有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10022WR
帝人株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
帝人グループでは、ブランドステートメント"Human Chemistry, Human Solutions"のもと、人々の暮らしを豊かにし、社会の発展に貢献することで事業の持続的成長と収益性向上を実現するための研究開発をグローバルな視野で推進しています。研究開発活動への積極的かつ効率的な投資を継続して実施しており、国内8ケ所、海外8ケ所のグローバル研究開発ネットワークにおいて1,600名余りの研究者が、基礎研究を含めたグループ全体の研究開発戦略に基づくR&D推進、連携強化を通じて、ソリューション提供を目的とした独創的なビジネスモデル構築を目指しています。
中長期経営ビジョン「CHANGE for 2016」で定めた帝人グループの成長戦略と、それを支える経営基盤の強化を基軸に据え、研究開発戦略として、事業の持続的成長や事業構造の変革を可能とする基幹技術群と、それを支える高分子化学や創薬技術、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー等の基盤技術の深化、拡充に取り組んでいます。具体的には、既存事業の深化、幅出しに加え、「グリーンケミストリー」「ヘルスケア」及びこれらの「融合領域」を研究開発の重点技術領域と定めて、強化を進めています。これらを核に、サプライチェーンやビジネスモデルの変革を念頭におき、素材等の一次製品の提供ではなく付加価値をつけた部材・デバイスまでを作り上げて納入する、あるいはIT技術を活用したヘルスケア分野での新しいサービスを提供する等、従来のビジネスの域を超えた価値創造、ポートフォリオ変革を積極的に推進していきます。
2014年度から研究開発機能の強化と研究開発成果の早期事業化の推進を目的にいくつかの組織改編が計画、実施されました。研究開発機能を強化するために、「技術最高責任者、研究部門、エンジニアリング本部」を統合し、技術本部を設置しました。また、個別プロジェクトを推進、事業化を加速するために、新事業推進本部を設けました。
既存事業に関しては、事業競争力の向上を目標に、プロダクトパイプラインの充足と技術ロードマップの見直し、最適な生産体制への再編成、研究開発への効率的な投資等を進めています。また、素材自体の強みと高次加工技術との組み合せ、顧客一体での商品開発による、顧客にとっての価値を生むユニークな部材・デバイスの開発も目指します。更に、産官学連携等のオープンイノベーションの推進、知財戦略や構造解析能力等、研究開発活動を支える機能・組織の見直しとインフラ機能の強化、技術系人材の育成を推進しています。
人材育成に関しては、高分子・バイオ関連分野の研究者の大学教授や研究者が集まるフォーラムの開催、国内外の最先端研究機関への若手研究員派遣を積極的に推進しています。特に、2010年度ノーベル化学賞を受賞され、帝人グループの名誉フェローにご就任いただいている根岸英一 米・パデュー大学特別教授には、国内研究員のコンサルテーションと「Teijin Limited Director of the Negishi-Brown Institute」としての派遣研究員への直接のご指導をお願いしています。これらの活動から、幾つかの新しい技術開発の成果も出てきつつあり、研究者のモチベーション向上にも繋がっています。
各重点技術領域での研究開発は着実に進捗、成果を挙げつつあります。
なお、当連結会計期間の研究開発費は322億円(前期比10億円減)でした。
また、報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。
帝人㈱で行うコーポレート研究(グループ共通の基礎研究及び新事業・新製品創出)では、これまで培ってきた合成化学や高分子化学分野での研究開発基盤を更に強化することによる新規事業創出を目指しています。
環境分野では植物由来のバイオプラスチックを独自技術で高機能化し、石油・ガス掘削用途等への展開を加速しています。
情報・エレクトロニクス分野では、米国子会社のNanoGram Corporationにおいて、半導体用シリコンインク研究開発を加速させており、プリンタブルエレクトロニクス用材料の早期事業化を目指しています。
またライフサイエンス分野においては、生体吸収ポリマー、ナノ材料加工、微細成型加工等の素材技術と、細胞工学、タンパク質工学、製剤設計や医療機器設計等のヘルスケア技術を融合することで、再生医療、組織修復材料、DDS(薬物送達)基材、医療機器材料、スポーツメディシン等新たな事業分野の創出をめざし研究開発活動を本格化しています。
これらに係る研究開発費は88億円です。これらの費用については、各セグメントへの配賦は行わずに「消去又は全社」に表示しています。
* KTP-001は波呂浩孝氏(山梨大学大学院・教授)と小森博達氏(横浜市立みなと赤十字病院・副院長)の発明に基づき、帝人ファーマ㈱と一般財団法人化学及血清療法研究所が共同で開発・創製した薬剤です。
中長期経営ビジョン「CHANGE for 2016」で定めた帝人グループの成長戦略と、それを支える経営基盤の強化を基軸に据え、研究開発戦略として、事業の持続的成長や事業構造の変革を可能とする基幹技術群と、それを支える高分子化学や創薬技術、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー等の基盤技術の深化、拡充に取り組んでいます。具体的には、既存事業の深化、幅出しに加え、「グリーンケミストリー」「ヘルスケア」及びこれらの「融合領域」を研究開発の重点技術領域と定めて、強化を進めています。これらを核に、サプライチェーンやビジネスモデルの変革を念頭におき、素材等の一次製品の提供ではなく付加価値をつけた部材・デバイスまでを作り上げて納入する、あるいはIT技術を活用したヘルスケア分野での新しいサービスを提供する等、従来のビジネスの域を超えた価値創造、ポートフォリオ変革を積極的に推進していきます。
2014年度から研究開発機能の強化と研究開発成果の早期事業化の推進を目的にいくつかの組織改編が計画、実施されました。研究開発機能を強化するために、「技術最高責任者、研究部門、エンジニアリング本部」を統合し、技術本部を設置しました。また、個別プロジェクトを推進、事業化を加速するために、新事業推進本部を設けました。
既存事業に関しては、事業競争力の向上を目標に、プロダクトパイプラインの充足と技術ロードマップの見直し、最適な生産体制への再編成、研究開発への効率的な投資等を進めています。また、素材自体の強みと高次加工技術との組み合せ、顧客一体での商品開発による、顧客にとっての価値を生むユニークな部材・デバイスの開発も目指します。更に、産官学連携等のオープンイノベーションの推進、知財戦略や構造解析能力等、研究開発活動を支える機能・組織の見直しとインフラ機能の強化、技術系人材の育成を推進しています。
人材育成に関しては、高分子・バイオ関連分野の研究者の大学教授や研究者が集まるフォーラムの開催、国内外の最先端研究機関への若手研究員派遣を積極的に推進しています。特に、2010年度ノーベル化学賞を受賞され、帝人グループの名誉フェローにご就任いただいている根岸英一 米・パデュー大学特別教授には、国内研究員のコンサルテーションと「Teijin Limited Director of the Negishi-Brown Institute」としての派遣研究員への直接のご指導をお願いしています。これらの活動から、幾つかの新しい技術開発の成果も出てきつつあり、研究者のモチベーション向上にも繋がっています。
各重点技術領域での研究開発は着実に進捗、成果を挙げつつあります。
なお、当連結会計期間の研究開発費は322億円(前期比10億円減)でした。
また、報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。
高機能繊維・ 複合材料事業 | : アラミド繊維分野では、2013年4月に中国・アジア地区での用途開発・技術サービス拠点として、テクニカル・センター・アジアを開設しました。アラミド繊維が用いられる全ての用途に対して、素材及び後加工品の評価試験、品質検査を含む技術サポートを提供するとともに、開かれた共同開発の場として、中国・アジア地域の顧客のニーズに応じた新たなソリューションの創出を図っていきます。 一方、2013年7月に新規メタアラミド繊維についてタイ国アユタヤ県に生産工場を新設することを決定しました。この新設工場で生産するメタアラミド繊維は、当社が新たに開発した製造方法により、世界最高レベルの優れた熱防護性及び従来はできなかった後染めを可能としています。 また、2013年11月にはTeijin Aramid B.V.において、パラアラミド繊維の新たな防弾ポリビニルブラチールプリプレグ及び複合材料「トワロンUD22」を続けて開発しました。これにより、既にグローバル展開しているパラアラミド繊維、メタアラミド繊維、高機能ポリエチレンテープ等と併せ、警察、消防、製造現場等の安全を支える「ライフプロテクション」分野で幅広いソリューションを提供していきます。 |
ポリエステル繊維分野では、2013年8月に建築構造物に使用される吊り天井を大幅に軽量化できるポリエステル製のタテ型不織布「V-Lap」に不燃材料を複合させた天井材を開発しました。これは、従来の天井材に比べて柔らかく、軽量であるため、万一、天井が落下した際の安全性向上に大きく寄与することが期待されます。 また、2014年4月に帝人(中国)商品開発センターを開設しました。これにより、中国国内で原糸から最終製品までの研究開発に対応することが可能となり、更に量産にいたるまでを当センター内で完結できることからこれまで以上に迅速な顧客対応が可能となる予定です。 炭素繊維・複合材料分野では、高性能炭素繊維の開発と合わせてソリューション提供の観点で顧客ニーズにマッチした中間製品、複合材料の開発に注力しています。 2013年5月には、熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料(CFRP)をはじめとする先端複合材料の研究開発を推進している「複合材料開発センター」を、松山事業所(愛媛県松山市)内へ移転しました。これにより、既に2012年12月より同事業所内にて稼働を開始しているパイロットプラントの活用と合わせ、成形加工技術の開発から素材・設計・接合等の複合材料開発までを総合的かつこれまで以上のスピード感をもって推進することが可能となりました。 同拠点と、2013年4月に米国(ミシガン州)に開設した複合材料用途開発センターを有機的に連携させていくことで、今後急成長が予想される自動車用途及び一般産業用途における市場開拓を強力に推進し、コンポジット製品事業を早期に本格展開することを目指します。 また、欧州事業会社であるToho Tenax Europe GmbHは、新たに開発した高効率の熱硬化性CFRP生産技術により、ドイツの社団法人強化プラスチック工業協会が主催する「AVK Innovation Award 2013」を受賞しています。 当セグメントに係る研究開発費は52億円です。 |
電子材料・ 化成品事業 | : 樹脂分野では、有望市場をターゲットにポリカーボネート樹脂「パンライト」の改良グレードの開発や、加工技術の研究開発に取り組んでいます。情報・エレクトロニクス用途では、スマートフォンやタブレット、ノートパソコン等モバイル端末の筐体材料向けに、薄肉成形に適した強化ポリカーボネート樹脂を開発しました。特殊なガラス繊維と添加剤を使用することで、薄肉成形した筐体に要求される高剛性・寸法安定性を満たし、加えて独自の難燃化技術によって従来は困難とされていた薄肉成形においてトップクラスの高い難燃性を実現しています。今後は、モバイル端末だけでなく、医療機器やアミューズメント、自動車等幅広い用途への展開を行います。樹脂グレージング用途においては、当社独自技術による『車窓の新しいカタチ』への取り組みが評価され、「NV200ニューヨーク市タクシー」のパーティション窓として、日産車体㈱と共同開発した「パンライト」製グレージングが採用にいたりました。世界初となる独自技術によって、これまでポリカーボネート樹脂製のパーティション窓では実現が難しいとされていた「歪みが少なく、高い視認性」と「自由度の高い、美しいデザイン性」の両立を可能としています。これに伴い三原工場(広島県)及び松山工場(愛媛県)においてポリカーボネート樹脂グレージングの商業生産能力を拡充しました。 また、難燃剤市場におけるノンハロゲン化ニーズへのソリューションとして、当社独自の分子設計技術により新規リン系難燃剤「FCX-210」を開発しました。「FCX-210」は従来のリン系難燃剤の課題であった耐熱性の低下を解決し、より多彩な樹脂への対応が可能です。従来の臭素系難燃剤にこのリン系難燃剤をラインナップに加えることにより、エレクトロニクスや自動車市場を中心に用途展開を進めています。 更に将来に備えての研究開発として、石油資源に依存しない植物由来ポリカーボネート系樹脂「PLANEXT」の用途を拡大するため高機能化グレードの開発に取り組んでおり、耐熱性と耐衝撃性を両立したグレードのサンプル提供を開始しました。 フィルム分野では、スマートフォンを中心とした静電容量タイプのタッチパネル基材として、ハードコートとの光干渉による虹模様を抑制した高透明PETフィルムの量産化技術を確立しました。更に高い透明性や表面品質、帯電防止性等、さまざまな特性を高いレベルで兼ね備えたPETフィルムを開発しました。今後、画面の高精細化が進むスマートフォンやタブレット端末の画面保護フィルムやディスプレイ組立工程における工程材用途を中心に市場展開を進めていきます。 また、LCD反射板用フィルムとして、近接して配置される導光板との接触による傷つきやスポット状の斑を防止するため、特殊なビーズの開発とその特殊ビーズを塗布した高性能反射板の開発に成功しました。今後海外顧客を中心に市場拡大を図ります。 更に、新たに独自開発したノンハロゲンの難燃フィラーを活用して、世界最高位の難燃性(UL規格:VTM-0)を有するPETフィルムを開発しました。今後、OA機器やパソコン、照明といった製品に用いられる難燃絶縁部材、難燃ラベル、フレキシブルディスプレイ用基板等の分野を中心に、市場開拓を進めていく予定です。 当セグメントに係る研究開発費は49億円です。 |
ヘルスケア事業 | : 医薬品分野では、英国プルマジェン セラピューティクス(アズマ)リミテッドから導入した気管支喘息治療薬「ADC3680」(開発コード:PTR-36)について2013年6月に国内での臨床開発 に着手しました。また、2012年に米国で開始した腰椎椎間板ヘルニア治療剤(開発コード :KTP-001*)の臨床開発も引き続き推進しています。また去痰剤「ムコソルバン」の剤形追加として開発中の「NA872ET(小型徐放錠)」について、2014年2月に厚生労働省に対し承認申請を行いました。その他、既存薬の適用拡大等に向けた臨床開発にも取り組んでいます。一方で2013年6月には、米国アムジェン社と新しい自己免疫疾患治療薬の創製に関する共同研究契約及び開発・販売に関するオプション契約を締結しました。本契約下、アムジェン社と共同研究を実施することにより、革新的な新薬の創製に努めていきます。 在宅医療分野では、脳卒中後遺障害等の歩行機能回復用の歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド」を2013年4月に上市しました。また、在宅酸素療法で用いられる携帯用酸素ボンベに取り付け、酸素の消費を節約する呼吸同調式デマンドバルブの新機種として、「サンソセーバーeⅢ」を2013年4月に上市しました。加えて、在宅酸素療法で用いられる携帯用酸素ボンベとして長時間使用のニーズに応えるため、Luxfer社のFRPボンベを採用し、2013年6月に上市しました。 当セグメントに係る研究開発費は128億円です。 |
製品事業 | : 帝人フロンティア㈱を中心に新製品の企画開発を主とする研究開発を行っています。多様化・細分化する市場ニーズに沿った新製品開発のために、試験反作成、品質調査、物性テスト等の試作・試験を実施しています。 当セグメントに係る研究開発費は5億円です。 |
帝人㈱で行うコーポレート研究(グループ共通の基礎研究及び新事業・新製品創出)では、これまで培ってきた合成化学や高分子化学分野での研究開発基盤を更に強化することによる新規事業創出を目指しています。
環境分野では植物由来のバイオプラスチックを独自技術で高機能化し、石油・ガス掘削用途等への展開を加速しています。
情報・エレクトロニクス分野では、米国子会社のNanoGram Corporationにおいて、半導体用シリコンインク研究開発を加速させており、プリンタブルエレクトロニクス用材料の早期事業化を目指しています。
またライフサイエンス分野においては、生体吸収ポリマー、ナノ材料加工、微細成型加工等の素材技術と、細胞工学、タンパク質工学、製剤設計や医療機器設計等のヘルスケア技術を融合することで、再生医療、組織修復材料、DDS(薬物送達)基材、医療機器材料、スポーツメディシン等新たな事業分野の創出をめざし研究開発活動を本格化しています。
これらに係る研究開発費は88億円です。これらの費用については、各セグメントへの配賦は行わずに「消去又は全社」に表示しています。
* KTP-001は波呂浩孝氏(山梨大学大学院・教授)と小森博達氏(横浜市立みなと赤十字病院・副院長)の発明に基づき、帝人ファーマ㈱と一般財団法人化学及血清療法研究所が共同で開発・創製した薬剤です。
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00872] S10022WR)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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