有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10054RN
木村化工機株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループ(当社及び連結子会社)は、自社が得意とするプラント・エンジニアリング(EMPC)や材料評価技術(材料選定、防食技術、設備診断)を基に、将来の市場を見据えた積極的な研究開発活動を展開しております。
これら研究開発には大学の技術シーズの活用や産学官連携事業の活用、ユーザーと密接に連携した技術開発を行うことが必要であり、中長期的なテーマに関しては各事業部の営業・技術部門、製造部門と連携しながら推進しております。その促進機関として、各分野別の開発委員会と全体を対象とした総合開発委員会を設けております。また、短期的には、各事業部が日常的な用途開発を協力企業や開発部と連携しながら、中期経営計画の業務別施策の中で実施しています。
分野としては、国の技術戦略である「新産業分野(材料、新素材)」「環境、エネルギー(3R、バイオ燃料、省エネ)」「ライフサイエンス(医療機器、人間生活)」を対象に、省エネルギー、環境リサイクル、バイオマス利用技術等の技術開発を行っています。
研究開発従事者は、各事業部技術部門を含めると約15名となり、これは総従業員数の約4%に当たります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は34百万円であります。
当連結会計年度におけるセグメントの研究開発状況及び研究開発費は次のとおりであります。
(1)エンジニアリング事業
①省エネルギー設備
省エネ補助事業を対象とした各種省エネ診断サポートサービスを行っております。当社の強みは工場のプロセスに踏み込んだ提案ができることで、ユーザーが使う蒸気の量を削減し未利用廃熱を有効利用し化石燃料の消費を抑制します。具体的にはヒートポンプを効果的に配置した燃料費削減の提案を行っております。その他、低レベルの廃熱を利用した小型発電システムの開発に取り組んでおります。また、経済産業省及びNEDOの委託事業を実用化した内部熱交換型蒸留塔(HIDiC)という新しい省エネルギータイプの蒸留塔が理論及び実証の面から広く認知されております。現在、当社の蒸発濃縮設備や蒸留設備の省エネ化技術の営業展開に注力しており、本技術はその一つのアイテムとして注目されております。
②水熱反応利用技術の普及と用途開発
広い分野に利用できる水熱反応技術について、抽出操作、有機反応、無機物の改質、無機合成、有機物の高速加水分解分野で納入実績を上げております。最近では、バイオマスから有機固形物の有効成分を抽出して高付加価値製品へ転換、機能性材料の水熱無機合成分野、難分解性の有機廃棄物の処理分野で具体案件が出てきており、今後の事業化に注力しています。③ バイオ燃料製造装置
1.5世代のバイオディーゼル燃料(BDF)製造装置については、食料と競合しない原料も含め、原料の多様化に対応する技術開発を行ってきました。WWFC(世界燃料憲章)におけるBDF燃料ガイドラインに準拠した高品質化技術を産業総合技術研究所と共に実施し、技術確立しております。実績としては、廃食油原料や菜種油原料の大型製造設備を国内で積み重ねており、東南アジアでのパーム油やジャトロファ油を原料とした高品質BDF製造技術の実用化も視野に入れております。④膜分離・濃縮装置
分子の大きさで分離する膜濃縮は、熱を使い相変化が必要な蒸発濃縮に比べ、画期的な省エネ効果を生み出すことが可能となります。この技術は環境、エネルギー、食品、水、医療・医薬等に直結した技術であり、ユーザーのプロセスラインや廃液処理に適用することで、当社の主力製品である蒸発濃縮装置と組み合わせ、さらに競争力を向上させます。⑤その他
化学機械装置関連の研究開発テーマとして、金属溶出量の極めて少ないチタン製反応器や熱交換器、その他化学機器の商品化を推進しております。上記に係る研究開発費は、27百万円であります。
(2)エネルギー・環境事業
① 小型電気ボイラー
従来の燃料焚きボイラーや電気ヒーター式ボイラーとは原理的に異なる電極式で、排ガスや温暖化ガス(CO2)を発生しない環境調和型、かつ空焚き等の心配の無い安全なボイラーです。現在は発電所やプラント用の大型機しかないため、メンテナンスフリー型の汎用小型ボイラーの開発を進めております。② 小水力発電設備
小水力発電は出力が安定しているという点から見直されており、一定の需要はあると思われます。当社では自治体の浄化センターを対象に設備の導入を推進しております。上記に係る研究開発費は、 6百万円であります。
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