三菱製紙株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)

研究開発方針について:

当社は「ハイグレード&情報メディアの三菱製紙」を掲げ、印刷・情報用紙のみならずイメージング関連材料、機能性材料など、幅広い分野の開発・製造に取り組んでおります。また、地球環境の保全と循環型社会の構築は、豊かな森林資源にその事業基盤を持つ製紙産業にとって何より重要な課題であり、環境への配慮とより豊かな文化生活の両立という視点は、当社における商品開発すべての大切な原点となっております。

事業分野と研究開発体制について:

当社グループの事業分野は、紙・パルプ事業、イメージング事業、機能材事業に分類されます。
紙・パルプ事業では、印刷用紙、情報用紙が主な製品群となります。イメージング事業は、大きく分けてインクジェット用紙部門、写真感材部門から構成され、写真感材部門では写真用印画紙、印画紙の原紙及び印刷製版材料のほか、イメージング技術を活かした電気・電子関連材料などの開発に取り組んでおります。機能材事業では、高機能性不織布とその不織布技術に基づいた各種フィルターや二次電池セパレータ等の機能性材料の研究を行っております。
研究活動は、つくばR&Dセンター、京都R&Dセンター、生産技術センターの3センター制で運営しております。
白河の生産技術センターでは、抄紙テストプラントとオフセット印刷機に関わる印刷評価設備を擁し、研究開発成果の商品化支援と既存製品の品質向上に取り組んでおります。

当連結会計年度の研究開発費は10億7千9百万円で、当連結会計年度末に当社が保有する産業財産権の総数は1,530件であります。

次に、各セグメント別の研究開発活動の状況は以下のとおりであります。

(1)紙・パルプ事業

紙・パルプ部門では、次世代の印刷方式であるインクジェット方式に適合した産業用インクジェット用紙の開発にリソースを集中させております。
一昨年開発した染/顔料インク両用のグロスコート紙タイプの製品「SWORDiJET」は、一般社団法人日本画像学会の技術賞を受賞するなど、高い評価を受けております。
一方、微塗工品の「PremierIJ-Form」は、その印刷適性並びに後加工適性の良さから海外での順調な伸びが期待されます。
また、新規用途として海外の教育出版分野向けをターゲットとした新商品を開発・上市するなど、引き続き品揃えの拡充及び既存品の品質改良に取り組み、産業用インクジェット印刷市場の拡大に努めてまいります。

当連結会計年度の紙・パルプ事業の研究開発費は2億5千万円であります。

(2)イメージング事業

インクジェット用紙部門では、紙ベースプルーフ用紙を1グレード追加するとともに、ドライトナー専用光沢紙を1種類開発し、上市いたしました。
写真感材部門では、当社の次期主力製版材料に位置づけているケミカルフリーのCTP印刷版システム「バイオレットディジプレート(VDP)」を上市いたしました。
京都R&Dセンターにて進めている次世代の商品開発としては、タッチパネル用途の機能性フィルムに注力しており、2014年度の拡販に向けて商品化対応を進めております。

当連結会計年度のイメージング事業での研究開発費は4億8千万円であります。

(3)機能材事業

機能材事業では、不織布製品の開発にリソースを集中して投入し、二次電池セパレータ、水処理関連材料、その他各種フィルターの開発を進めており、高砂工場に新規設備投資した不織布生産設備を利用して、生産性の向上にも努めております。
エアフィルターでは、空気清浄機用に脱臭性能を飛躍的に向上させた高性能脱臭フィルターを商品化いたしました。
つくばR&Dセンターでは、二次電池セパレータの開発を重要テーマとして取り組んでおり、日本国内、中国メーカーとも提携して、安全性が高く寿命の長いセパレータの開発を進めております。
また、室内光をターゲットとした色素増感太陽電池用色素の合成などの探索研究も並行して進めております。

当連結会計年度の機能材事業での研究開発費は3億4千8百万円であります。