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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10028O9

有価証券報告書抜粋 前田建設工業株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度は、建築事業、土木事業及びその他事業を中心に研究開発を行い、その総額は1,621百万円余である。
(建築事業及び土木事業)
当社グループは、建築事業及び土木事業における研究開発活動を当社が中心に行っている。当社グループは、年々多様化・高度化する社会ニーズに対応し、受注及び生産性向上、品質確保など企業利益に直結する研究開発を重点的に推進している。特に「環境経営」を支える環境活動と震災からの復旧・復興に関しては、全社をあげての取り組みを展開しており、研究開発においてもこれら環境関連分野及び防災・震災復旧関連分野に注力している。さらに、研究開発活動の幅を広げ効率化を図るため、大学、公的研究機関、異業種企業との技術交流、共同開発なども積極的に推進している。
また、当社は、事業に直結する短期的な技術開発を建築・土木両事業本部の技術開発部所で、中長期・基礎的な研究開発を技術研究所で主管する開発体制を構築し、それぞれで連携を密に取りながら、よりスピーディーに、効果的かつ効率的な研究開発を実施している。
当連結会計年度における研究開発費は1,141百万円余であり、主な研究開発成果は次のとおりである。
(1)環境関連技術
①省エネ・CO2削減技術
地球温暖化防止の観点に加え、電力供給制約の観点からも、省エネ・CO2削減への社会的ニーズが高まってきている。当社では「環境関連技術の開発・展開」、「総合的な環境サービスの提供」、「エネルギー分野への取り組み推進」に向けた活動を行っており、これらの取り組みを集成した「ZEB+」(ゼブ・プラス)化建築に挑戦している。当社が独自に実現を目指す「ZEB+」とは、建築物における年間のエネルギー消費をネット・ゼロとするいわゆる「ZEB」(Zero Energy Building)に加えて、室内の快適性・知的生産性、運用管理性、再生可能エネルギーの高度利用などにも配慮した、環境と人に優しい建築物である。その独自の「+(プラス)技術」として「環境配慮型次世代照明システム」、「再生可能エネルギーを利用した潜熱・顕熱分離空調」、「建物履歴管理システム アイクロア(ichroa)による多拠点型エネルギー管理」、「CO2排出量取引技術サポート」などを開発し実物件への適用を進めている。
②生物多様性の評価技術
生物多様性に関する取り組みとして、都市部中小規模緑地の生物多様性に向けた緑地評価と取組に関するプログラム「HEALIN」を開発し、再開発事業等の企画提案・設計段階で活用している。
③施工時の環境配慮技術
車両の走行速度やエンジン回転数などのデータから燃料消費量が最小となる運転をシミュレーションする独自技術を核に、実際の運転との乖離を評価することで省燃費運転の指導を行う「ECO-Dash」が、2013年度の土木学会土木情報学論文賞を受賞した。本評価手法に基づいて省燃費運転指導を継続的に行うことで、燃料消費量および施工段階におけるCO2排出量を20%以上削減することが実現できる。
④放射性物質による環境汚染対策技術
東日本大震災とその後の津波によってもたらされた原発事故により、放射性物質が東北地方を中心に広域的に拡散、沈着するに至っており、この放射性物質による環境影響を速やかに低減することが求められている。当社では、原発事故発生以来、放射性物質による環境汚染対策技術の掘り起こしに注力し、内閣府(2011年度)、福島県(2012年度)、環境省(2013年度 継続中)の各除染技術実証事業において既存保有技術の応用展開ならびに新技術の開発による対策効果の検証に取り組んでいる。具体的には、ゼオライトブロックによる水質浄化技術、汚泥の減容化・不溶化技術「スーパー・バキューム・プレス」、放射性廃棄物貯蔵施設の遮水構造に用いるベントナイト混合土製造技術「ミストブレンダー」、現地発生材料を用いた防潮堤の構築技術「CSG工法」、汎用設備利用による低コストな湿式分級技術、放射能濃度に応じて汚染土壌を連続的に分別する土壌ソーティング技術などの開発および効果検証を進めている。
⑤太陽光発電関連技術
当社では茨城県つくば市に1,990キロワットの太陽光発電施設を建設し、2013年3月の運転開始から順調に稼働している。4ヘクタールの発電施設には防草技術の研究開発機能を設け、雑草が貫通しにくい極太繊維を有するシートや環境負荷の少ない除草剤、表面固化材料などによる防草効果、メンテナンスフリー性などを確認し、引き続き耐久年数などを検証していく。

(2)地盤の耐震補強・液状化対策技術
東日本大震災の教訓を踏まえ、東海・東南海・南海をはじめとする巨大地震の発生が懸念され、今後ますます建物・地盤の耐震補強市場は拡大するものと考えられる。特に既設戸建住宅の液状化対策については復興交付金を用いた事業が各市町村で計画されており、当社は、これまでに多くの適用実績がある高圧噴射撹拌による地盤補強工法「マルチジェット工法」を既設戸建住宅にも適用できる超小型機を開発し、現場実証実験、施工・品質管理ツールの開発など、更なるバージョンアップを進めている。また、高精度の位置検知システムで計測を行いながら直線・曲線を組み合わせて自由な方向に削孔を行う自在ボーリング技術を用いた「MAGAR(マガール)工法」、振動締固め工法に吸水機構を付加することで飛躍的に締固め効果を向上させた「SIMAR(シマール)工法」などの地盤改良技術を適宜組合せることで、より高品質で環境に優しい施工方法を継続的に提案している。

(3)ITを活用した施工の合理化・品質向上技術
①CIMモデル
当社では、構造物のライフサイクル全般を通した業務の効率化を目的として、3Dモデルと各種データや帳票類を最適に組み合わせた「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」の開発を進めている。当連結会計年度に希望型CIM試行工事に指定された国土交通省関東地方整備局発注の「矢切管渠その9工事」にCIMを導入し、複雑な構造物を3次元モデルで可視化することによる関係者間の意思統一、構造物のライフサイクルにわたる情報の一元化、維持管理業務における有効性などを確認した。今後も実際の現場へのCIMの導入を推進し、誰でも容易に使え、様々な業務の効率化に寄与できる実用的なCIMの開発を進めていく。
②建築生産システム
当社は早稲田大学、新菱冷熱工業㈱と共同で建築物の改修工事に3次元レーザースキャナーを活用し、廃棄物などが削減できる建築生産システムを共同開発した。改修工事に先立ち、既存建物の躯体、仕上、設備などの位置や寸法を3次元レーザースキャナーで計測する。図面では得られない精度の高い3次元データを取得し、この情報を用いて部材のプレカットを工場で行うことが容易になるため、現場内での作業軽減、廃棄物削減が図れる。システムの有効性は、実際の現場での試行実験にて確認した。
また当社では「多機能型携帯端末(タブレット等)を使った内装検査システム」を開発し、完成間近の集合住宅などの内装検査へ導入を進めている。従来の手書き作業と比較すると、壁紙の汚れや建具不具合などの検査記録作成時間が最大で7割短縮が図れた。また、検査記録は、専門工事会社別に項目を整理できるため、手直し工事発注の円滑化も図れる。自社の他、デベロッパーなどの事業主側の検査担当者が使うことも想定したシステムとなっている。

(その他事業)
連結子会社である㈱前田製作所においては、産業・鉄構機械製造事業において環境負荷の低減、安全制御機能の付加、国内及び海外の市場ニーズに即したクレーンの研究開発に重点的に取り組んだ。
当連結会計年度における研究開発費は480百万円余となっている。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00051] S10028O9)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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