日本調剤株式会社 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2014年3月期)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結会社)が判断したものです。また、記述中の数値は、当社グループの連結財務諸表及び当社の財務諸表、並びにその他の会計上又は業務上のデータをもとにしております。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。使用する仮定や見積りは、これまでの経験、業界での標準的考え、経済状況および業界動向、現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられるものを継続して採用しております。実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があり、また、これらの見積りは異なった仮定のもとでは結果に差異が生じることがあります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、当連結会計年度の連結業績については、増収増益となりました。連結売上高は165,347百万円(対前年同期比18.6%、25,880百万円増)となりました。営業利益は4,744百万円(対前年同期比46.2%、1,498百万円増)となりました。経常利益は4,188百万円(対前年同期比46.7%、1,332百万円増)となり、当期純利益は1,901百万円(対前年同期比928.4%、1,716百万円増)となりました。
当連結会計年度末における資産の部は117,295百万円となり、前連結会計年度末の95,140百万円に対し、23.3%、22,154百万円増加いたしました。また、当連結会計年度末の負債の部は101,446百万円となり、前連結会計年度末の80,437百万円に対し、26.1%、21,008百万円増加いたしました。
流動資産は、前連結会計年度末の43,037百万円に対し、24.0%、10,336百万円増加し、53,373百万円となりました。主な要因は、売掛金の増加3,750百万円、原材料及び貯蔵品の増加3,157百万円などによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末52,102百万円に対し、22.7%、11,818百万円増加し、63,921百万円となりました。うち、有形固定資産は、前連結会計年度末32,459百万円に対し、29.8%、9,664百万円増加し、42,123百万円となりました。その主な要因は、調剤薬局事業における新規出店展開、医薬品製造販売事業における設備投資によるものであります。無形固定資産は前連結会計年度末9,423百万円に対し、17.8%、1,679百万円増加し、11,103百万円となりました。投資その他の資産は、前連結会計年度末10,219百万円に対し、4.6%、474百万円増加し、10,694百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末44,702百万円に対し、24.5%、10,964百万円増加し、55,666百万円となりました。変動の主な要因は、短期借入金の増加4,350百万円によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末35,735百万円に対し、28.1%、10,043百万円増加し、45,779百万円となりました。その主な要因は長期借入金の増加15,320百万円であります。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループのコア事業である調剤薬局事業、また医薬品製造販売事業においては、薬価改定・調剤報酬改定の動向が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。国の医療費抑制方針を背景に、今後も実質マイナス傾向の改定が行われることが予想されるため、国の方針及び事業環境変化を注視しながら鋭意事業を行ってまいります。
政府によるジェネリック医薬品使用促進政策の進捗及びその結果としての普及率も経営成績に重要な影響を与える要因となっております。2013年4月には、『後発医薬品の数量シェアを2018年3月末までに60%以上とする(数量シェアについては、後発医薬品に置き換えられる先発医薬品及び後発医薬品をベースとした数量シェアとする)』という新たな目標が政府より示されています。両事業の事業計画(損益計画・投資計画)は、この政府目標達成に向けた取り組みが積極的に推進されることを前提として策定・実行されており、当社グループの会計処理もこの目標及び事業計画を前提にして行っております。2014年度以降もこの目標に沿った計画を実行する予定であり、会計処理に使用する仮定や見積りもこれに拠っています。なお、この想定に変更が生じた場合には、経営成績に重要な影響を与えることがあります。

(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループといたしましては、超高齢社会に突入し、国の医療費抑制を目的とした施策がさらに実施されることにより、今後、医薬品業界全般、また当社のコア事業である調剤薬局事業にとって大変厳しい経営環境を予想しております。一方これは業界全体に大きな変革を求めるものであり、新事業展開への大きなチャンスと捉えております。
こうした中、当社グループでは、2013年3月期をスタートとする「日本調剤グループ 第3期中期経営計画」を策定しております。基本方針として『環境変化を捉えて、“真の医薬分業”実現に向け、新時代の扉を切りひらく』と定め、①一人でも多くの患者さまに日本調剤のサービスを提供する、②事業推進のスピードをこれまで以上に加速する、③医療に携わる企業(企業人)として、活動(行動)に“志(こころざし)”を持つ、の3つの柱を掲げております。医療制度改革の進捗状況を鑑みながら、当社の強みである調剤薬局事業を中核としつつ医薬品製造・販売事業の飛躍的な拡大を目指し、調剤薬局事業で培った調剤ビジネスのノウハウ・経営資源を最大限活用したスピーディーなグループ経営を強化・拡充して、環境変化に強い安定した収益モデルを構築、当社グループとしての競争力アップ、企業価値拡大に向けて努めてまいる所存であります。

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の12.8%を占める15,027百万円となっております。当該残高に加え、営業活動によるキャッシュ・フローの実績及び未使用の借入枠から勘案すると、現状の事業活動維持の観点からは、将来資金に対して十分な財源が存在すると考えております。
資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローが、前連結会計年度より3,358百万円増の6,243百万円となっており、その内訳は税金等調整前当期純利益3,975百万円、減価償却費3,825百万円であります。今後も引き続き、キャッシュ・フローを重視した財務戦略を推進してまいります。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境並びに入手可能な情報に基づく迅速かつ最善な経営戦略・施策の着手に努めております。しかしながら国の重要施策である医療制度改革を中心に、社会的な様々な要因が絡み合う国内の医療動向は、当社の想定の範囲を超える場合もあり、正確な長期方針の立案・策定は難しいものと思われます。過去の事例や業界環境の推移はもちろんのこと、政府・行政等の中長期のマクロ的な方針や施策も注視しつつ、常にスピーディーで最適な経営方針・施策を展開してまいります。