有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DJGY
株式会社アイ・ピー・エス 事業等のリスク (2018年3月期)
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性がある主な事項を記載しております。
また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。
なお、本書に記載されている将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが入手可能な情報から判断したものであります。
(1) 海外事業に関わるリスク
当社グループは、日本国内のほかフィリピンに事業拠点を設置し、事業を展開しております。このため当該状況に係るリスクとして以下の3つの事項をあげることができます。① 経済動向について
当社グループは日本及びフィリピンに事業拠点を設置しており、また、当社グループの取引先も日本国内に留まらず海外においても事業を展開しております。このため、日本やフィリピンのほか、取引先企業が事業展開を行っている国々や地域の経済環境や社会環境の変化及び景気動向の影響を受ける可能性があり、その結果、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。② 海外での事業展開について
当社グループの海外での事業展開において適用を受ける関連法令・規制・税制・政策の制定、改正または廃止、解釈・実務上の取扱いの相違・変更、行政の運用の変更、政治経済情勢・外交関係の変化、電力・輸送・通信等のインフラの停止・遅延、人件費の上昇、テロ、戦争、伝染病等が発生した場合や、日本との商習慣との違いから取引先等との間で紛争が生じ、現地での事業活動に悪影響が生じる場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。③ フィリピンのカントリーリスクについて
当社グループは、当社およびグループ会社4社で、フィリピンにおける事業を展開しております。このうち、KEYSQUARE, Inc.は在留フィリピン人関連事業としてコールセンターの運営を行っているほか、Shinagawa Lasik & Aesthetics Center Corporation(以下「SLAC」といいます。)はマニラ市内に2つのクリニックを運営し、レーシック(近視矯正手術)、美容、矯正歯科等の施術を行う医療・美容事業及び化粧品の販売を行っています。また、2015年にはフィリピン国内での通信事業展開を企図してInfiniVAN, Inc.を設立しております。CorporateONE Inc.はInfiniVAN, Inc.の持株会社として機能しております。近年のフィリピンは、賃金水準が向上し、当社グループが希望する人材の確保が想定通りにできない可能性があります。また、台風等の自然災害により通信システムの障害等が生じ都市機能が麻痺する場合や、フィリピン南部のミンダナオ島で頻発するテロ活動が他地域に拡大する場合には、当社グループの事業活動が期待通りに展開できない可能性や、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
(2) 海外通信事業に関わるリスク
当社グループの海外通信事業は、①当社によるフィリピンと香港などを結ぶ国際通信サービスの提供と②InfiniVAN, Inc.によるマニラ首都圏地域内での法人向けインターネット接続サービスの提供からなります。前者①は、当社が、フィリピンと香港、北米、シンガポール、東京との間の国際通信回線(フィリピン国内区間を含みます)の長期使用権の一種である契約期間中に解除不能な使用権(IRU:Indefeasible Right of Use)または国際通信回線の賃借権を、実質的な所有者である通信回線事業者から取得し、小口化してフィリピンでインターネット接続サービスを提供しているCATV事業者に対して当該サービスに必要となる国際通信回線の提供を行っております。また後者②は、InfiniVAN, Inc.がマニラ首都圏地域で法人向けにインターネット接続サービスを提供しております。当社グループの海外通信事業には、以下のようなリスクがあります。① 当社による海外通信事業
A フィリピンにおける当社の通信事業サービスの提供の形態等について
当社は、通信回線業者から取得したIRU等を小口化し、フィリピン国内のCATV事業者の顧客に提供しておりますが、フィリピン領土内における通信事業は、フィリピンでの通信事業に適用されるRepublic Act.7925 AN ACT TO PROMOTE AND GOVERN THE DEVELOPMENT OF PHILIPPINE TELECOMMUNICATIONS AND THE DELIVERY OF PUBLIC TELECOMMUNICATIONS SERVICES(以下「R.A7925」といいます。)の規制を受けております。R.A7925により、フィリピン国内の通信事業は、フィリピン国内の通信事業の認可を得た事業者のみが行なうことができるため、当社は、フィリピン陸揚局からマニラ首都圏までの通信回線部分について、本書提出日現在フィリピンの通信事業法人であるPHILIPPINE TELEGRAPH & TELEPHONE CORPORATION(以下「PT&T社」といいます。)と提携契約(Cooperation Agreement)を締結しPT&T社との提携の下に通信回線を提供しております。またフィリピン国内の規制により、当社が単独でフィリピン国内に通信設備を設置・運用することができないので、PT&T社との間でFacility Management Agreementを締結し、同社と共同して通信設備を設置・運用しております。当社がIRU等を取得している国際通信回線は、この提携により、PT&T社が保有するフィリピン国内の通信回線と接続され、フィリピン国内の顧客は、この提携に従って、当社及びPT&T社からそれぞれ個別に提供されることにより、香港、北米、シンガポール、東京にあるサーバー等と接続することができます。当社とPT&T社との関係は長期にわたり安定しており、今後も引き続き提携して事業を遂行していく予定であります。但し、PT&T社は、再生手続を定めるFinancial Rehabilitation and Insolvency Act of 2010の適用を受けており、現在裁判所及び再生管財人の関与の下、再生手続に入っており、本書提出日現在、再生手続の進行状況は不明であります。なお、2017年8月には同じく再生手続に入っており同社の親会社であったRepublic Telecommunications Holdings Co.,LtdはPT&T社株式の約70%を同国の投資会社であるMENLO CAPITAL Corporationに譲渡しております。さらに、当社とPT&T社間の業務提携契約(Cooperation Agreement)は当事者の6か月前通知によりいつでも解約できる規定となっております。今後何らかの事由により、PT&T社との提携契約が解約される場合やPT&T社の再生手続が破産手続に移行する場合、当社グループの事業展開や財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
B 他社との競合について
フィリピン国内においては、当社グループの競合他社である2社が寡占的に通信サービスを提供しております(総務省「世界情報通信事情:フィリピン編(2016年)」)。現在は、これらの競合他社が当社グループに対して国際通信回線を提供するなど、マーケットでの棲み分けもできておりますが、今後、これら競業他社が、その資本力、サービス・商品、顧客基盤、営業力、ブランド、知名度などにおいて、その優位性を現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組んだ場合や、他の通信事業者の更なる買収を行い寡占化が進む場合、当社グループが価格競争等で劣勢に立たされ、当社グループが顧客を獲得・維持できないことも考えられます。
また、フィリピンは、法規制により通信事業への新規の参入が難しく、現状は競合となる事業者が限られておりますが、寡占による弊害は広く認識されており、政府もそれに対応しようとしていることから、今後規制が緩和され、寡占状態が崩れ、新たな事業者が参入してくることが考えられます。また、その新規事業者が、価格競争等を仕掛け、当社グループが劣勢に立たされ、当社グループが顧客を獲得・維持できないことも考えられます。その結果として、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
C 特定の仕入れ先の依存について
当社グループの海外通信事業の遂行にあたっては、現在、当社が、フィリピンとアメリカ間、フィリピンとアジア地域(香港・シンガポール・東京)間の国際通信回線のIRUまたは国際通信回線の賃借権を、それぞれの回線ごとに別々の事業者より調達しており、調達先はTelstra Corporation Limited(テルストラ・豪州)、Telekom Malaysia Berhad(テレコムマレーシア・マレーシア)及びGlobe Telecom,Inc.(グローブ・フィリピン)の3社となっております。これら国際通信回線の調達において、供給停止、納入遅延、不具合等の問題が発生し、調達先や回線の切り替えが適時にできない場合、品質維持のために必要な保守・点検が打ち切られた場合、または、大幅な値上げを要求される場合、当社グループのサービスの提供に支障をきたし、顧客の獲得・維持が困難になる可能性や調達先の変更のために追加のコストが生じる可能性があります。その結果として、当社グループの財政状況や経営成績等に影響を与える可能性があります。
D サービスの構成について
これまで当社は、海外通信事業において、国際通信回線のIRUまたは国際通信回線の賃借権を当該回線の実質的な所有者である国際通信回線事業者から取得し、それを小口化してフィリピンのCATV事業者に長期のIRU契約を締結することにより提供してまいりました。但し、2016年半ば以降、フィリピン国内では、既存通信回線の高速化や新規通信回線の設置計画等により、通信回線の価格が低下傾向にあり、また、フィリピンのCATV事業者は長期のIRU契約から短期リースの契約にシフトする動きが顕著になっており、当社の販売先との間の契約のうち売上ベースで約半分は短期リースの契約にシフトしております。短期リース契約の場合、1年から2年毎に契約の更新をする必要があり、当社の販売先であるフィリピンのCATV事業者が、契約更新時に競合他社にアプローチされる結果、当社との契約の更新がなされない場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社の仕入先であるTelstra Corporation Limited(テルストラ・豪州)、Telekom Malaysia Berhad(テレコムマレーシア・マレーシア)及びGlobe Telecom, Inc.(グローブ・フィリピン)の3社の国際通信回線事業者は、本書提出日現在小口での販売を本格的には対応しておりません。当社は大口で国際通信回線を仕入れ、フィリピンのCATV事業者に小口で販売する事業を行っておりますが、これらの国際通信回線事業者が小口販売を開始する等、事業方針等を変更した場合には、当社の販売先であるフィリピンのCATV事業者がこれらの国際通信回線事業者から国際通信回線の使用権を直接購入することにより、当社の事業モデルに影響を及ぼし、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
E 特定の顧客及び委託先への依存について
当社グループの海外通信事業における販売先は主にインターネットサービスプロバイダー事業を営むフィリピンのCATV事業者になりますが、その中でも、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の状況 d.販売実績」に記載のとおり、Sky Cable Corporationへの依存度が高くなっております(当連結会計年度の売上高に占める割合が15.7%)。同社に対しては、IRUやリースにて国際通信回線を提供しております。今後、同社の事業方針の変更や競合他社の競争力の上昇等、何らかの事情により同社との取引が大幅に減少、停止または終了するような事象が生じた場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。また、小口化した国際通信回線のIRUまたは賃借権をフィリピン国内で販売することについては、フィリピン国内の事業者に営業活動の一部を委託しております。特にAmerille Management Consultancy社を通じた2018年3月期の売上は約1,017百万円で[海外通信事業]の売上の約64%となっております。現在、同社との関係は良好でありますが、仮に同社との関係が悪化し、同社を介した売上がなくなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
② InfiniVAN, Inc.による通信事業について
A フィリピンにおける規制等について
当社は、当社グループによるフィリピン国内の通信回線の提供を目的として、当社子会社であるInfiniVAN, Inc.を設立しております。2016年6月に同社に通信事業を行う権利(Franchise)を付与する法律(R.A10898、共和国法10898号)(以下「R.A 10898」といいます。)が制定され、同社は、2017年7月にフィリピン国内に自ら通信回線を敷設することなく通信事業を行う為に必要となるValue Add Service Provider (付加価値サービス。以下「VAS」といいます。)の登録を行ったほか、2017年11月にNational Telecommunication Committee(国家通信委員会)から、フィリピン国内に通信回線を敷設して通信事業を行う為に必要な、Certificate of Public Convenience and Necessity(通信事業者適格。以下「CPCN」といいます。)のProvisional Authority(仮免許。以下「PA」といいます。)を取得いたしました(Case Number2016-227)。PAを同社に付与する命令書(Order)では、PAの有効期間は2017年11月10日から18か月間とされ、InfiniVAN, Inc.はPAの取得後1年以内に約305百万ペソ以上の増資を行うこと等の義務を負い、増資義務に違反した場合には、PAの更新及び期間延長ができない旨が条件として規定されております。また、InfiniVAN, Inc.に通信事業の権利を付与するR.A10898では、事業開始後5年内に同社株式を30%以上売り出して、フィリピン株式市場に上場させることが規定され、当該期限内に株式の上場ができない場合、通信事業を行う権利が無効になる旨規定されております。さらに、InfiniVAN, Inc.が当該法令に違反する行為を行った場合、行政機関からVASの登録やCPCNを取り消されたり、当社グループの取引先から契約を解除される可能性があります。上記のような事態が発生した場合、当社グループが想定している当社グループの海外通信事業の展開に支障が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
B フィリピンにおける外国資本の出資規制について
フィリピンでは、電気通信事業等の公益事業について、同国の憲法により外国資本が出資できる上限が40%と定められています。そして憲法の規定を受けて外国資本の投資にその規定の細則を定めるForeign Investments Act(以下「外国投資法」といいます。)と外国資本が自己の出資比率以上に会社を支配し、経済的利益を得ることを規制するAnti Dummy Law(以下「アンチダミー法」といいます。)が制定されております。上記法令に基づく外国資本の投資制限を以下「外資規制」と総称します。
そのためフィリピンにおける公益事業については、外国資本が、経営権を維持し、事業の拡大を図ることは、外国資本単独では実現できず、現地資本との協調が不可欠となります。
具体的には、フィリピン事業会社の株式を、外国資本と信頼関係が構築されたフィリピン法人またはフィリピン人のパートナーで過半数を確保し、取締役に外国資本を代表する者と外国資本と信頼関係が構築されたフィリピン資本を代表する者が就任し、同社の取締役会の過半数を確保することが考えられます。
通信事業者適格(CPCN)を取得したInfiniVAN, Inc.は、かかる外資規制の対象となっております。当社のInfiniVAN, Incの株式の直接持分は40%、残りの60%は当社子会社のCorporateONE Inc.が保有しております。CorporateONE Inc.の株式は、当社子会社のKEYSQUARE, INC.がその発行済み株式の40%を保有し、残りの発行済み株式の60%はフィリピンにおいて当社と長期の信頼関係のあるフィリピン国籍を有する個人が保有しております。(株式保有割合の端数は切り上げております。)またCorporateONE Inc.の定款には、フィリピン会社法第98条に基づく株式の譲渡制限規定が設けられており、既存の株主以外の方への譲渡は原則できません。
この構成はフィリピン法の専門家の助言を受けたものであり、上記外資規制等の法令に適合したものであり、適法であると判断しております。
さらに両社の取締役は、当社グループの出資比率を超えない範囲で推薦する取締役のほかに、長期にわたり当社との間に、信頼関係が構築されているフィリピン国籍を有する個人に両社の取締役に就任いただき、合わせて取締役会(各定員5名)の過半数(各3名)を占め、経営権を維持するようにしております。
上述のように、InfiniVAN, Inc.には、国家通信委員会により、増資義務が課され、またR.A10898により同社の株式公開も義務付けられており、これら資本政策の実施により、同社の株主構成が変わる可能性がありますが、当社と友好的な関係を保つことが見込まれる株主への割当や現地側出資者間での合意を通じて経営権の維持を図るようにいたします。
もっとも当社とCorporateONE Inc. のフィリピン資本の株主間での信頼関係が失われるなどして、フィリピン資本の株主が、当社の意向に反するInfiniVAN, Inc.の取締役の選任を行ったときは、当社と協調しない可能性の高い取締役が過半数を占める形だけでなく、当社を代表する取締役の選出すらできないおそれがあります。それにより経営権を失い、当社の意図する事業計画を実行できなくなるおそれがあります。
さらにCorporateONE Inc.の経営権が失われることで、CorporateONE Inc.が競合他社に、InfiniVAN, Inc.の株式の過半数を売却するような事態に陥ったときは、当社海外通信事業のフィリピン国内区間の提供が困難になり、当社の国際通信回線事業のうち、InfiniVAN, Inc.の回線を利用しているものについては、お客様との契約期間満了後の継続提供ができなくなるおそれがあるとともに、新規の提供は難しくなる可能性があります。当社が提供する海外通信回線サービスの事業の継続のため、フィリピン国内通信事業者との提携は不可欠であり、代替する事業者との提携がうまくいかなかったときは、InfiniVAN, Inc.事業だけでなく、当社の国際通信回線事業について事業計画の見直しの変更が必要になるおそれがあります。
また今回の当社の増資により調達した資金は、InfiniVAN, Inc.の通信設備に全額投資されますが、InfiniVAN, Inc.の事業が閉鎖・売却等されるような事態が起こった場合には、InfiniVAN, Inc.の資産が不当に流出し、貸付・出資金の回収ができなくなるおそれがあります。
他にも、当社とInfiniVAN, Inc.、CorporateONE Inc.との関係に変化が生じ、企業連結などに影響を及ぼすおそれがあります。これらの事態は、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
加えて外資の出資を通じた現地企業の支配の規制のほか、外資の出資を通じた経済的利益の享受についても、過去の行政機関の意見書や判決で、規制された例が示されております。当社グループはこうした法制度を遵守して、グループ会社間の取引を行っておりますが、法令や諸制度の変更または解釈の変更により、当社グループ間の取引がフィリピンの法令の規制の対象となるとの判断がなされた場合には、当社グループの事業や財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また外資規制に関する公権的判断が、裁判所の判決だけでなく、法務省、証券取引委員会による意見書によってもなされている上、判例や意見の変更もしばしば行われていることから、外資規制については、予見可能性が相対的に低いという問題があります。多くの東南アジア諸国が通信事業に対し、既に外資規制を緩和し、フィリピンでの外資規制に関する条項を含めた憲法改正の準備も進んでいることから、法解釈の変更などが容易に起こりうる環境にあると考えております。従って法解釈の変更があり、当社グループの資本構成や事業活動が法令に適合していないという判断がなされた場合には、当社グループの事業や財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
さらに上記の通り、憲法改正手続が順調に進み、外資が過半数を取る形での通信事業を営むことができるようになった場合、競争が激化し、当社グループの事業や財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
C フィリピン国内通信回線整備について
当社グループは、当社子会社であるInfiniVAN, Inc.が2017年11月にフィリピン当局(国家通信委員会)から通信事業者適格(CPCN)のPAを取得いたしましたので、マニラ首都圏地域内で通信回線敷設を行う予定であります。マニラ首都圏地域内に通信回線を敷設するためには、Local Government Unit(LGU 地方自治体)、Department of Public Works and Highways(DPWH 公共事業及び高速道路省)の許可も必要となります。しかしながら、通信回線の敷設工事に必要なこれらの許認可、住民の同意が想定通りに整わなかったときは、事業の進捗に遅れが生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
③ その他全般に関わること
A フィリピン-香港間海底ケーブルについて
当社グループでは、フィリピン-香港間に海底ケーブルを取得し、フィリピン国内での通信回線の拡販や、InfiniVAN, Inc.が整備するマニラ市内回線と接続させることで事業の拡充を進める構想があります。海底ケーブルの取得方法は当社で敷設、若しくは既存の海底ケーブルの取得を想定しております。海底ケーブルを敷設する場合には、ケーブルの敷設海域となる南シナ海周辺海域には領有権が争われている地域が含まれているほか、現在いくつかの香港発着の海底ケーブルについて香港側の陸揚げの許可取得に時間がかかっているとの情報があります。また、既存海底ケーブルの取得には当社の計画通りに取得ができない可能性があります。このように、当社グループが構想する海底ケーブルの取得には、多数の解決すべき課題があり、引き続き調査を進めております。
本書提出日現在においては、具体的な海底ケーブルの取得方法、取得時期や海底ケーブルの能力、投資額、資金調達方法、投資回収方法等、本構想を具体化させるにあたって決定された事項はありません。ただし、本構想を具体化させるに当たっては多額の資金を要することが想定され、当社の財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
B 減損損失について
当社は、国際通信回線の取得価額を無形固定資産である通信回線使用権として計上しておりますが、フィリピンのCATV事業者等に提供できない期間が長引き、将来キャッシュ・フローを創出しないと判断された場合には、会計上当該通信回線使用権について減損損失を計上することになります。現状において、保有する通信回線使用権の減損処理を必要とする事象は生じていませんが、顧客への提供が順調に進まなかった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
C 技術革新への対応について
データ通信業界では、伝送技術の進化により、通信速度の高速化が進み、1Mbps(メガビット)あたりの料金は年々下落する傾向にあります。他方、当社は、海外通信事業において、国際通信回線を長期契約で調達していることから、当該調達に係る費用を上回るIRU料金・リース料で新規に契約する顧客がいなくなる可能性、さらには、当社が調達している国際通信回線が陳腐化しニーズがなくなる可能性があり、その場合、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
D 自然災害等の予測困難な事情について
当社が海外通信事業において展開する国際間通信回線使用権の販売においては、海底ケーブルが重要な構成要素となっております。万が一、地震や事故等で海底ケーブルが切断された場合、当社のネットワークは迂回路を構築しておりませんので、再度接合されるまでは、サービスの提供に支障をきたす可能性があります。当社では、そのような場合に当社の顧客に対する責任額を一定限度に制限する旨の契約を締結し、損失額を限定しておりますが、一定金額の費用負担が発生する可能性があります。また、復旧に相当時間を要した場合、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。また、通信サービスを復旧させるために追加の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
(3) 国内通信事業に関わるリスク
当社では、主に、秒課金サービス等の音声通信サービス、及びコールセンターシステムを提供しております。当社の国内通信事業による売上高は、当連結会計年度の売上高の51.4%を占めておりますが、以下のようなリスクがあります。① 日本における規制等について
当社は、国内通信事業について電気通信事業法及び有線電気通信法等の関連法令・業界慣行による規制の適用を受けており、当社は総務大臣より電気通信事業者として登録され(電気通信事業登録 第204号、登録の有効期限なし)、これらの関連法令の遵守をしております。名称 | 所轄官庁 | 登録の 有効期限 | 関連法令 | 取消事由 |
電話通信事業者登録 第204号 | 総務省 | なし | 電気通信事業者法 第14号 | この法律またはこの法律に基づく命令若しくは処分に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるとき等(電気通信事業法第14条) |
当社が、当該法令に違反する行為があり、総務大臣が公共の利益を阻害すると認めた場合等には、当社は総務大臣から登録を取り消され(電気通信事業法第14条)ます。また当該法令に基づき罰金等の処分を受けたり、または当社の取引先から契約を解除される可能性があります。本書提出時点において、こうした取り消し事由に該当する事項は生じておりませんが、かかる事態が発生した場合には、当社グループの信頼性が低下したり、事業展開に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、これらの法令の変更やその解釈変更、新たな法令の施行、国内の情報通信政策等の変更・決定、これらに伴う規制の見直し・整備、業界慣行の変更が行われた場合、当社の事業展開や当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
② 技術の進展等について
当社が展開する国内通信事業においては、技術革新のスピードが速く、新技術によるサービスの導入により、音声通信需要は減少傾向にあります(2010年-28年 総務省・経済産業省「情報通信基本調査」)。現状において、音声通信による売上比率が当連結会計年度の国内通信事業の売上の約9割を占めており、当社は、コールセンターシステムやデータセンターでのコロケーションサービス等の音声通信に依存しない事業構造へ切り替えを進めておりますが、今後想定を上回る速度での技術革新が起こったり、新技術が出現したり、事業構造の切り替えが想定通りに進まない場合には当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。③ 他社経営資源への依存について
当社は、国内通信事業に係る通信サービスの提供に必要な通信ネットワークを構築する上で、他の事業者が保有する通信回線設備等を一部利用しています。今後何らかの事情により、当該設備等を継続して利用することができなくなった場合、または当該設備に係る接続料(他の通信事業者に支払う必要のあるネットワークの利用料になります。)等が引き上げられた場合、当社の事業展開や当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。また、この接続料の算定にあたっては、年度開始時の4月には単価を定めず、翌年の2月頃に利用実績を見て決定し、年度開始時の4月に遡って適用するというルールを取っている事業者もあります。そのため精算が行われる第4四半期の収支や損益が他の月に比べて大きく振れる可能性があります。
④ 環境の変化について
当社では、MVNO事業者(Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者))に対して、MVNO事業者が契約者向け料金を独自に決定できる電話のサービスを卸しております。この通話サービスは、業界の慣行により、MVNO事業者は、エンドユーザー向け料金を自由に定めることはできませんが、国際電話事業者・着信課金事業者が優先的に料金を決めることができるという業界慣行があるので、当社がそうした事業者としてMVNO事業者に対して通話サービスを提供しております。しかしながらこうした慣行が変わり、MVNO事業者がエンドユーザー向け料金を定めることができるようになったときは、かかるニーズが失われる可能性があります。またMVNOの契約数は増えているものの、大手携帯電話事業者のサブブランドの拡大、主要MVNO事業者の経営破綻、大手携帯電話事業者の傘下入りなど、MVNO業界では厳しい経営環境が続いております。その結果、当社の取引先のMVNO事業者の経営体制や経営方針に変化があった場合、当社の財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑤ 特定の仕入先への依存について
当社の国内通信事業におけるサービスの一つであるコールセンターシステム「AmeyoJ」は、Drishti-Soft Solutions Pvt. Ltd.が開発し、当社は同社より日本国内での販売代理権を付与され又ライセンスを仕入れております。同社との契約は、更新の規定はなく、また当事者の3か月前の通知により、いつでも解約ができる規定となっております。同社との契約が解約され、または更新されない場合や、同社に不測の事態があった場合、代替の仕入先は存在せず、当社は当該サービスを提供できなくなることにより、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑥ 個人情報及び情報セキュリティについて
当社グループは、国内通信事業の遂行にあたり、顧客の企業情報や顧客が保有する個人情報等、様々な機密情報に接する機会があります。通信事業者として通信の秘密の保護を遵守するとともに、それらの情報管理やセキュリティ管理に対しては個人情報保護規程や情報管理・秘密保持規程を整備するとともに、利用権限の確認の強化、アクセスログの保存など外部ネットワークからの不正侵入の防止への対応策を実施するなど、情報の適正な取り扱いと厳格な管理を行っております。しかしながら、外部の侵入や内部での人為的なミス等により、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社の信用低下や損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。また社会情勢の変化等により、情報の保護、通信の秘密の保護に要するコストが増加したときは、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑦ システムトラブルや人為的なミスによるサービスの中断・品質低下について
当社が提供する国内通信事業に係る通信サービスにおいて、当社及び他の通信事業者の人為的なミスや設備・システム上に障害等が発生した場合、通信回線の遮断等が生じて各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下すること等の重大なトラブルが発生する可能性があります。サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、顧客から損害賠償を請求される可能性、当社の信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑧ サービスの不適切利用について
当社の国内通信事業に係る電話サービスが、振り込め詐欺をはじめとする犯罪行為の道具として利用された場合、当社の信頼性や企業イメージが低下したり、事業展開に影響を与える可能性があります。(4) 在留フィリピン人関連事業に関わるリスク
当社グループの在留フィリピン人関連事業では、在留フィリピン人を主な対象とする人材派遣・人材紹介事業等を行っており、これら事業には、以下のようなリスクがあります。なお、当社グループは、在留フィリピン人等に対する化粧品の通信販売を行っておりましたが、市場環境の変化により2018年3月をもって同事業は終了しております。当該事業の終了による業績への影響は軽微です。
① 日本における規制等について
当社は、人材派遣・人材紹介事業に関し、労働者派遣事業においては、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)に基づき一般労働者派遣事業の許可(般13-301344)を、職業紹介事業においては、職業安定法に基づき有料職業紹介事業の許可(13-ユ-301653)を取得しており、在留フィリピン人の在留資格等については出入国管理及び難民認定法(入管法)による規制を受けております。当社は、これらの関連法令を遵守しておりますが、万が一法令違反に該当するような事態が発生した場合には、当社は行政機関から許可を取り消されたり、罰金等の処分を受けたりすることにより、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
② 人材の確保について
当社グループの人材派遣・人材紹介事業の派遣または紹介予定先は介護・医療の現場であることが多く、高いホスピタリティを持つ在留フィリピン人を中心としたスタッフの確保が必要となります。そのため当社グループでは、より多くの在留フィリピン人等にコンタクトできるように、当社の海外子会社であるKEYSQUARE, Inc.のマニラにあるコールセンターから人材登録の勧誘・仕事の案内等を行っております。そうしたこともあり現時点において当社グループでは、需要に応じたスタッフを確保し、人材派遣・人材紹介事業を遂行できているものと認識しています。当社グループは、引き続き人材の確保に努めていく方針でありますが、今後当社グループが求める人材を適切な契約条件によって確保できなくなった場合、当社グループの人材派遣・人材紹介事業を遂行に支障が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
③ 介護業界の現況について
当社グループの人材派遣・人材紹介事業においては、主に介護・医療の現場に人材を派遣・紹介しており、足元では介護・医療現場においては人員が不足し、本事業の需要も底堅く推移しております。しかしながら人材の派遣・紹介事業は、主に日本の経済情勢の影響を受けるため、景況感や失業率など雇用環境の変化により需要が増減するとともに、海外からの介護分野等への技能実習生の本格的な受け入れなどにより本事業の需要が減退した場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの人材紹介・派遣先は主に介護関連事業者であるところ、介護保険法に基づき、現在3年に1度改定される介護報酬が改定により引き下げられる場合、主な取引先である介護関連事業者の業務縮小・経費削減等による人材紹介・派遣の需要が縮小し、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
④ 個人情報等の流出等について
当社グループでは、人材派遣・人材紹介事業の遂行にあたり、顧客や派遣社員・人材登録者の氏名・住所・電話番号等の個人情報を取り扱っております。当社グループでは、それらの情報管理やセキュリティ管理に対しては個人情報保護規程や情報管理・秘密保持に関する規程を整備し、情報の適正な取り扱いと厳格な管理を行っております。しかしながら、外部からの不正な手段によるサーバー内の侵入等の犯罪や従業員の過誤等により個人情報が漏洩する可能性はあります。そのような場合、当社グループに対する信用低下や損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑤ 情報配信について
当社の在留フィリピン人関連事業では、在留フィリピン人向けに、タガログ語コミュニティ紙を発行するほか、フィリピンの大手地上波放送局と提携して、インターネットを経由してフィリピンのドラマ、ニュース等を配信しております。当社は、情報配信により知的財産権の侵害がないようにするとともに、その内容の適法性・妥当性を検証するようにしておりますが、その情報配信の内容が社会的に批判されるようなもの等であった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。(5) 医療・美容事業に関わるリスク
当社の海外子会社SLACでは、フィリピンでレーシック(近視矯正手術)、美容、矯正歯科等の施術を行う医療・美容事業及び化粧品の販売を行っております。これら事業には、以下のようなリスクがあります。① フィリピンにおける規制等について
当社の海外子会社であるSLACは、I SUPPORT PTE,Ltd.(以下「I SUPPORT」といいます。)との合弁会社であり、フィリピンのマニラ首都圏地域で、2つのクリニックを運営し、レーシック(近視矯正手術)、美容、矯正歯科等の施術を行う医療・美容事業及び化粧品の販売を行っております。フィリピンでは民間企業による医療施設の開設及び運営が認められており、同社はHospital Licensure Act(R.A4226)に基づいて医療施設開設の許可及び運営の免許を取得しております。また、医療機器の使用許可及び化粧品の販売許可は、Food, Drug and Cosmetic Act(R.A3720)により規制されております。当社グループは許可等の取得・更新を行い、法令遵守を徹底しておりますが、法令の改正もしくは新たな法令の施行または法令の解釈の変更により、当社グループの期待通りに医療・美容事業を展開できなくなる可能性があります。なお、フィリピンでは、日本における医療広告のような規制はありませんが、消費者保護を目的とするConsumers Act of the Philippines(R.A7394)により、値引き等の広告をする場合には、所轄官庁(Department of Trade and Industry:取引産業省)の事前の許可が必要です。当社グループは、被施術者獲得に関する法令を遵守しております。
② 他社との競合について
フィリピンでは医療・美容事業に進出する会社が増加してきており、今後品質・価格・サービス競争が激化するものと認識しております。このため、当社グループが品質・価格・サービス競争に適切に対応できず、競合他社が当社グループの施術・サービスと同等またはより優れたものを導入する場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。③ 合弁事業であることのリスク
当社は、医療機器の販売・シンガポールの医療法人「SHINAGAWA EYE Centre」への出資等を行なうシンガポール法人であるI SUPPORTと共同で、当社の海外子会社であるSLACに対して出資を行い(当社の議決権所有割合は50%)、SLACはマニラ首都圏地域でレーシック(近視矯正手術)、美容、矯正歯科等の施術を行う医療・美容事業及び化粧品の販売を行っております。SLACは医療機器の選定や医師の研修等をI SUPPORTに委託しており、I SUPPORTは当社グループの医療・美容事業の運営上重要な役割を果たしております。当社グループとI SUPPORTとは、これまで円満な関係を維持しておりますが、状況の変化により、合弁関係が解消されるに至ったときは、SLACによる医療・美容事業が継続できず、当社グループの事業展開や経営成績等に影響を与える可能性があります。④ 医療行為の安全性について
SLACが行う医療行為のうちレーシック(近視矯正手術)に関しましては、1995年にアメリカの食品医薬品局(FDA)がエキシマレーザーを使用した視力矯正術を認可し、日本でも2000年に厚生労働省が認可されております。安全性については、歴史が比較的浅く、後遺症の有無など長期にわたる安全性は実証されていないという意見もあり、こうした懸念が広がった場合、当社グループの顧客の獲得・維持が困難になり、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、SLACで行う美容整形の施術は、全身麻酔を必要とするような外科的手術は行っておりません。またSLACの共同出資者であるI SUPPORTに対して医師の研修実施を委託することにより、医師が施術前の問診を徹底して行うこと等により医療事故の抑止に努めておりますが、万が一医療事故が発生した場合、当社グループの信用低下や、損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑤ フィリピンにおけるレーシック(近視矯正手術)の業界について
近年は、フィリピン国内においてPCの操作、スマートフォンの操作の機会が増えるなどにより近視になる要因が増えており、それに伴ってレーシック(近視矯正手術)の知名度の向上やレーシックの需要は拡大するものと考えております。しかしながら医療技術の未熟な医師による手術や、衛生管理が不徹底な医院での手術により、眼病の疾患が発生する等、レーシックへの信頼性が損なわれた場合等においては、レーシックに対する需要が減少し、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑥ 拠点展開方針と設備投資方針
当社グループは、医療・美容事業において、今後もフィリピン国内で分院の開設を進めていく予定です。新規分院の開設にあたって開設する地域の市場調査を十分に行った上で開設しますが、顧客や診療件数の増加が想定を下回り、開設からある程度の期間は、損失を計上する可能性があります。また、既存のクリニックにおいても、今後の顧客増加への対応、あるいは医療サービスの品質の向上を図るため、継続的な医療技術の向上、医療機器等の設備投資が必要であると認識しています。設備投資を行ったものの、顧客や診療件数の増加が想定を下回った場合には、稼働率が低下することになり、減価償却費等の費用を超える収益を確保できず、当社グループの事業展開や経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑦ 医療スタッフの確保
当社グループは、専門医をはじめとしたスタッフの確保は、医療・美容事業の拡大にとって重要であるため、優秀なスタッフが就業・定着するように、積極的な採用活動のほかI SUPPORTによる研修等を実施しております。しかしながら、こうしたスタッフの採用ができない、定着しないなど、人材の確保に支障をきたすときは、当社グループの事業展開や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑧ フィリピンにおける製造物責任について
SLACがフィリピンで販売する化粧品は、当社が日本のOEM業者に委託することにより製造し、当社からSLACへ販売し、SLACがフィリピンの消費者に販売しております。フィリピンのConsumer Act(消費者法)上、当該化粧品の欠陥によりフィリピンの消費者に損害が生じる場合、フィリピンの消費者はOEM業者だけでなく直接の販売者であるSLACに対しても製造物責任を問うことができます。SLACが損害賠償を行った場合、最終的な責任主体であるOEM業者に対して求償することができますが、OEM業者が当該求償に応じない場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。またSLACがフィリピンで販売する化粧品に欠陥が生じる場合、当社グループの信頼性が低下し、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑨ 個人情報等の流出等について
当社グループでは、医療・美容事業の遂行に当たり、顧客の氏名・住所・電話番号等の個人情報を取り扱っております。当社グループでは、それらの情報管理やセキュリティ管理に対しては個人情報保護規程や情報管理・秘密保持に関する規程を整備し、情報の適正な取り扱いと厳格な管理を行っております。しかしながら、外部からの不正な手段によるサーバー内の侵入等の犯罪や従業員の過誤等により個人情報が漏洩する可能性はあります。そのような場合、当社グループに対する信用低下や損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。(6) 組織体制に関わるリスク
① 特定の人物への依存について
当社の創業者であり、代表取締役の宮下幸治は、当社グループの経営方針や経営戦略の策定、当社事業の推進に重要な役割を果たしております。当社グループでは、同氏に過度に依存しないように経営体制を整備し、権限の委譲と人材の育成・強化を通じてリスクの軽減を図っておりますが、何らかの理由により同氏に不測の事態が生じた場合、当社グループの事業展開や経営成績等に影響を与える可能性があります。② 人材の確保と育成について
当社グループは、経営理念の実現に向けて高い能力と志をもった人材を集めることに注力してまいりましたが、中核となる社員が予期せぬ退社をした場合には、当社グループの事業展開及び経営成績等業績に重大な影響を与える可能性があります。このような事態を防ぐために、今後も事業拡大に伴い、積極的に優秀な人材を採用・教育し、また、魅力的な職場環境を整備していく方針ですが、そうした人材を獲得できないときは、当社グループの事業展開や経営成績等に影響を与える可能性があります。③ 小規模組織における管理体制について
当社は、2018年5月31日現在、取締役6名(内2名が社外取締役)、監査役3名(内2名が社外監査役)、従業員47名と小規模組織にて運営しており、また海外子会社を含めた連結ベースでは従業員289名となりますが、グループ全体の管理も当社が行っております。内部管理体制もこの規模に応じたものになっております。当社では、今後、事業の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充を図る予定です。しかしながら、事業の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、当社グループの事業展開や経営成績等に影響を与える可能性があります。(7) その他
① 為替相場の変動について
当社グループは日本国内のほかフィリピン及びその他の国や地域において通信サービスの仕入及び販売を行っております。通信サービスの仕入及び販売に関する契約締結時と決済時の為替変動や、IRU取引に関連するリース投資資産(2018年3月末残高:607百万円)についての為替変動に伴う評価替えの結果、生じる為替差損益が当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。また、連結財務諸表を作成するにあたっては外貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。② 潜在株式について
当社は、役職員の会社業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、新株予約権を利用したストック・オプション制度を導入しております。ストック・オプションが行使された場合は、新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在、これらのストック・オプションによる潜在株式数は200,000株であり、公募増資後の発行済株式総数2,318,000株の8.6%に相当しております。
③ 配当政策について
当社は現在成長過程にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施しておりません。しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への利益配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。④ 自然災害等の大規模災害による被害について
台風、地震、津波等の自然災害や火災等の事故及び情報システムの停止等により、当社グループの事業活動が停滞または停止するような被害を受けた場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑤ 知的財産権について
当社グループが意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合、権利侵害の差し止めや損害賠償、商業的に妥当ではないライセンス使用料の請求を受ける可能性があります。その結果、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。⑥ 訴訟について
当社は、当社が提供していた電話番号がいわゆる劇場型勧誘を用いた特殊詐欺であるカンボジア不動産投資詐欺に使用されたとして、かかる詐欺の被害者より、不法行為に基づく損害賠償を請求されており、現在東京地方裁判所に訴訟が係属しております(総計134百万円)。訴訟の結果如何では当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。これ以外にさらに今後、新たに法的な紛争が発生しそれに対する訴訟等が提起された場合、その内容及び結果によっては、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑦ 有利子負債依存度、支払利息の増加
当社グループは、設備投資等のための資金調達を主に金融機関からの借入金に依存しており、2018年3月末現在における連結総資産に占める有利子負債依存度は30.5%であります。今後、当社はフィリピンでの海外通信事業を展開するために当社子会社であるInfiniVAN, Inc.が設備投資を行う予定ですので、さらに有利子負債の依存度は高まる可能性があります。そのため、借入金の増加による財務体質の悪化や、借入金利の上昇により支払利息が増加した場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。- 有価証券報告書 抜粋メニュー
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E33623] S100DJGY)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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