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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100248W

有価証券報告書抜粋 株式会社 神戸製鋼所 研究開発活動 (2014年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループ(当社及び連結子会社)は、幅広い技術分野での豊富な技術力を原動力として、「オンリーワン製品」の創出・拡販と、それに必要な「ものづくり力」の強化を中心に取り組み、多くの成果をあげております。
当社技術開発本部では、各事業の競争力強化に向けた研究開発に加え、将来に向けた新製品・新技術の先導研究を行なっており、自動車分野、資源分野、エネルギー分野などでの新たなメニュー創出への取組み、及びそれらを支えるものづくり力を強化していきます。
また、当社各部門及び連結子会社の技術開発部門では、事業の競争力強化に直結する製品及び生産技術の開発を行なっております。今後とも、グループ全体にわたる研究開発への経営資源の投入を効果的に行なってまいります。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、284億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行なっている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用38億円が含まれております。
主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、以下のとおりであります。

[鉄鋼事業部門]
鉄鋼事業部門では、厚板分野では、原油タンカーのタンクに対する防食新ルールに対応した当社開発の高耐食鋼が、当連結会計年度において一般財団法人日本海事協会より新ルールに基づく承認を得ました。また、(株)新来島どっくグループにて建造の新ルール適用のタンカーの底板に、この高耐食鋼である「KPAC-1」が採用されました。新ルール適用船への耐食鋼の採用は業界で初めてのことになります。本開発鋼は、従来鋼と比較して4倍の耐食性能を有し、タンカー底部で想定される強酸性環境下においても優れた耐食性能を保有しつつ、船体構造用として求められる母材特性や溶接施工性、溶接継手特性も通常鋼材と同等以上の優れた性能を有しています。今後新ルール適用のタンカー建造が増大していくため、本開発鋼の採用拡大を図ってまいります。
鋳鍛鋼分野では、船舶用ディーゼルエンジン用組立型クランクシャフトの製造において、「型入れ鍛造法」による製造技術を開発しました。これは当社が製鋼からの一貫鍛鋼メーカーという特長を活かし、「鋼の清浄化」と「型入れ鍛造法」によって実現したもので、従来の「折り曲げ鍛造法」に比べて、疲労強度を約20%向上できます。また、検査評価制度向上を図るために、「自動超音波探傷技術」を新たに開発し、品質信頼性の向上に努めてまいります。
チタン分野では、プレート式熱交換器(PHE)向けの高伝熱チタン板(HEETTM)を開発し、沖縄県久米島で行なわれている発電利用実証事業で使用される海洋温度差発電設備の熱交換器用として供給いたしました。また、寺社、仏閣用として適用拡大が期待されるチタン製成形瓦向けに、特殊表面処理が施されたチタン板を開発し、本願寺鹿児島別院(鹿児島市)の屋根に採用されました。今後も航空機やロケット部品向けの合金チタンからゴルフクラブや今回の屋根瓦といった民生用途向けの純チタンまで幅広い発展に寄与してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、60億円であります。

[溶接事業部門]
溶接事業部門では、溶接施工に係る材料・システム・プロセスの研究開発を通して、国内外に向けて「溶接ソリューション」を提案しています。
材料関連では、中国の造船・海洋構造物市場向けのフラックス入りワイヤ(FCW)として、FAMILIARCTM DW-110EVを商品化し、実用化が始まっています。中国市場特有の溶接作業性(立向上進性)や溶接金属性能などを加味して設計されており、中国のFCW工場である青島神鋼溶接材料有限公司で製造されています。
システム関連では、低ヒューム・低スパッタ化を実現する溶接プロセス「REGARCTM 」搭載システムのラインナップを拡大しています。新たに「柱大組立2アーク」と「コア連結2アーク」の鉄骨溶接ロボットシステムへの搭載を行ない、優れた溶接性に加え、2台のロボットによる高能率な施工が可能となります。
プロセス関連では、ソリッドワイヤとFCWとを組み合わせたハイブリッドタンデム溶接プロセスを開発しました。ソリッドワイヤによる深溶け込み性とFCWによる優れた溶接性の両立を特長としており、すみ肉溶接施工が多い造船や橋梁市場での適用が期待されます。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、22億円であります。

[アルミ・銅事業部門]
アルミ・銅事業部門では、短期収益力と中長期事業競争力の強化に向けた「選択と集中」をキーワードにして自動車関連部材等の成長分野への効率的な技術開発に注力するとともにグローバル対応を推進しました。
事業分野別では、アルミ板分野で、新工場建設を意思決定した中国市場向けも含め、欧州車や北米車等、各自動車メーカーの要求仕様に適合した自動車用パネル材を開発し、順調に採用が増加しております。また、EV、HEV等の次世代自動車向けの電池関連部材を開発し、強度などの材料特性においてユーザーに高く評価されております。
押出分野では、電磁成形技術を用いた貫通型バンパーが部品点数削減や高強度化により海外でも高く評価され、北米の衝突アセスメントを満足する目処を得ました。この技術の活用も含め、バンパーでの北米等海外展開の拡大を推進中です。
鋳鍛分野では、自動車サスペンション用鍛造部品の軽量化設計技術と生産性向上技術の開発を進め、北米及び中国市場向けに採用車種が増大しました。航空機エンジン用部品においては、高品質で大型のマグネシウム鋳造品を製造可能とする砂型鋳造技術の開発を進め、拡販に注力しています。
銅板分野では、自動車端子の小型化ニーズに適合した高耐熱性能を有し、加えて低摩擦係数も備えたSnめっき付銅合金を提案し、順調に採用が増加しています。欧米へのライセンス供与を進めグローバル供給体制を整備するとともに、成長するアセアンを重点市場と定め、自動化やシステム化などの生産技術開発を推進して品質安定化を図り、コスト競争力を強化しました。また、電子部品の熱対策に貢献するため、熱伝導性を活かした特徴ある製品を提案し採用が拡大しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、23億円であります。

[機械事業部門]
機械事業部門では、環境、省エネ(CO2削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術/商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面から更なるグローバル化を推進し、「ものづくり力」一級化の実現を目指しています。
当連結会計年度ではまず、水素ステーションの小型化に大きく寄与する大容量高圧水素圧縮機(HyAC)とマイクロチャネル熱交換器(DCHE)を、国内数カ所の水素ステーションに納入したのに加え、大幅な価格ダウンとコンパクト化を可能にしたパッケージ型水素ステーションユニット「HyAC mini」を開発しました。なお、水素圧縮機に関しては新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発した成果を一部活用しております。
次に、世界で初めて最高85℃の温水と冷水の同時供給について冷熱負荷の変動影響を受けず常に温熱を安定的に供給可能にする、超高効率ヒートバランスヒートポンプ「HEM-3WAY」を、関西電力(株)、東京電力(株)と共同で開発し、2014年4月から発売を開始しました。
さらに、以下の製品開発を完了し販売を開始しました。まず、産業用冷凍機「IZN440TUA」は、二段圧縮型インバータ式としては世界最大の冷凍能力を持つものです。マイクロバイナリー「MB-125S」は、工場排熱や地熱等を利用して発電する、高効率・小型バイナリー発電システム「マイクロバイナリー」の新シリーズで、有効活用が進んでいない110℃~130℃の低圧・余剰蒸気に対応したものです。アークイオンプレーティング(AIP)装置「G60R」は、コーティング皮膜の原材料となるターゲットの使用効率の高い新型蒸発源を開発することに成功し、生産性の向上が認められ、1号機を海外自動車部品メーカーに出荷済みです。また、ロールコータ「W60C」は、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)製品の発光劣化を防ぐために高い水蒸気バリア性を持つSiO2膜を樹脂基板に形成することを実現しています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、35億円であります。

[エンジニアリング事業部門]
エンジニアリング事業部門では、低品位原料の活用を目指し、ITmk3プロセスや改質褐炭(UBC)製造プロセスの開発を進めるとともに、米国でのシェールガス開発の拡大に伴いニーズ拡大が見込まれる、天然ガスや一般炭を還元剤とした製鉄法の開発を継続しています。
また、東京大学と共同で、ドア位置が異なる鉄道車両に対応可能な乗降位置可変型ホーム柵(どこでも柵®)の開発を推進しております。2013年度中に実施した西武鉄道新所沢駅におけるフィールド試験の結果を踏まえ、早期の上市を目指します。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、19億円であります。

[神鋼環境ソリューション]
(株)神鋼環境ソリューションでは、技術開発センターを核として、各事業部門との緊密な連携を保ちながら、新製品、新技術並びに全社共通の基盤技術についての研究開発を行なっております。
水処理分野では、筑波大学と共同で、バイオマス生産性が高い微細藻類を発見し、培養に成功しました。また、(独)国立環境研究所から研究委託をうけた福岡大学と共同で、一般廃棄物焼却飛灰から放射性セシウムを除去し、管理型処分場に埋め立て処分可能な8,000Bq/kg以下に除染する一貫システムを開発しました。さらに、生物応答を用いた管理手法(WET手法)による排水試験の実施体制を整備し受託を開始しました。
ごみ処理分野では、廃棄物処理ライフサイクルコスト低減に向け、廃棄物発電の高効率化等の開発を推進しております。
化学・食品機械関連分野では、グラスライニング製機器の高機能化やコストダウン、無摺動攪拌装置「スイングスター」の性能向上等に向けた技術開発に取り組み、商品競争力を強化しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、14億円であります。

[コベルコ建機]
コベルコ建機(株)では、技術開発部門において、主力製品である油圧ショベルなどの安全性向上、省エネ性向上、排ガス対応・騒音低減などの環境対応に加え、建設リサイクル機械・金属リサイクル機械の開発に取り組んでいます。
同社では、最新排ガス規制に対応し、燃費をさらに向上させた8トンクラスの油圧ショベルACERA GEOSPEC「SK80UR」を開発し、2013年7月より販売開始しました。同じく、20トンクラスの油圧ショベルACERA GEOSPEC「SK200」「SK225SR」「SK235SR」を開発し、2013年11月より販売開始しました。また、100トンクラス「SK1000DLC」及び200トンクラス「SK2200D」の超大型建物解体専用機2機種を開発し、2013年11月より、新たに販売開始しました。さらに、独自の低騒音技術である「iNDR」を搭載し、燃費をさらに向上させた5トンクラスの油圧ショベル「SK55SR」を開発し、2013年12月より販売開始しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、49億円であります。

[コベルコクレーン]
コベルコクレーン(株)では、2013年5月より国内及び海外向けに全油圧クローラクレーン「SL6000J」(最大つり上げ能力500トン)及び「SL4500J」(最大つり上げ能力350トン)を開発し、販売を開始しました。これらの機械はそれぞれ同クラスの既存機のモデルチェンジ機であり、2011年排出ガス規制適合エンジンの搭載で環境に配慮しています。さらに2013年6月より国内向けにホイールクレーンRK250-7型のモデルチェンジ機であるシティコンシャスクレーン「PANTHER-X250(型式RK250-8)」(最大つり上げ能力25トン)を開発し、販売を開始しました。前機種同様にコンパクトなボディとつり上げ能力を両立し、2011年排出ガス規制適合エンジンを搭載しています。本機は2013年10月に[超低騒音型ラフテレーンクレーン「RK250-8」]として国土交通省の新技術情報提供システムNETISに登録されました。ラフテレーンクレーンとしてのNETIS登録は本機が初であり、同社製品のNETIS登録は[省エネシステム『Gモード』搭載クローラクレーン]に続き2件目となります。今後も騒音低減や燃費向上といった環境負荷低減技術の開発に注力し、「環境にやさしいクレーン」の提供を通じての社会貢献に努めてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、11億円であります。

[その他]
(株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに、新たな評価・解析技術の開発を進めています。さらに、液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)用の配線に用いられる薄膜用のターゲット材料や半導体等の検査装置の開発に取り組んでいます。
当連結会計年度では、次世代2次電池の試作や劣化解析などの評価技術の開発に取り組みました。また、ターゲット材料では高精細(高移動度)を実現できる新型酸化物半導体材料を開発し、上市に向けた評価を開始しています。さらに、検査装置ではFPD向け酸化物半導体評価用差動マイクロPCD装置を開発し、販売を開始しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、10億円であります。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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