有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LNW4 (EDINETへの外部リンク)
株式会社フォーラムエンジニアリング 事業の内容 (2021年3月期)
当社は、1981年4月に主としてエンジニア派遣サービスを行う企業として設立されました。
エンジニア派遣サービスは、従来からの当社の主業であり、2021年3月期売上高の99.6%を占めるサービスです。当社は、このエンジニア派遣サービスにおいて、2021年3月31日時点で1,227事業所に正社員として雇用しているエンジニア(以下、「技術社員」という。)を3,616名派遣しております。また、当社はその他にエンジニア紹介等のサービスを提供しております。これらのサービスは、エンジニアがその生涯をとおして、希望の仕事に就き、その能力を最大限に発揮できるための支援をすることを目的としております。なお、当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1)エンジニア派遣
当社エンジニア派遣サービスの主なターゲットである顧客企業及びその事業所は、機械・電気系(以下、「機電系」という。)主要8業種(自動車、輸送用機械、産業用機械、精密機器、電気機器、家電、電子部品、情報通信)に属する企業の当社営業エリア内の従業員数100名以上の約3,200事業所とそれに属する部署です。特定の企業・案件に依存せずに多くの取引先から受注を獲得しているため、売上基盤の裾野が広く安定しております。
当社は、これらの顧客企業における設計・開発、実験・評価、生産技術、品質保証等の各職種に技術社員を派遣しております。当社は、派遣エンジニアを原則正社員として雇用し、通勤可能範囲内の就業先を選定することで、安定した就業環境を提供しております。また、ITエンジニアも技術社員として雇用しており、ソフトウエアの開発、IT機器や通信回線の監視等の業務に派遣しております。
当社のエンジニア派遣サービスの特徴として、以下の3点があげられます。
①部署単位での顧客企業管理
当社の顧客企業は複数県にまたがって事業所を設置していることが多く、派遣契約に関する決裁権限も各事業所に付与されているケースが一般的です。この点を踏まえて、当社による顧客企業管理も企業単位ではなく事業所単位としております。さらに当社は、顧客企業の各事業所に属する部署まで把握してその業務内容や必要とされるスキルなどの理解に努めております。このような部署単位での業務内容・人材ニーズ把握努力が、後述のエンジニア人材の人工知能(以下、「AI」という。)によるダイレクトマッチングプラットフォーム「cognavi」(以下、「コグナビ」という。)開発のベースとなっております。
②「コグナビ」によるスキルベースマッチング
当社は、「コグナビ」で使用する、顧客企業における各部署の業務に必要なスキルをツリー形状に登録した「テクニカルツリー」と、エンジニア人材が保有するスキルや経験をツリー形状に登録した「スキルツリー」をエンジニア派遣におけるマッチングにも利用しております。
当社は、顧客からの求人案件に対し、業務に必要なスキルの「テクニカルツリー」と当社技術社員の「スキルツリー」をマッチングさせ、必要なスキルのどこがマッチングしているかを可視化することで、マッチングの客観的な根拠も提示することが可能となり、顧客企業から見ても求職人材から見てもマッチングの根拠が明確な仕組みを提供しております。
③独自のルートによる人材採用
当社は、求人・求職情報サイトに広告を掲載して応募者を募る一般的な手法に加え、下記3つのエンジニア人材採用ルートを構築しております。採用に当たっては、地域性を重視し、応募者の書類選考から採用に至るまで全てのプロセスを各営業拠点で行っております。通勤可能範囲や地域特性を考慮し、地元での就業を希望するエンジニア人材の意向に沿った就業機会の場を数多く、迅速に提案できるような体制をとっております。
a.Webサイト「コグナビ 派遣」(旧エンジニアピット)
当社は自社専用人材採用サイトである「コグナビ 派遣」(旧エンジニアピット、2019年9月改称)を運用しております。2021年3月末時点で100,755名の登録会員がおります。「コグナビ 派遣」には当社顧客企業の派遣求人案件情報を掲載しており、さらに各会員に対して当該会員が居住するエリアの派遣求人案件情報を定期的にメール配信することで応募を促しております。
b.過去の就業辞退者
当社派遣求人案件に応募されたものの選考過程で辞退された人材(2021年3月末時点で29,304名)に対して、当該人材が居住するエリアの派遣求人案件情報を定期的にメール配信することで再応募を促進しております。
c.理工系大学からの紹介
当社は、理工系学生が将来エンジニアを目指すきっかけづくりとして、全国の大学でエンジニア経験者による「エンジニア職セミナー」を無料で開催しております。この取り組みは、理工系学部の教授からも高く評価され、2021年3月期には理工系のある大学の過半数で同セミナーを実施いたしました。
当社は、通常の新卒採用に加え、このようにエンジニア職セミナーをとおして当社の取り組みを評価していただいた先生方から当社を推薦いただき、理工系学生を当社エンジニアとして採用しております。
(2)エンジニア紹介及びその他
当社は、設立以来エンジニア派遣サービスを主業としてきましたが、以下の3点に配慮し、市場動向を先取りした新しいビジネスモデルを追求しております。
・当社の顧客企業・エンジニア人材について、明確な選択と集中を行う
・人材派遣ビジネスで一般的な「求人企業の需要」に対する営業活動ではなく、「求職人材」を起点とした営業活動を推進する
・人手によるマッチング手法などの労働集約的な業務のあり方からの脱却を目指して、業務プロセスの効率化を追求する
情報通信テクノロジー(以下、「ICT」という。)の進歩を活用し、これらの特徴を具現化したものが、エンジニア人材のAIダイレクトマッチングプラットフォーム「コグナビ」です。
「コグナビ」の主な特徴は以下のとおりです。
①エンジニア人材のスキルをツリーで体系化
「コグナビ」では、AIを活用し、エンジニア人材のスキル、顧客企業の各部署における業務内容の双方を、わかりやすく可視化して把握するために、「技術・ツール」「製品・部品」「職種・工程」「学問」の4分野から構成された技術要素に係る用語を、ツリー形状で体系的に整理しております。「製品・部品」を例にとると、「自動車関連」⇒「自動車」⇒「ボディ」⇒「内装部品」⇒「エアバッグシステム」のように、ツリーの階層が深くなるほど細分化されます。選択肢となる技術用語は、2021年3月末時点で約135,000語が登録されております。
②「スキルツリー」と「テクニカルツリー」
エンジニア人材が保有するスキルや経験を、ツリー形状で登録したものを「スキルツリー」と称しております。登録したスキルにはそれぞれ5段階の習熟度を設定することで、保有スキルの幅と深さを体系化、可視化して表現しております。ツリーを構成する技術用語は、それぞれ「関係線」で結ばれております。ひとつの技術用語を選択すると、その関係線から導かれる他の技術用語も呼び出されてきます。「このスキルを持っていれば、この製品も扱えるのでは」といった、潜在的なスキルを掘り起こすことで、業界や職種の枠にとらわれない、新たな可能性への広がりを見出すことが可能です。
一方、顧客企業における各部署の業務内容や必要とするスキルを、ツリー形状で登録したものを「テクニカルツリー」と称しております。「スキルツリー」同様、選択した技術用語に対し、それぞれ5段階の重要度を設定することで、必要とするスキルの幅と深さを体系化、可視化しております。なお、エンジニア人材が選択するツリーの項目と、顧客企業が選択するツリーの項目は、同一のものとなっております。
③ツリーの技術用語を結ぶ「関係線」
ツリーの技術用語は分野ごとに繋がり、体系化されておりますが、各技術用語はそれぞれの分野を超えて学問的、技術的に関連しあっております。当社では、これらの関連性を「関係線」で繋ぐことによって、エンジニア人材が気づかなかった職種や製品分野で活躍する可能性を提案できるようになりました。また、顧客企業においても、他業種で活躍したエンジニア人材の採用や、ジョブローテーションのための自社エンジニアの異動部署選定などに活用できる仕組みを提供しております。2021年3月末時点で、約88,000本の関係線が登録されております。
ツリーの技術用語間を結ぶ関係線イメージ図
④「マッチングスコア」と「マッチングツリー」
顧客企業における各部署の「テクニカルツリー」と、エンジニア人材の「スキルツリー」を重ね合わせるようにマッチングし、その結果をAIで分析し、数値化した結果(「100」を完全マッチングとした場合の比率)を「マッチングスコア」と称しております。「マッチングスコア」は、顧客企業の「テクニカルツリー」とエンジニア人材の「スキルツリー」が多くマッチするほど高くなります。
スキルのマッチングに際し、両者のツリーを重ね合わせた結果、一致するツリーのみをハイライト表示したものを「マッチングツリー」と称しております。「マッチングスコア」での判断に加え、「マッチングツリー」では具体的にどの技術要素がマッチしているかを視覚的に判りやすく把握できるため、顧客企業の各部署が重要視するスキルをエンジニア人材がどの程度保有しているかなど、より双方のニーズに合致した、客観的な意思決定を可能としております。
テクニカルツリー・スキルツリー・マッチングツリー(例)
⑤「マッチングマップ」
上記の「マッチングスコア」は、「マッチングマップ」と称する地図上に表示されます。顧客企業側の画面には事業所を中心として、通勤圏内に居住するエンジニア人材との「マッチングスコア」が表示されます。通勤可能範囲内にどのようなスキルを保有するエンジニア人材がいるのかを地図上で確認できます。一方、エンジニア人材側の画面には自宅を中心として、通勤圏内にある製造業企業における各部署との「マッチングスコア」が表示されます。通勤可能範囲内にどのような企業の求人があるのかを同様に地図上で確認し、応募することが可能です。
顧客企業側のマッチングマップ(例) エンジニア人材側のマッチングマップ(例)
⑥ダイレクトマッチング支援機能
顧客企業の担当者は、上記の「マッチングマップ」上の転職・就職希望者を確認したうえで、着目したエンジニア人材に対して応募を促すためのオファーメールを送信することが可能です。また、エンジニア人材は、「マッチングマップ」上の興味のある企業に対して、採用を働きかけるアピールメールを送信することが可能です。
応募やオファーメール、アピールメール送信後における、エンジニア人材と顧客企業担当者とのやりとりは、「コグナビ」上にてチャット形式で行います。書類選考から面接の設定、面接結果の連絡まで、全て「コグナビ」上で完結させることが可能です。
当社は、上記の「コグナビ」の6つの特徴を活かした人材サービスとHRマネジメントサービスを提供しております。「コグナビ」プラットフォームをベースとして、エンジニア人材市場における全ての人材流動パターンを捕捉するため、以下の5つの「コグナビ」サービスをラインアップしております。これにより、当社は人材派遣市場の動向に影響されにくいビジネスモデルを構築することを目指しております。
(人材サービス)
a.コグナビ 派遣(エンジニア派遣サービス)
b.コグナビ 転職(機電系エンジニア人材紹介サービス)・コグナビ 転職IT(ITエンジニア人材紹介サービス)
c.コグナビ 新卒(新卒理工系学生就職紹介サービス)
(HRマネジメントサービス)
d.コグナビ タレントマネジメント(企業内エンジニア配置最適化サービス)
e.コグナビ カレッジ(企業内エンジニア向け研修仲介サービス)
これら「コグナビ」各サービスの概要は以下のとおりです。
a.コグナビ 派遣
上記(1)に記載のとおりです。
b.コグナビ 転職・コグナビ 転職IT
顧客企業と機電系エンジニア人材の転職希望者を「コグナビ」の根幹となるツリーと「マッチングマップ」によって結びつける求人・求職サイト「コグナビ 転職」を2018年7月に立ち上げました。このサイトは「エンジニアの転職はAIの時代へ。」をコンセプトとし、「コグナビ」の仕組みを活用して求人企業と求職人材をダイレクトマッチングする機能を有しております。
ターゲットとなる顧客企業と機電系エンジニア人材は「コグナビ 派遣」と共通であり、2021年3月末時点で、15,955名の登録会員を有し、1,373事業所の顧客にサービスを提供しております。
また、2020年7月から、ITエンジニアに特化した求人・休職サイト「コグナビ 転職IT」を立ち上げ、需要の高いITエンジニアの転職においても、「コグナビ」のツリーによるスキルマッチングの仕組みを提供しております。
c.コグナビ 新卒
「コグナビ 転職」における、ツリーと「マッチングマップ」を核としたマッチングの仕組みを、顧客企業と新卒理工系大学・大学院学生の就職希望者とのマッチングに応用する形で、求人・求職サイト「コグナビ 新卒」を2019年7月に立ち上げました。このサイトは「好きな科目が仕事につながる」をサイトコンセプトとし、「学生が自分にどんな仕事が合っているかよくわからないため、知名度のある企業に応募が集中してしまう」という従来型就職活動の課題を解決し、自分の学んだ科目を生かして就職先企業を見つけることができるサービスと考えております。求人企業にとっても、大学名や成績で判断するのではなく、各部署に応じた業務に必要な知識を備えた学生の採用につながるものと考えております。
基本的な仕組みは「コグナビ 転職」と同じですが、「コグナビ 転職」における「スキルツリー」の代わりに、就職を希望する学生が大学で学んできた「履修科目」と「実験実習」に関する「履修ツリー」を作成して利用します。また、「コグナビ 転職」における5段階のスキル「習熟度」の代わりに3段階の実験実習「習得度」を設定し、さらに好きな履修科目に対して「好きな科目」マークを付すことができる仕組みになっております。
また、「コグナビ 新卒」は、文系・理工系双方の学生を対象としている既存の総合型求人・求職情報サイトと異なり、理工系学生が就職後の環境がイメージしやすい独自コンテンツを掲載しております。企業単位ではなく事業所単位でコンテンツを準備し、それぞれの事業所でどのような製品を扱い、どのような部門があるのかを紹介しております。また、実際のオフィスや実験設備、就業している若手エンジニアへのインタビュー等を、写真や動画、360度パノラマ動画にて掲載しております。
これらの企業紹介コンテンツは、当該企業が「コグナビ 新卒」の管理画面上で作成及び更新できるようになっております。この機能により、掲載企業は常に最新の情報を維持することができ、当社は掲載コンテンツの作成及び更新に関する工数負担を削減することが可能と考えております。なお更新にあたっては、当社管理担当者による内容確認を経て公開される流れとなっております。
なお、「コグナビ 新卒」のターゲットとなる顧客企業は、「コグナビ 派遣」のターゲットと同様となります。
d.コグナビ タレントマネジメント
「コグナビ タレントマネジメント」は、「コグナビ」の根幹となるツリーを核としたマッチングの仕組みを応用し、「テクニカルツリー」による部署ごとの業務に必要なスキル情報と、「スキルツリー」による在籍エンジニアの保有スキル情報を登録することで、顧客企業における在籍エンジニアの流動化を促進するような人材配置システムを実現できないかという発想から、2019年10月よりサービスを開始しております。
企業内における人材評価や教育、ジョブローテーション、タスクフォース編成(社内のプロジェクトメンバーの選定)など様々な場面において、人事部門や技術部門の管理者による適切な判断、意思決定をサポートすることが可能です。
なお、「コグナビ タレントマネジメント」のターゲットとなる顧客企業は、「コグナビ 派遣」のターゲットと同様となります。
(コグナビ タレントマネジメントのサービスの特徴)
(a) スキル充足率を部署単位でランキング
「テクニカルツリー」による部署ごとの業務に必要なスキル情報と、「スキルツリー」による部署ごとの在籍エンジニアの保有スキル情報を比較することで、各部署のスキル充足率を算出します。ランキング形式で表示されるため、対策すべきスキルの優先順位が分かります。
(b) 過不足を改善するための人材配置提案
各部署の状況をふまえ、スキル充足率を改善するための人材を「コグナビ」によるマッチングを使って抽出します。人事異動にあたっては、その組織に必要なスキルを持った人材を探すことができます。また退職者の補充にあたっては、退職する社員と類似するスキルを持っている人材を探すことができます。
(c) 配置シミュレーション
抽出した人材を配置した場合のシミュレーションを行い、スキル充足率の改善状況を確認することができます。
e.コグナビ カレッジ
「コグナビ タレントマネジメント」によって導出される、顧客企業内の各部署におけるスキル充足率を改善するためには、不足したスキルをカバーするための人材を社内もしくは社外から補充するか、又は在籍している人材に対する教育が必要となります。教育に対するサービスの受け皿として、機電系製造業の自社エンジニア向けスキルアップ研修を自社近隣の大学で実施するために両者の仲介を行うサービスを「コグナビ カレッジ」という名称で2019年2月より提供しております。
これまで企業の研修は、外部研修業者の施設で実施するか、企業内でのOJT、OffJTという形が殆どでしたが、より専門的な知識の習得や、技術革新に伴う企業の業態変換等に対応するにあたっては、選択肢の少なさや講師の不在が課題となっていました。また採用環境が厳しい中、設計部門に理工系以外の学生を採用してから育成するといったニーズも発生しております。
一方、大学にとっては少子化に伴って学生の確保が年々困難となる中、施設や教授の稼働率向上、競合となる近隣大学との差別化、近隣企業との関係強化による就職率の向上等、様々な課題を抱えております。
専門知識を持った大学教授と充実した大学の設備を活用し、企業のニーズに沿った研修を当社がカスタマイズして提供することで、双方の課題を解決すると共に、企業と大学とのコミュニケーションが強化されることで、将来の新卒採用や共同研究の可能性を広げ、地域活性化にも貢献し得るサービスです。
2021年3月末時点で、7大学と基本契約を締結し、14社との講義実績があります。
以上のほか、当社から派遣されているエンジニアを顧客が直接雇用したい場合に、本人の希望を確認のうえ、一定の手数料を受け取り、雇用関係を変更する場合があり、これを「転籍」としております。
以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
[事業系統図]
エンジニア派遣サービスは、従来からの当社の主業であり、2021年3月期売上高の99.6%を占めるサービスです。当社は、このエンジニア派遣サービスにおいて、2021年3月31日時点で1,227事業所に正社員として雇用しているエンジニア(以下、「技術社員」という。)を3,616名派遣しております。また、当社はその他にエンジニア紹介等のサービスを提供しております。これらのサービスは、エンジニアがその生涯をとおして、希望の仕事に就き、その能力を最大限に発揮できるための支援をすることを目的としております。なお、当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1)エンジニア派遣
当社エンジニア派遣サービスの主なターゲットである顧客企業及びその事業所は、機械・電気系(以下、「機電系」という。)主要8業種(自動車、輸送用機械、産業用機械、精密機器、電気機器、家電、電子部品、情報通信)に属する企業の当社営業エリア内の従業員数100名以上の約3,200事業所とそれに属する部署です。特定の企業・案件に依存せずに多くの取引先から受注を獲得しているため、売上基盤の裾野が広く安定しております。
当社は、これらの顧客企業における設計・開発、実験・評価、生産技術、品質保証等の各職種に技術社員を派遣しております。当社は、派遣エンジニアを原則正社員として雇用し、通勤可能範囲内の就業先を選定することで、安定した就業環境を提供しております。また、ITエンジニアも技術社員として雇用しており、ソフトウエアの開発、IT機器や通信回線の監視等の業務に派遣しております。
当社のエンジニア派遣サービスの特徴として、以下の3点があげられます。
①部署単位での顧客企業管理
当社の顧客企業は複数県にまたがって事業所を設置していることが多く、派遣契約に関する決裁権限も各事業所に付与されているケースが一般的です。この点を踏まえて、当社による顧客企業管理も企業単位ではなく事業所単位としております。さらに当社は、顧客企業の各事業所に属する部署まで把握してその業務内容や必要とされるスキルなどの理解に努めております。このような部署単位での業務内容・人材ニーズ把握努力が、後述のエンジニア人材の人工知能(以下、「AI」という。)によるダイレクトマッチングプラットフォーム「cognavi」(以下、「コグナビ」という。)開発のベースとなっております。
②「コグナビ」によるスキルベースマッチング
当社は、「コグナビ」で使用する、顧客企業における各部署の業務に必要なスキルをツリー形状に登録した「テクニカルツリー」と、エンジニア人材が保有するスキルや経験をツリー形状に登録した「スキルツリー」をエンジニア派遣におけるマッチングにも利用しております。
当社は、顧客からの求人案件に対し、業務に必要なスキルの「テクニカルツリー」と当社技術社員の「スキルツリー」をマッチングさせ、必要なスキルのどこがマッチングしているかを可視化することで、マッチングの客観的な根拠も提示することが可能となり、顧客企業から見ても求職人材から見てもマッチングの根拠が明確な仕組みを提供しております。
③独自のルートによる人材採用
当社は、求人・求職情報サイトに広告を掲載して応募者を募る一般的な手法に加え、下記3つのエンジニア人材採用ルートを構築しております。採用に当たっては、地域性を重視し、応募者の書類選考から採用に至るまで全てのプロセスを各営業拠点で行っております。通勤可能範囲や地域特性を考慮し、地元での就業を希望するエンジニア人材の意向に沿った就業機会の場を数多く、迅速に提案できるような体制をとっております。
a.Webサイト「コグナビ 派遣」(旧エンジニアピット)
当社は自社専用人材採用サイトである「コグナビ 派遣」(旧エンジニアピット、2019年9月改称)を運用しております。2021年3月末時点で100,755名の登録会員がおります。「コグナビ 派遣」には当社顧客企業の派遣求人案件情報を掲載しており、さらに各会員に対して当該会員が居住するエリアの派遣求人案件情報を定期的にメール配信することで応募を促しております。
b.過去の就業辞退者
当社派遣求人案件に応募されたものの選考過程で辞退された人材(2021年3月末時点で29,304名)に対して、当該人材が居住するエリアの派遣求人案件情報を定期的にメール配信することで再応募を促進しております。
c.理工系大学からの紹介
当社は、理工系学生が将来エンジニアを目指すきっかけづくりとして、全国の大学でエンジニア経験者による「エンジニア職セミナー」を無料で開催しております。この取り組みは、理工系学部の教授からも高く評価され、2021年3月期には理工系のある大学の過半数で同セミナーを実施いたしました。
当社は、通常の新卒採用に加え、このようにエンジニア職セミナーをとおして当社の取り組みを評価していただいた先生方から当社を推薦いただき、理工系学生を当社エンジニアとして採用しております。
(2)エンジニア紹介及びその他
当社は、設立以来エンジニア派遣サービスを主業としてきましたが、以下の3点に配慮し、市場動向を先取りした新しいビジネスモデルを追求しております。
・当社の顧客企業・エンジニア人材について、明確な選択と集中を行う
・人材派遣ビジネスで一般的な「求人企業の需要」に対する営業活動ではなく、「求職人材」を起点とした営業活動を推進する
・人手によるマッチング手法などの労働集約的な業務のあり方からの脱却を目指して、業務プロセスの効率化を追求する
情報通信テクノロジー(以下、「ICT」という。)の進歩を活用し、これらの特徴を具現化したものが、エンジニア人材のAIダイレクトマッチングプラットフォーム「コグナビ」です。
「コグナビ」の主な特徴は以下のとおりです。
①エンジニア人材のスキルをツリーで体系化
「コグナビ」では、AIを活用し、エンジニア人材のスキル、顧客企業の各部署における業務内容の双方を、わかりやすく可視化して把握するために、「技術・ツール」「製品・部品」「職種・工程」「学問」の4分野から構成された技術要素に係る用語を、ツリー形状で体系的に整理しております。「製品・部品」を例にとると、「自動車関連」⇒「自動車」⇒「ボディ」⇒「内装部品」⇒「エアバッグシステム」のように、ツリーの階層が深くなるほど細分化されます。選択肢となる技術用語は、2021年3月末時点で約135,000語が登録されております。
②「スキルツリー」と「テクニカルツリー」
エンジニア人材が保有するスキルや経験を、ツリー形状で登録したものを「スキルツリー」と称しております。登録したスキルにはそれぞれ5段階の習熟度を設定することで、保有スキルの幅と深さを体系化、可視化して表現しております。ツリーを構成する技術用語は、それぞれ「関係線」で結ばれております。ひとつの技術用語を選択すると、その関係線から導かれる他の技術用語も呼び出されてきます。「このスキルを持っていれば、この製品も扱えるのでは」といった、潜在的なスキルを掘り起こすことで、業界や職種の枠にとらわれない、新たな可能性への広がりを見出すことが可能です。
一方、顧客企業における各部署の業務内容や必要とするスキルを、ツリー形状で登録したものを「テクニカルツリー」と称しております。「スキルツリー」同様、選択した技術用語に対し、それぞれ5段階の重要度を設定することで、必要とするスキルの幅と深さを体系化、可視化しております。なお、エンジニア人材が選択するツリーの項目と、顧客企業が選択するツリーの項目は、同一のものとなっております。
③ツリーの技術用語を結ぶ「関係線」
ツリーの技術用語は分野ごとに繋がり、体系化されておりますが、各技術用語はそれぞれの分野を超えて学問的、技術的に関連しあっております。当社では、これらの関連性を「関係線」で繋ぐことによって、エンジニア人材が気づかなかった職種や製品分野で活躍する可能性を提案できるようになりました。また、顧客企業においても、他業種で活躍したエンジニア人材の採用や、ジョブローテーションのための自社エンジニアの異動部署選定などに活用できる仕組みを提供しております。2021年3月末時点で、約88,000本の関係線が登録されております。
ツリーの技術用語間を結ぶ関係線イメージ図
④「マッチングスコア」と「マッチングツリー」
顧客企業における各部署の「テクニカルツリー」と、エンジニア人材の「スキルツリー」を重ね合わせるようにマッチングし、その結果をAIで分析し、数値化した結果(「100」を完全マッチングとした場合の比率)を「マッチングスコア」と称しております。「マッチングスコア」は、顧客企業の「テクニカルツリー」とエンジニア人材の「スキルツリー」が多くマッチするほど高くなります。
スキルのマッチングに際し、両者のツリーを重ね合わせた結果、一致するツリーのみをハイライト表示したものを「マッチングツリー」と称しております。「マッチングスコア」での判断に加え、「マッチングツリー」では具体的にどの技術要素がマッチしているかを視覚的に判りやすく把握できるため、顧客企業の各部署が重要視するスキルをエンジニア人材がどの程度保有しているかなど、より双方のニーズに合致した、客観的な意思決定を可能としております。
テクニカルツリー・スキルツリー・マッチングツリー(例)
⑤「マッチングマップ」
上記の「マッチングスコア」は、「マッチングマップ」と称する地図上に表示されます。顧客企業側の画面には事業所を中心として、通勤圏内に居住するエンジニア人材との「マッチングスコア」が表示されます。通勤可能範囲内にどのようなスキルを保有するエンジニア人材がいるのかを地図上で確認できます。一方、エンジニア人材側の画面には自宅を中心として、通勤圏内にある製造業企業における各部署との「マッチングスコア」が表示されます。通勤可能範囲内にどのような企業の求人があるのかを同様に地図上で確認し、応募することが可能です。
顧客企業側のマッチングマップ(例) エンジニア人材側のマッチングマップ(例)
⑥ダイレクトマッチング支援機能
顧客企業の担当者は、上記の「マッチングマップ」上の転職・就職希望者を確認したうえで、着目したエンジニア人材に対して応募を促すためのオファーメールを送信することが可能です。また、エンジニア人材は、「マッチングマップ」上の興味のある企業に対して、採用を働きかけるアピールメールを送信することが可能です。
応募やオファーメール、アピールメール送信後における、エンジニア人材と顧客企業担当者とのやりとりは、「コグナビ」上にてチャット形式で行います。書類選考から面接の設定、面接結果の連絡まで、全て「コグナビ」上で完結させることが可能です。
当社は、上記の「コグナビ」の6つの特徴を活かした人材サービスとHRマネジメントサービスを提供しております。「コグナビ」プラットフォームをベースとして、エンジニア人材市場における全ての人材流動パターンを捕捉するため、以下の5つの「コグナビ」サービスをラインアップしております。これにより、当社は人材派遣市場の動向に影響されにくいビジネスモデルを構築することを目指しております。
(人材サービス)
a.コグナビ 派遣(エンジニア派遣サービス)
b.コグナビ 転職(機電系エンジニア人材紹介サービス)・コグナビ 転職IT(ITエンジニア人材紹介サービス)
c.コグナビ 新卒(新卒理工系学生就職紹介サービス)
(HRマネジメントサービス)
d.コグナビ タレントマネジメント(企業内エンジニア配置最適化サービス)
e.コグナビ カレッジ(企業内エンジニア向け研修仲介サービス)
これら「コグナビ」各サービスの概要は以下のとおりです。
a.コグナビ 派遣
上記(1)に記載のとおりです。
b.コグナビ 転職・コグナビ 転職IT
顧客企業と機電系エンジニア人材の転職希望者を「コグナビ」の根幹となるツリーと「マッチングマップ」によって結びつける求人・求職サイト「コグナビ 転職」を2018年7月に立ち上げました。このサイトは「エンジニアの転職はAIの時代へ。」をコンセプトとし、「コグナビ」の仕組みを活用して求人企業と求職人材をダイレクトマッチングする機能を有しております。
ターゲットとなる顧客企業と機電系エンジニア人材は「コグナビ 派遣」と共通であり、2021年3月末時点で、15,955名の登録会員を有し、1,373事業所の顧客にサービスを提供しております。
また、2020年7月から、ITエンジニアに特化した求人・休職サイト「コグナビ 転職IT」を立ち上げ、需要の高いITエンジニアの転職においても、「コグナビ」のツリーによるスキルマッチングの仕組みを提供しております。
c.コグナビ 新卒
「コグナビ 転職」における、ツリーと「マッチングマップ」を核としたマッチングの仕組みを、顧客企業と新卒理工系大学・大学院学生の就職希望者とのマッチングに応用する形で、求人・求職サイト「コグナビ 新卒」を2019年7月に立ち上げました。このサイトは「好きな科目が仕事につながる」をサイトコンセプトとし、「学生が自分にどんな仕事が合っているかよくわからないため、知名度のある企業に応募が集中してしまう」という従来型就職活動の課題を解決し、自分の学んだ科目を生かして就職先企業を見つけることができるサービスと考えております。求人企業にとっても、大学名や成績で判断するのではなく、各部署に応じた業務に必要な知識を備えた学生の採用につながるものと考えております。
基本的な仕組みは「コグナビ 転職」と同じですが、「コグナビ 転職」における「スキルツリー」の代わりに、就職を希望する学生が大学で学んできた「履修科目」と「実験実習」に関する「履修ツリー」を作成して利用します。また、「コグナビ 転職」における5段階のスキル「習熟度」の代わりに3段階の実験実習「習得度」を設定し、さらに好きな履修科目に対して「好きな科目」マークを付すことができる仕組みになっております。
また、「コグナビ 新卒」は、文系・理工系双方の学生を対象としている既存の総合型求人・求職情報サイトと異なり、理工系学生が就職後の環境がイメージしやすい独自コンテンツを掲載しております。企業単位ではなく事業所単位でコンテンツを準備し、それぞれの事業所でどのような製品を扱い、どのような部門があるのかを紹介しております。また、実際のオフィスや実験設備、就業している若手エンジニアへのインタビュー等を、写真や動画、360度パノラマ動画にて掲載しております。
これらの企業紹介コンテンツは、当該企業が「コグナビ 新卒」の管理画面上で作成及び更新できるようになっております。この機能により、掲載企業は常に最新の情報を維持することができ、当社は掲載コンテンツの作成及び更新に関する工数負担を削減することが可能と考えております。なお更新にあたっては、当社管理担当者による内容確認を経て公開される流れとなっております。
なお、「コグナビ 新卒」のターゲットとなる顧客企業は、「コグナビ 派遣」のターゲットと同様となります。
d.コグナビ タレントマネジメント
「コグナビ タレントマネジメント」は、「コグナビ」の根幹となるツリーを核としたマッチングの仕組みを応用し、「テクニカルツリー」による部署ごとの業務に必要なスキル情報と、「スキルツリー」による在籍エンジニアの保有スキル情報を登録することで、顧客企業における在籍エンジニアの流動化を促進するような人材配置システムを実現できないかという発想から、2019年10月よりサービスを開始しております。
企業内における人材評価や教育、ジョブローテーション、タスクフォース編成(社内のプロジェクトメンバーの選定)など様々な場面において、人事部門や技術部門の管理者による適切な判断、意思決定をサポートすることが可能です。
なお、「コグナビ タレントマネジメント」のターゲットとなる顧客企業は、「コグナビ 派遣」のターゲットと同様となります。
(コグナビ タレントマネジメントのサービスの特徴)
(a) スキル充足率を部署単位でランキング
「テクニカルツリー」による部署ごとの業務に必要なスキル情報と、「スキルツリー」による部署ごとの在籍エンジニアの保有スキル情報を比較することで、各部署のスキル充足率を算出します。ランキング形式で表示されるため、対策すべきスキルの優先順位が分かります。
(b) 過不足を改善するための人材配置提案
各部署の状況をふまえ、スキル充足率を改善するための人材を「コグナビ」によるマッチングを使って抽出します。人事異動にあたっては、その組織に必要なスキルを持った人材を探すことができます。また退職者の補充にあたっては、退職する社員と類似するスキルを持っている人材を探すことができます。
(c) 配置シミュレーション
抽出した人材を配置した場合のシミュレーションを行い、スキル充足率の改善状況を確認することができます。
e.コグナビ カレッジ
「コグナビ タレントマネジメント」によって導出される、顧客企業内の各部署におけるスキル充足率を改善するためには、不足したスキルをカバーするための人材を社内もしくは社外から補充するか、又は在籍している人材に対する教育が必要となります。教育に対するサービスの受け皿として、機電系製造業の自社エンジニア向けスキルアップ研修を自社近隣の大学で実施するために両者の仲介を行うサービスを「コグナビ カレッジ」という名称で2019年2月より提供しております。
これまで企業の研修は、外部研修業者の施設で実施するか、企業内でのOJT、OffJTという形が殆どでしたが、より専門的な知識の習得や、技術革新に伴う企業の業態変換等に対応するにあたっては、選択肢の少なさや講師の不在が課題となっていました。また採用環境が厳しい中、設計部門に理工系以外の学生を採用してから育成するといったニーズも発生しております。
一方、大学にとっては少子化に伴って学生の確保が年々困難となる中、施設や教授の稼働率向上、競合となる近隣大学との差別化、近隣企業との関係強化による就職率の向上等、様々な課題を抱えております。
専門知識を持った大学教授と充実した大学の設備を活用し、企業のニーズに沿った研修を当社がカスタマイズして提供することで、双方の課題を解決すると共に、企業と大学とのコミュニケーションが強化されることで、将来の新卒採用や共同研究の可能性を広げ、地域活性化にも貢献し得るサービスです。
2021年3月末時点で、7大学と基本契約を締結し、14社との講義実績があります。
以上のほか、当社から派遣されているエンジニアを顧客が直接雇用したい場合に、本人の希望を確認のうえ、一定の手数料を受け取り、雇用関係を変更する場合があり、これを「転籍」としております。
以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
[事業系統図]
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E35487] S100LNW4)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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