有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004ZMO
株式会社デンソー 研究開発活動 (2015年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社は、一昨年度発表した「デンソーグループ2020年長期方針」で「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」をスローガンとして、「地球環境の維持」「安心・安全」にこだわり会社の使命として取り組んでいくことを宣言しました。この長期方針実現に向け、環境、安心・安全分野を中心に研究開発活動を強化し、社会に貢献する新しい製品、新しい価値を世界中のお客様にお届けすることを目指しています。
当連結会計年度の成果として、環境分野では、燃料電池車向けに、FC用セル電圧モニタ、高圧水素センサ、水素充填ECU等を開発しました。また、パワーコントロールユニットやFC昇圧コンバータ等の高電圧・パワー系部品、冷却性能を大幅に向上させたラジエータやウォータポンプ等の冷却系部品等、当社の約70製品が世界初の量産燃料電池車であるトヨタ自動車株式会社のMIRAIに搭載されています。当社の研究開発活動が、信頼性・性能の向上とコストダウンの両立に貢献しています。
世界の二輪車市場の環境とニーズを捉え、少ない部品点数でも従来と同等の燃費、環境性能を確保できる小型二輪車用の新型FI(Fuel Injection、燃料噴射)システムを開発しました。今回開発したシステムは、世界で初めてスロットルポジションセンサ、エンジン温度センサなどの構成部品を削減しつつ、削減したセンサ機能を補完する制御技術を開発し、従来のFIシステムと同等の燃費、環境性能を低コストで実現しています。
安心・安全分野では、車両前方の障害物を検知し衝突回避又は被害軽減を支援するとともに、先行車と一定の車間距離を保ちながら追従走行できる、ミリ波レーダと画像センサを開発しました。2つのセンサを組み合わせることで、車両だけでなく歩行者の検知を高い信頼性で実現しています。
さらに高度運転支援技術の開発に向け、2014年6月から愛知県・南知多道路で公道試験を開始しました。これは安全運転の支援とドライバーの運転負荷軽減を目指した技術で、単一レーン内の自動走行ならびに自動レーンチェンジ等を実施します。公道で走行試験を行うことにより、テストコースでは得ることができない課題を抽出・分析・解決し、技術の確立を目指します。なお、この試験は、愛知県を中心に、県内の企業・団体が参加して実施している交通事故抑止に関するプロジェクトチーム「自動車安全技術プロジェクトチーム」の活動の一環として実施しております。これら研究開発活動の成果を、9月に開催された第21回ITS世界会議デトロイト2014でのブース展示やデモンストレーションにて紹介しました。デモンストレーションの1つとして行った高度運転支援技術による車2台の隊列走行では、先行車の位置情報を後続車に無線通信することで、後続車は白線のない場所でも自動で先行車に追従走行しながら、発進・停止、進路変更等、実際の道路で想定される場面を実演しました。
当社は、ドライバーの意思を尊重しつつ運転をより安心・安全なものとするため、高度運転支援技術の開発・実用化を通じて交通事故の防止に寄与し、安心・安全なクルマ社会の実現に貢献していきます。
市販事業・新事業分野では、自動車分野で培った技術を活用した農業、ヘルスケア、セキュリティなどに関する製品・システムの研究開発を行っています。例えば、農業では、温室内の温度や湿度、CO2濃度を制御することにより、農産物の生産性向上に貢献する農業生産支援システムの「プロファーム」を発売しました。当社は、自動車関連の研究開発に加え、これまで自動車で培ってきた技術を自動車以外の分野に活用し、環境にやさしく、安心・安全な暮らしの実現に貢献していきます。
開発体制としては、世界各地域の事情やニーズに合った最適な製品を開発するため、世界7地域にテクニカルセンターを整備し、グローバル開発体制を強化しています。日本におきましては、今後もさらに増加が見込まれる、車載半導体の回路設計・開発を行う東京事業所を東京都港区に設置しました。また、日本だけでなく、北米、欧州では先行開発も行っており、シリコンバレーオフィスでは、従来の活動を強化して同地域にあるベンチャー企業などとの連携を促進し、かつサイバーセキュリティやビッグデータ活用、高度運転支援技術の研究開発などを新たに行うため、同オフィスを拡充しました。
連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は396,440百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント335,686百万円、北米セグメント23,982百万円、欧州セグメント14,768百万円、アジアセグメント21,124百万円、その他880百万円となっています。現在、研究開発費において海外セグメントが占める比率は約15%ですが、開発体制の整備により、今後、この比率を増やしていく予定です。
経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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