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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1003P2C

有価証券報告書抜粋 株式会社メディネット 事業等のリスク (2014年9月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループといたしましては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応等に努める方針でありますが、投資判断は、以下の記載事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行なわれる必要があります。以下の記載は、当社グループに関連するリスクをすべて網羅するものではないことにご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①サービス価格に係るリスク
免疫細胞治療は先進的な医療技術であるため、一般的な治療として行われている外科療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療等)などのように、現時点では保険診療の対象とはなっておらず、当社契約医療機関における免疫細胞治療1クールの治療費総額は、医師が適切と判断する治療の種類等にもよりますが、およそ160万円であります。当社は、免疫細胞療法総合支援サービスの対価として細胞加工の種類と回数に基づく変動課金制によるサービス料を頂いておりますが、その金額は当該契約医療機関の患者が負担する治療費に制約されます。また、免疫細胞治療は先端医療であるがゆえに、医師の治療方法に対する考え方に相違があること、関連技術が急速な進歩過程にあること等の理由により、標準的な価格水準が定まっていないことから、今後の免疫細胞治療の普及過程における治療費水準の変化等に伴い、当社サービス価格の見直しがなされた場合等には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。さらに2014年11月以降、免疫細胞治療が「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」のもとで医療機関により適切に提供されることになりますが、これによりこれまでの免疫細胞療法総合支援サービスの対価そのものの形態が変更される可能性があります。今後、企業が細胞加工を受託する細胞加工業という新たなビジネスモデルの構築の過程において、新たな価格体系が形成される可能性があることから、まだ免疫細胞治療に係る価格については不確定要素があり、これらを早急に解決することも当社グループの経営課題のひとつと認識しております。
②競合及び競合他社に係るリスク
(1)免疫細胞治療に係る分野への企業参入状況
近年、ベンチャー企業数社が、当社グループのサービスと類似したモデルで免疫細胞治療に係る分野に参入してきております。こうした動きは、新たな技術革新の進展を促し、市場が拡大していく反面、玉石混交の状況を作り出す可能性もあり、結果として患者のデメリットになることも考えられます。業界の発展とともに参入する企業が増え、他企業がトラブルを起こした場合、業界全体のイメージ低下等により、当社グループも間接的に悪影響を受ける可能性があります。
(2)バイオ・テクノロジーの進歩に伴う競合
当社グループの属するバイオテクノロジー業界は急速に変化・拡大しておりますが、特にがん治療分野では新しい治療薬の研究開発が進んでおります。大手製薬企業が、がんをターゲットとして開発を進める分子標的薬(病気に関係がある細胞だけに働きかける機能を持った新しいタイプの治療薬)や血管新生阻害剤(がん細胞に栄養や酸素を供給する血管の新生を抑える薬)等は免疫細胞治療との併用効果が期待されておりますが、仮に免疫細胞治療との併用とは関連なく、治療効果の高い医薬品が開発された場合には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループにおいては、積極的な研究開発投資により、常に最先端の技術への対応、業界に先駆けた新技術の開発等に注力しておりますが、当該技術革新への対応が遅れた場合、あるいは、現在の主力事業の対象となっている免疫細胞治療に代わる画期的な治療法が開発された場合等には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。
③品質管理体制に係るリスク
現在、当社グループが事業を推進している再生・細胞医療分野においては、急速に進歩した最先端技術に基づいた治療が行われるため、安全面・品質管理面でのスタンダードが十分に確立されていない現状でしたが、2013年11月27日に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が公布され、2014年11月25日に施行されております。
これまで、当社は、2004年3月19日、細胞医療支援事業としては世界に先駆け、国際標準化機構が制定した品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取得し、当社の細胞医療支援事業がグローバル・スタンダードに照らして公正に運営されていることを、独立した第三者機関による審査を受けることで裏付けてまいりました。しかしながら、今後はISO9001の品質マネジメントに加え、新たに施行された上記の2つの法律に対し、これまで培った再生・細胞医療分野の事業ノウハウを用いて効率的に適合させ、より高度な安全・品質管理体制の構築を目指してまいります。なお、現在、当社が契約医療機関に提供する免疫細胞療法支援サービスにおいては、加工される細胞が投与されるに足りる安全性を保つために、以下のような品質管理体制を整えております。
(1)細胞加工施設の運営管理
現在、当社が契約し、医療機関内で細胞加工を行っている施設は、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の設備構造を有しており、同法とこれまでの治療用細胞加工ノウハウを融合させた運営準備を遅延なく進めております。また、建築中の品川CPFでは再生医療等技術を用いた治験薬の製造を行うことを目的として、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に従った施設設計と運営管理を目指し、準備を進めております。
(2)培養技術者の育成
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の施行により、企業が医療機関から治療用細胞の培養の委託が可能となります。当社にとってこれまでの事業経験をアドバンテージとして、十分な安全管理体制を確保できない医療機関や細胞加工施設を有しながらも効率的な運営ができないなどの問題を抱える医療機関から治療用細胞の受託が可能となり、営業収益を拡大する機会となります。しかしながら、治療用細胞培養を適正かつ安全に行うには、十分な教育をうけた技術者の育成が必要であり、高い技能を有した細胞培養技術者は品質向上につながります。当社ではこれまでの事業経験に裏づけされた治療用細胞の培養を適正かつ安全に行うための培養技術者の育成システムを有しており、継続的に技術者を育成しております。
(3)資材管理
細胞加工には常に安全な資材を用いることが条件となるため、培地(細胞培養液)や試薬については、製造先との厳密な購買契約を締結し、培地や試薬の不良品の混入、劣化を未然に防ぐとともに、仕入、保存管理の徹底、検査体制の充実等、常に品質管理体制の強化を図っております。
当社グループは、今後とも常に品質管理体制の強化に努めてまいりますが、培地や試薬の不良品の混入、劣化、培養過程における人為的な過失、地震や火災等の災害等が発生した場合には、重大な事故に繋がる恐れもあり、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。また、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が2014年11月25日に施行され、これまで同法下で運営されている細胞加工施設の前例はなく、予期し得ない事象が生じた場合には、事業推進に影響を与える可能性があります。
④法的規制の影響
これまで、当社グループが行なう細胞医療支援事業は、医療機関に対するサービス業であることから、法的規制の対象となる行為ではありませんでしたが、当社事業に関連する「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が2013年11月27日に公布され、2014年11月25日に施行されております。
(1)「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」との関連
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」は、医療機関が再生医療等に用いられる再生医療等技術の安全性の確保及び生命倫理への配慮や医療機関が再生医療技術を用いた治療を用いる場合に講じるべき措置、治療に用いる細胞組織の加工を医療機関以外が実施する場合の細胞加工物の製造の許可等の制度を定めた法律です。今後、契約医療機関における細胞加工は本法律に基づき実施することとなります。
(2)「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」との関連
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置医薬品等の有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うことを目的とした法律です。本法律では、再生医療技術を用いた医療用の製品として、新たに再生医療等製品がカテゴリ化されており、当社が再生医療技術を用いた医療用の製品の開発を行う場合には、当法律に従うことになります。
当社はこれらの法律に適合するべく遅延なく準備を進めております。しかしながら、新規法律への対応となり、当社が想定し得ない事象が生じた場合には、その対応のためコストが発生する可能性があります。また、これらの法律には罰則が規定されており、(1)に関しては当社グループおよび契約医療機関が、(2)に関しては当社グループが予期せず当該罰則規定に抵触した場合には、罰則金の支払いが生じること等から社会的な信用を失う可能性があります。
⑤研究開発に内在する不確実性
当社グループが事業を展開する分野は、急速に進歩を続ける最先端のバイオテクノロジーに立脚したものであるため、継続的な研究開発活動が将来的な事業拡大のための大変重要な役割を担っております。
当社グループでは、研究開発型バイオテックカンパニーとして将来に渡る企業価値向上を図るべく、先端医科学研究所を中心に、基盤研究から技術開発、臨床開発まで、総合的な研究開発を戦略的に遂行していくための体制を構築し、積極的な活動を行っております。
これらに必要な研究開発費は、2012年9月期515,829千円(連結総売上高に対する比率23.5%)、2013年9月期518,580千円(連結総売上高に対する比率24.6%)、2014年9月期659,333千円(連結総売上高に対する比率35.8%)となっており、将来に渡る企業価値向上を図るための先行投資と認識しております。
しかしながら、研究開発テーマが事業化できなかった場合、事業化された場合でも当初の想定通りに売上が確保できなかった場合等には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。

⑥知的財産権に係るリスク
(1)特許出願状況
当社グループは、1999年4月に分子免疫学研究所を開設して以来、バイオテクノロジーおよびその周辺分野における最先端の研究開発および技術開発に取り組んでおり、2014年9月末までに、31件の特許を出願(うち海外出願10件)しております。その内、特許出願内訳は、技術に関するものが30件、ビジネスモデルに関するものが1件となっており、今後も、さらに知的財産権の獲得を進めていく方針であります。また、保有する知的財産権につきましては、自社利用のみにこだわることなく、積極的に他社へのライセンシング供与を検討し、当社グループ技術のデファクト・スタンダード化を促進してまいります。

当社グループの出願特許状況は、以下の通りです。
出願件数(国内)18件 (国際)3件(海外)10件 ※本件数は未公開出願も含みます。
登録件数(国内)15件 (海外)米国3件、欧州(11カ国)3件、豪州2件、中国1件、韓国2件
登 録ドナー等識別方法及び生体物質識別手段日本特許4031932号
医療支援システム日本特許4136350号
樹状細胞、該樹状細胞を含む医薬、該樹状細胞を用いた治療方法およびγδT細胞の培養方法
(Dendritic cell, drug containing the dendritic cell, therapeutic method using the dendritic cell and method of culturing gammadelta T cell)
日本特許5156137号
米国US8513010
欧州EP1788078
豪州AU2005260887
韓国KR10-1217706
抗原提示細胞の活性化処理方法
(Method for activation treatment of antigen-presenting cell)
日本特許5307944号
日本特許5384827号
米国US8609410
欧州EP1930414
豪州AU2006288348
中国CN1438962
韓国KR10-1419711
CTLとγδT細胞の同時誘導方法日本特許5524056号
食道癌の抗原およびその利用日本特許4557886号
癌抗原及びその利用
(Cancer antigens and utilization thereof)
日本特許5112615号
日本特許5291641号
欧州EP1536006
培養容器、培養装置および細胞の培養方法日本特許4668568号
リンパ球増殖抑制因子の吸着剤及び処理方法日本特許4958554号
細胞培養評価システム、細胞培養評価方法および細胞培養評価プログラム日本特許4932703号
細胞培養装置
(Cell culture apparatus, cell culture method, cell culture program and cell culture system)
日本特許5243038号
米国US8383395
細胞培養用振盪装置及び細胞培養方法の振盪培養方法日本特許5197013号
免疫増強機能を有する抗体日本特許5616782号

上記のうち、「医療支援システム」は、免疫細胞療法総合支援サービスにおける「オーダーメイド医療管理システム」として実用化されております。また、「樹状細胞、該樹状細胞を含む医薬、該樹状細胞を用いた治療方法およびγδT細胞の培養方法」及び「抗原提示細胞の活性化処理方法」は、免疫細胞療法総合支援サービスにおける「樹状細胞ワクチン療法」に関連する技術として日本において実用化されており、当社の提供する技術を保護する重要な特許となります。本技術の海外特許権については、今後、海外へのライセンシング供与を検討してまいります。今後、医療技術や細胞培養に密接に関わる重要な(周辺)技術については、積極的に知的財産権の出願を行ない、当社グループの技術を適切に保護していく必要があります。
ただし、これら先端医療技術に関する技術の中には、特許として知的財産権を獲得するよりも、ノウハウとして保有する方が事業戦略上優位であると考えられるものも少なからずあり、必ずしも全ての技術について特許としての権利化を目指す必要はないと考えております。当社グループの持つ技術・ノウハウについては、取引先あるいは共同研究先との秘密保持契約等で守ることにより、外部流出が厳しく管理されております。
このように当社グループは、当社独自の技術あるいは研究成果、事業化に伴うビジネスモデルに関し、必要に応じて、また可能な範囲において特許権等知的財産権の出願を行い、権利の保護に努めております。
また、他社からの当社グループ知的財産権の侵害及び他社知的財産権に対する侵害等に関しては、常時技術・特許調査を行い、権利の保護及び他社特許の侵害を回避するためのスキームを策定し、当社グループの技術やビジネスを適切に保護しております。
しかしながら、このように常に様々な状況を想定して対応してはいても、出願した案件が権利化できないという可能性もあります。また、権利化できた場合でも、実際にその権利を行使できなかったり、第三者の権利に抵触したりしている可能性もあります。
(2)医療行為および関連技術に係る特許
現在、当社グループ契約医療機関で既に実施されている医療行為については公知の事実となっているため、現在の主要事業に関し上記係争リスクはないものと考えております。現在、特許庁では、再生医療等の発展に伴い、再生医療等に関連する技術に対応した医薬発明に関する審査基準が運用されております。これにより医薬発明として保護される範囲が拡大され、当社グループが開発する技術のうち細胞を用いた医療関連技術に関しても特許化できる可能性が高まりました。また、政府の知的財産戦略本部では、社会の変化に対応した知的財産の保護についての検討が継続して行われております。当社グループとしても今後の動向を注視し、その時々の法規に沿った形での権利保護に努めてまいります。
⑦政府の推進政策等の変化
現在、我が国においては、2014年11月に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」および「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」により、再生医療分野に関する規制制度環境が整備されておりますが、それ以外にも再生・細胞医療、バイオテクノロジーおよび先端医療に係る各種の推進政策が実施されております。これらの推進政策は、これまでの主力事業である免疫細胞療法総合支援サービスだけではなく、当社グループの新たなビジネスモデルである細胞加工業および細胞医療製品事業等、今後当社グループが事業を展開する分野に大きく関わっております。
政府の主な推進政策とその概要は以下の通りであります。
(1)第3次対がん10か年総合戦略
厚生労働省と文部科学省は、1984年度から1993年度の「対がん10か年総合戦略」、1994年度から2003年度の「がん克服新10か年戦略」に引き続き、2004年度から2013年度の「第3次対がん10か年総合戦略」を発表しました。この「第3次対がん10か年総合戦略」では、以下の重点研究課題事項が提示されております。
a)学横断的な発想と先端科学技術の導入に基づくがんの本態解明の飛躍的推進
b)基礎研究の成果を積極的に予防・診断・治療等へ応用するトランスレーショナル・リサーチの推進
c)革新的な予防法の開発
d)革新的な診断・治療法の開発
e)がんの実態把握と情報・診療技術の発信・普及
また、これらの重点研究課題事項については、さらに詳細な戦略が示されており、「免疫療法」もそのひとつとして掲げられております。
これらは、いずれも当社グループの細胞医療支援事業及び研究開発活動と密接に関わるものであり、今後の事業展開に大きな影響を与えるものと考えております。
(2)新たな成長戦略テーマとしての医療関連産業
日本経済の再生に向けた成長戦略の一環として2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」の戦略市場創造プランにおいて、医療関連産業の活性化を行うための方策として、医薬品・医療機器開発・再生医療研究を加速させる規制・制度改革等が含まれる等、近年、成長産業としての医療分野の注目度が急速に高まってきております。
上記戦略においては、医療などの社会保障関連分野が健康長寿産業として戦略的分野の一つに位置づけられ、「健康長寿産業を創り、育てる」として医薬品、医療機器、再生医療の医療関連産業の市場規模を現状の12兆円から2020年に16兆円に拡大すること等が盛り込まれていることから、その政策動向如何により、当社グループの今後の事業展開に大きな影響を与えるものと考えております。
(3)先進医療制度
現在の日本における医療制度においては、保険診療の中に保険で認められていない診療を含むことは認められていません。しかし、将来的に保険導入を目指す先端的医療技術については、医療技術毎に定められた要件を満たす医療機関の届出により保険診療との併用を認める「先進医療」という制度があり、現在、がんに対する免疫細胞治療に関連する医療技術については、6つの医療技術が「先進医療」として認められております。
これにより今後、「先進医療」として免疫細胞治療を実施する医療機関が増える可能性があり、免疫細胞治療の認知、普及が進むことも期待されます。

しかしながら、今後、これら政府の政策の方向性に大きな変化が生じることとなった場合には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。
⑧特定の取引先への依存
当社グループの技術・サービスを供与する契約医療機関は、2014年9月30日現在、医療法人社団「滉志会」の4医療機関「瀬田クリニック東京」(東京都千代田区)、「瀬田クリニック新横浜」(神奈川県横浜市港北区)、「瀬田クリニック大阪」(大阪府吹田市)及び「瀬田クリニック福岡」(福岡県福岡市博多区)並びに「東京大学医学部附属病院」(東京都文京区)、「国立病院機構大阪医療センター」(大阪府大阪市中央区)、「九州大学先端医療イノベーションセンター」(福岡県福岡市東区)、「金沢大学附属病院トランスレーショナルリサーチセンター」の8施設であります。
このうち、医療法人社団「滉志会」の4医療機関に対する売上の総額は、2014年9月期1,762,885千円(連結売上高に占める割合95.6%)と、現時点では同医療法人に対する販売依存度が高い状態にあります。医療法人社団「滉志会」は、当社と緊密かつ安定的な関係にありますが、今後両者の関係が悪化した場合や、万が一同医療法人において不慮の事故が発生すること等により受診患者数の減少、閉鎖等の事態に至った場合には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。
⑨米国MaxCyte社とのセル・ローディング・システム技術に係るライセンス契約
当社グループは、2007年8月に米国MaxCyte社とセル・ローディング・システム技術に係るライセンス契約を締結し、同技術を使ったサービスを当社グループの契約医療機関に提供しております。また、2010年4月にはセル・ローディング・システム技術に係るライセンス契約の範囲拡大の契約を締結し、対象細胞・導入物質における独占的通常実施権、契約地域、及び対象疾患の権利範囲についてライセンス範囲を拡大しております。当社グループはそれぞれの契約において米国MaxCyte社に対してライセンス料を支払っており、それらは長期前払費用に計上し、契約満了の2022年8月までの期間で均等償却しております。そのため、今後、当社グループが何らかの理由で契約満了以前に米国MaxCyte社のセル・ローディング・システム技術を使用しなくなった場合には、その時点で長期前払費用の残高を全て償却することになり、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。
⑩細胞医療製品事業及び貸付金に係るリスク
当社グループは、2013年3月に、細胞医療製品事業に取り組むための資金を確保することを目的として、第三者割当の新株予約権の発行を行い、同年5月に、当新株予約権の全てが行使されたことにより予定していた資金調達が完了いたしました。今後は、調達した資金により、計画的に細胞医療製品の開発を進め、最終的には細胞医療製品の製造販売承認を取得することにより、細胞医療製品事業を細胞医療支援事業に続く新たな収益の柱とすることを目指してまいります。当社グループとしては、計画の進捗管理のためにマイルストーンを設け、当マイルストーンごとに検証を加えながら慎重に細胞医療製品開発を進めてまいりますが、細胞医療製品の臨床試験において必ずしも当社の期待したとおりの結果が得られるとは限らず、結果として細胞医療製品の製造販売承認が得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社は、当該事業に係るライセンス契約の相手先に対して、資金の長期貸付を行っており、2014年9月30日現在の残高は9,000千米ドル(985,050千円)であることから、貸付先の運営が計画通りに進まず引当金等を設定する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

対処すべき課題研究開発活動


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