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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004DM2

有価証券報告書抜粋 OATアグリオ株式会社 事業の内容 (2014年12月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社グループは『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』という経営理念の下、先進的な農薬及び肥料の研究開発、栽培技術の探求、製造及び国内外での販売を主たる事業として取り組んでおります。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(OATアグリオ株式会社)及び連結子会社2社(旭化学工業株式会社、OAT&IIL India Laboratories Private Limited)と非連結子会社4社(株式会社養液土耕栽培研究所、OATステビア株式会社、Asahi Chemical Europe s.r.o.、OAT Pakistan Private Limited)により構成されております。
当社グループは、特徴的な農薬製品や肥料製品及び独創的な栽培技術を持ち、生産者や一般消費者に対し多様な支援を行い、そこで得られた現場のニーズをフィードバックし研究開発に活用しております。

現在、当社グループは以下の3つの技術ごとにサービスを提供しており、それらの定義を次のように考えております。
(1)防除技術
防除技術とは、農作物に対して悪影響を与える病害虫から農作物を守る技術と、不要な植物(雑草類)を駆除する技術を合わせた総称であります。当社グループでは、植物の医薬品と位置づける「農薬」として提供しております。
(2)施肥灌水技術
施肥灌水技術とは、農作物を生育させるための栄養分を与える技術と、農作業の省力化や効率化を図る技術を合わせた総称であります。当社グループでは、植物の栄養分と位置づける「肥料」とそれらを農作物に供給する「養液土耕栽培システム」として供給しております。
(3)バイオスティミュラント
バイオスティミュラントとは、植物が本来持つ能力や機能を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長促進を促す物質や技術の総称であります。当社グループでは、バイオスティミュラントに属する植物成長調整剤を提供しております。

(食糧増産に貢献する技術と当社グループが提供するサービス)
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当社グループの特徴は、上記3つの技術ごとにサービスを提供することによって、食糧増産を目指す多面的なソリューションを提供できる点にあります。環境問題や食糧増産問題に直面する農業従事者をターゲットとして、現場のニーズや悩みを汲み上げ、農薬・肥料・バイオスティミュラント全方面の研究開発へ活用してまいります。また、多様な製品を提供できることによって、一般消費者への直販率も向上していくことができると考えております。

当社グループの主要製品である農薬を提供するためには、原体と呼ばれる有効成分を自社開発する研究開発体制が必要となります。
当社グループは研究開発拠点として、国内及び海外(インド共和国)に2拠点を保有しております。
国内の研究開発拠点として、1992年より徳島県鳴門市に研究所を開設し、原体の自社開発のため、化合物の合成やスクリーニングを行っております。同地には研究所だけでなく、当社グループの開発した原体を生産する工場設備や生産された農薬・肥料製品の有効性を実地調査するための栽培研究センターも併設しております。
海外の研究開発拠点として、2013年よりインド共和国へInsecticides(India)Limitedとの共同研究所OAT&IIL India Laboratories Private Limitedを設立し、国内の研究開発拠点と同様に化合物の合成やスクリーニングを行っております。
当社グループは、アグリテクノ事業の単一セグメントであるため、技術ごとに当社グループのサービスについて記載しております。

(1)防除技術(農薬製品の提供)
当社グループは、農薬の研究開発及び製造を行い、全農(全国農業協同組合連合会)を始め、商社やメーカー向けに販売を行っております。
農業では、特定の作物を人為的な環境で単一栽培するため、病害虫や雑草が発生しやすく、一定の収量と品質を確保することが困難となります。
農薬は、農作物の栽培を行う上で、その収量や品質、また安全性の確保に重要な役割を担っており、国内の食糧自給に貢献しております。
農薬の機能ごとの分類として、殺虫剤・殺菌剤・殺虫殺菌剤・除草剤・殺そ剤・植物成長調整剤・補助剤・その他に分類されます。

当社グループが取り扱う主要な農薬製品は以下のとおりであります。
分類原体名製剤名適用作物
殺虫剤ベンフラカルブ
オンコル粒剤5
(特許出願)1981年6月
(登録取得)1986年10月
水稲・さとうきび・キクなど
オレイン酸ナトリウムオレート液剤
(特許出願)1994年8月
(登録取得)1992年12月
野菜類・果樹類など
アラニカルブオリオン水和剤40
(特許出願)1982年11月
(登録取得)1993年11月
ナシ・柑橘・モモ・キャベツなど
トルフェンピラドハチハチ乳剤
(特許出願)1989年9月
(登録取得)2002年4月
キャベツ・ハクサイ・トマトなど
シフルメトフェンダニサラバフロアブル
(特許出願)2000年8月
(登録取得)2007年10月
茶・イチゴ・スイカなど
バチルスチューリンゲンシス菌の産生する結晶毒素トアロー水和剤CT
(※1)
(登録取得)2002年3月
野菜類・リンゴなど
プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルアカリタッチ乳剤
(※1)
(登録取得)2001年4月
野菜類・果樹類・ホップなど
殺菌剤フルチアニルガッテン乳剤
(特許出願)1999年12月
(登録取得)2013年2月
イチゴ・メロン・スイカなど
オキスポコナゾールフマル酸塩オーシャイン水和剤
(特許出願)1989年10月
(登録取得)2000年4月
リンゴ・ナシ・ブドウなど
炭酸水素カリウムカリグリーン
(※1)
(登録取得)2002年5月
野菜類・トマトなど
多硫化カルシウム石灰硫黄合剤
(※1)
(登録取得)2003年9月
果樹類


分類原体名製剤名適用作物
除草剤ベンゾフェナップ
他2剤
カリュードフロアブル
(※1)
(登録取得)2013年8月
水稲
ベンフレセート
他2剤
ロングショット1キロ粒剤
(※1)
(登録取得)2003年12月
水稲
シアン酸ソーダシアノット
(※1)
(登録取得)2003年12月
キャベツなど
植物成長調整剤デシルアルコールコンタクト
(※1)
(登録取得)1982年7月
たばこ
5-ニトログアヤコール
ニトロフェノール
アトニック
(※2)(※3)
水稲・りんご・トマト・いちご・菜種など
※1 買収等により取得した製剤であり、特許出願をしておりませんので、記載を省略しております。
※2 国内登録を取得しておりませんので、記載を省略しております。
※3 日本国内において、植物成長調整剤は農薬として規制を受けておりますが、当社においてこのうち「アトニック」につきましては、バイオスティミュラントとして区別しております。

①販売体制
当社グループの販売体制としましては、国内向けは本社に置く農薬事業部と営業支援室が、マーケティングに基づいた販売拡大対策を立案し、全国に配置した7ヶ所の支店・営業所が、全農、商系代理店を通じた新規顧客獲得、販路拡大などの営業活動を行っております。またマーケティング体制としましては、マーケティング普及部の担当として各営業拠点に1名を配置し、きめ細かいマーケティング活動を通じて、顧客ニーズへの対応に努めております。
海外向けは海外営業部を窓口として、商社経由の販売体制と当社直販体制の両面から、海外の顧客へアプローチしております。特にアジア地域は人口増加率が高く、今後の成長が見込まれる市場であるため、アジア地域への販売強化を目的に、パキスタンに販売会社としてOAT Pakistan Private Limitedを設立いたしました。
具体的な取り組みとしましては、タイの農家集会での商品説明会や台湾、タイ及びカンボジアでの農薬小売店向け商品説明会等を行い、アジアでの販売促進に注力しております。

② 研究開発体制
当社グループでは、徳島県鳴門市にある研究所に研究開発部を置き、「高い安全性」、「世界に通用する独創的な技術」、「世界的なニーズの高い分野の開発」をキーワードに、基礎研究から応用研究まで行っております。
国内で農薬を新規に開発し、製造・販売を行うには、農薬取締法に定められた登録を取得する必要があります。登録の取得には、厳格な手続きと多様な試験が要求され、およそ十年の歳月と数十億円に及ぶ経費を要すると想定されます。(図表)
後発品(ジェネリック農薬)も認められておりますが、広く認知されているジェネリック医薬品とは異なり、登録の取得に係る手続きや期間・費用は新規農薬と同程度を要する制度となっております。
そのため、当社では、新規農薬の自社開発を主眼に置き、研究開発の更なる強化とスピード向上を目的として、海外にOAT&IIL India Laboratories Private Limitedを設立しました。

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出典:農薬工業会、農林水産省

(2)施肥灌水技術(肥料製品の提供)
当社グループは、施設園芸農家向けに養液土耕栽培システムと肥料の販売を行っております。
養液土耕栽培システムは、液体肥料混入機と点滴チューブ及びその他周辺部材から構成され、養水分を正確に作物の株元に供給できるシステムです。作物の生育ステージに合わせて水と肥料の正確な施用を自動化することで、農業従事者の間口を広げると共に、農作物の収穫量向上に貢献します。
現在、全国で約2,800軒の農家に導入されており、農家の労力軽減、環境負荷の低減、作物の品質や収穫量向上などの目的で使用されています。導入されている作物は、トマト、いちご、キュウリ、ピーマン、ブドウ、カーネーション等多岐に亘っております。
また、当社グループは施設栽培向け液体肥料に注力しております。液体肥料市場は、施肥量の減量化や散布作業の省力化ニーズを背景に拡大しつつあり、その市場規模は約210億円と見込まれ、当社グループのシェアは約7.6%となっており、水耕栽培分野では一定のシェアを確保しております。(出典:矢野経済研究所「2013年版 拡大する施設園芸の市場実態と将来展望」)

当社グループが取り扱う主要な肥料製品と養液土耕栽培システムの特徴は以下のとおりであります。
分類製品名用途
肥料OATハウス肥料シリーズトマト、イチゴ、花などの水耕栽培用肥料
亜リン酸粒状肥料果菜類・葉菜類・根菜類・果樹類・芝などの粒状肥料
ホスプラス果菜類・葉菜類・根菜類・果樹類・芝などの葉面散布肥料
養液土耕栽培用肥料養液土耕栽培システム用肥料
システム養液土耕栽培システム主にトマト・イチゴ・キュウリ・ピーマン・ブドウ・カーネーションなどの液肥供給システム

①販売体制
当社グループでは、本社に置く肥料・BS事業部と営業支援室が、マーケティングに基づいた販売拡大対策を立案し、、全国にある7ヶ所の支店・営業所を通じた活動と、子会社の株式会社養液土耕栽培研究所を通じた活動により、顧客に密着した営業活動を行っております。
また、これら当社グループの施肥灌水技術を家庭菜園や農業の現場へ提供しやすくするため、ウェブ直販サイト「AGRIO」の運営をしております。ウェブ直販サイト「AGRIO」では、リビングで野菜を育てる水耕栽培キット「Living Garden」や農作物の育成に必要な肥料成分を1本でカバーする専門肥料「ベジタブルライフA」、切り花やしきびのながもち液「美咲」等、一般消費者向けの商品を中心に取り扱いを行っております。同サイトでは、園芸家の方や華道家の方から、使用方法等についてのアドバイスを掲載しております。

②研究開発体制
当社グループでは、徳島県鳴門市に研究開発部肥料・BS開発グループと栽培研究センターを、茨城県東茨城郡茨城町にいばらき養液栽培共同試験農場を置き、施設園芸作物の施肥灌水技術並びに、肥料製品の品質改善と安定生産のための技術開発を行っております。

(3)バイオスティミュラント(植物成長調整剤の提供)
バイオスティミュラントは、植物本来の能力や機能を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長促進を促す農薬やその他薬剤を指しております。バイオスティミュラントは国内での認知度は向上段階にありますが、近年ヨーロッパを中心に、植物の成長や健康を助ける働きを持つバイオスティミュラントが、農薬や肥料と同等の独立した枠組みで捉えられようとしております。
当社では、バイオスティミュラントの一つである植物成長調整剤「アトニック」の販売を足がかりに、防除技術、施肥灌水技術に続く、当社サービスの第三の柱として確立すべく、注力しております。

当社グループが取り扱う主要なバイオスティミュラントは以下のとおりであります。
分類製品名用途
植物成長調整剤アトニック水稲・りんご・トマト・いちご・菜種・とうもろこし・さとうきび

①販売体制
当社連結子会社である旭化学工業株式会社とAsahi Chemical Europe s.r.o.を通じて、主に海外向けに販売活動を行っております。
具体的には欧州でのプロモーション活動や、バイオスティミュラント学会の開催を行い、販売促進に注力しております。

②研究開発体制
当社研究開発部の肥料・BS開発グループと旭化学工業株式会社の研究所において、既に当社グループに収益貢献している「アトニック」とそれに続く製品の開発を行っております。

[事業系統図]
当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。

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(注)1. ※1 は連結子会社です。
2. ※2 は非連結子会社です。

沿革関係会社の状況


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