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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10026MF

有価証券報告書抜粋 タカラバイオ株式会社 事業等のリスク (2014年3月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動

以下において、当社グループの事業展開上その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しないと思われる事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。
なお、本項中の記載内容については、特に断りがない限り当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。ただし、当社は、2014年4月1日付で、技術力の有効利用および収益力の向上をはかるため、組織改正を行いました。これにより、遺伝子工学研究事業部門をバイオ産業支援事業部門に改称し、あわせて、遺伝子医療事業部門の機能の一部をバイオ産業支援事業部門に移管・統合いたしました。従いまして、記載内容が当連結会計年度末現在の事項であっても、組織名称等につきましては、組織改正を反映させ適宜変更しております。
また、文中において、適宜用語の解説をしておりますが、当該用語解説は、投資者に本項の記載内容をご理解いただくための参考として、当社の判断と理解に基づき、当社が作成したものにすぎません。
(1)研究開発活動について
バイオテクノロジーに関連する産業は多岐にわたり、遺伝子治療や細胞医療などの医療分野、基礎研究や創薬などを目的とした研究機関や大学を直接のターゲット市場とする研究支援分野、バイオレメディエーション・バイオマスといった環境・エネルギー分野、バイオインフォマティクスと呼ばれる情報分野、アグリバイオや健康食品をはじめとした食品分野を挙げることができます。
このような状況の中、当社グループにおいても広範囲にわたる研究開発活動を行っており、競争優位性を維持していくためにも、研究開発活動は非常に重要であると考えております。実際、当社グループの当連結会計年度における研究開発費は3,026百万円で、売上高に対する割合は12.7%と非常に大きいと認識しております。しかしながら、研究開発活動は計画どおりに進む保証はなく、特に当社グループの遺伝子医療事業における臨床開発については長期間を要しますので、十分な研究開発活動の成果が適時にあがる保証はないことから、研究開発活動の遅延により、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、現在推進している研究開発活動から必ずしも期待した効果を得られる保証はなく、その結果当社グループが計画する収益をあげられない可能性があります。
(2)製造に関する依存について
当社グループの当連結会計年度における売上高の90.6%を占めるバイオ産業支援事業において、中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司が生産している割合は、当連結会計年度の販売価格ベースで算出した生産実績合計の35.4%を占めております。当社グループでは生産拠点の集約により、価格競争力の強い製品の製造を実現しており、また、当社グループの規模では製造拠点の分散化は得策ではないと考えておりますが、当該子会社の収益動向の変化や、何らかの理由による事業活動の停止などにより、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)長期前払費用について
当社グループの事業展開の性質上、他者が保有する特許に関し特許実施許諾契約を締結することは重要な戦略と位置づけております。この場合、契約一時金およびマイルストーンに基づき一定の金額を支払うことが一般的でありますが、当該支出については支出時に長期前払費用として資産計上し、契約期間等に基づき毎期規則的に費用処理しております。また、特許実施許諾契約に基づき利用する技術について当社グループでの利用状況、バイオテクノロジーの進展に伴う陳腐化等を勘案し、決算期ごとに資産性の有無を検討し、資産性に疑義が生じた場合には当該長期前払費用について一時に費用処理することとしております。
従いまして、今後特許実施許諾契約等の締結およびその後のマイルストーンに基づく支払等により長期前払費用は増加する可能性がありますが、当社グループでの利用状況、バイオテクノロジーの進展状況によっては、多額の費用処理が発生する可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合について
当社グループは、財務的な一定の基盤、アジア市場における確固としたプレゼンス、保有技術の幅広いラインナップを有する独自の産業的地位を占めていると考えております。しかしながら、日本国内のみならず海外においても数々の同業社との競合状態にあるとも認識しております。
バイオ産業支援事業においては、当社のリアルタイムPCR(Polymerase Chain Reaction)法に関するライセンス契約は非独占的でありライセンスを保持している企業は多数あるため、競争はますます激化しております。また、理化学機器の製造販売には医療機器のような許可や承認を必要としないことから参入は比較的容易であり、多数の競合企業が存在しております。また、がん免疫細胞療法などの細胞医療に関しては、疾患治療の目的だけでなく患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を改善することから、市場性が期待でき参入が相次いでおります。
遺伝子医療事業では、様々な遺伝子導入法や効率的なベクターが開発されてきており、遺伝子治療の対象疾患も先天性遺伝病・感染症・種々のがんから、致死的でない慢性疾患にまで広がり、大きな市場が望めるようになったことから、欧米のベンチャー企業を含め多数の企業が遺伝子治療の研究開発に取り組んでおります。
また、医食品バイオ事業においては健康食品ブームでもあり、その急拡大している市場を目指し、食品企業のみならず製薬企業まで多数の企業が参入しております。いわゆる表示義務の問題などから効能や効果の表現が難しいうえに、差別化のために実験データを販売促進に使用することができないため、新規参入が容易で競争はますます激化しております。
そのため、当社グループでは新たな事業プロジェクトの立ち上げや研究開発段階にあるプロジェクトの早期の商業化に努めておりますが、他社が同様の製品や技術を当社グループより先に商業化した場合、あるいは当社グループが保有する技術より優れた技術を商業化した場合には、当社グループが計画どおりの収益をあげることができない可能性もあります。
(5)当社の親会社について
2014年3月31日現在、宝ホールディングス株式会社(東証一部)は、当社議決権の60.92%を所有する親会社であります。当社と同社との関係は以下のとおりであります。
① 宝ホールディングス㈱グループ(同社および同社の関係会社)における当社の位置づけ
寳酒造株式会社(現 宝ホールディングス株式会社)は、2002年2月15日開催の臨時株主総会における、同社が営む酒類・食品事業およびバイオ事業の各々の事業特性を最大限に発揮し、それぞれの成長力と競争力を高める事業環境を整えることを目的とした、酒類・食品部門およびバイオ部門の営業に関する分割計画書の承認決議に基づき、物的分割の方法により同社の100%子会社(設立以降に当社が実施した第三者割当増資および公募増資等により、親会社の当社議決権所有比率は60.92%になっております。)として、2002年4月1日に宝酒造株式会社および当社を設立いたしました。
宝ホールディングス㈱グループは、純粋持株会社である宝ホールディングス株式会社および同社の関係会社47社(子会社44社、関連会社3社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)10社とともにバイオ事業を推進しております。
② 宝ホールディングス㈱グループにおける食品事業について
2006年9月7日付で、宝ホールディングス株式会社の100%子会社としてグループ内の健康食品の販売を専門に扱う宝ヘルスケア株式会社が設立されました。当社は、同社の設立を受けて、2006年10月1日付で同社を当社の健康食品の販売代理店といたしました。これにより、当社の健康食品の販売は、同社を通じて行うこととなりました。2014年3月期における同社との取引金額は665百万円であります。
③ 宝ホールディングス株式会社のグループ会社管理について
宝ホールディングス株式会社は、連結経営管理の観点から「グループ会社管理規程」を定め運用しておりますが、その目的はグループ各社の独自性・自立性を維持しつつ、グループ全体の企業価値の最大化をはかることにあります。当社も同規程の適用を受けており、当社取締役会において決議された事項等を報告しておりますが、取締役会決議事項の事前承認等は求められておらず、当社が独自に事業運営を行っております。
また、同社はグループ内に各種会議体を設けておりますが、当社に関するものは下記のとおりであります。
会議名称出席者内容開催頻度
グループ戦略会議宝ホールディングス㈱役員
当社代表取締役
宝酒造㈱代表取締役
グループ全体に関わる事項の確認原則として2か月に1回
タカラバイオ連絡会議宝ホールディングス㈱役員
当社役員および執行役員
当社活動状況等の報告原則として1か月に1回
上記の各種会議体は、グループ各社間の報告を目的としているものであって、現状において当社の自主性・独立性を妨げるものではありません。
また、有価証券報告書提出日現在、同社と当社との間には下記のとおり役員の兼務関係があります。
氏名当社での役職宝ホールディングス㈱での役職
大宮 久取締役会長代表取締役会長
仲尾 功一代表取締役社長取締役
釜田 富雄監査役常勤監査役
上田 伸次監査役監査役
上記の兼務関係は、大宮 久は、当社設立以前において、寳酒造株式会社の取締役としてバイオ部門の経営にも従事して培った経験・知識が当社にとって有用であるとの判断から当社が招聘したことにより、釜田富雄は、寳酒造式会社の経理部門に従事して培った経験・知識ならびに現任の宝ホールディングス株式会社常勤監査役および宝酒造株式会社監査役としての経験・知識が当社にとって有用であるとの判断から当社が招聘したことにより、上田伸次は、宝ホールディングス株式会社および宝酒造株式会社における秘書室長の要職に従事して培った経験・知識が当社にとって有用であるとの判断から当社が招聘したことにより、また、仲尾功一については、宝ホールディングス株式会社の持株会社体制における連結経営上の考えから同社に招聘されたことにより、それぞれ発生しており、宝ホールディングス株式会社が当社を支配することを目的としているものではありません。
また、宝ホールディングス株式会社の子会社である宝酒造株式会社から、当社へ1名の出向者を受け入れておりますが、これは財務部におけるノウハウの取得を目的として当社が依頼したものであります。
なお、現時点においては想定しておりませんが、同社のグループ会社管理の方針に変更が生じた場合は、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 宝ホールディングス㈱グループとの取引について
1)営業拠点に関する不動産賃貸借取引について
当社は、2002年4月1日付で寳酒造株式会社(現 宝ホールディングス株式会社)が物的分割の方法により会社分割し設立されました経緯から、寳酒造株式会社の工場、営業所、社宅等の不動産の大部分は、宝酒造株式会社および当社へ移転されました。従来は、一つの拠点に酒類・食品事業とバイオ事業がともに展開されておりましたので、移転に伴い、宝酒造株式会社との間に不動産賃貸借取引が発生しております。当該賃貸借取引のうち、当社が賃借している営業拠点については以下のとおりであり、これらの取引継続が困難な状況になった場合は、当社が代替地を確保するまでの期間における収入、移転費用等において当社の業績に一時的に影響を及ぼす場合があります。
物件使用目的貸主取引金額
(2014年3月
期、百万円)
取引条件等
宝明治安田ビル6階および地階
(東京都中央区)
当社東京支店宝酒造㈱11面積:123.55㎡
契約形態:賃貸借契約
賃料算出根拠:土地・建物時価等
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.取引条件および取引条件の決定方針等
不動産鑑定士による鑑定評価に基づき、協議のうえ決定しております。
2)商標権使用に関する取引について
当社が使用する商標のうち一部の商標について、宝ホールディングス株式会社が所有・管理しているものがあり、当該商標については、同社との間で商標使用許諾契約を結び、使用許諾件数に応じて1商標1国1区分当たり月額固定金額を支払うことといたしております。2014年3月31日現在で、国内海外あわせて登録商標80件および未登録商標38件の使用許諾を受けております。
なお、何らかの事情により宝ホールディングス株式会社から商標の使用許諾を受けられなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす場合があります。
会社名
(所在地)
取引内容取引金額
(2014年3月
期、百万円)
取引条件等
宝ホールディングス㈱
(京都市下京区)
商標権の使用許諾9契約形態:商標使用許諾契約(2004年3月29日付締結)
使用料算出根拠:商標権の出願、登録および今後も含めての維持・管理費用
1商標1国1区分の使用料月額:登録商標8,500円、未登録商標1,700円(いずれも消費税等別)


3)その他
宝ホールディングス㈱グループ各社(当社グループ各社を除く)とは、契約ベースで下記の取引があります。
会社名
(所在地)
取引内容取引金額
(2014年3月
期、百万円)
取引条件等
宝酒造㈱
(京都市伏見区)
社宅の賃借0契約形態:賃貸借契約
賃料算出根拠:土地建物時価等
使用人の当社への出向8契約形態:従業員派遣契約
宝ネットワークシステム㈱
(京都市下京区)
コンピュータ関係業務の委託および機器の賃借444契約形態:業務の委託並びに機器の賃貸借に関する基本契約
業務の内容:勘定系システム運用支援、クライアントサーバーシステム運用支援、パソコンの賃借、消耗品の購入、その他
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.この他に、宝ホールディングス㈱グループの企業とは、印刷物の作成等の発注書、受注書等のやりとりによる発注ベースの取引があります。
(6)資金調達の実施
新規事業の立ち上げや事業規模の拡大により、研究開発費、設備投資、投融資、運転資金等の資金需要の増加が予想されますので、今後も有償増資等による資金調達の可能性があります。ただし、資金調達が計画どおりに進まない場合は、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(7)経営上の重要な契約等
当社グループの事業展開上、重要と思われる契約の概要は「5 経営上の重要な契約等」に記載しておりますが、当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合や、当社グループにとって不利な改定が行われた場合は、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)当社グループの組織体制について
① 特定の人物への依存について
代表取締役社長である仲尾功一は、当社グループの事業を推進する最高責任者として、経営戦略の策定、研究開発や事業開発の推進において重要な役割を果たしております。当社グループでは同氏への依存度を低くするため、同氏を補佐するべく、遺伝子医療事業については専務取締役竹迫一任が、管理業務については専務取締役松崎修一郎および常務取締役岡根孝男が、バイオ産業支援事業については常務取締役峰野純一が、それぞれ業務の推進に重要な役割を担っております。(有価証券報告書提出日現在の役職・業務により記載しております。)
当社グループでは、これらの取締役に過度に依存しない経営体制を築くために、執行役員制度の導入など経営組織の強化をはかっております。しかしながら、当面の間はこれら取締役への依存度が高い状態で推移するものと考えております。そのような状態において、これら取締役の業務の継続が何らかの理由により困難となった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保について
当社グループは研究開発型の企業であり、また、バイオテクノロジー業界は日進月歩で技術革新が進むことから、競争力の維持のためにも、専門的な知識・技能をもった研究開発のための優秀な人材の確保は必須であると考えております。また、臨床開発経験を持った人材はグループ内に少なく、このような人材の確保および教育に注力してまいります。しかしながら、計画どおりの人材の確保が行えず、あるいは当社グループの人材が社外に流出する可能性は否定できません。仮にこのような状況になった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産権について
研究開発の成否がそのまま事業開発の成否につながるバイオテクノロジー関連産業では、特許その他の知的財産権の確保は非常に重要であると認識しております。競合他社を排除するため、当社グループは、自社の技術を特許で保護しております。当社グループは今後も研究開発を進めていくにあたって、特許出願を第一に考え対応していく方針であります。しかしながら、出願した特許がすべて登録されるとは限らず、また、登録特許が何らかの理由で無効となったり、期間満了などにより消滅した場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、バイオテクノロジー関連産業においては、日々研究開発競争が繰り広げられており、当社グループが当社グループの技術を特許権により保護したとしても、当社グループの研究開発を超える優れた開発力により、当社グループの特許が淘汰される可能性は常に存在していると考えております。仮にそのような研究開発が他者によりなされた場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは今後の事業展開の中で、有望な他者特許については取得またはライセンスを受ける方針でありますが、このために多大な費用が発生する可能性があります。さらに、必要な他者特許が生じ、そのライセンスが受けられなかった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)製造物責任のリスクについて
当社グループが取り扱うすべての製品・商品について製造物責任賠償のリスクが内在しております。特に、医薬品や医療機器、食品、研究用製品、臨床試験に使用される試薬ならびに細胞製剤および遺伝子治療用製剤、医師の指導下で調製した細胞製剤については、健康障害を引き起こしたり、臨床試験、製造、販売において瑕疵が発見された場合には、製造物責任を負い、当社グループの業務推進や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、一般的に医薬品や医療機器という性質上、何らかの問題が発生した場合には、人体への影響、被害を考慮して自主回収を行うことがあり、その場合には回収に時間および多大の費用を要する可能性があります。
なお、2000年にフランスのネケール小児病院で実施された、重症複合免疫不全症と呼ばれる重篤な遺伝病に対する遺伝子治療の臨床研究が、当社の開発したレトロネクチン法を用いた遺伝子治療の治療効果が確認された例と言われております。この病気の患者は、免疫を担当する細胞の機能が欠落しておりますので、感染症を防ぐために常に外界から隔離された透明な無菌カプセルの中での生活を強いられ、10歳程度で夭逝することが多いことが知られております。この病気は、ガンマシーと呼ばれている遺伝子が異常を起こしていることが原因であることから、レトロウイルスベクターに組込んだガンマシー遺伝子がレトロネクチン法を用いて患者の造血幹細胞に導入され再移植されました。10人以上実施されたすべての症例において免疫システムの改善が報告されました。ところが2002年から2007年にかけて、治療後経過観察を行っていた4人の患者が、副作用として白血病を発症していることが判明いたしました。また、イギリスでの同様の遺伝子治療においても、10例中1例に白血病が発症したことが2007年12月に報告されました。しかしながら、レトロウイルスベクターは他の疾患では数百例を上回る多数の患者に利用されており、これらの症例以外に副作用としての白血病の発生も安全性上の問題も報告されておりません。また、レトロネクチン®が副作用の直接的な原因ではないと当社およびネケール小児病院の研究グループ等では判断しております。このように、遺伝子治療は新しい先端医療であることから、慎重に臨床研究結果を吟味しながら開発を進める必要があり、また、副作用等の不測の事態が生じた場合には患者のインフォームドコンセントを取得し直す必要が生じるなど、計画どおりに研究開発が進まず、当社グループの業務推進や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、このような副作用が与えるネガティブなイメージにより、当社グループが進める臨床試験に対する信頼性に悪影響が生じ、当社グループの業務推進や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)法的規制について
① バイオ産業支援事業、遺伝子医療事業
バイオ産業支援事業における研究開発を進めるにあたっては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律や遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(以下、カルタヘナ法)などの関連法規の規制を受けており、当社グループは当該法規制を遵守していく方針であります。また、試薬類の製造販売にあたっては、毒物及び劇物取締法など関連法規を遵守する必要がありますが、薬事法(名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に変更する薬事法等の一部を改正する法律が成立しておりますが、施行までの間は従来の名称を使用いたします。以下の文中においても、同様。)に定める医薬品ではないことから、薬事法の適用および規制は受けておりません。
しかしながら、研究支援産業の拡大などに伴い、このような規制が強化されたり、新たな規制が導入された場合などにおいては、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
当社がその開発をめざす遺伝子治療や細胞医療の商業化は、薬事法、カルタヘナ法など関連法規の規制を受けており、当社グループは当該法規制を遵守していく方針であります。これら薬事法など関連法規は、医薬品、医薬部外品、化粧品および医療機器の品質、有効性および安全性の確保を目的としており、商業活動のためには所轄官公庁の承認または許可が必要になります。当社グループが遺伝子医療事業で研究開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる薬事法に基づく許認可が得られる保証はありません。
また、がん免疫細胞療法のような新しい療法については、今後、薬事法や医師法などの承認やその他規制が及ぶ可能性があり、このような規制が強化されたり、新たな規制が導入された場合などにおいては当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、再生医療をとり巻く環境が、激しく変化しております。
先進国では、既に皮膚、軟骨等の再生医療製品が、当局の承認を得て販売されており、今後再生医療市場はますます拡大すると予想されております。経済産業省は、国内の再生医療市場の規模が、2020年に950億円、2030年に1兆円、2050年には2.5兆円になると予測しています(※)。また、再生医療製品を製造販売するほかにも、これらの工程を支援する事業領域があり、再生医療のサポーティング・インダストリーと呼んでおります。サポーティング・インダストリーの代表例としては、細胞を培養する際に使用する培地・試薬等の消耗品や、細胞培養装置・品質測定装置等の装置を提供する事業、医療機関等から細胞を培養・加工、運搬・保管サービスを受託する事業等が考えられます。経済産業省は、こういったサポーティング・インダストリーの国内市場規模が、2020年に950億円、2030年に5,500億円、2050年には1.3兆円になると予測しております(※)。(※出典経済産業省開催の「再生医療の実用化・産業化に関する研究会」の最終報告書「再生医療の実用化・産業化に関する報告書・最終とりまとめ・2013年2月」)
このような分析のもと、政府は、再生医療の安全かつ迅速な普及に向けて、大学・企業等の研究開発に対する手厚い支援策や、制度面での改定を進めております。再生医療を推進するための基本法ともいえる再生医療推進法(再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律)が、2013年4月26日に成立いたしました。また、薬事法等の一部を改正する法律および再生医療等の安全性確保等に関する法律が、2013年11月20日に成立いたしました。
これらの政策や法律の改正が当社に及ぼす影響は、以下のとおりと想定しております。
1.政府の資金面の支援によって再生・細胞医療分野の研究開発が活発化することによる、基礎研究や臨床研究分野における当社製品の拡販
2.従来は医療機関に限られていた細胞の培養・加工が企業に解禁となり、当社がその業務の受託を行うことによる、遺伝子導入ベクター等のGMP(Good Manufacturing Practice、医薬品等の品質管理基準)製造受託や細胞加工支援事業の拡大
3.現在は主として自由診療等で行われている先端医療について、リスクに応じた安全性担保の仕組みが整備され、再生・細胞医療が普及することによる、当社の製品販売や受託ビジネスの拡大
4.新薬の早期承認制度導入による、当社が現在臨床開発を進めている遺伝子治療の商業化までの期間短縮
しかしながら、これらの政策や法律の改正が行われても、当初の想定どおり当社製品の拡販などにつながらない可能性があります。また、新たな規制等が導入される可能性もあり、そのような場合には当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
② 医食品バイオ事業
当社グループの健康食品事業においては、食品衛生法に基づいた営業施設の整備、器具・容器包装の管理やその他の製造工程および販売などの管理運営を行っております。当社グループは、食品衛生法を遵守し、食品衛生管理には万全の注意を払っておりますが、食品衛生問題は食品を扱う会社にとって不可避の問題であり、今後も食品衛生管理体制の強化をはかっていく方針でありますが、これらに関する問題が発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
健康食品の販売は、2006年10月より宝ヘルスケア株式会社(宝ホールディングス株式会社の100%子会社)を通じて行っております。当社および宝ヘルスケア株式会社は、健康食品および機能性食品素材原料の販売に際して、特定商取引に関する法律に基づいた販売方法、JAS法、薬事法、健康増進法や景品表示法等を遵守し、表示や広告について適切に対応していくよう努めておりますが、一般的に健康食品の性質上、いわゆる表示義務違反となる可能性は完全に否定しがたく、そのような場合には当社グループへの信頼の低下等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(12)訴訟等のリスクについて
有価証券報告書提出日現在において、当社グループの事業に関連して、第三者との間で重要な訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。ただし、当社グループは広範にわたる研究開発活動、事業展開および提携を行っているため、今後とも何らかの問題が発生しないという保証はありません。当社グループとしましても、国内外の事業活動の遂行に際し、内部統制の充実やコンプライアンスの強化に努めておりますが、当社グループ各社に対して訴訟を提起される可能性があり、訴訟が提起されたこと自体や訴訟の結果によっては当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、知的財産権に関する訴訟を未然に防ぐため、事業展開にあたっては特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、当社グループの製品等が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループのような研究開発型企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であると考えており、かかる知的財産権侵害問題が発生した場合には、当社グループが損害賠償請求、差止請求またはロイヤリティの支払請求等を受ける可能性があり、その結果として当該事業の展開に影響を及ぼしたり、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの取引先や、ライセンサーが紛争に巻き込まれた場合には、当社グループが該当する製品を販売することが出来なくなったり、訴訟に巻き込まれる可能性があります。このような場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)資金使途について
バイオテクノロジー業界において当社グループを取り巻く経営環境の変化は激しく、新たな技術革新や新規参入者等により当社グループの事業環境に大きな影響を受ける可能性があることから、公募増資等で調達した資金の使途として計画している設備投資および研究開発投資から必ずしも期待した効果を得られる保証はなく、その結果、当社グループが計画する収益をあげられない可能性があります。
(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社が、2003年9月19日開催の臨時株主総会決議に基づき発行した新株予約権は、2013年9月20日に行使期間が満了となりましたが、こうした制度は、当社の役員や従業員に対して業績向上に対する意欲を持たせるものとして有効な制度であると当社は認識しており、今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施していくことを検討しております。従いまして、将来新たに新株予約権が発行され、その権利が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(15)クロンテック社にかかる無形固定資産について
クロンテック社が計上した商標権については、FASB会計基準コディフィケーショントピック350「無形資産-のれん及びその他」に基づき、償却を行わず、年1回および減損の可能性を示す事象が発生した時点で、減損の有無について判定を行っております。
現時点では減損は生じておりませんが、将来において、判定の結果減損が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、クロンテック社が計上したのれんにつきましては、「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第18号 2006年5月17日)を適用し、20年間の定額法により償却を行っております。

対処すべき課題研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02474] S10026MF)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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