フクビ化学工業株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)

当社グループにおいて、研究開発活動は主に当社が行っております。
なお、当社グループの研究開発活動は下記のとおりであります。

当社グループの研究開発は、既存事業分野で急務となっている研究課題はもとより中期経営戦略にもとづく新規事業分野への進出、さらには長期的成長の基盤となる基礎研究にも努めております。当社のコアビジネスである住宅・建材分野ではCO2の削減を目指した省エネルギー法を視野に入れた製品開発、または環境に配慮したリサイクル原料による省資源製品開発など社会から要求される課題をいち早く取り入れ市場のニーズと当社がもつ技術とインフラを最大限活用できる研究活動を推進しております。
当連結会計年度の研究開発費用として8億47百万円投入しました。左記の額を事業のセグメントに区分することは困難でありますので、省略しております。

当連結会計年度における主要課題及び研究成果は、次のとおりであります。

①建築資材部門での取り組み
当連結会計年度においては、住宅分野のトレンドである低炭素社会に向けての「環境・省エネルギー」、そして「超高齢化社会」への対応、ストック住宅活用に伴った「リフォーム・リノベーション」をもとに、強い製品をより強く、シェアアップによる利益確保といった『ニッチトップ作戦』を基本方針として開発を進めてまいりました。
「環境」関連では、戸建住宅向けの外装デッキ「PWコンビネーションデッキ」を開発いたしました。簡易な施工性とデッキ、ステップ、濡れ縁などお客様の好みに合わせた組み合わせが選べる点が好評です。
「超高齢化社会」関連では、転倒時の衝撃を和らげるクッション性を有した床下地材「アンダーレイ」を開発いたしました。種々の床仕上げ材と組み合わせて衝撃吸収効果や遮音効果を上げることが可能です。
「リフォーム・リノベーション」関連では、先のアンダーレイにすべり止め機能を有した仕上げ材と一体化させた浴室リフォーム用床下仕上げ材「あんから」を開発いたしました。転倒時の安全性に加え、速やかな排水性や素足でもひんやりしない断熱性が好評です。
同様に安全性という観点から、室内の内壁のコーナーに丸みを持たせた不燃性下地部材「不燃Rコーナー」を開発いたしました。角に丸みを持たせたことが、安全性のみならず室内空間を柔らかい印象にすると、意匠面からも好評を頂いております。
今後も市場トレンド・ニーズを掴みながら、お客様に喜んで頂ける商品開発に取り組んでまいります。

②産業資材部門の取り組み
当部門では、反射防止機能を付与した製品(ハーツラスAR)、増反射機能を付与した製品(ハーツラスHM)を製造販売し、自動車やエレクトロニクスを中心にご採用頂いております。
当連結会計年度においては、以下の新開発商品を提供させて頂きました。
1つ目は、3D曲面形状へのAR機能付与をテーマに開発した「片面ARシート」です。3D曲面全体への均一なAR薄膜コートが可能となり、最終製品の視認性向上だけではなく外観品質をも大幅に向上させることが可能となりました。
2つ目は、カーナビの視認性向上を睨んだ商品として開発した「AG(アンチグレア)ARパネル」です。高精細化する液晶でもギラツキが出ない様に制御されたAGARパネルです。どちらの商品も自動車業界をはじめとして多くのお問い合わせを頂いております。
また、お客様からの更なる高スペックな要求性能に答えるため、既存製品に対し耐薬品性や光学特性を向上させた商品を開発しご採用頂いております。
これからも、これら新開発商品の性能向上や市場ニーズの求める商品開発に取り組んでまいります。


③その他
当社では、押出成形技術を基盤として、異形形状や素材の複合化などお客様のニーズに適合する機能性を付与した製品開発、および付加価値を生む原材料を用いた製品開発を行ってきました。
金属と樹脂との異種材料の複合成形品として、SUSの耐食性と補強性、樹脂の接着性を利用し、最終製品の耐久性を向上させる多層成形体の提供を開始しました。
機能性が評価される技術・製品開発では断面異形形状の押出成形品の特徴を生かした導光棒「光ガイディングバー」の開発を進め、イルミネーション部材や保安部材として多くの引き合いを頂いています。また、合成木材製品「プラスッド」では遮熱・断熱性を付与した製品開発を行いました。
付加価値を生む原材料の応用として食料や医療分野向けにSUSを代替可能なスーパーエンジニアリングプラスチック製の透明パイプのサンプル提供を開始しました。
引き続き、市場ニーズを見極めながら光学特性や音響特性、伝熱性といった機能製品開発、及び、繊維強化複合素材など、軽量化や高強度が要求される用途への製品開発など原料の多様化と製品の高付加価値化に取り組んでまいります。