有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1001J4B
キヤノン株式会社 研究開発活動 (2013年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当グループは、2011年から新たに「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅣ」をスタートさせ、「Aiming for the Summit ―Speed & Sound Growth― 」のスローガンのもと、研究開発においても、その取組みを進化させています。
フェーズⅣでは研究開発に関わる主要戦略として、1.「全主力事業の圧倒的世界No.1の実現と関連・周辺事業の拡大」、2.「グローバル多角化による新たな事業の獲得と世界三極体制の確立」、および3.「環境先進企業としての基盤の確立」を掲げ、取組みを進めています。
1.では、製品のキーコンポーネントであるイメージセンサーや画像処理エンジン、レンズ、複合機のコントローラーなどを一層進化させ、更にはデジタル機器とクラウドサービスが連携したソリューション等のシステム開発を強化しております。また、現有技術をベースに新たなイノベーションを付加することにより、業務用フォトプリンターやデジタルシネマカメラ等、現行事業の周辺領域への展開を図り、事業のすそ野を拡大しています。
2.では、メディカル、産業機器、安心・安全を新規事業の柱と捉え、事業拡大に向けて研究開発を進めています。その中で、これまでの日本中心の研究開発体制を基盤として日・米・欧の世界三極体制の構築を目指しており、米州では新設した研究開発部門とハーバード大学医学部関連機関であるマサチューセッツ総合病院およびブリガム・アンド・ウィメンズ病院との間で、生体医学に関する光イメージングや医用ロボットをはじめとする分野で共同研究を進めています。欧州ではオセ社を核としてプリンティングソリューションを中心としたビジネス分野の研究開発体制を強化しています。
3.では、環境ビジョン「Action for Green」の実現に向けて、技術革新と経営効率の向上により、豊かな生活と地球環境が両立する社会の実現を目指し、「つくる」「つかう」「いかす」という製品ライフサイクル全体で環境負荷の削減に取り組んでいます。
その他、産学官の連携においては、京都大学、東京工業大学、大阪大学、スタンフォード大学等、国内外の有力大学および独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構等との間で、基礎研究、先端技術開発の各種共同研究開発を進めて技術力の強化に邁進しています。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、306,324百万円であり、事業の種類別セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりであります。
Ⅰ.オフィスビジネスユニット
オフィス複合機においては、「imageRUNNER ADVANCEシリーズ」のうち4機種※1が、環境評価システムであるEPEAT※2に新設された画像機器製品の分野において、ゴールド製品※3として登録されました。また、米国の独立評価機関であるBLI社※4より、「同シリーズ」のうち5機種※5が大量印刷にも対応可能な高い信頼性が特に高い評価を受け、「2013年夏季優秀製品賞」を受賞※6し、1機種※7が優れた環境性能の分野で「省エネ部門 優秀製品賞」を受賞しました。
レーザープリンターにおいては、フルカラープリンターに適用される中間転写体のクリーニングに関する発明の功績が認められ、公益社団法人発明協会が主催する「2013年度全国発明表彰」において、「文部科学大臣発明賞」を受賞※8しました。この技術は1998年の製品に初搭載後、採用したプリンター累計出荷台数が2012年に1,000万台を超えており、今後も広く採用されていきます。
デジタルプロダクションプリンティングシステムにおいては、プリントジョブ管理の機能強化やオペレーター操作性を向上させる、オセ社製のプリンターコントローラー「PRISMAsync」を搭載したことや、用紙種類により搬送経路を変えることで紙厚にかかわらず等速のプリントを可能にする、2つの定着器を搭載した「デュアル定着システム」の採用等により、高い生産性と信頼性を実現※9しました。
ドキュメントソリューションにおいては、HP社、サムスン電子社、ゼロックス社と共同で、メンバー制による非営利団体「Mopria Alliance」を発足※10しました。モバイル機器とプリンターに印刷アプリケーションの標準規格を構築し、快適で多様なモバイルソリューションの実現を目指しています。
今後もオフィスの生産性向上や業務プロセス改善を一層進め、グローバルにビジネスを拡大すべく研究開発を強化していきます。
当事業セグメントに係る研究開発費は、105,246百万円であります。
※1 「imageRUNNER ADVANCE C9280 PRO/C9270 PRO/C7270/C7260」
※2 EPEAT(Electronic Product Environmental Assessment Tool):環境に配慮した製品の市場開発・販売促進 を目的に設立された環境評価システム
※3 2013年5月現在 環境分野の中の必須基準を全て満たし、任意基準を75%以上満たす製品
※4 Buyers Laboratory LLC社(ビジネスユーザー向けオフィス分野に対する独立評価機関)
※5 「imageRUNNER ADVANCE C5235/C5240/C5250/6265/6275」
※6 2013年上半期(1月~6月)中にBLI社が実機テストした製品の中から、信頼性、画質、生産性、スキャン性能、使いやすさなどの点で総合的に優れた結果を発揮した製品に与えられる賞
※7 「imageRUNNER ADVANCE C5255」
※8 2013年6月受賞
※9 「imagePRESS C7011VPS」
※10 2013年9月発足
Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラにおいては、高画質や小型・軽量化へのあくなき追求などの革新性が認められ、デジタル一眼レフカメラ「EOS 6D」※11、および「EOS Kiss X7」※12が、世界的に権威のある「TIPAアワード2013」※13 、および「EISAアワード2013-2014」※14の両賞を獲得しました。また、センサーの全有効画素が撮像と位相差AFの機能を兼ね備えた「デュアルピクセルCMOS AF」を開発※15し、ライブビュー撮影および動画撮影時のAF性能が飛躍的に向上しました。ミラーレスカメラ「EOS M2」においては、従来機種からAF性能を大幅に進化させ、新たに無線LAN機能を内蔵しながら、体積の約8%小型化を達成しました。
交換レンズ「EFレンズ」においては、1987年に生産を開始して以来、累計生産本数9,000万本を達成※16しました。また、超望遠ズームレンズ「EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×」において、200~560mmまでの幅広いズーム域を1本でカバーするエクステンダーを世界で初めて内蔵し、撮影領域の拡大に貢献しています。
コンパクトデジタルカメラにおいては、「IXY 110F」および「PowerShot S120」が、それぞれのクラスとして世界最薄※17を実現しました。また、「PowerShot N」は、これまで培ってきた解析技術や画像処理技術などにより、1回の撮影で1枚のオリジナル写真と構図や色調・露出を自動で調整した5枚の写真を生成する「クリエイティブショット」を初搭載しました。
デジタルシネマカメラ「CINEMA EOS SYSTEM」においては、「EOS C300」および「EFシネマレンズ」が、日刊工業新聞社「第43回機械工業デザイン賞」の「審査委員会特別賞」を受賞※18しました。
インクジェットプリンターにおいては、クラウドサービスやモバイル機器との連携を強化しました。PIXUS本体からはもちろん、スマートフォンやタブレット用の新アプリ「PIXUS Print」からもクラウドサービスへの操作を可能※19としました。また、大判インクジェットプリンターにおいても、新ソフトウェア「imagePROGRAF Direct Print & Share (DPS)」の開発により、クラウドサービスとの連携を強化しました。
当事業セグメントに係る研究開発費は、84,377百万円であります。
※11 35mmフルサイズセンサー搭載機で世界最小・最軽量 2013年8月現在(当社調べ)
※12 APS-Cセンサー搭載機で世界最小・最軽量 2013年8月現在(当社調べ)
※13 2013年5月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした5大陸15カ国のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌28誌が加入する業界団体)より19年連続受賞、他に「EOS-1D C」、EFレンズ「EF24-70mm F2.8LⅡUSM」、インクジェットプリンター「PIXUS PRO-10」が同時受賞
※14 2013年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (欧州のカメラ、ビデオ、オーディオなどの分野における主要な専門誌約50誌が加入する業界団体)より25年連続受賞、他にEFレンズ「EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×」が同時受賞
※15 「EOS 70D」に初搭載
※16 2013年5月達成
※17 「IXY 110F」厚さ約20.6mm:光学8倍以上のズームレンズの搭載機種として 2013年1月現在(当社調べ)、「PowerShot S120」厚さ約29.0mm:F1.8以下の明るさを持つレンズの搭載機種として 2013年8月現在(当社調べ)
※18 2013年7月 同賞受賞は2012年の業務用フォトプリンター「DreamLabo 5000」に続き2度目
※19 対応機種「PIXUS MG7130/MG6530/MG5530」
Ⅲ.産業機器その他ビジネスユニット
FPD露光装置においては、第6世代基板サイズに対応した「MPAsp-E810」が、新設計のミラー光学系の搭載により、世界最高の解像力2.0μmを達成しました。ハイエンドのモバイル機器に求められる、肉眼での画素認識限度300ppiを超える高精細パネルの生産を実現しました。
X線デジタル撮影装置においては、ワイヤレスモデルとしてキヤノン初のフルサイズを実現※20しました。縦横の回転をさせずに胸部・腹部・腰部など広い範囲の撮影を可能にしました。
ネットワークカメラにおいては、球面収差や歪曲収差を抑える独自の光学技術により世界最小※21の手のひらサイズながら、フルHD映像配信に対応した高い性能を備えると同時に、多彩なインテリジェント機能※22を搭載し、人の目や耳に頼らない自動化された監視システムを実現しました。さらに、カラー撮影時0.95ルクス、ナイトモード白黒撮影時0.5ルクスのクラス最高水準※23の最低被写体照度での撮影を可能にしました。
またセンサー技術においては、フルHD動画撮影専用の35mmフルサイズ高感度CMOSセンサーを開発しました。このCMOSセンサーを搭載したカメラの試作機を用いて、肉眼では認識が困難と言われる0.01ルクス以下の非常に低照度の環境で、石垣島に生息するヤエヤマヒメボタルの動画撮影にも成功しました。今後は、天体・自然観測などでの活用や、監視・防犯機器などへの応用を目指しています。
業務用ディスプレイにおいては、30型4Kディスプレイ「DP-V3010」にて、4K映像制作ディスプレイ市場に新規参入します※24。独自開発のディスプレイ用映像エンジン、独自設計のRGB LEDバックライトシステムを搭載し、IPS液晶パネルを採用することで、忠実な色再現・高解像度・高コントラストを実現しました。
真空薄膜形成装置においては、キヤノンアネルバ社が次世代STT-MRAM※25量産向けMTJ※26多層膜成膜装置を開発※27しました。この装置で試作した垂直磁化型※28MTJ多層膜を用いて、大容量MRAM量産に必要とされるMR比※29200%を達成しました。2014年第2四半期リリースを目標に評価を進めています。
当事業セグメントに係る研究開発費は、25,701百万円であります。
※20 「CXDI-401C Wireless/CXDI-401G Wireless」
※21 「VB-S30D」直径約120mm、高さ約54mm:パン・チルト・光学ズーム機能を搭載したドーム型ネットワークカメラにおいて 2013年9月現在(当社調べ)
※22 クラス最多全6種類(動体検知、置き去り検知、持ち去り検知、いたずら検知、通過検知、音量検知)
※23 フルHDに対応した光学ズーム機能付き小型ネットワークカメラとして 2013年9月現在(当社調べ)
※24 2014年1月発売
※25 磁性層の磁化反転にSpin-Transfer-Torque現象を利用した次世代のMRAM(不揮発性磁気メモリ)
※26 Magnetic Tunnel Junction : Tunnel Magneto-Resistance (TMR) 効果により電気抵抗が変化する素子
※27 「NC7900」:世界シェア90%以上(当社調べ)のMRAM研究開発用装置をベースに開発
※28 磁性膜に対して垂直方向に磁化させた記録方式
※29 磁気抵抗比
また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は91,000百万円であります。
注:製品名は日本国内での名称です。
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