有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007MR9
株式会社ベルシステム24ホールディングス 事業等のリスク (2016年2月期)
対処すべき課題メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)業務提携等について
当社子会社であったBBコール株式会社(2015年9月1日付で当社連結子会社である株式会社ベルシステム24が吸収合併)が、ソフトバンクBB株式会社・ソフトバンクテレコム株式会社・ソフトバンクモバイル株式会社・ワイモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と、2015年に新たに締結した業務委託基本契約及び個別契約において、受注単価等の取引条件が変更となったことに伴い、2016年2月期の当社グループの業績に影響が生じました。加えて、今期以降も、受注単価等の取引条件の再変更等によって、当社グループの業績が影響を受ける可能性がある他、契約締結先企業の業績・状況によっては、当社グループの業務受注量が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(2)事業環境等について
当社グループが属する情報サービス業界のうち、コンタクトセンターサービスの国内市場規模は2009年の5,783億円から2015年の7,300億円台へと堅調に拡大しておりますが(出所:株式会社 ミック経済研究所「CRM/フルフィル/ビジネスプロセスアウトソーシング市場の状況と展望2015年版」)、この背景としては昨今の経済状況によるクライアント企業のコスト削減を目的としたアウトソーシング化の流れがあります。一方で、景気の後退期等においては、クライアント企業での費用削減の傾向が強まり、これまで以上にクライアント企業からのコスト圧縮の要求が高まった場合や、クライアント社内の余剰人材の活用による内製化への転換等が行われた場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。(3)取引先の業況
当社グループのCRM事業においては、多様な業界・クライアントと取引することで、特定の業界や特定のクライアントの業況に大きく影響受けない、リスクを分散した安定的な運営を行っております。また、当社グループのクライアントは上場企業等大企業が多く、かつ1年毎の更新となる長期契約が多いことから、短期的に売上高の大きな変動はないものと考えております。しかしながら、取引先企業の業績が悪化した場合には、アウトソーシング費用低減を目的として、急激な業務量の変更が行われる懸念があります。当社グループは、派遣者及び有期雇用者の業務シフトの見直しや契約解除等で対応いたしますが、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(4)競合について
当社グループの中核をなすCRM事業が属する「コンタクトセンターアウトソース分野」の市場環境は、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が進んでおります(出典:株式会社ミック経済研究所「CRM/フルフィル/ビジネスプロセスアウトソーシング市場の現状と展望2015年度版」)。当社グループは、寡占化が進む同事業領域において、以下のようなさらなる差別化戦略の遂行を通じ、価格競争とは一線を画す形で他社との競争優位性を確立の上、業界トップクラスのポジションを確固たるものとしてまいります。① 業界での高い経験値と実績に裏付けられた、クライアント企業の要望に応じて迅速かつ的確な対処を可能とする「現場対応力」及びその能力を向上させ続けるための現場実務を担うオペレーター向け育成研修プログラム
② クライアント企業との間で取り決められた「成果」をコミットし、高い生産性によってクライアント企業の満足度向上を実現する先進的なグローバルオペレーションプロセスの実行力と、その実行を担保する人材・ITインフラ等の経営資源
③ 伊藤忠商事㈱の資本参加に伴う、同社グループ企業や同社取引先のコンタクトセンター需要の獲得、及び同社グループにある先進のテクノロジーを持つIT系企業とのコラボレーションによる、コンタクトセンター向けインフラ提供+コンタクトセンター運営の総合型CRMビジネスの積極展開
しかしながら、今後景気の悪化や、業界のコスト構造の変化、業界内の合従連衡等により、当社グループが属する市場の規模が想定したほど拡大しない場合、あるいは、当社グループの差別化戦略が奏功せず、競合優位性の確立につながらなかった場合には、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5)顧客との契約について
多くのクライアント企業との契約は1年毎の更新となっておりますが、クライアント企業の事情による内製化あるいは他企業への委託等により途中解約となる、又は契約が更新されない可能性があり、その場合には当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。(6)法規制について
現在のところ当社グループの事業に直接的に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、コンタクトセンター業務においては、一部の業務について労働者を派遣することにより実施しております。当社グループでは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」と言う。)その他の関係法令を遵守しつつ労働者派遣を行っておりますが、労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)に該当し、又は労働者派遣法その他の関係法令に違反した場合には、派遣事業の許可の取消(労働者派遣法第14条)もしくは事業の全部又は一部の停止等を命ぜられ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の連結子会社である株式会社ベル・メディカルソリューションズや株式会社BELL24・Cell Productにて取り組むCRO/SMO等の医薬品開発支援業務においては、薬事法、薬事法施行規則及びそれに関連する厚生労働省令を遵守の上実施しておりますが、これらの法律や省令が改正された場合、事業活動への制限や事業運営に係るコスト増加につながる可能性があります。加えて、今後社会情勢の変化等に応じて当社グループの事業において新たな法令等の制定や既存法令等の改正、解釈の変更等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)知的財産権の侵害について
当社グループは、新たなサービスの開発や事業の開始にあたっては、可能な範囲で調査を行い、第三者の知的財産権を侵害することのないよう努めております。しかしながら、予期せず第三者の知的財産権を侵害する等の事態が発生した場合には、当該第三者から損害賠償又は使用差止等の請求を受けることにより、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの受託業務の成果物に関する著作権は当社グループ単独又は当社グループとクライアントの共同保有となっているものがほとんどであり、知的財産権として保護されております。
当社グループのオペレーション上の運用手順・ノウハウ、あるいは当社グループのIT基盤上における当社が開発したソフトウェアは、その多くが特許等知的財産権としての性質を有するものではございません。オペレーション上の運用手順・ノウハウについては、当社グループ社員との間の雇用契約における守秘義務及び当社グループとクライアントとの間の業務委託契約等にて機密保持義務が課される対象となっており、当社グループ社員との雇用契約においては、退職後においても守秘義務及び機密保持義務は継続されることとなっていますが、何らかの理由により他社に漏えい又は模倣される等して、当社グループが損失を受ける可能性は否定できず、結果として当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報システムに障害が発生した場合の影響について
昨今の高度に発達した情報化社会においては、情報システムに障害等が生じた場合には、多大な損害が発生することとなります。当社グループの事業においても、営業/オペレーションの運用管理から人事労務管理及び経理全般に至る業務遂行において情報システムに大きく依存しております。万一の場合に備えて可能な限りの事前防止策に努めておりますが、自然災害や想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能なコンピュータウィルスの感染等により情報システムに障害等が生じた場合には、クライアントの事業に影響を与え、それにより損害の賠償を求められる可能性がある他、当社グループの事業への信頼喪失を招き、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(9)業務量に対するコスト適正化の遅行性について
当社グループが属する情報サービス業界のうち、コンタクトセンターサービスにおける主なコストは人件費により占められており、有期契約の契約社員を積極的に活用することで、効率的なコンタクトセンター運営を実現しております。コンタクトセンター運営においては業務量の増減に合わせて人員の調整を行っておりますが、その調整において業務量の減少に対して人員の調整が追いつかず、コストの適正化が遅行するといった事象が発生した場合、収益悪化につながる可能性があります。(10)人材の確保について
当社グループは、高度な専門的知識及び経験を有する優秀な基幹人材の確保、ならびにコンタクトセンターにおいてはサービスを直接提供するコミュニケーターの確保が大きな課題であります。今後の外部環境等の変化により人員計画等に基づいた採用が行えなかった場合や離職率が上昇した場合には、顧客の要望に対応できない可能性がある他、代替人員の確保のための採用・研修等に関するコストが増加することによって、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。(11)労務関連について
当社グループでは、多くのパートタイム・アルバイト等の有期契約社員が、コンタクトセンター業務に従事しております。2013年の改正労働契約法の施行により、施行日以降において有期雇用契約が反復更新され通算契約期間が5年を超えた場合に労働者が申込みをしたときは、期間の定めのない雇用契約に転換されることが法定された他、2016年10月からは短期労働者に対する厚生年金及び健康保険の適用が拡大される等、有期契約社員を取り巻く法規制や労働環境には重大な変化が起こりつつあります。こうした労働関連法規制への対応や労働環境の変化により、当社グループが優秀な人材を雇用できなくなる可能性や当社グループの人件費が高騰する可能性があります。(12)不動産の賃借について
当社グループの本社及びコンタクトセンターは、建物を第三者から賃借しており、敷金や保証金を賃貸人に対して差し入れている物件が大半を占めております。予期せぬ賃貸人の破産等が発生した場合は、当該敷金や保証金が回収不能となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが新規コンタクトセンターを新設したり、賃借する建物の老朽化等に伴いコンタクトセンターを移転せざるを得なくなった場合、既存コンタクトセンターの賃貸借の更新を行う場合において、景気の変動等により賃料相場が上昇する可能性があります。この他、当社グループが当初策定した通りのコンタクトセンターの新設や増床そのものが困難となる可能性があるとともに、賃貸借契約の内容によっては費用が増加する可能性があります。これらの場合においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(13)多額の借入金、金利の変動及び財務制限条項への抵触について
当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入れを行っており、2016年2月期の有利子負債依存度は59.1%(注1)となっております。当社グループは、かかる借入契約の約定に基づき、新たな借入れが制約される可能性があります。また、借入金にかかる金利のうち、変動金利部分については、市場金利が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの借入金のうち、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱東京UFJ銀行、及び三井住友銀行を幹事とするシニアファシリティ契約に基づく借入金については、財務制限条項が付されております。これに抵触した場合、貸付人の請求があれば本契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、かかる資金の確保ができない場合は、当社グループの他の借入についても期限の利益を喪失することが予測され、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、財務制限条項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.借入金」に記載しております。
(注1)有利子負債依存度は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債の総資産に占める割合となります。
(14)自然災害等について
当社グループは、全国にコンタクトセンターを分散配置することで、大規模な地震・風水害・津波・大雪・新型インフルエンザ等の感染症の大流行等が発生した場合においても、被災していないコンタクトセンターが被災したコンタクトセンターを補うことが可能となっております。しかしながら当社グループの本社機能が被災した場合や、被災していないコンタクトセンターにおいて被災したコンタクトセンターを補うだけの人員を遅滞なく確保することができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(15)情報漏洩リスクについて
コンタクトセンターは、クライアント企業から預託を受けた各種情報が集積する場所であるため、当社グループにおいては、従来より、個人情報保護及び機密保持に最大の関心を払った施策を行っており、「テレマーケティング・サービス倫理綱領」(1988年制定)、「情報倫理綱領」(1998年制定)を制定し、企業倫理の指針を明文化するとともに、「個人情報保護方針」、「情報セキュリティ方針」(いずれも2005年制定)をはじめ情報保護に関する規程類を整備し、従業員への周知徹底を図ってまいりました。 これらの経緯をふまえ、当社グループが社会やクライアント企業からさらなる信頼を獲得するとともに、企業の社会的責任を果たすべく、2006年8月に「テレマーケティング・サービス倫理綱領」を発展的に吸収した「ベルシステム24グループ企業行動憲章」を制定し、さらに2012年8月には当社グループが取り組むべきコンプライアンスに対する基本姿勢をより具体的に示すために「ベルシステム24グループ企業行動憲章」を発展的に改定した「ベルシステム24グループ行動規範」を制定いたしました。 また、当社の連結子会社である株式会社ベルシステム24においては、2003年5月に情報セキュリティに関する英国規格「BS7799-2:2002」及び国内規格「ISMS認証基準(Ver.2.0)」に基づく認証を現在の松江ソリューションセンター(当社グループにおけるコンタクトセンターの呼称)で同時取得し、2006年7月以降、これらの規格の国際化に対応した「ISO/IEC27001:2005/JISQ27001:2006」認証の登録範囲を、当社のCRMソリューションサービスの提供全体に関連するシステム全般に広げております。本規格は、2014年に「ISO/IEC27001:2013/JISQ27001:2014」に改訂され、新たな規格での認証を付与されております。さらに、2007年2月には、個人情報を適切に取り扱う体制を整えた事業者に付与される「プライバシーマーク(JISQ15001:2006)」の認定を取得しております。しかしながら、情報漏洩リスクを完全に排除することは困難であることから、万が一、クライアント企業から預託を受けた情報について漏洩事故が発生した場合、当該クライアント企業からの業務委託の打ち切りや損害賠償請求、その他クライアント企業の離反や社会的信用の失墜等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)べインキャピタルグループとの関係
当社は、グローバルなプライベート・エクイティファームである、ベインキャピタルグループが投資助言を行うファンドからの出資を受け入れており、当連結会計年度末日現在において、同ファンドは当社発行済株式総数の14.45%を保有しております。また、当社の取締役である杉本勇次は、ベインキャピタルグループに属しております。ベインキャピタルグループは、当社の上場時において、所有する当社株式の一部を売却致しましたが、当社株式上場後においても、同社の株式の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、ベインキャピタルグループが相当数の当社株式を保有することにより、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、ベインキャピタル・パートナーズ・LLCとの間で締結していたマネジメント契約に従い、当社が上場又は支配権が変更された場合、その時点で有効な契約期間満了までのマネジメントフィーの残額を現在価値に引き直した額(ただし、2015年11月4日付の変更契約(AMENDMENT TO MANAGEMENT AGREEMENT)により、当社が2015年12月31日以前に東京証券取引所に上場した場合には、その金額を3億60百万円とすることを合意しておりました。)をベインキャピタル・パートナーズ・LLCに対して支払っております。当社では、上場とともに確定した当該金額を2016年2月期に税務上損金として処理しておりますが、当該処理について、税務当局が当社と異なる見解を採用する場合、当社の申告する損金の全部又は一部が、税務当局から損金として認定されず課税所得が増加する結果、法人所得税費用が増加し、さらに加算税・延滞税の支払を命じられる可能性があり、その場合当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
このように、ベインキャピタルグループは、当社について他の一般株主と異なる利害関係を有しており、一般株主が期待する議決権の行使その他の行為を行わない可能性があります。さらに、当社の上場時にベインキャピタル・パートナーズ・LLCとの間のマネジメント契約が終了したため、当社はベインキャピタルグループから経営や事業に関する助言が受けられなくなりました。当社は、当社の上場後はかかる助言がなくても当社の事業運営に支障のない経営体制を整備していると認識しておりますが、かかる経営体制が当社の期待通りに機能しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)伊藤忠商事㈱との関係
当社は、伊藤忠商事㈱から出資を受け入れており、当連結会計年度末日現在において、伊藤忠商事㈱は当社発行済株式総数の41.07%を保有しております。当社は伊藤忠商事㈱の持分法適用関連会社となっており、出向者を8名受け入れております。また、当社の取締役である野田俊介及び社外監査役である土橋晃の2名は、伊藤忠商事㈱に属しております。2014年10月の伊藤忠商事㈱の当社への出資後に新たに開拓された伊藤忠商事グループと当社グループの取引は、徐々に増加しております。当社グループとしては今後も伊藤忠商事グループとの取引拡大に向けて伊藤忠商事㈱と協業を継続していく方針であります(なお、伊藤忠商事グループとの取引は、他のクライアント企業と同様の取引条件で行っており、今後も同様の方針であります。)。なお、伊藤忠商事㈱は、上場後も当社株式を安定保有する意向を有しており、当社と伊藤忠商事㈱の関係について重大な変化は生じないものと認識しております。しかしながら、将来において、何らかの要因により伊藤忠商事㈱が経営方針や営業戦略(当社株式の保有方針も含む)を変更した場合、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、伊藤忠商事㈱が相当数の当社株式を保有することにより、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。このように、伊藤忠商事㈱は、当社について他の一般株主と異なる利害関係を有しており、一般株主が期待する議決権の行使その他の行為を行わない可能性があります。さらに、当社の上場時に伊藤忠商事㈱との間のマネジメント契約が終了したため、当社が伊藤忠商事㈱から経営や事業に関する助言が受けられなくなりました。当社は、当社の上場後はかかる助言がなくても当社の事業運営に支障のない経営体制を整備していると認識しておりますが、かかる経営体制が当社の期待通りに機能しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(18) 減損会計の適用
当社グループは、2016年2月末現在、連結財政状態計算書にのれんを970億83百万円計上しており、総資産の70.4%を占めています。内訳は、株式会社ベルシステム24(907億57百万円)、株式会社ベル・メディカルソリューションズ(32億56百万円)、株式会社ポッケ(28億1百万円)、株式会社BELL24・Cell Product(2億69百万円)であり、事業収益性が低下した場合等にはのれんの減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、これらののれんは非償却性資産であります。(19)大型スポット案件受注による収益の変動
当社グループが受託している多くのサービスは、クライアント側でも継続性のある業務であります。しかしながら、リコール対応や選挙対応のように、一定の期間に限定された業務(スポット業務)も受託しております。当社グループが大型スポット業務を受託した場合、売上収益のみならず、コンタクトセンターの稼働率上昇により、収益性が向上することがあります。その結果、翌連結会計年度に、売上収益の減少や収益性の低下が起こる可能性があります。(20)人件費の高騰による収益性の低下
当社グループのサービスを提供するには、コンタクトセンターにおいて多数のコミュニケーターの確保が必要になります。厚生労働省発表の有効求人倍率を見ると、2009年以降上昇を続け、2012年以降は1倍を超えており、また、株式会社リクルートジョブズの調査研究機関ジョブズリサーチセンターが月例で発表する「アルバイト・パート募集時平均時給調査」によれば、求人情報をもとにした「コールセンタースタッフ」採用の平均時給が、首都圏を中心とする大都市圏で上昇傾向にあり、人材争奪戦が激化しつつあります。当社グループでのコンタクトセンターのオペレーター1時間当たりの人件費は、過去3年で若干上昇しているものの、おおむね安定して推移しております。しかしながら、今後景気の回復、労働力人口の減少による労働者獲得競争が一段と激しくなり、採用コストや人件費が上昇した場合には、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。(21)中期経営計画について
当社グループは2017年2月期を初年度とする中期経営計画を策定しています。本中期経営計画では既存案件の成長、既存クライアントからの新規案件の獲得、伊藤忠商事グループとの協業の更なる強化、及びAI(人工知能)等の活用による付加価値サービスの創出等により、安定的かつ継続的な売上成長の実現を目指すとともに、的確な設備増設を継続することにより事業運営を最適化し、利益の拡大を目指すこととしています本中期経営計画は過去、策定時の現状に基づいて作成されていますが、今後の経済・市場環境の変化、クライアント企業の方針変更、テクノロジーの革新等により、かかる想定通りとならない、あるいは想定していない事象の発生等により、本中期経営計画における目標を達成できない可能性があります。
(22)係争・訴訟に関するリスク
当社グループは、企業価値向上のためにはコンプライアンスの徹底が必要不可欠であるとの認識の下、「ベルシステム24グループ行動規範」を制定し、これに従い全役職員が法令等を遵守した行動、高い倫理観をもった行動をとることを周知しております。また、コンプライアンス規程を制定の上、原則3ヶ月に1回、チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO(最高コンプライアンス責任者))を委員長とするコンプライアンス委員会を開催し、当社グループの法令遵守状況の把握にはじまり、法令遵守の体制、方針、施策の決定や、コンプライアンス課題の共有と対策の検討を行っております。なお、本書提出日現在、当社グループの財政状態、事業運営に大きな影響が及ぶ当社グループに対する訴訟はございません。一方で、当社グループの事業活動に際し、当社グループ各社の従業員の法令等に対する違反の有無に関わらず、何らかの理由により労務問題・知的財産権・税務等の問題で訴訟を提起される、又は罰金等を科される可能性があります。また、CRMやCRO/SMO各事業の受託において、業務に必要な社内外の経営資源を確保できないこと等により、これらの受託契約に基づく当社グループとしての責務を果せず、クライアントに生じる損害の一部又は全部につき請求を受ける可能性があります。これらの訴訟の結果、当社グループの責に帰すものと認められた場合、あるいは訴訟を起こされることにより当社グループの事業に対する信頼感が損なわれた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。(23)風評等について
当社グループは全社員との間で締結する雇用契約において、業務に関する事項のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等への書き込みを全面的に禁止する内容を定めております。また、社内規程上もソーシャルメディア利用基準を定め、業務としてのSNS利用における手順を明らかにしております。さらに規定化するだけではなく、SNSやインターネット上の掲示板への悪質な書き込みに対しては当社監査部が定期的に監視を行っており、監視活動を通じてSNSや掲示板の運営者に対し削除依頼等の対応を行っております。中でも特に悪質と認められるものについては、書き込み者のIPアドレスを運営者に対して開示請求し、書き込み者への法的措置も辞さない方針です。このような書き込み事例やそれに対する当社グループの対応については、全社員に定期的に通知することで、業務に関する事項をSNS等に書き込んではならないことの周知を改めて図っております。しかしながら、こうした措置をとったとしても、悪質な書き込みを完全に予防することは困難であり、そのような悪質な書き込みにより、当社グループの採用活動や、取引先との関係に影響が生じる等、ひいては損害賠償問題等、当社グループの事業活動に影響を与える経済的被害が生じる可能性があります。対処すべき課題財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
- 有価証券報告書 抜粋メニュー
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- 事業等のリスク
- 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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