有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1006IZL
アイビーシー株式会社 事業の内容 (2015年9月期)
(1) 経営理念
当社は「Analysisサービスカンパニーとしてお客様と長く付き合える企業になる」ことを目指した経営理念を掲げております。・ネットワークインフラを通じ、お客様に心から喜んでいただける企業になる。
・プロとしての倫理観と実行力を備えたプロフェッショナル集団になる。
・お客様に可愛がられること、優れた人材を創出することを通じて社会へ貢献できる企業になる。
(2) 事業概要
現在のICT(*1)業界では、クラウドコンピューティング(*2)やビッグデータ(*3)の活用、リソース(*4)の仮想化(*5)などの新たな技術が浸透する中、障害予兆の特定が困難かつ複雑化していく問題があります。当社は、このような環境の中、コンピューター・ネットワークシステムの安定稼働や品質向上を実現する自社製品の開発と販売、各種ソリューションを提供しております。
システムの安定稼働や品質向上はICT業界の命題ですが、クラウドコンピューティングによる仮想化の促進や、ビッグデータや画像データ、音声、IoT(*6)などによるデータ量の増大、ネットワーク環境やデバイスの多様化などによるシステム環境の変化が原因となり、その実現を極めて困難にしています。さらに、それらの環境を支える運用の現場においては、高いスキルを有する人材が慢性的に枯渇しております。
コンピューター・ネットワークシステムを介したサービスの停止や通信の遅延などの障害は、社会活動の大きな妨げとなります。当社では、問題発生後に気づく従来型の手法から、問題の予兆をいち早く検知し障害を未然に防ぐ新たな手法として独自製品「System Answerシリーズ」の開発及び機能拡張を続けることで、複雑化かつブラックボックスとなっているシステム環境や少人数の運用体制でも安心安全なサービス提供を実現し、社会や企業インフラの品質向上とコスト削減に貢献しています。
また、お客様が直面するICTに関するさまざまな問題に対して、キャパシティ計画(*7)の視点に立ったソリューションサービスを展開しております。
当社では、これらの課題に対する改善・解決に向けた迅速な活動のことを「Speedy Action」(*8)と称し、以下の現状評価、性能監視、運用支援に関するサービスをワンストップで提供しております。
① 現状評価
お客様のコンピューター・ネットワークシステムの問題の抽出や最適な改善を行って頂く為の分析サービスを行っております。② 性能監視
マルチベンダー(*9)で構成される複雑なシステムの性能状況を、精度の高いデータで分析することが可能な自社開発性能監視ツール「System Answer シリーズ」を提供しております。適切なデータを継続的に取得し、問題の予兆をとらえ安定稼働を促進いたします。③ 運用支援
課題解決の為のコンサルティングや、システム運用担当者の育成サポートなど、お客様のビジネスパートナーとしてさまざまな運用支援を行っております。< ICT業界の課題とSystem Answer G2による解決>
(3) セグメント区分
当社の報告セグメントは、ネットワークシステム監視関連事業の単一セグメントとしております。具体的な販売・提供区分は以下のとおりとなります。① ライセンスの販売
自社製品である「System Answer シリーズ」のライセンス(ソフトウェア使用権)を販売しております。「System Answer シリーズ」は、お客様の監視対象数などの規模に応じた柔軟なラインアップと様々なシステム環境に対応したオプションを下記のとおり提供しております。a.System Answer G2(System Answer シリーズ本体機能)
Datacenter Ware | 大規模ユーザー向けソフトウエア |
Enterprise Ware | 中小規模ユーザー向けソフトウエア |
Appliance | 中小規模ユーザー向けアプライアンス(*10) |
b.オプション機能
Trap | 監視対象機器が異常発生時に発信するアラート通知との連携機能 |
Syslog | システムのログ情報と連携する機能 |
API | 自動レポーティング機能、外部プログラム連携機能 |
Topology | システムの接続構成を自動描画する機能 |
Hypervisor | 仮想システムの性能を監視する機能 |
c.監視サービス
今日のレスポンス | 複数拠点からシステムの応答時間計測を行うサービス |
② サービスの提供
「System Answer シリーズ」のデータをもとに、当社の蓄積した専門技術を活かした分析・解析サービスや各種役務サービスを下記のとおり提供しております。ネットワークコンサルティングサービス | システムの問題や課題に対してお客様の視点に立ち調査や改善提案を行います。 | |
ネットワーク設計 | お客様の予算や仕様に基づき、適切な設計を行います。 | |
ネットワーク移行/構築 | ネットワーク設備の更改や新設に伴う構築作業全般において、作業の指示や作業手順の作成、機器の設置および設定などを行います。 | |
運用コンサルティングサービス | 問題予兆検出や性能監視手法、キャパシティ計画立案など運用に関わる支援を行います。 | |
System Answerシリーズ各種技術支援サービス | 上記のソリューションのほか、以下に記載する技術支援サービスを提供しております。 | |
スタートアップサービス | 製品導入後1ヶ月間、導入や活用に関するサポートを行います。 | |
運用支援サービス | 監視項目の見直し、製品使用方法及び活用方法に関するレクチャー、分析などを行います。 | |
クイック分析サービス | 製品導入後に簡易分析を行います。 | |
トレーニング | お客様サイトにおいて各種トレーニングを行います。 | |
インストール作業 | 製品の導入作業を行います。 | |
アプライアンス初期設定作業 | 製品導入時の初期設定や操作説明を行います。 | |
セットアップ作業 | 製品導入の監視設定に関わる作業を行います。 | |
テンプレート追加作業 | 新たな監視機器の追加作業を行います。 | |
バージョンアップ作業 | 製品のバージョンアップ作業を行います。 |
③ その他物販
お客様の課題を解決する為の他社製品やソリューションサービスに付随した各種システム機器やソフトウエアなどの販売を行っております。(4) 製品の強み
① 自社開発製品
マウスによる直観的操作で、システム性能監視を行うことができる製品を自社開発しています。現行の「System Answer G2」は、従来のSystem Answerシリーズの機能を更に拡張し、IPv6(*11)、仮想システム、多言語対応など、次世代のサービスやグローバル展開も視野に入れた製品です。
② 機能と効果
マルチベンダーの仮想サーバーやネットワーク機器の膨大な性能情報をきめ細かく収集し、瞬時に表示・解析・通知を行います。現状の可視化から、問題の予兆検知、性能や問題発生時のノンストレスな分析、無理や無駄のない投資計画や稼働統計レポートの作成まで、現代のシステム運用に求められる作業を実施することができます。その結果、システムの安定稼働促進、品質向上およびコスト削減並びに顧客満足度向上に効果を発揮します。③ 1分間隔の監視
システムは常に変化し続けており、その性能を的確にとらえる為の情報収集間隔は1分単位としています。精度の高いデータを解析することで、突発的なデータ量の上昇、予想外の時間帯におけるアクセス数の増加やシステムの異常、遅延などを迅速に検知することが可能となります。また、収集されたデータはサマライズすることなく長期的に蓄積を行うことが可能です。
これらの詳細データは統計解析時の精度に直結し、障害要因となりうるボトルネックの検出や、将来必要とされる設備増強計画を立案する際に有効となります。詳細なデータを活用することで、システムダウンによる機会損失や顧客満足度低下などのリスクを回避し、安定的なサービス提供が可能となります。
④ 運用コストの削減
製品導入が容易で、マウスによる直観的操作が可能です。また、監視設定もMIB(*12)テンプレート機能により行うことができます。本書提出日現在、103ベンダー3,103項目のプライベートMIB情報に対応しております。また、キャパシティ計画書、システム監査報告書、月次報告書、障害報告書などに必要なグラフレポートを自動的に作成するとともに、現在のサービス提供状況やシステム性能状況をタイムリーに公開することも可能となり、今まで工数の掛かっていた作業を短縮することができます。
専門的な知識を必要としない比較的簡単な操作により、属人化を解消した運用コストの削減が可能となります。
⑤ 予兆検知の実現
過去の使用傾向と現在の状況をリアルタイムに解析し、異常をいち早く通知します。従来の監視製品では正常と認識され見過ごされてきた障害を早期に発見し、システムダウンの回避を行うことができます。また、システム単位での応答時間をリアルタイムにとらえ、品質状況を常に確認することで大きな問題に発展する前に異常を検知することができます。万が一のサービス悪化の際にも、性能情報と各アプリケーション単位でのレスポンス(*13)を分析することで、見落としがちな問題を浮き彫りにすることが可能となります。
⑥ ネットワークシステム全体の一元管理
従来、高額で専門性が高いとの理由で導入が難しかった性能監視(帯域(*14)、リソース、レスポンスなどの管理)を比較的簡単かつ低コストで実現させ、基幹システム、WAN(*15)回線、各拠点のLAN環境までを対象とした広範囲な管理を実現します。最新技術にも随時対応しており、仮想化環境やクラウドコンピューティング環境も総合的に管理することが可能となります。<特徴的な機能とソリューション>
(*)「Global Baseline」とは、「System Answer G2」をご利用いただいているお客様に対して、機器性能指標を
無償で提供するサービスです。
(5) 当社の強み
① 開発力と技術力
製品を開発する上で培った莫大な情報を高速に収集し、瞬時に表示・解析・通知を行う独自の技術を有しております。また、多くのお客様に対して直接サポートをすることによって蓄積された数々のノウハウは、製品の機能拡張やコンサルティング内容の充実に寄与しております。② 幅広い業種・業態のお客様
当社は、ICT部門の共通課題である、運用コスト削減や安定稼働の促進、品質向上を目的にブラックボックス化したシステムの問題予兆を早期に捉える性能監視ツール「System Answer G2」の独自開発・機能拡張・販売・サポートを中核に事業を展開して参りました。その結果、当社のお客様は、官公庁・地方自治体、医療、文教、金融・保険・証券、製造業、物流、情報通信産業など業種・業態・規模を問わず、多岐にわたっております。③ 開発会社ならではの丁寧なサポート
経験豊富な専門性の高い技術者が製品の使用方法からコンピューター・ネットワークシステムの評価、改善策の提示などの各種サポートを行っております。新たな監視対象機器の追加や機能拡張など開発会社の強みを活かして、お客様の要望に対して随時対応しております。(6) 販売チャネルについて
当社では、より多くのお客様に利用いただくため、以下の販売チャネルを展開しております。販売チャネル | 基本的な機能 | 特徴 |
直接販売 | 当社が開催しているセミナーや定期的に出展している展示会、日々実施しているテレマーケティングなどで関心を持っていただいたお客様に対し、当社営業担当者が直接提案を行っております。 | お客様のニーズを直接確認することが可能となり、クオリティの高い提案が可能となります。 また、さまざまなお客様の要望を蓄積し、その後の機能拡張や製品開発へ生かすことにより、お客様のニーズに沿った製品を提供することが可能となります。 |
間接販売 | パートナー企業のお客様に対して、パートナー企業の営業担当者が提案を行っております。 | パートナー企業のお客様や当社では入り込めない領域に対して、パートナー企業の営業力を活用することにより、販売シェアの拡大が可能となります。 また、大規模ネットワークのリプレイスなどと合わせて当社製品を提案することにより、潜在的ニーズに応えることが可能となります。 |
ハイタッチ | パートナー企業のお客様に対して、当社営業担当者及び技術社員が提案を行っております。 | 上記「直接販売」及び「間接販売」の販売チャネルの特徴を生かした販売チャネルとなります。 |
当社における製品およびソリューションの販売方法は、直接販売と間接販売に分類することができます。
直接販売の利点は、コンサルティングベースでお客様と打合わせを重ね、より具体的な課題解決効果を訴求できることであります。さらに、お客様の動向や環境の変化に直接的に関与することができる為、知り得た情報や知識を製品の機能拡張やサポートに展開できる点が強みとなっています。
一方、間接販売の利点は、多くのパートナー企業とタイアップした営業活動ができることであります。幅広い業種・業態に対して、商機を多く作り上げることにより販路拡大に繋げています。また、SIer(システムインテグレーター)、NIer(ネットワークインテグレーター)、IDC(インターネットデータセンター)、通信キャリアなどのパートナー企業において、当社製品を利用した新たなサービスや連携ソリューションなども手掛けているほか、業種・業態に特化した利用方法の拡大などに努めております。
(7) 事業の系統図
事業の系統図は、次のとおりであります。※ 当社は、パートナー企業が有するラインナップに入り、パートナー企業を介して、当社独自の販売活動では
取引困難な大手ユーザーなどと取引しております。
番号 | 用語 | 意味・内容 |
*1 | ICT (Information and Communication Technology) | コンピューターやデータ通信に関する技術の総称であり、「IT」にコミュニケーション(共同性)「C」を追加し、より一層ユビキタス社会に合致した表現としている。 |
*2 | クラウド (クラウドコンピューティング) | ネットワークをベースとしたコンピューター資源の利用形態であり、コンピューターによる処理やデータの格納をネットワーク経由でサービスとして利用すること。 |
*3 | ビッグデータ | 通常のデータベース管理ツールなどで取り扱うことが困難なほど巨大な大きさのデータの集まりのこと。 |
*4 | リソース | コンピューターにおいて、何らかのソフトウエアやハードウエアを動作させるのに必要なCPUの処理速度やメモリ容量、ハードディスク容量などのこと。 |
*5 | 仮想化 | サーバーなどのハードウエア内のリソース(CPU・メモリ・ディスク)を、物理的な構成にとらわれずに、論理的に統合・分割できる技術のこと。余剰リソースを有効活用できるメリットがある。 |
*6 | IoT | Internet of Thingsの略。「モノのインターネット」と訳される。コンピューターなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能を持たせ、インターネットへの接続や相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。 |
*7 | キャパシティ計画 | コンピューターシステムに必要とされるシステムのCPU処理能力や記憶容量、ネットワーク帯域や機器能力などを見積ること。処理のピーク時を想定し、必要なコンピューターリソースを算出する為に使われる。それゆえ、現在の性能把握と過去からの傾向解析、将来の業務負荷量策定など困難な作業が多い。近年ではキャパシティ計画に加え、障害や災害に対応できるシステム設計も求められることが多い。 |
*8 | Speedy Action | システム運用において、いち早く障害の兆候を発見して現況を正確に把握し、投資や人員配置に関わる決断を行って迅速に対策を実行し、さらにその対策が本当に適切だったかを検証する一連のプロセスのこと。 |
*9 | マルチベンダー | 一つの企業の製品だけでシステムを構築するのではなく、さまざまな企業の製品からそれぞれ優れたものを選んで組み合わせてシステムを構築すること。 |
*10 | アプライアンス | 特定の機能や用途に特化した専用機器。 |
*11 | IPv6 | アドレス資源の枯渇が心配される現行から、管理できるアドレス空間の増大、セキュリティ機能の追加、優先度に応じたデータの送信などの改良を施した次世代インターネットプロトコル(通信手順)のこと。 |
*12 | MIB (標準MIB) | 通信ネットワークにおけるデバイスを管理する為のデータベースの一種。そのうち、ベンダー(製品を提供している会社)などが独自に定義しているMIBを「プライベートMIB」という。 |
*13 | レスポンス | ネットワーク通信で、通信相手にデータを送信した後、相手から送られてくる返信やその内容のこと。 |
*14 | 帯域 | ネットワーク通信においては通信速度を表し、情報(データ)を一度にどのくらい送信できるかということ。 |
*15 | WAN | 遠隔地にあるLANやホスト同士を公衆回線網で接続したネットワーク。通常は通信事業者が提供している。 |
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E31754] S1006IZL)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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