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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10029G2

有価証券報告書抜粋 TOPPANホールディングス株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループ(当社及び連結子会社)は、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進している。
当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っている。各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての開発を各研究開発部門と進めている。また、次世代商品系分野についても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めている。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は19,821百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりである。なお、研究開発費については、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究にかかる費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載している。

(1) 情報コミュニケーション事業分野
情報コミュニケーション事業分野では、従来のセキュリティ関連商品・サービスの拡充に加え、高度なセキュリティ技術と運用ノウハウを活用し、サービスを提供していく。また、従来展開してきたチラシ・カタログなどのデジタル化によるメディア価値提供モデルに加え、様々な企業との連携による新サービスの開発を推進している。さらには、紙からデジタルへ移行していくなか、ネットとリアルの様々な連携サービスによる差別化を図り、更なる事業拡大を目指している。
セキュア関連では、半導体の個体差を認証に用いるPUF(Physical Unclonable Function)技術を搭載したICタグ「SMARTICS-V(スマーティクス・ヴィ)」を開発し、製品の偽造・模倣対策を実施する企業に向け、本ICタグを用いた真贋判定サービスの提供を、世界で初めて本格的に開始した。これにより、NFC(Near Field Communication)を搭載したスマートフォンの利用が世界中で拡大するなか、生活者自身のスマートフォンでICタグを読み取り、データベースと照合するだけで正当性を証明できるサービスを実現した。従来の暗号技術を搭載した高価なICチップとは異なり、製造コストを抑えながら、偽造される可能性が極めて低いため、次世代セキュリティ技術として注目されている。
また、日本で初めてNFC対応スマートフォン向け非接触ICクレジット発行の商用サービスを開始し、株式会社オリエントコーポレーションに採用された。このサービスでは、非接触ICクレジットの発行はもちろん、専用のユーザインターフェースアプリケーションの開発も行った。これにより、生活者は専用のアプリケーションをインストールしたNFC対応スマートフォンをかざすだけで決済を完了できる。当社は今後、ニーズが拡大すると予測されているNFC対応スマートフォンの新しい消費行動に沿ったCRM(Customer Relationship Management)ソリューションで、モバイル決済サービスを幅広く支援していく。
マーケティング関連では、電子チラシポータルサイト「Shufoo!(シュフー)」で、会員基盤を持つ企業と連携し、属性や利用情報に合わせたお得なコンテンツの配信を実現できるパーソナル・セグメント配信可能な「IDポスト」サービスの提供を開始した。本サービスの第一弾として、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社と提携した。今後も当社は、会員基盤を持つ企業と連携し、「IDポスト」サービスのネットワークを拡大、主婦を中心としたO2Oプラットフォームを構築する。さらに、会員基盤を持つ企業と共同で「Shufoo!」ユーザーのチラシの閲覧情報などの履歴を蓄積し、マーケティングデータとしての活用や、より精度の高いパーソナル配信といった新たな販促支援サービスの開発を推進していく。
また、「Shufoo!」と株式会社イシダの電子棚札を連携させたリアルタイム店内お買い得情報配信サービスを開発した。本サービスでは、POSと連動した電子棚札の特売情報を「Shufoo!」ユーザーにタイムリーに配信できる。今後、「Shufoo!」のユーザー数を拡大するとともに、ネットから店舗への誘導施策を強化する。
VR(バーチャルリアリティ)については、独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館と、高品位デジタルアーカイブデータを活用したVR作品「三蔵法師の十一面観音」を制作し、TNM&TOPPANミュージアムシアターで初公開した。朝日や夕日の輝きなど様々な光源を再現し、仏像の顔立ちや表情の細部まで鑑賞可能にした。今後も、デジタルならではの文化財との新たな出会いと楽しみ方を提供していく。


(2) 生活環境事業分野
生活環境事業分野では、市場における安心・安全などのニーズを的確に捉え、機能性・環境適性に優れた各種包装材の開発を加速させている。また、透明ハイバリアフィルムは食品・日用品など従来市場での取り込み最大化に努めるとともに、医療・医薬分野、産業資材分野などの深耕を図っている。
軟包装関連では、電子レンジ調理時の安全性を高めた冷凍・チルド食品向け蒸気抜きパッケージを開発した。本製品は、業界で初めて、レーザー加工でパッケージ内の蒸気を逃がすための微細な孔をあけることにより、パッケージの内圧が高まりすぎることなく、徐々に蒸気を逃がす形状を実現した。これにより、電子レンジ調理後の取り扱いにおける安全性を高めるとともに、今後、水分量の多い食品へも展開していく。
また、注ぎやすさを向上させたスタンディングパウチ「注ぎ上手」で、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「第37回木下賞 研究開発部門」を受賞した。「注ぎ上手」は、注ぎ口が閉じにくく、スムーズな詰め替え作業が可能なスタンディングパウチである。当社独自の製袋技術により、パウチの上部をシールせずに折り返す新しい注ぎ口構造を開発した。注ぎ口の上部にシール部分がないため注ぎ口の幅を広く取ることができ、かつ開封した際に注ぎ口が自然に開く形状を実現した。
台紙付きシュリンクパッケージについては、それぞれ当社独自の形状である、易開封タイプ、2列貼りタイプ、自立タイプの3製品を新たに開発した。これにより、開封性の向上や、商品の多様な形状対応、店頭での陳列適性を改善した。今後は、本製品とそれに関連する充填システムなどを、トイレタリー業界をはじめ、食品業界や医療医薬業界、電器業界に向けて展開していく。
バリアフィルム関連では、当社が開発した透明ハイバリアフィルム「GLフィルム」が、リニューアル発売される株式会社伊藤園の野菜飲料「充実野菜」シリーズの4製品で、レンガ型紙パック飲料容器のバリア材として採用された。これにより、アルミを使わずに常温での長期保存を可能にしただけでなく、牛乳パックと同等のリサイクルが可能な環境に配慮した飲料容器として、機能性・環境適性に優れた包装材を開発した。
また、簡単に美味しく調理できる電子レンジ専用チャック付きパウチ「スマデリバッグ」を開発した。「スマデリバッグ」はあらかじめ封入された調味液や具材に新鮮食材を加えて電子レンジで加熱するだけで、本格的な蒸し・煮込み料理をつくることができる電子レンジ専用のチャック付きパウチである。パウチには「GLフィルム」を使用しており、長期保存と風味の維持が可能となった。
また、バイオマス材料では、当社が開発したメカニカルリサイクルPET(※)フィルムとバイオマスPE(ポリエチレン)フィルムを併用したパッケージが環境配慮型洗たく用粉洗剤に採用され、「地球に未来に余計な負荷をかけない」というブランドイメージに貢献した。
当社は、今後も地球環境保全を経営の重要課題と考え、アルミレスやバイオマス材料などの環境に配慮した製品の開発・提供を通じて、環境活動を推進していく。
新しいサービスとしては、国内で初めて、3Dプリンタによる模型作製・設計を活用したプラスチック容器・部材開発サービスを本格的に開始した。本サービスを活用することにより、試作金型を用いた模型作製と比較して、安価な初期費用で仕上がりイメージの早期確認や事前の品質評価が可能となった。今後3Dプリンタによる試作・設計に対応したプラスチック容器・部材開発サービスを拡販し、同時に3D-CAD技術者の育成にも力を入れ、より質の高い製品パッケージの開発を推進していく。

(※)メカニカルリサイクルPET…使用済みPETボトルを粉砕・洗浄した後に高温で溶融・減圧・ろ過等を行い、再びPET樹脂に戻したもの。

(3) マテリアルソリューション事業分野
マテリアルソリューション事業分野では、スマートフォン・タブレットPC市場の拡大が見込まれるなか、将来の技術トレンドを見据えた技術開発を推進している。
ディスプレイ関連では、スマートフォンなどで現在主流となっている静電容量型タッチパネル向けに、超微細な銅配線のパターンを形成したタッチパネルモジュールを開発し、世界で初めて量産可能な生産体制を構築した。開発した銅タッチパネルモジュールは、国内の銅メッシュで最も細い3μmの線幅で形成し、配線を黒化処理することで視認性を大幅に向上させ、フィルム基材のためガラス基板に比較して大幅な軽量化も可能となった。今後もより高性能・高品質なタッチセンサーとタッチパネルモジュールの開発を進めていく。

半導体関連では、LSIの微細化や高性能化に伴い、需要が拡大しているFC-BGA(Flip Chip Ball Grid Array)サブストレート(基板)の製造ラインを新設する。通信、ゲーム機、車載用などのハイエンドLSI向けのFC-BGAサブストレートでは、さらなる高速通信性能や低消費電力化、高密度配線などが求められているため、最先端となる薄型(薄板)化、コアレス、配線の微細化に対応可能にした。今後、ハイエンドLSI向けに最先端製品の生産能力を拡大していく。
高機能関連では、「2013年度岩手県放射性物質除去・低減技術実証事業」にて、当社が開発した放射性セシウムを吸着するゼオライト機能紙「FS-ZEO(エフエス・ゼオ)」を用いた土のうで放射性物質を封じ込め、透過水の安全性を確保した上で脱水減容化する機能を実証した。当社は除染用土のうなどでの採用をめざして販売を強化し、除染対象地域や処分場・仮置き場での安全・安心向上に貢献するとともに、「FS-ZEO」シリーズのラインアップと応用製品の拡充を推進していく。

(4) その他
新事業、新市場の創出については、研究開発のスピードアップのため、産官学との連携を引き続き強めている。
ライフサイエンス分野では、株式会社理研ジェネシス(※1)とともに、新たにKRAS遺伝子(※2)の体細胞変異(※3)を迅速、簡便に検出できる遺伝子解析システムを開発した。開発した遺伝子解析システムで使用する試料は、血液ではなく精製されたゲノムDNAで、このゲノムDNAを付属の前処理カセットに入れ、解析チップ及びピペットチップとともに装置にセットし、検査をスタートすると、60分以内でKRAS遺伝子内の7種類の遺伝子変異を検出することができる。今後は遺伝子解析システムの更なる高機能化を図り、患者にとって低侵襲な検査を目指す。
エネルギー分野では、北九州スマートコミュニティ創造事業(※4)にて、インセンティブプログラム実証実験「エコづかいキャンペーン」を実施した。電力需要が高まる時間帯に外出を促進するため、近隣店舗で利用できるお得なサービス情報を、モニター世帯の宅内に設置されている情報端末や携帯端末電話に配信する。
また、富士通株式会社と共同で、ビジネスを活性化させる次世代レコメンドシステムを開発した。本システムは、スマートメーターやHEMS(Home Energy Management System)などから得られる家庭の電力使用ログから生活行動を予測し、個人の購買行動やプロファイルデータと紐付けることで、新しいマーケティング手法を実現するものである。本システム実証の第1弾として、北九州スマートコミュニティ創造事業において実施される実証実験にて、その効果を検証している。
当社は今後、低炭素化社会の実現に向けた効率の良いエネルギーマネジメントシステムの開発・事業化に向け、本実証実験の結果を活用していく。
また、世界で初めてプロセスカラー(※5)だけでなく、特色(※6)にも対応した高精度なカラーマネジメント技術を確立した。特色DDCP(Direct Digital Color Proofing、※7)と特色カラー分解製版の両方に対応することで、生産効率の向上が期待できる。当社は本技術の精度をさらに向上させ、特色を用いることが多い紙器やポスターなどを取り扱う自社の製版工程への導入を推進していく。さらに2014年度末までに全国の生産拠点にも本技術を導入し、適地生産に対応した高品質な印刷物の生産体制を確立していく。
さらには、ざらつき感や光沢感など、モノの質感を画像として記録・再現する質感表示技術を開発した。東京国立近代美術館工芸館 企画展「クローズアップ工芸」にて本技術を用いた展示協力を実施した。コンピュータグラフィックスにより質感まで再現するビューアソフトにより、通常の展示では見ることのできない作品の表情を鑑賞できる。当社は将来的に、画像や動画に対して質感を付加することで、電子書籍や電子カタログの表現の幅を拡げるなど、新しい表現手法として本技術を展開していく。

(※1)株式会社理研ジェネシス…独立行政法人理化学研究所が培った遺伝子解析技術を基盤として、株式会社理研ベンチャーキャピタルと当社の共同出資によって2007年に設立。
(※2)KRAS遺伝子…がん関連遺伝子の1つ。本来、正常に機能している間は、細胞の増殖や分化等に関係する重要な遺伝子だが、変異を起こした場合に活性化してがん形成に関わる遺伝子。
(※3)体細胞変異…生殖細胞以外の体細胞に起こる突然変異のことをいい、がん化の原因ともなる。

(※4)北九州スマートコミュニティ創造事業…2010年4月から経済産業省が推進する「次世代エネルギー・社会システム実証」地域のひとつとして、北九州市八幡東区東田地区を中心に実施されている。地域内のすべての需要家にスマートメーターを設置し、スマートメーターと連携する地域節電所に設置した「地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)」で電力の使用情報を集中管理。需給状況に応じて電力料金を変動するダイナミックプライシングを導入するなどして、節電の効果を検証している。
(※5)プロセスカラー…カラー印刷に使う基本の色で、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色。
(※6)特色…インキ会社や印刷会社が独自の配合で作った色。企業や製品のブランドカラーなどとして指定されている色など、特定の色を美しく確実に出したい場合やプロセスカラーの掛け合わせでは作れない色表現のために、プロセスカラーに加えて用いる色。
(※7)DDCP(Direct Digital Color Proofing)…高精細な専用カラープリンタで直接、出力する色校正手法。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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