有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002BOL
森永乳業株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの研究開発部門では、食品総合研究所、栄養科学研究所、食品基盤研究所、装置開発研究所、分析センター、および応用技術センターの4研究所、2センターの体制のもと、「“おいしい”をデザインする」を基本テーマに、「健康に寄与する商品」、「安全で品質の高い商品」、「おいしくて使いやすい商品」、「楽しさや安らぎを提供する商品」をお客さまにお届けするよう研究開発活動を行っております。
食品総合研究所および栄養科学研究所では、関係事業部との連携により、商品開発力と研究開発スピードの向上を目標として各種商品の研究開発を行っております。食品基盤研究所では、ビフィズス菌、ラクトフェリン、乳ペプチド、アロエベラといった健康関連素材や食品の機能研究をはじめ、各商品分野で求められるおいしさの追求に関する基盤研究など、差別化につながる新技術や当社グループが将来必要とする中長期的テーマの育成を基本方針としております。装置開発研究所では、製造プロセスや機器類の開発・改良を担当し、分析センターでは、商品の安全性と品質向上のための分析技術の研究に取り組んでおります。また、応用技術センターでは、当社製品や乳素材のお客さまにとっての価値を高めることを目的に、レシピの開発と製商品の評価を行っております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は4,991百万円であり、セグメント別には、次のとおりであります。
各事業分野別の主な新製品開発、製品改良事項は以下の通りです。
牛乳・乳製品および一般食品を中心とする食品分野では、お客さまニーズの反映と新たな市場開拓を実現できる新
技術開発を積極的に進めたほか、従来の技術に新しい製造加工技術を付加し、「おいしさ」、「楽しさ」、「健
康」、「栄養」、「環境」に配慮した商品を上市してまいりました。主な新商品、新技術は以下のとおりです。
飲料では、チルドカップコーヒーのトップブランド「マウントレーニア」の「マウントレーニア ダブル」シリーズに「マウントレーニア ダブル シンプルラテ」を加えました。本製品は、「コーヒー」規格と比べ2倍量のコーヒー豆を使用し、独自の『ダブルエスプレッソ製法』で、コク深く、香り豊かなエスプレッソを実現し、また、環境にも配慮した国際的な非営利団体『レインフォレスト・アライアンス』の認証を受けているブラジルの名門「ダテーラ農園」と開発したオリジナルのコーヒー豆を100%使用しています。「リプトン」ブランドの飲料では、“紅茶”という枠組みを越えて2012年に発売した「リプトン抹茶ミルク」をリニューアルしました。厳選した宇治抹茶を100%使用し、上品な苦味が感じられる抹茶にミルクと生クリームを加えることで、コク深い味わいに仕上げました。さらに同シリーズでは、「リプトン MATCHA LATTE」をチルドカップ(240ml)で新発売しました。
デザートでは、「体脂肪計タニタの社員食堂」がベストセラーとなった株式会社タニタと共同し、『美味しさ』と『満足感』を実現したプリンのシリーズ製品として、「タニタ食堂®の100kcalデザート ミルクプリン」、「タニタ食堂®の100kcalデザート チョコレートプリン」を発売しました。近年の健康意識の高まりにより、食品業界でもカロリーや脂肪を抑えた「ライト」型商品が増加していますが、デザートについても特に女性を中心に低カロリーの要素が求められているものの“おいしさ”との両立を図るのが難しいカテゴリーであり、「ライト」型商品は、「美味しくない」「コクがない」といったイメージが定着しておりました。この従来のイメージを払拭するため、脂肪分を抑えることで、通常プリンの3~5割のカロリーをカットした100kcal(1個85gあたり)で、人工甘味料は使用せず、素材の味を活かした“自然な甘さ”に仕上げています。一方、近年、生クリームの市場規模は、拡大しており、当社で実施した調査によると、「ロールケーキやショートケーキのクリームだけをたっぷり食べてみたいと思うことがあるか」という問いに対し、93.3%の方があると回答しました。クリームだけを楽しむことができるカップ入りの“クリームデザート”という新しいジャンルの商品「まるごとクリームミルク&バニラ」「まるごとクリーム チョコ&チョコ」の2品を発売しました。
ヨーグルト分野では、日本初の国産ギリシャヨーグルトとして開発した「濃密ギリシャヨーグルト PARTHENO(パルテノ)」が、従来の「はちみつ付」「プレーン」「ラズベリーソース付」に、「パッションフルーツソース付」を加え、計4種類ラインアップしました。ビフィズス菌BB536を配合した「森永ビヒダスヨーグルト 4ポット」シリーズでは、「森永ビヒダスナタデココヨーグルト4ポット 2種のアソート ナタデココ+ナタデココ&キウイ」を新たに発売しました。また、嗜好性の高いデザート市場をターゲットに、ホイップしたフルーツジュレとヨーグルトを2層にした新シリーズ「森永Doublei(ドゥブレ)マンゴー」、「森永Doublei(ドゥブレ)ブルーベリー」を発売しました。当社独自のビフィズス菌BB536を含むヨーグルトは、特定保健用食品として認可されているなど整腸作用が確認されていますが、新たに、ビフィズス菌BB536を含むヨーグルトには、少量でも整腸作用があることを確認しました。今回の研究では、便秘傾向者と下痢傾向者に、30g(少量)もしくは100gのビフィズス菌BB536を含むヨーグルトをそれぞれ4週間摂取させた結果、便秘傾向者、下痢傾向者双方の排便回数、便性に改善が見られることを明らかにし、リリース発表しました。また、手軽に“ラクトフェリン”、“ビフィズス菌BB536”、“モラック乳酸菌”を摂ることができ、主に腸内に存在する免疫細胞に作用して、ヒトに本来備わっている力をサポートする宅配専用商品「カラダ強くするヨーグルト ラクトフェリンとビフィズス菌BB536」を新たに開発し発売しました。
アイスクリームでは、定番のパルムから「フルーツ PARM(パルム)ストロベリー」を開発し発売しました。「PARM(パルム)」ならではのなめらかな舌触りの果汁感溢れるストロベリーシャーベット、しっとりとしたストロベリーアイス、ほんのりした甘さとさわやかな酸味があるストロベリーコーティングが混ざり合い、ストロベリーの複合的な味わいをお楽しみいただけます。コーティング部分はストロベリー果汁・果肉を53%使用し、急速硬化することで、噛み出しのやわらかな食感を実現しました。シャーベット・アイス部分はストロベリー果汁を36%使用しております。シャーベットは配合と製造条件の研究を重ね、今までの氷菓と比べて驚くほどのなめらかさを実現しました。MOWシリーズからは、「MOW(モウ)濃厚ミルクバニラ」「MOW(モウ)ミルクいちご」「MOW(モウ)ミルクチョコ」「MOW(モウ)クリーミーチーズ」をリニューアル発売しました。ロングセラー商品のピノからは、森永製菓株式会社と共同し、発売100周年を迎えた「森永ミルクキャラメル」とのコラボレーションにより、「ピノ ミルクキャラメル味」を開発し、期間限定発売しました。
チーズでは、新たなチーズ活用法の提案、喫食シーン拡大による新規需要創出による市場活性化をテーマにした開
発を行っています。約2,000 年前にイタリアのローマ近郊で生まれた、超硬質で、力強い香りとコクが特長のロマーノチーズの特徴を受け継いだカレー専用の粉チーズ「クラフトヴァッキーノ ロマーノ」を発売し、“カレーに粉チーズ”という新たな価値を提供しています。また、「クラフト 切れてるチーズ」より、「クラフト 切れてるチーズ モッツァレラ」を開発し発売しました。「クラフト 小さなチーズケーキ」シリーズでは、プレーンとブルーベリーの2品に加えて、世界のチーズケーキの楽しみ方やその土地をイメージして開発した「クラフト 小さなチーズケーキ ~世界の国から~」シリーズを販売しました。第1弾は北イタリア発祥のデザート「ティラミス」をイメージしたチーズケーキを期間限定発売しました。
粉乳分野では、発売54年目を迎えるロングセラー商品、クリーミング・パウダー「クリープ」を、その特長である“ミルク生まれ”原料の純度をより高め、味や溶解性はそのままに、pH調整剤を不使用とするリニューアルを実施しました。
環境や社会に配慮した容器包装開発にも力を注いでいます。具体的には、ヨーグルト・デザート等の樹脂カップの軽量化、紙カップ、チーズ用フィルム等の薄肉化、軽量化および各種製品の外装ダンボールの原紙坪量軽減等に取り組み、資源の有効活用、廃棄物削減を積極的に推進しました。
栄養食品分野では、妊娠中および授乳中のお母さまと、母体を通じてのお子さまの栄養をサポートする「森永ママの DHA」を発売しました。また、通常より小さく生まれる低出生体重児向けに、母乳の栄養を強化して赤ちゃんの成長を助ける母乳添加用粉末「HMS-2」を発売し、幅広くご利用いただけるようになりました。海外においても引き続き、育児用ミルクの展開を行っています。さらに、乳・卵・小麦に対するアレルギーを持つお子さまとそのご家族がご家庭で簡単に楽しく作ることができるよう、アレルギー用ペプチドミルク「ニューMA-1」、「MA-mi」を使ったデザートレシピを新たに開発し、ウェブサイトで公開しました。
医療食分野では、国内で唯一「特別用途食品 病者用食品 総合栄養食品」の表示許可を受けている「CZ-Hi」や「CZ-Hi 1.5」について、クリミール「CZ-Hi」およびクリミール「CZ-Hi 1.5」にブランド名を変更するなどのリニューアルを致しました。また、摂取量を控えてもエネルギーは確保したい方や水分制限のある方などに適したハイカロリータイプのクリミール「A1.5」を発売しました。
栄養補助食品では個別の栄養管理が可能な個食タイプで、鉄・亜鉛・銅(栄養機能食品)の他、たんぱく質、ミネラル、12種類のビタミンを配合した「エンジョイカップゼリー」シリーズに「りんご味」と「コーヒー味」を追加すると共にラインアップとパッケージをリニューアルしました。また、高カロリー(125ml、200kcal)でありながら、脂質0・果汁入りのすっきりしたおいしさで栄養補給ができる「エンジョイArgina(アルギーナ)」を発売しました。寝たきりの方に起こりやすいじょく瘡(床ずれ)の改善を目的に、医療現場において注目されているアルギニン、シトルリンを配合しました。
その他の事業分野では、微酸性電解水製造装置「ピュアスター」において、2013年6月に開催されました国際食品工業展に、開発中のオーダーメイドピュアスターを参考出展しました。また、2014年3月の日本口腔機能水学会において、「微酸性電解水の消臭効果について」発表しました。また、ピュアスター水の農業分野への普及を目的として、改正農薬取締法にて規定されている特定農薬の指定取得を目指し取り組んだ結果、2014年3月28日付けで指定が得られました。今後は、ピュアスターを減農薬目的の資材として農家に販売することができるようになったことから、農薬不使用、あるいは減農薬栽培を目指す農家への普及を通じて、ピュアスター水の拡販が期待されます。
基礎研究分野では、ビフィズス菌、ラクトフェリン、乳たんぱく質や各種ホエイ素材、乳ペプチド、アロエベラ素材などの製造技術研究の他、これらの素材による、感染防御、アレルギー、血糖値上昇抑制、血圧降下、メタボリックシンドローム予防、美容などの応用研究、機能性研究を進めているほか、乳幼児及び妊婦・授乳婦の栄養研究、高齢者における病態栄養などの臨床応用研究を研究医療機関と共同で推進しております。
当社ではビフィズス菌に関する幅広い機能探索および応用研究を進めています。ビフィズス菌BB536に関しては、外部医療機関と連携しながら、潰瘍性大腸炎、透析、化学療法(抗がん治療)、外科手術などの治療を受けた患者や高齢者など様々な被験者に対する保健機能を検証し、臨床栄養分野における国内最大の学術集会である日本静脈経腸栄養学会学術集会(JSPEN、2014年2月、横浜)にて計9題の発表が行われました。そのうち、大腸がん患者にビフィズス菌BB536を手術前後に摂取させた試験では、術後の免疫力低下や栄養状態の悪化、炎症反応が抑制され、感染性合併症の発生頻度が低下するといった結果が得られ、その効果は特に術前に化学放射線療法を受けた侵襲性の高い症例において顕著に見られたことを発表しました。
また、ビフィズス菌 M-16Vは健康な乳児から分離されたビフィズス菌で、当社の有望なプロバイオティクスとして研究開発が進められています。ビフィズス菌 M-16Vについては、これまでに低出生体重児において、正常な腸内細菌叢の形成促進、感染症発症の抑制、経腸栄養の早期確立、入院期間の短縮などの効果が示されております。また、アトピー性皮膚炎患児において腸内細菌叢を正常化し、アトピー性皮膚炎の症状を改善するなど抗アレルギー作用も示唆されています。これらの研究成果は、低体重出生児等の臨床試験を含めて計30報以上の科学論文において発表されています。今回、ビフィズス菌M-16Vは、米国における食品の安全性に関する認証制度であるGRASを、一般食品と育児粉乳の2つの用途で個別に取得し(GRAS Notice No. GRN453, GRN454)、その高い安全性が裏づけられました。
抗メタボ作用が期待されるビフィズス菌B-3(ビースリー® )に関しては、これまで動物試験において、体重や体脂肪の蓄積を抑制し、血糖値や総コレステロール値を低下させる作用などを報告しましたが、このたび外部医療機関と共同で、診察を受けている糖尿病患者を中心に、BMIが高めの人にビフィズス菌B-3含有食品を摂取させ、体重や体脂肪、血液指標に及ぼす影響について検討しました。その結果、ビフィズス菌B-3摂取群において体脂肪量の減少などが認められました。この結果を、第67回日本栄養・食糧学会大会(2013年5月、名古屋大学にて開催)にて発表しました。
また、ビフィズス菌以外に、免疫賦活作用が期待される乳酸菌として選抜されたモラック乳酸菌(MCC1849)の摂取が、インフルエンザウイルス感染を軽減するとともに、腸管での感染防御に寄与するIgA産生を促進することをマウスを用いた試験で確認し、日本農芸化学会2014年度大会(2014年3月、明治大学)にて発表しました。モラック乳酸菌(MCC1849)の免疫賦活作用は加熱殺菌した菌体で確認できたことから、生菌を利用できない食品や流動食への応用など、様々な分野での応用が期待されます。
さらにこれらの生理機能に関する研究以外に、基礎研究としてヒト腸管に棲息する種類のビフィズス菌と動物や昆虫の腸管に棲息する種類のビフィズス菌の潜在的な能力に違いの解明を目指した研究を進めており、ヒト腸管に棲息する種類のビフィズス菌は母乳との親和性が高いことやビタミン産生に優れていることを確認し、日本農芸化学会2014年度大会(2014年3月、明治大学)にて発表しました。
アロエベラに関する基礎研究では、光老化モデルマウスおよび乾燥肌女性を対象とした試験において、アロエステロール(R)含有AVGP(アロエベラゲルパウダー)摂取における肌指標への効果の検討を行いました。その結果、皮膚水分量の保持および抗シワ効果が認め、この結果を第31回日本美容皮膚科学会(2013年8月、神戸国際会議場にて開催)で発表しました。
当社は乳由来たんぱく質であるラクトフェリンに関する研究報告を1963年に初めて行ってから、2013年で50年目を迎えました。ラクトフェリンは、人などの哺乳類の乳汁や唾液などに含まれるたんぱく質で、抗菌・抗ウイルス活性や免疫調節作用などさまざまな生理機能を示すことが知られています。当社では50年にわたり、ラクトフェリンの様々な生理機能の研究を進めると共に、飲料、ヨーグルト、育児用ミルク、健康食品などへの応用、機能素材としての販売における学術支援、製造技術の確立、及び日本健康栄養食品協会、米国GRAS、欧州NOVEL FOODSなど各種規格化の推進を継続しています。2012年には、秋冬のノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数の増加を背景に、ノロウイルス感染性胃腸炎の罹患状況に関するアンケート調査を実施しました。その結果、100mg/本のラクトフェリン含有食品を、ほぼ毎日または週に4-5回摂取している人は、週1回程度摂取している人と比べ、医師の問診でノロウイルスの疑い、または検査でノロウイルス確定と診断された人の割合が有意に低いことが分かりました。この結果をラクトフェリン国際会議(2013年10月、イタリア・ローマで開催)で発表しました。
2013年10月に開催されたIDF World Dairy Summit 2013(横浜)では、乳および当社独自素材に関する科学、技術、栄養、機能性、分析技術について多数の研究発表を行いました。「GC/MSを用いたメタボロミクスに基づくチーズの親水性成分プロファイリング」、「妊婦および乳児へのBifidobacterium投与による新生児のアレルギー疾患の初期予防と腸内細菌叢への効果」というテーマでの特別講演会における2件の講演の他、17題のポスター発表を行いました。乳製品の技術に関する分野では、アイスクリーム、チーズ、乳飲料などの品質に及ぼす各種条件の影響に関する発表を行いました。また、栄養分野では、牛乳中エクソソーム、人工濃厚流動食や高度分解乳の栄養価と抗原性、さらに、ビフィズス菌の比較ゲノム解析を通じたヒト腸管に常在するビフィズス菌の特徴や、当社独自のビフィズス菌BB536に関する機能性研究に関する発表を行いました。他にも乳素材に関する独自の研究の一端として、ラクトフェリン、ラクチュロース、新規ACE阻害トリペプチドMKPなどに関する発表を行いました。
食品総合研究所および栄養科学研究所では、関係事業部との連携により、商品開発力と研究開発スピードの向上を目標として各種商品の研究開発を行っております。食品基盤研究所では、ビフィズス菌、ラクトフェリン、乳ペプチド、アロエベラといった健康関連素材や食品の機能研究をはじめ、各商品分野で求められるおいしさの追求に関する基盤研究など、差別化につながる新技術や当社グループが将来必要とする中長期的テーマの育成を基本方針としております。装置開発研究所では、製造プロセスや機器類の開発・改良を担当し、分析センターでは、商品の安全性と品質向上のための分析技術の研究に取り組んでおります。また、応用技術センターでは、当社製品や乳素材のお客さまにとっての価値を高めることを目的に、レシピの開発と製商品の評価を行っております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は4,991百万円であり、セグメント別には、次のとおりであります。
食品 | 4,972 | 百万円 |
その他 | 18 | 〃 |
計 | 4,991 | 〃 |
各事業分野別の主な新製品開発、製品改良事項は以下の通りです。
牛乳・乳製品および一般食品を中心とする食品分野では、お客さまニーズの反映と新たな市場開拓を実現できる新
技術開発を積極的に進めたほか、従来の技術に新しい製造加工技術を付加し、「おいしさ」、「楽しさ」、「健
康」、「栄養」、「環境」に配慮した商品を上市してまいりました。主な新商品、新技術は以下のとおりです。
飲料では、チルドカップコーヒーのトップブランド「マウントレーニア」の「マウントレーニア ダブル」シリーズに「マウントレーニア ダブル シンプルラテ」を加えました。本製品は、「コーヒー」規格と比べ2倍量のコーヒー豆を使用し、独自の『ダブルエスプレッソ製法』で、コク深く、香り豊かなエスプレッソを実現し、また、環境にも配慮した国際的な非営利団体『レインフォレスト・アライアンス』の認証を受けているブラジルの名門「ダテーラ農園」と開発したオリジナルのコーヒー豆を100%使用しています。「リプトン」ブランドの飲料では、“紅茶”という枠組みを越えて2012年に発売した「リプトン抹茶ミルク」をリニューアルしました。厳選した宇治抹茶を100%使用し、上品な苦味が感じられる抹茶にミルクと生クリームを加えることで、コク深い味わいに仕上げました。さらに同シリーズでは、「リプトン MATCHA LATTE」をチルドカップ(240ml)で新発売しました。
デザートでは、「体脂肪計タニタの社員食堂」がベストセラーとなった株式会社タニタと共同し、『美味しさ』と『満足感』を実現したプリンのシリーズ製品として、「タニタ食堂®の100kcalデザート ミルクプリン」、「タニタ食堂®の100kcalデザート チョコレートプリン」を発売しました。近年の健康意識の高まりにより、食品業界でもカロリーや脂肪を抑えた「ライト」型商品が増加していますが、デザートについても特に女性を中心に低カロリーの要素が求められているものの“おいしさ”との両立を図るのが難しいカテゴリーであり、「ライト」型商品は、「美味しくない」「コクがない」といったイメージが定着しておりました。この従来のイメージを払拭するため、脂肪分を抑えることで、通常プリンの3~5割のカロリーをカットした100kcal(1個85gあたり)で、人工甘味料は使用せず、素材の味を活かした“自然な甘さ”に仕上げています。一方、近年、生クリームの市場規模は、拡大しており、当社で実施した調査によると、「ロールケーキやショートケーキのクリームだけをたっぷり食べてみたいと思うことがあるか」という問いに対し、93.3%の方があると回答しました。クリームだけを楽しむことができるカップ入りの“クリームデザート”という新しいジャンルの商品「まるごとクリームミルク&バニラ」「まるごとクリーム チョコ&チョコ」の2品を発売しました。
ヨーグルト分野では、日本初の国産ギリシャヨーグルトとして開発した「濃密ギリシャヨーグルト PARTHENO(パルテノ)」が、従来の「はちみつ付」「プレーン」「ラズベリーソース付」に、「パッションフルーツソース付」を加え、計4種類ラインアップしました。ビフィズス菌BB536を配合した「森永ビヒダスヨーグルト 4ポット」シリーズでは、「森永ビヒダスナタデココヨーグルト4ポット 2種のアソート ナタデココ+ナタデココ&キウイ」を新たに発売しました。また、嗜好性の高いデザート市場をターゲットに、ホイップしたフルーツジュレとヨーグルトを2層にした新シリーズ「森永Doublei(ドゥブレ)マンゴー」、「森永Doublei(ドゥブレ)ブルーベリー」を発売しました。当社独自のビフィズス菌BB536を含むヨーグルトは、特定保健用食品として認可されているなど整腸作用が確認されていますが、新たに、ビフィズス菌BB536を含むヨーグルトには、少量でも整腸作用があることを確認しました。今回の研究では、便秘傾向者と下痢傾向者に、30g(少量)もしくは100gのビフィズス菌BB536を含むヨーグルトをそれぞれ4週間摂取させた結果、便秘傾向者、下痢傾向者双方の排便回数、便性に改善が見られることを明らかにし、リリース発表しました。また、手軽に“ラクトフェリン”、“ビフィズス菌BB536”、“モラック乳酸菌”を摂ることができ、主に腸内に存在する免疫細胞に作用して、ヒトに本来備わっている力をサポートする宅配専用商品「カラダ強くするヨーグルト ラクトフェリンとビフィズス菌BB536」を新たに開発し発売しました。
アイスクリームでは、定番のパルムから「フルーツ PARM(パルム)ストロベリー」を開発し発売しました。「PARM(パルム)」ならではのなめらかな舌触りの果汁感溢れるストロベリーシャーベット、しっとりとしたストロベリーアイス、ほんのりした甘さとさわやかな酸味があるストロベリーコーティングが混ざり合い、ストロベリーの複合的な味わいをお楽しみいただけます。コーティング部分はストロベリー果汁・果肉を53%使用し、急速硬化することで、噛み出しのやわらかな食感を実現しました。シャーベット・アイス部分はストロベリー果汁を36%使用しております。シャーベットは配合と製造条件の研究を重ね、今までの氷菓と比べて驚くほどのなめらかさを実現しました。MOWシリーズからは、「MOW(モウ)濃厚ミルクバニラ」「MOW(モウ)ミルクいちご」「MOW(モウ)ミルクチョコ」「MOW(モウ)クリーミーチーズ」をリニューアル発売しました。ロングセラー商品のピノからは、森永製菓株式会社と共同し、発売100周年を迎えた「森永ミルクキャラメル」とのコラボレーションにより、「ピノ ミルクキャラメル味」を開発し、期間限定発売しました。
チーズでは、新たなチーズ活用法の提案、喫食シーン拡大による新規需要創出による市場活性化をテーマにした開
発を行っています。約2,000 年前にイタリアのローマ近郊で生まれた、超硬質で、力強い香りとコクが特長のロマーノチーズの特徴を受け継いだカレー専用の粉チーズ「クラフトヴァッキーノ ロマーノ」を発売し、“カレーに粉チーズ”という新たな価値を提供しています。また、「クラフト 切れてるチーズ」より、「クラフト 切れてるチーズ モッツァレラ」を開発し発売しました。「クラフト 小さなチーズケーキ」シリーズでは、プレーンとブルーベリーの2品に加えて、世界のチーズケーキの楽しみ方やその土地をイメージして開発した「クラフト 小さなチーズケーキ ~世界の国から~」シリーズを販売しました。第1弾は北イタリア発祥のデザート「ティラミス」をイメージしたチーズケーキを期間限定発売しました。
粉乳分野では、発売54年目を迎えるロングセラー商品、クリーミング・パウダー「クリープ」を、その特長である“ミルク生まれ”原料の純度をより高め、味や溶解性はそのままに、pH調整剤を不使用とするリニューアルを実施しました。
環境や社会に配慮した容器包装開発にも力を注いでいます。具体的には、ヨーグルト・デザート等の樹脂カップの軽量化、紙カップ、チーズ用フィルム等の薄肉化、軽量化および各種製品の外装ダンボールの原紙坪量軽減等に取り組み、資源の有効活用、廃棄物削減を積極的に推進しました。
栄養食品分野では、妊娠中および授乳中のお母さまと、母体を通じてのお子さまの栄養をサポートする「森永ママの DHA」を発売しました。また、通常より小さく生まれる低出生体重児向けに、母乳の栄養を強化して赤ちゃんの成長を助ける母乳添加用粉末「HMS-2」を発売し、幅広くご利用いただけるようになりました。海外においても引き続き、育児用ミルクの展開を行っています。さらに、乳・卵・小麦に対するアレルギーを持つお子さまとそのご家族がご家庭で簡単に楽しく作ることができるよう、アレルギー用ペプチドミルク「ニューMA-1」、「MA-mi」を使ったデザートレシピを新たに開発し、ウェブサイトで公開しました。
医療食分野では、国内で唯一「特別用途食品 病者用食品 総合栄養食品」の表示許可を受けている「CZ-Hi」や「CZ-Hi 1.5」について、クリミール「CZ-Hi」およびクリミール「CZ-Hi 1.5」にブランド名を変更するなどのリニューアルを致しました。また、摂取量を控えてもエネルギーは確保したい方や水分制限のある方などに適したハイカロリータイプのクリミール「A1.5」を発売しました。
栄養補助食品では個別の栄養管理が可能な個食タイプで、鉄・亜鉛・銅(栄養機能食品)の他、たんぱく質、ミネラル、12種類のビタミンを配合した「エンジョイカップゼリー」シリーズに「りんご味」と「コーヒー味」を追加すると共にラインアップとパッケージをリニューアルしました。また、高カロリー(125ml、200kcal)でありながら、脂質0・果汁入りのすっきりしたおいしさで栄養補給ができる「エンジョイArgina(アルギーナ)」を発売しました。寝たきりの方に起こりやすいじょく瘡(床ずれ)の改善を目的に、医療現場において注目されているアルギニン、シトルリンを配合しました。
その他の事業分野では、微酸性電解水製造装置「ピュアスター」において、2013年6月に開催されました国際食品工業展に、開発中のオーダーメイドピュアスターを参考出展しました。また、2014年3月の日本口腔機能水学会において、「微酸性電解水の消臭効果について」発表しました。また、ピュアスター水の農業分野への普及を目的として、改正農薬取締法にて規定されている特定農薬の指定取得を目指し取り組んだ結果、2014年3月28日付けで指定が得られました。今後は、ピュアスターを減農薬目的の資材として農家に販売することができるようになったことから、農薬不使用、あるいは減農薬栽培を目指す農家への普及を通じて、ピュアスター水の拡販が期待されます。
基礎研究分野では、ビフィズス菌、ラクトフェリン、乳たんぱく質や各種ホエイ素材、乳ペプチド、アロエベラ素材などの製造技術研究の他、これらの素材による、感染防御、アレルギー、血糖値上昇抑制、血圧降下、メタボリックシンドローム予防、美容などの応用研究、機能性研究を進めているほか、乳幼児及び妊婦・授乳婦の栄養研究、高齢者における病態栄養などの臨床応用研究を研究医療機関と共同で推進しております。
当社ではビフィズス菌に関する幅広い機能探索および応用研究を進めています。ビフィズス菌BB536に関しては、外部医療機関と連携しながら、潰瘍性大腸炎、透析、化学療法(抗がん治療)、外科手術などの治療を受けた患者や高齢者など様々な被験者に対する保健機能を検証し、臨床栄養分野における国内最大の学術集会である日本静脈経腸栄養学会学術集会(JSPEN、2014年2月、横浜)にて計9題の発表が行われました。そのうち、大腸がん患者にビフィズス菌BB536を手術前後に摂取させた試験では、術後の免疫力低下や栄養状態の悪化、炎症反応が抑制され、感染性合併症の発生頻度が低下するといった結果が得られ、その効果は特に術前に化学放射線療法を受けた侵襲性の高い症例において顕著に見られたことを発表しました。
また、ビフィズス菌 M-16Vは健康な乳児から分離されたビフィズス菌で、当社の有望なプロバイオティクスとして研究開発が進められています。ビフィズス菌 M-16Vについては、これまでに低出生体重児において、正常な腸内細菌叢の形成促進、感染症発症の抑制、経腸栄養の早期確立、入院期間の短縮などの効果が示されております。また、アトピー性皮膚炎患児において腸内細菌叢を正常化し、アトピー性皮膚炎の症状を改善するなど抗アレルギー作用も示唆されています。これらの研究成果は、低体重出生児等の臨床試験を含めて計30報以上の科学論文において発表されています。今回、ビフィズス菌M-16Vは、米国における食品の安全性に関する認証制度であるGRASを、一般食品と育児粉乳の2つの用途で個別に取得し(GRAS Notice No. GRN453, GRN454)、その高い安全性が裏づけられました。
抗メタボ作用が期待されるビフィズス菌B-3(ビースリー® )に関しては、これまで動物試験において、体重や体脂肪の蓄積を抑制し、血糖値や総コレステロール値を低下させる作用などを報告しましたが、このたび外部医療機関と共同で、診察を受けている糖尿病患者を中心に、BMIが高めの人にビフィズス菌B-3含有食品を摂取させ、体重や体脂肪、血液指標に及ぼす影響について検討しました。その結果、ビフィズス菌B-3摂取群において体脂肪量の減少などが認められました。この結果を、第67回日本栄養・食糧学会大会(2013年5月、名古屋大学にて開催)にて発表しました。
また、ビフィズス菌以外に、免疫賦活作用が期待される乳酸菌として選抜されたモラック乳酸菌(MCC1849)の摂取が、インフルエンザウイルス感染を軽減するとともに、腸管での感染防御に寄与するIgA産生を促進することをマウスを用いた試験で確認し、日本農芸化学会2014年度大会(2014年3月、明治大学)にて発表しました。モラック乳酸菌(MCC1849)の免疫賦活作用は加熱殺菌した菌体で確認できたことから、生菌を利用できない食品や流動食への応用など、様々な分野での応用が期待されます。
さらにこれらの生理機能に関する研究以外に、基礎研究としてヒト腸管に棲息する種類のビフィズス菌と動物や昆虫の腸管に棲息する種類のビフィズス菌の潜在的な能力に違いの解明を目指した研究を進めており、ヒト腸管に棲息する種類のビフィズス菌は母乳との親和性が高いことやビタミン産生に優れていることを確認し、日本農芸化学会2014年度大会(2014年3月、明治大学)にて発表しました。
アロエベラに関する基礎研究では、光老化モデルマウスおよび乾燥肌女性を対象とした試験において、アロエステロール(R)含有AVGP(アロエベラゲルパウダー)摂取における肌指標への効果の検討を行いました。その結果、皮膚水分量の保持および抗シワ効果が認め、この結果を第31回日本美容皮膚科学会(2013年8月、神戸国際会議場にて開催)で発表しました。
当社は乳由来たんぱく質であるラクトフェリンに関する研究報告を1963年に初めて行ってから、2013年で50年目を迎えました。ラクトフェリンは、人などの哺乳類の乳汁や唾液などに含まれるたんぱく質で、抗菌・抗ウイルス活性や免疫調節作用などさまざまな生理機能を示すことが知られています。当社では50年にわたり、ラクトフェリンの様々な生理機能の研究を進めると共に、飲料、ヨーグルト、育児用ミルク、健康食品などへの応用、機能素材としての販売における学術支援、製造技術の確立、及び日本健康栄養食品協会、米国GRAS、欧州NOVEL FOODSなど各種規格化の推進を継続しています。2012年には、秋冬のノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数の増加を背景に、ノロウイルス感染性胃腸炎の罹患状況に関するアンケート調査を実施しました。その結果、100mg/本のラクトフェリン含有食品を、ほぼ毎日または週に4-5回摂取している人は、週1回程度摂取している人と比べ、医師の問診でノロウイルスの疑い、または検査でノロウイルス確定と診断された人の割合が有意に低いことが分かりました。この結果をラクトフェリン国際会議(2013年10月、イタリア・ローマで開催)で発表しました。
2013年10月に開催されたIDF World Dairy Summit 2013(横浜)では、乳および当社独自素材に関する科学、技術、栄養、機能性、分析技術について多数の研究発表を行いました。「GC/MSを用いたメタボロミクスに基づくチーズの親水性成分プロファイリング」、「妊婦および乳児へのBifidobacterium投与による新生児のアレルギー疾患の初期予防と腸内細菌叢への効果」というテーマでの特別講演会における2件の講演の他、17題のポスター発表を行いました。乳製品の技術に関する分野では、アイスクリーム、チーズ、乳飲料などの品質に及ぼす各種条件の影響に関する発表を行いました。また、栄養分野では、牛乳中エクソソーム、人工濃厚流動食や高度分解乳の栄養価と抗原性、さらに、ビフィズス菌の比較ゲノム解析を通じたヒト腸管に常在するビフィズス菌の特徴や、当社独自のビフィズス菌BB536に関する機能性研究に関する発表を行いました。他にも乳素材に関する独自の研究の一端として、ラクトフェリン、ラクチュロース、新規ACE阻害トリペプチドMKPなどに関する発表を行いました。
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