有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100NSUF (EDINETへの外部リンク)
株式会社プロジェクトホールディングス 事業の内容 (2021年12月期)
(1) ビジョン
当社は「プロジェクト型社会の創出」を創業来、理念に掲げております。バブル経済の崩壊以来、日本企業の競争力は年々低下しており、平成期における不況は「失われた30年」と振り返られるようになりました。PwC調査レポート『長期的な経済展望 世界の経済秩序は2050年までにどう変化するのか?』によると、日本のGDPの2050年における順位は、8位まで下がると予想されています。そのような中、当社は、日本企業の競争力を取り戻し、日本経済を再び活性化させるためには、日本企業が従来の縦割り型の組織形態から脱却し、プロジェクト毎に成果にコミット可能なプロフェッショナル人材を集め、成果に拘るプロジェクトベースの組織の集合体に変革する必要があると考えます。その実現に向けて、当社は「プロジェクト型社会の創出」を理念として掲げ、大手企業におけるデジタルを活用した新規事業開発、既存事業におけるデジタルを活用した業務効率化、デジタル系新規事業におけるUI/UX※1の改善等、デジタルトランスフォーメーション※2(DX)の実現をコンサルティングサービス、マーケティングサービス、UI/UXサービスの三本柱により一気通貫で支援しております。
当社は「デジタルトランスフォーメーション事業」の単一セグメントであり、その概要・特徴等は以下のとおりです。
(2) 事業の概要
当社の主たる業務は、準委任契約に基づきデジタルトランスフォーメーション(DX)に関わるアドバイザリーを提供する「デジタルトランスフォーメーション事業」です。DXとは、テクノロジーを活用し、企業の事業モデルや業務プロセスを変革し、新たな付加価値の創出を目的とする取り組みと考えております。DXにおいて活用されるテクノロジーは、AI※3・RPA※4・ブロックチェーン※5・IoT※6・BI※7ツール・チャットボット※8・マーケティングオートメーション※9等、多岐にわたります。また、前記した内容に限らず、ビジネスにおいて実用に耐えうる新たなテクノロジーが生まれた際には、そのテクノロジーを企業にすみやかに導入するよう提案していくことが当社の使命であると考えております。当社が属するデジタルトランスフォーメーション市場は拡大基調の市場であり、国内のDX関連投資額は2019年から2030年まで年平均成長率13%で増加していき、結果2030年には約3兆円の市場規模となると予測されております(㈱富士キメラ総研『2020デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』)。拡大を後押しする要因として、①日本企業の構造的課題による生産性の低さ、②政府によるDXの後押し、③新型コロナウイルス感染症の流行によるニューノーマルの常態化があげられます。①は2014年の『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』(経済産業省公表。通称『伊藤レポート』)で問題提起が行われ、2015年の㈱東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コード制定によって上場企業における持続的成長と中長期的な企業価値向上のための実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則が明記されました。また、2018年の『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』(経済産業省公表)により、さらにDX推進の機運が高まっており、DXが経営上の課題だと認識している企業からの当社への引き合いも堅調に推移していると実感しております。日本市場については、日本企業の生産性の問題が指摘されているとはいえGDP上位の市場であり、その中でもDXに向けた予算については市場の拡大とともに増加していくと予想され、市場としては魅力的であると考えております。さらに、②の政府による後押しでは、デジタル庁の新設や経済産業省によるDX銘柄及びDX注目企業の選定等、国をあげて制度設計を行い、DX推進を後押ししている状況です。③新型コロナウイルス感染症の流行は、当初、顧客である日本企業の業績が悪化するという観点から、当社の業績にもネガティブな影響があるのではないかと警戒しておりました。結果的には、新型コロナウイルス感染症が業務のデジタル化を促進するなど、ニューノーマルへの対応という観点でDX市場の拡大要因となり、当社業績に対してもポジティブな影響をもたらしたと判断しております。
このような事業環境下で当社が行っているデジタルトランスフォーメーション事業は、コンサルティングサービス、マーケティングサービス、UI/UXサービスの3つに分かれます。
コンサルティングサービスにおいては、DXを通じた新規事業開発や既存事業変革、業務改善の支援を行っております。新規事業開発により新たな収益源を創出したいという顧客へは事業立上げのために検討すべき事項を洗い出し、DXの観点から事業スキームを検討、整理するなどの支援を行っております。顧客の既存事業についても、デジタルを活用した事業変革により、PL計画の達成等を支援しております。また、業務改善という観点からはRPA・BIツールの導入や、全社でのDX文化浸透のための組織変革など生産性向上のための支援を行っております。日本の大手企業※10におけるデジタル化ニーズを的確に捉えて案件を受注することで、コンサルティングサービスの売上高は創業来拡大を継続しております。直近は、特に新型コロナウイルス感染症流行拡大の経済情勢・事業環境を踏まえ、各社がDXを通じた新規サービス展開等に着手していることもあり、新規事業開発支援のニーズが強く、コンサルティングサービスの売上を牽引しております。2021年12月期におけるコンサルティングサービスの売上高について内訳は、新規事業開発支援が636,327千円、既存事業変革支援が382,800千円、業務改善支援が175,470千円でありました。
マーケティングサービスにおいては、Twitter、Instagram等のSNS運用支援、Webサイト改善、マーケティングコンサルのサービスを提供しております。SNS運用支援においては顧客のSNSを通じたブランディング・集客促進を、Webサイト改善においては集客や販売促進につながるWebサイト・LP※11の改善を行っております。また、マーケティングコンサルにおいては、デジタルマーケティングにおける戦略検討から実行までを支援しており、カスタマージャーニーの整理や広告出稿媒体ごとの戦略、KPI設計、訴求内容の仮説検証等を担っております。実態としては、SNSの運用における支援実績を評価いただき、より広範なデジタルマーケティングの戦略立案などに関するご相談をいただく、というような形での案件創出を行う事業構造となっております。2021年12月期におけるマーケティングサービスの売上高について内訳は、SNS運用支援が229,008千円、Webサイト改善が85,716千円、マーケティングコンサルが235,531千円でありました。
UI/UXサービスにおいては、UI/UXの改善のためのユーザビリティテストサービスである「UIscope」を活用し、サービス体験の改善・設計を支援しております。「UIscope」は、スマートフォンアプリ・サイトに特化し、テストユーザーであるUIscopeモニターの操作を録画し、その行動を解析することで、UI/UXを改善していくサービスです。2021年12月期において案件の73%をインバウンド※12で獲得しており、またこれまでの案件実績(事業譲受から2021年12月末までの累計導入企業数は162社)をもとに幅広いサービス、プロダクトのUI/UX改善ノウハウを蓄積することができております。スポットでサービスのUI/UXを調査・レポーティングした顧客について、その後中長期的にサービス体験の改善支援を行う提案を積極的に行うことで、UI/UXサービス内のショット案件から継続的な支援へのアップセル※13に成功しております。
これら3つのサービスについて、2021年12月期における売上構成は、コンサルティングサービスが55.8%、マーケティングサービスが25.7%、UI/UXサービスが18.4%となっており、ビジネス支援(コンサルティングサービス)が6割弱、広義のマーケティング支援(マーケティングサービス・UI/UXサービス)が4割強、という構成になっております。
(3) 事業の特徴・強み
当社のデジタルトランスフォーメーション事業における強みは、コンサルティング、マーケティング、UI/UXのニーズを一気通貫で支援できることです。顧客のニーズは個社によって異なるものの、DXのうち特定のニーズだけに困っているということは現実には少ないと当社は認識しており、企業活動における様々な場面において変革を推進したいというのが実態であると評価しております。当社は、特定領域のソリューションに特化してサービスを提供する会社ではなく、DXという広いニーズに応えるために様々なソリューションを提案する会社と自己定義しています。そのため、当初は「UIscope」の活用やSNSマーケティングの支援等、単領域、ソリューション的な活用であっても、次第に様々なニーズを顧客からヒアリングすることができ、最終的には一気通貫で支援する、というのが当社の得意とするパターンとなっています。単領域で取引を開始し、複数領域に展開することで、ライフタイムバリュー(LTV※14)が大きく伸びることが当社の強みです。当社の案件獲得プロセスの中で、最初に案件を獲得する、ノックインツールになっているのは「UIscope」です。「UIscope」はサービス立ち上げ(事業譲受元の㈱InnoBetaによる)の2012年以来、スマートフォンのUI/UX領域のリサーチサービスをいち早く展開し、利用実績を積み重ねてまいりました。当社の戦略としては、まずはUI/UXのような単領域で顧客の信頼を獲得し、そこから別領域の案件を獲得することを目指しております。実際にUI/UXの検証・改善についてご相談を受け支援する中で、UI/UX以外の領域における課題感についても当社で検知することができ、その課題感に対して別のソリューションを提案することにより複数領域における案件受注ができております。
このような既存顧客へのアップセルが奏功し、2021年12月期においては顧客の約6割は売上規模100億円以上の企業群、そしてこの企業群が売上高の約8割を占める構成となるなど、顧客への依存度分散を進めること、かつ顧客当たり売上高を高める(顧客当たり売上高は創業来の6年でおよそ8倍に上昇)ことにより日本の大手企業を中心とする顧客基盤を構築することに成功しております。
また当社のDX支援は比較的長期で継続する性質のものであり、直近4期のストック売上※15比率はおよそ80%で推移しております。一般的なコンサルティングファームにおいてはスポット/フロー売上※16偏重が多い中、当社においては一気通貫でのDX推進支援が可能であることを評価いただき、比較的長期の継続発注をしていただける(2018年1月から2021年12月の間で取引のあった売上高100億円以上の顧客について、3か月以上の連続受注が発生したものが85%、6か月以上の連続受注が発生したものが71%。ただし、「UIscope」のショット案件※17を除く。)ため、結果としてストック型のビジネスを構築することができております。このように、ビジネスモデルの特性上中長期的な支援が前提となるため、特定個人のスキル・能力に依存するような体制ではなく、あらゆる顧客に対して再現性をもった支援が可能となるよう、組織としての対応に重点を置いた体制構築を進めております。案件の状況に応じてパートナーも積極的に活用しており、2021年12月期においては35.1人(期中平均)のパートナーの方に当社メンバーと共同で顧客支援を行っていただいておりました。スキルの平準化やマネジメントの育成、パートナーの活用等、ストック型ビジネスに適した効率的なマネジメント体制を整備してきた結果、従業員数が増加すると同時に従業員一人当たり売上高も増加基調で推移し、2021年12月期の従業員一人当たり売上高は約41百万円(前期比約8百万円の増加)となっております。
※1.UI/UXとは、ユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンスの略であり、それぞれ、Webサイトのデザインやフォント等ユーザーの視覚に触れる情報、ユーザーが製品やサービスを通して得られる体験のことを指します。
※2.デジタルトランスフォーメーションとは、テクノロジーを活用した、既存の業務プロセスや事業モデルからの脱却、あるいは新たな付加価値の創出を目的とする取り組みのことを指します。
※3.AIとは、Artificial Intelligenceの略であり、コンピュータ上に人間のような知能を再現する技術のことを指します。
※4.RPAとは、Robotic Process Automationの略であり、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、若しくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組みのことを指します。
※5.ブロックチェーンとは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータに暗号技術を組み合わせ、取引情報等のデータを同期して記録する手法のことであり、仮想通貨や決済、送金、証券取引等の技術に活用されています。
※6.IoTとは、Internet of Thingsの略であり、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され、モノ同士が相互通信することによって、遠隔から認識や計測、制御等が可能となる仕組みのことを指します。
※7.BIとは、Business Intelligenceの略であり、企業におけるデータを、収集・蓄積・分析することにより、経営上の意思決定に役立てる手法や技術を指します。
※8.チャットボットとは、人工知能を活用した「自動会話プログラム」のことであり、カスタマーサポート業務の効率化ツールとして注目されています。
※9.マーケティングオートメーションとは、顧客一人ひとりとの関係構築を通じた収益の向上を目的とし、営業マーケティング施策の自動化、収益プロセス全体の効果測定を実現することを指します。
※10. 日本の大手企業とは、日本国内に本社が登記されている売上高100億円以上の企業を指します。
※11. LPとは、Landing Pageの略であり、商品やサービスの紹介や問い合わせの受け付け、集客に特化したページのことを指します。
※12.インバウンドとは、積極的な営業活動を通じてではなく、顧客からの問い合わせにより受注へ結びつくことを指します。
※13. アップセルとは、顧客が購入済みのものと比べてより単価の高いモノ・サービスの購買を促すことを指します。
※14.LTVとは、Life Time Valueの略であり、ある顧客が、取引を開始してから終了するまでの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたか、収益の総額を算出するための指標です。
※15. ストック売上とは、6か月以上の連続受注を獲得した顧客からの売上のうち、スポットの広告出稿やユーザーテスト等を除いたものを指します。
※16. スポット/フロー売上とは、常に新規のサービスを提供することで都度金銭を受け取る形式による収益を指します。
※17. ショット案件とは、次回/次月以降の継続的な発注を前提としない単発での引き合い、案件を指します。
(4) 事業系統図
当社の事業系統図は次のとおりであります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E36896] S100NSUF)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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