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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10020II

有価証券報告書抜粋 東レ株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究・技術開発は、有機合成化学、高分子化学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーという当社が培ってきたコア技術をベースに、基幹事業である繊維、プラスチック・ケミカル事業の安定収益基盤強化・収益拡大を推進するとともに、成長する重点4領域(①環境・水・エネルギー、②情報・通信・エレクトロニクス、③自動車・航空機、④ライフサイエンス)に絶え間なく先端材料を供給する役割を担っている。また、地球温暖化防止や環境負荷低減に対して、当社グループの総合力を発揮してソリューションを提供する新たな切り口で、さらなる成長を推進していく。
2014年2月に策定した中期経営課題“プロジェクトAP-G 2016”では、「グリーンイノベーション」と「ライフイノベーション」を重点分野に、革新的新素材・新技術の創出によって当社の持続的発展を支えるとともに、知的財産戦略により参入障壁を構築し、技術の優位性を堅持していく。

当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は次のとおりである。

(1) 繊維事業

基幹事業としての安定収益基盤の強化と収益拡大に向け、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進している。その成果として、繊維の断面形態をナノメートルオーダーで任意に制御することで、様々な原料樹脂を自在に複合させることができる革新的な合成繊維製造技術の開発に成功した。本技術を用いて作られる複合繊維の断面形態は、ナノメートルサイズでデザインされ様々な用途への展開の可能性がある。また、環境関連製品として、植物由来のエチレングリコールを原料とした植物度約30%のポリエステル繊維を用いて学販衣料業界初の体育着を開発、加えてグリーン購入法基本方針の環境物品基準に適合した作業服を世界で初めて展開する。そのほか、単糸繊度を世界最高水準の0.2デシテックスレベルまで細くした高異形(くさび形)断面のナイロン超極細繊維を採用し、きめ細やかでサラリとした肌になじむ触感、ソフトでありながら適度なコシのある風合いを実現したファッション用テキスタイル ミラニー™を開発した。

(2) プラスチック・ケミカル事業

基幹事業として安定収益基盤の強化と収益拡大、そして持続可能な循環型社会の発展に主眼を置いた研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、アルミダイキャストよりも45%軽量でありながら同等の引張強度を有する、射出成形可能な炭素繊維強化ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の開発に成功した。また、再生可能化学品プロセス技術のリーディング企業であるGenomatica社と共同で、Genomatica社製1,4-ブタンジオール(バイオBDO)を用いた部分バイオマス原料由来ポリブチレンテレフタレート(部分バイオPBT)の中規模設備での試作重合に成功した。商業規模での量産に目処を得たことから上市に向けてプレマーケティングを開始した。

(3) 情報通信材料・機器事業

戦略的拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、次世代パワーエレクトロニクス(インバータなどの電力機器)に用いられるシリコンカーバイド半導体デバイス製造においてイオン注入工程を大幅に簡略化できる感光性耐熱レジストを開発した。また、樹脂設計技術の高度化により、スマートフォンなど携帯用電子機器に搭載される電子部品のさらなる小型化・高密度実装を実現する封止(パッケージング)用材料として、新たに「感光性ポリイミド接着フィルム」を開発した。また、半導体純度を大幅に高めた単層CNT(Carbon Nano-Tube)と当社が独自開発した半導体ポリマーを複合化することにより、単層CNTの高い半導体特性を十分に引き出すことに成功し、単層CNT薄膜トランジスタにおいて、塗布型TFTとしては世界最高レベルとなる移動度(13cm2/Vs)を達成した。そのほか、タッチパネル配線用の感光性導電ペースト「レイブリッド」では配線幅(ライン:L)と間隔(スペース:S)がそれぞれ20μmと、従来の50μmより更に微細配線形成が可能となる新品種を開発・上市した。

(4) 炭素繊維複合材料事業

当社の代表的ナンバーワン事業であり、戦略的拡大事業としてグリーンイノベーション事業拡大、アジア・新興国事業拡大のための研究・技術開発に取り組んでいる。炭素繊維複合材料事業の自動車分野におけるグローバルな戦略的拡大を図るため、米国のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)製自動車部品製造販売会社であるPlasan Carbon Composites, Incの株式の20%を取得した。これにより、米国自動車メーカーへの販売チャネルを確保するとともに、北米におけるCFRP製自動車部品の生産・開発拠点を確立した。今後、自動車用途における炭素繊維の市場創造に向けて、炭素繊維から中間基材、成形品までの一貫した強固な垂直統合型のサプライチェーンを、日本・アジア・欧州・北米とグローバルに強化・拡充する。また、これまで技術難度が高いとされた高強度と高弾性率化の両立を実現したトレカ®「T1100G」及び同炭素繊維を使用した高性能プリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)を開発した。そのほか、「航空機用炭素繊維複合材料の開発」について、財団法人大河内記念会より「第60回(2013年度)大河内記念生産特賞」を受賞した。

(5) 環境・エンジニアリング事業

情報通信材料・機器、炭素繊維複合材料に続く次の収益拡大の柱とするために、重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。水処理分野では、高い透水性能と耐久性を併せ持つ「超低圧高耐久性逆浸透(RO)膜」を開発した。本製品は、RO膜表面に細孔(水分子を通しナトリウムイオン等を通さない微細な穴)を形成する技術を深化させ、優れた物質除去性能を維持したまま透水性能を高めることによって、低圧運転が可能となり約30%の省エネを達成することができる。アメニティー関連製品では、高い除去性能を有しながらもコンパクトかつデザイン性を兼ね備えた蛇口直結型浄水器「トレビーノ®カセッティ307MX」を開発し、発売を開始した。

(6) ライフサイエンス事業

重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。医薬分野では、血液透析に伴う難治性のそう痒症に対する、世界初の選択的オピオイドκ受容体作動性の経口そう痒症改善薬であるレミッチ®*カプセル2.5μgの開発・上市に成功したことが評価され、「κ型オピオイド受容体作動薬ナルフラフィン塩酸塩」について、2013年度全国発明表彰「発明賞」を受賞した。

*レミッチ®は鳥居薬品㈱の登録商標である。


上記セグメントに属さない基礎研究、基盤技術開発として、環境関連では、「全ての事業戦略の軸足を地球環境におき、持続可能な低炭素社会の実現に向けて貢献していく」という経営方針の下、革新電池部材、有機薄膜太陽電池の研究・技術開発を推進しており、有機薄膜太陽電池では、高配向性ポリマーの開発により極限の外部量子効率を実現し、単層素子としては世界最高レベルとなる10%超の変換効率を達成した。また、次期中期経営課題“プロジェクトAP-G 2016”において新たに推進する「ライフイノベーション事業拡大」を意識した研究・技術開発力の強化策として、米国ミネソタ州のミネソタ大学Medical Devices Center内及び兵庫県の神戸医療産業都市にライフイノベーション関連の新拠点を設置した。本拠点では、医療機器開発の加速及び東レが開発した先端材料の医療機器への適応拡大を目的に、国内外の医療機関、検査診断施設及び医療機器関連企業との連携を促進する。新事業では、英国ケンブリッジ大学で高感度DNAチップ3D-Gene®が採用され、主にバイオマーカー研究用途で、英国内をはじめ欧州全域への普及を加速しつつある。

当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、555億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は429億円)である。セグメント別には、繊維事業に約8%、プラスチック・ケミカル事業に約14%、情報通信材料・機器事業に約21%、炭素繊維複合材料事業に約6%、環境・エンジニアリング事業に約3%、ライフサイエンス事業に約13%、本社研究・技術開発に約35%の研究開発費を投入した。
当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,593件、海外で3,447件、登録された件数は国内で907件、海外で1,211件である。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00873] S10020II)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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