有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10058YH
株式会社リボミック 研究開発活動 (2015年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであります。
(1)研究開発戦略
当社は研究開発を事業とすることから、事業戦略とは研究開発戦略でもあります。当社は、アプタマー創薬に関する当社の競争優位性や強みを梃子として、以下の基本ポリシーのもとで、研究開発を推進しております。
① 自社創薬におけるパイプラインの一層の拡充・進展を図り、研究成果をいち早く知財化して競争優位性を維持、強化しライセンス・アウトを目指す。
② 共同研究を積極的に展開し、早期での収益の確保及びライセンス・アウトを目指す。
③ アプタマー創薬における当社の「RiboARTシステム」の更なる向上、発展を図るべく、次のアプタマーの創製にチャレンジする。
1)アゴニスト・アプタマー(受容体作動薬)
2)細胞内への取り込み可能な(DDS作用を有する)アプタマー
3)細胞膜貫通型のタンパク質と結合するアプタマー
4)iPS細胞の創製や純化、あるいは分化誘導に関連するアプタマー
④ 大学や研究機関との緊密な連携を図り、大学や研究機関での基礎研究成果を医薬品開発に応用するトランスレーショナル・リサーチを推進することにより、アカデミアにおける研究成果をいち早くアプタマー創薬に活かす。
(2)研究開発費
当事業年度における研究開発費は282百万円となっております。
(3)研究開発の特徴について
① 核酸医薬品の中でもアプタマーの創薬研究に特化
核酸医薬は、現在巨大な市場を形成しつつある抗体医薬に続く、次世代の医薬品として注目されている新しいカテゴリーの医薬品です。
当社は、その核酸医薬の中で、RNAが多様な立体構造を作り、標的となる疾患関連タンパク質に結合してその作用を阻害することに注目して、RNAアプタマーの医薬品への応用を図るための研究開発を行っております。
アプタマーを創薬のシーズとするのは、以下のような優れた特性があるためです。
1)標的となるタンパク質分子への結合という点で似たような作用を持つ抗体と比較しても、その結合活性が非常に高いことが多く知られています。
2)副作用に関しても、抗体は生物製剤であるため、免疫原性の影響は無視できませんが、アプタマーは合成品であるため、そのような懸念は今のところ報告されていません。
3)アプタマーは他の核酸医薬のように細胞内に入らなければその効果を発揮しないものと異なり、細胞内に導入する必要がないので非常に効率的です。
② アプタマー創薬に関するプラットフォーム「RiboARTシステム」
当社が有するアプタマー創薬に関するプラットフォーム「RiboARTシステム」は広汎な分野に応用可能な技術であるため、特定の疾患や領域に特化されないアプタマーの創製を行っております。
当社は、現在の技術的優位性に安住することなく、5年先、10年先の技術動向を見据え、新たなSELEX法や、抗体で難しいとされる受容体に直接作用するアゴニスト・アプタマー(受容体作動薬)、さらに細胞内に他の医薬を運搬するためのDDSに利用可能なアプタマー等の実現を目指しております。
「RiboARTシステム」のコアとなる技術の一つは、目標とする創薬ターゲット(タンパク質)に結合するアプタマーを取得するSELEX法に関する技術です。この技術は、2011年6月までは米国のアルケミックス社が全世界で権利を有し、その高価なライセンスの対価と同社の政策により、容易に第三者が商業目的でSELEX法を実施することができませんでした。当社は、2006年2月以降、アルケミックス社からSELEX法に関する基本特許等の使用許諾を受け、各種のアプタマーを開発するとともにSELEX法に関する技術の向上を図ってまいりました。他社に先駆けてSELEX法を実施し様々なアプタマーを創製してきたこと及びアカデミアとの連携が、「RiboARTシステム」として結実し、現在及び将来のアプタマー創薬における当社の競争優位性をもたらしております。
SELEX法の基本特許が2011年6月に日本及びヨーロッパで、2014年9月にアメリカで失効したため、世界各国の大手製薬企業がアプタマー創薬に参入してくることは十分に考えられます。一部の大手製薬企業が参入を開始しておりますが、当社は「RiboARTシステム」の発展を図り、核酸創薬、特にアプタマー創薬の分野において、主導的役割を果たしてまいりたいと考えております。
③ トランスレーショナル・リサーチの推進
当社の研究開発が他の創薬ベンチャー企業と際立って異なる点は、アカデミアでの研究成果を事業化のための開発に移行させるトランスレーショナル・リサーチを、長期間継続して行ってきたことであります。これにより、アカデミアにおける最新のRNA研究の内容や成果を、当社での事業化に直接反映させることができます。
④ 大学内の研究施設の活用と共同研究
当社は、本社が入居しているビルの2フロアだけでなく、東京大学医科学研究所・クレストホール内にも自社の研究室を有しております。この東京大学医科学研究所の研究室は、必要に応じて同研究所内の動物試験施設やRI試験設備その他の高度試験装置の使用が可能であり、これにより技術、信頼性の観点から、高いレベルの研究体制を整備しております。
また、上記の③とも関連しますが、東京大学医科学研究所とは2005年よりRNA科学やアプタマーに関連する共同研究を行ってまいりました。2012年4月からは新たに社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)を設置し、その下で産学連携での共同研究による、製品・技術開発を推進しております。
(4)研究開発体制について
当社の研究開発活動は探索研究部と開発研究部が密に連携して実施しております。探索研究部はSELEX法を駆使して目標のタンパク質に結合するアプタマーを創製し、その改良等を行っており、開発研究部は創製されたアプタマーの薬効を調査、確認する研究を行っております。開発研究部での試験結果は遅滞なく探索研究部にフィードバックされ、アプタマーの改良に活かされております。
2015年3月31日現在、両部に所属する研究員は13名であり、内5名が博士号を取得しています。同時に東京大学、東北大学、名古屋大学などのアカデミアとも共同研究を行っており、最先端のRNA研究の成果やアプタマーに関する技術動向の把握に努めております。
また、医薬品開発に必要なノウハウなどは大手製薬企業との共同開発を通じて蓄積するとともに、大手製薬企業でのグローバルな医薬品開発の経験を有する人材を社内に擁し、研究開発のプロセスを効果的に管理、運営できる体制をとっております。
医薬品の中でもとりわけ核酸医薬のような最先端の技術が関係する場合、知財は極めて重要であり、その対応には万全を期す必要があります。当社は医薬品、バイオ技術・製品に精通した複数の知財専門家と顧問契約を結び、緊密な連携のもと、対応を図っております。
(5)新薬候補化合物の開発状況
本書提出日現在における新薬候補化合物開発状況は「第1企業の概況 3事業の内容」の項で示したとおりです。
(1)研究開発戦略
当社は研究開発を事業とすることから、事業戦略とは研究開発戦略でもあります。当社は、アプタマー創薬に関する当社の競争優位性や強みを梃子として、以下の基本ポリシーのもとで、研究開発を推進しております。
① 自社創薬におけるパイプラインの一層の拡充・進展を図り、研究成果をいち早く知財化して競争優位性を維持、強化しライセンス・アウトを目指す。
② 共同研究を積極的に展開し、早期での収益の確保及びライセンス・アウトを目指す。
③ アプタマー創薬における当社の「RiboARTシステム」の更なる向上、発展を図るべく、次のアプタマーの創製にチャレンジする。
1)アゴニスト・アプタマー(受容体作動薬)
2)細胞内への取り込み可能な(DDS作用を有する)アプタマー
3)細胞膜貫通型のタンパク質と結合するアプタマー
4)iPS細胞の創製や純化、あるいは分化誘導に関連するアプタマー
④ 大学や研究機関との緊密な連携を図り、大学や研究機関での基礎研究成果を医薬品開発に応用するトランスレーショナル・リサーチを推進することにより、アカデミアにおける研究成果をいち早くアプタマー創薬に活かす。
(2)研究開発費
当事業年度における研究開発費は282百万円となっております。
(3)研究開発の特徴について
① 核酸医薬品の中でもアプタマーの創薬研究に特化
核酸医薬は、現在巨大な市場を形成しつつある抗体医薬に続く、次世代の医薬品として注目されている新しいカテゴリーの医薬品です。
当社は、その核酸医薬の中で、RNAが多様な立体構造を作り、標的となる疾患関連タンパク質に結合してその作用を阻害することに注目して、RNAアプタマーの医薬品への応用を図るための研究開発を行っております。
アプタマーを創薬のシーズとするのは、以下のような優れた特性があるためです。
1)標的となるタンパク質分子への結合という点で似たような作用を持つ抗体と比較しても、その結合活性が非常に高いことが多く知られています。
2)副作用に関しても、抗体は生物製剤であるため、免疫原性の影響は無視できませんが、アプタマーは合成品であるため、そのような懸念は今のところ報告されていません。
3)アプタマーは他の核酸医薬のように細胞内に入らなければその効果を発揮しないものと異なり、細胞内に導入する必要がないので非常に効率的です。
② アプタマー創薬に関するプラットフォーム「RiboARTシステム」
当社が有するアプタマー創薬に関するプラットフォーム「RiboARTシステム」は広汎な分野に応用可能な技術であるため、特定の疾患や領域に特化されないアプタマーの創製を行っております。
当社は、現在の技術的優位性に安住することなく、5年先、10年先の技術動向を見据え、新たなSELEX法や、抗体で難しいとされる受容体に直接作用するアゴニスト・アプタマー(受容体作動薬)、さらに細胞内に他の医薬を運搬するためのDDSに利用可能なアプタマー等の実現を目指しております。
「RiboARTシステム」のコアとなる技術の一つは、目標とする創薬ターゲット(タンパク質)に結合するアプタマーを取得するSELEX法に関する技術です。この技術は、2011年6月までは米国のアルケミックス社が全世界で権利を有し、その高価なライセンスの対価と同社の政策により、容易に第三者が商業目的でSELEX法を実施することができませんでした。当社は、2006年2月以降、アルケミックス社からSELEX法に関する基本特許等の使用許諾を受け、各種のアプタマーを開発するとともにSELEX法に関する技術の向上を図ってまいりました。他社に先駆けてSELEX法を実施し様々なアプタマーを創製してきたこと及びアカデミアとの連携が、「RiboARTシステム」として結実し、現在及び将来のアプタマー創薬における当社の競争優位性をもたらしております。
SELEX法の基本特許が2011年6月に日本及びヨーロッパで、2014年9月にアメリカで失効したため、世界各国の大手製薬企業がアプタマー創薬に参入してくることは十分に考えられます。一部の大手製薬企業が参入を開始しておりますが、当社は「RiboARTシステム」の発展を図り、核酸創薬、特にアプタマー創薬の分野において、主導的役割を果たしてまいりたいと考えております。
③ トランスレーショナル・リサーチの推進
当社の研究開発が他の創薬ベンチャー企業と際立って異なる点は、アカデミアでの研究成果を事業化のための開発に移行させるトランスレーショナル・リサーチを、長期間継続して行ってきたことであります。これにより、アカデミアにおける最新のRNA研究の内容や成果を、当社での事業化に直接反映させることができます。
④ 大学内の研究施設の活用と共同研究
当社は、本社が入居しているビルの2フロアだけでなく、東京大学医科学研究所・クレストホール内にも自社の研究室を有しております。この東京大学医科学研究所の研究室は、必要に応じて同研究所内の動物試験施設やRI試験設備その他の高度試験装置の使用が可能であり、これにより技術、信頼性の観点から、高いレベルの研究体制を整備しております。
また、上記の③とも関連しますが、東京大学医科学研究所とは2005年よりRNA科学やアプタマーに関連する共同研究を行ってまいりました。2012年4月からは新たに社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)を設置し、その下で産学連携での共同研究による、製品・技術開発を推進しております。
(4)研究開発体制について
当社の研究開発活動は探索研究部と開発研究部が密に連携して実施しております。探索研究部はSELEX法を駆使して目標のタンパク質に結合するアプタマーを創製し、その改良等を行っており、開発研究部は創製されたアプタマーの薬効を調査、確認する研究を行っております。開発研究部での試験結果は遅滞なく探索研究部にフィードバックされ、アプタマーの改良に活かされております。
2015年3月31日現在、両部に所属する研究員は13名であり、内5名が博士号を取得しています。同時に東京大学、東北大学、名古屋大学などのアカデミアとも共同研究を行っており、最先端のRNA研究の成果やアプタマーに関する技術動向の把握に努めております。
また、医薬品開発に必要なノウハウなどは大手製薬企業との共同開発を通じて蓄積するとともに、大手製薬企業でのグローバルな医薬品開発の経験を有する人材を社内に擁し、研究開発のプロセスを効果的に管理、運営できる体制をとっております。
医薬品の中でもとりわけ核酸医薬のような最先端の技術が関係する場合、知財は極めて重要であり、その対応には万全を期す必要があります。当社は医薬品、バイオ技術・製品に精通した複数の知財専門家と顧問契約を結び、緊密な連携のもと、対応を図っております。
(5)新薬候補化合物の開発状況
本書提出日現在における新薬候補化合物開発状況は「第1企業の概況 3事業の内容」の項で示したとおりです。
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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- 従業員の状況
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- 株価の推移
- 最近6月間の月別最高・最低株価
- 株式所有者別状況
- 役員の状況
- コーポレートガバナンス状況
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