有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100NT7A (EDINETへの外部リンク)
リニューアブル・ジャパン株式会社 事業等のリスク (2021年12月期)
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)太陽光発電に関するリスク
①運転開始済みの太陽光発電所について
太陽光発電における発電量は「日射量」に比例するところ、当社グループでは事前の日射量シミュレーションを実施していますが、かかる日射量は当社グループによるコントロールが及ぶ事象ではありません。国内においては、日射量の多い春季から秋季にかけての全国的な長期間の悪天候、新しい建物の建築や樹木の成長等による周辺環境の変化、また、降灰・粉じん・黄砂・ガス等による直達光・散乱光の減少さらに冬季にかけての降雪等により、当社グループの太陽光発電所が設置された地域における日射量が低下し、これにより当社グループの太陽光発電における年間総発電量が想定より減少した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、上記のような事象が発生した場合にこれに対応するための補修や追加設備の導入等に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなる場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②開発中の太陽光発電所について
当社グループは、太陽光発電所の開発に関して、EPC事業者との間で資材調達及び工事の諸条件を定めた契約を締結します。当該契約は、原則として綿密な設計計画を作成した上で合意・締結された固定金額の工事請負契約です。しかしながら、EPC事業者との契約範囲外の事由により、設計当初に想定しなかった追加工事が発生した場合や、天災、感染症(新型コロナウイルス感染症を含む。)等の不可抗力事由の発生により事業計画に遅延が生じた場合、又は発注先のEPC事業者の信用悪化事由の発生等により工事期間に影響が生じる場合には、工事請負契約の金額が増加したり、運転開始時期が遅延することにより当初の予定どおりに売上を上げることができなかったり、FIT売電期間が短縮化する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③認定取得済みの太陽光発電所について
太陽光発電所の着工に至るためには、地権者との交渉及び調整並びに関係省庁・自治体からの許認可の取得及び関係省庁・自治体への届出等が必要です。当社グループが手掛ける太陽光発電所の発電規模は相対的に大きいため、開発には一定の期間が必要となります。当社グループは、地権者、関係省庁・自治体と十分な調整を図り事業を進めておりますが、一定期間を過ぎても合理的な理由なく開発を進捗できず、管轄省庁の聴取に対して合理的な説明を行うことができない場合には、管轄省庁の判断にて既取得の事業計画認定が取り消される可能性があります。
④入札中の太陽光発電所について
当連結会計年度末現在、太陽光、風力及びバイオマスにかかる新規のFITの事業計画認定取得は原則として入札制度となっており、他社との競合により当社グループが開発を予定していた発電所について落札できず事業計画認定が取得できなかった場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)その他太陽光発電以外の電源に関するリスク
当社グループは、太陽光発電の他再生可能エネルギー電源の多様化を目的として、今後水力発電所及び風力発電所など太陽光発電以外の電源の開発にも着手しており、今後も更に拡大していくことを検討してまいります。水力発電及び風力発電等においても、関係省庁・自治体からの各種許認可の取得が必要になることに加え、環境アセスメントや地権者との十分な調整を図る必要があります。
当社グループは、開発シミュレーションを含む事前の十分な調査、地域や行政との十分な連携を図り、事業計画に遅延が生じないように対応しておりますが、環境アセスメントや地権者との調整において、当初予定していた期間を超過する場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの発電所の発電量は、水量や風況等に左右されます。当社グループは事前にシミュレーションを実施していますが、これらの水量や風況等は当社グループによるコントロールが及ぶ事象ではありません。
これらの水量や風況等が低下し、年間総発電量が想定より減少した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これにより当社グループの想定外の事象が発生し、これらに対応するための補修や追加設備の導入等に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなる場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、上記のような事象やその他想定外の事象が発生し、これに対応するための補修や追加設備の導入等に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなる場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)固定価格買取制度(FIT制度)に関する政策変更リスク
当社グループの主要事業である再生可能エネルギー事業においては、FIT制度に基づいた一般送配電事業者又は小売電気事業者等の購入者との契約により、長期間にわたる買取期間において固定価格で再生可能エネルギー電源からの電力供給を行っていますが、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制との両立を図るため、再エネ特措法が2017年4月1日に施行されたことに加え、2020年6月には、再エネ特措法の改正を含む、「エネルギー供給強靭化法」が成立し、当連結会計年度末現在、改正再エネ特措法は2022年4月1日より施行されることが予定されています。
これらの改正を経て、太陽光発電所を運営する事業者のコスト低減への努力を促すため、FIT制度において買取価格の入札制度が導入されました。このような政府のエネルギーに関する施策の変更、FIT制度又はFIT制度に関連する各種法令の改定が行われ、当社グループが、新制度に適時かつ適切に対応できない場合、又はこれに対応するためのコストや負担が増加した場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後はFIT制度に加え市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付するFIP制度の創設が予定されており、FIP制度においては電力市場における需要量に応じて売電収入が変動することになります。FIP制度への移行後において電力市場における需要量が当社グループの想定よりも少なかった場合等には当社グループは想定どおりの売電収入を得ることができず、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)出力制御に関するリスク
我が国の電力市場においては、年間のうち電力需要が小さい時期・時間帯において、火力発電及びバイオマス発電の抑制、地域間連携線を活用した他エリアへの送電等を行い、それでもなお発電量が需要量を上回る場合には太陽光発電及び風力発電の制御が行われ、その次に水力発電の制御が行われます。なお、需給バランスの調整のための太陽光発電及び風力発電に関する出力制御は、2021年4月1日以降に新規に接続を申し込む事業について、全国で無制限・無補償ルールが適用されます。また、電力会社による系統工事等に伴い、上記出力制御とは別に計画停電がなされることがあります。2018年10月、国内で初めて九州本土で離島を除く広域での出力制御が実施されました。九州本土における出力制御は、現在も継続して実施されています。
当社は、出力制御の実施予測についてシミュレーション分析を行った上で事業化の可否を判断していますが、かかる分析の結果、事業化を断念せざるを得なくなった場合又は事業化に成功した場合であっても想定を上回る出力制御が実施されることにより想定した売電収入を得られなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)事業環境に関するリスク
太陽光発電事業は、FIT制度の導入によって大量の事業者が市場に参入しましたが、買取価格の段階的引き下げに伴い、事業者の淘汰が進んでいます。当社は、このような厳しい事業環境のなかでも従来どおり開発案件の増強に努めるため、全国各地の地方公共団体、地域金融機関、地元の建設会社等とのネットワークを活用し、効率的に開発案件を発掘する体制を構築していますが、今後は、平坦地で造成コストが低く、開発コストが相対的に安価となる土地を発掘・取得することが徐々に困難になる可能性が考えられ、開発に適した土地が入手できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、開発事業の他、事業拡大の手段として、他の発電事業者等から稼働済みの太陽光発電事業の事業譲受を進めています。事業譲受は、直ちに売電収入が望めるという利点があるものの、デューデリジェンスによる正確な収益評価が重要になります。そのため収益評価の正確性が不十分な場合は、当社が期待する収益が計上されずに当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)系統連系に関するリスク
FIT制度の導入により太陽光発電事業が急拡大し、一部の電力事業者において、太陽光発電所による電力供給が系統内の電力需要量を上回り電力設備・接続条件が上限に到達したために、系統連系への接続遅延及び接続見合わせが発生しています。当社グループが開発を予定している太陽光発電所について、当初のスケジュールでの系統連系への接続が行われずに遅延、保留が発生し、その影響を受けて売電開始時期が遅延した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(7)事業計画認定に関するリスク
当社グループの再生可能エネルギー発電事業においては、FIT制度に基づいた「事業計画認定」を取得しています。しかし、FIT制度の規定に違反する等、認定された事業計画どおりに事業を実施していない場合や、認定時の基準に適合しなくなったと経済産業大臣が認めた場合には、当該認定は取り消されることがあります。当社グループとしては、発電を既に開始した発電設備の「事業計画認定」を取り消される可能性は相当程度限定的と考えていますが、取り消された場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)法令の遵守に関するリスク
当社グループは、事業運営において「建設業法」「建築基準法」「再エネ特措法」「電気事業法」「電気工事士法」「電気工事業の業務の適正化に関する法律」「宅地建物取引業法」等の法規制を受けており、特にEPC事業に関して特定建設業の許可を受けています。また、当社は、主に金融機関(以下「レンダー」といいます。)や機関投資家等の特定投資家(以下「投資家等」といいます。)に対する開発事業への匿名組合出資や集団投資スキームの私募の取扱業務等に関して、第二種金融商品取引業及び助言代理業の登録を受けており、「金融商品取引法」及び「犯罪収益移転防止法」を遵守する必要があります。当社は役職員の入社時及び継続的なコンプライアンス研修の実施により、役職員のコンプライアンス意識の強化・向上に努めていますが、役職員がその法令を十分に理解せずに業務を遂行した場合は、法令違反による罰則の対象となったり、許可・登録の取消等が行われたりすることで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(9)自然災害・天候に関するリスク
太陽光発電所をはじめとした再生可能エネルギー発電所は、山林を伐採し、造成を行い、適切な土地の形状にし、開発を行う場合があります。当社グループは、発電所開発時に詳細なデューデリジェンスを実施しておりますが、台風、豪雨あるいは地震といった自然災害が整地、造成された土地の崩落や太陽光発電所に設置された設備や機器の損傷、故障を引き起こし、期待された売電量を確保できずに当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は開発の進捗に応じて開発報酬を売上計上しています。したがって、自然災害等により、開発進捗が遅延した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは太陽光発電所開発を全国で展開しており、局所的な自然災害等の影響を最小化できると考えていますが、過度の積雪や降灰といった自然災害だけでなく、天候不順により太陽光発電所のパフォーマンスが十分に発揮されない場合、火災や停電、テロ行為、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの感染等により、発電所設備や遠隔監視システム等が正常に稼働しなくなった場合のほか、感染症(新型コロナウイルス感染症を含む。)により社会機能の障害が発生した場合、戦争、武装紛争等の人的災害、送電障害等の主要な社会的インフラ障害等が発生した場合には、当社グループの発電所について適切な管理やメンテナンスができなかったり、長期間の操業停止や発電所設備の大規模な修繕が必要となったりすることで、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(10)特定事業への依存に関するリスク
当社グループは、再生可能エネルギー事業を主な事業とする単一セグメントであり、そのなかでも太陽光発電所の開発に経営資源を集中させています。今後は、例えば太陽光発電以外の再生可能エネルギー(風力発電やバイオマス発電)発電所の開発や、小売電気事業といった新たな事業を育成し、収益力の拡大とともに事業の分散を図ることを検討していますが、事業環境の変化により、太陽光発電所の開発事業が縮小しその変化へ適切な対応ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(11)外注業者及び外注管理に関するリスク
再生可能エネルギー発電所の開発にあたり、測量や造成工事及びEPC工事等を外注業者に発注する場合があります。この場合、建築資材の価格や工事労務費の高騰により工事請負金額が上昇した場合には、開発コストが上昇する可能性があります。また、外注業者の信用情報の収集に努めていますが、外注業者が経営破綻した場合、工事遅延や請負契約の不履行等が発生する可能性があり、また、将来における外注業者が請け負うべき保証責任が履行されない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
外注業者への工事発注については、測量や造成工事及びEPC工事等、工事毎に直接見積取得を行っています。工事毎に見積もりを取得するのは、適正な競争が行われること、また各業者と直接交渉するため施工の信頼性や品質の確保等が期待できます。当社の施工業務には多数の外注業者が関わることになりますが、開発件数の増加や開発エリアの拡大に伴い外注業者を十分に確保できない場合、又は、外注業者の経営不振や繁忙等により工期が遅延した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(12)再生可能エネルギー発電所開発に際しての土地所有者や周辺住民との調整に関するリスク
再生可能エネルギー発電所の開発にあたっては、建設地の周辺環境に配慮し、関係する法律や自治体の条例等を遵守して開発計画を立案し、事前に土地所有者や周辺住民に対して説明会を実施しています。ただし、開発計画に対して土地所有者や周辺住民の理解が得られず調整が難航する場合があります。その場合、開発計画の変更、工事期間の延長、追加費用の発生等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(13)契約不適合責任に関するリスク
再生可能エネルギー発電所の開発において、当社がEPC工事を手掛ける場合、その工事請負契約において、目的物の契約不適合責任を負うことが定められています。当社は、これまでのEPC開発において得た知見の活用により契約不適合責任を負うことのないように努めておりますが、当該期間中に重大な契約不適合が認められた場合は、その修補を行う必要があるだけでなく、損害賠償金の支払いも求められる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(14)重大事故の発生に関するリスク
当社は開発工事における安全対策や品質管理には万全を期していますが、人身や施工物に関わる重大な事故が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(15)訴訟等に関するリスク
当社グループは取引先等との紛争未然防止に努めていますが、何らかの理由により訴訟が発生する場合があります。例えば、開発工事にあたっては周辺環境への配慮を含めた安全対策や品質管理に努めていますが、訴訟により当社に損害賠償責任等が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(16)当社グループの業績に関するリスク
当社グループは、再生可能エネルギー発電所開発事業において、開発事業の進捗管理を徹底するなど発電開始時期の遅延が生じないよう努めております。工事完成基準を適用するものについては、発電開始時(合同会社への再生可能エネルギー発電所の引渡時)に、EPC請負報酬を売上計上しております。このため、発電開始時期(引渡時期)の偏りや同時期が期末を超えて遅延した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
再生可能エネルギー発電所の取得においては、主に匿名組合出資を通じ、リスクを出資額に限定しながら再生可能エネルギー発電所の取得を行っており、取得した物件の売却の決済時に引渡しとともに売上高を計上していますが、取得した物件の売却が予定どおりに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(17)開発プロセスの進捗に伴う開発報酬に関するリスク
当社グループにおける再生可能エネルギー発電所の開発事業においては、地権者との協定書締結、各種許認可取得、エンジニアリング、ファイナンスの組成、建設管理といったプロセスがあります。当社は、再生可能エネルギー発電所を所有するSPCに対して、再生可能エネルギー発電所設立に係る重要な許認可の取得、エンジニアリング、土地確保及びファイナンス関連契約の締結に係る開発支援等の業務を提供しており、開発支援に係る役務の提供完了をもって、SPCから開発報酬を受領する場合があります。開発報酬の計上金額は、各連結会計年度における新規発電所に係る開発支援業務完了の有無又はその規模・件数により変動します。そのため、開発報酬の計上の時期により売上収益及び利益は増減する傾向にあります。
当社は、開発段階におけるSPCに対する匿名組合出資持分が持分法適用会社である場合は、当該開発報酬は当社の未実現利益を控除した金額を売上計上します。開発報酬を計上したものの、開発報酬を受領する前に何らかの事由により開発が中止された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが推進する再生可能エネルギー発電所の開発スケジュールの遅延が生じた場合には、開発報酬の計上時期も遅延することとなり、当該連結会計年度における当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)発電所売却に係る収益構造と連結財務諸表における会計処理に関するリスク
当社グループの収益構造は、フロー型収益である開発報酬、EPC報酬及び発電所売却収入と、ストック型収益である売電収入等、AM報酬及びO&M報酬から成りますが、フロー収入を構成する合同会社による発電所の売却にあたっては、連結子会社である合同会社が保有する販売用発電所について設備売却を行う場合と当社が匿名組合出資持分の売却を行う2つの売却手法があります。匿名組合出資持分の売却は、当社が売主となり、投資家は、匿名組合出資持分を取得するとともに実質的に発電所を保有する合同会社を取得するという形態となります。この場合、合同会社が借入れた借入金や、その他合同会社が有する全ての債権債務や権利義務の全てを承継することになります。発電事業者は引き続き合同会社であるため、発電事業者としての経済産業省への登録変更手続きなどは生じませんが、一方、投資家におけるデューデリジェンスは、発電設備と合同会社の両方を実施することになり、投資家は、発電設備と合同会社の両方のリスクを負うことになります。設備売却は、合同会社が売主となり、投資家は、発電設備の購入資金を自ら調達し、発電事業者としての経済産業省への登録変更手続きなども必要になります。発電設備の購入は、合同会社が有する全ての債権債務等から切り離されますので、投資家は合同会社のリスクを負うことはありません。
連結子会社である合同会社が設備売却により発電所の売却を行う場合には、発電所の売却価額総額を売上計上し、発電所の簿価が売上原価として計上される一方、当社が売主として匿名組合出資持分の売却を行う場合には、当社の匿名組合出資持分部分のみが売却価額となり、また、売却価額と簿価の差額が売上高又は売上原価として計上されます。基本的には、いずれの会計処理方法によっても親会社株主に帰属する当期純利益には影響を及ぼしませんが、当社グループがいずれの売却手法を採るかは、投資家の判断にも拠るものであり、売却手法によって当社の連結財務諸表上の売上高に大きな差が生じます。当社グループの計画策定においては、原則として保守的に匿名組合出資持分の売却を所与として策定しておりますが、当初計画上見込んでいた売却手法と異なる売却方法を採った場合、当社グループの売上高は大きく変動する可能性があります。
(19)関係会社におけるスポンサーサポートに関するリスク
当社グループにおいて発電事業を運営するSPC各社は、発電所建設に際して、レンダーからの資金調達(借入金)を行います。SPCの業績悪化等、一定の条件が発生した場合には融資関連契約に従い、当社を含むSPCへの出資者はSPCに対するスポンサーサポート義務を負う場合があります。太陽光発電所に関してはプロジェクトファイナンスの組成実績が豊富であるため、一般的に融資関連契約に規定されるスポンサーサポートは他の再生可能エネルギー電源に比べると限定的となる傾向にあります。
当社グループの太陽光発電所を運営するSPC各社において、不測の事態により発電を行うことができない場合や、想定以上の悪天候が複数年連続した場合等、これらの要因により工事費の計画超過又は財務制限条項の指標の悪化等融資関連契約に定められた事象に該当したときは、当社はSPCの出資者として、一定の限度額内において追加出資等の義務を負う場合があります。また、当社が出資する太陽光発電以外のSPCにおいては、不測の事態により収益性が計画を大きく下回った場合等により、当社による追加出資が必要となる場合があります。これらの場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)東急不動産グループとの関係に関するリスク
①東急不動産グループとの資本的関係について
当連結会計年度末現在、東急不動産株式会社(以下「東急不動産」といいます。)は当社株式の17.15%(2021年12月31日時点)を保有しており、同社及び同社の100%親会社である東急不動産ホールディングス株式会社(以下「東急不動産ホールディングス」といいます。)は当社のその他の関係会社となります。また、東急不動産は当社子会社のアールジェイ・インベストメント株式会社の株式を33.4%保有しています。当社と東急不動産グループとの間における主な取引は、東急不動産の保有する太陽光発電所のAM業務及びO&M業務の受託があります。
東急不動産グループとの取引に当たっては、当社のガイドラインである「関連当事者取引ガイドライン」に則り、検討を経た上で適切に実施しております。
②東急不動産ホールディングス及び東急不動産の承認等について
当社には東急不動産ホールディングス及び東急不動産の事前承認又は事前報告を必要とする取引や業務は存在しません。
③東急不動産の競合関係について
東急不動産は再生可能エネルギー事業を行っており、当社グループとの間で開発用地取得や発電所の開発に際して競合関係が発生する可能性があります。また、稼働済みの発電所の取得の場面においても競合関係となる場合があります。そのため、当社グループが特定の事業候補地で事業開発を進めるにあたり、東急不動産が当該候補地を確保することや公募事業で東急不動産が採択される等により、当社グループの予定している開発を中止又は変更した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④東急不動産との取引関係について
当社と東急不動産は、2017年8月に再生可能エネルギー事業の共同推進を目的とし、資本業務提携契約を締結しました。当社グループは、再生可能エネルギー発電所の開発・運営に関する事業用のSPCに対して東急不動産と共同出資しています。
また、同社又は同社が出資するSPC等との間に、発電所の売買契約、O&M契約及びPJM(プロジェクトマネジメント)契約等を締結する形で取引が発生しています。
上記のとおり当社グループは東急不動産ホールディングス及び東急不動産とは資本・業務上において密接な関係があり、今後とも東急不動産ホールディングス及び東急不動産とは良好な関係を継続する所存ですが、同社の事業戦略方針の転換等により、同社との関係に変化が生じる場合には、再生可能エネルギー発電所の開発・運営に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(21)日本再生可能エネルギーインフラ投資法人との関係に関するリスク
当社は日本再生可能エネルギーインフラ投資法人の運用会社であるアールジェイ・インベストメント株式会社の親会社であり、当社は同投資法人のスポンサーとして、当社グループが保有する再生可能エネルギー発電所の優先的情報提供及び優先的売買交渉権を付与しています。
そのほか、発電所取得業務等の選定、O&M業者の選定等を含む業務支援をしています。
当社グループが同投資法人又は子会社であるアールジェイ・インベストメント株式会社との間で取引等を行う場合は、アールジェイ・インベストメント株式会社において、コンプライアンス委員会、投資運用委員会、投資法人役員会、取締役会等のプロセスを経て意思決定が行われることとなっており、利益相反取引を排除する体制としています。しかしながら、万一、当社グループと同投資法人との取引に際し、利益相反が問題となる状況が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社が保有する再生可能エネルギー発電所の売却先については、私募ファンド等もありますが、当社は上記のとおり同投資法人のスポンサーとして、同投資法人の外部成長をサポートする役割を担っており、保有する再生可能エネルギー発電所の売却については、同投資法人に対し、優先的売買交渉権を付与しています。当社グループの売上高に占める割合のうち、同投資法人への再生可能エネルギー発電所の売却から得る売上高は、当連結会計年度は2.7%となっております。
当社は再生可能エネルギー発電所を同投資法人に優先的売買交渉権に基づき売買交渉を行いますので、同投資法人との売買交渉が決裂し、他の売却先に売却する場合、売却スケジュールが遅延する可能性があります。また、同投資法人が優先的売買交渉権を有していても、市場環境の悪化等により、同投資法人が資金調達できない等、当社の保有する再生可能エネルギー発電所の売却が困難となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(22)海外からの調達に伴うリスク
当社は太陽光パネルを海外から調達していますが、海外の政治・経済の情勢等により、太陽光パネルの価格の高騰や供給停止等といった事象が発生する可能性があります。例えば太陽光パネルの主要な原材料である金属シリコンは世界シェアの約8割が中国で生産されていますが、米国の中国からの金属シリコンの輸入禁止措置により価格が高騰しており、太陽光パネルの価格も影響を受ける可能性があります。今後、太陽光パネルの価格上昇や供給停止等が発生しかつ代替品の確保が困難な状況等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(23)半導体不足が太陽光発電事業に与える影響に関するリスク
当連結会計年度末現在、世界的に半導体不足が深刻化し太陽光発電事業にも影響が出始めており、今後、当社が調達している太陽光発電システムの主要部品であるパワーコンディショナー(発電した直流電力を交流電力に変換する機器)の生産遅延が発生する可能性があり、その動向は常に注視しておりますが、それにより開発中又は開発予定の太陽光発電所の工事が遅延する等の影響が出た場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(24)企業統治に関するリスク
当社グループは企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題の一つと位置付けており、内部監査室による内部監査の実施や監査役監査の実施等で適切な監査体制を維持・構築しております。一方、当社グループは、取締役会設置会社及び監査役会設置会社としてガバナンス体制を構築してから日が浅いことや、急速な事業拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、事業遂行に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(25)特定経営者への依存に関するリスク
代表取締役社長である眞邉勝仁は、再生可能エネルギー業界に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、重要な取引先との交渉、利益計画の策定・推進等、会社運営の全てにおいて重要な役割を担っています。今後、エネルギー事業の専門家等優秀な人材の採用・育成等、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めてまいりますが、何らかの事情により、同人が離職した場合、又は十分な業務執行が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(26)ストック・オプション行使による株式価値の希薄化に関するリスク
当社グループは、役員、従業員及び取引先へのインセンティブ付与を目的として、新株予約権(以下「ストック・オプション」といいます。)を付与しており、発行済株式総数に対して5.64%(2021年12月31日時点)の潜在株式が存在しています。このストック・オプションが行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、ストック・オプションの行使により発行された当社普通株式が株式市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
(27)レピュテーションに関するリスク
再生可能エネルギー業界を対象とした否定的な内容の報道、インターネット上の掲示板への書き込み等がなされ、拡散した場合に顧客や市場関係者間の評判が悪化することにより、当社グループの業務遂行及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
(28)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、個人情報や取引先の機密情報を取り扱っています。これらの情報管理に万全を期するため、管理体制の構築、社内規程の整備、システム上のセキュリティ対策をはかるとともに、研修等により役職員の情報管理意識の向上に努めています。しかしながら、万一、当社グループの故意・過失、又は第三者のサイバー攻撃等により情報漏えいが発生した場合、当社グループに対する損害賠償や信用力の低下により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(29)人権問題に関するリスク
世界的な人権に対する配慮の高まりにより、当社グループだけでなくそのサプライチェーンでの人権問題にも配慮が求められており、当社グループは内規である「行動規範」に基づき、顧客のみならず、地域社会、国際社会等からの信頼と信用の下に成り立っている事を認識し、また、グローバルレベルで社会に対する責任を負っている事を認識し行動しておりますが、当社グループ又は当社グループと取引関係にあるサプライチェーンによる人権問題への取り組みが不十分とみなされた場合、当社グループにおける社会的信用の毀損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(30)金利変動に関するリスク
当社グループは、レンダー及び投資家等から資金調達し事業運営に取り組んでいます。レンダー及び投資家等が国債等の市場金利を投資判断の指標としている場合に、金利水準が上昇し、再生可能エネルギー発電所への貸付及び投資から得られる利回りが相対的に低下すると、資金調達が困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(31)資金繰りに関するリスク
開発事業において、レンダー及び投資家等から資金調達する前に発生する測量調査等の諸経費は、自己資金やコーポレートローン等により調達した資金で賄っています。自己資金あるいは当社の信用力に基づくコーポレートローンの資金調達ができず、資金繰りが困難となった場合、開発事業がスケジュールどおりに進捗せず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(32)有利子負債依存度に関するリスク
当社グループは、再生エネルギー発電所にかかる開発資金を、金融機関からの借入等により調達しています。最近2連結会計年度における、有利子負債残高、有利子負債依存度及び支払利息の推移は下表のとおりであります。
今後は、営業活動によるキャッシュ・フローの拡大から生み出される余剰資金及び財務活動による増資等により、有利子負債依存度の改善を進め、財務体質の強化に努める方針ですが、事業の拡大に伴い金融機関からの借入が増加し、金融情勢の変動により金利が大幅に上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(注)1.有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定を含む。)、ノンリコース長期借入金(1年内返済予定を含む。)、社債(1年内償還予定を含む。)及びリース債務(1年内返済予定を含む。)の合計額です。
2.有利子負債依存度とは、総資産に占める有利子負債の比率です。
(33)保有資産の評価に関するリスク
当社グループは、売却前の太陽光発電所をたな卸資産として計上しており、これらのたな卸資産として計上している太陽光発電所に関して連結会計年度末に資産の評価を行いますが、その結果、収益性が低下していると判断される場合には当該資産について簿価の切り下げを行うことがあります。簿価の切り下げが行われ、その金額が大きい場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(34)配当政策に関するリスク
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けています。しかしながら、現在当社グループは成長拡大の過程にあると考えており、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図り、財務体質の強化及び事業拡大に向けた投資に充当することで、さらなる事業拡大を実現することが株主に対する利益還元の最大化に繋がると考えており、設立以来無配となっています。将来的には、財政状態、経営成績、事業計画等を勘案しながら株主への利益還元策を決定していく方針ですが、現時点において、配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)太陽光発電に関するリスク
①運転開始済みの太陽光発電所について
太陽光発電における発電量は「日射量」に比例するところ、当社グループでは事前の日射量シミュレーションを実施していますが、かかる日射量は当社グループによるコントロールが及ぶ事象ではありません。国内においては、日射量の多い春季から秋季にかけての全国的な長期間の悪天候、新しい建物の建築や樹木の成長等による周辺環境の変化、また、降灰・粉じん・黄砂・ガス等による直達光・散乱光の減少さらに冬季にかけての降雪等により、当社グループの太陽光発電所が設置された地域における日射量が低下し、これにより当社グループの太陽光発電における年間総発電量が想定より減少した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、上記のような事象が発生した場合にこれに対応するための補修や追加設備の導入等に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなる場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②開発中の太陽光発電所について
当社グループは、太陽光発電所の開発に関して、EPC事業者との間で資材調達及び工事の諸条件を定めた契約を締結します。当該契約は、原則として綿密な設計計画を作成した上で合意・締結された固定金額の工事請負契約です。しかしながら、EPC事業者との契約範囲外の事由により、設計当初に想定しなかった追加工事が発生した場合や、天災、感染症(新型コロナウイルス感染症を含む。)等の不可抗力事由の発生により事業計画に遅延が生じた場合、又は発注先のEPC事業者の信用悪化事由の発生等により工事期間に影響が生じる場合には、工事請負契約の金額が増加したり、運転開始時期が遅延することにより当初の予定どおりに売上を上げることができなかったり、FIT売電期間が短縮化する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③認定取得済みの太陽光発電所について
太陽光発電所の着工に至るためには、地権者との交渉及び調整並びに関係省庁・自治体からの許認可の取得及び関係省庁・自治体への届出等が必要です。当社グループが手掛ける太陽光発電所の発電規模は相対的に大きいため、開発には一定の期間が必要となります。当社グループは、地権者、関係省庁・自治体と十分な調整を図り事業を進めておりますが、一定期間を過ぎても合理的な理由なく開発を進捗できず、管轄省庁の聴取に対して合理的な説明を行うことができない場合には、管轄省庁の判断にて既取得の事業計画認定が取り消される可能性があります。
④入札中の太陽光発電所について
当連結会計年度末現在、太陽光、風力及びバイオマスにかかる新規のFITの事業計画認定取得は原則として入札制度となっており、他社との競合により当社グループが開発を予定していた発電所について落札できず事業計画認定が取得できなかった場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)その他太陽光発電以外の電源に関するリスク
当社グループは、太陽光発電の他再生可能エネルギー電源の多様化を目的として、今後水力発電所及び風力発電所など太陽光発電以外の電源の開発にも着手しており、今後も更に拡大していくことを検討してまいります。水力発電及び風力発電等においても、関係省庁・自治体からの各種許認可の取得が必要になることに加え、環境アセスメントや地権者との十分な調整を図る必要があります。
当社グループは、開発シミュレーションを含む事前の十分な調査、地域や行政との十分な連携を図り、事業計画に遅延が生じないように対応しておりますが、環境アセスメントや地権者との調整において、当初予定していた期間を超過する場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの発電所の発電量は、水量や風況等に左右されます。当社グループは事前にシミュレーションを実施していますが、これらの水量や風況等は当社グループによるコントロールが及ぶ事象ではありません。
これらの水量や風況等が低下し、年間総発電量が想定より減少した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これにより当社グループの想定外の事象が発生し、これらに対応するための補修や追加設備の導入等に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなる場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、上記のような事象やその他想定外の事象が発生し、これに対応するための補修や追加設備の導入等に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなる場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)固定価格買取制度(FIT制度)に関する政策変更リスク
当社グループの主要事業である再生可能エネルギー事業においては、FIT制度に基づいた一般送配電事業者又は小売電気事業者等の購入者との契約により、長期間にわたる買取期間において固定価格で再生可能エネルギー電源からの電力供給を行っていますが、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制との両立を図るため、再エネ特措法が2017年4月1日に施行されたことに加え、2020年6月には、再エネ特措法の改正を含む、「エネルギー供給強靭化法」が成立し、当連結会計年度末現在、改正再エネ特措法は2022年4月1日より施行されることが予定されています。
これらの改正を経て、太陽光発電所を運営する事業者のコスト低減への努力を促すため、FIT制度において買取価格の入札制度が導入されました。このような政府のエネルギーに関する施策の変更、FIT制度又はFIT制度に関連する各種法令の改定が行われ、当社グループが、新制度に適時かつ適切に対応できない場合、又はこれに対応するためのコストや負担が増加した場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後はFIT制度に加え市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付するFIP制度の創設が予定されており、FIP制度においては電力市場における需要量に応じて売電収入が変動することになります。FIP制度への移行後において電力市場における需要量が当社グループの想定よりも少なかった場合等には当社グループは想定どおりの売電収入を得ることができず、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)出力制御に関するリスク
我が国の電力市場においては、年間のうち電力需要が小さい時期・時間帯において、火力発電及びバイオマス発電の抑制、地域間連携線を活用した他エリアへの送電等を行い、それでもなお発電量が需要量を上回る場合には太陽光発電及び風力発電の制御が行われ、その次に水力発電の制御が行われます。なお、需給バランスの調整のための太陽光発電及び風力発電に関する出力制御は、2021年4月1日以降に新規に接続を申し込む事業について、全国で無制限・無補償ルールが適用されます。また、電力会社による系統工事等に伴い、上記出力制御とは別に計画停電がなされることがあります。2018年10月、国内で初めて九州本土で離島を除く広域での出力制御が実施されました。九州本土における出力制御は、現在も継続して実施されています。
当社は、出力制御の実施予測についてシミュレーション分析を行った上で事業化の可否を判断していますが、かかる分析の結果、事業化を断念せざるを得なくなった場合又は事業化に成功した場合であっても想定を上回る出力制御が実施されることにより想定した売電収入を得られなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)事業環境に関するリスク
太陽光発電事業は、FIT制度の導入によって大量の事業者が市場に参入しましたが、買取価格の段階的引き下げに伴い、事業者の淘汰が進んでいます。当社は、このような厳しい事業環境のなかでも従来どおり開発案件の増強に努めるため、全国各地の地方公共団体、地域金融機関、地元の建設会社等とのネットワークを活用し、効率的に開発案件を発掘する体制を構築していますが、今後は、平坦地で造成コストが低く、開発コストが相対的に安価となる土地を発掘・取得することが徐々に困難になる可能性が考えられ、開発に適した土地が入手できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、開発事業の他、事業拡大の手段として、他の発電事業者等から稼働済みの太陽光発電事業の事業譲受を進めています。事業譲受は、直ちに売電収入が望めるという利点があるものの、デューデリジェンスによる正確な収益評価が重要になります。そのため収益評価の正確性が不十分な場合は、当社が期待する収益が計上されずに当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)系統連系に関するリスク
FIT制度の導入により太陽光発電事業が急拡大し、一部の電力事業者において、太陽光発電所による電力供給が系統内の電力需要量を上回り電力設備・接続条件が上限に到達したために、系統連系への接続遅延及び接続見合わせが発生しています。当社グループが開発を予定している太陽光発電所について、当初のスケジュールでの系統連系への接続が行われずに遅延、保留が発生し、その影響を受けて売電開始時期が遅延した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(7)事業計画認定に関するリスク
当社グループの再生可能エネルギー発電事業においては、FIT制度に基づいた「事業計画認定」を取得しています。しかし、FIT制度の規定に違反する等、認定された事業計画どおりに事業を実施していない場合や、認定時の基準に適合しなくなったと経済産業大臣が認めた場合には、当該認定は取り消されることがあります。当社グループとしては、発電を既に開始した発電設備の「事業計画認定」を取り消される可能性は相当程度限定的と考えていますが、取り消された場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)法令の遵守に関するリスク
当社グループは、事業運営において「建設業法」「建築基準法」「再エネ特措法」「電気事業法」「電気工事士法」「電気工事業の業務の適正化に関する法律」「宅地建物取引業法」等の法規制を受けており、特にEPC事業に関して特定建設業の許可を受けています。また、当社は、主に金融機関(以下「レンダー」といいます。)や機関投資家等の特定投資家(以下「投資家等」といいます。)に対する開発事業への匿名組合出資や集団投資スキームの私募の取扱業務等に関して、第二種金融商品取引業及び助言代理業の登録を受けており、「金融商品取引法」及び「犯罪収益移転防止法」を遵守する必要があります。当社は役職員の入社時及び継続的なコンプライアンス研修の実施により、役職員のコンプライアンス意識の強化・向上に努めていますが、役職員がその法令を十分に理解せずに業務を遂行した場合は、法令違反による罰則の対象となったり、許可・登録の取消等が行われたりすることで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(9)自然災害・天候に関するリスク
太陽光発電所をはじめとした再生可能エネルギー発電所は、山林を伐採し、造成を行い、適切な土地の形状にし、開発を行う場合があります。当社グループは、発電所開発時に詳細なデューデリジェンスを実施しておりますが、台風、豪雨あるいは地震といった自然災害が整地、造成された土地の崩落や太陽光発電所に設置された設備や機器の損傷、故障を引き起こし、期待された売電量を確保できずに当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は開発の進捗に応じて開発報酬を売上計上しています。したがって、自然災害等により、開発進捗が遅延した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは太陽光発電所開発を全国で展開しており、局所的な自然災害等の影響を最小化できると考えていますが、過度の積雪や降灰といった自然災害だけでなく、天候不順により太陽光発電所のパフォーマンスが十分に発揮されない場合、火災や停電、テロ行為、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの感染等により、発電所設備や遠隔監視システム等が正常に稼働しなくなった場合のほか、感染症(新型コロナウイルス感染症を含む。)により社会機能の障害が発生した場合、戦争、武装紛争等の人的災害、送電障害等の主要な社会的インフラ障害等が発生した場合には、当社グループの発電所について適切な管理やメンテナンスができなかったり、長期間の操業停止や発電所設備の大規模な修繕が必要となったりすることで、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(10)特定事業への依存に関するリスク
当社グループは、再生可能エネルギー事業を主な事業とする単一セグメントであり、そのなかでも太陽光発電所の開発に経営資源を集中させています。今後は、例えば太陽光発電以外の再生可能エネルギー(風力発電やバイオマス発電)発電所の開発や、小売電気事業といった新たな事業を育成し、収益力の拡大とともに事業の分散を図ることを検討していますが、事業環境の変化により、太陽光発電所の開発事業が縮小しその変化へ適切な対応ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(11)外注業者及び外注管理に関するリスク
再生可能エネルギー発電所の開発にあたり、測量や造成工事及びEPC工事等を外注業者に発注する場合があります。この場合、建築資材の価格や工事労務費の高騰により工事請負金額が上昇した場合には、開発コストが上昇する可能性があります。また、外注業者の信用情報の収集に努めていますが、外注業者が経営破綻した場合、工事遅延や請負契約の不履行等が発生する可能性があり、また、将来における外注業者が請け負うべき保証責任が履行されない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
外注業者への工事発注については、測量や造成工事及びEPC工事等、工事毎に直接見積取得を行っています。工事毎に見積もりを取得するのは、適正な競争が行われること、また各業者と直接交渉するため施工の信頼性や品質の確保等が期待できます。当社の施工業務には多数の外注業者が関わることになりますが、開発件数の増加や開発エリアの拡大に伴い外注業者を十分に確保できない場合、又は、外注業者の経営不振や繁忙等により工期が遅延した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(12)再生可能エネルギー発電所開発に際しての土地所有者や周辺住民との調整に関するリスク
再生可能エネルギー発電所の開発にあたっては、建設地の周辺環境に配慮し、関係する法律や自治体の条例等を遵守して開発計画を立案し、事前に土地所有者や周辺住民に対して説明会を実施しています。ただし、開発計画に対して土地所有者や周辺住民の理解が得られず調整が難航する場合があります。その場合、開発計画の変更、工事期間の延長、追加費用の発生等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(13)契約不適合責任に関するリスク
再生可能エネルギー発電所の開発において、当社がEPC工事を手掛ける場合、その工事請負契約において、目的物の契約不適合責任を負うことが定められています。当社は、これまでのEPC開発において得た知見の活用により契約不適合責任を負うことのないように努めておりますが、当該期間中に重大な契約不適合が認められた場合は、その修補を行う必要があるだけでなく、損害賠償金の支払いも求められる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(14)重大事故の発生に関するリスク
当社は開発工事における安全対策や品質管理には万全を期していますが、人身や施工物に関わる重大な事故が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(15)訴訟等に関するリスク
当社グループは取引先等との紛争未然防止に努めていますが、何らかの理由により訴訟が発生する場合があります。例えば、開発工事にあたっては周辺環境への配慮を含めた安全対策や品質管理に努めていますが、訴訟により当社に損害賠償責任等が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(16)当社グループの業績に関するリスク
当社グループは、再生可能エネルギー発電所開発事業において、開発事業の進捗管理を徹底するなど発電開始時期の遅延が生じないよう努めております。工事完成基準を適用するものについては、発電開始時(合同会社への再生可能エネルギー発電所の引渡時)に、EPC請負報酬を売上計上しております。このため、発電開始時期(引渡時期)の偏りや同時期が期末を超えて遅延した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
再生可能エネルギー発電所の取得においては、主に匿名組合出資を通じ、リスクを出資額に限定しながら再生可能エネルギー発電所の取得を行っており、取得した物件の売却の決済時に引渡しとともに売上高を計上していますが、取得した物件の売却が予定どおりに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(17)開発プロセスの進捗に伴う開発報酬に関するリスク
当社グループにおける再生可能エネルギー発電所の開発事業においては、地権者との協定書締結、各種許認可取得、エンジニアリング、ファイナンスの組成、建設管理といったプロセスがあります。当社は、再生可能エネルギー発電所を所有するSPCに対して、再生可能エネルギー発電所設立に係る重要な許認可の取得、エンジニアリング、土地確保及びファイナンス関連契約の締結に係る開発支援等の業務を提供しており、開発支援に係る役務の提供完了をもって、SPCから開発報酬を受領する場合があります。開発報酬の計上金額は、各連結会計年度における新規発電所に係る開発支援業務完了の有無又はその規模・件数により変動します。そのため、開発報酬の計上の時期により売上収益及び利益は増減する傾向にあります。
当社は、開発段階におけるSPCに対する匿名組合出資持分が持分法適用会社である場合は、当該開発報酬は当社の未実現利益を控除した金額を売上計上します。開発報酬を計上したものの、開発報酬を受領する前に何らかの事由により開発が中止された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが推進する再生可能エネルギー発電所の開発スケジュールの遅延が生じた場合には、開発報酬の計上時期も遅延することとなり、当該連結会計年度における当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)発電所売却に係る収益構造と連結財務諸表における会計処理に関するリスク
当社グループの収益構造は、フロー型収益である開発報酬、EPC報酬及び発電所売却収入と、ストック型収益である売電収入等、AM報酬及びO&M報酬から成りますが、フロー収入を構成する合同会社による発電所の売却にあたっては、連結子会社である合同会社が保有する販売用発電所について設備売却を行う場合と当社が匿名組合出資持分の売却を行う2つの売却手法があります。匿名組合出資持分の売却は、当社が売主となり、投資家は、匿名組合出資持分を取得するとともに実質的に発電所を保有する合同会社を取得するという形態となります。この場合、合同会社が借入れた借入金や、その他合同会社が有する全ての債権債務や権利義務の全てを承継することになります。発電事業者は引き続き合同会社であるため、発電事業者としての経済産業省への登録変更手続きなどは生じませんが、一方、投資家におけるデューデリジェンスは、発電設備と合同会社の両方を実施することになり、投資家は、発電設備と合同会社の両方のリスクを負うことになります。設備売却は、合同会社が売主となり、投資家は、発電設備の購入資金を自ら調達し、発電事業者としての経済産業省への登録変更手続きなども必要になります。発電設備の購入は、合同会社が有する全ての債権債務等から切り離されますので、投資家は合同会社のリスクを負うことはありません。
連結子会社である合同会社が設備売却により発電所の売却を行う場合には、発電所の売却価額総額を売上計上し、発電所の簿価が売上原価として計上される一方、当社が売主として匿名組合出資持分の売却を行う場合には、当社の匿名組合出資持分部分のみが売却価額となり、また、売却価額と簿価の差額が売上高又は売上原価として計上されます。基本的には、いずれの会計処理方法によっても親会社株主に帰属する当期純利益には影響を及ぼしませんが、当社グループがいずれの売却手法を採るかは、投資家の判断にも拠るものであり、売却手法によって当社の連結財務諸表上の売上高に大きな差が生じます。当社グループの計画策定においては、原則として保守的に匿名組合出資持分の売却を所与として策定しておりますが、当初計画上見込んでいた売却手法と異なる売却方法を採った場合、当社グループの売上高は大きく変動する可能性があります。
(19)関係会社におけるスポンサーサポートに関するリスク
当社グループにおいて発電事業を運営するSPC各社は、発電所建設に際して、レンダーからの資金調達(借入金)を行います。SPCの業績悪化等、一定の条件が発生した場合には融資関連契約に従い、当社を含むSPCへの出資者はSPCに対するスポンサーサポート義務を負う場合があります。太陽光発電所に関してはプロジェクトファイナンスの組成実績が豊富であるため、一般的に融資関連契約に規定されるスポンサーサポートは他の再生可能エネルギー電源に比べると限定的となる傾向にあります。
当社グループの太陽光発電所を運営するSPC各社において、不測の事態により発電を行うことができない場合や、想定以上の悪天候が複数年連続した場合等、これらの要因により工事費の計画超過又は財務制限条項の指標の悪化等融資関連契約に定められた事象に該当したときは、当社はSPCの出資者として、一定の限度額内において追加出資等の義務を負う場合があります。また、当社が出資する太陽光発電以外のSPCにおいては、不測の事態により収益性が計画を大きく下回った場合等により、当社による追加出資が必要となる場合があります。これらの場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)東急不動産グループとの関係に関するリスク
①東急不動産グループとの資本的関係について
当連結会計年度末現在、東急不動産株式会社(以下「東急不動産」といいます。)は当社株式の17.15%(2021年12月31日時点)を保有しており、同社及び同社の100%親会社である東急不動産ホールディングス株式会社(以下「東急不動産ホールディングス」といいます。)は当社のその他の関係会社となります。また、東急不動産は当社子会社のアールジェイ・インベストメント株式会社の株式を33.4%保有しています。当社と東急不動産グループとの間における主な取引は、東急不動産の保有する太陽光発電所のAM業務及びO&M業務の受託があります。
東急不動産グループとの取引に当たっては、当社のガイドラインである「関連当事者取引ガイドライン」に則り、検討を経た上で適切に実施しております。
②東急不動産ホールディングス及び東急不動産の承認等について
当社には東急不動産ホールディングス及び東急不動産の事前承認又は事前報告を必要とする取引や業務は存在しません。
③東急不動産の競合関係について
東急不動産は再生可能エネルギー事業を行っており、当社グループとの間で開発用地取得や発電所の開発に際して競合関係が発生する可能性があります。また、稼働済みの発電所の取得の場面においても競合関係となる場合があります。そのため、当社グループが特定の事業候補地で事業開発を進めるにあたり、東急不動産が当該候補地を確保することや公募事業で東急不動産が採択される等により、当社グループの予定している開発を中止又は変更した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④東急不動産との取引関係について
当社と東急不動産は、2017年8月に再生可能エネルギー事業の共同推進を目的とし、資本業務提携契約を締結しました。当社グループは、再生可能エネルギー発電所の開発・運営に関する事業用のSPCに対して東急不動産と共同出資しています。
また、同社又は同社が出資するSPC等との間に、発電所の売買契約、O&M契約及びPJM(プロジェクトマネジメント)契約等を締結する形で取引が発生しています。
上記のとおり当社グループは東急不動産ホールディングス及び東急不動産とは資本・業務上において密接な関係があり、今後とも東急不動産ホールディングス及び東急不動産とは良好な関係を継続する所存ですが、同社の事業戦略方針の転換等により、同社との関係に変化が生じる場合には、再生可能エネルギー発電所の開発・運営に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(21)日本再生可能エネルギーインフラ投資法人との関係に関するリスク
当社は日本再生可能エネルギーインフラ投資法人の運用会社であるアールジェイ・インベストメント株式会社の親会社であり、当社は同投資法人のスポンサーとして、当社グループが保有する再生可能エネルギー発電所の優先的情報提供及び優先的売買交渉権を付与しています。
そのほか、発電所取得業務等の選定、O&M業者の選定等を含む業務支援をしています。
当社グループが同投資法人又は子会社であるアールジェイ・インベストメント株式会社との間で取引等を行う場合は、アールジェイ・インベストメント株式会社において、コンプライアンス委員会、投資運用委員会、投資法人役員会、取締役会等のプロセスを経て意思決定が行われることとなっており、利益相反取引を排除する体制としています。しかしながら、万一、当社グループと同投資法人との取引に際し、利益相反が問題となる状況が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社が保有する再生可能エネルギー発電所の売却先については、私募ファンド等もありますが、当社は上記のとおり同投資法人のスポンサーとして、同投資法人の外部成長をサポートする役割を担っており、保有する再生可能エネルギー発電所の売却については、同投資法人に対し、優先的売買交渉権を付与しています。当社グループの売上高に占める割合のうち、同投資法人への再生可能エネルギー発電所の売却から得る売上高は、当連結会計年度は2.7%となっております。
当社は再生可能エネルギー発電所を同投資法人に優先的売買交渉権に基づき売買交渉を行いますので、同投資法人との売買交渉が決裂し、他の売却先に売却する場合、売却スケジュールが遅延する可能性があります。また、同投資法人が優先的売買交渉権を有していても、市場環境の悪化等により、同投資法人が資金調達できない等、当社の保有する再生可能エネルギー発電所の売却が困難となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(22)海外からの調達に伴うリスク
当社は太陽光パネルを海外から調達していますが、海外の政治・経済の情勢等により、太陽光パネルの価格の高騰や供給停止等といった事象が発生する可能性があります。例えば太陽光パネルの主要な原材料である金属シリコンは世界シェアの約8割が中国で生産されていますが、米国の中国からの金属シリコンの輸入禁止措置により価格が高騰しており、太陽光パネルの価格も影響を受ける可能性があります。今後、太陽光パネルの価格上昇や供給停止等が発生しかつ代替品の確保が困難な状況等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(23)半導体不足が太陽光発電事業に与える影響に関するリスク
当連結会計年度末現在、世界的に半導体不足が深刻化し太陽光発電事業にも影響が出始めており、今後、当社が調達している太陽光発電システムの主要部品であるパワーコンディショナー(発電した直流電力を交流電力に変換する機器)の生産遅延が発生する可能性があり、その動向は常に注視しておりますが、それにより開発中又は開発予定の太陽光発電所の工事が遅延する等の影響が出た場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(24)企業統治に関するリスク
当社グループは企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題の一つと位置付けており、内部監査室による内部監査の実施や監査役監査の実施等で適切な監査体制を維持・構築しております。一方、当社グループは、取締役会設置会社及び監査役会設置会社としてガバナンス体制を構築してから日が浅いことや、急速な事業拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、事業遂行に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(25)特定経営者への依存に関するリスク
代表取締役社長である眞邉勝仁は、再生可能エネルギー業界に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、重要な取引先との交渉、利益計画の策定・推進等、会社運営の全てにおいて重要な役割を担っています。今後、エネルギー事業の専門家等優秀な人材の採用・育成等、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めてまいりますが、何らかの事情により、同人が離職した場合、又は十分な業務執行が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(26)ストック・オプション行使による株式価値の希薄化に関するリスク
当社グループは、役員、従業員及び取引先へのインセンティブ付与を目的として、新株予約権(以下「ストック・オプション」といいます。)を付与しており、発行済株式総数に対して5.64%(2021年12月31日時点)の潜在株式が存在しています。このストック・オプションが行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、ストック・オプションの行使により発行された当社普通株式が株式市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
(27)レピュテーションに関するリスク
再生可能エネルギー業界を対象とした否定的な内容の報道、インターネット上の掲示板への書き込み等がなされ、拡散した場合に顧客や市場関係者間の評判が悪化することにより、当社グループの業務遂行及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
(28)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、個人情報や取引先の機密情報を取り扱っています。これらの情報管理に万全を期するため、管理体制の構築、社内規程の整備、システム上のセキュリティ対策をはかるとともに、研修等により役職員の情報管理意識の向上に努めています。しかしながら、万一、当社グループの故意・過失、又は第三者のサイバー攻撃等により情報漏えいが発生した場合、当社グループに対する損害賠償や信用力の低下により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(29)人権問題に関するリスク
世界的な人権に対する配慮の高まりにより、当社グループだけでなくそのサプライチェーンでの人権問題にも配慮が求められており、当社グループは内規である「行動規範」に基づき、顧客のみならず、地域社会、国際社会等からの信頼と信用の下に成り立っている事を認識し、また、グローバルレベルで社会に対する責任を負っている事を認識し行動しておりますが、当社グループ又は当社グループと取引関係にあるサプライチェーンによる人権問題への取り組みが不十分とみなされた場合、当社グループにおける社会的信用の毀損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(30)金利変動に関するリスク
当社グループは、レンダー及び投資家等から資金調達し事業運営に取り組んでいます。レンダー及び投資家等が国債等の市場金利を投資判断の指標としている場合に、金利水準が上昇し、再生可能エネルギー発電所への貸付及び投資から得られる利回りが相対的に低下すると、資金調達が困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(31)資金繰りに関するリスク
開発事業において、レンダー及び投資家等から資金調達する前に発生する測量調査等の諸経費は、自己資金やコーポレートローン等により調達した資金で賄っています。自己資金あるいは当社の信用力に基づくコーポレートローンの資金調達ができず、資金繰りが困難となった場合、開発事業がスケジュールどおりに進捗せず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(32)有利子負債依存度に関するリスク
当社グループは、再生エネルギー発電所にかかる開発資金を、金融機関からの借入等により調達しています。最近2連結会計年度における、有利子負債残高、有利子負債依存度及び支払利息の推移は下表のとおりであります。
今後は、営業活動によるキャッシュ・フローの拡大から生み出される余剰資金及び財務活動による増資等により、有利子負債依存度の改善を進め、財務体質の強化に努める方針ですが、事業の拡大に伴い金融機関からの借入が増加し、金融情勢の変動により金利が大幅に上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
前連結会計年度 (2020年12月31日) | 当連結会計年度 (2021年12月31日) | |
有利子負債残高(千円) | 53,842,927 | 99,577,190 |
有利子負債依存度(%) | 84.9 | 83.1 |
支払利息(千円) | 770,882 | 1,079,178 |
2.有利子負債依存度とは、総資産に占める有利子負債の比率です。
(33)保有資産の評価に関するリスク
当社グループは、売却前の太陽光発電所をたな卸資産として計上しており、これらのたな卸資産として計上している太陽光発電所に関して連結会計年度末に資産の評価を行いますが、その結果、収益性が低下していると判断される場合には当該資産について簿価の切り下げを行うことがあります。簿価の切り下げが行われ、その金額が大きい場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(34)配当政策に関するリスク
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けています。しかしながら、現在当社グループは成長拡大の過程にあると考えており、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図り、財務体質の強化及び事業拡大に向けた投資に充当することで、さらなる事業拡大を実現することが株主に対する利益還元の最大化に繋がると考えており、設立以来無配となっています。将来的には、財政状態、経営成績、事業計画等を勘案しながら株主への利益還元策を決定していく方針ですが、現時点において、配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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