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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002B7I

有価証券報告書抜粋 株式会社ヤクルト本社 研究開発活動 (2014年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした食品・医薬品・化粧品などの研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決と、社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。
当連結会計年度の研究開発費の総額は11,165百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。

(1) 基礎研究開発分野

基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学などの多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、食品・医薬品・化粧品などへの利用を目指した機能性素材開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。
① 乳がん罹患者と非罹患者を対象に実施された疫学研究の結果、「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を習慣的に摂取していた人に乳がん発症リスクの低減効果が認められました。この研究により、成長期や乳がん罹患者が増加し始める20歳代から30歳代に乳酸菌を摂取することが乳がん発症リスクの低減につながることが示唆されました。また、本研究では大豆イソフラボンの摂取との相加効果も示唆されました。本研究は、公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターのがん臨床研究支援事業の一環として京都大学医学部附属病院乳腺外科と東京大学大学院医学系研究科との共同で実施され、その研究成果は、学術誌「Current Nutrition and Food Science」に掲載されました。なお、当社は、このがん臨床研究支援事業に賛同し、協力してきました。
② 「胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ」との共同研究で、胃切除手術を受けた患者を対象とする「L. カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を1本に400億個含む乳酸菌飲料の飲用試験を実施しました。この結果、乳酸菌飲料の飲用により、便秘症状および下痢症状の改善が認められました。胃切除手術を受けた患者では、胃がなくなることにより、便秘や下痢などの便通異常を訴える人が多く、さらに腸内細菌叢や腸内環境の乱れも観察されています。本研究では、胃切除手術後の後遺症のひとつである便通異常に対して、「L. カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む乳酸菌飲料の継続的な摂取が有用であることが示唆されました。本研究成果は、学術誌「Scandinavian Journal of Gastroenterology」の電子版に掲載されました。
③ 久留米大学との共同研究で、アルコール性肝硬変症の患者を対象とする「L. カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を1本に400億個含む乳酸菌飲料の飲用試験を実施しました。この結果、乳酸菌飲料の飲用により、腸内細菌叢の改善、血液中の炎症マーカーであるCRP値の低下および肝臓タンパク合成機能の改善が認められたことから、「L. カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む乳酸菌飲料の継続的な摂取は、アルコール性肝硬変症患者の肝機能の改善に役立つことが示唆されました。本研究成果は、学術誌「Hepatology International」に掲載されました。


④ 当社ヨーロッパ研究所とニュートリシア・リサーチ・ユトレヒト・オランダとの共同研究で、ベルギー在住の母子の糞便からビフィズス菌を単離し、詳細に調べました。この結果、出生後早い段階で、自然分娩で生まれた新生児から、母親のビフィズス菌と同一系統と判定される菌株が複数の菌種で認められ、3か月に渡り定着していた例もあったことから、母親から新生児へ複数のビフィズス菌種が受け継がれることが明らかになりました。一方、帝王切開で出生した新生児では、ビフィスズ菌が検出される時期は自然分娩児よりも遅く、また、母親と同一菌株のビフィズス菌は検出されなかったことから、分娩様式がビフィズス菌の母子伝播に影響を与えていることが示唆されました。本研究成果は、電子版の学術誌「PLOS ONE」に掲載されました。
⑤ フランス パスツール研究所との共同研究で、乳酸菌やビフィズス菌と腸管上皮細胞の共培養実験を実施しました。この結果、乳酸菌やビフィズス菌の代謝物が腸管上皮細胞の増殖に影響を及ぼしていることを明らかにしました。この成果は、腸管上皮細胞の細胞周期における、乳酸菌やビフィズス菌単独での影響をみたものです。今後も引き続き、腸内細菌やプロバイオティクスが宿主の健康に与える影響を解明するための基盤研究を推進していきます。本研究成果は、電子版の学術誌「PLOS ONE」に掲載されました。
⑥ 「蕃爽麗茶」(グァバ葉茶飲料)と薬との相互作用を検討するために、種々の試験系を用いてグァバ葉抽出物やその組成物などの「薬物代謝酵素P450」に及ぼす影響を調べました。この結果、「蕃爽麗茶」飲用により、薬物相互作用が起こる可能性は低いことが確認されました。本研究成果は、学術誌「Phytotherapy Research」に掲載されました。

今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、生活習慣病予防をターゲットとした次世代プロバイオティクスや新規機能性素材の研究開発に重点的に力を注いでいきます。

当分野の研究開発費は1,503百万円です。


(2) 飲料および食品製造販売事業分野

飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌 シロタ株」や「B.ブレーベ・ヤクルト株」などを利用した食品や、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。
また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品および清涼飲料水のラインアップの充実を図っています。
当連結会計年度の成果は次のとおりです。
① 乳製品
ア. 「乳酸菌 シロタ株」で「豆乳」を発酵させることで、豆乳独特のにおいをなくし、飲みやすいヨーグルト風味に仕上げるとともに、「イソフラボン」と「乳酸菌 シロタ株」が摂取できる新機能性飲料「乳酸菌ソイα(アルファ)」を昨年5月に地域限定で導入しました。
イ. 当社のロングセラー商品である「ジョア」の期間限定アイテムの第8弾として、ヨーグルトのまろやかさと “もも(白桃)”のフルーティな果汁感がマッチした風味の「ジョア ピーチ」を昨年6月に導入しました。また、第9弾として、秋から冬にかけて旬を迎えるレモンの果汁を5%使用し、“レモン”の爽やかな風味とヨーグルトのまろやかさがマッチした、「ジョア レモン」を昨年9月に導入しました。
ウ. 女性向けブランド「三つ星Factory」のシリーズ品として、女性にとって魅力度の高い果実であるカシスの果汁感と乳酸菌由来の酸味がバランス良くマッチした、乳製品乳酸菌飲料「ヤクルトフルーティ」を昨年9月に導入しました。また、同じく「三つ星Factory」のシリーズ品として、乳酸菌由来のコクと生クリームのなめらかさがマッチしたチルドカップデザート「Yakult Dolce(ヤクルトドルチェ)」を昨年9月に秋冬限定で導入しました。
エ. ハードタイプヨーグルト「ソフール」の期間限定アイテムの第2弾として、爽やかなりんご果汁とヨーグルトの風味が程良くマッチした「ソフール アップル」を昨年10月に導入しました。
オ. 当社の基幹商品である乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」および「ヤクルトカロリーハーフ」について「乳酸菌 シロタ株」の菌数を150億個から200億個に増やし、商品価値をさらに向上させた「Newヤクルト」および「Newヤクルトカロリーハーフ」を昨年11月に導入しました。
② ジュース・清涼飲料等
ア. 栄養ドリンク「タフマン」「タフマンV」および「タフマンスーパー」を、砂糖不使用ですっきりと飲みやすい風味に改良するとともに、「タフマンV」には新たに疲労軽減効果などが期待できる「アルギニン」を配合し、昨年5月に導入しました。また、「タフマン」の基本特性を踏襲し、「高麗人参」「ローヤルゼリー」「ビタミン類」「アルギニン」および「カフェイン」を配合した、炭酸タイプの栄養ドリンク「タフマンDRY」を昨年10月に導入しました。
イ. 乳性飲料「ミルージュ」の期間限定アイテムとして、腸内のビフィズス菌や乳酸菌を増殖させる「ガラクトオリゴ糖」や、「カルシウム」「ビタミンD」を配合した、ヨーグルト風味の「ホワイトミルージュ」を昨年7月に導入しました。また、「ヤクルト」風味の酸味と程良い甘さがマッチした、ホットタイプの乳性飲料「ホットミルージュ」を昨年9月に導入しました。
ウ.「蕃爽麗茶 香ばし風味」を、香ばしさをより高めることで、健康茶でありながら飲みやすく、すっきりとした味わいに改良し、昨年9月に導入しました。また、「蕃爽麗茶」の風味を踏襲したうえで、ホットでも飲みやすくした「ホット蕃爽麗茶」を昨年9月に導入しました。
エ. 紙容器入り乳飲料「マイルドカフェ・オ・レ」および「マイルドいちご・オ・レ」のシリーズ品として、こくのある生乳などのまろやかな味わいと、厳選した抹茶のおいしさがバランス良くマッチした、抹茶入り乳飲料「マイルド抹茶・オ・レ」を昨年9月に導入しました。
オ. 鹿児島県霧島市福山町産のつぼ造り黒酢を含む純米熟成黒酢を使用したビネガードリンク「黒酢ドリンク」に、腸内のビフィズス菌を増やしておなかの調子を整える働きのあるガラクトオリゴ糖を125ml当たり2.5g配合することにより、特定保健用食品(規格基準型)の表示許可を取得し、本年1月に導入しました。
③ その他海外事業支援
ア.メキシコヤクルト株式会社が昨年5月に導入した、カロリーを従来の「ソフール」から約25%低減した「ソフールLT」(プレーン、ストロベリー、アップル、マンゴー)の技術支援を行いました。
イ.ヨーロッパヤクルト株式会社が昨年9月にドイツおよびオーストリアで導入した「ヤクルトプラス」の技術支援を行いました。「ヤクルトプラス」は、「ヤクルト」に食物繊維を添加し付加価値を高めるとともに、ヨーグルトフレーバーを加えることで、今までにない新しい風味に仕上げています。
ウ.ブラジルヤクルト商工株式会社が本年1月に導入した、カロリーを現行「ソフールバニラ」から低減した「ソフールライト」の技術支援を行いました。

当分野の研究開発費は4,048百万円です。



(3) 医薬品製造販売事業分野

医薬品研究開発分野においては、抗がん剤を中心とした薬剤の研究開発を進めています。
プラチナ系がん化学療法剤「エルプラット」(一般名:オキサリプラチン)は、「進行・再発の結腸・直腸がん」や「結腸がんにおける術後補助化学療法」の標準的治療薬として広く用いられています。また、膵がんに対しては他剤との併用によるFOLFIRINOX療法で効能・効果および用法・容量の追加を昨年12月に取得しました。さらに、胃がんへの適応拡大についても準備を行っています。
「カンプト」(一般名:イリノテカン塩酸塩水和物)については、FOLFIRINOX療法で使用する薬剤の一つであることから「エルプラット」と同様、昨年12月に膵がんに対する効能・効果および用法・容量の追加を取得しました。
これら「エルプラット」および「カンプト」に関しては、外部研究機関との共同研究による本剤の効果や副作用に関連するバイオマーカー検索を含めた製造販売後臨床試験を実施するとともに、適正使用推進のための使用成績調査もあわせて実施しています。
ドイツのエテルナゼンタリス社から導入したPI3K/Akt阻害剤「ペリフォシン」については、婦人科がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験および小児神経芽腫を対象とした第Ⅰ相臨床試験をそれぞれ実施しています。さらに、ドイツの4SC AG社から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」については、肝細胞がんおよび肺がんを対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施しています。
また、米国のプロアクタ社と共同開発中の低酸素状態で活性化されるマルチキナーゼ阻害剤「PR610」は現在、米国にて第Ⅰ相臨床試験を実施中であり、リブテック社と共同開発中の「LIV-2008」については、現在、第I相臨床試験開始に向け、非臨床試験を実施しています。
基礎研究分野では、抗がん剤およびその周辺領域でのシーズを確保するための研究を引き続き実施しています。
当分野の研究開発費は5,080百万円です。

(4) その他事業分野

その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追求と当社独自の乳酸菌はっ酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。
基礎化粧品については、女性の肌悩みのひとつである「たるみ」のメカニズムに着目するとともに、当社の乳酸菌技術と研究開発力を結集し、その科学的根拠に基づき開発・検証を行った美容液「ビサイクル リフトリペア エッセンス」を昨年11月に導入しました。
仕上化粧品については、紫外線防止効果のある下地クリーム「ホワイトアップ ベース UV」を昨年4月に導入しました。また、流行や季節に応じた新色を開発し、口紅やアイシャドウのポイントメイクを導入することにより、「グランティア EX」シリーズのラインアップの充実を図りました。
当分野の研究開発費は534百万円です。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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