有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L2H1 (EDINETへの外部リンク)
ローランド株式会社 研究開発活動 (2020年12月期)
当社グループの研究開発活動は、グループ全体で利用可能な基礎的要素技術の先行開発と、製品カテゴリーに特化した技術開発の二つに分けられます。基礎的要素技術の先行開発については、当社の基礎技術部、応用技術部にて行っています。また、製品カテゴリーに特化した技術開発については、当社の機構技術部、システム開発部、デザイン部及び製品開発部門にて行っています。
なお、当社及び連結子会社の事業は、電子楽器の製造販売であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメントとなっており、セグメント情報に関連付けては記載していません。
技術部門で行っている研究開発の具体的なテーマとしては、楽音合成、モデリング、音響効果、音響解析、高効率符号化等のデジタル信号処理アルゴリズムの開発、USBやイーサネット、Bluetooth等の通信規格を利用したオーディオやMIDI(Musical Instrument Digital Interface)の伝送を行う通信技術及び楽器の音色を合成(シンセサイズ)したり、オリジナルの音声に付加効果(エフェクト)をかけたりするオリジナルのシステムLSIの開発を行っています。上記に加えて、当社のネットワークサービスであるRoland Cloudのワールドワイドのプラットフォームの開発も進めています。共通顧客データベース、Webサービスに加え、コンテンツ/ソフトウエアの販売、更にはグローバル・カスタマー・サービスの基盤として充実させていきます。
一方で、製品カテゴリーに特化した技術としては、鍵盤、パーカッションや管楽器などの演奏のためのセンサー技術、ギター関連事業製品のサウンドエフェクト技術、ビデオ映像機器用の映像処理技術の開発などがあります。
具体的な内容は次のとおりです。
(a)BMC共通プラットフォーム(注1)
当社は自社電子楽器の心臓部である音源とエフェクター用オリジナル・システムLSIの開発に取り組んできました。これらの独自システムLSIは、当社の差別化要因となるコア技術として進化を続け、最新LSIであるBMC(Behavior Modeling Core)では、様々なジャンルの楽器を生み出すことのできる共通プラットフォームを構築しました。この共通プラットフォームにより、高品質、高機能製品の早期開発や、競争力のある価格が可能となっています。
2020年は、電子和太鼓TAIKO-1や電子管楽器Aerophone Proのような、新しいジャンルの製品への実装を行い、従来の電子楽器の枠を超えた表現力を実現することができました。
(注1)従来ピアノ、シンセ、ドラム等楽器の種類毎に音源をつくっていたものを、各機器で利用できる音源として必要な機能を一つのチップに実装し共通基盤としたものをいいます。
(b)新世代音源「ZEN-Core」(注2)の展開
2019年に開発したシンセサイザー向け新世代音源技術(ZEN-Core)は、音源メモリの拡大による楽器の表現力豊かなサウンド、解像度を上げたコントロールによる滑らかな演奏表現、製品間のコンテンツ互換性を実現し、更にモデリング技術により、デジタル音源でありながらアナログシンセサイザーのような深みやダイナミクスを持つ出音を可能にしています。
2020年はこのZEN-Coreを上述の電子管楽器Aerophone Proにも搭載し応用領域を広げています。更に、それまでBMC上でのみ動作していたZEN-Coreをコンピュータ上のソフトウエア音源にも移植し、ZENOLOGYとしてリリースしました。ハードウエア、ソフトウエアを問わず音色や演奏データに互換性を持たせ、音楽制作からライブ演奏まで一貫した、スムーズで迅速なワークフローを実現しました。
(注2)BMC、コンピューター上で動作する拡張及びカスタマイズ可能なシンセサイザー音源をいいます。
(c)デジタル信号処理技術
当社は音源技術と並び、音声を音楽的な表現に処理する高精度、高品位のデジタル信号処理技術も培ってきました。例えば、楽器が置かれている室内やホールの残響効果をシミュレートして楽器音だけでなく音場までも再現する技術や、ギターの弦振動を32bit/96kHz浮動小数点の高精度で演算するギター・マルチ・エフェクターの開発、また歌声を素材としてハーモニーを付加したり、低く太い声やその反対の声質に変えたりすることができるボイスエフェクターの開発なども行っています。ここでもBMCなどオリジナル・システムLSIが使用されています。
ZEN-Core搭載製品のマルチ・エフェクトでは、音源の音に音場効果を付加したり、わざと歪ませて目立つ音にしたりしていますが、2020年はこれらもコンピューター上のソフトウエアに移植し、ZENOLOGYの一部として出音に効果を付与しています。
(d)BOSS技術の開発
BOSSブランドの製品においては、長年にわたるエフェクト/アンプ開発で培ってきたBOSSの知識と経験を、32bit浮動小数点演算による業界最高クラスの超高音質信号処理技術として最新LSIであるBMC上に応用し、高度なアルゴリズムにより設計された最新のエフェクトと多彩なルーティングやアサイン/コントロール機能により、最高の表現力を実現しています。これら技術をポータブルなサイズに凝縮し、2020年10月にリリースした、ホームスタジオからライブステージまでシーンを選ばず活躍できるGT-1000Coreに搭載しました。
また、刻々と変化するギター演奏の音から、信号処理の対象となる周波数成分を抽出するトラッキング技術を磨き、原音に様々なタイプのオクターブサウンドをより正確で自然なフィーリングで付加するコンパクトペダルOC-5を2020年10月に発売しました。分厚いモノフォニック・オクターブ・サウンドや音域をシフトしたコード演奏など、かつてないほどの広い音域で、最高の演奏性と洗練されたサウンドを実現しました。
アンプ・カテゴリにおいては、真空管アンプの一つ一つのパーツの精密な動作、更にそれぞれが相互に作用し合って起きる複雑な振る舞いを徹底的に分析し、アンプ全体をトータルに設計する技術「Tube Logic」を更に発展させました。2020年12月発売のNextone Specialでは、DSPでのデジタル信号処理とアナログ回路の電流/電圧を相互にフィード・バック/フォワードするハイブリッドな設計で、より躍動感のある真空管アンプのサウンドと弾き心地を実現しました。
(e)ビデオ信号処理技術
当社は放送やイベントといったプロの映像制作、映像演出の現場でも通用する映像機器を開発しています。2019年より、4K解像度やHDR(High Dynamic Rangeの略、従来に比べてより広い明暗の幅を表現できる表示技術)といった最新のニーズに応えつつ、従来フォーマットの映像信号にも対応し両者間をシームレスに変換/出力できる独自の「ULTRA SCALER機能」を開発し、多様化するプロの映像現場で柔軟な運用を可能にしています。2020年10月には、上記に加え、HDMI 240/144/120 Hzのハイフレームレート入力/スルー出力にも対応したVC-100UHDを発売し、近年勢いを増しつつあるeスポーツイベントでの配信需要にも応えています。
またローランド独自のビデオ録画再生機能を実装した製品として、2020年11月にビデオ・インスタント・リプレイヤー P-20HDを製品化しました。HDビデオ映像をリアルタイムでスムーズに録画再生することにこだわって開発した結果、スケーラーを搭載した2系統のHDMI入力によるシームレスな画面切り替えを実現し、また録画メディアにSDカードを、録画フォーマットに汎用的なH.264を採用することで、大容量SDカードに低ビットレートでも高品質を保ち小さいファイルサイズで高画質な映像を長時間録画することが可能となりました。加えて録画を継続しながら、任意のシーンを抜き出して、直感的な操作でスロー再生できるインスタント・リプレイ機能を実現しました。
(f)Roland Cloud
2017年からサービスの提供を開始した、音楽・メディア制作者向けのクラウドを利用したソフトウエア音源のサブスクリプション(月額・年額の定額会費制)サービスであるRoland Cloudにおいては、ネットワーク上のプラットフォームの整備を継続して行っています。またハードウエア楽器側のコンテンツ・プロテクトの仕組み構築、管理アプリRoland Cloud Managerのユーザー認証機能の充実と併せて三位一体で開発を進め、2020年5月には新たなサブスクリプション・プランのサービスの提供を開始しました。
これに合わせて、上述したZENOLOGYをサービスに加えることで、コンテンツ/プラグインソフトの購入、PC上での音源・各種設定の管理、ZEN-Core対応ハードウエア製品への保存・活用までをトータルでサポートすることが可能になりました。これにより、音楽制作からライブ演奏まで一貫した、スムーズで迅速なワークフローを実現しました。
以上のような研究開発活動の成果により、「世界中の人々をワクワクさせる」ビジョンを実現する製品やサービスを継続的に市場に供給していきます。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、4,039百万円です。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01834] S100L2H1)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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