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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1003847

有価証券報告書抜粋 株式会社ファーマフーズ 研究開発活動 (2014年7月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社では、研究開発を事業展開上の最優先課題として捕らえており、総役職員49人中、9名の博士を含めた研究開発スタッフ20人で実施しております(2014年7月31日現在)。当事業年度の研究開発費は、研究開発スタッフの人件費を含めて、199百万円となっております。
組織としては、開発アイテム及びその開発段階によって、担当部毎に研究テーマの分類を行っており、組織的・系統的な研究開発ができる態勢を実践しております。さらに、会社設立当初より、当社社内だけでなく国内・海外の研究開発ネットワークを活用した外部協力者との共同研究を進めております。

(1)特許出願等
特許は研究成果を事業化する上で重要な位置を占めること、更には市場独占を果たす上で極めて重要であり、戦略的に優位性を持った特許出願を行っています。

(2)研究補助金
当社では、1999年以降、各省庁や京都府、政府機関系の各種公益団体などより、多数の研究補助金(助成金、委託事業を含む)を受けております。研究補助金により研究開発に対する投資額の一部を補うことは、投資リスクの低減とともに、主催機関・大学その他組織等の第三者判断を経ることで、研究テーマの市場性・社会性を判断する基準としても重要であります。

(3)研究開発事業
当社では、研究開発主導型のバイオベンチャーとして、機能性食品素材や化粧品素材を開発・販売しておりますが、その中でも特に鶏卵抗体に主眼を置いた研究開発事業をすすめております。
鶏卵抗体は、医薬や診断薬の方面でもさらなる応用が期待できるため、大学薬学部及び各医薬品メーカー、診断薬メーカーなどと、基礎研究を中心に、今後も共同研究を進めていく予定であります。具体的には、鶏卵抗体の応用範囲の拡大には次の要素が重要であり、それらの拡大・進展により鶏卵抗体のマーケット拡大を目指すものです。

◇抗原となるタンパク質の多様化による鶏卵抗体のマーケット拡大
当社では、食品分野でピロリIgYや化成品分野ではインフルエンザIgYなどを製品化しており、既に国内・海外のメーカーで製品素材として採用されております。鶏卵抗体の特徴として、抗原となるタンパク質を新たに選定することにより、様々なバクテリアやタンパク質等に対する抗体を産生することが可能となります。

◇機能性食品や化成品以外への用途拡大
当社鶏卵抗体は、既にヨーグルト、サプリメントといった一般食品の素材や、空気清浄機用フィルターの原料等に利用されておりますが、抗原となる蛋白の多様化により、食品分野や化成品分野での応用拡大とともに、それら以外の分野となる化粧品、検査薬・診断薬、医療食・医薬品・メディカルデバイス製品等でも応用されるよう検討を行い、従来は製品コストや技術的な課題等から利用が困難であった分野へも進出を図ります。(図2参照)

[図2]
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当社では、今後事業化が期待される次の研究テーマについて重点的に研究開発を進めております。

① 機能性素材部門
1)歯周病バイオフィルム鶏卵抗体
歯周病は日本の成人の約8割が罹患する国民病であり、歯の喪失の直接的原因となるだけでなく生活習慣病等の全身性疾患との強い関連が明らかとなっております。当社では、基幹技術である鶏卵抗体を用い、歯周病菌の病巣となるバイオフィルムを抑止するオーラルケア素材の開発を実施しております。

2)抗ピロリ菌鶏卵抗体
当社では、従来から、株式会社ゲン・コーポレーション(現 株式会社イーダブルニュートリション・ジャパン)と共同でピロリ菌が分泌するウレアーゼに対する鶏卵抗体を製造・販売し、当社の販売面・収益面の主力製品となっております。しかし、近年になりピロリ菌は胃内常在菌であり、また、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因菌として認識される一方で、毒素を分泌する有毒菌と毒素を分泌しない一般菌があるとの見解から、当社ではピロリ菌が分泌する毒素タンパクに注目した研究開発を実施しております。
ピロリ菌に関しては、既に抗生物質により除菌する方法がありますが、抗生物質に対する耐性菌の増加や除菌による逆流性食道炎といった副作用が問題となっています。本研究開発により、毒素をもったピロリ菌を認識できる検査薬・診断薬や毒素そのものを中和する抗体食品等を作ることが可能となります。

② バイオメディカル部門
1)検査薬・診断薬分野
株式会社島バイオメディカルと共同でモノクローナル抗体を用いた試薬・検査薬の開発・販売を目指しております。既に製薬メーカーや医療機器メーカー等からモノクローナル抗体の受託を受けており、今後、一層の用途拡大を目指した研究を継続してまいります。

2)医薬品・メディカルデバイス製品分野
通常生体内では、同じ抗原でもさまざまな角度や部位からアプローチして抗体を作るため、様々な形をもつ抗体の集合体であるポリクローナル抗体(ポリ=「多くの」の意)ができます。一方、医薬品分野では、均一な物性や再現性が求められるため、培養細胞で作られるモノクローナル抗体(モノ=「ひとつの」の意)が一般に使われています。
また、動物や動物細胞由来の抗体は、通常ヒトの血中や細胞内では“異物”として認識され免疫系に攻撃されるため、この抗体を直接ヒトの血中に投与することはできません。そのため、動物細胞由来のモノクローナル抗体を医薬品(注射剤)としてヒトの血中に投与するためには、“異物”と認識されないようにアミノ酸配列をヒト型に変更する必要があります。遺伝子工学的にこのように細工されたものがヒト化抗体(humanized antibody)技術です。
このようにしてモノクローナル化・ヒト化されたマウス抗体が“抗体医薬品”として、現在、種々の疾病に対する治療薬として臨床ですでに使用されております。
抗体医薬は、従来の医薬品に多く見られる低分子化合物と異なり、予期せぬ副作用が起きにくく、血中半減期(注1)が長い等の優れた特徴をもつため、その市場は年々拡大しています。
しかし、モノクローナル化・ヒト化された抗体医薬品は、一般的にCHO細胞(注2)という培養細胞を用いてタンク培養で生産される方法が主流で、このタンク培養には大がかりな培養設備が必要で高額のコストがかかることから、抗体医薬の薬価が高価なものとなっており、それが「コストの壁」として抗体医薬普及の障害となっています。
鶏卵抗体はマウスやウサギ等の哺乳類抗体に比べ、モノクローナル化・ヒト化の研究・開発が遅れていましたが、当社従来技術により工業的スケールで食品にも応用する方法が既に確立されている点や、また、哺乳類間でアミノ酸配列が保存されているため抗体が産生されにくい抗原に対しても、鳥類と哺乳類間では進化的に離れているため抗体が産生されることなどの生物学的特性から、ここ数年急速に注目されています。
当社では、鶏卵抗体を医薬品・メディカルデバイス製品に応用することを目的とし、2004年度から広島大学松田治男教授と共同で、ニワトリ抗体をモノクローナル化・ヒト化し、鶏卵で生産させる技術の開発に取り組んできました。さらに2007年4月には松田教授との共同出資により、株式会社広島バイオメディカルを設立し、一層の開発強化をすすめ、2014年9月には同社を吸収合併し、創薬事業への本格展開を開始しております。
本事業では、鶏の免疫システムを活用した「ニワトリモノクローナル抗体作製技術」により、癌、炎症性疾患等の疾患に対して、従来の抗体作製法では実現できなかった画期的な抗体医薬品の創出を目指しております。現在、主に二つのパイプライン(関節リウマチ及び転移性悪性腫瘍)について開発を進めており、何れにおいても動物モデルで薬効が確認できております。今後、さらなる薬効評価試験や安全性試験を重ね、これらデータを元に特許出願を行う予定です。
事業モデルとして、非臨床試験までは自社で開発を進め、臨床試験以降の開発・製造・販売は提携する製薬企業にて行います。本特許を非臨床試験終了時に提携する製薬企業に実施許諾することにより、ライセンス収入を得るモデルになります。

(注1)血中半減期
投与された薬物や物質の血中における濃度が投与直後の1/2になるのに要する時間。
(注2)CHO細胞
チャイニーズ・ハムスター卵巣(Chinese hamster ovary)細胞の略。チャイニーズ・ハムスターの卵巣から樹立された繊維芽細胞株で、遺伝子操作の宿主として工業的に利用されている。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02484] S1003847)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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