有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10028LG
株式会社DNAチップ研究所 事業の内容 (2014年3月期)
当社は、受託解析及びDNAチップ関連技術開発、RNAチェック関連技術開発を行う「研究受託事業」と、DNAチップ及びツールの販売を行う「商品販売事業」を主な事業の内容としております。
過去3期間における事業別売上高推移は次の表のとおりであります。
セグメントの名称 | 2012年3月期 | 2013年3月期 | 2014年3月期 | |||
売上高 (千円) | 構成比 (%) | 売上高 (千円) | 構成比 (%) | 売上高 (千円) | 構成比 (%) | |
研究受託事業 | 314,888 | 78.5 | 342,675 | 92.2 | 335,200 | 96.0 |
商品販売事業 | 86,208 | 21.5 | 29,190 | 7.8 | 13,864 | 4.0 |
合計 | 401,096 | 100.0 | 371,866 | 100.0 | 349,065 | 100.0 |
(注)1数量については、その内容が多岐にわたるため記載を省略しております。
2売上高には、消費税等は含まれておりません。
(1)研究受託事業
研究受託事業では、大学・政府等の公的研究機関、製薬会社、食品会社、化粧品会社及び検査・診断会社等のバイオ関連企業から、DNAチップ関連及び次世代シークエンス関連の解析や統計処理、顧客要求仕様に基づいたDNAチップ(カスタムチップ)の設計を受託しております。RNAチェック関連技術開発では、「リウマチ総合診断支援サービス」に加えて、臨床現場で研究に必要なデータをデータベース化した統合臨床インフォマティクス・システム「iCIS」と臨床現場向けの簡易な症状入力と診断情報の入力が可能な関節リウマチ問診システム「iRIS」の開発及び販売サービスを推進しております。
また、国立大学法人大阪大学や学校法人埼玉医科大学、等との共同研究を通して、将来の診断・創薬に役立つRNAチェック技術の実用化に向けた研究を進めております。
さらに、これらに加えて、国家プロジェクト等からの研究開発事業等を含めて、わが国の遺伝子発現情報の収集に寄与いたします。
当社が当事業年度に参画した主な国家プロジェクト等からの研究開発事業は以下のとおりであります。
・「再生医療の実用化プロジェクト再生医療の実現化ハイウェイ」
(独立行政法人科学技術振興機構(JST)より受託)
・「低侵襲注射針を搭載した健康モニタリング機器の開発」
(神奈川県・横浜市・川崎市が共同提案した『京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略特区』において受託)
これらの経験に基づき、製薬・食品等の企業向けの、高次データ解析による遺伝子データの高付加価値化などを通じて、顧客の各レベルの要望に応じたコンサルテーションを行っております。
①受託サービス
マイクロアレイを使用した受託解析サービスと次世代シークエンス解析サービスが主力のサービスであり、次のような種類があります。
(ⅰ)AgilentTechnologiesInc.(以下アジレント)社製マイクロアレイ受託解析サービス
・遺伝子発現解析サービス
パスウェイ注1)解析、オントロジー注2)解析、発現差のある遺伝子の抽出など、データを理解し易いように加工します。
・アレイCGH解析サービス
Gain/Lossのあった領域を提示し、その領域にある遺伝子を検出します。
・miRNA発現解析サービス
発現差のあるmiRNAのターゲット遺伝子を検出します。
・ゲノム構造解析サービス CGH/CNV
CGH法では微細な領域のコピー数変化を捉えることができます。また、CNV領域の変化を検出します。
・メチレーション解析サービス
DNAのメチル化領域の有無を検出します。
(ⅱ)次世代シークエンス解析サービス
・エクソーム解析サービス
エクソン注3)領域のみを濃縮して解析することにより、効率的にエクソン上の変異を検出します。
・エピシェネティクス解析
ChIP-Seq法
転写因子やその他のタンパク質が相互作用するDNAの特定部位を検出し、DNA-タンパク質間の相互作用を解明します。
メチル化DNAシークエンス
メチル化DNAに特異的に結合するタンパク質、抗体を用いてメチル化DNAを濃縮し、回収されたDNAをシークエンスする方法です。
・ターゲットリシークエンス
ターゲットリシーケンスは、興味のあるゲノム領域のみを選択的にシーケンスする方法です。シーケンス領域をフォーカスすることで、サンプルあたりのコストを低減し、変異や多型解析のための高スループットな解析が可能です。
・RNA-Seq
細胞の中のmRNAやmiRNAの配列を解読して、発現量の定量、新規転写配列の発見ができる手法です。細胞内のRNAの絶対量を数えることができるようになる可能性があるため、従来の発現量の計測手法であるマイクロアレイを置き換えるとも言われております。
(ⅲ)バイオマーカー探索サービス
バイオマーカーは、疾患の有無や活動性を反映するタンパク質等の生体分子を示す用語として用いられてきました。現在では、生体から発するあらゆる情報がバイオマーカーとして用いられる可能性を秘めております。例えば、遺伝子発現解析を用いて分子バイオマーカーの探索を行うこともできます。
学習セットと前向き試験セット(テストセット)の遺伝子発現マイクロアレイデータを用意し、学習セットを用いて、ある事象を判別するマーカー遺伝子を抽出します。その後、WeightedVote法注4)などで前向き試験セットを対象に予測を行います。
(ⅳ)Conpathパスウェイ実験受託解析サービス
発現解析・パスウェイ注1)解析をトータルにサポートするサービスです。DNAチップ解析が初めての方でも簡単にパスウェイ情報を取得でき、注目すべき生命現象へいち早くナビゲートいたします。
・ConPath
遺伝子発現マイクロアレイ実験・発現解析・パスウェイ解析をトータルにサポートするサービスです。DNAチップ解析が初めての方でも簡単にパスウェイ情報を取得でき、注目すべき生命現象へいち早くナビゲートいたします。
・ConPath Go
ConPathのサービスに加え、発現変動遺伝子を抽出し、GO解析で変動遺伝子群のもつ生物的な意味を特徴づけるようなGO Termをリストにまとめます。
(ⅴ)統計解析サービス
膨大なチップの数値化データから、統計的に解析を行い、データ抽出を行います。AceGene、アジレント社製マイクロアレイをはじめ他社のチップデータを使用した受託解析サービスを実施しております。
注1)パスウェイ:パスウェイとはシグナル伝達、代謝、転写制御など各生命現象における物質や情報の一連の流れであり、これまでに蓄積された膨大な文献情報を活用し、文献から抽出された既知の分子間相互作用情報を組み合わせたもの。
注2)オントロジー:ものの存在自身に関する探究、あるいはシステムや理論の背後にある存在に関する仮定。
注3)エクソンは、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)の塩基配列中で成熟RNA に残る部分を指す。
注4)Weighted Vote法:抽出したバイオマーカー候補遺伝子の重みづけ投票(weighted vote)を単純に加算した総和で予測する方法。
②診断サービス
(ⅰ)リウマチ総合診断支援サービス
遺伝子の働き検査する方法を医療・医薬分野へ応用し、学校法人埼玉医科大学総合医療センターとの共同研究の成果をもとに、特定の疾病をターゲットとした薬効予測サービス・モデルを開発し、関節リウマチ患者を対象に、関節リウマチ生物学的製剤インフリキシマブの効果予測検査の有償化サービスを開始するとともに論文化、特許申請を行い、学校法人慶応義塾大学病院などの複数の医療機関と多施設試験を行いました。現在、多剤効果判定の研究開発に注力し、診断支援サービスメニューの拡充を目指しております。
なお、本検査は研究用に開発された検査であり、そのため本検査結果は投薬による効果を診断又は保証するものではありません。
本検査は学校法人慶應義塾大学医学部内科学教室リウマチ内科教授竹内勤先生と、DNAチップ研究所との共同研究の成果に基づいております。
(ⅱ)統合臨床インフォマティクス・システム「iCIS」
統合臨床インフォマティクス・システム「iCIS」は臨床インフォマティクス支援ソリューション「iCIS-mi」、臨床インフォマティクス実行ソリューション「iCIS-ri」及び臨床研究遺伝子データベース「iCIS-crdb」の3つの製品サービスで構成されております。
・iCIS-mi(ICIS for medical institutes):情報処理機関の立場から、共同研究先である医療機関において共同構築した、サンプル・臨床情報等の収集と利用のための情報処理環境をシステム化した製品であります。
・iCIS-ri(iCIS for research institutes):情報処理機関(DNAチップ研究所)において運用中の情報解析環境及びデータベースを、運用ノウハウとともにシステム化した製品であります。
・iCIS-crdb(iCIS for Clinical Research Databasa):臨床情報付きRNAデータベースです。研究対象を特定して、創薬研究、新診断マーカ、疾患モニタリング・マーカ探索に導入すれば、新規に基礎の臨床研究と実験解析を実施することなく、臨床インフォマティクス解析研究、特にバイオ・マーカの探索等の研究用にシステム化した製品であります。
本システムを活用することにより、医療現場における臨床情報入力の効率化と適切な情報の収集、並びに医療機関や製薬企業等の研究部門における臨床インフォマティクス解析研究を強力に推進することができます。
③研究開発
(ⅰ)RNAチェックの開発
大学・研究機関との共同研究等により、将来の診断・創薬に役立つ遺伝子の働きを検査する新しい方法を開発しました。その方法は、“RNAチェックTM”(遺伝子発現検査)と呼び、遺伝子の「変異」を調べるDNA検査(遺伝子検査)とは別の検査方法で、その検査対象は、人、動物、植物、微生物、細菌(ウィルス)など生物の血液・組織等の検体であり、現在、このRNAチェックに基づいた次の研究開発を進めております。
・関節リウマチに関する研究
生物学的製剤は投薬後の効果が高いとされますが、その効果に個人差があります。慶應義塾大学、埼玉医科大学総合医療センターと共同研究として抗リウマチ薬の効果予測について研究を進めております。
・大腸癌診断チップの開発とそれを用いたステージⅡ大腸癌予後予測
ステージⅡ大腸癌の手術を受けた患者様の切除癌のRNAから、転移ができるかどうかを予測できます。
本検査は国立大学法人大阪大学医学部との共同研究です。
・悪性神経膠腫(グリオーマ)の予後予測アルゴリズムの開発
悪性神経膠腫の手術を受けた患者様の切除癌から取得したRNAを用いて、術後の予後を予測するためのアルゴリズムを開発しております。
・RNAチェックによる免疫系の機能解析
免疫年齢
血液による病気の診断は数多くありますが、私達の目的は、健康診断時に免疫系の機能を調べ、快適で健康な生活の追及を病気になる前に指導する総合的なシステムづくりにあります。
免疫は年齢によって大きく変わります。これをRNAチェックでデータベース化しております。加齢や疲労に関する免疫機能のRNAチェック研究で、未病社会に貢献いたします。
疲労
運動による疲労、残業による疲労、それらは全て免疫系に現れます。その仕組みと対処法を研究しています。
食品・サプリメントとからだ
食品やサプリメントが健康に及ぼす効果を、免疫の遺伝子発現の側面から研究しております。数多くの研究結果より、食品やサプリメントが免疫に与える影響は意外に大きいことを我々は発見いたしました。
(ⅱ)オリゴヌクレオチド関連技術ProbeBankの開発
マイクロアレイは1度に多くの遺伝子発現状態を検出できる画期的な技術です。しかし、これまでのマイクロアレイは、発現量の少ない遺伝子を検出することが困難であるとされております。また、クロスハイブリダイゼーションによる擬陽性なシグナルが検出されるという問題点もあります。ProbeBankはこれらの問題点を解決するために、独自のプローブ設計技術と高品質DNA合成技術を駆使し、遺伝子発現の微弱な変動を検出し、かつ既存のオリゴセットよりも特異性・再現性に優れたオリゴヌクレオチドセット作成をコンセプトとして独立行政法人産業技術総合研究所と共同開発しました。なお、このProbeBankは「第24回神奈川工業技術開発賞」奨励賞を受賞しました。
現在は、独立行政法人産業技術総合研究所と共同で診断チップの感度向上のための生体関連物質の微量検出を目的としたオリゴヌクレオチド関連の新技術開発を推進しております。
(ⅲ)次世代チップ関連技術の研究
次世代チップ関連技術は今後の検診ビジネスに向けたRNAチェック用チップ開発のためのベースになるものと位置付け、研究、開発を進めております。
(2)商品販売事業
商品販売事業では独自開発商品である「ハイブリ先生」、「iRIS」及び「TBONE EX KIT」の販売、及び汎用DNAチップとして、3D-Gene等を販売しております。また、検査サービスの一環として乳癌の予後予測等を行うツールを導入し、これを販売しております。
さらに、DNAチップに関連するライフサイエンス関連機器(ソフトウェア等を含む)については、当社での使用経験に基づき、顧客要望に応えられる機器をメーカーから取り寄せ、販売しております。
(ⅰ)ハイブリ先生
DNAチップによるALDH2遺伝子SPN型判定キット
DNAチップ解析を体験できるキットです。分子生物学の基本的な実験から原理まで、本キットで学習していただけます。
授業時間に合わせた実験プロトコルを準備しております(1日でも実験可能)。実験結果も見やすく生命科学実習に最適であります。
(ⅱ)関節リウマチ問診システム「iRIS」
関節リウマチ問診システム「iRIS」は関節リウマチのスムーズな診察をサポートする革新的なiPadアプリ。医師用画面と患者用画面があります。
・医師用画面
患者を診察しながら圧痛や腫脹の入力が可能です。また、指標値自動計算、履歴で診察をサポートいたします。
・患者用画面
関節リウマチ問診表を患者が間単に入力することが可能となっております。
(ⅲ)硬組織(歯牙・骨)用DNA抽出キット「TBONE EX KIT」
本キットは、国立大学法人信州大学と㈱日立ソリューションズの特許技術ライセンスに基づいて製造、販売しております。
硬組織である歯牙や骨からゲノムDNAを抽出するためのDNA抽出用キットです。
事業の系統図は次のとおりであります。
(1)研究受託事業
研究受託事業の系統図は次のとおりであり、以下の3つからなっております。
①受託サービス:受託解析結果を販売会社経由又は直接販売いたします。また、関節リウマチ患者を対象に薬効予測サービス・モデルを開発し、有償化サービスを実施しております。さらに、カスタムチップの設計・製造(製造はアジレント社に依頼)を行い、販売会社経由又は直接販売しております。
② 診断サービス:リウマチ総合診断支援サービスをリウマチ医療機関に、またiCISを医療機関或いは製薬会社の研究機関に直接販売しております。
③研究開発:DNAチップ関連技術の研究開発を当社の独自技術で推進しておりますが、さらに大学、公的研究機関等との共同研究も行なっております。
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(2)商品販売事業
商品販売事業の系統図は次のとおりです。
汎用チップ・ツールの販売
商品販売事業における汎用チップ・ツールの系統図は次のとおりであり、以下の2つからなっております。
(ⅰ) 汎用チップ・試薬:当社が開発し住友ベークライト株式会社(以下住べ)が製造したハイブリ先生、東レ株式会社(以下東レ)と共同開発し、東レが製造した汎用チップ等を仕入れ、販売会社経由又は直接販売しております。
(ⅱ) ツール:独自開発した「iRIS」、ライセンス製造・販売している「TBONE EX KIT」、及び国内、海外から仕入れたツールを販売会社経由又は直接販売しております。
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