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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100334W

有価証券報告書抜粋 株式会社キャンバス 事業の内容 (2014年6月期)


沿革メニュー従業員の状況


当社は、細胞周期に関する基礎研究の成果をもとに、正常細胞に影響が少ない抗癌剤の研究および開発を単一事業として行っている、創薬企業であります。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントであります。

(1) 基本戦略
当社の基本戦略は次のとおりです。
・ 正常細胞に影響が少ない抗癌剤の開発を目指し、その作用メカニズムの候補と考えられるG2チェックポイント阻害のメカニズムに着目して研究開発を行う。
・ 当社の薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。
・ 抗癌剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO(Contract Research Organization:臨床試験におけるモニタリングやデータマネジメント、統計解析を製薬企業の委託のもとに行う事業体)等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。
・ 当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖(*)を補完・完結する。

当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減してまいりたいと考えております。

(2) 創薬事業
① 医薬品の一般的な研究開発プロセス
医薬品の研究開発プロセスは一般に、テーマに沿った化合物を探索し((a)探索研究)、獲得・創出された化合物をより最適なものに改良し((b)最適化)、動物での検証((c)前臨床試験(非臨床試験(*)))を実施した後、各国の医薬品許認可審査機関(日本の場合は厚生労働省、米国の場合はFDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)など。以下「許認可当局」といいます。)に臨床試験開始を申請((d)IND申請)し、その監督下でヒトでの検証を行い((e)臨床試験)、許認可当局に対する申請((f)新薬承認申請、NDA申請)を経て医薬品としての承認取得に至り、その後上市・販売するというものであります。
この過程のうち、(a)探索研究から(e)臨床試験の初期段階に至る領域の活動は、「製薬」全般と区別し「創薬」(Drug Discovery)と一般に呼ばれており、当社は、主にこの領域の活動を担う「創薬」企業であります。


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(a) 探索研究
新薬のもとになる候補化合物を探し出す研究を探索研究といいます。
一般にこの段階では、大量の化合物の中から目的の作用を持つものを探し出すための薬剤スクリーニング法によって、一定以上の活性を持つ化合物(一般に「ヒット化合物」と呼ばれます)を選別します。

(b) 最適化
探索研究で得られたヒット化合物をもとに、構造の一部を改変して異なる物理的・化学的特性を持つ複数の化合物を新規に合成し、スクリーニングによる選別と病態モデル動物(*)による実験を繰り返して、期待どおりの作用を示すひとつまたは少数の開発候補化合物(一般に「リード化合物」と呼ばれます)を獲得します。

(c) 前臨床試験(非臨床試験)
最適化が終了しその後の開発続行を決定した医薬品候補化合物について、動物実験でデータを収集し、許認可当局に対するIND申請の準備を行う段階です。
非臨床試験のうち、許認可当局へのIND申請に必要なデータを収集するために実施される試験については、特に「前臨床試験」と呼ばれます。臨床試験における医薬品候補化合物の投与量や投与期間を選択するために十分な信頼性のある情報を得る必要があることから、許認可当局の定めた基準に則って実施されます。

(d) IND(Investigational New Drug)申請
米国における臨床試験申請で使われる用語で、医薬品候補化合物についての情報をまとめた臨床試験実施申請資料を「新薬臨床試験開始届」としてFDAに提出し、臨床試験実施の承認を得るものです。

(e) 臨床試験
前臨床試験の結果、有効性および安全性の観点から有用な医薬品になり得る可能性が認められた場合、十分な検討の上で、臨床試験が実施されます。
臨床試験においては、個々の医薬品候補化合物について特徴を科学的に検討し、論理的で段階的な手続によって開発が進められます。
一般に臨床試験は、3つの「相」に分かれていると理解されています。第1相では、少人数(一般に10名から50名程度)のヒトに投与して、許容投与量などを確認します。続いて第2相では、中規模(50名から200名程度)の被験者に投与し、安全性とともに、医薬品候補化合物の有効性が評価されます。第3相では、多数(200名から1,000名、場合によってはそれ以上の人数)の被験者に投与し、第1相・第2相で得られた安全性や有効性に関するデータを確認・実証します。

(ⅰ) 第1相
第1相は、医薬品候補化合物を初めてヒトに投与することから開始されます。
通常、この相の試験は、治療効果を見ることを目的とせず、比較的少数の健康な志願者で実施されます。強い毒性を持つ可能性のある候補薬剤(たとえば抗癌剤)では、対象疾患を持つ被験者を対象として試験が実施されます。
第1相で実施される試験は、通常、次のうちひとつまたはその組合せの観点から行われます。
(ア) 初期の安全性・許容投与量の推測
第2相以降の臨床試験のために必要と想定される用量範囲の許容投与量を決定し、予測される副作用の性質を判断します。
(イ) 薬物動態試験(*)
医薬品候補化合物の吸収、分布、代謝、排泄に関する特徴を検出します。薬物動態試験は開発計画全体を通して行われます。
(ウ) 薬力学的な評価
薬力学試験(*)および血中濃度と反応に関する試験を行うことによって、医薬品候補化合物の有効性について初期的な推測が可能になる場合もあり、また、用法・用量の設定の参考にします。
(エ) 初期の薬効評価
薬効または予想される治療上の利益の予備的検討が、副次的な目的として第1相試験で行われることがあります。

(ⅱ) 第2相
第2相は、通常、対象疾患を持つ被験者における治療効果の探索を主な目的とする試験を開始する段階です。
第1相試験よりも被験者数を増やし、その後に続けられる試験での用法・用量を決定し、設定される可能性のある評価項目や治療方法(他剤との併用を含む)等を検討・評価します。

(ⅲ) 第3相
第3相は、通常、治療上の利益を証明もしくは確認することを主目的とする試験を開始する段階です。
第2相試験よりも投与患者数をさらに増やし、治療効果の既存薬剤との比較データ、副作用のデータ等を収集することによって、意図した適応疾患および対象患者群において医薬品候補化合物が安全かつ有効であるという第2相試験で蓄積された予備的な証拠をさらに検証し、新薬として承認されるための適切な根拠となるデータを得ることを目的とします。

(f) 新薬承認申請(New Drug Application)
新薬承認申請書類を作成し、許認可当局に提出します。この申請が承認されれば、対象の国や地域における販売が可能になります。
なお、医薬品の承認後に、承認された適応に関連する追加的な試験が行われることがあり、これを第4相試験と呼ぶことがあります。
② 当社の創薬事業の特色
当社の実施している創薬事業の特色は以下のとおりです。

(a) 創薬ターゲット「G2チェックポイント」について
当社は、正常細胞に影響が少ない抗癌剤の開発を目指しており、そのための具体的アプローチとして、細胞周期G2チェックポイントをターゲットとしております。

(ⅰ) 細胞周期
細胞周期とは、1つの細胞が2つに分裂するプロセスのことです。
このプロセスは、DNA(*)を複製するS期、2つの細胞に分裂するM期、ならびに、それぞれの前に存在するG1期・G2期で構成されています。


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DNAに損傷のあるまま細胞分裂をすると多くの場合に細胞(正常細胞も癌細胞も)は死滅します。これを防ぐため、細胞には、細胞周期の進行を一時的に停止しDNA損傷を修復する「チェックポイント」機構があります。「G1期」および「G2期」のチェックポイントが主要なものとして知られています(以下、それぞれ「G1チェックポイント」「G2チェックポイント」といいます)。

(ⅱ) 従来型の抗癌剤の副作用と細胞周期
従来型の抗癌剤の大半は、正常細胞・癌細胞の区別なく細胞分裂を阻害しており、結果として、細胞分裂・増殖の活発な癌細胞に効果を発揮します。
一方で、たとえば消化管粘膜や骨髄の造血細胞、毛根細胞などは、癌細胞と同じように活発な分裂・増殖を繰り返して組織を維持しています。従来の抗癌剤の無差別な攻撃でこれらの正常細胞の分裂が阻害されると、これらの組織の維持が困難になります。これが、下痢や嘔吐、骨髄抑制、脱毛など、一般に知られているような抗癌剤の副作用の原因となっています。

(ⅲ) G2チェックポイントをターゲットとする創薬コンセプト
G2チェックポイントをターゲットとした場合には、正常細胞に影響を与えず癌細胞のみを攻撃する、副作用の少ない抗癌剤となる可能性があると考えられています。
正常細胞においてはG1・G2両方のチェックポイントがいずれも機能しており、なかでもG1チェックポイントが強く機能して細胞分裂時のDNA損傷がチェックされています。DNAに損傷が生じた場合には、正常細胞においては細胞周期がG1期で一旦停止し、損傷の修復が試みられます。
これに対し癌細胞は、もともと癌になるためにG1チェックポイントを壊したり機能不全にしており、結果として多くの癌細胞はG1チェックポイントを失っているので、細胞分裂時のDNA損傷チェックはG2チェックポイントに依存しています。このため、DNAに損傷が生じた場合には、癌細胞においては主にG2期で細胞周期が一旦停止し、損傷の修復が試みられます。


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このとき、G2チェックポイントの機能を阻害すると、癌細胞の唯一のチェックポイントが失われることになり、癌細胞においては抗癌剤等によるDNA損傷が修復されず、細胞死が誘導されます。
その一方で、正常細胞においては、G1チェックポイントが正常に機能するので、G2チェックポイントの機能が阻害されても正常な細胞分裂への影響が少ないと考えられます。


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このような理由から、G2チェックポイントをターゲットとする創薬コンセプトは、副作用の少ない抗癌剤を開発する有効なアプローチのひとつであると考えられています。

(ⅳ) 他の抗癌剤との併用
G2チェックポイント阻害のコンセプトは、DNAに損傷があった場合に起動される損傷修復のしくみが正常細胞と癌細胞とで異なっていることを利用し、その修復機能を癌細胞において選択的に阻害しようとするものです。
したがって、DNAに積極的に損傷を与える一般の抗癌剤や放射線治療を併用することで、このコンセプトによる効果が増大することが期待されます。この特性を活かすため、当社は、研究開発を始めた当初から、放射線や他の抗癌剤との併用を念頭に置いています。
現在、多くの癌腫において、複数の抗癌剤を併用することが標準治療(*)となっており、併用を前提とした医薬品開発は一般的なアプローチであります。

(ⅴ) 複数の医薬品創出の可能性
G2チェックポイントに係るシグナル伝達経路(*)は複数存在しており、DNA損傷の種類や細胞の種類によっては、異なったシグナル伝達経路が利用されていることが明らかになっています。
したがって将来、G2チェックポイント阻害のコンセプトから多種類の医薬品が創出される可能性があると当社は考えます。また、これら多数の新規医薬品と既存の抗癌剤との組合せを最適化することで、多くの種類の癌に対する治療法が開発できると、当社は考えています。

(b) 創薬ターゲットに合致した当社独自の薬剤スクリーニング法について
当社は、上記の創薬ターゲットに合致した、当社独自の薬剤スクリーニング法を有しており、これを用いて候補化合物の探索や最適化を行っています。

(ⅰ) G2チェックポイント阻害の結果(現象)に着目したスクリーニング
生きた細胞で起きる現象の多くは、さまざまな分子群が複雑に絡み合ったシグナル伝達経路を介して現れ、また、そのシグナル伝達経路の多くは未解明です。G2チェックポイントに関連するシグナル伝達経路もそのひとつであり、現在まで、特定の分子の機能を抑制することによってG2チェックポイントの働きを特異的(*)に阻害し臨床試験によりその有効性を証明できた例は報告されていません。
薬剤のスクリーニングでは多くの場合、最初のステップとして「ハイスループットスクリーニング(*)」(単一もしくは少数の特定標的分子(*)に対する化合物の活性を高速に分析する技術)を実施し、大量の候補化合物の中から「外れ」を早期にふるい落とす作業を実施しますが、G2チェックポイント阻害のように標的分子を特定できていない領域では適用しづらい特徴を持っています。
これに対し、当社のスクリーニング法は、特定の標的分子に対する活性ではなく、生きた細胞の細胞周期に係る挙動に着目したものです。
細胞の挙動という最終アウトプットを基準とした当社独自の薬剤スクリーニング法は、標的分子があらかじめ特定されている必要がなく、シグナル伝達経路が複雑・未知でも対応が可能という特色を有しています。
当社は、未解明の部分の多いG2チェックポイントの領域においてはこの薬剤スクリーニング法が効果的であると考えており、現在までに当社が保有している医薬品候補化合物パイプラインはいずれも、この薬剤スクリーニング法によって探索・創出されたものであります。
このスクリーニング法には、生細胞を用いるので自動化が難しく、そのためスループットを向上し難いという欠点があります。しかし、そのことが逆に、一般に高いスループットを追求する傾向にある他の製薬企業や創薬企業による模倣や追従に対する障壁となっています。なお、この欠点を克服するために当社は、IT技術等による新たな創薬支援ツールを活用し、当社独自のスクリーニング法のスループット向上を図っています。

(ⅱ) 当社のスクリーニング法で獲得される化合物
上記のとおり当社は、G2チェックポイントを阻害した場合に起きるのと同じ現象(癌細胞を細胞周期G2期にとどまらせず死滅させる一方で正常細胞に影響がないことなど)を起こすことを指標として、候補化合物の探索・最適化を行っています。
しかしながら、これと同じ現象は、厳密な意味での「G2チェックポイントの阻害」でなくても起きる可能性があります。たとえば、G2チェックポイントの機能は阻害していないにもかかわらずG2期にとどまる時間を短くしている場合などがあり得ます。
したがって、現象だけでは「G2チェックポイントを阻害している」とは言い切れません。
また、一般に、ヒット化合物の多くは活性が低く、そのままでは生体内で医薬品として働くことができないため、生体内で期待どおりの活性を獲得するために、ヒット化合物の構造の一部を改変して「最適化」を行います。この過程で、副作用を増強せず活性を高めるための改良・改変を行ううちに、未知の(したがってG2チェックポイント阻害とは異なるかもしれない)作用メカニズムによる抗癌活性を持つ可能性もあります。
このため当社では、当社のスクリーニング法から獲得されているパイプラインの化合物を「G2チェックポイント阻害剤」とは称しておりません。
とはいえ、これらのパイプラインはいずれも当社が獲得しようとしている「正常細胞に影響の少ない、副作用の小さい抗癌剤候補」であることには変わりなく、抗癌剤として開発する価値のある化合物であると当社は考えております。

(c) 開発パイプラインについて
当社は現在、CBP501およびCBS9106によって開発パイプラインを構築し、事業化を意識した優先順位づけと管理に基づき研究開発を進めています。

◆開発パイプライン
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(ⅰ) CBP501
CBP501は、当社設立の契機となったG2チェックポイント阻害オリジナルペプチドTAT-S216を改良して創出された、ペプチド型(*)の抗癌剤候補化合物です。
2005年2月に米国FDAへのIND申請が承認され、米国の複数の施設において、単剤による臨床第1相試験(対象:固形癌(*)全般)を実施しました。また、これと並行して、2006年10月から、CBP501と抗癌剤シスプラチンの併用による臨床試験(対象:固形癌全般)を実施しました。
さらに、シスプラチンとの併用による臨床第1相試験、シスプラチン・ペメトレキセドとの3剤併用による臨床第1相試験を経て、上記3剤併用による悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする臨床第2相試験を実施し、それぞれ2012年11月・2013年7月に完了(最終報告書受領)しました。
現在当社は、これら試験の結果を踏まえ、CBP501の次相臨床試験を開始するための準備を進めつつ、当該臨床試験の遂行に必要な提携パートナーの獲得を目指しています。
なお当社は、CBP501の開発過程において何らかの障害が発生した場合に備え、CBP501の最適化過程で得られた複数のペプチド型化合物をバックアップとして保有しています。

(ⅱ) CBS9106
CBS9106は、当社が開発した薬剤スクリーニング法から見出した候補化合物群を最適化して創出した、低分子型(*)の抗癌剤候補化合物です。
CBS9106は、培養細胞や動物を用いた実験において、CBP501およびそのバックアップ化合物との併用によって効果の確認された抗癌剤や癌の種類とは異なる組合せで効果が確認されており、CBP501とは独立した開発プログラムです。癌の種類によっては単剤での効果も確認されています。
なお当社は、CBS9106の開発過程において何らかの障害が発生した場合に備え、CBS9106の最適化過程で得られた複数の低分子型化合物をバックアップとして保有しています。
CBS9106については、前臨床試験を完了した段階にあり、早期に臨床試験を開始するべく、CBP501と同様に、臨床試験遂行に必要な提携パートナーの獲得を目指しています。

(ⅲ) 開発パイプラインの拡充
当社のような創薬企業にとって、新規の候補化合物を継続的に創出・獲得し、開発パイプラインを拡充するしくみ(以下ではこれを「創薬エンジン」と呼びます)の確保は、将来の継続的な成長のために必須のものであります。
当社では、G2チェックポイント阻害のメカニズムに着目し、正常細胞に影響が少ない抗癌剤の新規候補化合物を継続的に創出・獲得するために、探索対象化合物を確保し、米国および欧州で特許化されている当社独自のスクリーニング法を創薬エンジンとして、将来の開発候補品となり得る新規化合物の探索研究を継続的に行っており、さらに、当社の競争力の源泉となる創薬エンジンの改良・強化にも努めています。

(d) 製薬企業との戦略提携について
医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。
創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。
また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。
CBP501に関しては、当社は、2007年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めておりましたが、2010年6月に本契約を解消しております。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきましたが、今後実施する計画の臨床第3相試験に向けて、現在、新規提携パートナーの早期獲得を目指した活動を行っています。
併せて、既に前臨床試験を完了したCBS9106についても、IND申請と臨床試験遂行に必要な新規提携パートナーの獲得を追及してまいります。

(e) 研究開発における外部機関との連携について
当社は、癌領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます)を活用しています。
基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。
臨床開発においては、抗癌剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。
また、当社は、抗癌剤の臨床開発に係る経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(以下「SAB」といいます)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗癌剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。

沿革従業員の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E23487] S100334W)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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