有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002B0R
株式会社あおぞら銀行 事業等のリスク (2014年3月期)
対処すべき課題メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当行が判断したものです。当行はこれらリスクの発生の可能性を認識したうえで、リスクの発生の回避および発生した場合への対応に努める所存です。
1.事業戦略におけるリスク
(1)事業戦略の推進に伴うリスクについて
当行は、安定的な収益構造を確立し、収益力の一層の向上と経営体制の強化を図るとともに、2013年2月27日に「あおぞら銀行のビジネスモデルについて」で公表いたしましたとおり、当行が有する「10の強み」を活かし「4つの柱」にフォーカスすることで経営資源の有効活用を図りつつ、行内の金融ノウハウを結集することによって、お客さまにとっての“頼れる、もうひとつのパートナーバンク”を目指す方針としております。事業戦略においては、マスアフルエント層を始めとしたシニア層のお客さまからの個人預金を資金調達の柱として、中堅中小企業を始めとする法人のお客さまの様々な事業金融ニーズに応えられる、高度な金融スキルを活用した課題解決型で付加価値の高い貸出業務展開に注力します。また、個人のお客さま向けには、投資信託・保険・金融商品仲介による運用商品をご提供し、法人のお客さま向けには不動産や事業再生等に関する各種の最適なソリューションをご提供する等、それぞれのお客さまのニーズに対応してまいります。更に、地域経済においては、地域金融機関との協業を通じて、中堅中小企業を始めとした地域のお客さまとのビジネスに積極的に取り組んでまいります。なお、当行が従来より得意とする不動産関連ファイナンス、事業再生ファイナンス、国内外の買収及びプロジェクトファイナンス業務等についても、引き続き注力していく方針です。しかしながら、このような事業戦略の推進に際しては、以下のようなリスクや課題があります。
• 今後注力していく事業分野において、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。
• 戦略の遂行に伴う経営資源の配分の見直しなどが成功しない可能性があります。
• 業務の推進においては、実務を遂行する人材を確保する必要がありますが、必要な人材を十分に確保できるとは限りません。
(2)中堅中小企業を始めとする法人のお客さまへの事業金融の推進におけるリスク
当行は、国内金融機関としての大切な使命である中堅・中小企業を始めとする法人のお客さまに対する資金の貸付その他信用供与の円滑化に努めるとともに、それぞれのお客さまの様々な事業金融ニーズに応じたテーラーメイド型で付加価値の高い金融ソリューションの提供を通じ、顧客基盤の拡充に注力しております。しかしながら、当行がこうした事業金融の推進を行うにあたっては以下のようなリスクがあります。
· 当行の基準に見合う顧客層との取引が期待通りに拡充できるとは限らず、当行が目指す国内事業金融資産の質、収益が確保できない可能性があります。
· 当行は法人顧客基盤が国内大手銀行グループよりも小さく、また営業拠点数、営業人員数も少ないことから新規の顧客獲得等に限界がある可能性があります。
· 国内の銀行業界における厳しい競争の結果、国内事業金融向け融資の収益性が当行が考えるリスクとの対比において十分な水準でない可能性があります。
· 国内外における経済環境の悪化が生じた場合には、当行を取り巻く環境や将来の業績に悪影響を与える可能性があります。また、そのような局面においては、管理回収等の強化に伴う人的リソースの配分等により、注力分野の活動に制約が生じる可能性があります。
・当行が注力している中堅・中小企業向け融資は、一般的に、大企業向け融資に比べ信用リスクが高い可能性があります。
わが国においては、超低金利環境が継続しており、オーバーバンキングによる厳しい競争の結果、当行の事業法人貸出においてリスクに対応した適正なプライシングを行うことが困難な状況があります。当行は、お客さまとの信頼関係を維持し、付加価値の提供による付帯取引を獲得することによる総合的な収益性の確保に努めております。そのため個々のサービスとしての貸出においては、信用リスクや格付に対応した利鞘より低い利鞘で貸出を行うことがあります。
(3)リテールバンキング業務の拡充に伴うリスク
当行は、従来より、マスアフルエント層を始めとしたシニア層のお客さまへの様々な金融商品の提案等を通して、お客さまの中長期の資産運用のお手伝いをさせていただいております。資金調達の面では、2014年3月末の個人のお客さまによる当行の預金、譲渡性預金及び債券が調達に占める割合は約64%程度で安定的に推移しており、リテール部門は当行の資金調達基盤の中核となっております。
当行は、今後も積極的にリテール部門に経営資源を投入し、リテール部門の一層の強化を図っていく方針ですが、以下の通り、当行がリテールバンキング業務拡充の計画を成功裡に達成できない可能性があります。
·当行は、行内の配置転換や外部採用等を通じて、お客さま担当の営業員を優先的に増員し、また人材開発プログラムの導入等を通じて、質・量ともにコンサルティング力の強化に努めていく方針ですが、お客さま担当の優れた営業員を想定通りに増員することが出来なかったり、人材開発プログラムの導入が必ずしもコンサルティング力の強化に結びつかない可能性があります。
·当行は、競合他金融機関と比較して支店数が少なく、またインターネットバンキング展開においても後発であり、顧客基盤も小さいことから、顧客の獲得やあおぞらブランドの確立が容易ではない可能性があります。
·リテールバンキング業務の拡充には、大量の取引を効率的に処理するためのシステムによるサポートが不可欠であり、システムの充実に多大な経営資源と時間を要する可能性があります。
·当行が提供する商品・サービスの種類・条件について他金融機関との差別化が難しくなり、必ずしも預かり資産の量の拡大、収益の拡大に結びつかない可能性があります。
·システムトラブルが発生した場合、想定外の復旧コストを要する可能性があるほか、レピュテーションに悪影響を与える可能性があります。
上記のような事情からリテールバンキング業務を拡充できない場合、収益源及び資金調達源の多様化が十分に実現できず、当行の財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外業務に関連するリスクについて
当行は、従来より、海外拠点等を通じて北米・アジア地域等における市場や顧客ニーズ等の調査、研究を進めてまいりました。当行の培ってきたこれらのノウハウ等を活用することによって、適切なリスク管理に基づき海外業務へ選択的に取り組む方針としております。当行における海外業務の遂行については、以下のリスクや課題があります。
• 社会的、政治的、経済的な環境の変化や各国の税制及び規制環境の相違(特に金融サービスや直接投資に関するもの)に起因するリスク。
• 金利及び為替変動に関連する取引にかかるリスク。
• 商品ノウハウと各々の市場に対する知識を有する人材を確保できないリスク。
• 海外投融資に関する資産の管理を主として当行本店において行うため、現地における政治経済状況、法制、規制あるいは税制等に関する情報の入手が遅れる等、必要な対応に支障が生じるリスク。
(5)地域金融機関が重要な顧客基盤であることについて
当行は、従来から多くの地域金融機関に対して、資金運用やリスク管理のニーズに応じた金融商品の提供のほか、地域金融機関の取引先である中小企業への共同支援や地域企業再生支援等、多様な商品・サービスを提供してきております。当行は、かかる取引関係において、同業他社との競争上優位性を確保していると考えており、地域金融機関に対する商品・サービスの提供を一層充実させるとともに、地域金融機関の「戦略パートナー」として、地域金融機関のネットワークと個別業務分野における当行の強みを融合し、相互に機能補完する独自のビジネスモデルの展開を目指していく方針です。しかしながら、かかるビジネスモデルが有効であるとの保証はなく、また、金融環境の変化その他の要因により、今後この分野における競争力を失った場合には、地域金融機関との取引の規模及び収益の成長が鈍化し、更には縮小する可能性があります。
(6)先進的な商品とサービスの投入について
当行の戦略は、すべての商品分野において他金融機関と競合することではなく、他金融機関にはない差別化された先進的な商品・サービスを開発し、投入することにより、主要顧客層である中堅・中小企業のお客さま向けの業務や地域金融機関との協働によるビジネスを拡大し、収益を獲得していくことであります。また、デリバティブ取引やリスク管理といった分野での先進的なノウハウを活用した商品・サービスにも力を入れており、個人のお客さまに対してもデリバティブ内蔵型の各種預金商品を提供しています。当行は、従来より、お客さまのニーズに合わせた独自の商品性を持った商品・サービスの投入により、新商品戦略において一定の成果を上げているものと考えております。
しかしながら、将来投入される商品・サービスが同じように顧客から認知される保証はありません。また、競合他金融機関が、当行と同様の顧客層をターゲットに、当行と同様の商品・サービスの提供を開始する等、競争の激化により、当行の商品の先進性・独自性が失われ、収益性が低下する恐れがありますが、その際に、当行が競争力の低下した商品・サービスに替わる新たな商品・サービスを継続的に供給し続けられるという保証はありません。
また、かかる先進的な商品・サービスの導入は、当行にとって、当行が経験したことのない又は経験の少ないリスクや課題をもたらす可能性があります。加えて、かかる先進的な商品・サービスへの過度な集中や依存は、当該商品・サービスの状況により、当行の業績及び財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
(7)組織の変更について
当行では、随時、不定期に組織を変更することがあります。組織の変更は、経営環境の変化、あるいは、経営戦略の見直しに合わせ、一定の目的・狙いの下に実施されますが、結果として、新しい組織による運営が定着しない、あるいは、組織変更に伴う混乱等により業務運営が非効率となるなど、組織変更の目的・狙いが期待通りに実現できない可能性があります。
(8)業務・資本提携などアライアンス推進に伴うリスク
当行は、長期的な視野における企業価値向上のため、戦略的な提携や合併・買収など資本政策を含めたさまざまな方策の検討を行っていく方針です。しかしながら、こうした提携や合併・買収が収益の拡大・企業価値の増大に寄与するという保証はありません。
合併や買収等の場合、統合作業の過程において一時費用が発生しますが、企図した統合成果が上がらず、結果として、検討又は統合等に要した費用、投資資金を回収できない可能性があります。また、提携についても、国内外における経済環境の変化等により、企図した効果があがらない可能性があります。更に、当行は提携業務の推進、買収事業の統合・展開において中核となるべき人材集団の確保などの問題、その場合の通常の営業における人員確保の問題、営業アクティビティの低下に直面する可能性があります。
(9)子会社・関連会社の業務に関するリスク
当行は子会社において信託業務、証券業務、サービサー業務などの金融サービスにかかる事業を行っており、これら子会社の業務の中には、銀行業とはリスクの種類や程度の異なる業務も含まれています。当行は、こうした業務に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備するよう努めておりますが、当行の想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
2.信用リスク
(1)不良債権残高及び与信関連費用の増加について
当行は、個別の与信先について信用状態を継続的にモニタリングするとともに、信用状態の悪化が懸念される場合には貸出金の劣化に対する予防策を講じるよう努めておりますが、以下のような要因により、当行の不良債権残高や与信関連費用が増加する可能性があります。
· 当行の予想以上に内外経済が悪化した場合。
· 債務者が属する特定の産業の状況が悪化した場合。
· 債務者の個別事情により、債務者の業績が当行の予想を下回った場合、あるいは、不測の事態により債務者の業績が悪化した場合。
· 当行の予想以上に、債務者の経営再建計画が成功裡に実行されず信用リスクが高まる場合や、あるいは、金融機関による支援の打ち切り等により再建中止が余儀なくされる場合。
· 当行の予想を上回る不動産市況の悪化等により裏付資産の価値が下落し、債務者の信用力が低下した場合。
(2)特定先及び特定業種への集中リスクについて
当行の大口債務者上位10先に対する貸出金は、2014年3月末時点の単体ベースの貸出金残高の約12%を占めており、大口債務者による債務不履行があった場合、又は大口債務者の一部若しくは複数との関係に重大な変化が生じた場合には、当行の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
当行は、国内の不動産業に対する貸出(不動産ノンリコースローンを含む)が2014年3月末現在、単体ベースで貸出全体の約25%を占め、また、不動産担保により保全されているその他の業種に対する貸出もあります。当行の貸出資産は不動産市況や不動産業界の動向により影響を受け、不動産市況の悪化や不動産業界全体が低迷した場合には、不動産で担保されている保全額の減少や、不動産業界の債務者の信用力の悪化から、追加的な引当金が必要となったり、追加的な与信コストが発生する場合がありえます。不動産ノンリコースローンは、2014年3月末現在、当行の単体ベースの貸出残高の約15%を占めております。不動産ノンリコースローンは、債務者の信用力ではなく、対象不動産から生じるキャッシュフローをその返済原資として債務の履行を担保するもので、当行は、不動産賃料、空室率及び地価等のキャッシュフローに影響を及ぼす主なリスク要因等をモニタリングすることにより、リスク管理を行っております。しかしながら、不動産市況の悪化等により、対象不動産からのキャッシュフローが当行の予想を超えて悪影響を受ける場合には、損失を被る可能性があります。2014年3月末現在、国内における不動産ノンリコースローンのポートフォリオの約76%は、東京に集中しております。東京における不動産の価値が下落した場合には、当行の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
なお、上記の他、海外向け貸出において北米向けを中心とした不動産ノンリコースローン等の不動産業向けの貸出を行っておりますが、海外における不動産市況の悪化等により、当行の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(3)貸倒引当金が不十分となるリスクについて
当行は、過去の債務不履行発生状況、与信先の財務状況および保有する担保の価値ならびに景気動向に対する前提及び見通しなどに基づいて貸倒引当金を計上しております。特に、今後の管理に注意を要する大口の与信先等については、経済環境の悪化により貸倒費用が増加する可能性も勘案し、予防的に貸倒引当金を追加するなど、十分な水準の貸倒引当金を計上しております。しかしながら、当行の想定を超えて経済環境が悪化する等、当行の前提及び見通しを変更する必要が生じた場合、当行の与信先の財務状況が当行の想定を超えて悪化した場合、当行が保有する担保の価値が下落した場合、あるいは、その他の要因により予想を超えて当行に悪影響が及んだ場合、当行は貸倒引当金を増加させる必要が生じる可能性があります。
(4)海外向けエクスポージャーに関するリスク
海外において、財政状態の悪化や政治・経済の混乱等により、国・地域が債務不履行に陥る、あるいは、債権者に対して債務の再編や期限の延長等の支援を要請することを余儀なくされる場合、当行が保有するソブリンを含む海外向けエクスポージャーに悪影響がおよび、結果として当行の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。なお、現状においては、当行の海外向けエクスポージャーの大部分は、北米及びアジア向けであり、アイルランド、ギリシャ、スペインを含む厳しい財政状態にある欧州諸国に対するエクスポージャーは限定的です。
3.市場リスク
(1)トレーディング及び投資業務における市場リスクについて
当行は、国内及び海外の債券、ファンド(ヘッジファンドを含みます。)、デリバティブ取引を含む多様な金融商品への投資・運用およびトレーディングを行っております。こうした業務からの収益は、金利、為替レート、債券価格、及び株式市場の変動等により影響を受けます。一例をあげれば、金利の上昇は、一般的に当行の債券ポートフォリオの価値に対して悪影響をもたらすこととなります。更に、当行が保有している国債その他債券について信用格付が格下げされた場合や債務不履行となった場合、また、これらの流動性が著しく低下してポジション調整が困難な場合には、当行の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当行は、こうした業務において、意図せざる損失の発生を回避するべく、自らの体力に見合った健全なリスクテイクを逸脱せぬよう、管理体制の整備に努めております。しかしながら、例えば、当行では損失を限定するためにロスカット・ルールを設定しておりますが、市場がストレス環境にあるような状況では、ポジションを思うように縮小することが出来ず、損失を想定した範囲に限定することが出来なくなる場合があります。また、金融政策の変化その他の要因により、市場が当行の予想を超えて変動した場合、当行は予測を超えた損失を被る可能性があります。
(2)ローン債権等に対する投資に関連するリスクについて
当行は、債権売買取引及び証券化ビジネスにおいて、事業法人向けローン、住宅ローン、売掛債権、リース債権、不良債権及び仕組商品を含む様々な資産を取得し、それらの回収、売却、証券化等を行う際に、特定の種類の証券や信用リスクを有する特定資産を保有することがあります。当行が保有する資産やそれらの価値、市場規模、環境などは常に変化するため、こうした業務は本質的に環境に左右されやすい性質を有しております。当行保有資産の期待収益率が低下した場合、当行の業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
4.流動性リスク
(1)資金流動性リスク
当行の多くの調達資金は順次満期を迎えるため、当行は、継続的に預金を受け入れ、債券を発行し、既存債務の借換を行い、また継続的に一定割合を短期資金で調達する必要があります。当行は、資金調達方法を分散・多様化させることにより、資金調達の安定性の確保・向上に努めておりますが、流動性リスクを完全に回避することはできません。これらの債務が、市場環境が不安定な状況において満期を迎えた場合、当行が許容できる条件で十分な資金を調達できるという保証はなく、借換が首尾よくいかなかった場合には、当行の業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、当行の業績又は財政状態の悪化、信用の低下、格付機関による格下げ等のほか、外貨資金調達における制約、景気動向の悪化や金融システム全般の不安定化等により、当行が、営業上許容できる水準の利率で預金を獲得することができない場合や当行の流動性が制限された場合、当行は必要な資金を確保するために、より高い資金コストを負担し、あるいは、資産を圧縮すること等の対策をとる必要が生じ、業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
なお、当行は2006年4月に普通銀行に転換したことにより、2016年4月に金融債を発行できなくなりますが、近年、当行は個人のお客さまからの預金による調達の強化に注力しており、金融債による調達への依存度は低下してきております。2014年3月末時点において、当行のコア調達(預金、譲渡性預金及び債券の合計)に占める個人のお客さまからの調達比率が約64%となる一方で、負債残高に占める金融債の比率は約5%となっております。
また、バーゼル銀行監督委員会から、2010年12月に「流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」の文書が公表され、流動性規制に関する基準やモニタリング手法等が提案されています。観察期間中を通じて見直しが行われる予定ですが、この規制により、将来的に当行の調達構造に影響が及ぶ可能性があります。
(2)市場流動性リスク
当行は、市場で取引される様々な資産やデリバティブを保有しておりますが、市場の混乱や取引の厚みの不足等により、市場での取引を行うことができない、または、著しく不利な価格での取引を余儀無くされることにより、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
5.自己資本にかかるリスク
(1)自己資本比率規制について
当行は、2014年3月末時点において連結自己資本比率15.13%(バーゼルⅢ国内基準ベース)と高い自己資本比率を維持しております。当行は現在、国内基準に基づき、4.0%以上の自己資本比率を維持することが求められておりますが、海外での銀行業務の開始が認められる場合には、国際統一基準に基づき8.0%以上の自己資本比率を維持することが求められます。自己資本比率を維持できなくなった場合、行政措置が課され、当行の業務遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。将来、当行の自己資本比率に影響を及ぼす可能性のある要因には以下の事項が含まれます。
• バーゼルⅢによる自己資本比率規制の強化については、当行を含め国内基準行に対しては、2014年3月から段階的に導入されており、グランドファザリング措置(既存の取扱いを一定期間認める措置)の期間を経て2029年3月より完全実施となる予定です。こうした自己資本比率規制の強化により、当行の自己資本比率が現行水準より低下する可能性があります。なお、国際統一基準行に対して2013年3月から段階的に導入されており、グランドファザリング措置の期間を経て2019年3月より完全実施となる予定です。また、わが国における実施が未決定であるバーゼルⅢの項目として、資本保全バッファーの導入、レバレッジ比率規制の導入がある他、更なる規制強化もバーゼル銀行監督委員会において検討されております。
· 上記のとおり、現状当行は十分な水準の自己資本比率を維持していますが、今後魅力的な買収・合併機会がある場合には、当行はそうした買収・合併の機会を追求するべく追加資本を積み増す必要が生じる可能性があります。
• 当行は、公的資金の全額返済に向けた計画(資本再構成プラン)を進めております。2013年6月には、その他資本剰余金を原資とする特別優先配当(毎年205億円)による分割返済を開始いたしました。将来における公的資金の返済により、当行の自己資本比率は現行水準より低下する可能性があります。当行は、資本再構成プランを策定するに当たっては、安定的な自己資本比率を維持する観点から、当行の将来における利益剰余金の見込額に加え、配当性向の連結当期純利益の40%への引き上げ及び特別優先配当による公的資金の分割返済が当行の資本に与える影響を考慮しましたが、将来における当行の利益水準、リスク・アセット水準の変動その他の要因によっては、当行の自己資本比率が当行の想定を下回る可能性があります。
6.オペレーショナル・リスク
(1)リスク管理体制について
当行の業務の遂行には、オペレーショナル・リスクが伴います。オペレーショナル・リスクは、不適切な内部処理、役職員の過失や不正行為、システムの障害及びその他の外部で発生する事象等、様々な形で顕在化する可能性があります。また当行には法律・規制に関するリスクも存在します。当行はリスク管理体制の構築に多くの経営資源を投入し、適切なリスク管理態勢の構築に努めており、オペレーショナル・リスク管理についても、必要なデータやリスクの顕在化事象を把握し、アセスメントを実施してリスクを特定、評価し、リスクをモニタリング、削減、コントロールする態勢を整備しております。しかしながら、結果的にこの態勢が有効に機能せず、リスク管理が十分に効果的なものとはならない可能性があります。業務分野の拡大、新規分野の取り組みや環境変化等に応じた適切なリスク管理体制を構築できず、当行が予想外の損失を被る可能性があります。
(2)能力のある従業員の雇用について
当行は、当行の事業戦略を遂行する上で、豊富な経験と専門的な知識を有する従業員を雇用することが重要と考えております。また、当行は従業員に対し、各業務分野での研修を実施し、従業員の知識・能力の向上に努めております。しかしながら、ビジネスやITその他の分野における高度な能力をもった人材の確保は、他の銀行に加え、投資銀行、その他の金融サービス業者とも競合しており、当行が有能な人材を採用・育成し、且つ定着させることができるとは限りません。
(3)重要な経営陣への依存について
当行では、経営陣の業務遂行についての能力が今後の当行の事業の成否に関する重要な要因となるものと考えております。これらの経営陣が退社することにより、当行の事業遂行が悪影響を受け、また事業戦略の実施能力が低下する可能性があります。
(4)システム障害リスクについて
当行では、お客さまへのサービス提供や当行自身の業務管理、情報管理のため様々な情報システムを運営しております。これらの情報システムの安定的な稼動を確保するため、複数年度のIT投資計画に沿って、新規・更新投資や機器等の保守を実施しているほか、各情報システムの重要性等に応じたバックアップの取得や機器・回線の二重化等の対策を講じるとともに、不測の事態に備えたコンテンジェンシープランを策定しております。しかしながら、情報システムの新規開発や改修・保守作業における人為的な過失、事故等により、システム障害が発生し、場合によっては情報システムが適切に稼動しないリスクや、内部統制の維持や会計帳簿及び財務諸表の作成に関して問題が発生するリスクがあります。
また、当行は、2013年7月30日開催の取締役会において、中期的戦略の一環として、今後のビジネス戦略をより発展させるため、株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営を予定している基幹勘定系システム(勘定系、外接系、外為系)アウトソーシングサービス「BeSTAcloud」を次期勘定系システムとして採用して現行の基幹勘定系システムを更改することを決定し、新システムの構築を進めております。新システムは、基幹勘定系システムの基盤および運用を株式会社エヌ・ティ・ティ・データに委託することとしております。かかる基幹勘定系システムの更改にあたっては、現行システム環境から新システム環境にデータを移行し、運用することに伴うリスク(想定を上回る費用が発生するリスク、並びに導入時に新システムが内部統制の維持や会計帳簿及び財務諸表の作成において正しく作動せず、又は新たな問題若しくは脆弱性を発生させるリスク等)に直面する可能性があります。
当行は、情報システムセンターは東京都内に、バックアップセンターを東京都江東区に設置し、重要な情報システムに係る機器等の二重化を実施しておりますが、首都圏に地震が発生した場合、情報システムセンターとバックアップセンターの両サイトが被災するリスクがあります。当行の情報システムは、予備設備を備える等の冗長化対策が施されておりますが、これらの機能が十分であるという保証はありません。更に、当行のバックアッププランは、サービスの中断時に生じる恐れのある偶発事象に対処できるものではない可能性があります。
当行の情報システムの動作不良は、自然災害やその他の理由にかかわらず、顧客との関係を毀損し、訴訟や行政処分を招来し、また、その他の理由により当行の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(5)外部業者により提供を受けている重要なサービスについて
当行は、業務にとって重要である多くのサービスについて外部業者を利用しております。外部業者の利用に際しては、妥当性の検証、外部業者の適格性検証、利用中の継続的な外部業者管理等の方策を講じておりますが、地震その他の自然災害やその他の事情により、それらの外部業者のサービスが停止した場合、又はそれらのサービスに問題が生じた場合に、当行が同様の条件で同種のサービスをタイムリーに提供できる外部業者を見出すことができるとは限りません。その場合、当行の営業が中断し、当行の業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、業界又はその他の状況の変化により、外部業者が当行に対するサービスの料金を引き上げることも考えられ、その場合には、当行の業績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)個人情報等の流出等のリスクについて
近年、企業や金融機関が保有する個人情報等の流出という事態が、数多く発生しています。当行では、個人情報等の流出等防止のためのさまざまな方策を講じておりますが、当行が保有する個人情報等について、役職員等若しくは委託先の人為的なミスによる流出又は内部若しくは外部からの不正アクセスが発生し、流出した情報が不正に使用されることを完全に防止することはできません。こうした事態が発生した場合、当行はその責任を負い、民事責任等を問われ、あるいは、監督機関の処分を受ける可能性があります。更に、そうした事故が発生することにより、当行の業務及びブランド力に対する評価や当行に対する顧客や市場の信認に悪影響が及ぶ可能性があります。
(7)災害等に対する危機管理及び業務継続に関するリスク
地震、台風等の自然災害や事故、テロ等による被災、新型インフルエンザ等感染症の流行や放射能汚染などの外的要因等により、当行グループの機能の全部又は一部が停止するおそれがあります。
当行は、かかる事象が発生した場合においても、業務継続を可能とすべく業務継続計画等を策定し、バックアップオフィスの構築等危機管理体制整備を行うとともに、継続的に実効性向上を図るよう努めております。
しかしながら、かかる努力によってもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当行グループの業務運営、業績及び財政状態への悪影響を回避しきれない可能性があります。
(8)人事上のリスク
当行では、中長期の経営戦略の方向性や年度の業務運営計画を踏まえて人員計画を策定していますが、当行を取り巻く経済・業務環境に大きな変化が生じた場合には、業務の運営と合わせて人員計画についても見直しが必要となります。また、当行は、各従業員に対する公平な評価・適切な処遇の実施に努めていますが、すべての従業員がその結果に納得するとは限りません。以上を含め、今後の業務展開に大きな変動が生じる場合には、当行グループにおける人事組織運営において支障が生じる可能性があります。また、業務遂行上必要な要員が不足する場合には、当行グループの業績及び財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
7.法務コンプライアンスに関するリスク
(1)係争中の訴訟について
当行は、当行グループ全体の訴訟について一元的に管理を行い、グループの法務リスクの極小化に努めており、現在のところ経営に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟案件はありません。しかし、当行グループは銀行業務を中心に各種金融サービスを提供しており、このような業務遂行の過程で、損害賠償請求訴訟等を提起されたり、損害に対する補償をしたりする可能性があります。このような訴訟等の動向によっては、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)法令遵守違反発生に伴うリスクについて
当行は、法令等の遵守を徹底し、業務の適法性とともに適切性を確保するために、グローバルベストプラクティスのコンプライアンスを実現することを最優先とする企業文化の構築に取り組んでいますが、必ずしもこのような取り組みのすべてが有効に機能するとは限りません。お客さま情報の管理不備その他の事情に起因して、各種規制法の違反が発生するおそれや、お客さまとの多面的な取引の展開が優越的地位の濫用とみなされるおそれもあります。このように今後仮に法令違反等が発生した場合には、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)金融犯罪発生のリスクについて
当行は、口座を開設され取引を行うお客さまの本人確認を厳格に行い、お客さまに振り込め詐欺の注意喚起をするなど、口座不正利用を防止することにより、お客さまの取引の安全と口座の保護に取り組んでいます。また、新規の取引に先立ち、反社会的勢力等との関係等に関する情報の有無を確認するなど、反社会的勢力とのあらゆる取引を排除すべく必要な手続きを行っています。しかし、当行の厳格なチェックにもかかわらず、反社会的勢力との関係を持つ者が口座を開設するなどの可能性があり、またこれらの者等が自らの口座を詐欺的に使用したり、資金洗浄や租税回避行為又は他の不正行為を行う可能性もあります。また、大規模な金融犯罪が発生した場合には、その対策にかかるコストやお客さまへの補償のほか風評等により、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)従業員または外部者による不正や過失等によって損失が発生する可能性について
当行は、上記のリスク以外にも、当行の従業員又は外部者による不正、懈怠及び過失によって損失を被る可能性があります。当行では、従業員に対して社内規定等の適正な運用の徹底を図っておりますが、当行の従業員が、あらかじめ許容された範囲を超え、また、許容できないリスクのある取引を実行したり、規定等に反する行為を隠蔽したり、秘密情報を不適切に使用・漏えいしたり、顧客に対する詐欺的誘引行為又はその他顧客の信頼を損う行為を行う可能性があります。また、盗難若しくは偽造されたキャッシュカードが使用されることによって、当行が顧客に対する賠償責任を負担する可能性なども存在します。従業員又は外部者による不正や過失等を防ぐため、当行では、コンプライアンス体制を強化しておりますが、このような行為の結果、当行が行政上その他の制裁を受け、又は当行の評判が毀損される可能性もあります。
8.当行の財務に関するリスク
(1)信用格付の低下が当行の業績に悪影響をもたらす可能性について
格付機関により当行の格付が引下げられた場合、インターバンク市場での短期資金調達あるいは資本調達等においてより不利な条件で取引を行わざるを得なくなる若しくは取引そのものが行えなくなる可能性があります。また、デリバティブ取引等の一定の取引行為が制限され若しくは行えなくなる可能性があるほか、現在締結しているその他の契約を解消される可能性もあります。このような事象のいずれもが、当行の財務や業務の執行に悪影響を与え、業績や財政状態に不利な影響を与える可能性があります。
(2)退職給付制度及び年金資産に関連するリスクについて
当行の年金資産の時価が下落した場合や、年金資産の長期期待運用収益率が低下するなど退職給付債務に関する予測計算の前提条件に変更が生じた場合には、退職給付費用が増加する可能性があります。また、当行の退職給付制度の変更により、退職給付債務が追加的に発生する可能性がある他、金利状況の変化や会計基準の変更その他の要素によって、退職給付債務が増加したり、年度ごとの退職給付費用が増加する可能性があります。
(3)繰延税金資産に関するリスク
当行では、繰延税金資産は概ね将来5年間の課税所得の見積額等に基づき計上しております。将来、実効税率引下げ等の税制改正や課税所得の見積額の変更等によって繰延税金資産の取崩しが必要となった場合に、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
9.日本の金融サービス業界に関連するリスク
(1)日本及び世界の経済状況が自然災害によるものを含めて悪化することで当行が受ける悪影響について
当行の業績は、日本国内だけでなく世界的な金融経済環境の状況に大きく影響されます。2007年の米国サブプライムローン問題等に端を発した世界的な金融・経済問題や、2010年以降の欧州政府債務危機問題、並びに2011年3月の東日本大震災等を経て、現在は先進国を中心に緩やかな回復を見せており、今後一段の改善が見込まれています。わが国においても、消費税率の引上げ等による悪影響はあるものの、金融・財政・成長戦略の効果や景況感の改善等に支えられ、一層の景気回復へ向かうことが期待されます。一方で、欧州債務問題の再発や中国をはじめとする新興国・資源国経済の成長鈍化等により、海外景気が下振れするリスクがあり、国内外の経済は依然として先行きに不透明な部分が残されています。
このような環境下、日本及び世界の金融市場や経済の状況が自然災害による原因も含めて再び悪化し、又はその回復が遅れた場合、金融資本市場における信用収縮の動き、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動、景気の停滞や悪化に伴う地価や株価の下落、企業倒産や個人の破産の増加等により、貸出資産の劣化や業務の停滞が生じ、当行の資金調達や業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(2)日本の金融サービス市場の競争激化について
わが国の金融サービス市場の競争環境は厳しさを増しております。当行は、数多くの金融サービス企業と競争関係にあり、当行に比べ優位に立つと考えられる企業も存在しております。当行の主要な競争相手には以下のものが含まれると考えております。
· 国内大手銀行グループ:三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ及び三井住友フィナンシャルグループは、資産、顧客基盤、支店数、及び従業員数などの様々な面において、当行に比べ相当に大きな規模を有しております。また、これらの銀行グループは、子会社又は関係会社として証券会社をはじめとした様々な機能を有しており、当行同様その収益源を多様化する戦略を採っています。
· 主要な投資銀行:国内外の投資銀行との間でも当行は、コーポレートアドバイザリー業務及び投資業務などさまざまな事業分野において、競争関係に立っています。
· その他の金融機関:信託銀行、りそな銀行、新生銀行、シティバンク銀行、インターネットバンク及び地方銀行等が含まれます。
· ゆうちょ銀行、政府系金融機関:日本郵政公社から貯金業務を引き継いだゆうちょ銀行は依然としてわが国最大の預貯金総額を有しております。この他、当行は日本政策投資銀行等の政府系金融機関とも競争関係にあります。
· その他の金融サービス提供者:当行又は当行の子会社、関連会社は、債権回収会社等、プライベート・エクイティ・ファンド及びその他の金融サービス業者とも競争関係にあります。
当行は、国内金融サービス市場をめぐる競争の一層の激化、統合の進展を予想しており、当行が現在又は将来の競合他社と効果的に伍していけるという保証はありません。これまで当行は、貸出やシンジケートローン、DIPファイナンス及びコミットメントラインの供与、投資信託の販売等で手数料等の収入を増加してまいりましたが、競争の激化がこれらの手数料の低下を招き、収益の低下を招く恐れもあります。また、当行は貸出金利及び預金金利の面でも競合他行と競争関係に立たされており、競争の激化が貸出金利の低下及び預金金利の上昇を促し当行の収益性を圧迫する可能性もあります。
(3)金融機関として広範な規制に服していることについて
当行は、金融機関として、広範な法令上の制限及び政府機関による監督を受ける立場にあります。更に、当行並びに当行の子会社及び関連会社は、金融当局による自己資本比率規制その他の銀行としての業務規制に加えて、「経営の健全化のための計画」の履行状況についてモニタリングを受けるほか、銀行業以外の業務範囲についての制限を受けており、こうした制約から、ビジネスチャンスに対し適時に対応することが困難となる可能性があります。
当行は、業務全般及び貸出資産分類に関して金融庁などの政府機関により検査を受けております。仮に当行が、関連法規及び規制の違反を犯したような場合には、行政処分の対象とされ、また当行の評価が悪影響を受ける可能性があります。
(4)各種の規制及び法制度等の変更について
当行は現行法による規制に従って業務を遂行しておりますが、当行が国内外において業務を行うにあたって適用されている法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制等が変更された場合には、当行の業務運営に影響を与え、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。しかし、これらの事項の変更及びそれによる影響を予想することは困難であり、当行がコントロールしうるものではありません。
金融庁及びその他の監督当局は、銀行がお客さまに提供しているデリバティブ商品やこれに類するリスク特性を持つ複雑な投信・仕組債・仕組預金などのデリバティブ関連商品の販売に関する監視や調査を近時強化するとともに、規制上及び監督上の追加措置もとっています。銀行は、従来より、リスク性商品全般の販売に際しては、お客さま毎の金融知識、経験、財産の状況及び取引目的に応じて商品の性質や詳細について適切な説明を行ってまいりましたが、デリバティブ関連商品については、一般に、普通の預金や有価証券取引等に比べ、商品の仕組が複雑であるとともに、普通の預金や有価証券取引等とは異なるリスクが伴うため、より一層お客さまのニーズや属性に即したきめ細かな販売運営態勢の確保が必要となっています。また、現状の法規制におけるこの種の金融商品の取扱いには必ずしも明確でない部分がある可能性もあります。今後、更に、このような法規制又は金融庁の指導に対応していく結果として追加のリスク管理が必要になる場合には、当行の経費負担が増加する可能性があります。このような追加で必要になる管理もその性質によっては、当行の業務範囲を制限することにもつながる可能性があり、結果として当行の業務や業績及び財政状態にも悪影響を及ぼす可能性もあります。
(5)金利変動によるリスクについて
当行の収益は、貸出金、有価証券等の有利子資産による資金運用収益と、預金、債券等の有利子負債にかかる資金調達費用との差額である資金利益による部分が大きな割合を占めます。有利子資産と有利子負債では満期や金利設定条件等が異なるため、金利の変動は、有利子資産による資金運用収益と有利子負債にかかる資金調達費用に対し同等の変化をもたらすとは限らず、金利の変動により、当行の収益性が悪影響を受ける可能性があります。また、金利が上昇した場合には、貸出金への需要が低下する可能性がありまた、変動金利で借り入れている債務者の一部に、増加した金利負担に耐えられなくなる債務者が現れ、不良債権の増加をもたらす可能性があります。このような状況は、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
10.当行の株式に関するリスク
(1)政府が当行の経営に影響を及ぼすリスクについて
2014年3月末現在、当行が発行している第四回優先株式は預金保険機構が24百万株を、第五回優先株式は株式会社整理回収機構が214百万株をそれぞれ保有しており、政府が公的資金の注入行である当行の経営に実務的な影響力を行使する可能性があります。加えて、定款の変更、他社との合併等の優先株主に重大な影響を及ぼしうる事項については、各優先株主の承認が必要となる場合があり、また、当行が優先株主に対し、優先配当を支払わなかった場合には、優先株主は普通株主と同等の議決権を有することとなります。
これらの優先株式については、その条件に従い現在普通株式を対価とする取得請求が可能であり、更に、2022年に、当行普通株式を対価として当行による一斉取得が行われることとなっております。当行は「資本再構成プラン」にしたがって、第五回優先株式に係る特別優先配当を実施することにより、公的資金を2012年から最長10年間で分割返済することとしております。この特別優先配当の実施により、公的資金の要返済額の残高は減少しますが、上記の取得請求権の行使により優先株主が取得する普通株式数には影響がありません。優先株式に係る取得請求権の行使により、優先株主は普通株式406,465,726株を取得することができます。資本再構成プランに関連して、当行は預金保険機構との間で、当行が第四回優先株式及び第五回優先株式を公的資金の要返済額の残高に相当する価格でいつでも買い戻すことにより公的資金を早期に返済することができる旨を定める契約を締結しており、当行は、優先株式の価値がかかる残高を上回る等、一定の条件が満たされた場合、財務の健全性及び市場の安定性を慎重に考慮した上で、公的資金を早期に返済することを予定しています。2005年10月28日に金融庁及び預金保険機構から公表された公的資金の処分についての考え方において、「公的資本増強行自らの資本政策に基づく処分を基本としつつ、あわせて優先株式の商品性やその時点での株価の状況等を踏まえ、適切かつ柔軟な対応を行いうるようにしておく」旨、述べられていることから、当行は、当行による優先株式の買戻し前に政府が普通株式を対価とする取得請求を行うことはないものと考えています。しかしながら、当行が優先配当を継続して支払うことができなかった場合、又はその他金融庁の現在の若しくは新たな方針に基づき政府が普通株式を対価とする取得請求を行うことを検討する状況が生じた場合、普通株主には株式の希薄化が生じるおそれがあるほか、議決権を有する普通株式の保有を通じて政府が当行の経営に影響力を行使する可能性があります。
当行は、「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」に基づき、公的資金の注入行として「経営の健全化のための計画」を定期的に策定し、履行状況の報告を行う必要があります。当行が当該計画における目標を達成することができなかった場合、金融庁は当行に改善のための措置を講じるよう求める可能性があります。
11.財務報告に係る内部統制に関するリスク
当行は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した「内部統制報告書」の提出、及びその評価内容について監査法人の監査を受けることが求められております。
当行グループは、財務報告に係る内部統制の整備・運用を行っており、有効性を評価する過程で発見された事項は速やかに改善するよう努めております。
しかしながら、改善が不十分な場合や経営者が内部統制を有効と評価しても監査法人が開示すべき重要な不備があると評価するような場合があり、当社グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
12. 風説・風評の発生による悪影響
当行や金融業界等に対して、その信頼を毀損するような風説・風評が発生し拡散した場合に、当行の株価や業績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
1.事業戦略におけるリスク
(1)事業戦略の推進に伴うリスクについて
当行は、安定的な収益構造を確立し、収益力の一層の向上と経営体制の強化を図るとともに、2013年2月27日に「あおぞら銀行のビジネスモデルについて」で公表いたしましたとおり、当行が有する「10の強み」を活かし「4つの柱」にフォーカスすることで経営資源の有効活用を図りつつ、行内の金融ノウハウを結集することによって、お客さまにとっての“頼れる、もうひとつのパートナーバンク”を目指す方針としております。事業戦略においては、マスアフルエント層を始めとしたシニア層のお客さまからの個人預金を資金調達の柱として、中堅中小企業を始めとする法人のお客さまの様々な事業金融ニーズに応えられる、高度な金融スキルを活用した課題解決型で付加価値の高い貸出業務展開に注力します。また、個人のお客さま向けには、投資信託・保険・金融商品仲介による運用商品をご提供し、法人のお客さま向けには不動産や事業再生等に関する各種の最適なソリューションをご提供する等、それぞれのお客さまのニーズに対応してまいります。更に、地域経済においては、地域金融機関との協業を通じて、中堅中小企業を始めとした地域のお客さまとのビジネスに積極的に取り組んでまいります。なお、当行が従来より得意とする不動産関連ファイナンス、事業再生ファイナンス、国内外の買収及びプロジェクトファイナンス業務等についても、引き続き注力していく方針です。しかしながら、このような事業戦略の推進に際しては、以下のようなリスクや課題があります。
• 今後注力していく事業分野において、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。
• 戦略の遂行に伴う経営資源の配分の見直しなどが成功しない可能性があります。
• 業務の推進においては、実務を遂行する人材を確保する必要がありますが、必要な人材を十分に確保できるとは限りません。
(2)中堅中小企業を始めとする法人のお客さまへの事業金融の推進におけるリスク
当行は、国内金融機関としての大切な使命である中堅・中小企業を始めとする法人のお客さまに対する資金の貸付その他信用供与の円滑化に努めるとともに、それぞれのお客さまの様々な事業金融ニーズに応じたテーラーメイド型で付加価値の高い金融ソリューションの提供を通じ、顧客基盤の拡充に注力しております。しかしながら、当行がこうした事業金融の推進を行うにあたっては以下のようなリスクがあります。
· 当行の基準に見合う顧客層との取引が期待通りに拡充できるとは限らず、当行が目指す国内事業金融資産の質、収益が確保できない可能性があります。
· 当行は法人顧客基盤が国内大手銀行グループよりも小さく、また営業拠点数、営業人員数も少ないことから新規の顧客獲得等に限界がある可能性があります。
· 国内の銀行業界における厳しい競争の結果、国内事業金融向け融資の収益性が当行が考えるリスクとの対比において十分な水準でない可能性があります。
· 国内外における経済環境の悪化が生じた場合には、当行を取り巻く環境や将来の業績に悪影響を与える可能性があります。また、そのような局面においては、管理回収等の強化に伴う人的リソースの配分等により、注力分野の活動に制約が生じる可能性があります。
・当行が注力している中堅・中小企業向け融資は、一般的に、大企業向け融資に比べ信用リスクが高い可能性があります。
わが国においては、超低金利環境が継続しており、オーバーバンキングによる厳しい競争の結果、当行の事業法人貸出においてリスクに対応した適正なプライシングを行うことが困難な状況があります。当行は、お客さまとの信頼関係を維持し、付加価値の提供による付帯取引を獲得することによる総合的な収益性の確保に努めております。そのため個々のサービスとしての貸出においては、信用リスクや格付に対応した利鞘より低い利鞘で貸出を行うことがあります。
(3)リテールバンキング業務の拡充に伴うリスク
当行は、従来より、マスアフルエント層を始めとしたシニア層のお客さまへの様々な金融商品の提案等を通して、お客さまの中長期の資産運用のお手伝いをさせていただいております。資金調達の面では、2014年3月末の個人のお客さまによる当行の預金、譲渡性預金及び債券が調達に占める割合は約64%程度で安定的に推移しており、リテール部門は当行の資金調達基盤の中核となっております。
当行は、今後も積極的にリテール部門に経営資源を投入し、リテール部門の一層の強化を図っていく方針ですが、以下の通り、当行がリテールバンキング業務拡充の計画を成功裡に達成できない可能性があります。
·当行は、行内の配置転換や外部採用等を通じて、お客さま担当の営業員を優先的に増員し、また人材開発プログラムの導入等を通じて、質・量ともにコンサルティング力の強化に努めていく方針ですが、お客さま担当の優れた営業員を想定通りに増員することが出来なかったり、人材開発プログラムの導入が必ずしもコンサルティング力の強化に結びつかない可能性があります。
·当行は、競合他金融機関と比較して支店数が少なく、またインターネットバンキング展開においても後発であり、顧客基盤も小さいことから、顧客の獲得やあおぞらブランドの確立が容易ではない可能性があります。
·リテールバンキング業務の拡充には、大量の取引を効率的に処理するためのシステムによるサポートが不可欠であり、システムの充実に多大な経営資源と時間を要する可能性があります。
·当行が提供する商品・サービスの種類・条件について他金融機関との差別化が難しくなり、必ずしも預かり資産の量の拡大、収益の拡大に結びつかない可能性があります。
·システムトラブルが発生した場合、想定外の復旧コストを要する可能性があるほか、レピュテーションに悪影響を与える可能性があります。
上記のような事情からリテールバンキング業務を拡充できない場合、収益源及び資金調達源の多様化が十分に実現できず、当行の財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外業務に関連するリスクについて
当行は、従来より、海外拠点等を通じて北米・アジア地域等における市場や顧客ニーズ等の調査、研究を進めてまいりました。当行の培ってきたこれらのノウハウ等を活用することによって、適切なリスク管理に基づき海外業務へ選択的に取り組む方針としております。当行における海外業務の遂行については、以下のリスクや課題があります。
• 社会的、政治的、経済的な環境の変化や各国の税制及び規制環境の相違(特に金融サービスや直接投資に関するもの)に起因するリスク。
• 金利及び為替変動に関連する取引にかかるリスク。
• 商品ノウハウと各々の市場に対する知識を有する人材を確保できないリスク。
• 海外投融資に関する資産の管理を主として当行本店において行うため、現地における政治経済状況、法制、規制あるいは税制等に関する情報の入手が遅れる等、必要な対応に支障が生じるリスク。
(5)地域金融機関が重要な顧客基盤であることについて
当行は、従来から多くの地域金融機関に対して、資金運用やリスク管理のニーズに応じた金融商品の提供のほか、地域金融機関の取引先である中小企業への共同支援や地域企業再生支援等、多様な商品・サービスを提供してきております。当行は、かかる取引関係において、同業他社との競争上優位性を確保していると考えており、地域金融機関に対する商品・サービスの提供を一層充実させるとともに、地域金融機関の「戦略パートナー」として、地域金融機関のネットワークと個別業務分野における当行の強みを融合し、相互に機能補完する独自のビジネスモデルの展開を目指していく方針です。しかしながら、かかるビジネスモデルが有効であるとの保証はなく、また、金融環境の変化その他の要因により、今後この分野における競争力を失った場合には、地域金融機関との取引の規模及び収益の成長が鈍化し、更には縮小する可能性があります。
(6)先進的な商品とサービスの投入について
当行の戦略は、すべての商品分野において他金融機関と競合することではなく、他金融機関にはない差別化された先進的な商品・サービスを開発し、投入することにより、主要顧客層である中堅・中小企業のお客さま向けの業務や地域金融機関との協働によるビジネスを拡大し、収益を獲得していくことであります。また、デリバティブ取引やリスク管理といった分野での先進的なノウハウを活用した商品・サービスにも力を入れており、個人のお客さまに対してもデリバティブ内蔵型の各種預金商品を提供しています。当行は、従来より、お客さまのニーズに合わせた独自の商品性を持った商品・サービスの投入により、新商品戦略において一定の成果を上げているものと考えております。
しかしながら、将来投入される商品・サービスが同じように顧客から認知される保証はありません。また、競合他金融機関が、当行と同様の顧客層をターゲットに、当行と同様の商品・サービスの提供を開始する等、競争の激化により、当行の商品の先進性・独自性が失われ、収益性が低下する恐れがありますが、その際に、当行が競争力の低下した商品・サービスに替わる新たな商品・サービスを継続的に供給し続けられるという保証はありません。
また、かかる先進的な商品・サービスの導入は、当行にとって、当行が経験したことのない又は経験の少ないリスクや課題をもたらす可能性があります。加えて、かかる先進的な商品・サービスへの過度な集中や依存は、当該商品・サービスの状況により、当行の業績及び財政状態に影響をおよぼす可能性があります。
(7)組織の変更について
当行では、随時、不定期に組織を変更することがあります。組織の変更は、経営環境の変化、あるいは、経営戦略の見直しに合わせ、一定の目的・狙いの下に実施されますが、結果として、新しい組織による運営が定着しない、あるいは、組織変更に伴う混乱等により業務運営が非効率となるなど、組織変更の目的・狙いが期待通りに実現できない可能性があります。
(8)業務・資本提携などアライアンス推進に伴うリスク
当行は、長期的な視野における企業価値向上のため、戦略的な提携や合併・買収など資本政策を含めたさまざまな方策の検討を行っていく方針です。しかしながら、こうした提携や合併・買収が収益の拡大・企業価値の増大に寄与するという保証はありません。
合併や買収等の場合、統合作業の過程において一時費用が発生しますが、企図した統合成果が上がらず、結果として、検討又は統合等に要した費用、投資資金を回収できない可能性があります。また、提携についても、国内外における経済環境の変化等により、企図した効果があがらない可能性があります。更に、当行は提携業務の推進、買収事業の統合・展開において中核となるべき人材集団の確保などの問題、その場合の通常の営業における人員確保の問題、営業アクティビティの低下に直面する可能性があります。
(9)子会社・関連会社の業務に関するリスク
当行は子会社において信託業務、証券業務、サービサー業務などの金融サービスにかかる事業を行っており、これら子会社の業務の中には、銀行業とはリスクの種類や程度の異なる業務も含まれています。当行は、こうした業務に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備するよう努めておりますが、当行の想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
2.信用リスク
(1)不良債権残高及び与信関連費用の増加について
当行は、個別の与信先について信用状態を継続的にモニタリングするとともに、信用状態の悪化が懸念される場合には貸出金の劣化に対する予防策を講じるよう努めておりますが、以下のような要因により、当行の不良債権残高や与信関連費用が増加する可能性があります。
· 当行の予想以上に内外経済が悪化した場合。
· 債務者が属する特定の産業の状況が悪化した場合。
· 債務者の個別事情により、債務者の業績が当行の予想を下回った場合、あるいは、不測の事態により債務者の業績が悪化した場合。
· 当行の予想以上に、債務者の経営再建計画が成功裡に実行されず信用リスクが高まる場合や、あるいは、金融機関による支援の打ち切り等により再建中止が余儀なくされる場合。
· 当行の予想を上回る不動産市況の悪化等により裏付資産の価値が下落し、債務者の信用力が低下した場合。
(2)特定先及び特定業種への集中リスクについて
当行の大口債務者上位10先に対する貸出金は、2014年3月末時点の単体ベースの貸出金残高の約12%を占めており、大口債務者による債務不履行があった場合、又は大口債務者の一部若しくは複数との関係に重大な変化が生じた場合には、当行の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
当行は、国内の不動産業に対する貸出(不動産ノンリコースローンを含む)が2014年3月末現在、単体ベースで貸出全体の約25%を占め、また、不動産担保により保全されているその他の業種に対する貸出もあります。当行の貸出資産は不動産市況や不動産業界の動向により影響を受け、不動産市況の悪化や不動産業界全体が低迷した場合には、不動産で担保されている保全額の減少や、不動産業界の債務者の信用力の悪化から、追加的な引当金が必要となったり、追加的な与信コストが発生する場合がありえます。不動産ノンリコースローンは、2014年3月末現在、当行の単体ベースの貸出残高の約15%を占めております。不動産ノンリコースローンは、債務者の信用力ではなく、対象不動産から生じるキャッシュフローをその返済原資として債務の履行を担保するもので、当行は、不動産賃料、空室率及び地価等のキャッシュフローに影響を及ぼす主なリスク要因等をモニタリングすることにより、リスク管理を行っております。しかしながら、不動産市況の悪化等により、対象不動産からのキャッシュフローが当行の予想を超えて悪影響を受ける場合には、損失を被る可能性があります。2014年3月末現在、国内における不動産ノンリコースローンのポートフォリオの約76%は、東京に集中しております。東京における不動産の価値が下落した場合には、当行の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
なお、上記の他、海外向け貸出において北米向けを中心とした不動産ノンリコースローン等の不動産業向けの貸出を行っておりますが、海外における不動産市況の悪化等により、当行の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(3)貸倒引当金が不十分となるリスクについて
当行は、過去の債務不履行発生状況、与信先の財務状況および保有する担保の価値ならびに景気動向に対する前提及び見通しなどに基づいて貸倒引当金を計上しております。特に、今後の管理に注意を要する大口の与信先等については、経済環境の悪化により貸倒費用が増加する可能性も勘案し、予防的に貸倒引当金を追加するなど、十分な水準の貸倒引当金を計上しております。しかしながら、当行の想定を超えて経済環境が悪化する等、当行の前提及び見通しを変更する必要が生じた場合、当行の与信先の財務状況が当行の想定を超えて悪化した場合、当行が保有する担保の価値が下落した場合、あるいは、その他の要因により予想を超えて当行に悪影響が及んだ場合、当行は貸倒引当金を増加させる必要が生じる可能性があります。
(4)海外向けエクスポージャーに関するリスク
海外において、財政状態の悪化や政治・経済の混乱等により、国・地域が債務不履行に陥る、あるいは、債権者に対して債務の再編や期限の延長等の支援を要請することを余儀なくされる場合、当行が保有するソブリンを含む海外向けエクスポージャーに悪影響がおよび、結果として当行の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。なお、現状においては、当行の海外向けエクスポージャーの大部分は、北米及びアジア向けであり、アイルランド、ギリシャ、スペインを含む厳しい財政状態にある欧州諸国に対するエクスポージャーは限定的です。
3.市場リスク
(1)トレーディング及び投資業務における市場リスクについて
当行は、国内及び海外の債券、ファンド(ヘッジファンドを含みます。)、デリバティブ取引を含む多様な金融商品への投資・運用およびトレーディングを行っております。こうした業務からの収益は、金利、為替レート、債券価格、及び株式市場の変動等により影響を受けます。一例をあげれば、金利の上昇は、一般的に当行の債券ポートフォリオの価値に対して悪影響をもたらすこととなります。更に、当行が保有している国債その他債券について信用格付が格下げされた場合や債務不履行となった場合、また、これらの流動性が著しく低下してポジション調整が困難な場合には、当行の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当行は、こうした業務において、意図せざる損失の発生を回避するべく、自らの体力に見合った健全なリスクテイクを逸脱せぬよう、管理体制の整備に努めております。しかしながら、例えば、当行では損失を限定するためにロスカット・ルールを設定しておりますが、市場がストレス環境にあるような状況では、ポジションを思うように縮小することが出来ず、損失を想定した範囲に限定することが出来なくなる場合があります。また、金融政策の変化その他の要因により、市場が当行の予想を超えて変動した場合、当行は予測を超えた損失を被る可能性があります。
(2)ローン債権等に対する投資に関連するリスクについて
当行は、債権売買取引及び証券化ビジネスにおいて、事業法人向けローン、住宅ローン、売掛債権、リース債権、不良債権及び仕組商品を含む様々な資産を取得し、それらの回収、売却、証券化等を行う際に、特定の種類の証券や信用リスクを有する特定資産を保有することがあります。当行が保有する資産やそれらの価値、市場規模、環境などは常に変化するため、こうした業務は本質的に環境に左右されやすい性質を有しております。当行保有資産の期待収益率が低下した場合、当行の業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
4.流動性リスク
(1)資金流動性リスク
当行の多くの調達資金は順次満期を迎えるため、当行は、継続的に預金を受け入れ、債券を発行し、既存債務の借換を行い、また継続的に一定割合を短期資金で調達する必要があります。当行は、資金調達方法を分散・多様化させることにより、資金調達の安定性の確保・向上に努めておりますが、流動性リスクを完全に回避することはできません。これらの債務が、市場環境が不安定な状況において満期を迎えた場合、当行が許容できる条件で十分な資金を調達できるという保証はなく、借換が首尾よくいかなかった場合には、当行の業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、当行の業績又は財政状態の悪化、信用の低下、格付機関による格下げ等のほか、外貨資金調達における制約、景気動向の悪化や金融システム全般の不安定化等により、当行が、営業上許容できる水準の利率で預金を獲得することができない場合や当行の流動性が制限された場合、当行は必要な資金を確保するために、より高い資金コストを負担し、あるいは、資産を圧縮すること等の対策をとる必要が生じ、業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
なお、当行は2006年4月に普通銀行に転換したことにより、2016年4月に金融債を発行できなくなりますが、近年、当行は個人のお客さまからの預金による調達の強化に注力しており、金融債による調達への依存度は低下してきております。2014年3月末時点において、当行のコア調達(預金、譲渡性預金及び債券の合計)に占める個人のお客さまからの調達比率が約64%となる一方で、負債残高に占める金融債の比率は約5%となっております。
また、バーゼル銀行監督委員会から、2010年12月に「流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」の文書が公表され、流動性規制に関する基準やモニタリング手法等が提案されています。観察期間中を通じて見直しが行われる予定ですが、この規制により、将来的に当行の調達構造に影響が及ぶ可能性があります。
(2)市場流動性リスク
当行は、市場で取引される様々な資産やデリバティブを保有しておりますが、市場の混乱や取引の厚みの不足等により、市場での取引を行うことができない、または、著しく不利な価格での取引を余儀無くされることにより、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
5.自己資本にかかるリスク
(1)自己資本比率規制について
当行は、2014年3月末時点において連結自己資本比率15.13%(バーゼルⅢ国内基準ベース)と高い自己資本比率を維持しております。当行は現在、国内基準に基づき、4.0%以上の自己資本比率を維持することが求められておりますが、海外での銀行業務の開始が認められる場合には、国際統一基準に基づき8.0%以上の自己資本比率を維持することが求められます。自己資本比率を維持できなくなった場合、行政措置が課され、当行の業務遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。将来、当行の自己資本比率に影響を及ぼす可能性のある要因には以下の事項が含まれます。
• バーゼルⅢによる自己資本比率規制の強化については、当行を含め国内基準行に対しては、2014年3月から段階的に導入されており、グランドファザリング措置(既存の取扱いを一定期間認める措置)の期間を経て2029年3月より完全実施となる予定です。こうした自己資本比率規制の強化により、当行の自己資本比率が現行水準より低下する可能性があります。なお、国際統一基準行に対して2013年3月から段階的に導入されており、グランドファザリング措置の期間を経て2019年3月より完全実施となる予定です。また、わが国における実施が未決定であるバーゼルⅢの項目として、資本保全バッファーの導入、レバレッジ比率規制の導入がある他、更なる規制強化もバーゼル銀行監督委員会において検討されております。
· 上記のとおり、現状当行は十分な水準の自己資本比率を維持していますが、今後魅力的な買収・合併機会がある場合には、当行はそうした買収・合併の機会を追求するべく追加資本を積み増す必要が生じる可能性があります。
• 当行は、公的資金の全額返済に向けた計画(資本再構成プラン)を進めております。2013年6月には、その他資本剰余金を原資とする特別優先配当(毎年205億円)による分割返済を開始いたしました。将来における公的資金の返済により、当行の自己資本比率は現行水準より低下する可能性があります。当行は、資本再構成プランを策定するに当たっては、安定的な自己資本比率を維持する観点から、当行の将来における利益剰余金の見込額に加え、配当性向の連結当期純利益の40%への引き上げ及び特別優先配当による公的資金の分割返済が当行の資本に与える影響を考慮しましたが、将来における当行の利益水準、リスク・アセット水準の変動その他の要因によっては、当行の自己資本比率が当行の想定を下回る可能性があります。
6.オペレーショナル・リスク
(1)リスク管理体制について
当行の業務の遂行には、オペレーショナル・リスクが伴います。オペレーショナル・リスクは、不適切な内部処理、役職員の過失や不正行為、システムの障害及びその他の外部で発生する事象等、様々な形で顕在化する可能性があります。また当行には法律・規制に関するリスクも存在します。当行はリスク管理体制の構築に多くの経営資源を投入し、適切なリスク管理態勢の構築に努めており、オペレーショナル・リスク管理についても、必要なデータやリスクの顕在化事象を把握し、アセスメントを実施してリスクを特定、評価し、リスクをモニタリング、削減、コントロールする態勢を整備しております。しかしながら、結果的にこの態勢が有効に機能せず、リスク管理が十分に効果的なものとはならない可能性があります。業務分野の拡大、新規分野の取り組みや環境変化等に応じた適切なリスク管理体制を構築できず、当行が予想外の損失を被る可能性があります。
(2)能力のある従業員の雇用について
当行は、当行の事業戦略を遂行する上で、豊富な経験と専門的な知識を有する従業員を雇用することが重要と考えております。また、当行は従業員に対し、各業務分野での研修を実施し、従業員の知識・能力の向上に努めております。しかしながら、ビジネスやITその他の分野における高度な能力をもった人材の確保は、他の銀行に加え、投資銀行、その他の金融サービス業者とも競合しており、当行が有能な人材を採用・育成し、且つ定着させることができるとは限りません。
(3)重要な経営陣への依存について
当行では、経営陣の業務遂行についての能力が今後の当行の事業の成否に関する重要な要因となるものと考えております。これらの経営陣が退社することにより、当行の事業遂行が悪影響を受け、また事業戦略の実施能力が低下する可能性があります。
(4)システム障害リスクについて
当行では、お客さまへのサービス提供や当行自身の業務管理、情報管理のため様々な情報システムを運営しております。これらの情報システムの安定的な稼動を確保するため、複数年度のIT投資計画に沿って、新規・更新投資や機器等の保守を実施しているほか、各情報システムの重要性等に応じたバックアップの取得や機器・回線の二重化等の対策を講じるとともに、不測の事態に備えたコンテンジェンシープランを策定しております。しかしながら、情報システムの新規開発や改修・保守作業における人為的な過失、事故等により、システム障害が発生し、場合によっては情報システムが適切に稼動しないリスクや、内部統制の維持や会計帳簿及び財務諸表の作成に関して問題が発生するリスクがあります。
また、当行は、2013年7月30日開催の取締役会において、中期的戦略の一環として、今後のビジネス戦略をより発展させるため、株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営を予定している基幹勘定系システム(勘定系、外接系、外為系)アウトソーシングサービス「BeSTAcloud」を次期勘定系システムとして採用して現行の基幹勘定系システムを更改することを決定し、新システムの構築を進めております。新システムは、基幹勘定系システムの基盤および運用を株式会社エヌ・ティ・ティ・データに委託することとしております。かかる基幹勘定系システムの更改にあたっては、現行システム環境から新システム環境にデータを移行し、運用することに伴うリスク(想定を上回る費用が発生するリスク、並びに導入時に新システムが内部統制の維持や会計帳簿及び財務諸表の作成において正しく作動せず、又は新たな問題若しくは脆弱性を発生させるリスク等)に直面する可能性があります。
当行は、情報システムセンターは東京都内に、バックアップセンターを東京都江東区に設置し、重要な情報システムに係る機器等の二重化を実施しておりますが、首都圏に地震が発生した場合、情報システムセンターとバックアップセンターの両サイトが被災するリスクがあります。当行の情報システムは、予備設備を備える等の冗長化対策が施されておりますが、これらの機能が十分であるという保証はありません。更に、当行のバックアッププランは、サービスの中断時に生じる恐れのある偶発事象に対処できるものではない可能性があります。
当行の情報システムの動作不良は、自然災害やその他の理由にかかわらず、顧客との関係を毀損し、訴訟や行政処分を招来し、また、その他の理由により当行の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(5)外部業者により提供を受けている重要なサービスについて
当行は、業務にとって重要である多くのサービスについて外部業者を利用しております。外部業者の利用に際しては、妥当性の検証、外部業者の適格性検証、利用中の継続的な外部業者管理等の方策を講じておりますが、地震その他の自然災害やその他の事情により、それらの外部業者のサービスが停止した場合、又はそれらのサービスに問題が生じた場合に、当行が同様の条件で同種のサービスをタイムリーに提供できる外部業者を見出すことができるとは限りません。その場合、当行の営業が中断し、当行の業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、業界又はその他の状況の変化により、外部業者が当行に対するサービスの料金を引き上げることも考えられ、その場合には、当行の業績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)個人情報等の流出等のリスクについて
近年、企業や金融機関が保有する個人情報等の流出という事態が、数多く発生しています。当行では、個人情報等の流出等防止のためのさまざまな方策を講じておりますが、当行が保有する個人情報等について、役職員等若しくは委託先の人為的なミスによる流出又は内部若しくは外部からの不正アクセスが発生し、流出した情報が不正に使用されることを完全に防止することはできません。こうした事態が発生した場合、当行はその責任を負い、民事責任等を問われ、あるいは、監督機関の処分を受ける可能性があります。更に、そうした事故が発生することにより、当行の業務及びブランド力に対する評価や当行に対する顧客や市場の信認に悪影響が及ぶ可能性があります。
(7)災害等に対する危機管理及び業務継続に関するリスク
地震、台風等の自然災害や事故、テロ等による被災、新型インフルエンザ等感染症の流行や放射能汚染などの外的要因等により、当行グループの機能の全部又は一部が停止するおそれがあります。
当行は、かかる事象が発生した場合においても、業務継続を可能とすべく業務継続計画等を策定し、バックアップオフィスの構築等危機管理体制整備を行うとともに、継続的に実効性向上を図るよう努めております。
しかしながら、かかる努力によってもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当行グループの業務運営、業績及び財政状態への悪影響を回避しきれない可能性があります。
(8)人事上のリスク
当行では、中長期の経営戦略の方向性や年度の業務運営計画を踏まえて人員計画を策定していますが、当行を取り巻く経済・業務環境に大きな変化が生じた場合には、業務の運営と合わせて人員計画についても見直しが必要となります。また、当行は、各従業員に対する公平な評価・適切な処遇の実施に努めていますが、すべての従業員がその結果に納得するとは限りません。以上を含め、今後の業務展開に大きな変動が生じる場合には、当行グループにおける人事組織運営において支障が生じる可能性があります。また、業務遂行上必要な要員が不足する場合には、当行グループの業績及び財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
7.法務コンプライアンスに関するリスク
(1)係争中の訴訟について
当行は、当行グループ全体の訴訟について一元的に管理を行い、グループの法務リスクの極小化に努めており、現在のところ経営に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟案件はありません。しかし、当行グループは銀行業務を中心に各種金融サービスを提供しており、このような業務遂行の過程で、損害賠償請求訴訟等を提起されたり、損害に対する補償をしたりする可能性があります。このような訴訟等の動向によっては、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)法令遵守違反発生に伴うリスクについて
当行は、法令等の遵守を徹底し、業務の適法性とともに適切性を確保するために、グローバルベストプラクティスのコンプライアンスを実現することを最優先とする企業文化の構築に取り組んでいますが、必ずしもこのような取り組みのすべてが有効に機能するとは限りません。お客さま情報の管理不備その他の事情に起因して、各種規制法の違反が発生するおそれや、お客さまとの多面的な取引の展開が優越的地位の濫用とみなされるおそれもあります。このように今後仮に法令違反等が発生した場合には、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)金融犯罪発生のリスクについて
当行は、口座を開設され取引を行うお客さまの本人確認を厳格に行い、お客さまに振り込め詐欺の注意喚起をするなど、口座不正利用を防止することにより、お客さまの取引の安全と口座の保護に取り組んでいます。また、新規の取引に先立ち、反社会的勢力等との関係等に関する情報の有無を確認するなど、反社会的勢力とのあらゆる取引を排除すべく必要な手続きを行っています。しかし、当行の厳格なチェックにもかかわらず、反社会的勢力との関係を持つ者が口座を開設するなどの可能性があり、またこれらの者等が自らの口座を詐欺的に使用したり、資金洗浄や租税回避行為又は他の不正行為を行う可能性もあります。また、大規模な金融犯罪が発生した場合には、その対策にかかるコストやお客さまへの補償のほか風評等により、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)従業員または外部者による不正や過失等によって損失が発生する可能性について
当行は、上記のリスク以外にも、当行の従業員又は外部者による不正、懈怠及び過失によって損失を被る可能性があります。当行では、従業員に対して社内規定等の適正な運用の徹底を図っておりますが、当行の従業員が、あらかじめ許容された範囲を超え、また、許容できないリスクのある取引を実行したり、規定等に反する行為を隠蔽したり、秘密情報を不適切に使用・漏えいしたり、顧客に対する詐欺的誘引行為又はその他顧客の信頼を損う行為を行う可能性があります。また、盗難若しくは偽造されたキャッシュカードが使用されることによって、当行が顧客に対する賠償責任を負担する可能性なども存在します。従業員又は外部者による不正や過失等を防ぐため、当行では、コンプライアンス体制を強化しておりますが、このような行為の結果、当行が行政上その他の制裁を受け、又は当行の評判が毀損される可能性もあります。
8.当行の財務に関するリスク
(1)信用格付の低下が当行の業績に悪影響をもたらす可能性について
格付機関により当行の格付が引下げられた場合、インターバンク市場での短期資金調達あるいは資本調達等においてより不利な条件で取引を行わざるを得なくなる若しくは取引そのものが行えなくなる可能性があります。また、デリバティブ取引等の一定の取引行為が制限され若しくは行えなくなる可能性があるほか、現在締結しているその他の契約を解消される可能性もあります。このような事象のいずれもが、当行の財務や業務の執行に悪影響を与え、業績や財政状態に不利な影響を与える可能性があります。
(2)退職給付制度及び年金資産に関連するリスクについて
当行の年金資産の時価が下落した場合や、年金資産の長期期待運用収益率が低下するなど退職給付債務に関する予測計算の前提条件に変更が生じた場合には、退職給付費用が増加する可能性があります。また、当行の退職給付制度の変更により、退職給付債務が追加的に発生する可能性がある他、金利状況の変化や会計基準の変更その他の要素によって、退職給付債務が増加したり、年度ごとの退職給付費用が増加する可能性があります。
(3)繰延税金資産に関するリスク
当行では、繰延税金資産は概ね将来5年間の課税所得の見積額等に基づき計上しております。将来、実効税率引下げ等の税制改正や課税所得の見積額の変更等によって繰延税金資産の取崩しが必要となった場合に、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
9.日本の金融サービス業界に関連するリスク
(1)日本及び世界の経済状況が自然災害によるものを含めて悪化することで当行が受ける悪影響について
当行の業績は、日本国内だけでなく世界的な金融経済環境の状況に大きく影響されます。2007年の米国サブプライムローン問題等に端を発した世界的な金融・経済問題や、2010年以降の欧州政府債務危機問題、並びに2011年3月の東日本大震災等を経て、現在は先進国を中心に緩やかな回復を見せており、今後一段の改善が見込まれています。わが国においても、消費税率の引上げ等による悪影響はあるものの、金融・財政・成長戦略の効果や景況感の改善等に支えられ、一層の景気回復へ向かうことが期待されます。一方で、欧州債務問題の再発や中国をはじめとする新興国・資源国経済の成長鈍化等により、海外景気が下振れするリスクがあり、国内外の経済は依然として先行きに不透明な部分が残されています。
このような環境下、日本及び世界の金融市場や経済の状況が自然災害による原因も含めて再び悪化し、又はその回復が遅れた場合、金融資本市場における信用収縮の動き、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動、景気の停滞や悪化に伴う地価や株価の下落、企業倒産や個人の破産の増加等により、貸出資産の劣化や業務の停滞が生じ、当行の資金調達や業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(2)日本の金融サービス市場の競争激化について
わが国の金融サービス市場の競争環境は厳しさを増しております。当行は、数多くの金融サービス企業と競争関係にあり、当行に比べ優位に立つと考えられる企業も存在しております。当行の主要な競争相手には以下のものが含まれると考えております。
· 国内大手銀行グループ:三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ及び三井住友フィナンシャルグループは、資産、顧客基盤、支店数、及び従業員数などの様々な面において、当行に比べ相当に大きな規模を有しております。また、これらの銀行グループは、子会社又は関係会社として証券会社をはじめとした様々な機能を有しており、当行同様その収益源を多様化する戦略を採っています。
· 主要な投資銀行:国内外の投資銀行との間でも当行は、コーポレートアドバイザリー業務及び投資業務などさまざまな事業分野において、競争関係に立っています。
· その他の金融機関:信託銀行、りそな銀行、新生銀行、シティバンク銀行、インターネットバンク及び地方銀行等が含まれます。
· ゆうちょ銀行、政府系金融機関:日本郵政公社から貯金業務を引き継いだゆうちょ銀行は依然としてわが国最大の預貯金総額を有しております。この他、当行は日本政策投資銀行等の政府系金融機関とも競争関係にあります。
· その他の金融サービス提供者:当行又は当行の子会社、関連会社は、債権回収会社等、プライベート・エクイティ・ファンド及びその他の金融サービス業者とも競争関係にあります。
当行は、国内金融サービス市場をめぐる競争の一層の激化、統合の進展を予想しており、当行が現在又は将来の競合他社と効果的に伍していけるという保証はありません。これまで当行は、貸出やシンジケートローン、DIPファイナンス及びコミットメントラインの供与、投資信託の販売等で手数料等の収入を増加してまいりましたが、競争の激化がこれらの手数料の低下を招き、収益の低下を招く恐れもあります。また、当行は貸出金利及び預金金利の面でも競合他行と競争関係に立たされており、競争の激化が貸出金利の低下及び預金金利の上昇を促し当行の収益性を圧迫する可能性もあります。
(3)金融機関として広範な規制に服していることについて
当行は、金融機関として、広範な法令上の制限及び政府機関による監督を受ける立場にあります。更に、当行並びに当行の子会社及び関連会社は、金融当局による自己資本比率規制その他の銀行としての業務規制に加えて、「経営の健全化のための計画」の履行状況についてモニタリングを受けるほか、銀行業以外の業務範囲についての制限を受けており、こうした制約から、ビジネスチャンスに対し適時に対応することが困難となる可能性があります。
当行は、業務全般及び貸出資産分類に関して金融庁などの政府機関により検査を受けております。仮に当行が、関連法規及び規制の違反を犯したような場合には、行政処分の対象とされ、また当行の評価が悪影響を受ける可能性があります。
(4)各種の規制及び法制度等の変更について
当行は現行法による規制に従って業務を遂行しておりますが、当行が国内外において業務を行うにあたって適用されている法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制等が変更された場合には、当行の業務運営に影響を与え、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。しかし、これらの事項の変更及びそれによる影響を予想することは困難であり、当行がコントロールしうるものではありません。
金融庁及びその他の監督当局は、銀行がお客さまに提供しているデリバティブ商品やこれに類するリスク特性を持つ複雑な投信・仕組債・仕組預金などのデリバティブ関連商品の販売に関する監視や調査を近時強化するとともに、規制上及び監督上の追加措置もとっています。銀行は、従来より、リスク性商品全般の販売に際しては、お客さま毎の金融知識、経験、財産の状況及び取引目的に応じて商品の性質や詳細について適切な説明を行ってまいりましたが、デリバティブ関連商品については、一般に、普通の預金や有価証券取引等に比べ、商品の仕組が複雑であるとともに、普通の預金や有価証券取引等とは異なるリスクが伴うため、より一層お客さまのニーズや属性に即したきめ細かな販売運営態勢の確保が必要となっています。また、現状の法規制におけるこの種の金融商品の取扱いには必ずしも明確でない部分がある可能性もあります。今後、更に、このような法規制又は金融庁の指導に対応していく結果として追加のリスク管理が必要になる場合には、当行の経費負担が増加する可能性があります。このような追加で必要になる管理もその性質によっては、当行の業務範囲を制限することにもつながる可能性があり、結果として当行の業務や業績及び財政状態にも悪影響を及ぼす可能性もあります。
(5)金利変動によるリスクについて
当行の収益は、貸出金、有価証券等の有利子資産による資金運用収益と、預金、債券等の有利子負債にかかる資金調達費用との差額である資金利益による部分が大きな割合を占めます。有利子資産と有利子負債では満期や金利設定条件等が異なるため、金利の変動は、有利子資産による資金運用収益と有利子負債にかかる資金調達費用に対し同等の変化をもたらすとは限らず、金利の変動により、当行の収益性が悪影響を受ける可能性があります。また、金利が上昇した場合には、貸出金への需要が低下する可能性がありまた、変動金利で借り入れている債務者の一部に、増加した金利負担に耐えられなくなる債務者が現れ、不良債権の増加をもたらす可能性があります。このような状況は、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
10.当行の株式に関するリスク
(1)政府が当行の経営に影響を及ぼすリスクについて
2014年3月末現在、当行が発行している第四回優先株式は預金保険機構が24百万株を、第五回優先株式は株式会社整理回収機構が214百万株をそれぞれ保有しており、政府が公的資金の注入行である当行の経営に実務的な影響力を行使する可能性があります。加えて、定款の変更、他社との合併等の優先株主に重大な影響を及ぼしうる事項については、各優先株主の承認が必要となる場合があり、また、当行が優先株主に対し、優先配当を支払わなかった場合には、優先株主は普通株主と同等の議決権を有することとなります。
これらの優先株式については、その条件に従い現在普通株式を対価とする取得請求が可能であり、更に、2022年に、当行普通株式を対価として当行による一斉取得が行われることとなっております。当行は「資本再構成プラン」にしたがって、第五回優先株式に係る特別優先配当を実施することにより、公的資金を2012年から最長10年間で分割返済することとしております。この特別優先配当の実施により、公的資金の要返済額の残高は減少しますが、上記の取得請求権の行使により優先株主が取得する普通株式数には影響がありません。優先株式に係る取得請求権の行使により、優先株主は普通株式406,465,726株を取得することができます。資本再構成プランに関連して、当行は預金保険機構との間で、当行が第四回優先株式及び第五回優先株式を公的資金の要返済額の残高に相当する価格でいつでも買い戻すことにより公的資金を早期に返済することができる旨を定める契約を締結しており、当行は、優先株式の価値がかかる残高を上回る等、一定の条件が満たされた場合、財務の健全性及び市場の安定性を慎重に考慮した上で、公的資金を早期に返済することを予定しています。2005年10月28日に金融庁及び預金保険機構から公表された公的資金の処分についての考え方において、「公的資本増強行自らの資本政策に基づく処分を基本としつつ、あわせて優先株式の商品性やその時点での株価の状況等を踏まえ、適切かつ柔軟な対応を行いうるようにしておく」旨、述べられていることから、当行は、当行による優先株式の買戻し前に政府が普通株式を対価とする取得請求を行うことはないものと考えています。しかしながら、当行が優先配当を継続して支払うことができなかった場合、又はその他金融庁の現在の若しくは新たな方針に基づき政府が普通株式を対価とする取得請求を行うことを検討する状況が生じた場合、普通株主には株式の希薄化が生じるおそれがあるほか、議決権を有する普通株式の保有を通じて政府が当行の経営に影響力を行使する可能性があります。
当行は、「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」に基づき、公的資金の注入行として「経営の健全化のための計画」を定期的に策定し、履行状況の報告を行う必要があります。当行が当該計画における目標を達成することができなかった場合、金融庁は当行に改善のための措置を講じるよう求める可能性があります。
11.財務報告に係る内部統制に関するリスク
当行は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した「内部統制報告書」の提出、及びその評価内容について監査法人の監査を受けることが求められております。
当行グループは、財務報告に係る内部統制の整備・運用を行っており、有効性を評価する過程で発見された事項は速やかに改善するよう努めております。
しかしながら、改善が不十分な場合や経営者が内部統制を有効と評価しても監査法人が開示すべき重要な不備があると評価するような場合があり、当社グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
12. 風説・風評の発生による悪影響
当行や金融業界等に対して、その信頼を毀損するような風説・風評が発生し拡散した場合に、当行の株価や業績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
対処すべき課題財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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