有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1001JQR
アンジェス株式会社 研究開発活動 (2013年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における研究開発費は10億24百万円(前期比1億75百万円(△14.6%)の減少)となりました。
当社グループでは、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。
・HGF遺伝子治療薬「コラテジェン®」(自社品)
虚血性疾患治療剤「コラテジェン®」(HGF遺伝子治療薬)については、海外での重症虚血肢に対する承認取得を目的とした国際共同第Ⅲ相臨床試験の準備を進めております。本試験は既に米国FDA(米国食品医薬品局)とSPA(Special Protocol Assessment、特別プロトコール査定)の合意をしており、2010年9月には米国FDAからFast Track指定を取得致しました。また、2012年10月には田辺三菱製薬株式会社との間で米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結致しました。本契約により当社は、契約一時金と開発の進捗に応じたマイルストーンの支払いを受けることになり、さらに上市後は売上高に応じた一定の対価を受領致します。また、当該第Ⅲ相臨床試験の成功確度の向上を目的に米国FDAと臨床試験プロトコールの改訂協議を行い、2013年3月にSPAの改定に合意しました。この新たな治験プロトコールによるフィージビリティ(実施可能性)を確認する目的で、少数例のオープンラベル試験を計画し、2013年7月に米国NIHによるRAC(Recombinant DNA Advisory Committee)レビューを完了、続いて11月に実施医療機関による試験プロトコールの審査を完了致しました。当社は、この小規模試験を実施するとともに、引き続き国際共同第Ⅲ相臨床試験の開始に向け準備を進めてまいります。
さらに2013年11月には、国会において再生医療等製品の早期の実用化につながる条件付承認制度を含む改正薬事法が成立致しました。当社は、この新しい制度を活用することで重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬「コラテジェン®」の日本国内での早期実用化を目指し、開発再開の準備を進めております。
2006年に新たに発見された「コラテジェン®」の薬理作用に「リンパ管の新生」があります。リンパ浮腫はリンパ管の障害によりリンパ流が停滞して手足等が高度に腫れる疾患で、現在、有効な治療薬がありません。そこで当社は「コラテジェン®」が持つリンパ管新生作用に着目し、リンパ浮腫に対する画期的な治療薬の実用化を目指し開発を進めています。遺伝子治療用医薬品に必要な行政手続きである「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針」への適合確認については、2012年7月に厚生労働省から適合確認通知を受領し、その後、治験開始の準備を整え2013年10月より原発性リンパ浮腫患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。この試験は世界で初めてのリンパ浮腫に対する遺伝子治療薬の臨床試験であり、リンパ浮腫患者に対する「コラテジェン®」の有効性と安全性を探索的に確認することを目的としています。また、2013年5月には独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の「2012年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に「HGF プラスミドによるリンパ浮腫治療薬の実用化開発」が採択され、当社は2013年4月30日から2014年2月20日における開発費用の3分の2相当額を助成金として受領する予定です。
・NF-κBデコイオリゴ(自社品)
NF-κBデコイオリゴについては、2010年12月に塩野義製薬株式会社との間でNF-κBデコイオリゴのアトピー性皮膚炎適応に関する共同開発及び全世界における独占的な販売権許諾に合意致しました。本契約においての許諾対象はアトピー性皮膚炎に限らず、欧米に患者数の多い尋常性乾癬など、外用剤により治療する皮膚疾患全般が含まれております。また、NF-κBデコイオリゴを使用した外用剤の皮膚浸透性を一層改善することが可能となる製剤技術を2011年3月に株式会社メドレックスから導入致しました。この技術によりNF-κBデコイオリゴの皮膚透過性を従来の軟膏製剤と比べ数十倍程度向上することが可能となり、より広範囲の炎症性皮膚疾患への応用が期待されます。
2013年6月より、塩野義製薬株式会社との共同開発において上記の新製剤を用いたアトピー性皮膚炎治療薬の第Ⅰ相臨床試験が実施され、この新製剤の皮膚に対する安全性に問題がないことが確認されました。
NF-κBデコイオリゴの新たな適用疾患として、日本臓器製薬株式会社と椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした日本における独占的開発販売権許諾契約を2013年3月に締結致しました。NF-κBデコイオリゴは慢性腰痛に対する鎮痛効果と共に、椎間板変性に対しても有効な可能性がある新しいタイプの腰痛治療薬として期待されます。今後、本治療薬の承認取得に向けて、当社はNF-κBデコイオリゴの供給及び関連データの提供を担当し、日本臓器製薬株式会社が製剤製造や臨床試験などを進めます。当社は本契約により、契約一時金とマイルストーン、及び売上に応じたロイヤリティを受領します。
NF-κBデコイオリゴをPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器の開発については、2012年1月にメディキット株式会社と国内の治験から上市に渡る共同開発および製造販売に関する契約を締結しました。本製品はバルーン拡張による血管炎症や再狭窄を抑制することが期待され、世界で初めての抗炎症薬塗布型のPTAバルーンカテーテルを目指して開発中です。末梢血管内治療法においては、現在使用されているPTAバルーンカテーテルでは再狭窄率が高く、医療現場において再狭窄予防が期待できるPTAバルーンカテーテルの開発が強く望まれております。本製品は、既存のPTAバルーンカテーテルに再狭窄抑制という新しい機能が付加されることにより、再狭窄までの期間延長や外科的バイパス手術の回避が期待でき、患者様のQOL向上が見込まれます。
また、透析シャントの血管狭窄を有する被験者を対象とした臨床試験に関する治験計画届書を2012年3月に独立行政法人医薬品医療機器総合機構へ提出し、臨床試験を開始しております。今後も臨床試験を進め、早期の承認取得、上市を目指してまいります。
さらに、NF-κBデコイオリゴの次世代型である新規構造を有する核酸ハイブリッドデコイを対象に難治性炎症性疾患に対する核酸医薬品の開発を目指し探索研究を進めております。
・機能性ペプチド「キュアペプチン®」(自社品)
抗菌作用を有する機能性ペプチド「キュアペプチン®」を応用した新製品の開発に関しては、2009年4月より森下仁丹株式会社と共同で研究を実施しており、同社のヘルスケア分野における強みを生かして傷あて材などの応用製品開発の検討を進めています。・CIN治療ワクチン(導入開発品)
当社は、2011年12月に韓国のBioLeaders Corporation(バイオリーダース)、株式会社ジェノラックBLとの間で、子宮頸部上皮内腫瘍性病変(CIN)の治療ワクチン(CIN治療ワクチン)について日米英中の開発、製造、使用および販売の独占的実施権許諾に関するオプション権についての基本契約を締結しておりましたが、2013年4月3日にオプション権を行使し、独占的実施権許諾に関するライセンス契約を締結しました。現在、世界各国で発売中の子宮頸がん予防ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防を目的としたワクチンでありHPV既感染者に対して癌化を防ぐような治療効果は得られません。一方、当社が開発するCIN治療ワクチンは、HPVのE7蛋白質に対する特異的な細胞性免疫を子宮頸部へ効率的に誘導することで子宮頸部の高度異形性を消失させ、子宮頸がんへの移行を回避できる画期的な世界初の治療ワクチンとして期待されます。このCIN治療ワクチンの安全性と有効用量を検証するため、2009年より東京大学附属病院において探索的臨床試験(ステップ1)が行われました。その結果、1日4カプセル群において全例で子宮頸がん前がん病変(CIN3)が退縮し、円錐切除手術を回避できることが確認されました。また全例において安全性に問題なかったことから、ステップ1の最適用量であった1日4カプセルによる探索的臨床試験(ステップ2)が実施されました。2013年3月にステップ2の結果が明らかとなり、ステップ1の再現性と本治療ワクチンの有効性および安全性が示されました。今後、さらに探索的臨床試験を進めることで、本治療ワクチンの有効性と安全性を検討してまいります。
・転移性メラノーマ治療薬「Allovectin®」(導入開発品)
転移性メラノーマ治療薬「Allovectin®」については、提携先の米国バイカル社と米国FDAとの間でSPA合意に基づく第Ⅲ相臨床試験として、米国、欧州を中心とした15カ国の国際共同治験を実施しておりましたが、2013年8月にバイカル社からこのトップラインデータは主要評価項目、副次評価項目のいずれも統計学的に有意な改善効果が示されなかった、と公表がありました。これを受け、当社は、今後、当該試験の詳細データを確認し、メラノーマ以外の癌に対する開発の可能性を検討してまいります。医薬品開発の状況
(自社品)
区分 | 製品名/プロジェクト | 適応症 | 地域 | 開発段階 | 主な提携先 | |
医 薬 品 | HGF遺伝子治療薬 「コラテジェン®」 | 重症虚血肢 (閉塞性動脈硬化症及びバージャー病) | 日本 | ※ 第Ⅲ相準備中 | 第一三共株式会社 (販売権供与) | |
欧米 | 田辺三菱製薬株式会社 (販売権供与(米国)) | |||||
虚血性心疾患 | 日本 | 臨床準備中 | 第一三共株式会社 (販売権供与) | |||
米国 | 第Ⅰ相 | 未定 | ||||
パーキンソン病 | 前臨床 | 未定 | ||||
リンパ浮腫 | 日本 | 第I/Ⅱ相 | 未定 | |||
NF-κBデコイオリゴ | アトピー性皮膚炎 | 日本 | 第Ⅱ相(軟膏剤) | 塩野義製薬株式会社 (開発販売権供与(全世界)) | ||
日本 | 第Ⅰ相(新製剤) | |||||
椎間板性腰痛症 | 日本 | 前臨床 | 日本臓器製薬株式会社 (開発販売権供与) | |||
医 療 機 器 | 薬剤塗布型 PTAバルーン カテーテル | 血管再狭窄予防 | 日本 | 臨床試験 | メディキット株式会社 (共同開発販売権供与) | |
機能性ペプチド | 創傷 | 応用研究中 | 森下仁丹株式会社 (共同研究) |
※日本は条件付承認制度を活用した開発の準備中
(導入開発品)
区分 | 製品名/プロジェクト | 適応症 | 当社の権利 | 開発段階 | 提携先 |
医 薬 品 | CIN治療ワクチン | 子宮頸がん 前がん病変 | 日米英中の開発販売権 | 研究者主導 探索的臨床試験 (日本) | バイオリーダース(韓) |
Allovectin® (遺伝子治療薬) | 癌全般 | アジアの開発販売権 | 検討中 | バイカル社(米) |
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