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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002AI2

有価証券報告書抜粋 岩谷産業株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループは、基幹事業である「ガス&エネルギー」及び国家的課題である「環境」を基軸に研究開発活動を推進しました。相互に関係が密接なこれらの分野において、中・長期的テーマから、具体的・日常的な顧客ニーズに応える短期的なテーマまでバランスを考慮して取り組みました。
具体的な活動は、中央研究所、技術部、水素エネルギー部及び産業ガス・機械事業本部ガス技術・開発室がその中心的役割を担う形で進めております。また、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、(一財)エンジニアリング協会(ENAA)、水素供給・利用技術研究組合(HySUT)、(公財)水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)など外部機関への研究員の出向派遣等を通じて、これら新技術開発に係る調査・研究機能の強化にも努めております。

水素社会実現に向けて世界的に研究開発が進められている水素エネルギーについての研究開発計画は国策にも関連し、また中長期にわたることから、引き続きナショナルプロジェクト(以下「国プロ」という。)への参画と自社開発を並行する形で進めております。
当社が参画している具体的な国プロ案件は、①地域水素供給インフラ技術・社会実証(とよたエコフルタウン水素ステーション、有明水素ステーション、関西空港水素ステーション、大黒水素ステーション、北九州水素ステーションの5件)、②ソーラー水素ステーションと燃料電池自動車を組み合わせたCO2排出ゼロシステムの開発、③チャレンジ25地域づくり事業委託業務(水素社会を目指したコミュニティ向け低炭素社会システム構築に係る実証事業)、④福岡水素エネルギー戦略会議実証活動支援事業(北九州水素タウン実証:福岡県助成事業)、⑤次世代エネルギー・社会システム実証事業(北九州スマートコミュニティ創造事業)、⑥燃料電池自動車及び水素ステーション用低コスト機器・システム等に関する研究開発(水素計量管理方法研究開発、水素品質管理方法研究開発)、⑦先端的低炭素化技術開発(先進超電導電力変換システムの基礎開発)となっております。
また、水素ステーション先行整備の取り組みとして、水素供給設備整備事業に参画し、兵庫県尼崎市(当社中央研究所内)、福岡県、愛知県、埼玉県で水素ステーション建設を開始しております。
これらの案件以外にも当社独自の取り組みとして、実用化を目指した簡易型水素充填設備の開発、水素吸蔵合金を用いた定置式水素貯蔵システムの研究開発などを行っています。

なお、セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりです。

(総合エネルギー事業)
当社の主力商品であるカセットガスを利用した応用商品として、マイクロSOFC(固体酸化物型燃料電池)を発電体とした200W級ポータブル発電機の開発に取り組みました。本開発は、NEDOの委託事業としてマイクロSOFCを開発した(独)産業技術総合研究所(AIST)、セルスタックの量産製造を行う岩尾磁器工業㈱、当社の3者で共同開発を実施しています。当社では、マイクロSOFCにて高効率で長期にわたり安定した発電が行えるカセットガスの処理システム(脱硫、改質、排ガス中のCO除去)及び5分程度の急速起動が可能な加熱システムの開発を行い、初期段階ではありますがそれぞれの目標性能を満たすことができました。今後は当社が開発したシステムのマイクロSOFCへのマッチング検討、繰り返し起動に対する耐久性を検証し早期商品化に結び付けたいと考えています。
非化石燃料由来の燃料製造技術開発として、バイオマス等の再生可能エネルギー由来のH2とCO2から航空機燃料を製造することをメインとした液体燃料の基礎研究を継続して行っています。2013年度からは、(公財)若狭湾エネルギー研究センター主幹の福井県拠点化推進事業計画の補助金を受けて、福井県内の化学プラントメーカーと共同で、量産化に向けたエンジニアリングに関わる研究開発を継続実施しております。
また、LPガスの新たなソースとして注目されている米国産のシェールガス随伴のプロパンガスについては、日本LPガス協会が中心となって、組成、不純物など品質に問題がないかどうか調査を行っておりますが、当社も中央研究所の分析技術を駆使して積極的に協力しております。


(産業ガス・機械事業)
産業ガス関連では、これまで培ってきた高濃度オゾン技術を活かし、オゾンパッシベーション受託事業やオゾンシリンダー事業を伸長させました。特にオゾンパッシベーション受託処理は、大手半導体製造装置メーカーの標準部品への採用が進み、安定した収益が確保できるようになりました。また、オゾン濃度を簡便に25vol%程度に高めるオゾン濃縮ユニットを開発、大手半導体製造装置メーカー及び大手半導体デバイスメーカーでのALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積法)プロセスへの応用評価が良好であり、韓国、台湾市場を視野に入れた事業化を推進しています。
三フッ化塩素やフッ化水素など反応性ガスを利用した非イオン化ガスクラスター(分子塊)技術について、(独)科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業(A-STEP)にて京都大学と共同研究を進め、半導体シリコンや酸化シリコンに対する高精度エッチング(深彫り)における大口径ウエハーの連続処理の基礎技術を確立しました。今後はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造プロセスへの応用を検討し、クラスター技術を用いたデバイス加工装置の商品化を目指します。
これまでに確立した半導体ガスの除害・回収・再利用技術の応用展開として、大手レンズメーカーと共同で、高性能レンズ原料用の高純度蛍石(フッ化カルシウム)の合成技術の製法を確立しました。早期実用化を実現し、中国からの輸入依存度が高い高純度蛍石の安定供給に役立てていきます。
機械関連では、特殊ワイヤーに高電圧を印加し、電界を発生させることにより空気中に大量のイオンを生成し、空間を漂うパーティクル(埃)に対する静電気を除去するエリア除電システムを商品化しました。ウエハー等対象部品へのパーティクル付着が抑制され、製品不良率の大幅な低減につながることが認められたことから、半導体分野を中心に大手ユーザーでの採用、受注が伸長しています。また大手空調メーカーと共同で、イオン化気流搬送方式による防爆対応の新機種の開発に着手しました。

(マテリアル事業)
中国からの輸入に頼っている自動車や精密機械向けモーター磁石の原料となるレアアース(ネオジム、ディスプロシウム)のリサイクル技術として、使用済みモーターを消磁せずに電気炉でホウ素を入れて加熱溶融、分離してレアアース酸化物を高純度に取り出す技術開発及び事業化検討を開始しました。レアアースの安定確保は、国家的課題として重要視されており、本技術開発はNEDOからの補助金を受けて推進しています。当社が取り組んでいる技術は、既存技術である薬品で処理する場合に比べて、薬品使用量・廃液処理量が6分の1程度になるためコスト面、環境面で優位性があり、レアアースリサイクル事業に拍車がかかるものと期待されます。2013年度はレアアース成分が多く含まれると言われるエアコンコンプレッサー向け、EPS(電子制御パワーステアリング)向け、HV車駆動用向けの各種モーターの組成分析を行い、それらからのレアアース回収量の見積りを行うとともに、実際にEPSモーターを加熱処理してレアアース酸化物を高純度に分離できることを検証しました。2014年度もNEDOの助成事業として継続し、実用化を見通すための大型の加熱炉を導入して各種モーターの分離試験を実施するとともに、事業化にともなうコストや課題について抽出し、レアアースリサイクル事業検討に係るデータ取得を行って参ります。

(自然産業事業)
「食の安全」を強化するために、当社輸入食品や取扱食品中の残留農薬分析に加え、一般生菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの微生物分析、カビ分析の分析・評価技術を高めました。
2013年度は、イチゴの栽培技術や、腎臓病の患者向けとなる低カリウムレタスなどの収益性の高い品目に対する栽培技術を習得しました。加えて、植物の育成速度を大幅に向上させるため、LEDを用いた光環境制御とCO2濃度コントロールの最適化について山口大学と共同研究を行いました。今後は、促進栽培技術を実用化させるとともに、市場ニーズが高まっている抗酸化性成分やメタボ抑制成分を含有する野菜、果物の栽培技術にも注力していきます。
介護食市場への参入として、従来のキザミ食やミキサー食等とは異なり食品の形状はそのままで酵素を用いて食材をやわらかくした「やわらか食」を商品化しました。「やわらか食」は、広島県立総合技術研究所食品工業技術センターより凍結含浸法の製造のライセンス供与を受け、今年度はニンジン・ゴボウ・レンコン・里芋・ジャガイモの5品目の製造技術の確立を行いました。今後は、きのこ類や緑色野菜についても製造技術を確立し、販売品目の拡充を図ります。


こうした最先端の研究開発を効率よく推進するとともに、全社事業を幅広く支えるために、ガス分析はもとよりあらゆる分野の分析技術の向上にも取り組んでおり、そのために計画的に最新鋭の分析装置の導入も行っています。また、工場排水分析など環境計量証明事業所としての環境法に基づいた分析サービスや、国際規格であるISO17025(国際試験所)の認定取得をベースにおいた水素やヘリウムなどの高純度ガスの品質分析を通し、社会的信用度を向上させながら、顧客ニーズに迅速かつ確実に対応できる基盤技術及び組織体制を強化しています。

2013年4月に兵庫県尼崎市に当社及び岩谷瓦斯㈱をはじめとするグループ企業の技術力を統合して中央研究所を開設しました。開設以来、多くのお客様やパートナー企業、公的研究機関の方々にご見学頂いており、開かれた研究所として認知度や技術ポテンシャルを上げながら、アクセスの良さを活かしてユーザー直結の商品開発を推進しています。今後も水素技術はもとより、ガス・エネルギーから機械、マテリアル、食品など幅広くユーザーやパートナー企業と接点を持ち、協働して商品開発・技術開発を進め、将来の応用研究への発展を視野に入れた基礎研究にも注力し、国プロや大学等公的研究機関とも共同研究を推進して参ります。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は13億68百万円であり、そのうち主なものは当社において13億39百万円(全社(共通))であります。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02567] S1002AI2)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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