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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10025OF

有価証券報告書抜粋 住友化学株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループ(当社および連結子会社)は、事業拡大と収益向上に寄与すべく、独自の優位性ある技術の確立を基本方針とし、各社が独自に研究開発活動を行っているほか、当社グループ全体としての効率性を念頭に置きながら、互いの研究開発部門が密接に連携して共同研究や研究開発業務の受委託等を積極的に推進している。
当連結会計年度においては、2013年度から2015年度までの中期経営計画に従い、環境・エネルギー、ライフサイエンス、ICT(情報・通信技術)の3分野に研究資源を重点投入するとともに、異分野技術融合による新規事業の芽の発掘とその育成に取り組んできた。
これに基づき、当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度に比べ163億円増加し、1,413億円となった。

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりである。

基礎化学分野では、カプロラクタム、メタアクリルを中心とする既存バルク製品の競争力強化のための触媒・プロセス改良や、機能性に特徴を持つ各種製品開発に積極的に取り組んでいる。当連結会計年度において、無機材料関連では、独自に開発したチタン酸アルミニウム製のディーゼルエンジンすす除去フィルターの新しい工場がポーランドで完成し、商業運転開始に向けて最終調整中である。また、新たに触媒塗布量増大が可能な次世代用フィルターや直噴型ガソリンエンジン向けのフィルターの開発を進めている。高純度アルミナについては、愛媛工場の第2プラントに続いて韓国のプラントが稼働した。LED基板(サファイア)用途の新グレードを上市するとともに、リチウムイオン電池用グレードの生産性向上技術確立の目処を得た。アルミニウム分野では、高純度アルミニウムの特徴を活かした超電導向け等極低温用途の開拓に引き続き注力し顧客評価を進めるとともに、世界最高純度である7Nクラスの超高純度アルミニウムが得られる精製技術の確立に目処を得た。メタアクリルモノマーに関しては、性能が大幅に向上した触媒を開発し、その工場試作に成功した。メタアクリル樹脂関連では、パイロットで検討してきた高機能製品をシンガポールのPMMAプラントにて、その実機試作を実施した。今後早期の新製品上市に繋げてゆく。化成品関連では、機能性ゴム薬品の上市候補品についてタイヤ用途及び防振ゴム用途で顧客採用に向けた進捗があった。機能性樹脂分野でも環境対応を切り口とした新規の水系接着剤用原料開発を進め、いくつかの用途で有望な材料を見出し、顧客で良好な評価が得られている。
なお、基礎化学部門の研究開発費は64億円であった。

石油化学分野では、事業のグローバル競争力強化のために、石油化学品、合成樹脂および合成ゴム製品の製造プロセスの改良、既存素材の高性能化や新規高付加価値製品の開発に取り組んでいる。当連結会計年度において、合成ゴムでは、省燃費タイヤグレードのさらなる燃費性能の改良や加工性の改善検討が進展した。ポリエチレンでは、太陽電池用封止向け材料の性能改良に進展があった。具体的には、太陽電池の大規模発電で出力低下に繋がるPID(Potential Induced Degradation)現象を抑えることが可能な封止材の開発に成功、顧客での評価を開始した。ポリプロピレンでは、軽量化等の環境ニーズに対応した自動車材や機能性フィルム材に求められる高性能ポリプロピレンの材料、及び、その製造プロセスの開発に進展が見られた。機能性材料としては塗布型ガスバリアコーティング剤の開発に進捗があり、多数の顧客で実用評価を開始した。また、研究開発活動のスピードアップと新製品開発の可能性拡大を目指して研究組織の大幅な改編を行った。具体的には、研究開発の機能別にまとめたユニット編成に変更することで、機動性と弾力性の高い組織体制を構築し、研究開発体制の強化を実施した。
なお、石油化学部門での研究開発費は76億円であった。

情報電子化学分野では、IT関連企業の先端技術に対応する新規材料・部材・デバイスに関する新製品の開発に、引き続き積極的に取り組んでいる。当連結会計年度は、機能性光学フィルム分野において、当社が培ってきた差別化技術に基づく最先端製品の開発・製造をさらに推進した。具体的には、大型液晶TV用光学フィルムにおいては、従来から進めていたコスト競争力強化を目的とした製造技術のグローバル展開を一層進めるとともに、独自フィルムを組み込んだ部材構成の新製品を上市した。小型液晶用光学フィルムにおいては、国内外の需要家の技術要望を先取りし、スマートフォン、タブレット向けの製品の増産体制を整備した。また、次世代ディスプレイをにらんだ革新的な新製品・新技術の開発を推し進め、今後量産化技術をブラッシュアップし、新製品上市へ向けた対応を加速していく。

電子材料分野では、半導体向け液浸ArFレジスト・厚膜i線レジストの開発や高性能液晶パネル向け高輝度・高色再現性カラーレジストの開発が結実し、いずれも国内外の需要家から高い評価を得ている。また、スーパーエンジニアリングプラスチックの分野では、既存材料の置き換えに加え、耐熱・成形加工性に優れた液晶性ポリマーの特性を活かし、今後伸びる新しい分野での採用を実現し、非晶性ポリエーテルスルホンでは航空機向けCFRP、人工透析膜などの用途におけるビジネスを拡大した。
エネルギー関連分野では、高い成長が続くリチウムイオン二次電池用部材において、耐熱セパレータにおいては当社の技術が高く評価されたことで事業が拡大している。正極材料においては、当社の強みを活かした高性能・低コスト製品の開発を加速し、市場に紹介を始めた。
表示デバイス分野では、タブレットPCやスマートフォンに使用されるタッチセンサーパネルに関する設計・開発・製造を韓国の関係会社(東友ファインケム)にて精力的に実施している。今期は、当社が培ってきたカラーフィルター技術を基盤とした最先端タイプのタッチセンサーパネルの開発に成功した。
なお、情報電子化学部門の研究開発費は150億円であった。

健康・農業関連事業分野では、コア事業強化と周辺事業への展開および川下化を推進し、健康・農業関連事業を取り巻く環境の変化に柔軟に対応しつつ、新製品、新技術の開発や製造プロセスの改善・向上に積極的に取り組んでいる。当連結会計年度において、農薬関連事業については、国内では、園芸用殺菌剤1剤、水稲用除草剤2剤、計3剤の新製品の農薬登録を取得し、順次上市を進め、製品ラインナップの拡充を図っている。また、家庭用園芸、ゴルフ場、森林防除等の分野にも子会社を通じて農薬・肥料製品を展開しているほか、種子やかん水資材、農産物販売に加え、住化ファームを通じた農業法人の運営、下期からは石油化学部門から農業用ポリオレフィンを販売するサンテーラ株式会社も当部門に移管し、総合解決型農業関連企業として更なる変革に取り組んでいる。海外では、米国において、種子処理用殺菌剤の新規登録取得ならびに、水稲用除草剤(混合剤)を上市した。欧州においては、果樹野菜用殺菌剤の新規登録をオーストリア、チェコ等で取得した。南米においては、果樹用殺菌剤の登録をチリで取得し、上市した。また、殺虫剤の新規登録を花卉、野菜向けにエクアドル、コロンビアにおいて取得した。アジア地域では、果樹用殺菌剤、水稲用除草剤(混合剤)を韓国で上市し、果樹用殺虫剤の適用拡大を中国で実施した。また、資本提携している豪州農薬会社ニューファーム社とは、混合剤新製品の商業化に向けた開発に取り組んでいる。生活環境事業については、家庭用殺虫剤・業務用殺虫剤・動物用殺虫剤・ヒューマンヘルスケア・エアプロテクションの各重点分野における新製品開発を推進している。家庭用殺虫剤については、国内において優れた速効性と広いスペクトルを有する新規有効成分を含む高性能エアゾール製品、ならびに、屋外での広範囲の虫よけ機能を有する噴霧デバイスを上市し、東南アジアにおいて、蚊に優れた効果を示す蚊取り線香用の新規有効成分を含む製品を上市した。業務用殺虫剤については、国内においてシロアリ対策用新製品を上市するとともに、海外においても北米を中心としてトコジラミなどの難防除害虫対策新製品の開発を推進している。また、動物用殺虫剤については国内外においてペット用駆虫剤の新商品開発を推進しており、ヒューマンヘルスケア分野については他社との共同開発によりヒト疥癬症対策製品の薬事承認を取得した。エアプロテクション分野については業務用芳香消臭デバイスの新製品を上市し、新規市場の開発を加速している。熱帯感染症対策事業については、シンガポールでは、優れた速効性と拡散性を有する空間散布剤、マリ等のアフリカ諸国でピレスロイド抵抗性対策蚊帳を上市した。マラリア対策用防虫蚊帳は、国際入札ビジネスの他、ケニア、ウガンダの一般商業市場において上市しているが、ナイジェリアなどの西アフリカ諸国に加え、ASEAN各国での一般商業市場への進出も検討を開始した。また、熱帯感染症に対する総合防除に係る製品強化のため、新しいコンセプトのピレスロイド抵抗性対策蚊帳、室内残留散布剤や幼虫防除剤などの蚊帳以外の防除手段の開発も推進している。アニマルニュートリション事業については、顧客サービスや研究開発強化のため、家禽栄養に関する試験研究施設をマレーシアに開設し、飼料分析を実施するアニマル ニュートリション テクニカル センターの機能を強化している。医薬化学品事業では、顧客上市時期に対応したジェネリック原薬の製法開発と商用生産とを継続的に進め、当社独自製法による新規テーマ獲得に積極的に取り組んでいる。また、新規分野である核酸医薬品の製造ライセンスを取得し、本格製造に向けて準備中である。
なお、健康・農業関連事業部門の研究開発費は229億円であった。


医薬品分野では、アンメット・メディカル・ニーズの高い精神神経領域とがん領域を重点領域とし、革新的な医薬品の創製を目指しており、世界に先駆ける分野や先端的技術領域での事業展開を図るべく自社研究、技術導入、ベンチャーやアカデミアとの共同研究等あらゆる手法を取り入れている。当連結会計年度においては、大日本住友製薬株式会社、日本メジフィジックス株式会社保有の先端技術を活かした創薬研究等を進めるとともに、国内外の大学を含む研究機関等とのアライアンスも積極的に進めている。
医療用医薬品の研究初期段階では、ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクス等自らが保有する先端技術などの活用により研究効率の向上に取り組むとともに、iPS細胞等の最先端サイエンスを創薬に応用する取組を進めている。また、京都大学iPS細胞研究所と難治性希少疾患の治療薬の創製を目指した共同研究を推進中であり、産官学連携プロジェクトである「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」にも積極的に参加している。
研究後期および開発段階では、重点領域を中心に他の領域も含めて、グローバルな視点からグループ全体でのポートフォリオの最適化を行っている。加えて、製品価値の最大化を目指した剤形展開等の製品ライフサイクルマネジメントにも積極的に取り組んでいる。
精神神経領域では、グローバル戦略品である非定型抗精神病薬ルラシドン塩酸塩について、次の進展があった。①米国において昨年6月に、カナダにおいて本年3月に、双極Ⅰ型障害うつの効能追加の承認をそれぞれ取得した。②欧州において、提携先の武田薬品工業株式会社が、中央承認審査方式による統合失調症の販売許可を本年3月に取得した。③日本において、双極Ⅰ型障害うつおよび双極性障害メンテナンスを対象にした第Ⅲ相臨床試験を昨年9月に開始した。また、抗てんかん剤「アプティオム」については、米国において昨年11月に承認を取得すると共に、カナダにおいて昨年6月に承認申請を行った。さらに、非定型抗精神病薬ブロナンセリンについて、 中国において昨年9月に承認申請を行った。
がん領域では、がん幹細胞への抗腫瘍効果を目指して創製されたBBI608について、次の進展があった。①米国において、胃がん(併用)を対象とした第Ⅲ相臨床試験を本年3月に開始した。②日本において、胃がん(併用)を対象とした第Ⅰ相臨床試験を昨年12月に開始した。③米国およびカナダにおいて、消化器がん(併用)を対象とした第Ⅰ相臨床試験を昨年11月に開始した。また、固形がん・血液がん治療剤WT2725について、日本において、固形がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験を昨年9月に開始した。なお、BBI608の結腸直腸がん(単剤)を対象にした第Ⅲ相国際共同治験において、新規の患者登録および登録済みの患者への投与が本年5月に中止されることとなった。
その他のスペシャリティ領域および新規分野では、ミトコンドリア病治療剤EPI-743について、日本において、リー脳症を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を昨年10月に開始した。また、細胞医薬・再生医療に関して、昨年12月に株式会社ヘリオスとの間で、加齢黄斑変性等の眼疾患を対象とした、iPS細胞由来網膜色素上皮細胞を用いた細胞医薬品の日本における共同開発契約を締結し、また本年2月には共同開発により製品化される細胞医薬品の製造や販売促進を行う合弁会社として、同社と株式会社サイレジェンを設立した。
放射性医薬品では、前立腺がんの放射線治療用密封小線源の関連製品の製造承認取得、抗がん剤のコンパニオン診断薬に関するライセンス契約締結と国内臨床試験開始、パーキンソン症候群およびレビー小体型認知症を対象とする脳疾患診断薬の発売を実施した。
上記医薬品のほかには、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品等の研究開発を実施している。
なお、医薬品部門の研究開発費は719億円であった。

全社共通およびその他の研究分野では、上記5事業分野の事業領域を外縁部へ積極拡大するための研究および触媒技術をはじめとする共通基盤技術開発とともに、既存事業の枠に属さない新規事業分野への展開を図るべく、環境・エネルギー、ICT、ライフサイエンスの各分野で研究開発に取り組んでいる。当連結会計年度においては、次の進展があった。ICT分野では、ディスプレイ用途において、引き続き高分子有機EL材料の性能向上を図るとともに、高解像度用途への印写技術を開発した。また、プリンテッド・エレクトロニクス技術を使った有機半導体の開発を進めている。環境・エネルギー分野では、高分子有機ELを活かした照明用途において、デザイン照明向けにデュアルカラーパネル作製の印刷技術を開発した。今後は当該パネルの事業化に取り組む。また、有機薄膜太陽電池(OPV)用材料・部材やパワーデバイス用半導体材料などの研究開発を推進している。ライフサイエンス分野では、農作物に環境ストレス耐性を付与する化学物質の開発を行うクロップ・ストレス・マネジメント(CSM)に取り組んでいる。また、化学物質のヒトに対する安全性を従来より精緻に予測するため、ヒトES細胞を用いた研究を推進している。

また工場の保安・防災力および競争力再強化のため、昨年4月に生産安全基盤センターを設立し、生産技術センターが所管する機能の一部を移管した。これに伴い、生産技術センターを工業化技術研究所に改称した。
なお、全社共通部門の研究開発費は176億円であった。

このように、事業拡大および競争力強化を図るべく、新製品・新技術の研究開発および既存製品の高機能化・既存技術の一層の向上に取り組み、各事業分野において着実に成果を挙げつつある。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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