有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10050N0
富士通株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」および「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワークなどに関する研究開発を行っており、近年は、特にビッグデータの利活用に関する研究開発に注力しております。「ユビキタスソリューション」では、パソコン、携帯電話、オーディオ・ナビゲーション機器などのユビキタス社会に不可欠な製品・技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージや電池)などの各種デバイス製品・技術に関する研究開発を行っております。
当社グループでは、ICTがどのようにビジネスと社会のイノベーションに貢献するかについての当社グループの考え方を「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。その中で、セグメントの区分を超えてヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ(*1)の実現に向けた「ヒューマン・エンパワーメント」「クリエイティブ・インテリジェンス」「コネクテッド・インフラストラクチャー」の3つのアプローチを提唱しています。当社グループでは、これらの3つのアプローチに加え、それらを支えるコア技術となる「共通な基盤」の発展に向けて研究開発を推進しています。
(*1)人々が可能性を最大限に発揮してイノベーションを生み出し、安心安全に暮らし、そして情報が新たな価値を生み出し、社会が持続的に成長していく世界。
上記の各アクションアイテム等に関する、当年度における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当年度における研究開発費の総額は、2,027億円となりました。そのうち、テクノロジーソリューションに係る研究開発費1,099億円、ユビキタスソリューションに係る研究開発費は270億円、デバイスソリューションに係る研究開発費は225億円、その他及び消去又は全社に係る研究開発費は431億円です。
①ヒューマンエンパワーメント
人・情報・モノがつながるIoT(Internet of Things)時代に向けて、社会、企業、個人など様々な領域で人の判断や行動を支援する先進的な技術を開発しました。
・人とモノをつなぐ新しいユーザーインターフェース技術に取り組んでいます。モノの情報をLEDなどの光にIDとして埋め込む技術を開発し、光に照らされた商品にスマホをかざすだけで情報を得られます。また、指輪型ウェアラブルデバイスを開発し、空中に文字を書いて数字や漢字を入力することを可能にしました。
・変形自在で電池交換がいらない、厚さ2.5mm、重さ3gの薄型軽量ビーコンを業界で初めて開発しました。今まで設置できなかった電球の表面や狭い隙間などにも取り付可能なため、様々な場所での情報配信ができるので活用の幅が広がります。
・医療の現場を支援するCT画像間の腫瘍位置を自動で高精度に合わせる技術を開発しました。医師の画像診断をサポートし医師の負担を軽減します。
②クリエイティブ・インテリジェンス
人が安心・快適に暮らせる社会の実現へ向けて、セキュリティ技術や知識処理により、社会的課題の解決を支援する技術を開発しました。
・企業や個人を狙った標的型攻撃プログラムであるマルウェアを高速検知する技術や、サイバー攻撃に遭いやすい人をメールやWebなどのPC操作から判定できる技術を開発しました。情報漏えいを未然に防ぐなど高いセキュリティのICTインフラを実現します。
・ゲリラ豪雨による下水道氾濫の兆候を低コストで検知できる技術や、国立研究開発法人土木研究所と共同で洪水予測シミュレーターのパラメーター値を自動的に決定する技術、東北大学と共同で津波の浸水状況をスパコンを使って10分程度で推定できる技術を開発しました。自然災害による被害の軽減につなげていきます。
・アイルランドの研究機関CASALAおよびINSIGHT@UCDと共同で、居住空間(スマートハウス)と患者につけたセンサーから集めた大量のデータに基づいて、隠れた運動機能異常を早期発見する技術を開発しました。自宅や施設で個人に合わせたリスク行動の提言やリハビリの支援により、自立生活の向上に貢献していきます。また、米MIT(Massachusetts Institute of Technology)と共同で、人間の行動心理を取り入れてその場に適した交通手段を提供するオンデマンド交通運行技術を開発しました。待ち時間の低減など利用者の利便性を高めつつ、公共交通機関の事業が継続可能なしくみを提供します。
③コネクテッド・インフラストラクチャー
生活者とビジネスやコミュニティ、情報やプロセスが複雑につながりあうハイパーコネクテッド・ワールドに向けて、ICTインフラを強化する技術を開発しました。
・ネットワーク通信を高速化する技術として、データの重複除去と圧縮によりデータ転送速度を10倍高速化する技術や、モバイル網や国際網など特性が異なる広域網(WAN)において、最適な通信プロトコルを自動選択する技術をソフトウェアで開発しました。快適で使いやすいネットワーク環境を実現します。
・ネットワーク障害の影響を専門家でなくても10秒以内で特定できる運用効率化技術や、Webコンテンツデータ消失の危険性を低減する高速リカバリ方式を開発しました。信頼性の高いクラウドやWebサービスが提供できるようになります。
・PCクラスタ型スパコンのネットワークスイッチ削減技術や、CPU間の大容量データ伝送を可能にする世界一小型・省電力な25Gbpsのシリコンフォトニクス送受信器を開発し、サーバやスパコンなどの省エネと高性能の両立を実現しました。
・ウェアラブルセンサー「FEELythm」にて検知したトラックドライバーの眠気を、クラウド型運行支援システム「ITP-WebService」にて、リアルタイムに運行管理者へ通知可能なシステムを開発しました。運行管理者からドライバーへ休憩を促し、居眠り運転防止に役立ちます。運転日報へも検知結果を記載し、運行後の点呼指導が効果的に行えます。
・欧州電気通信標準化機構(ETSI)で標準化された携帯電話基地局向け国際標準規格であるOpen Radio Equipment Interface(ORI)に準拠した装置を用いたLTE実証実験に成功しました。これにより、モバイル通信キャリアは基地局を構成する基地局のベースバンド装置(BBU)と無線装置(RRH)をそれぞれ別々の機器ベンダーから調達できるようになり、基地局設備を展開する上で機器の選択肢を広げることが可能になります。その結果、BBUおよびRRHの技術革新が促進され、移動体通信サービスのパフォーマンスが向上することが期待されます。
・音質を維持しながら質量を従来比約30%削減した、業界トップクラスの車載用軽量スピーカーを開発しました。今回開発したスピーカーは車両の多くに標準的に装着される口径16cmサイズのもので、ネオジム磁石を使用したタイプ(135g)と、フェライト磁石を使用したタイプ(190g)の2種類を開発しました。既に国内の自動車メーカーに採用いただき、順次納入を開始しています。現時点で納入が確定しているスピーカー数量を従来仕様で準備した場合と比較すると、約430トン/年の質量が削減可能です。
④共通な基盤
ICTを支える基盤技術を開発しました。
・自動車の安全運転のために、車周辺の障害物を検知する車載ミリ波レーダーの送受信チップをCMOSで初めて試作することに成功しました。低コストCMOSで実現したことで一般車への普及を促進していきます。
・スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器に初めて適用可能な厚さ1mm以下の薄型冷却デバイスを開発しました。多機能化や高速化により発熱量が増えても局所的な熱の集中を防ぐことが期待できます。
・業界で初めてサーバやスパコンなどのICT機器の筐体に使用可能な水性植物性塗料を開発しました。地球環境への負荷低減に貢献していきます。
当社グループでは、ICTがどのようにビジネスと社会のイノベーションに貢献するかについての当社グループの考え方を「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。その中で、セグメントの区分を超えてヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ(*1)の実現に向けた「ヒューマン・エンパワーメント」「クリエイティブ・インテリジェンス」「コネクテッド・インフラストラクチャー」の3つのアプローチを提唱しています。当社グループでは、これらの3つのアプローチに加え、それらを支えるコア技術となる「共通な基盤」の発展に向けて研究開発を推進しています。
(*1)人々が可能性を最大限に発揮してイノベーションを生み出し、安心安全に暮らし、そして情報が新たな価値を生み出し、社会が持続的に成長していく世界。
Fujitsu Technology and Service Visionにおけるイノベーション創出のための3つのアプローチ ①ヒューマン・エンパワーメント 人をエンパワーして、イノベーションを実現します。具体的には、お客様のイノベーションを富士通のエンジニアが実現する「インテグレーションによる価値創造」、モバイルで人をエンパワーする「モビリティとエンパワーメント」という2つのコンセプトに基づいてテクノロジーとサービスを提供します。 ②クリエイティブ・インテリジェンス 多様な情報分析を通じて新たな知識を創造するとともに、高まるリスクに対してセキュリティを確保します。具体的には、膨大で多様な情報(ビッグデータ)から新たな価値を見いだす「情報からの新たな価値」、ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティの基礎となる情報の信頼性を確保する「セキュリティと事業継続」という2つのコンセプトに基づいてテクノロジーとサービスを提供します。 ③コネクテッド・インフラストラクチャー 今後のIoT(*2)時代に、モノや社会インフラを含めてつなげ、柔軟かつ機動的に変化に対応できるICT環境を提供していきます。具体的には、クラウドであらゆるものをつなげる「オンデマンド・エブリシング」、自律・自動化されたコンピューティング環境を築く「統合されたコンピューティング」、データセンター、広域ネットワーク、デバイスを環境変化に対応して最適化する「ネットワーク・ワイドな最適化」という3つのコンセプトに基づいてテクノロジーとサービスを提供します。 (*2)Internet of Things。パソコンやサーバなどに留まらず、様々な物がインターネットに接続され、情報交換する仕組み。 |
上記の各アクションアイテム等に関する、当年度における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当年度における研究開発費の総額は、2,027億円となりました。そのうち、テクノロジーソリューションに係る研究開発費1,099億円、ユビキタスソリューションに係る研究開発費は270億円、デバイスソリューションに係る研究開発費は225億円、その他及び消去又は全社に係る研究開発費は431億円です。
①ヒューマンエンパワーメント
人・情報・モノがつながるIoT(Internet of Things)時代に向けて、社会、企業、個人など様々な領域で人の判断や行動を支援する先進的な技術を開発しました。
・人とモノをつなぐ新しいユーザーインターフェース技術に取り組んでいます。モノの情報をLEDなどの光にIDとして埋め込む技術を開発し、光に照らされた商品にスマホをかざすだけで情報を得られます。また、指輪型ウェアラブルデバイスを開発し、空中に文字を書いて数字や漢字を入力することを可能にしました。
・変形自在で電池交換がいらない、厚さ2.5mm、重さ3gの薄型軽量ビーコンを業界で初めて開発しました。今まで設置できなかった電球の表面や狭い隙間などにも取り付可能なため、様々な場所での情報配信ができるので活用の幅が広がります。
・医療の現場を支援するCT画像間の腫瘍位置を自動で高精度に合わせる技術を開発しました。医師の画像診断をサポートし医師の負担を軽減します。
②クリエイティブ・インテリジェンス
人が安心・快適に暮らせる社会の実現へ向けて、セキュリティ技術や知識処理により、社会的課題の解決を支援する技術を開発しました。
・企業や個人を狙った標的型攻撃プログラムであるマルウェアを高速検知する技術や、サイバー攻撃に遭いやすい人をメールやWebなどのPC操作から判定できる技術を開発しました。情報漏えいを未然に防ぐなど高いセキュリティのICTインフラを実現します。
・ゲリラ豪雨による下水道氾濫の兆候を低コストで検知できる技術や、国立研究開発法人土木研究所と共同で洪水予測シミュレーターのパラメーター値を自動的に決定する技術、東北大学と共同で津波の浸水状況をスパコンを使って10分程度で推定できる技術を開発しました。自然災害による被害の軽減につなげていきます。
・アイルランドの研究機関CASALAおよびINSIGHT@UCDと共同で、居住空間(スマートハウス)と患者につけたセンサーから集めた大量のデータに基づいて、隠れた運動機能異常を早期発見する技術を開発しました。自宅や施設で個人に合わせたリスク行動の提言やリハビリの支援により、自立生活の向上に貢献していきます。また、米MIT(Massachusetts Institute of Technology)と共同で、人間の行動心理を取り入れてその場に適した交通手段を提供するオンデマンド交通運行技術を開発しました。待ち時間の低減など利用者の利便性を高めつつ、公共交通機関の事業が継続可能なしくみを提供します。
③コネクテッド・インフラストラクチャー
生活者とビジネスやコミュニティ、情報やプロセスが複雑につながりあうハイパーコネクテッド・ワールドに向けて、ICTインフラを強化する技術を開発しました。
・ネットワーク通信を高速化する技術として、データの重複除去と圧縮によりデータ転送速度を10倍高速化する技術や、モバイル網や国際網など特性が異なる広域網(WAN)において、最適な通信プロトコルを自動選択する技術をソフトウェアで開発しました。快適で使いやすいネットワーク環境を実現します。
・ネットワーク障害の影響を専門家でなくても10秒以内で特定できる運用効率化技術や、Webコンテンツデータ消失の危険性を低減する高速リカバリ方式を開発しました。信頼性の高いクラウドやWebサービスが提供できるようになります。
・PCクラスタ型スパコンのネットワークスイッチ削減技術や、CPU間の大容量データ伝送を可能にする世界一小型・省電力な25Gbpsのシリコンフォトニクス送受信器を開発し、サーバやスパコンなどの省エネと高性能の両立を実現しました。
・ウェアラブルセンサー「FEELythm」にて検知したトラックドライバーの眠気を、クラウド型運行支援システム「ITP-WebService」にて、リアルタイムに運行管理者へ通知可能なシステムを開発しました。運行管理者からドライバーへ休憩を促し、居眠り運転防止に役立ちます。運転日報へも検知結果を記載し、運行後の点呼指導が効果的に行えます。
・欧州電気通信標準化機構(ETSI)で標準化された携帯電話基地局向け国際標準規格であるOpen Radio Equipment Interface(ORI)に準拠した装置を用いたLTE実証実験に成功しました。これにより、モバイル通信キャリアは基地局を構成する基地局のベースバンド装置(BBU)と無線装置(RRH)をそれぞれ別々の機器ベンダーから調達できるようになり、基地局設備を展開する上で機器の選択肢を広げることが可能になります。その結果、BBUおよびRRHの技術革新が促進され、移動体通信サービスのパフォーマンスが向上することが期待されます。
・音質を維持しながら質量を従来比約30%削減した、業界トップクラスの車載用軽量スピーカーを開発しました。今回開発したスピーカーは車両の多くに標準的に装着される口径16cmサイズのもので、ネオジム磁石を使用したタイプ(135g)と、フェライト磁石を使用したタイプ(190g)の2種類を開発しました。既に国内の自動車メーカーに採用いただき、順次納入を開始しています。現時点で納入が確定しているスピーカー数量を従来仕様で準備した場合と比較すると、約430トン/年の質量が削減可能です。
④共通な基盤
ICTを支える基盤技術を開発しました。
・自動車の安全運転のために、車周辺の障害物を検知する車載ミリ波レーダーの送受信チップをCMOSで初めて試作することに成功しました。低コストCMOSで実現したことで一般車への普及を促進していきます。
・スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器に初めて適用可能な厚さ1mm以下の薄型冷却デバイスを開発しました。多機能化や高速化により発熱量が増えても局所的な熱の集中を防ぐことが期待できます。
・業界で初めてサーバやスパコンなどのICT機器の筐体に使用可能な水性植物性塗料を開発しました。地球環境への負荷低減に貢献していきます。
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01766] S10050N0)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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