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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1001III

有価証券報告書抜粋 オンコリスバイオファーマ株式会社 事業の内容 (2013年12月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社の事業セグメントは、「医薬品事業」と「検査薬事業」の二つです。「医薬品事業」は、医薬品の研究・開発・製造・販売を事業目的とし、「検査薬事業」は、検査薬の研究・開発・製造・販売及び検査機器の開発・製造・販売ならびに検査サービスの提供を事業目的としています。
当社は、「ウイルス」というキーワードに基づいた研究開発を行い、「癌と重症感染症」を対象に安全で有効な新薬を創出すること、及びウイルスの遺伝子改変技術を活かした新しい検査サービスを提供することで、世界中の癌・重症感染症の治療に寄与することを使命としています。
医薬品事業においては、腫瘍溶解ウイルスOBP-301(テロメライシンⓇ)やエピジェネティック癌治療薬OBP-801など医薬品候補品の開発を初期臨床試験又は外部評価が可能なステージまで進め、製薬企業にライセンスアウトし、開発進捗に応じたマイルストーン収入を得るとともに、上市後はロイヤリティ収入を得ることを基本的な事業方針としています。
検査薬事業においては、医療機関にOBP-1101(テロメスキャンF35)を用いた血中浮遊癌細胞(CTC)検査センターが開設されることを目指し、各種ウイルスによる特殊検査プラットホームビジネスを構築することを基本的な事業方針としています。
なお、医薬品事業及び検査薬事業ともにアウトソーシングを積極的に活用することで、開発期間の短縮化・開発経費の最適化を図っています。

当社の事業系統図は以下の通りです。

[事業系統図]
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(1) 当社の収益モデルと事業領域
当社の医薬品事業は、大学等の研究機関や企業から新たな医薬品候補を導入し、当社で前臨床試験及び初期臨床試験を実施し、その製品的価値の初期評価であるProof of Concept(POC)を確認した上で、大手製薬企業・バイオ企業にライセンス許諾を行う事により、契約一時金収入・開発進捗に応じたマイルストーン収入・上市後のロイヤリティ収入を獲得する収益モデルです。
また、検査薬事業は、現在は少量の検査ウイルス販売や研究目的受託検査を行う検査サービスによる収益モデルです。しかし、将来は研究目的受託検査で蓄積したノウハウにより検体大量処理を実現させることで、検査会社や医療機関がOBP-1101(テロメスキャンF35)を用いた血中浮遊癌細胞(CTC)検査センターを開設し、当社が検査キットやユニットを検査会社や医療機関に提供する収益モデルを目指しています。

当社のウイルス研究に基づく医薬品・検査薬開発は、これまでにあまり例のない新しい技術であることから開発難度は高く、既存の製薬企業が取り組みにくい分野です。
医薬品事業において、HIV感染症治療薬OBP-601は、ライセンス先のBristol-Myers Squibb Co.(米国)主導で既に世界規模のPhaseⅡb臨床試験(用法・用量設定試験)を実施中です。また、新規の癌治療薬として開発を行っているアデノウイルス製剤OBP-301(テロメライシン®)は、既存の抗癌剤と異なり、癌局所に作用する全く新しい癌治療薬として有効性と安全性が期待され、従来の抗癌剤による副作用に悩む方々のQOL(Quality Of Life)向上に貢献できる可能性があります。エピジェネティック癌治療薬OBP-801は、癌細胞の増殖抑制や細胞死の誘導による高い有効性が期待されています。

一方、検査薬事業において、当社が開発対象とする遺伝子改変ウイルスを用いた検査薬OBP-1101(テロメスキャンF35)は、これまでのバイオマーカーでは出来なかった癌患者の予後検査(再発予測)や癌の超早期発見に寄与する可能性があります。さらに、癌組織の生検(針刺し採取)をすることなしに血中に存在する癌細胞を採取する事が可能になると考えられるため、癌遺伝子の解析がより容易となり、その後の適正な医薬品の選定に寄与する全く新しい癌検査法として期待されています。また、将来的には本技術を応用して炎症性疾患及び白血病等の領域にも拡大していくことを目指しています。

医薬品研究開発の一般的なプロセスは以下の通りです。

[医薬品研究開発の一般的なプロセス]
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〔※1〕探索
新薬のもとになる候補化合物を探し出すプロセスです。化学物質、微生物、遺伝子などの中から、将来薬になる可能性がある新しい物質(成分)を発見し、化学的に作り出す段階です。

〔※2〕前臨床試験
基礎研究で特定された薬剤候補化合物を対象に、生物化学的試験として、動物や培養細胞を用いて安全性や有効性について調べる試験です。化学的試験として、製造方法、原薬・製剤の規格・安定性などを調べる試験です。

〔※3〕Phase I臨床試験
第1相臨床試験とも呼ばれ、治療効果を見ることを目的とせず、少数の健康な志願者を対象に、試験薬を初めてヒトに投与する試験で、主に安全性や体内における薬の分布や代謝を確認する試験です。

〔※4〕Phase II臨床試験
第2相臨床試験とも呼ばれ、限定された患者に試験薬を投与し有効性と安全性を探ることで、臨床的有用性の探索を主な目的とした試験です。探索的試験とも言われ、Phase IIa臨床試験とPhase IIb臨床試験に区分されることもあります。

〔※5〕Phase III臨床試験
第3相臨床試験とも呼ばれ、多施設にわたる多数の患者に試験薬を投与する大規模な試験で、実際に市場で用いられる場合の有効性と安全性を評価することを主目的とする試験です。検証的試験とも呼ばれ、承認申請に向けた効能・効果、用法・用量、使用上の注意等を最終的に決めることを目的とした試験です。

〔※6〕申請・承認
臨床試験で有効性や安全性などが証明された治験薬について、新薬承認申請書類を作成し、各国の規制当局に製造販売承認申請を行います。数段階の審査を受けた後に薬として承認され、市場に出ることになります。

現在当社は、医薬品事業における主力パイプラインとして、
1)HIV感染症治療薬OBP-601
2)腫瘍溶解ウイルスOBP-301(テロメライシン®)
3)エピジェネティック癌治療薬OBP-801
を位置づけています。これ以外にも、
4)ウイルス感染症治療薬候補品(OBP-AI-001及びOBP-AI-002)
を保有しています。
現在までに、医薬品事業において2010年12月にOBP-601をBristol-Myers Squibb Co.(米国)とライセンス導出契約を締結し、現在同社主導で世界規模のPhaseⅡb臨床試験が展開されています。
また、検査薬事業における主力パイプラインとして
1)血中浮遊癌細胞(CTC)検出用ウイルスOBP-1101(テロメスキャンF35)
2)炎症性疾患検出用ウイルスOBP-401(テロメスキャン®)
3)白血病検出用ウイルスOBP-1102
を保有しています。
OBP-1101(テロメスキャンF35)、OBP-401(テロメスキャン®)並びにOBP-1102の早期事業化に向けた開発を進めるとともに、OBP-1101(テロメスキャンF35)の研究目的受託検査を行っています。
今後も難治性ウイルス感染症や大企業が着手しないアンメット・メディカル・ニーズ[※1]・オーファン疾患[※2]に対象を拡大してパイプラインを充実させて参ります。
現時点における当社のパイプラインは以下の通りです。

[パイプライン開発進捗状況]
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注:基礎研究:ウイルスの機能解析を行う。
臨床研究:臨床検体を用いて、実現可能性の検討を行う。
臨床性能試験:薬事申請を目標とした臨床性能試験を行う。

また、当社は基本戦略として、前臨床ならびに臨床試験に要する時間の大幅な短縮を実現するために、アウトソーシングを活用したファブレス経営〔※3〕モデルを構築し、必要人員の絶対数を削減し、統括的なプロジェクトマネジメントに特化した人財を重点的に確保・育成しています。製造・非臨床及び前臨床試験・臨床試験を積極的に外部委託していますが、外部委託に係る実施計画策定やプロトコール〔※4〕の作成と承認・最終の決定権は契約上当社が担保しています。

〔当社の収益モデルと事業領域にかかる用語解説〕
〔※1〕アンメット・メディカル・ニーズ
いまだに有効な治療法が確立されておらず、強く望まれているが、医薬品などの開発が進んでいない治療分野における医療ニーズです。

〔※2〕オーファン疾患
薬事法上対象患者が5万人以下の稀な疾患です。

〔※3〕ファブレス経営
ファブレス経営(Fabless Business)とは、自社で独自に企画・設計した製品を、他社に委託し製造する経営手法をいいます。生産設備のようなストックをできるだけ持たない手法であることからフロー型経営とも呼ばれる、製造業におけるアウトソーシングの一形態です。

〔※4〕プロトコール
プロトコール(Protocol)とは、治験実施計画書とも呼ばれます。臨床試験(治験)を実施するにあたって、その実施者(臨床試験を実施する医療機関)及び依頼者(製薬企業)が遵守しなければならない要件事項を全て網羅記載した実施計画書の事を指します。臨床試験の背景、根拠及び目的を定めるとともに、統計学的な考察も含めて、臨床試験実施のデザイン、方法及び組織について記述します。


(2) 医薬品事業について
医薬品事業における主なパイプラインは以下の通りです。
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① HIV感染症治療薬OBP-601:
OBP-601は、HIV[*1]の複製に必須である逆転写酵素を阻害することを作用機序とする、新規のHIV感染症治療薬です。鹿児島大学附属難治ウイルス病態制御研究センターの馬場昌範教授、元昭和大学薬学部の田中博道教授、Yale大学医学部(米国)のYung-Chi Cheng教授らの共同研究により見出されたチミジン誘導体[*2]の核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)[*3]です。既存のHIV感染症治療薬に耐性を持ったウイルスに対して幅広くかつ強力な抗HIV活性を示すとともに、これまでHIV感染症治療薬で問題となってきた神経障害や脂質代謝異常といった副作用が軽減される可能性があります。
当社のOBP-601は、下図の通り細胞内に侵入したHIVウイルスの持つRNAが細胞内でDNAに逆転写される時に作用する酵素の働きを阻害することで、HIVの複製の第一段階を阻害します。


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a)対象疾患
OBP-601は、HIV感染症を対象疾患としています。

b)技術導入の概況
当社は、OBP-601の特許を出願・保有するYale大学(米国)との独占的ライセンス契約を2006年6月に締結しています。

c)アライアンスの状況
当社は、2010年12月にOBP-601の全世界における独占実施権を、Bristol-Myers Squibb Co.(米国)にライセンス導出し、契約一時金を受領いたしました。本ライセンス導出契約の締結により、今後は、OBP-601の研究・開発・販売に至る全ての費用を、ライセンス導出先であるBristol-Myers Squibb Co.(米国)が負担することになります。
また、契約一時金に加え、Bristol-Myers Squibb Co.(米国)から第1回及び第2回マイルストーン収入を受領しています。今後も、当社は開発の進捗に応じて段階的にマイルストーン収入を獲得致します。さらに、当パイプラインの承認・上市後は、販売実績に応じたロイヤリティ収入と、一定金額の販売達成時のマイルストーン収入を獲得することとなります。
ロイヤリティ収入を除く、ライセンス契約による当社の収入総額は、最大で2億8,600万ドルとなる見通しです。

d)研究開発の概況
OBP-601は、2008年5月より米国において健康成人男子を被験者とするPhase Ia臨床試験を実施し、さらに同年11月より、フランス国内の6施設においてHIV感染症患者32例に対して安全性と有効性を検討するPhase Ib/IIa臨床試験を実施し、予定通り完了いたしました。
上記臨床試験の結果から、
1)臨床的に問題となる副作用は認められませんでした。
2)経口投与後に本剤は速やかに吸収され、その後全身に分布し、その80%が未変化体として48時間以内に尿中に排出されることが判明しました。また、これらの試験で薬動力学的評価を行った結果、HIVの増殖を一定値以上阻害するために必要なOBP-601の投与量が、動物試験等で求められた最大無毒性量(No Observed Adverse Effect Level, NOAEL=毎日摂取(曝露)しても副作用などの悪い影響が出ない最大投与量)である100mg/kg(体重60kgの人に対して6g)を理論上大きく下回り、安全な投与量で十分な効果が得られる可能性を強く示唆しました。
3)OBP-601は、リンパ球内で三リン酸体に変化することで活性型となりHIVの増殖を阻害しますが、この三リン酸体が長時間にわたりリンパ球内で一定以上の濃度を保つ結果が得られました。すなわち本剤が尿中に排出された後も、リンパ球内に残存する活性型により長時間効果が持続することが判明しました。
4) 本剤は臨床において1日1回100~600㎎を経口投与することが予測されました。
さらに、前臨床試験の結果から、OBP-601は既存のHIV感染症治療薬に対する耐性ウイルスのほぼ全てに対して強力な抗ウイルス活性を示すことが確認され、更に世界各地に存在するHIVウイルスの亜種に対しても同様に強力な抗ウイルス活性を示しており、既存のHIV感染症治療薬に比べ優れた効果が期待できると判断されました。
Bristol-Myers Squibb Co.(米国)とのライセンス契約締結により、同社主導にて17か国94施設での世界同時治験のネットワークを用いてOBP-601のPhase IIb臨床試験が進行中です。当社はBristol-Myers Squibb Co.(米国)より定期的な進捗報告を受けるほか、随時開発進捗をチェックしています。

e)製造体制
当社では、OBP-601の自社製造を行っておりません。また、Bristol-Myers Squibb Co.(米国)とのライセンス契約締結により、今後は、同社主導にて製造を行っていきます。

f)販売体制
Bristol-Myers Squibb Co.(米国)とのライセンス契約締結により、承認・上市後は同社にて販売を行っていきます。


② 腫瘍溶解ウイルスOBP-301(テロメライシンⓇ):
OBP-301(テロメライシンⓇ)はアデノウイルス[*4]を遺伝子改変した製剤であり、その遺伝子配列の先端にヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT = human Telomerase Reverse Transcriptase)[*5]のプロモーター[*6]配列を導入することで、癌細胞特異的に増殖し、癌細胞を溶解させるメカニズムを有しています。
5型のアデノウイルスは自然界にも存在し、ヒトに扁桃腺炎を発症させることがありますが、人体への致死的な影響は極めて低いことが医学的に認められています。また、5型のアデノウイルスは、遺伝子治療用ベクター(遺伝子搬送体)としてこれまで数多く臨床試験で用いられており、その安全性は既に多くの臨床試験で確認されています。
テロメラーゼは、主に癌細胞で特異的に発現していることが明らかになっており、癌細胞がその高い増殖能力を維持するメカニズムの一つとして認識されています。
OBP-301(テロメライシンⓇ)は、テロメラーゼ活性の高い癌細胞において特異的に増殖することで癌細胞を溶解させる強い抗腫瘍活性を示し、正常細胞中での増殖能力は極めて低いことにより、臨床的な安全性を保つことが期待されています。また、放射線治療や化学療法剤との併用により、更に強力な抗腫瘍活性が導き出せる可能性が報告されています。
OBP-301(テロメライシンⓇ)は、手術療法・放射線療法に続く第3の癌局所療法として臨床現場で有用されることを目指しています。
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a)対象疾患
肝臓癌や食道癌などの固形癌を対象にします。

b)技術導入の概況
当社は、OBP-301(テロメライシンⓇ)の開発にあたって、TLO法〔*7〕に基づく知的財産管理機関である関西ティー・エル・オー株式会社から、「特許権又は特許を受ける権利」を正当に譲り受け、事業化が推進できる体制を築いています。
その結果、OBP-301(テロメライシンⓇ)は、2006年10月に日本国内の特許(特許第3867968号)を、2012年4月に米国における特許(米国特許第8,163,892号)を取得しています。本書提出日時点において、以下の海外主要諸国においても特許取得もしくは出願中です。日本の特許は、当社と関西ティー・エル・オー株式会社の共有、海外指定国における特許及び特許出願は当社単独で保有しています。

特許取得済みの国日本・米国・南アフリカ・シンガポール・ニュージーランド・オーストラリア・中国・香港・韓国・カナダ
特許出願中の国欧州

OBP-301(テロメライシンⓇ)は、関西ティー・エル・オー株式会社より「特許権又は特許を受ける権利」を正当に譲り受け、事業化が推進できる体制を築いていますが、一部の要素について他社が保有する特許に関連しています。そのため、当該他社特許期間の満了前に製造販売承認を受け、製造販売を開始する場合には、当該他社特許のライセンス導入を受ける必要があります。また、当該他社特許期間の満了前にOBP-301(テロメライシンⓇ)を他社にライセンス導出する場合には、当該他社特許のライセンスを受ける必要性を、ライセンス導出先が考慮することになります。
当社は、必要に応じて当該他社特許のライセンス導入に努めてまいりますが、万一、適時に当該他社特許のライセンスを受けることができない場合には、当該他社特許の満了時期まで製造販売を開始する時期やライセンス導出する時期を遅らせなければならない可能性があります。
しかしながら、OBP-301(テロメライシンⓇ)は、現在の臨床開発計画上、順調に開発が進んだとしても、製造販売承認を受ける時期は当該他社特許期間の満了以降です。また、当社は、本書提出日時点において、当該他社特許権者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりません。
そのため、当社独自で製造承認取得まで開発する場合、OBP-301(テロメライシンⓇ)を他社へライセンス導出する場合のいずれであっても、事業自体の継続に大きな支障をきたすものではないと考えています。

c)アライアンスの状況
2008年3月にMedigen Biotechnology Corp.(台湾)と戦略的アライアンス契約を締結致しました。現在同社とともに、韓国及び台湾での肝臓癌を対象としたPhase I/Ⅱ臨床試験の準備を進め、早期にPOCを確認し、大手製薬企業へのライセンスを目論んでいます。

d)研究開発の概況
当社がこれまでに実施した前臨床試験では、様々な癌細胞に対して優れた抗腫瘍効果を示し、毒性試験並びに生物学的分布試験においても安全性上問題となるような所見を示しませんでした。その結果、2006年8月にFDA(米国食品医薬品局)/CBER(生物医薬品局)から各種固形癌患者を対象としたPhase I臨床試験実施の許可を得、米国において単回投与16例及び反復投与6例の試験を完了致しました。その結果、高度な副作用は認められず、一部患者での腫瘍縮小効果が認められました。
国内では、岡山大学における食道癌及び頭頸部癌を対象とした放射線との併用療法に関する臨床研究について、2012年8月に厚生労働省より実施承認を得て、2013年11月に食道癌患者に対して第一例目の投与を行っています。
また、OBP-301(テロメライシンⓇ)は、アジア圏で著しく増えている肝臓癌を対象とする開発に関して、既にPhaseⅠ/Ⅱ臨床試験のプロトコールがFDAより認められています。今後は2008年3月に戦略的アライアンス契約を締結したMedigen Biotechnology Corp.(台湾)と共に韓国・台湾での臨床試験を開始し、早期のPOCの確認を目指しています。

e)製造体制
当社は、OBP-301(テロメライシンⓇ)について自社でGMP〔*8〕製造を行わず、Lonza Houston, Inc.(米国)に定期的な品質試験の実施と共に、今後の製造を委託しています。

f)販売体制
当社は、OBP-301(テロメライシンⓇ)に関して、開発権及び販売権の許諾を目指す活動を行っています。現在は、当社が想定する将来のアライアンス候補先である製薬企業やバイオ企業に対して、OBP-301(テロメライシンⓇ)の研究開発進捗状況を随時情報提供しライセンス交渉の機会を作っています。
しかしながら、ウイルス製剤であるOBP-301(テロメライシンⓇ)は、特に日本において特殊なデリバリー体制構築が必要な可能性があります。日本国内の販売につきましては、ライセンス導出先の流通体制支援や国内販売体制の構築など、OBP-301(テロメライシンⓇ)の流通スキームの支援を行う可能性があります。


OBP-301(テロメライシンⓇ)は、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)遺伝子プロモーターをアデノウイルス5型のE1領域〔*9〕に組み込み、更に同領域にIRES配列〔*10〕を導入することによって癌細胞内での複製効率を高めた制限増殖型の腫瘍溶解ウイルスです。
OBP-301(テロメライシンⓇ)のDNA構造は以下の通りです。
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③ エピジェネティック〔*11〕癌治療薬OBP-801
OBP-801は分子標的抗癌剤[*12]であり、癌のエピジェネティック治療薬の一つであるヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase; HDAC)阻害剤です。
近年のエピジェネティック研究により、染色体のアセチル化やDNAメチル化などの後天的な遺伝子修飾異常が発癌機構に強く関与していることが明らかとなり、癌治療の新規標的として注目されています。
HDACは、染色体構成タンパク質であるヒストンを脱アセチル化することで染色体構造を緊密にし、遺伝子の発現を抑制します。多くの癌細胞では、このHDACが異常活性化することによって癌抑制遺伝子の発現が抑制され、無制限な異常増殖が起こり、細胞が癌化すると考えられています。
OBP-801は、HDACの活性を特異的かつ強力に阻害することで、癌細胞におけるアポトーシス[*13]関連遺伝子などの癌抑制遺伝子の発現を促し、癌細胞の増殖抑制や細胞死を誘導するなどの抗腫瘍効果を示すことが期待されています。
HDAC阻害剤は、Merck社(米国)のZolinza®(vorinostat)が2006年(日本では2011年)に、またCelgene社(米国)のIstodax®(romidepsin)が2009年にそれぞれT細胞リンパ腫を対象として、欧米で承認・上市されており、既にPOCが確認されてます。
OBP-801は、これまでの検討において、Zolinza®及びIstodax®を含む既存のHDAC阻害剤と比較して極めて強いHDAC阻害活性を示し、幅広い癌腫に対する効果が期待されます。
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a)対象疾患
OBP-801は、再発性腎臓癌を対象疾患としています。

b)技術導入の概況
当社は、2009年10月にアステラス製薬株式会社よりOBP-801に関する独占実施権を獲得しています。

c)アライアンスの状況
早期にPOCを確認し、国内外の大手製薬企業等へのライセンスを行うべく、現在活動を続けています。

d)研究開発の概況
導入元のアステラス製薬株式会社において、既にほとんどの前臨床試験が終了し、且つGMP原薬製造が完了している状態です。現在、追加前臨床試験を実施中であり、早期の治験申請(IND)を目指しています。

e)製造体制
当社は、OBP-801について自社でGMP製造を行っておらず、臨床試験中に、次回GMP製造の委託先を選定する必要があります。

f)販売体制
大手製薬企業等へのライセンス後、ライセンス導出先が販売を行います。


④ その他医薬品事業
新規感染症治療薬 OBP-AI-001/002
鹿児島大学附属難治ウイルス病態制御研究センターとの共同研究契約の成果として、新規C型肝炎治療候補化合物OBP-AI-001及び新規メカニズムのHIV治療候補化合物OBP-AI-002が見出されました。

C型肝炎感染症患者はアジア地域に多く、慢性肝炎・肝硬変を経て肝臓癌へ進行します。世界保健機構(WHO)によると、アジア地域には約60万人、日本には約4万人の肝臓癌患者がいると報告されています。当社は、C型肝炎感染症の新規治療薬開発を推進することで、十分な治療法が確立されていない肝臓癌の発生抑制に貢献したいと考えています。
OBP-AI-001は、活性のメカニズムを明らかにすることで更に高活性化合物を創製し、適確に前臨床試験に進める計画です。

HIV感染症は、HAART(Highly Active Anti-Retroviral Therapy)と呼ばれる複数の薬剤を組み合わせる治療方法が一般的となり、コントロール可能な慢性疾患となっています。しかし、感染細胞に組み込まれたウイルス遺伝子を除去することができず、薬剤の長期服用が必要となるため、薬剤耐性ウイルスの出現が問題となっており、新規な作用機序を有する抗ウイルス薬の開発が求められています。
OBP-AI-002は、合成展開を完了することで、最適化合物を用いた前臨床試験への適確な移行を目指しています。

(3)検査薬事業について
検査薬事業については、以下の3種類のウイルスによる検査プラットホームを構成しています。

OBP-1101(テロメスキャンF35)の構造模式図
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OBP-401(テロメスキャンⓇ)の構造模式図
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OBP-1102の構造模式図
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A) OBP-1101(テロメスキャンF35)は、OBP-301(テロメライシンⓇ)のウイルス遺伝子配列中のE3領域〔*14〕にオワンクラゲの緑色蛍光蛋白質(GFP)〔*15〕遺伝子を組み込み、更に35型のアデノウイルスのウイルスファイバーとマイクロRNA標的配列を導入し、感染率向上と癌特異性を高めた新規癌検査用遺伝子改変ウイルスです。
B) OBP-401(テロメスキャンⓇ)は、OBP-301(テロメライシンⓇ)のウイルス遺伝子配列中のE3領域にGFP遺伝子を組み込み、炎症性細胞などのテロメラーゼ陽性細胞で特異的に蛍光発光を促す遺伝子改変ウイルスです。
C) OBP-1102は、OBP-1101(テロメスキャンF35)の基本構造を持ったウイルス遺伝子配列からマイクロRNA標的配列を除去し、白血病細胞で特異的な蛍光発光を促す遺伝子改変ウイルスです。

これらのウイルスの特長を生かし、OBP-1101(テロメスキャンF35)を用いた血中浮遊癌細胞(CTC)検査、OBP-401(テロメスキャンⓇ)を用いた炎症性疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎など)検査及びOBP-1102を用いた白血病の化学療法剤による完全寛解の高感度判定検査を、当社の体外検査事業プラットホームに据え、早期事業化を目論んでいます。
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a)対象疾患
OBP-1101(テロメスキャンF35)は、これまでの技術では検出が困難であったCTC検出を可能とし、幅広い癌種での体外検査による予後予測・超早期検査などへの応用を目指し、開発を進めています。特に、既存技術では効率的に検出できなかった肺癌や、今後罹患数の増加が予測される前立腺癌や乳癌のCTCに焦点を当て、血液中のCTCの個数ばかりではなく、悪性度の評価をするサービス(T-CAS)を行い、癌患者の予後予測や治療法の選択を可能にすることが期待されています。更にCTCを用いた遺伝子解析サービス(T-GEN)を可能とし、危険を伴う癌の組織生検を行うことなく、癌患者に適した抗癌剤の選択を容易にすると期待されています。
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OBP-401(テロメスキャンⓇ)は全身性炎症疾患検査の可能性が期待されています。また、体内検査薬として、OBP-401(テロメスキャンⓇ)を手術前の癌組織に注射することによって、原発巣及び転移リンパ節を蛍光発光させ、目的とする部位だけを手術によって摘除し、臓器をできるだけ温存させる手術(ナビゲーション手術)〔*16〕を可能にさせる技術に応用していきたいと考えています。

OBP-1102は、血中の微量な白血病細胞の検出可能性を検討しています。ウイルスの最適化後に、白血病患者の化学療法後の完全寛解の判断を可能とさせる事が期待されています。

b)技術導入の概況
OBP-1101(テロメスキャンF35)及びOBP-1102は、創製元の医薬基盤研究所より2011年4月28日付で世界における独占実施権を獲得しています。
OBP-401(テロメスキャンⓇ)は、OBP-301(テロメライシンⓇ)と同様に発明者及び関西ティー・エル・オー株式会社から、2005年3月31日付で「特許を受ける権利」や「特許権」を正当に譲り受け、事業化が推進できる体制を築いています。現在、国内外において特許出願中です。
また、2013年2月15日付で、当社は、Geron Corporationと全世界におけるヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)遺伝子プロモーターの特許について、OBP-1101(テロメスキャンF35)、OBP-401(テロメスキャンⓇ)、OBP-1102の癌に関連する検査用途での独占的な実施権の許諾に関する契約を締結しています。

c)アライアンスの状況
当社は、体外検査薬としての開発及びライセンス活動を優先的に行っています。研究目的受託検査で蓄積したノウハウにより検体大量処理を実現させ、検査会社や医療機関がOBP-1101(テロメスキャンF35)を用いた血中浮遊癌細胞(CTC)検査センターを開設し、当社が検査キットやユニットを検査会社や医療機関に提供するビジネスモデルを想定しています。
体内検査薬としてのアライアンスに関しては、毒性試験実施等の技術的な課題をクリアすることを優先しており、現在のところ活動を行っておりません。

d)研究開発の概況
当社は以下の3種類の臨床検査用ウイルスを開発しています。従来の臨床検査では容易ではない新しい癌や炎症性疾患の検査方法を創製していくことを目的として、ウイルスを用いた臨床検査プラットホームを形成していきたいと考えています。

i) OBP-1101(テロメスキャンF35)
OBP-1101(テロメスキャンF35)は、癌細胞での増殖特異性を高め、血中浮遊癌細胞(CTC)検出感度や特異度でOBP-401(テロメスキャンⓇ)よりも良好な結果を得ることができました。現在、これまでCTCの検出が困難とされてきた肺癌をはじめ前立腺癌、乳癌あるいは消化器癌を対象として、医療機関と臨床研究を実施しています。

ii) OBP-401(テロメスキャンⓇ)
当社はOBP-401(テロメスキャンⓇ)を、難易度の高かった血中浮遊癌細胞(CTC)検出に応用すべく研究開発を進め、様々な癌患者の血液中のCTC検出を可能にしてきましたが、2013年8月に更に癌細胞への特異性の高いOBP-1101(テロメスキャンF35)に研究開発をシフトさせることとしました。現在、OBP-401(テロメスキャンⓇ)は各種炎症性疾患の検査用として、血液中の活性化された炎症性細胞の検出を目的として開発を進めています。

iii) OBP-1102
OBP-1102は、白血病細胞に感染して蛍光発光させることが期待されています。白血病の治療には化学療法剤が用いられ完全寛解が成されますが、骨髄に残存した癌組織の有無によってその再発率は大きく異なってきます。ウイルスの最適化を実施した上で、血液中の残存白血病細胞検出を目的として、OBP-1102の研究開発を行っています。

e)製造体制
当社は、これまで兵庫県神戸市に神戸検査センターを開設し、自社製造体制の構築を目指していますが、必要に応じて外部へ製造を委託する予定です。

f)販売体制
当面の活動は、OBP-1101(テロメスキャンF35)を用いた自由診療の範囲での研究目的受託検査が主体となります。その後、研究目的受託検査で蓄積したノウハウにより検体大量処理を実現させ、検査会社や医療機関がOBP-1101(テロメスキャンF35)を用いた血中浮遊癌細胞(CTC)検査センターを開設し、当社が検査キットやユニットを検査会社や医療機関に提供していきます。同様の事業展開をOBP-401(テロメスキャンⓇ)及びOBP-1102でも検討しています。
各ウイルスを用いた検査は非常に専門性が高く、癌、アレルギー・炎症性疾患及び白血病の基幹病院やクリニックが対象になると考えられます。


〔医薬品事業及び検査薬事業にかかる用語解説〕
〔*1〕HIV
HIV(ヒト免疫不全ウイルス=Human Immunodeficiency Virus)は、人の免疫細胞に感染し免疫細胞を破壊して、後天的に免疫不全を発症させるウイルスです。俗称的に「エイズウイルス」と呼ばれることがありますが、正式な名称ではありません。

〔*2〕チミジン誘導体
デオキシリボ核酸 (DNA) を構成する塩基の1つであるチミン (thymine)と、同じくDNAを構成する糖であるデオキシリボースが結合したデオキシヌクレオシドをチミジン(thymidine)といいます。チミジンは細胞に取り込まれるとリン酸化されてヌクレオチドになり、DNA に取り込まれます。誘導体とは、ある有機化合物を母体として、官能基の導入、酸化、還元、原子の置き換えなど、母体の構造や性質を大幅に変えない程度の改変がなされた化合物のことです。

〔*3〕核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)
逆転写酵素阻害剤は逆転写酵素の働きを阻害する薬であり、ウイルス遺伝子から宿主細胞核に組み込まれるDNA へのコピーをできなくさせます。
逆転写酵素阻害剤は2 種類に分けられます。
核酸 (ヌクレオシド)系逆転写酵素阻害剤は、核酸というDNAの部品と構造的に類似したまがいものであるため、正しいHIV のプロウイルスDNA ができなくなります。
非核酸 (非ヌクレオシド)系逆転写酵素阻害剤は逆転写酵素そのものに結びつき、その形を壊し、酵素の働きを失わせることにより、HIV のDNA 複製を阻害します。

〔*4〕アデノウイルス
アデノウイルスは、正二十面体構造の二本鎖DNAウイルスで、ヒトの場合は気道に感染し、のどの腫れなどのいわゆる風邪の症状を起こします。アデノウイルスには、1型から51型まで51の血清型があり、ヒトアデノウイルス5型は小児の上気道感染症の原因となるウイルスで、36 kbの2本鎖直線状のDNAゲノムを有しています。組換えDNA実験ではアデノウイルス5型がよく使われます。この属のウイルスは深刻な疾患の原因とはならず、サイズの大きな遺伝子を組み込むことができることから、遺伝子治療に応用されてきました。

〔*5〕ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT=human Telomerase Reverse Transcriptase)
テロメラーゼは、テロメアの伸長を行う酵素であり、RNAからDNAを合成するポリメラーゼの一種です。RNAから情報をDNAに移す酵素を逆転写酵素と呼びます。逆転写酵素が発見される以前は、細胞内での遺伝情報の流れは、DNAの情報がRNAに転写され、RNAの情報がタンパク質に翻訳される一方向のみであると考えられていました。その後、特定のウイルス(レトロウイルス)からRNAを鋳型としたDNAへの転写機構が発見され、RNAからDNAへ逆に流れるというところから、逆転写という名称がつけられました。
hTERTは、ヒトテロメラーゼ複合体の構成要素として働く酵素タンパク質で、RNAの塩基配列を写しとって DNA を合成する反応を行う酵素であり、不死化細胞及び90%近くのヒトの癌細胞中で活性が増強します。

〔*6〕プロモーター
メッセンジャーRNA合成(DNAからRNAを合成する段階;転写)の開始に関与するDNA上の特定領域の短い塩基配列です。ここにRNAポリメラーゼ(RNAを合成する酵素)が結合し、転写が開始されます。
プロモーター領域は、その遺伝子が器官・組織のどの部分で、どのような時に発現するかという重要な情報を持っており、RNA合成のスイッチとして働きます。癌細胞のみでテロメラーゼ活性が高いことは、hTERTプロモーターが癌細胞で特異的に働いていることを示しています。この性質を利用してhTERTプロモーターを組み込んだOBP-301(テロメライシンⓇ)は、腫瘍細胞特異的に増殖します。

〔*7〕TLO法
正式には「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(1998年5月6日法律第52号)」といい、産業活性化・学術進展のため、大学の技術や研究成果を民間企業へ移転する仲介役となる承認TLO(技術移転機関)の活動を国が支援するための法律です。

〔*8〕GMP
Good Manufacturing Practiceの略称で、品質の良い医薬品・医療用具などの製造時の管理・遵守事項を定めたものを指します。1962年に米国の「食品、薬品、化粧品法」の中に「薬品の製造規範(GMP)に関する事項」が取り入れられ、その後、世界保健機構(WHO)が創案したWHOGMPを1969年の同総会で加盟各国が採択したことにより、医薬品における国際貿易ではGMPに基づく証明制度が採用されました。日本のGMPは厚生労働省薬事法の内、医薬品の研究、開発、教育訓練、製造設備、原料、製造、中間体、最終製品、廃棄物、包装資材、検査、販売、不合格品及び回収品等について規定し、それを記録、文書化する事を義務付けた省令です。

〔*9〕E1領域
ヒトアデノウイルスゲノムは、5'逆方向末端反復配列(ITR)、パッケージングシグナル(ψ)、初期遺伝子領域E1A及びE1BからなるE1、E2、E3、E4、後期遺伝子領域L1~L5、及び3’ITRを含みます。E1及びE4は調節タンパク質を含み、E2は複製に必要なタンパク質をコードし、L領域はウイルスの構造タンパク質をコードします。E1A及びE1B遺伝子は、ウイルスの増殖に必須な初期遺伝子です。

〔*10〕IRES配列
IRES(Internal Ribosome Entry Site)と呼ばれる遺伝子配列は、一本のメッセンジャーRNAの途中から翻訳を開始させることができる配列です。このため複数の遺伝子を含むベクターに組み込んで使われています。

〔*11〕エピジェネティック
DNA配列の変異や欠失・置換等の遺伝子そのものの構造的な変化を伴わず、DNAのメチル化や染色体タンパク質ヒストンのアセチル化など、遺伝子構造の後天的な修飾により発現調節がなされることを、遺伝子のエピジェネティックな変化と呼びます。この遺伝子のエピジェネティックな変化に作用することで効果を発揮する薬をエピジェネティック治療薬と呼びます。

〔*12〕分子標的抗癌剤
癌細胞の増殖や転移に特異的に、あるいは癌細胞で多く発現している異常なタンパクや酵素を標的とする抗癌剤。従来の化学療法は癌細胞を殺す作用(殺細胞)によって治療効果を発揮するだけでなく、正常細胞にも障害を与えることで副作用を引き起こすのに対し、分子標的抗癌剤は癌細胞特異的に癌の増殖や転移を抑えることで副作用の軽減にも繋がることが期待されています。

〔*13〕アポトーシス
細胞の死に方の1種。多細胞生物の細胞における増殖制御機構として管理・調節された、能動的な細胞死です。発生の過程や老化などの生物現象に、アポトーシスはなくてはならないものであり、癌の発生のみならず、神経変性疾患や自己免疫疾患の発症などにも重要な役割を果たしています。

〔*14〕E3領域
E3領域はアデノウイルスの初期遺伝子群のうちのひとつで、培養細胞での増殖にはかならずしも必須でないことが知られています。そのため、さまざまな遺伝子のベクター(運び屋)としてアデノウイルスを利用する場合に、このE3領域が目的遺伝子の組み込みに多く用いられています。

〔*15〕緑色蛍光発光蛋白質(GFP)
Green Fluorescent Protein(GFP)は、オワンクラゲが持つ緑色蛍光発光蛋白質です。1960年代に米国ボストン大学の下村脩教授によって発見され、下村博士はこの発見の功績によって2008年ノーベル化学賞を受賞しました。

〔*16〕ナビゲーション手術
ナビゲーション手術とは、手術中に手術器具や人工関節が骨のどの位置にあるか、また計画通りに手術をするためにはあとどの方向へどれくらい進めばいいかなどの情報を随時モニターに表示してくれるシステムを利用した手術を指します。


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