさらされている。当社グループもその競争に打ち勝つべく、お客様のニーズにあった製品を素早く提供できるように技術開発・商品開発や販売戦略において努力しているが、お客様ニーズに合う製品をタイムリーに提供できなかった場合や、環境や市場の変化への対応が不十分な場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
例えば、成熟市場では人口の減少や少子高齢化の進行により需要が減退したり変化したりする一方で、新興市場では大きく需要が増える可能性もある。これらはビジネスチャンスとして当社グループに有利な結果をもたらす可能性もある一方、特定商品や特定地域への過度な依存が発生し、次なる変化への対応が十分に行われない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

3.金融市場に係るリスク

(1) 為替レートの変動

当社グループは世界20カ国・地域で完成車の生産を行い、170カ国以上の国々で販売している。原材料や部品、サービスの調達も多くの国で行っている。
当社の連結財務諸表は日本円で表示するため、一般的に他の通貨に対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、反対に円安は好影響をもたらすことになる。また、当社グループが生産を行う地域の通貨価値が上昇した場合、それらの地域の生産コストを押し上げ、当社グループの競争力の低下をもたらす可能性がある。


(2) 通貨、金利ならびにコモディティ価格のリスクヘッジ

市場金利の上昇や自身の格付け低下による調達コストの上昇は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
また、当社グループは外貨建債権債務の為替変動のリスク回避、変動金利で調達した有利子負債の金利変動リスク回避及び、コモディティの価格変動リスク回避を目的とし、デリバティブ取引を行うことがある。こうしたデリバティブ取引によりリスクを回避することができる一方で、為替変動、金利変動、コモディティ価格の変動によってもたらされる利益を享受できないという可能性もある。

(3) 有価証券の価格変動

当社は、戦略的な理由や取引関係維持、キャッシュマネジメント等の理由により市場性のある有価証券を保有する場合があり、それらの有価証券の価格変動リスクを負っている。このため株価や債券価格の変動は、当社の業績及び財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。

(4) 資金の流動性

金融市場に通常の想定を超える環境変化が発生した場合においても、当社グループでは十分な資金の流動性を確保できるよう社内規定を整備し、内部資金の蓄積や金融機関とのコミットメントライン、調達手段や調達地域の多様化等、あらゆる資金捻出・調達ソースの確保に取り組んでいる。しかしながら市場環境に予期せぬ大規模な変化が発生した場合には、当初計画通りの資金調達に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。

(5) 販売金融事業のリスク

販売金融事業は当社グループにとって重要なビジネスのひとつである。グローバル販売金融ビジネスユニットは、徹底したリスク管理により高い収益性と健全な財務状態を維持しながら自動車販売を強力にサポートしている。しかし、販売金融には、金利変動リスク、残存価格変動リスク、信用リスク等のリスクが避けられない。これらのリスクが予想を超えて顕在化した場合には当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。

(6) 取引先の信用リスク

当社グループは販売会社、金融機関、サプライヤーなど様々な地域の数多くの取引先と取引を行っており、取引先の債務不履行などが発生するリスクに晒されている。当社グループは、これらの取引先の財務情報をもとに継続的な評価を行うことで、かかるリスクを削減するよう努めている。しかしながら、世界的な経済危機をきっかけにした、販売会社、金融機関およびサプライヤーの経営破たんのような予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。

(7) 退職給付債務

当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。


4. 事業戦略や競争力維持に係るリスク

(1) 国際的活動及び海外進出に関するリスク

当社グループの販売は世界170カ国以上、完成車の生産も20の国と地域で行っており、今後も新興国を中心に更に拡大していく可能性がある。海外市場への事業進出の際には以下に掲げるようなリスクの検討も十分行っているが、進出した先で予期しないリスクあるいは想定を超えるリスクが顕在化した場合には計画通りの操業度や収益性を実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
・ 不利な政治的又は経済的要因
・ 法律又は規制の変更
・ 法人税、関税その他税制の変更
・ ストライキ等の労働争議
・ 優秀な人材の採用と定着の難しさ
・ テロ、戦争、クーデター、デモ、暴動、大規模自然災害、伝染病、その他の要因による社会的混乱

(2) 研究開発活動

当社グループが開発する技術は、世の中のニーズに即し、有用かつ現実的で使い易いものでなくてはならない。この目的のため当社グループは、将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、新技術の開発に投資している。しかし、予測を超えた環境の変化や世の中のニーズの変化、相対的な開発競争力の低下により、最終的にお客様にその新技術が受け入れられない可能性もあり、その結果当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。

(3) 他企業との提携等

当社グループはより高い競争力を短期間で獲得するために優れた技術を有する他の企業と戦略的に提携することがある。しかしながら、当該分野の市場環境や技術動向の変化、提携先との活動の進捗状況によっては予定した成果を享受できない可能性もあり、その結果当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。

(4) 製品・サービスの品質

当社グループは、優れた品質の製品・サービスを提供するため、開発・製造から販売・サービスまできめ細かい管理体制を敷き最善の努力を傾けている。しかしながら、より高い付加価値を提案するための新技術の採用は、それが十分に吟味されたものであっても、後に予期せぬ品質問題を惹起することがある。製造物責任については賠償原資を確保するため一定の限度額までは保険に加入しているが、保険でカバーされないリスクもあり、またお客様の安全のため大規模なリコールを実施した場合には多額のコストが発生する等、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性がある。

(5) 環境や安全に関する規制、企業の社会的責任

自動車業界は、排出ガス基準、CO2/燃費基準、騒音、リサイクル等、環境や安全に係る様々な規制の影響を受けており、これらの規制はより一層厳格になってきている。法規制を遵守することは当然であるが、企業の社会的責任として自主的により高い目標を掲げ取組んでいる分野も増えている。当社は競合他社に対する優位性を保つため中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2016」を掲げ、環境に対する継続的な取り組みを社内外にコミットしているが、開発や投資の負担は増加しており、これらコストの増加は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。


(6) 重要な訴訟等

当社グループが事業活動を進めていく中で、取引先や第三者との間で様々な訴訟に発展することがある。それら訴訟については、当社側の主張又は予測と異なる結果となるリスクは避けられず、場合によっては当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

(7) 知的財産保護の限界

当社グループは、他社製品と差異化できる技術とノウハウを保持している。これらの技術とノウハウは今後の当社グループの発展には不可欠なものである。これらの資産の保護については最善の努力を傾注しているが、特定の地域では知的財産権による完全な保護が困難であり、又は限定的にしか保護されない状況にある。
当社は、このような特定の地域での知的財産を保護し、日産の知的活動の成果を守る活動を強化すること、さらには新たな知的財産を蓄積することを狙いとして、専門の部署を設け、ブランドの保護・創造活動を行っているが、第三者が当社グループの知的財産を侵害して類似した製品を製造・販売することを防止できない可能性がある。

(8) 優秀な人材の確保

当社では人材は最も重要な財産と考え、グローバルで優秀な人材を採用するとともに、十分に能力を発揮してもらうため人材育成の充実や公平で透明性の高い評価制度の実現にも力を入れている。しかしながら優秀な人材確保のための競争は厳しく、計画通りに採用や定着化が進まなかった場合は、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性がある。

(9) コンプライアンス、レピュテーション

当社グループは個人情報や機密情報の保護のための情報セキュリティの取組みをはじめとして、法令等の遵守については未然防止の対策を講じると共に、定期的に監査も行っている。更に、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社の社会的信用や評判に与える影響を防いでいる。しかしながら、企業の社会的責任に対する社会の期待は年々増大しており、仮に、企業の社会的責任に照らして不適切な行為を行ったのが2次3次以降のサプライヤーであっても、当社自身が社会的責任を追及され、対応の内容や迅速性が不十分な場合には当社の社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、売上の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。


5.事業の継続

(1) 大規模災害

日本を本拠とする当社グループにとって、現在そして今後も最大のリスクのひとつであり続けるものに地震リスクがある。当社グループでは、地震リスクマネジメントに関する基本方針を設定するとともに、主要な経営会議メンバーで構成されるグローバルベースの地震対策組織を設置している。また、工場などの建屋や設備などの耐震補強も積極的に推進している。しかし、大規模な地震により想定を超えた損害が発生し操業を中断せざるを得ないような場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
地震以外にも、火災や台風、洪水、新型インフルエンザの流行等様々なリスクを想定し、事前の予防対策及び発生時の緊急対応体制の整備等を行っているが、想定を超えた規模で発生した場合などは当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
2011年3月に発生した東日本大震災を契機として、下記のような従来想定していなかった様々なリスクも顕在化した。
・ 計画停電の実施や長期に亘る電力不足により、工場の操業が大きく制限されるリスク
・ 原子力発電所からの放射能汚染による立入制限や避難指示により、対象地域内の工場やサプライヤーが復旧または操業できないリスク
・ 放射能汚染を理由とする、部品・商品の受け入れ制限や遅延のリスク、及び風評による売れ行き低下のリスク
・ 「南海トラフ巨大地震」等で想定される、従来の高さと範囲を大きく超える津波のリスク
当社グループではこれら顕在化した問題に対しても一つ一つ対策を検討・実行し、問題解決の努力を続けているが、当社だけでは対応できない問題も多く、また、対応のためのコストも発生するため、業績や財務状況に対する影響は避けられない可能性がある。

(2) 原材料及び部品の購入

当社グループは事業の構造上、多数の取引先から原材料や部品及びサービスを購入している。また、最近は新技術の導入に伴い、産出量が少ないだけでなく産出が特定の国に限られる希少金属の使用も増えている。需給バランスの急激な変動や産出国における政情の変化等により予期せぬ市況変動が起こった場合は、必要な原材料・部品等を継続的安定的に確保出来なくなる可能性もあり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

(3) 特定サプライヤーへの依存

より高い品質や技術をより競争力ある価格で調達しようとすると、発注が特定のサプライヤーに集中せざるを得ないことがある。また、特別な技術を要するものについてはそもそも提供できるサプライヤーが限定されることもある。当社では、2次3次以降のサプライヤーを含めてサプライチェーンの見直しを行い、その強化に取組んでいるが、予期せぬ事由によりサプライヤーからの供給が停止したり、遅延や不足が生じた時は、当社グループの操業も停止し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

(4) 情報システムに係るリスク

当社グループの殆ど全ての業務は情報システムに依存しており、システムやネットワークも年々複雑化高度化している。今や、これらシステムネットワークのサービス無くしては業務の遂行は到底不可能である。この状況に対して大規模な自然災害、火災、停電等の事故は引き続き当該システムに対して脅威であり、更にコンピュータウイルスへの感染やより巧妙化しているサイバー攻撃など人為的な脅威も急激に高まっている。
当社ではそれらのリスクに備え事業継続計画(BCP)の策定、セキュリティ対策の向上等、ハード面・ソフト面両方に亘る様々な対策を実施している。しかしながら、想定を超える災害の発生、サイバー攻撃の発生やウイルス等への感染が発生した場合には、システムダウンによる業務の停止、重要なデータの消失、機密情報や個人情報の盗取や漏えい等のインシデントを引き起こす可能性がある。その結果、当社グループの業績や信頼性に対する評判、財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

対処すべき課題研究開発活動


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