有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1005ZRY
株式会社スマートバリュー 業績等の概要 (2015年6月期)
(1)業績
当事業年度におけるわが国経済は、消費税増税後の落ち込みから持ち直し、輸出・生産が回復基調にある中、設備投資にも改善の動きが見られ、景気は緩やかな回復基調にありました。ただし、アメリカの金融政策正常化に向けた動きの影響、ヨーロッパ、中国やその他新興国経済の先行き、原油価格下落の影響などによる海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクもあり、先行きは不透明な状況にあります。当社が市場とする国内クラウドサービス市場におきましては、2013年度には6,257億円の市場規模であったと推測されており、これが2018年度には2013年度比で2.9倍の1兆8,000億円程度まで拡大すると予想されております(出典:株式会社MM総研「国内クラウドサービス市場規模 実績・予測(2014年11月)」。企業のIT投資全体は、約25兆円程度で横ばいに推移している中、クラウドファースト(注1)の流れは一層鮮明となっております。
他方、もう一つの当社の重要な市場である国内携帯電話販売市場においては、2015年3月末時点で1億2,651万契約(出典:株式会社MM総研「スマートフォン契約数および端末別月額利用料金・通信量(2015年3月)」)となっておりますが、2019年3月末には1億4,529万契約(出典:株式会社MM総研「スマートフォン市場規模の推移・予測(2014年4月)」)と、スマートデバイス効果やMVNO SIM(注2)の普及は見られるものの、人口普及率100%を超えたことから、更なる伸びは期待しにくいと予測されております。
このような情勢のなか当社では、売上高は6,429,500千円(前期比0.9%増)、営業利益は180,917千円(同30.3%増)となりました。経常利益は営業外収益として保険解約返戻金34,746千円、営業外費用として新株発行による株式交付費10,643千円を計上したことにより209,410千円(同40.1%増)、当期純利益は特別利益として店舗改装に伴う店舗支援金17,500千円を計上したことにより126,085千円(同46.0%増)となりました。
なお、当事業年度におけるセグメント別の業績は次のとおりです。
クラウドソリューション事業におきましては、都市型データセンターを基盤としたクラウドプラットフォームと、自治体及び公的機関等特定業種業務向けSaaSを提供している地域情報クラウド、及び車載向けのモビリティ・サービスを推進してまいりました。
地域情報クラウドでは、自治体向けの地域情報クラウドサービスの導入が堅調に推移したことにより売上高は367,530千円(前期比9.9%増)となりました。
クラウドプラットフォームでは、データセンターにおけるハウジングサービスの解約を補うべく、クラウドプラットフォーム「Smart VDC」の拡販を推進し売上高は450,462千円(前期比9.5%減)となりました。
モビリティ・サービスでは、法人向けテレマティクスサービスの提供や、蓄積された技術・ノウハウを活かした、M2Mやスマートデバイスの利活用をベースとしたシステム開発受託案件が増加し売上高は1,312,815千円(同3.6%増)となりました。
以上の結果、クラウドソリューション事業では、売上高2,130,809千円(前期比1.5%増)、セグメント利益231,821千円(同17.3%増)となりました。
モバイル事業におきましては、国内携帯電話販売市場における競争激化やキャリアからの手数料減額など、経営環境の厳しさが増す中、携帯電話向けアクセサリー等の周辺機器の拡販や、店舗オペレーションの効率化による人件費削減などに取り組んだことにより、総じて業績は堅調に推移いたしました。
以上の結果、モバイル事業では、売上高4,298,690千円(前期比0.6%増)、セグメント利益315,732千円(同29.5%増)となりました。
各事業の売上構成は、以下のとおりです。
(単位:千円、%)
セグメント及び事業の名称 | 2014年6月期 | 2015年6月期(当期) | 対前期 増減率 | ||
売上高 | 構成比 | 売上高 | 構成比 | ||
クラウドソリューション事業 | |||||
地域情報クラウド | 334,275 | 5.2 | 367,530 | 5.7 | 9.9 |
クラウドプラットフォーム | 497,513 | 7.8 | 450,462 | 7.0 | △9.5 |
モビリティ・サービス | 1,266,889 | 19.9 | 1,312,815 | 20.4 | 3.6 |
クラウドソリューション事業合計 | 2,098,679 | 32.9 | 2,130,809 | 33.1 | 1.5 |
モバイル事業 | 4,271,960 | 67.1 | 4,298,690 | 66.9 | 0.6 |
合計 | 6,370,639 | 100.0 | 6,429,500 | 100.0 | 0.9 |
[用語解説]
注1 クラウドファースト:企業や公的機関等がシステム投資をする際、クラウドを選択するようになること。
注2 MVNO SIM:MVNOとは、モバイル バーチャル ネットワーク オペレーターの略で、携帯電話の物理的な移動体回線網を自社で保有せずに、通信キャリアから借り受け、自社ブランドで通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者を指します。MVNO SIMとは、このMVNO事業者が提供する格安のSIMカード(携帯電話のサービスを受けるためには必ず必要となる、電話番号と結びついた固有の番号を付与されたカード)を指します。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は909,013千円となり、前期と比べ675,361千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果、得られた資金は434,774千円となり、前期と比べ174,460千円の増加となりました。これは主に、税引前当期純利益224,337千円、減価償却費110,676千円、仕入債務の増加額47,516千円、未払金の増加額74,492千円によるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果、減少した資金は24,102千円となり、前期と比べ45,359千円の増加となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出43,448千円、無形固定資産の取得による支出47,425千円、敷金及び保証金の差入による支出11,814千円、保険積立金の解約による収入76,891千円によるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果、増加した資金は264,689千円となり、前期と比べ496,865千円の増加となりました。これは主に、有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)及び有償第三者割当(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)に伴う新株の発行による収入470,498千円、短期借入金の減少額110,000千円、長期借入金の返済による支出90,156千円によるものであります。
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