有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002FC3
日本電信電話株式会社 事業等のリスク (2014年3月期)
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を、NTTグループの事業を取り巻く環境及びそれに対応した事業戦略、業務運営に係るリスクのほか、規制をはじめとした政府との関係に係るリスク等の観点から総合的な評価を行った上で、以下のように取りまとめております。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
《事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスク》
○NTTグループの事業は、世界及び日本の経済状況から影響を受ける可能性があります。
NTTグループは日本、北米、中南米、ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジア、オセアニアなど世界各地で事業を展開しております。これらの国・地域での景気後退や経済成長速度の減速といった経済状態により、NTTグループが提供するサービスに対する需要や当社の事業運営に悪影響が生じる可能性があります。NTTグループの事業は、海外事業の割合が増加傾向にあるものの、その収益の多くが日本において生み出されているため、NTTグループの財政状態や経営成績は特に日本経済の状況の影響を受ける可能性があります。
NTTグループの事業のうち、特にソリューション事業では、景気後退により企業収益が悪化した場合はIT投資に係るコスト低減要求及びIT投資効果への評価が厳格化するなどIT投資を抑制する傾向があるため、NTTグループの扱うシステムやサービスの販売価格及び受注額の低下につながる可能性があります。
金融事業では、景気後退の影響により、取引先の経営状況が当社の与信管理の想定を超えて期中に変動し不良債権が発生する可能性があり、その場合はNTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。不動産事業では、景気後退の影響により不動産賃貸市場やマンション分譲市場の需給が悪化する可能性があり、その場合には投資の採算性が低下し、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
またNTTグループは、社債・借入金等の多様な手段により資金調達を実施し、低利かつ安定的な資金の確保に努めております。しかし、金融市場において大きな変動が生じた場合には、NTTグループは金融市場を通じた資金調達が困難になる可能性があるほか、事業活動に必要な資金を調達することが困難になる可能性があります。
NTTグループは投資有価証券等の資産を保有しております。景気後退による株式市場や金融市場の低迷により、それらの資産価値が下落した場合には評価損が発生し、NTTグループの業績に影響が生じる可能性があります。またNTTグループの年金基金についても、景気後退による株式市場や金融市場の低迷が生じた場合には、年金運用等に影響を及ぼす可能性があります。
○市場構造の変化や競争の進展により、NTTグループの市場シェアと収益が低下する可能性があります。
情報通信市場は、スマートフォンやタブレット端末の普及、LTE(注1)をはじめとしたワイヤレスブロードバンドの高速化、クラウドサービスの利用拡大などが進行しております。また、通信会社だけではなく様々な事業者が市場に参入し、OTT(注2)事業者が提供するサービスが普及しグローバルレベルの競争が進展するなど、通信サービスにおける市場構造は大きく変化しています。さらに、既存の通信事業者との料金・サービス競争も継続しており、競争環境は一段と厳しくなっています。このような市場構造の変化や競争の進展に適切に対応できない場合、NTTグループの市場シェアと収益が低下する可能性があります。
固定通信市場においては、移動通信市場の拡大に伴い固定通信の利用が減少しております。
固定音声通信サービスは、携帯電話やアプリケーションの普及拡大でコミュニケーションの手段が多様化したことなどにより、NTTグループが提供する加入電話やINSネットの契約数が減少するなど、NTTグループの固定音声収益の減少傾向が続いています。NTTグループのユーザ数が想定以上に減少した場合は財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。また、IP電話については、従来の固定電話において使用していた電話番号をそのまま使える光IP電話等の利用が法人市場、一般家庭市場ともに拡大しております。NTTグループにおいてもIP電話の普及を図っておりますが、それは結果的に固定電話の収益性悪化の一因ともなると想定されます。このような固定電話への影響は、光サービスやブロードバンドサービスの普及による収益の拡大やコスト削減によりカバーできるものと想定しておりますが、光サービスやブロードバンドサービスによる収益が想定通り拡大しない場合などにおいては、収支に影響を与える可能性があります。また、既存電話網からNGNへのマイグレーションについては、2010年11月に概括的展望を公表しましたが、NGNへのマイグレーションがNTTグループの想定通りに進まなかった場合、重複設備による負担の長期化や想定以上の一時コストの発生により、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
固定ブロードバンドサービスは、普及率の上昇に伴い市場が成熟しつつあり成長率が鈍化しています。その一方で大都市圏を中心に通信事業者間の競争が進展しており、当社のシェアの低下、ユーザ獲得ペースの鈍化、顧客の獲得・維持に想定以上のコストがかかる可能性があります。また、LTEをはじめとしたワイヤレスブロードバンドの高速化により、スマートフォンなどの携帯端末を唯一の通信手段とするユーザが若年層を中心に見られるようになっています。
このように、当社の固定通信サービスの利用が減少する場合には、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
移動通信市場においては、他の通信事業者との間で、端末価格も含めた料金、ネットワーク品質、提供するサービスなど、様々な側面で激しい競争が続いています。それに加え、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスとの競争やMVNO(注3)の拡大など、市場構造の変化に伴う競争も進展しています。
こうした市場環境のなか、NTTグループは期待する水準で契約数を獲得・維持できない可能性があり、さらには新規獲得契約数及び既存契約数を維持するために想定以上のコストが必要となる可能性があります。厳しい市場環境のなか、高度で多様なサービスの提供及び契約者の利便性向上を目的として、各種の新料金プラン・新サービスの提供及び料金改定を行っておりますが、それによって契約数を獲得・維持できるかどうかは定かではありません。また、各種料金・割引サービスの契約率や定額制サービスへ移行する契約数の動向などがNTTグループが想定したとおりにならない場合には、見込み以上にARPUの低下が起こる可能性があります。これらの結果、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
ソリューション事業は、情報サービス市場の中で有力な成長分野であると目されており、ハードウェアベンダー等もビジネスの主軸として取り組んでおります。また、急成長するインドや中国といった新興国の情報サービス企業が、グローバル競争をもたらしつつあり、競合会社の積極参入による競争激化が財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(注1)Long Term Evolutionの略。高速・大容量、電波利用効率の高さ、低遅延などを特徴とする通信方式。標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)で仕様が作成された。
(注2)Over The Top の略。自社でサービスの配信に必要な通信インフラを持たずに、他社の通信インフラを利用してコンテンツ配信を行うサービス。
(注3)Mobile Virtual Network Operatorの略。無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを展開している事業者。
○新規分野の成長や各種サービスの拡大が、想定通り進展しない可能性があります。
NTTグループは従来から取り組んでいる事業に加え、新規分野への進出や新たなビジネスモデルの創出に取り組んでおります。しかし、様々な要因により、新規分野が想定通り成長しない場合や新たなビジネスモデルの進展度合いによっては、NTTグループの経営成績または財政状態に影響を与える可能性があります。
そうした中、NTTグループは、グローバル・クラウドサービスを今後の成長ドライバーと位置づけ、事業の基軸としていく考えです。北米に研究開発拠点を設立しサービス開発力向上を目指しているほか、企業買収や新たなデータセンタの建設などを通じ、サービス提供能力、インフラ提供能力の強化を図るなど、事業を拡大・展開しております。しかし、国内外のクラウド市場が想定どおり成長しない可能性があるほか、サービス提供能力やインフラ提供能力が想定通り拡大しない可能性があり、そうした場合にはNTTグループの経営成績、財政状態に影響を与える可能性があります。また、クラウド市場における競争が激化した場合には、NTTグループの想定よりも事業の利益率が低下する可能性があるほか、NTTグループが獲得するシェアが想定よりも低下する可能性があります。そのような場合は収益が想定通り拡大しない可能性があります。
固定通信事業においては、映像配信をはじめとしたコンテンツ・アプリケーション事業や、医療、教育、行政等の公的分野におけるICT利活用の促進に取り組んでおりますが、それらの事業が進展しない場合には収益が想定通り拡大しない可能性があります。また、NTT東日本及びNTT西日本は、光アクセスサービスをエンドユーザに直接提供する従来のビジネスモデルに加えて、光アクセスサービスを多様なプレイヤーに提供し、各プレイヤーが光アクセスサービスと自社サービスを組み合わせ、各プレイヤーのサービスとしてエンドユーザに提供する新たなビジネスモデルを開始する予定です。しかし、この新たなビジネスモデルの進展度合いによってはNTTグループの経営成績または財政状態に影響を与える可能性があります。
移動通信事業においては、移動通信とメディア・コンテンツ、金融・決済、コマース、メディカル・ヘルスケア、M2M、環境・エコロジー、学習等の様々なサービスや産業を融合させ新たな事業領域へ取り組むことにより収益の拡大を図っております。しかし、サービス提供に必要なオペレーティングシステム、アプリケーション、コンテンツ等を提供するパートナーとの連携・協力などが期待通り展開できない可能性があるほか、新たなサービスの提供スケジュール、コスト、需要、魅力が期待通りでない可能性もあり、さらには現在または将来のNTTドコモが提供する各種サービスが、既存契約者や潜在的契約者を惹きつけ続けることができない場合には、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
○国内外の出資、提携及び協力関係や、新たな事業分野への出資等は、NTTグループが期待するようなリターンや事業機会を生まないとともに適切なコントロールが及ばない可能性があります。
NTTグループは、市場構造の変化やお客様ニーズに速やかに対応するため、国内外の企業・組織との合弁事業、事業提携、協力関係の構築、出資、買収等の活動を実施してきました。しかし、NTTグループが既に出資をしているまたは出資に合意している国内外の事業者や、将来出資や事業提携を行う国内外の事業者について、これら事業者の企業価値や経営成績を維持・向上させること及びNTTグループとのシナジー効果を十分に発揮することができない可能性があります。さらに、投資、提携または協力関係を解消・処分することにより、損失が生じる可能性があります。
NTTグループでは、ここ数年、グローバル・クラウド事業の強化を目的とした海外子会社の事業規模拡大や企業買収などに積極的に取り組んでおります。グローバル戦略の推進体制を強化するために、海外子会社を含むグループ各社による「グローバル戦略委員会」「グローバル人事委員会」「グローバルR&D委員会」を設置し、事業戦略に関する意識統一を図っております。しかし、海外子会社の増加により事業戦略に関する意識統一が困難になり、適切なコントロールが及ばず、事業・業務運営が円滑に行うことが困難となる可能性があります。また、海外における事業活動は、投資や競争等に関する法的規制、商習慣の相違、労使関係、国際政治など様々な要因の影響下にあり、これらのリスクが顕在化した場合には当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
これらの理由等により、NTTグループは、グローバル事業が想定通り拡大できない可能性があるほか、今後、国内外への出資等の結果として、減損損失を計上する可能性があります。
○NTTグループは、想定するコスト削減を実現できない可能性があります。
NTTグループはネットワークサービスの競争力強化を目的とした各種コスト削減に取り組んでおります。
固定通信事業においては、引き続き人件費や設備関連コストの削減に努めるとともに、販売関連経費の効率化や業務運営体制の見直し等の業務全般の効率化を通じたコストの削減を推進しております。しかし、競争環境の変化、景気後退による市場環境の変化に対応した取り組みが必要となる場合には、コスト削減効果が十分に発揮されない可能性があります。
移動通信事業においては、経営体質の強化に向け、ネットワーク、販売・サービス、研究開発、端末に関わる効率化を推進しておりますが、他の事業者等との競争が激化したり、市場環境が変化することなどにより、効率化が期待どおりに進まず、想定していたコスト削減ができない可能性があります。
また、設備投資については、光開通の更なる効率化や基地局構築の効率化を推進することで、光アクセス、移動通信ネットワーク等に関する設備投資のコスト削減を目指し、投資総額を売上高対比で低下させていくことを目指しております。しかしながら、スマートフォンやタブレット端末などの普及拡大やLTEへの移行促進に伴うデータトラヒック増加に対応するためのネットワークの増強や、クラウド化の進展に伴うデータセンタの拡充などにより、設備投資の効率化が想定通り進展しない場合などには、設備投資額が想定以上に拡大する可能性があります。
○NTTドコモの採用する移動通信システムに関する技術・周波数帯域(以下、技術等)と互換性のある技術等を他の移動通信業者が採用し続ける保証がなく、NTTグループの国際サービスを十分に提供できない可能性があります。
NTTドコモが採用する移動通信システムに関する技術等と互換性のある技術等を十分な数の他の移動通信事業者が採用することにより、NTTドコモは国際ローミングサービス等のサービスを世界規模で提供することが可能となっております。今後も引き続き海外の出資先や戦略的提携先その他の多くの移動通信事業者が互換性のある技術等を採用し維持することを期待しておりますが、将来にわたって期待が実現するという保証はありません。
もし、今後十分な数の他の移動通信事業者において、NTTドコモが採用する技術等と互換性のある技術等が採用されなかったり、他の技術等に切り替えられた場合や互換性のある技術等の導入及び普及拡大が遅れた場合、NTTドコモは国際ローミングサービス等のサービスを期待どおりに提供できないかもしれず、NTTドコモの契約者の海外での利用といった利便性が損なわれる可能性があります。
また、標準化団体等の活動等によりNTTドコモが採用する標準技術に変更が発生し、NTTドコモが使用する端末やネットワークについて変更が必要になった場合、端末やネットワーク機器メーカーが適切かつ速やかに端末及びネットワーク機器の調整を行えるという保証はありません。
こうしたNTTドコモが採用する技術等と互換性のある技術等の展開が期待どおりとならず、国際サービス提供能力を維持または向上させることができない場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
○NTTグループ等が事業遂行上必要とする知的財産権等の権利につき当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品またはサービスの提供ができなくなるほか、NTTグループが他者の知的財産権等の権利の侵害を理由に損害賠償責任等を負う可能性があること、また、NTTグループが保有する知的財産権等の権利が不正に使用され、本来得られるライセンス収入が減少したり、競争上の優位性をもたらすことができない可能性があります。
NTTグループや事業上のパートナーがその事業を遂行するためには、事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利について、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける必要があります。現在、NTTグループ等は、当該権利の保有者との間で契約を締結することによりライセンス等を受けており、また、今後の事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利については、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける予定ですが、当該権利の保有者との間でライセンス等の付与について合意できなかったり、または、一旦ライセンス等の付与に合意したもののその後当該合意を維持できなかった場合には、NTTグループや事業上のパートナーの特定の技術、商品またはサービスの提供ができなくなる可能性があります。
NTTグループ各社による海外企業の買収などに伴い、NTTグループの事業の国際化がますます進んでおり、その結果、NTTグループが海外企業からその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受ける機会が増える可能性があります。仮に他者より、NTTグループがその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受けた場合には、その解決に多くの時間と費用を要する可能性があり、さらに当該他者の主張が判決等により認められた場合、あるいは和解等により当事者間で合意した場合には、当該権利に関連する事業の収益減や当該権利の侵害を理由に損害賠償責任等を負ったり、当該事業の実施の差止めを受ける可能性があり、それにより財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。さらに、NTTグループが保有する知的財産権等の権利について、第三者が不正に使用するなどにより、本来得られるライセンス収入が減少したり、競争上の優位性をもたらすことができない可能性があります。
《業務運営に係るリスク》
○自然災害、ソフトウェア・ハードウェア障害、サイバー攻撃などによるシステム障害やネットワーク障害、システム構築上の問題が財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
NTTグループは、お客様に固定、移動の音声やデータ通信サービス等を提供するために、加入電話、光アクセス、W-CDMA、LTE等のネットワークを全国規模で構築・維持しております。NTTグループのサービス提供に必要なシステムやネットワークについては、通信ビルの耐震機能・水防機能の強化、伝送路のルート見直しなど安全かつ安定して運用できるよう様々な対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず、地震・津波・台風・洪水等の自然災害、新型インフルエンザ等伝染病の大規模な流行、ソフトウェア及びハードウェアの障害、サイバー攻撃、テロリズム、武力行為、地域紛争といった要因により、システム及びネットワーク障害の発生やサービスを安定的に提供できない可能性があります。こうした場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
特に、大規模災害等が発生した場合には、ネットワークに大きな影響を受けるだけでなく、システム障害の復旧に長い時間を要する可能性や緊急の電力使用制限によりサービスを安定的に提供できない可能性があり、その結果として、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下する恐れがあるほか、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされる可能性があります。
また、NTTグループにおいては、高度で複雑な技術を利用したサービスや製品が増えており、品質管理のリスクが増大しております。特に、スマートフォンやタブレット端末上で動作するアプリケーション等のソフトウェアの中には、通信の確立、切断等をするために、端末とネットワーク間でやりとりされる制御信号の増加等、NTTグループの想定を大きく上回る設備負荷を生じさせる可能性を有するものがあります。設備増強によるネットワーク耐力の強化、故障対応の迅速化などにより信頼性及び品質の向上に取り組んでおりますが、既存の設備ではそうしたトラヒックを処理できない場合や、サービスや製品に関わるシステム障害、機器の設定誤り等の人為的要因による問題が生じた場合には、その損害についてNTTグループが責任を負う可能性があると共に、サービスや製品の品質への信頼を失う可能性があります。
さらに、近年では、スマートフォンやクラウドサービス等の新たなICT分野におけるサービスの情報セキュリティへの対策が大きな課題となっております。NTTグループは、情報通信産業の責任ある担い手として、セキュリティ対策は徹底しておりますが、想定外の事象が起こった場合には、不正アクセス、ウィルス感染等が発生し、NTTグループへのお客様からの信頼性が低下する可能性があります。また、NTTドコモの携帯電話端末には、決済機能を含む様々な機能が搭載されており、NTTドコモはもとよりNTTドコモ以外の多数の事業者等のサービスが携帯電話端末上で提供されるなかで、端末の故障・欠陥・紛失等や他の事業者のサービスの不完全性等に起因して問題が発生する可能性があります。
また、NTTグループはソリューションビジネスにおいてお客様にシステム・サービスを提供・納品しておりますが、それらのシステム・サービスに障害・欠陥が発生する可能性があります。NTTグループがお客様に提供・納品したシステム・サービスのなかには、社会的なインフラとなり、経済活動や日常生活に大きな影響力をもつものがあります。特にそれらのシステム・サービスに障害、欠陥、不正アクセス、ウイルス感染、サイバー攻撃等が発生した場合には、それらによって発生した損害に対する賠償金の支払いが必要となる可能性があるほか、NTTグループの社会的信用や企業イメージが低下する可能性があります。なお、ソリューションビジネスにおいては、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っていることから、当初想定していた見積りからの乖離や開発段階におけるプロジェクト管理等の問題によって、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害の発生等が生じる可能性があります。
○国内外における不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取り扱い・流出により、NTTグループの信頼性・企業イメージに影響を与える可能性があります。
NTTグループは、国内外で多くの拠点を持ち、様々な製品やサービスを取り扱う関係上、関連する法令や規則は多岐にわたり、事業活動を営むにあたり免許・届出・許認可等が必要とされるものもあります。また、海外での事業運営においては、当該国での法令の存在または欠如、法令の予期しえない解釈、法規制の新設や改定等によって、法令遵守のための負担が増加する可能性があります。
NTTグループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、コンプライアンス体制を強化し法令遵守の徹底を図っております。また、近年の米国・英国を中心とした諸外国の贈収賄防止法の厳格化を受け、国内外を問わず、より一層のコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、こうした対策を行っても、従業員による個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合もあります。こうした場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
また、お客様情報をはじめとする個人情報等の業務上の機密情報の取り扱いについては、従来、情報通信産業の責任ある担い手であるとの認識のもと、厳重な管理などに努めると共に、「NTTグループ情報セキュリティポリシー」を制定し、グループとして、社内における管理体制の整備、役員や従業員への啓発活動、マニュアル類の整備などを行い、個人情報等の機密情報の保護の徹底に取り組んでおります。このような取り組みにより、個人情報等の機密情報の管理には万全を期しておりますが、仮に、個人情報等の機密情報が流出した場合や不適切な取り扱いがなされた場合、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下し、契約者獲得や指名入札等事業への影響が生じる恐れがあります。
○NTTグループの提供する製品やサービスの不適切な使用により、NTTグループの信頼性・企業イメージに影響を与える社会的問題が発生する可能性があります。
NTTグループの提供している製品やサービスがユーザに不適切に使用されることにより、NTTグループの製品やサービスに対する信頼性の低下や、企業イメージの悪化を招き、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
代表的なものとして、NTTドコモが提供する「ドコモメール」、「spモード」メール、「iモード」メール、SMS等のメールを使った迷惑メールがあります。NTTドコモは、迷惑メールフィルタリング機能の提供、各種ツールによる契約者への注意喚起の実施や迷惑メールを大量に送信している業者に対し利用停止/契約解除措置等を行うなど、種々の対策を講じてきておりますが、未だ根絶するには至っておりません。NTTドコモの契約者が迷惑メールを大量に受信してしまうことにより顧客満足度の低下や企業イメージの低下が起こり、「iモード」または「spモード」契約数の減少となることもあり得ます。
次に、未成年者が違法有害サイトへアクセスすることにより受ける悪影響の可能性、及びその対策として未成年者に対して原則適用している有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)の機能の十分さや精度等に関する様々な議論があります。こうした問題も、同様に企業イメージの低下を招く恐れがあります。
また、振り込め詐欺等犯罪に使用される携帯電話はレンタル携帯電話が多く、貸し出す際に本人確認をしないなど不正利用防止法に違反した悪質なレンタル事業者に対しては、法に基づき役務提供を拒否するなど、種々の対策を講じてまいりました。しかし今後、犯罪への利用が多発した場合、携帯電話そのものが社会的に問題視され、NTTドコモ契約者の解約数の増加を引き起こすといった事態が生じる可能性もあります。
そのほか、端末やサービスの高機能化に伴い、パケット通信を行う頻度及びデータ量が増加していることを契約者が十分に認識せずに携帯電話を使用し、その結果、契約者の認識以上に高額のパケット通信料が請求されるといった問題や、自動車や自転車の運転中に携帯電話を使用することによる事故の発生といった問題に加え、いわゆる「歩きスマホ」という歩行中の携帯電話使用によるトラブルの発生が増加しているという問題もあります。また、有料コンテンツの過度な利用による高額課金といった問題や、スマートフォンの普及に伴い、不正アプリ(ソフト)のインターネット上での配信による個人情報の流出といった問題もあります。
このような社会的な問題については、フィルタリング機能の提供や利用者年齢認証による利用サイトの制限等の各種サービスや青少年向け携帯電話を提供するなどにより、適切に対応していると考えておりますが、将来においても適切な対応を続けることができるかどうかは定かではなく、仮に適切な対応ができなかった場合には、既存契約者の解約が増加したり、新規契約者を期待通り獲得できないという結果になる可能性があり、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
《規制等、政府との関係に係るリスク等》
○通信規制の決定及び変更がNTTグループの事業に影響を与える可能性があります。
日本の情報通信市場においては、外資規制の撤廃(NTTを除く)、利用者料金規制の緩和、通信事業者間の接続料に関する長期増分費用方式の導入、その他の競争促進を目的とした電気通信関連の法改正等、多くの分野で規制の変更が行われてきております。政府等による規制に関する決定、それに伴う通信業界における環境変化は、NTTグループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
現在見直しが行われている規制の概要については「第1 企業の概況 3.事業の内容 (1)規制」をご参照下さい。
○NTTドコモが使用できる周波数が限られているなか、事業運営に必要な周波数割当が得られない可能性があります。
NTTドコモがサービスを提供するために使用できる周波数には限りがあります。東京、大阪といった都心部の主要駅周辺などでは、NTTドコモの移動通信ネットワークは、ピーク時に使用可能な周波数の限界、もしくはそれに近い状態で運用されることがあるため、サービス品質が低下する可能性があります。
また、スマートフォンやタブレット端末等の普及拡大に伴い、NTTドコモの契約者当たりのトラヒック量が増加していくなか、事業の円滑な運営のために必要な周波数が政府機関より割り当てられなかった場合や、オークションシステムの導入などの周波数割当制度の見直しにより必要な周波数が得られなかった場合にも、サービス品質が低下する可能性があります。
また、NTTドコモは新たに割り当てられた700MHz帯域の使用を計画しております。しかし、現在700MHz帯を使用している既存無線システムの使用周波数帯域を他周波数帯域へ移行促進するための措置(終了促進措置)が想定通りに進まないことで、円滑な移動通信ネットワークの運用ができず、サービス品質が低下したり、追加の費用が発生する可能性があります。
NTTドコモは、LTE等の技術やLTE移行促進等による周波数利用効率の向上、及び新たな周波数の獲得に努めておりますが、これらの努力によってサービス品質の低下を回避できるとは限りません。もしNTTドコモがこの問題に十分かつ適時に対処しきれない場合、サービスの提供が制約を受け、契約者が競合他社に移行してしまうかもしれず、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
○NTTグループは、温室効果ガス排出量削減等の環境に関する法令・規制・制度の影響を受ける可能性があります。
NTTグループは、温室効果ガス排出量削減、省エネルギー、廃棄物処理、有害物質処理等に関する日本及び海外の環境に関する法令・規制の適用を受けております。NTTグループはこれらの環境に関する法令・規制に対応すべく、高効率電源の導入や通信設備のリユース・リサイクル等の様々な取り組みを実施しておりますが、将来環境に関する社会的な要求がより厳しくなり、新たな法令・規制の導入や、法令・規制の強化等がなされた場合には、コスト負担が増加し、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
○政府は、株主総会での決議に多大な影響力を与えるに十分な当社株式を保有しております。
政府は現在当社の発行済株式の35.65%(自己株式除き発行済株式総数の36.50%、議決権比率36.56%)を保有しております。政府は株主として当社の株主総会での議決権を有していることから、最大株主として、理論的には株主総会等における決定に対し多大な影響力を行使する権限を有しております。しかしながら、政府は1997年の国会答弁において、基本的に当社の経営に積極的に関与する形での株主権の行使はしないことを表明しており、事実、過去において政府は当社の経営に直接関与するためにそのような権限を行使したことはありません。
○株式市場における需給悪化またはその懸念により、当社の株式及びADSの価格が影響を受ける可能性があります。
1986年10月までは、政府は当社の発行済株式総数の100%を保有しておりましたが、売出しや当社の自己株式取得に応じた売却により、2014年3月31日現在、発行済株式の約35.65%(自己株式除き発行済株式総数の36.50%)を保有しております。今後もNTT法が改正され、政府の当社株式保有義務が緩和・撤廃された場合や、当社が自己株式を消却した場合、政府が売却できる当社株式が増加します。
政府による当社株式の売却または売却の可能性、あるいは、当社による新株の発行、自己株式の処分またはそれらの可能性は、当社の株式及びADSの価格に影響を与える可能性があります。
政府との関係に関する詳細については、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社株式に係る事項」をご参照下さい。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
《事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスク》
○NTTグループの事業は、世界及び日本の経済状況から影響を受ける可能性があります。
NTTグループは日本、北米、中南米、ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジア、オセアニアなど世界各地で事業を展開しております。これらの国・地域での景気後退や経済成長速度の減速といった経済状態により、NTTグループが提供するサービスに対する需要や当社の事業運営に悪影響が生じる可能性があります。NTTグループの事業は、海外事業の割合が増加傾向にあるものの、その収益の多くが日本において生み出されているため、NTTグループの財政状態や経営成績は特に日本経済の状況の影響を受ける可能性があります。
NTTグループの事業のうち、特にソリューション事業では、景気後退により企業収益が悪化した場合はIT投資に係るコスト低減要求及びIT投資効果への評価が厳格化するなどIT投資を抑制する傾向があるため、NTTグループの扱うシステムやサービスの販売価格及び受注額の低下につながる可能性があります。
金融事業では、景気後退の影響により、取引先の経営状況が当社の与信管理の想定を超えて期中に変動し不良債権が発生する可能性があり、その場合はNTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。不動産事業では、景気後退の影響により不動産賃貸市場やマンション分譲市場の需給が悪化する可能性があり、その場合には投資の採算性が低下し、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
またNTTグループは、社債・借入金等の多様な手段により資金調達を実施し、低利かつ安定的な資金の確保に努めております。しかし、金融市場において大きな変動が生じた場合には、NTTグループは金融市場を通じた資金調達が困難になる可能性があるほか、事業活動に必要な資金を調達することが困難になる可能性があります。
NTTグループは投資有価証券等の資産を保有しております。景気後退による株式市場や金融市場の低迷により、それらの資産価値が下落した場合には評価損が発生し、NTTグループの業績に影響が生じる可能性があります。またNTTグループの年金基金についても、景気後退による株式市場や金融市場の低迷が生じた場合には、年金運用等に影響を及ぼす可能性があります。
○市場構造の変化や競争の進展により、NTTグループの市場シェアと収益が低下する可能性があります。
情報通信市場は、スマートフォンやタブレット端末の普及、LTE(注1)をはじめとしたワイヤレスブロードバンドの高速化、クラウドサービスの利用拡大などが進行しております。また、通信会社だけではなく様々な事業者が市場に参入し、OTT(注2)事業者が提供するサービスが普及しグローバルレベルの競争が進展するなど、通信サービスにおける市場構造は大きく変化しています。さらに、既存の通信事業者との料金・サービス競争も継続しており、競争環境は一段と厳しくなっています。このような市場構造の変化や競争の進展に適切に対応できない場合、NTTグループの市場シェアと収益が低下する可能性があります。
固定通信市場においては、移動通信市場の拡大に伴い固定通信の利用が減少しております。
固定音声通信サービスは、携帯電話やアプリケーションの普及拡大でコミュニケーションの手段が多様化したことなどにより、NTTグループが提供する加入電話やINSネットの契約数が減少するなど、NTTグループの固定音声収益の減少傾向が続いています。NTTグループのユーザ数が想定以上に減少した場合は財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。また、IP電話については、従来の固定電話において使用していた電話番号をそのまま使える光IP電話等の利用が法人市場、一般家庭市場ともに拡大しております。NTTグループにおいてもIP電話の普及を図っておりますが、それは結果的に固定電話の収益性悪化の一因ともなると想定されます。このような固定電話への影響は、光サービスやブロードバンドサービスの普及による収益の拡大やコスト削減によりカバーできるものと想定しておりますが、光サービスやブロードバンドサービスによる収益が想定通り拡大しない場合などにおいては、収支に影響を与える可能性があります。また、既存電話網からNGNへのマイグレーションについては、2010年11月に概括的展望を公表しましたが、NGNへのマイグレーションがNTTグループの想定通りに進まなかった場合、重複設備による負担の長期化や想定以上の一時コストの発生により、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
固定ブロードバンドサービスは、普及率の上昇に伴い市場が成熟しつつあり成長率が鈍化しています。その一方で大都市圏を中心に通信事業者間の競争が進展しており、当社のシェアの低下、ユーザ獲得ペースの鈍化、顧客の獲得・維持に想定以上のコストがかかる可能性があります。また、LTEをはじめとしたワイヤレスブロードバンドの高速化により、スマートフォンなどの携帯端末を唯一の通信手段とするユーザが若年層を中心に見られるようになっています。
このように、当社の固定通信サービスの利用が減少する場合には、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
移動通信市場においては、他の通信事業者との間で、端末価格も含めた料金、ネットワーク品質、提供するサービスなど、様々な側面で激しい競争が続いています。それに加え、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスとの競争やMVNO(注3)の拡大など、市場構造の変化に伴う競争も進展しています。
こうした市場環境のなか、NTTグループは期待する水準で契約数を獲得・維持できない可能性があり、さらには新規獲得契約数及び既存契約数を維持するために想定以上のコストが必要となる可能性があります。厳しい市場環境のなか、高度で多様なサービスの提供及び契約者の利便性向上を目的として、各種の新料金プラン・新サービスの提供及び料金改定を行っておりますが、それによって契約数を獲得・維持できるかどうかは定かではありません。また、各種料金・割引サービスの契約率や定額制サービスへ移行する契約数の動向などがNTTグループが想定したとおりにならない場合には、見込み以上にARPUの低下が起こる可能性があります。これらの結果、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
ソリューション事業は、情報サービス市場の中で有力な成長分野であると目されており、ハードウェアベンダー等もビジネスの主軸として取り組んでおります。また、急成長するインドや中国といった新興国の情報サービス企業が、グローバル競争をもたらしつつあり、競合会社の積極参入による競争激化が財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(注1)Long Term Evolutionの略。高速・大容量、電波利用効率の高さ、低遅延などを特徴とする通信方式。標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)で仕様が作成された。
(注2)Over The Top の略。自社でサービスの配信に必要な通信インフラを持たずに、他社の通信インフラを利用してコンテンツ配信を行うサービス。
(注3)Mobile Virtual Network Operatorの略。無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを展開している事業者。
○新規分野の成長や各種サービスの拡大が、想定通り進展しない可能性があります。
NTTグループは従来から取り組んでいる事業に加え、新規分野への進出や新たなビジネスモデルの創出に取り組んでおります。しかし、様々な要因により、新規分野が想定通り成長しない場合や新たなビジネスモデルの進展度合いによっては、NTTグループの経営成績または財政状態に影響を与える可能性があります。
そうした中、NTTグループは、グローバル・クラウドサービスを今後の成長ドライバーと位置づけ、事業の基軸としていく考えです。北米に研究開発拠点を設立しサービス開発力向上を目指しているほか、企業買収や新たなデータセンタの建設などを通じ、サービス提供能力、インフラ提供能力の強化を図るなど、事業を拡大・展開しております。しかし、国内外のクラウド市場が想定どおり成長しない可能性があるほか、サービス提供能力やインフラ提供能力が想定通り拡大しない可能性があり、そうした場合にはNTTグループの経営成績、財政状態に影響を与える可能性があります。また、クラウド市場における競争が激化した場合には、NTTグループの想定よりも事業の利益率が低下する可能性があるほか、NTTグループが獲得するシェアが想定よりも低下する可能性があります。そのような場合は収益が想定通り拡大しない可能性があります。
固定通信事業においては、映像配信をはじめとしたコンテンツ・アプリケーション事業や、医療、教育、行政等の公的分野におけるICT利活用の促進に取り組んでおりますが、それらの事業が進展しない場合には収益が想定通り拡大しない可能性があります。また、NTT東日本及びNTT西日本は、光アクセスサービスをエンドユーザに直接提供する従来のビジネスモデルに加えて、光アクセスサービスを多様なプレイヤーに提供し、各プレイヤーが光アクセスサービスと自社サービスを組み合わせ、各プレイヤーのサービスとしてエンドユーザに提供する新たなビジネスモデルを開始する予定です。しかし、この新たなビジネスモデルの進展度合いによってはNTTグループの経営成績または財政状態に影響を与える可能性があります。
移動通信事業においては、移動通信とメディア・コンテンツ、金融・決済、コマース、メディカル・ヘルスケア、M2M、環境・エコロジー、学習等の様々なサービスや産業を融合させ新たな事業領域へ取り組むことにより収益の拡大を図っております。しかし、サービス提供に必要なオペレーティングシステム、アプリケーション、コンテンツ等を提供するパートナーとの連携・協力などが期待通り展開できない可能性があるほか、新たなサービスの提供スケジュール、コスト、需要、魅力が期待通りでない可能性もあり、さらには現在または将来のNTTドコモが提供する各種サービスが、既存契約者や潜在的契約者を惹きつけ続けることができない場合には、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
○国内外の出資、提携及び協力関係や、新たな事業分野への出資等は、NTTグループが期待するようなリターンや事業機会を生まないとともに適切なコントロールが及ばない可能性があります。
NTTグループは、市場構造の変化やお客様ニーズに速やかに対応するため、国内外の企業・組織との合弁事業、事業提携、協力関係の構築、出資、買収等の活動を実施してきました。しかし、NTTグループが既に出資をしているまたは出資に合意している国内外の事業者や、将来出資や事業提携を行う国内外の事業者について、これら事業者の企業価値や経営成績を維持・向上させること及びNTTグループとのシナジー効果を十分に発揮することができない可能性があります。さらに、投資、提携または協力関係を解消・処分することにより、損失が生じる可能性があります。
NTTグループでは、ここ数年、グローバル・クラウド事業の強化を目的とした海外子会社の事業規模拡大や企業買収などに積極的に取り組んでおります。グローバル戦略の推進体制を強化するために、海外子会社を含むグループ各社による「グローバル戦略委員会」「グローバル人事委員会」「グローバルR&D委員会」を設置し、事業戦略に関する意識統一を図っております。しかし、海外子会社の増加により事業戦略に関する意識統一が困難になり、適切なコントロールが及ばず、事業・業務運営が円滑に行うことが困難となる可能性があります。また、海外における事業活動は、投資や競争等に関する法的規制、商習慣の相違、労使関係、国際政治など様々な要因の影響下にあり、これらのリスクが顕在化した場合には当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
これらの理由等により、NTTグループは、グローバル事業が想定通り拡大できない可能性があるほか、今後、国内外への出資等の結果として、減損損失を計上する可能性があります。
○NTTグループは、想定するコスト削減を実現できない可能性があります。
NTTグループはネットワークサービスの競争力強化を目的とした各種コスト削減に取り組んでおります。
固定通信事業においては、引き続き人件費や設備関連コストの削減に努めるとともに、販売関連経費の効率化や業務運営体制の見直し等の業務全般の効率化を通じたコストの削減を推進しております。しかし、競争環境の変化、景気後退による市場環境の変化に対応した取り組みが必要となる場合には、コスト削減効果が十分に発揮されない可能性があります。
移動通信事業においては、経営体質の強化に向け、ネットワーク、販売・サービス、研究開発、端末に関わる効率化を推進しておりますが、他の事業者等との競争が激化したり、市場環境が変化することなどにより、効率化が期待どおりに進まず、想定していたコスト削減ができない可能性があります。
また、設備投資については、光開通の更なる効率化や基地局構築の効率化を推進することで、光アクセス、移動通信ネットワーク等に関する設備投資のコスト削減を目指し、投資総額を売上高対比で低下させていくことを目指しております。しかしながら、スマートフォンやタブレット端末などの普及拡大やLTEへの移行促進に伴うデータトラヒック増加に対応するためのネットワークの増強や、クラウド化の進展に伴うデータセンタの拡充などにより、設備投資の効率化が想定通り進展しない場合などには、設備投資額が想定以上に拡大する可能性があります。
○NTTドコモの採用する移動通信システムに関する技術・周波数帯域(以下、技術等)と互換性のある技術等を他の移動通信業者が採用し続ける保証がなく、NTTグループの国際サービスを十分に提供できない可能性があります。
NTTドコモが採用する移動通信システムに関する技術等と互換性のある技術等を十分な数の他の移動通信事業者が採用することにより、NTTドコモは国際ローミングサービス等のサービスを世界規模で提供することが可能となっております。今後も引き続き海外の出資先や戦略的提携先その他の多くの移動通信事業者が互換性のある技術等を採用し維持することを期待しておりますが、将来にわたって期待が実現するという保証はありません。
もし、今後十分な数の他の移動通信事業者において、NTTドコモが採用する技術等と互換性のある技術等が採用されなかったり、他の技術等に切り替えられた場合や互換性のある技術等の導入及び普及拡大が遅れた場合、NTTドコモは国際ローミングサービス等のサービスを期待どおりに提供できないかもしれず、NTTドコモの契約者の海外での利用といった利便性が損なわれる可能性があります。
また、標準化団体等の活動等によりNTTドコモが採用する標準技術に変更が発生し、NTTドコモが使用する端末やネットワークについて変更が必要になった場合、端末やネットワーク機器メーカーが適切かつ速やかに端末及びネットワーク機器の調整を行えるという保証はありません。
こうしたNTTドコモが採用する技術等と互換性のある技術等の展開が期待どおりとならず、国際サービス提供能力を維持または向上させることができない場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
○NTTグループ等が事業遂行上必要とする知的財産権等の権利につき当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品またはサービスの提供ができなくなるほか、NTTグループが他者の知的財産権等の権利の侵害を理由に損害賠償責任等を負う可能性があること、また、NTTグループが保有する知的財産権等の権利が不正に使用され、本来得られるライセンス収入が減少したり、競争上の優位性をもたらすことができない可能性があります。
NTTグループや事業上のパートナーがその事業を遂行するためには、事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利について、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける必要があります。現在、NTTグループ等は、当該権利の保有者との間で契約を締結することによりライセンス等を受けており、また、今後の事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利については、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける予定ですが、当該権利の保有者との間でライセンス等の付与について合意できなかったり、または、一旦ライセンス等の付与に合意したもののその後当該合意を維持できなかった場合には、NTTグループや事業上のパートナーの特定の技術、商品またはサービスの提供ができなくなる可能性があります。
NTTグループ各社による海外企業の買収などに伴い、NTTグループの事業の国際化がますます進んでおり、その結果、NTTグループが海外企業からその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受ける機会が増える可能性があります。仮に他者より、NTTグループがその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受けた場合には、その解決に多くの時間と費用を要する可能性があり、さらに当該他者の主張が判決等により認められた場合、あるいは和解等により当事者間で合意した場合には、当該権利に関連する事業の収益減や当該権利の侵害を理由に損害賠償責任等を負ったり、当該事業の実施の差止めを受ける可能性があり、それにより財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。さらに、NTTグループが保有する知的財産権等の権利について、第三者が不正に使用するなどにより、本来得られるライセンス収入が減少したり、競争上の優位性をもたらすことができない可能性があります。
《業務運営に係るリスク》
○自然災害、ソフトウェア・ハードウェア障害、サイバー攻撃などによるシステム障害やネットワーク障害、システム構築上の問題が財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
NTTグループは、お客様に固定、移動の音声やデータ通信サービス等を提供するために、加入電話、光アクセス、W-CDMA、LTE等のネットワークを全国規模で構築・維持しております。NTTグループのサービス提供に必要なシステムやネットワークについては、通信ビルの耐震機能・水防機能の強化、伝送路のルート見直しなど安全かつ安定して運用できるよう様々な対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず、地震・津波・台風・洪水等の自然災害、新型インフルエンザ等伝染病の大規模な流行、ソフトウェア及びハードウェアの障害、サイバー攻撃、テロリズム、武力行為、地域紛争といった要因により、システム及びネットワーク障害の発生やサービスを安定的に提供できない可能性があります。こうした場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
特に、大規模災害等が発生した場合には、ネットワークに大きな影響を受けるだけでなく、システム障害の復旧に長い時間を要する可能性や緊急の電力使用制限によりサービスを安定的に提供できない可能性があり、その結果として、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下する恐れがあるほか、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされる可能性があります。
また、NTTグループにおいては、高度で複雑な技術を利用したサービスや製品が増えており、品質管理のリスクが増大しております。特に、スマートフォンやタブレット端末上で動作するアプリケーション等のソフトウェアの中には、通信の確立、切断等をするために、端末とネットワーク間でやりとりされる制御信号の増加等、NTTグループの想定を大きく上回る設備負荷を生じさせる可能性を有するものがあります。設備増強によるネットワーク耐力の強化、故障対応の迅速化などにより信頼性及び品質の向上に取り組んでおりますが、既存の設備ではそうしたトラヒックを処理できない場合や、サービスや製品に関わるシステム障害、機器の設定誤り等の人為的要因による問題が生じた場合には、その損害についてNTTグループが責任を負う可能性があると共に、サービスや製品の品質への信頼を失う可能性があります。
さらに、近年では、スマートフォンやクラウドサービス等の新たなICT分野におけるサービスの情報セキュリティへの対策が大きな課題となっております。NTTグループは、情報通信産業の責任ある担い手として、セキュリティ対策は徹底しておりますが、想定外の事象が起こった場合には、不正アクセス、ウィルス感染等が発生し、NTTグループへのお客様からの信頼性が低下する可能性があります。また、NTTドコモの携帯電話端末には、決済機能を含む様々な機能が搭載されており、NTTドコモはもとよりNTTドコモ以外の多数の事業者等のサービスが携帯電話端末上で提供されるなかで、端末の故障・欠陥・紛失等や他の事業者のサービスの不完全性等に起因して問題が発生する可能性があります。
また、NTTグループはソリューションビジネスにおいてお客様にシステム・サービスを提供・納品しておりますが、それらのシステム・サービスに障害・欠陥が発生する可能性があります。NTTグループがお客様に提供・納品したシステム・サービスのなかには、社会的なインフラとなり、経済活動や日常生活に大きな影響力をもつものがあります。特にそれらのシステム・サービスに障害、欠陥、不正アクセス、ウイルス感染、サイバー攻撃等が発生した場合には、それらによって発生した損害に対する賠償金の支払いが必要となる可能性があるほか、NTTグループの社会的信用や企業イメージが低下する可能性があります。なお、ソリューションビジネスにおいては、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っていることから、当初想定していた見積りからの乖離や開発段階におけるプロジェクト管理等の問題によって、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害の発生等が生じる可能性があります。
○国内外における不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取り扱い・流出により、NTTグループの信頼性・企業イメージに影響を与える可能性があります。
NTTグループは、国内外で多くの拠点を持ち、様々な製品やサービスを取り扱う関係上、関連する法令や規則は多岐にわたり、事業活動を営むにあたり免許・届出・許認可等が必要とされるものもあります。また、海外での事業運営においては、当該国での法令の存在または欠如、法令の予期しえない解釈、法規制の新設や改定等によって、法令遵守のための負担が増加する可能性があります。
NTTグループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、コンプライアンス体制を強化し法令遵守の徹底を図っております。また、近年の米国・英国を中心とした諸外国の贈収賄防止法の厳格化を受け、国内外を問わず、より一層のコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、こうした対策を行っても、従業員による個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合もあります。こうした場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
また、お客様情報をはじめとする個人情報等の業務上の機密情報の取り扱いについては、従来、情報通信産業の責任ある担い手であるとの認識のもと、厳重な管理などに努めると共に、「NTTグループ情報セキュリティポリシー」を制定し、グループとして、社内における管理体制の整備、役員や従業員への啓発活動、マニュアル類の整備などを行い、個人情報等の機密情報の保護の徹底に取り組んでおります。このような取り組みにより、個人情報等の機密情報の管理には万全を期しておりますが、仮に、個人情報等の機密情報が流出した場合や不適切な取り扱いがなされた場合、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下し、契約者獲得や指名入札等事業への影響が生じる恐れがあります。
○NTTグループの提供する製品やサービスの不適切な使用により、NTTグループの信頼性・企業イメージに影響を与える社会的問題が発生する可能性があります。
NTTグループの提供している製品やサービスがユーザに不適切に使用されることにより、NTTグループの製品やサービスに対する信頼性の低下や、企業イメージの悪化を招き、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
代表的なものとして、NTTドコモが提供する「ドコモメール」、「spモード」メール、「iモード」メール、SMS等のメールを使った迷惑メールがあります。NTTドコモは、迷惑メールフィルタリング機能の提供、各種ツールによる契約者への注意喚起の実施や迷惑メールを大量に送信している業者に対し利用停止/契約解除措置等を行うなど、種々の対策を講じてきておりますが、未だ根絶するには至っておりません。NTTドコモの契約者が迷惑メールを大量に受信してしまうことにより顧客満足度の低下や企業イメージの低下が起こり、「iモード」または「spモード」契約数の減少となることもあり得ます。
次に、未成年者が違法有害サイトへアクセスすることにより受ける悪影響の可能性、及びその対策として未成年者に対して原則適用している有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)の機能の十分さや精度等に関する様々な議論があります。こうした問題も、同様に企業イメージの低下を招く恐れがあります。
また、振り込め詐欺等犯罪に使用される携帯電話はレンタル携帯電話が多く、貸し出す際に本人確認をしないなど不正利用防止法に違反した悪質なレンタル事業者に対しては、法に基づき役務提供を拒否するなど、種々の対策を講じてまいりました。しかし今後、犯罪への利用が多発した場合、携帯電話そのものが社会的に問題視され、NTTドコモ契約者の解約数の増加を引き起こすといった事態が生じる可能性もあります。
そのほか、端末やサービスの高機能化に伴い、パケット通信を行う頻度及びデータ量が増加していることを契約者が十分に認識せずに携帯電話を使用し、その結果、契約者の認識以上に高額のパケット通信料が請求されるといった問題や、自動車や自転車の運転中に携帯電話を使用することによる事故の発生といった問題に加え、いわゆる「歩きスマホ」という歩行中の携帯電話使用によるトラブルの発生が増加しているという問題もあります。また、有料コンテンツの過度な利用による高額課金といった問題や、スマートフォンの普及に伴い、不正アプリ(ソフト)のインターネット上での配信による個人情報の流出といった問題もあります。
このような社会的な問題については、フィルタリング機能の提供や利用者年齢認証による利用サイトの制限等の各種サービスや青少年向け携帯電話を提供するなどにより、適切に対応していると考えておりますが、将来においても適切な対応を続けることができるかどうかは定かではなく、仮に適切な対応ができなかった場合には、既存契約者の解約が増加したり、新規契約者を期待通り獲得できないという結果になる可能性があり、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
《規制等、政府との関係に係るリスク等》
○通信規制の決定及び変更がNTTグループの事業に影響を与える可能性があります。
日本の情報通信市場においては、外資規制の撤廃(NTTを除く)、利用者料金規制の緩和、通信事業者間の接続料に関する長期増分費用方式の導入、その他の競争促進を目的とした電気通信関連の法改正等、多くの分野で規制の変更が行われてきております。政府等による規制に関する決定、それに伴う通信業界における環境変化は、NTTグループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
現在見直しが行われている規制の概要については「第1 企業の概況 3.事業の内容 (1)規制」をご参照下さい。
○NTTドコモが使用できる周波数が限られているなか、事業運営に必要な周波数割当が得られない可能性があります。
NTTドコモがサービスを提供するために使用できる周波数には限りがあります。東京、大阪といった都心部の主要駅周辺などでは、NTTドコモの移動通信ネットワークは、ピーク時に使用可能な周波数の限界、もしくはそれに近い状態で運用されることがあるため、サービス品質が低下する可能性があります。
また、スマートフォンやタブレット端末等の普及拡大に伴い、NTTドコモの契約者当たりのトラヒック量が増加していくなか、事業の円滑な運営のために必要な周波数が政府機関より割り当てられなかった場合や、オークションシステムの導入などの周波数割当制度の見直しにより必要な周波数が得られなかった場合にも、サービス品質が低下する可能性があります。
また、NTTドコモは新たに割り当てられた700MHz帯域の使用を計画しております。しかし、現在700MHz帯を使用している既存無線システムの使用周波数帯域を他周波数帯域へ移行促進するための措置(終了促進措置)が想定通りに進まないことで、円滑な移動通信ネットワークの運用ができず、サービス品質が低下したり、追加の費用が発生する可能性があります。
NTTドコモは、LTE等の技術やLTE移行促進等による周波数利用効率の向上、及び新たな周波数の獲得に努めておりますが、これらの努力によってサービス品質の低下を回避できるとは限りません。もしNTTドコモがこの問題に十分かつ適時に対処しきれない場合、サービスの提供が制約を受け、契約者が競合他社に移行してしまうかもしれず、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
○NTTグループは、温室効果ガス排出量削減等の環境に関する法令・規制・制度の影響を受ける可能性があります。
NTTグループは、温室効果ガス排出量削減、省エネルギー、廃棄物処理、有害物質処理等に関する日本及び海外の環境に関する法令・規制の適用を受けております。NTTグループはこれらの環境に関する法令・規制に対応すべく、高効率電源の導入や通信設備のリユース・リサイクル等の様々な取り組みを実施しておりますが、将来環境に関する社会的な要求がより厳しくなり、新たな法令・規制の導入や、法令・規制の強化等がなされた場合には、コスト負担が増加し、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
○政府は、株主総会での決議に多大な影響力を与えるに十分な当社株式を保有しております。
政府は現在当社の発行済株式の35.65%(自己株式除き発行済株式総数の36.50%、議決権比率36.56%)を保有しております。政府は株主として当社の株主総会での議決権を有していることから、最大株主として、理論的には株主総会等における決定に対し多大な影響力を行使する権限を有しております。しかしながら、政府は1997年の国会答弁において、基本的に当社の経営に積極的に関与する形での株主権の行使はしないことを表明しており、事実、過去において政府は当社の経営に直接関与するためにそのような権限を行使したことはありません。
○株式市場における需給悪化またはその懸念により、当社の株式及びADSの価格が影響を受ける可能性があります。
1986年10月までは、政府は当社の発行済株式総数の100%を保有しておりましたが、売出しや当社の自己株式取得に応じた売却により、2014年3月31日現在、発行済株式の約35.65%(自己株式除き発行済株式総数の36.50%)を保有しております。今後もNTT法が改正され、政府の当社株式保有義務が緩和・撤廃された場合や、当社が自己株式を消却した場合、政府が売却できる当社株式が増加します。
政府による当社株式の売却または売却の可能性、あるいは、当社による新株の発行、自己株式の処分またはそれらの可能性は、当社の株式及びADSの価格に影響を与える可能性があります。
政府との関係に関する詳細については、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社株式に係る事項」をご参照下さい。
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