サンコール株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)

当社は、Fine Precision Products(超精密機能製品)の機能拡大を通じてお客様の問題解決を図り、事業を拡大することを使命ととらえ、①精密塑性加工技術をコアに機能材料から一貫した高精度製品を拡大する、②高精度精密部品に電子・光部品を摺り合わせた製品を開発する、③ユニット製品にソフトを付加した製品を開発することを通じて自動車、情報・デジタル製品、光通信のグローバル市場での事業拡大を目指します。
なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した費用は、8億23百万円であり、主な研究開発の成果は下記の通りであります。費用は、品種別に対応させることが困難なため、総額で記載しております。
また、下記は主な製品区分ごとに記載し、対応セグメントは( )書きしております。

(1) 開発グループ(日本)
◎シリコンウエハ切断ワイヤーの開発
太陽電池及び次世代半導体シリコンウエハ切断用のダイヤモンド電着ワイヤーの開発を行っております。2015年度から台湾及び国内スライシングメーカーへの販売を進めてまいります。
◎装着型運動支援ロボット装置の開発
KAI-R(リハビリテーション用能動型膝関節アシスト装具)の2018年度上市に向け、医療機器認証申請の準備を開始致します。また、京大COIプログラムにおいては脳卒中後の歩行困難な人のリハビリテーション用装着型運動支援ロボットの実証試験装置の製作を開始致します。
◎バスリングの開発
モーターや発電機、電気式クラッチなどに用いられ固定子の巻線へ相別にそれぞれ結線して電気を伝えるバスリングを開発致しました。コア技術である塑性加工を応用し、材料ロスの発生が無く、また異形断面材を使用することにより小型化・軽量化に貢献し組立て時の自動化も図れ、電気自動車・ハイブリッド自動車・産業機器分野への拡販を進めてまいります。

(2) 精密機能材料(日本)
◎精密ピストンリング線材の開発
近年、自動車の低燃費・性能向上のためピストンリング線材は従来の鋳鉄製からスチールリング(精密異形線)へシフトしております。弊社ではピストンリングのシール性能を高めるため、精密異形引抜き線材の表面品質を改善する工法を開発致しました。今後はモジュール化設計が進む最新エンジンへ搭載が始まり、さらにダウンサイジング設計に伴い需要が増加する高価な窒化リング(ステンレス線材)の低コスト化を実現するべく、当社が長年開発してまいりました高強度弁ばね線材をベースとした新しいばね鋼線材(クラス1.5材)を開発し、市場へ供給してまいります。

(3)精密機能部品(日本)
◎新可変動弁機構用ぜんまいの開発
次世代エンジンの新可変動弁機構用部品として、弁ばねと同等の高品質を有する異形断面材を用いたぜんまいバネの開発を行っておりましたが、国内外自動車メーカーでの採用が決定し、2014年5月から国内大手自動車メーカー向けに量産を開始致しました。その後、順次同メーカー他エンジンにも展開され、2015年9月には外国自動車メーカー向けの量産も開始される予定であります。又、次期モデル用の開発にも着手しております。
◎シートベルトリトラクター用高トルクぜんまいの開発
高トルクぜんまいバネ用異形圧延材の開発により、トルク値を現行比10%高めることが出来ました。これにより、ぜんまい材の薄板化と全長削減が実現でき、重量軽減によるコスト低減が可能となります。2015年度の製品量産化とその後の拡販を目指し、お客様と開発推進中であります。

(4) サスペンション(日本)
◎マイクロアクチュエータ搭載サスペンションの量産技術開発
磁気ヘッド位置決め精度の向上に対応した、次世代マイクロアクチュエータ搭載サスペンションの量産プロセスの開発を行いました。高速にアクチュエータ素子を実装できる量産プロセスを確立し、安定して生産できる製造設備の準備を進めております。計画通り2015年度第2四半期に量産を開始する予定であります。

(5) プリンター関連(日本)
◎プリンターローラー用チューブシャフトの開発
インクジェットプリンター及びレーザービームプリンターで使用されるローラー用ムクシャフトの代替製品として、真直性が高い高精度且つ軽量であるチューブシャフトの開発を進めてまいりました。2015年度に製品化を目指します。