シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100297M

有価証券報告書抜粋 CYBERDYNE株式会社 事業等のリスク (2014年3月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動


以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で、行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。なお、当該記載事項は本書提出日現在における当社グループの認識を基礎とした記載であり、将来の環境変化等によって当該認識は変化する可能性があります。

1.当社グループの事業遂行上のリスク
(1)新しい事業領域であることについて
当社グループの主力製品であるロボットスーツHALは、当社の代表取締役社長山海嘉之が開発した世界で初めて人間の生体電位を活用した人間装着型ロボットです(注1)。現状はHAL下肢タイプを国内福祉分野及びドイツでの医療分野を対象に事業展開しており、当社グループの技術は、医療・介護福祉分野、労働・重作業分野、エンターテインメント分野とさまざまな領域に活用できると考えておりますが、新しい事業領域であることによる不確実性が高いため、当社グループ製品の市場への浸透が計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(2)競争について
当社グループは、ロボットスーツHALを中心として、医療・介護福祉分野、労働・重作業分野への進出を計画しております。現時点で、国内外の企業で自律制御を用いた装着型ロボットの開発が行われていますが、人間の脳から発する生体電位信号を活用する随意制御技術は当社グループ独自(注2)のものであり、差別化による当社グループ製品の優位な競争力は保たれていると認識しております。この様な最先端の技術を利用したロボットスーツHALの知的財産については、国立大学法人筑波大学が特許を取得しております。当社グループは、この全ての特許権を独占的に使用する専用実施権を設定しており、人間装着型ロボットの市場に対する強みと考えておりますが、国内外の様々な企業が人間装着型のロボットの研究や実用化を進めており、他社の新しい技術の開発状況によっては当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(注1、2) 人間の動作意思とロボットを一体化させるサイバニック随意制御技術は、装着する人間の身体機能を改善・補助・増幅させる世界初の技術であり、その基本特許は下記の通り登録されています。
出願番号/登録番号発明の名称
特願 2004-068790 特許第4200492号
(出願日 2004.3.11)
装着式動作補助装置 発明者:山海嘉之
特願 2004-040168 特許第4178185号
(出願日 2004.2.17)
装着式動作補助装置、装着式動作補助装置における駆動源の制御方法、及びプログラム 発明者:山海嘉之
特願 2004-045354 特許第4178186号
(出願日 2004.2.20)
装着式動作補助装置、装着式動作補助装置の制御方法及び制御用プログラム 発明者:山海嘉之
特願 2005-018295 特許第4178187号
(出願日 2005.1.26)
装着式動作補助装置及び制御用プログラム 発明者:山海嘉之



(3)会社組織に関するリスク
当社は、2004年6月24日に設立されましたが、下記のようなベンチャー企業特有の課題があると認識しております。
①経営面及び新技術の開発において創業者である代表取締役社長山海嘉之に多くを依存しております。今後何らかの要因により同氏の業務執行が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
②優秀な研究開発人材を確保しておりますが、当社グループが必要とする優秀な人材が退職した場合には、当社グループ製品開発のスピードに影響を及ぼす可能性があります。
③今後は事業の拡大に伴い、営業・生産・管理部門の人員増強及び内部管理体制の一層の充実を図る方針でありますが、人員の確保及び内部管理体制の充実が円滑に進まなかった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(4)特定製品への依存リスク
当社グループの主力製品はロボットスーツHALであり、2013年3月期において、その売上高は当社グループの売上高の大半を占めています。今後につきましても、当面の間ロボットスーツHALが収益源になると予測しておりますが、新規医療機器としての薬事法承認などの法規制や、医療保険及び介護保険などの保険制度の整備の遅れの原因により、ロボットスーツHALの市場拡大が見込めなくなった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(5) EUにおける事業化に関するリスク
当社グループはEUでの医療機器認定であるCEマーキングを取得し、2013年8月よりドイツにおいて事業を開始しました。DGUVが労災保険適用を認め、公的労災保険適用者はBG RCIから全額利用料が労災保険として支払われるスキームとなっています。現時点ではBG RCIをビジネスパートナーとし、公的労災保険適用者を中心に治療の提供をしております。更にBG RCI系列の病院を中心として事業展開を進め、その後EU全域への事業展開を計画しております。しかし今後、ビジネスパートナーであるBG RCIの方針変更等により、BG RCI系列の病院への事業展開の計画変更が余儀なくされる等の事項が起きた場合には、ドイツでの事業展開のみでなく、EUにおける事業展開に影響を及ぼす恐れがあります。その場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 製品の不具合による顧客の損失について
当社グループは、ISO13485(医療機器の品質マネジメントの国際標準規格)に基づいて製品品質の更なる向上に継続的に取り組んでいますが、将来にわたって製品に欠陥がなく、製造物賠償責任請求及びリコール等に伴う費用が発生しないという保証はありません。万が一、製品の欠陥により損害が生じた場合は、製造物責任請求についてはPL保険でカバーされますが、信用低下により当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。


(7) 事業活動の前提となる事項について
①当社グループのロボットスーツHALは人間の生体電位信号を活用する独自の技術を利用するものですが、この様な技術を利用したロボットスーツHALについて、当社グループは国立大学法人筑波大学と特許権に関する独占的実施許諾契約を締結することで特許技術の利用を行っております。この契約は当社グループが事業活動を行う上で重要な前提事項であり、許諾知財権の権利期間の満了日まで効力を有するものの、本契約に違反した場合、破産等の申立がされた場合、合併や重要資産の買収がなされた場合や当社事業の重要部分が譲渡された場合など何らかの理由によりこの契約の継続が困難となった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
②当社グループのロボットスーツHALは、2013年6月に世界で初めてロボット治療機器として、EU市場へ医療機器を輸出するために必要なEUの法規制への適合を証しているCEマーキング(クラスⅡa)を、世界有数の第三者認証機関であるTÜV Rheinlandより認証取得しております。この認証は当社グループがEUでロボットスーツHALの事業活動を行う上で重要な前提事項であり、MDD(欧州医療機器指令)やISO13485(医療機器の品質マネジメントシステムの国際規格)等の要求事項を満たさないことが確認された場合はEU市場から撤退する必要あり、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。②当社グループのロボットスーツHALは、2013年6月に世界で初めてロボット治療機器として、EU市場へ医療機器を輸出するために必要なEUの法規制への適合を証しているCEマーキング(クラスⅡa)を、世界有数の第三者認証機関であるTÜV Rheinlandより認証取得しております。この認証は当社グループがEUでロボットスーツHALの事業活動を行う上で重要な前提事項であり、MDD(欧州医療機器指令)やISO13485(医療機器の品質マネジメントシステムの国際規格)等の要求事項を満たさないことが確認された場合はEU市場から撤退する必要があり、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。


(8)知的財産権について
当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はなく、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許権等への侵害により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。また、技術調査等を継続して行って侵害事件を回避するよう努めております。ただし、当社グループのような研究開発型の企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張の適否にかかわらず、解決に時間及び多額の費用を要する可能性があり、また、当社グループの技術に関しては、細心の注意を払って管理しておりますが、第三者が当社グループの技術を侵害した場合であっても、解決に時間及び多額の費用を要する可能性があります。その場合には当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(9)法的なリスクについて
当社グループの様々な事業活動において、国内外を問わず、当社グループが関与する技術・製品・サービス等についての知的財産権に関する係争や製造物責任問題、また薬事、商取引、税務などその他事業に関連する法令、慣行を巡って予期しない課題が提起される場合があります。特に、当社グループが今後取扱う予定の製品一部は、薬事法により定められた医療機器であり、製造を行う場合には厚生労働省による承認を必要とします。この承認審査は、商品の有効性、安全性等の確認を目的として行われるものであり、審査の結果、製造の承認が取得できなかったり、承認の時期が遅れたりすることがあります。承認の取得後、商品を販売している間においても、有効性、安全性に問題が生じた場合には、承認が取り消されることもあります。その場合には当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは当社グループ規模に比して多額の助成金等を受領しており、助成金の受領に際して付される条件を万が一遵守できなかった場合には、助成金を受領できなくなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)個人情報に関するリスク
当社グループではロボットスーツHALの利用者の個人情報を取得しております。当該情報に接することができる者を制限し、全役社員と守秘義務契約書を締結しており、また、個人情報保護規程を制定するとともに、個人情報保護管理者を任命する等、個人情報の管理には十分留意し、現在まで顧客情報の流出等による問題は発生しておりません。しかしながら、今後、顧客情報の流出等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。


(11)平和倫理委員会について
当社グループは、当社グループの先進技術が人の殺傷や兵器利用を目的に利用されることを防止するため、平和倫理委員会を設置しております。平和倫理委員会は、代表取締役社長及び全ての社外役員により構成され、審議事項の判定は、出席委員の3分の2以上の賛成をもって行うものとしており、当社グループの企業行動規範で定める「医療、介護、災害復旧」の事業領域に含まれないおそれがある事業領域へ参入する際に、その参入により、当社グループの先進技術が人の殺傷や兵器利用を目的に利用される可能性の有無について審議・検証し、判定の結果を取締役会へ報告します。
この平和倫理委員会の審議・検証の結果が、短期的には当社グループの業績向上に必ずしも資さない可能性があります。


2.大学教授兼任に関するリスク
(1) 国立大学法人筑波大学教授の兼任について
当社代表取締役社長である山海嘉之は国立大学法人筑波大学の教授職を兼業しております。当該兼業に伴う①代表取締役社長及び大学教授を兼ねていることによる当社グループと国立大学法人筑波大学との間における利益相反防止体制、②代表取締役社長兼務への支障の有無については、それぞれ以下の通りです。
①利益相反防止体制
大学との取引や共同研究契約の締結など利益相反に係る意思決定は全て取締役会決議を行っており、当該決議に際しては、山海嘉之を含む国立大学法人筑波大学関係者を除いた取締役5名(うち社外取締役3名)によって意思決定を行うことにより、利益相反を防止する体制を構築しております。更に監査役監査にて利益相反に係る事項を日々モニタリングし、取締役会で報告する体制を構築しております。
②代表取締役社長業務への支障の有無
サイバニクス研究にかかる当社グループと国立大学法人筑波大学での業務は一体的且つ不可分でありますが、純粋な国立大学法人筑波大学職員としての職務(授業、大学教授としての学内会議への出席等)の当社代表取締役社長固有の業務(取締役会出席、稟議決裁、投資家対応等)への影響は限定的であり、代表取締役社長としての職務執行が十分に可能な状態にあります。
しかしながら、山海嘉之が当社代表取締役社長としての立場よりも大学教授の立場を優先した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

3.先端機器事業全般に関する事項
(1) 開発事業全般に関するリスク
先端ロボット開発の分野では、世界各国の企業が技術革新の質とスピードを競い合っております。また、先端ロボットの基礎研究、開発から製造及び販売に至る過程では、各国における諸規制に従うことから、長期間にわたり多額の資金を投入せざるを得ません。このため、研究開発には多くの不確実性が伴い、当社グループの現在及び将来における開発品についてもこのようなリスクが内在しております。また、事業計画に基づき、事業領域(各種疾病・介護等)を拡大していき、各国における各種保険収載に向けて事業を進行させております。しかしながら、事業領域が計画通り拡大しない可能性や、将来的に適用された保険制度の見直しや保険単価の変更が実施されるリスクが存在しております。このようなリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業計画や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新規開発品の創出に関するリスク
当社グループは、国立大学法人筑波大学を中心に研究機関と共同研究を行うことで、新規開発品の探索及び創出を図っており、既に事業化されているHAL下肢タイプ(自立支援型・医療型)に加えて、複数の製品パイプラインをリリースすることを重要な事業戦略としております。しかしながら、これらの新規開発品の探索及び創出が確実にできる保証はありません。このため、何らかの理由により、新規開発品の探索及び創出活動に支障が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。


(3) 研究開発に内在する進捗遅延に関するリスク
当社グループは、研究開発型企業グループとして国立大学法人筑波大学との共同研究関係を中心として外部との協力関係を構築することで効率的な研究開発の推進を図っております。しかしながら、研究開発活動が計画通り進む保証はなく、当初計画したとおりの研究開発による結果が得られない場合、各種試験の開始又は完了に遅延が生じた場合あるいは医療機器としての製造販売承認の取得が遅れる又は制限される可能性などは否定できません。当社グループは、このような事態を極力回避すべく、各開発品の進捗管理及び評価を適時に行い、各開発品の優先順位付け、投下する経営資源の強弱の変更あるいは一時中断の決定などの対応を図っております。このように、当社グループは研究開発費が大きく増加するリスクを低減しておりますが、研究開発が計画どおりに推移しない場合には、当社グループの事業計画並びに財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

4.B種類株式の導入について
(1) 本スキームの概要
当社グループは、「テクノロジーは人や社会に役立ってこそ意味がある」という理念のもとで、ロボットスーツHALを中心とした先進技術を、平和的な目的、特に医療・介護福祉・災害復旧などの場で活用してまいりました。このように人の身体能力を改善・補助・拡張するサイバニクス技術を平和目的に利用することは、今後到来する超高齢化社会のニーズと合致し、当社グループの長期的な企業価値の向上に繋がるものであります。なお、当該技術は、人の殺傷や兵器利用を目的とした軍事産業への転用など、平和的な目的以外の目的で利用される可能性があります。そこで、当社は、資本市場から資金調達を行いつつ、先進技術の平和的な目的での利用を確保するため、上場する普通株式とは異なる種類のB種類株式を発行しております(当社のB種類株式を用いたスキームを、以下「本スキーム」といいます。)。
当社グループの将来ビジョンである、少子高齢化という社会が直面する課題を解決しつつ、人支援産業という新しい産業分野を開拓するためには、サイバニクス技術の研究開発と事業経営を一貫して推進する必要があります。当社代表取締役社長である山海嘉之は、このサイバニクス技術を創出し、現在もサイバニクス研究の中心的な存在であり、更にその革新的な技術を社会に還元するための事業推進者でもあります。このため、当社グループの企業価値向上(株主共同利益)には、当面の間、山海嘉之が経営に安定して関与し続けることが必要であると考えており、これを実現可能とする本スキームは、株主共同利益の観点で必要性の高いスキームであると認識しています。
具体的には、当社は、上場する普通株式と比較して、剰余金の配当及び残余財産の分配については同一の権利を有しますが、単元株式数について異なるB種類株式を設けております。普通株式の単元株式数を100株とし、B種類株式の単元株式数を10株とすることにより、B種類株式を有する株主(以下「B種類株主」といいます。)が有する議決権の数は、同数の普通株式を有する株主(以下「普通株主」といいます。)に比べて、10倍となります。B種類株主は、山海嘉之、山海嘉之が代表理事を務める一般財団法人山海健康財団及び一般財団法人山海科学技術振興財団(以下「本財団法人」と総称します。)のみであり、山海嘉之は、当連結会計年度末時点において普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約43%にあたる普通株式304,200株及びB種類株式7,769,600株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約88%となります。

普通株式及びB種類株式並びに本スキームの概要は、以下の通りです。
(i) 株式の概要
普通株式B種類株式
剰余金の配当・
残余財産の分配
同順位・同額
単元株式数100株
(100株につき1個の議決権)
10株
(10株につき1個の議決権)
譲渡制限制限なし取締役会の承認が必要
(B種類株主間の譲渡には不要)
種類株主総会の決議を
要しない旨の定款の定め
ありなし
取得請求権なしあり
(B種類株式1株を
普通株式1株に転換)
取得条項なしあり
(B種類株式1株につき
普通株式1株を交付)
株式の分割・
株式の併合等
同時・同一の割合
上場東京証券取引所マザーズ市場に
上場
非上場




(ii) 単元株式数の相違
普通株式とB種類株式は、剰余金の配当及び残余財産の分配は同順位かつ同額で受領する権利を有しますが、単元株式数については、普通株式は100株、B種類株式は10株と異なります。これにより、例えば、B種類株式100株を有するB種類株主は株主総会において10個の議決権を有するのに対し、同数(100株)の普通株式を有する普通株主は株主総会において1個の議決権を有することとなり、B種類株主は、普通株主に比べて同数の株式につき10倍の議決権を有することとなります。
なお、当連結会計年度末時点における当社の普通株式の発行済株式の数は10,853,400株、B種類株式の発行済株式の数は7,770,000株であり、山海嘉之は、普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約43%にあたる普通株式304,200株及びB種類株式7,769,600株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約88%を有するため、取締役の選任及び組織再編を含む株主総会の決議事項を自らの議決権行使により可決させることができます。

(iii) B種類株主の変更を抑制するための仕組み
B種類株式は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために発行されたものです。そこで、B種類株式が本書提出日におけるB種類株主又は当社以外の者に譲渡されることを防止するため、定款上、①B種類株主以外の者がB種類株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する旨、及び、②B種類株主以外の者によるB種類株式の取得について譲渡承認請求(会社法第136条又は第137条に定める承認の請求をいいます。)がなされた場合及びB種類株主が死亡した日から90日が経過した場合(ただし、他のB種類株主に相続又は遺贈されたB種類株式及び当該90日以内に他のB種類株主に譲渡されたB種類株式を除く。)には、当該請求がなされたB種類株式又は当該死亡したB種類株主が有していたB種類株式の全部を普通株式に転換(当社がB種類株式を取得し、B種類株式1株と引換えに、B種類株主に対して、普通株式1株を交付することをいいます。以下同じです。)する旨が定められています。
本書提出日における当社のB種類株主は、山海嘉之及び本財団法人であり、それぞれが有するB種類株式は、山海嘉之が7,769,600株、本財団法人がそれぞれ200株です。山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡することを予定しております。また、本財団法人は、B種類株式を継続して保有する予定であるとのことです。
なお、B種類株主である本財団法人は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保し、当社グループの企業価値が毀損されることを防止するため、いずれも以下の内容の議決権行使ガイドラインを定めています。
財団法人は、その所有する当社が発行するB種類株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使するに当たり、次の各号に規定する決議事項について、それぞれ当該各号に規定する場合には、反対の議決権を行使するものとする。なお、財団法人は、議決権行使ガイドラインの内容を変更する場合には、理事会の決議による承認を得るものとし、財団法人が定める方法により変更内容を公表する。
a. 取締役の選解任に係る決議については、当該取締役の選解任によって、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損される形での経営が行われると判断される場合
b. その他の決議については、当該決議が可決されると、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損されると判断される場合



(iv) ブレークスルー条項
当社は、極めて小さい出資割合で会社を支配するような状況が生じた場合には本スキームの解消が可能となるようにするため、当社の発行する株式につき公開買付けが実施された結果、公開買付者の所有する当社の株式の数が当社の発行済株式(自己株式を除きます。)の総数に対して占める割合が4分の3以上となった場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨のブレークスルー条項(注)を定款に定めております。
(注)「ブレークスルー条項」とは、発行済株式総数のうち一定割合の株式を取得した者が現れた場合にスキームを解消させる条項をいいます。

(v) サンセット条項
B種類株式は、上記(ⅲ)のとおり、山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡し、本財団法人はB種類株式を継続して保有する予定であり、本スキームは、当社グループの先端的なロボット技術の開発を行った山海嘉之が当社の取締役を退任し、又は死亡した後も継続することが予定されています。しかし、山海嘉之が取締役を退任した後も本財団法人がB種類株主として当社議決権を行使することが、普通株主を含む当社株主の意思と合致しない可能性があるため、山海嘉之が取締役を退任(但し、重任その他退任と同時若しくは直後に選任される場合を除く。)した場合は、当該退任の日(当該退任と同日を含む。)から1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに、また直前の株主意思確認手続の日の後5年以内に終了する事業年度のうち最終のものの終了後3か月以内に普通株式及びB種類株主全体の意思を確認するための株主意思確認手続を実施することとしております。具体的には、B種類株式の単元株式数を100株とみなして計算される普通株主及びB種類株主の議決権の3分の1以上を有する株主の意思が確認でき、意思を確認した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数が賛成した場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨のサンセット条項(注)を定款に定めております。
(注) 「サンセット条項」とは、議決権種類株式導入の目的が終了した場合又はこれらの事由が生じたとみなすことのできる場合に、スキームを解消させる条項をいいます。

(vi) 普通株主を構成員とする種類株主総会の排除
当社は、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合には、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款に定めております。
但し、種類株主総会を排除しても普通株主が不当に害されないようにするため、会社法第322条第1項各号に掲げる行為のうち、①株式の併合、株式の分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て、株式及び新株予約権の株主割当、株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合を除きます。)並びに単元株式数の変更については、同時に同一の割合で(株式移転については同一の割合で)行う旨を定款に定めており、また、②当社が消滅会社となる合併、完全子会社となる株式交換又は株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合に限ります。)にかかる議案が全ての当事会社の株主総会(株主総会の決議を要しない場合は取締役会)で承認された場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨の取得条項を定款に定めております。


(2) 本スキームのリスク
B種類株式は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために発行されたものですが、本スキーム導入により想定されるリスクには、以下のものが含まれます。

①B種類株主の議決権行使による強い影響力に関するリスク
当連結会計年度末において、山海嘉之は、普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約43%にあたる普通株式304,200株及びB種類株式7,769,600株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約88%を有することとなり、当社の事業運営に強い影響力を有することとなります。これにより、普通株主による議決権行使による当社に対する影響力は限定的となります。また、B種類株主の議決権行使は、特に当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために行使される場合、普通株主の利益と相反する可能性があります。

②当社株式の買付けを妨げるリスク
本スキームの導入により、B種類株主は、普通株主に比べて同数の株式につき10倍の議決権を有することとなり、より少ない数のB種類株式でより多くの議決権を有することが可能です。当社定款にはブレークスルー条項及びサンセット条項が定められていますが、ブレークスルー条項及びサンセット条項によりB種類株式の全部が普通株式に転換するのは、それぞれ、公開買付者が普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の75%以上を所有することとなった場合及び株主意思確認手続(上記(1)(ⅴ)に記載)において3分の2以上の多数の株主が普通株式への転換に賛成した場合に限られます。よって、本スキームは、普通株主にとって利益となるような当社株式の買付けを妨げる可能性があります。

③普通株式を構成員とする種類株主総会の排除に関するリスク
当社は、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合(法令又は定款に別段の定めがある場合を除きます。)であっても、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要せず当該行為を行うことができるため、普通株主の意思が当社の意思決定に反映されない可能性があります。

④B種類株式の転換に関するリスク
B種類株式には普通株式を対価とする取得請求権及び取得条項が付されているため、今後、B種類株式が普通株式に転換することにより、上場している普通株式の発行済株式の数が増加し、普通株式の市場価格に影響を与える可能性があります。


5.その他のリスク
(1) 配当政策について
当社は、創業以来配当を実施しておらず、本書提出日現在においても、会社法の規定上、配当可能な状態にはありません。当面は早期の黒字化を目指し、内部留保による財務体質の強化及び研究開発活動への再投資を優先する方針であります。一方で、株主への利益還元についても重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいります。しかしながら、利益計画が想定通りに進捗せず、今後も安定的に利益を計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。

(2) 資金繰り及び資金調達等に関するリスク
当社グループでは、研究開発活動の進捗に伴い多額の研究開発費が先行して計上され、継続的な営業損失が生じております。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資及び設備投資等の資金需要の増加が予想されます。今後、株式上場に伴う公募増資や、国の公的補助金等の活用などにより継続的に財務基盤の強化を図ってまいりますが、収益確保または資金調達の状況によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社が今回計画している調達資金の使途に関しましては、主に新製品の開発のための研究開発投資やたな卸資産としてのロボットスーツHALの保有増加分に伴う増加運転資金、固定資産取得資金並びに海外展開における初期費用としての子会社への投融資資金等に充当する計画でありますが、急激な事業環境の変化等により、投資効果が期待どおりの成果をあげられない場合や現時点の資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。

(3) マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて
当社グループは、これまで研究開発活動を重点的に推進してきたことから、多額の研究開発費用が先行して計上され、第4期から第10期まで当期純損失を計上し、マイナスの繰越利益剰余金を計上しております。2014年3月期(第10期)には、688,171千円の当期純損失を計上しております。当社グループは、中期事業計画に基づき、早期の黒字化を目指しており、その後も安定的な利益計上による強固な財務基盤の確立を目指しておりますが、当社グループの事業が計画通り進展せず、マイナスの繰越利益剰余金が計画通りに解消できない可能性があります。

(4) 税務上の繰越欠損金について
当社グループは研究開発型企業として先行的に開発投資を行ってきたため、本書提出日現在において、税務上の繰越欠損金を有しております。今後の税制改正で欠損金の繰越控除制度が見直され、欠損金の繰越控除制限が強化された場合、今までに研究開発に投下した資本の一部を回収する機会を喪失してキャッシュ・フローの計画に影響を与える可能性があります。


(5) 為替相場の変動について
連結決算においては、海外グループ会社決算を現地通貨から邦貨換算いたしますので、為替変動リスクがあります。従いまして、今後、大幅な為替変動が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

対処すべき課題研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E30118] S100297M)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。