有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004Z20
ローランド ディー.ジー.株式会社 業績等の概要 (2015年3月期)
(1)業績
当期における世界経済は、米国では、景気の回復基調が持続しましたが、欧州では、地政学的リスク等を背景に低成長が続きました。また、アジアでは、中国やインド等において成長率の鈍化が見られ、日本においては穏やかな回復基調にあったものの、原材料費の上昇や消費税増税による個人消費の伸び悩み等により、総じて先行き不透明な状況で推移しました。当社グループでは、変化の激しい経営環境に対応すべく、グループ一体となり総合力を発揮することを目指す構造改革「GlobalOne(グローバルワン)」に取り組んでおります。そして、その具体的な施策と数値目標を3ヶ年の「中期経営計画」にまとめ、前期より実施しております。①新たな成長機会の創出、②グローバル・ブランドの強化、③多様性に対応するマネジメントの3つを重点テーマにGlobalOneをより一層推進していくことで、新たな成長に向けた強固な経営基盤の構築を目指します。
販売体制においては、世界を「欧州・中東・アフリカ」「アジア・パシフィック」「北米・中南米」の3つのブロックに改編し、地域ごとのマネジメント体制の強化に取り組んでおります。当社の販売子会社が、これまでの経験やノウハウを活かして、担当地域の販売店と共にセールス・マーケティング活動を推進していくことで、現地ニーズを的確に把握し、最適なソリューションを提供してまいります。
また、生産体制においては、海外生産拠点であるタイ工場の増築を行いました。これにより、タイ工場の生産能力を従来比約2倍に拡大すると共に、生産体制の分散を図りました。国内生産と同様のデジタル屋台方式を取り入れて、高い品質を確保しながら、コスト削減及び需要増に対応してまいります。
このような状況の中、当期の品目別売上高は、プリンターでは、新製品投入の端境期にあったことや年度後半より競合他社との競争が激化したこと等の影響により、サイン市場向けのプロ用機種の販売が落ち込みました。しかしながら、導入し易い価格帯の製品や紙以外の様々な材料にも印刷が行えるUVプリンター等の販売拡大に注力し、前期を上回りました。また、工作機器では、歯の詰め物や被せ物等を製作するためのデンタル加工機が伸長したこと等により、前期を上回る結果となりました。
地域別売上高は、日本では、デンタル加工機が売上を牽引し、前期を上回りました。北米や欧州では、プリンターのプロ用機種が減少したものの、コストパフォーマンスに優れた主力機種やUVプリンターが堅調に推移し、前期を上回る結果となりました。また、アジアでは、現地ニーズに対応したプリンターを中心に好調な販売となり、前期を上回りました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、円安効果もあり、前期比11.0%増の467億70百万円となりました。費用面では、前期と比べ原価率が改善したものの、人件費や広告販促費、支払手数料等の増加により販売費及び一般管理費が増加しました。これにより、営業利益は、前期比7.6%増の65億78百万円となりました。また、経常利益では、営業外費用において自己株式取得費用が発生したこともあり、前期比2.5%増の63億98百万円となりました。当期純利益につきましては、デンマーク及びブラジルの連結子会社に関してのれんの減損損失を9億89百万円計上した影響により、前期比25.2%減の31億90百万円となりました。
なお、当連結会計年度における主要通貨の為替レート(海外連結子会社の事業年度は1月~12月のため2014年1月~2014年12月の平均レート)は、105.85円/米ドル(前期97.65円)、140.44円/ユーロ(前期129.71円)でした。
当社及び連結子会社の事業は、コンピュータ周辺機器の製造販売であり、区別すべき事業セグメントが存在しないため、単一セグメントとなっております。なお、品目別の売上高は、次の通りであります。
品目別売上高
品目 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 (百万円) | 構成比増減 (%) | 前期比 (%) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | ||||
プリンター | 19,262 | 45.7 | 21,053 | 45.0 | 1,790 | △0.7 | 109.3 |
プロッタ | 1,302 | 3.1 | 1,398 | 3.0 | 95 | △0.1 | 107.3 |
工作機器 | 3,415 | 8.1 | 4,026 | 8.6 | 610 | 0.5 | 117.9 |
サプライ | 13,602 | 32.3 | 14,351 | 30.7 | 749 | △1.6 | 105.5 |
その他 | 4,558 | 10.8 | 5,939 | 12.7 | 1,381 | 1.9 | 130.3 |
合計 | 42,141 | 100.0 | 46,770 | 100.0 | 4,628 | 111.0 |
[プリンター]
先進国では、サイン市場が成熟化傾向にあることを受け、高付加価値製品の提案で活性化を図っております。一方、成長が見込まれる新興国では、積極的なセールス・マーケティング活動を展開し、販売拡大に注力しております。また、衣服やインテリア用品等のテキスタイル(布地)への印刷用途に特化したプリンターや多様な素材へ印刷できるUVプリンターにより、新規市場の開拓に取り組んでおります。
当期では、これまで売上を牽引してきたサイン市場向けのプロ用機種XR-640が、新製品効果の一巡や厳しさを増す競争環境の影響により販売が落ち込んだものの、主力機種VS-iシリーズや昨年7月に発売した低価格機種の新製品「VersaEXPRESS(バーサ・エクスプレス)RF-640」等が堅調に推移しました。
また、当社史上最速の印刷スピードを実現したプロ用機種XF-640は、従来のサイン製作用途だけでなく、テキスタイル用途においても導入が進みました。昨年10月にはテキスタイル専用プリンター「Texart(テックスアート)RT-640」をリリースする等、新たな市場に向けた活動を強化しております。
さらに、小型フラットベッドUVプリンターLEFシリーズは、高品質な印刷表現がお客様から高い評価を得て、スマートフォンケースやノベルティ等のオリジナルグッズ製作用途で伸長しました。
これらの結果、プリンターの売上高は210億53百万円(前期比109.3%)となりました。
[プロッタ]
主力機種の販売が堅調だったことに加え、今年1月に新製品「CAMM-1(キャムワン)GS-24」を発売したこともあり、プロッタの売上高は13億98百万円(前期比107.3%)となりました。
[工作機器]
従来からの主力市場である製造業や彫刻業等に加えて、デジタル化のニーズが高まる歯科医療をはじめとするヘルスケア分野やパーソナル分野に注力し、新分野での事業拡大を目指しております。
当期では、デンタル加工機DWXシリーズが、特に上期を中心に大きく伸長しました。歯の治療に使用される詰め物や被せ物等の製作プロセスをトータルソリューションとして提案できる体制作りや、販売網の整備・拡充が進んだことが奏功し、日本や北米等において好調な販売となりました。
当社では、次世代の新たな事業の柱を確立すべく、ヘルスケア分野において、歯科医療向けのデンタル加工機を中心とした重点的な活動を推進し、着実な成長を遂げてまいりました。一人ひとりに合った治療やサービスが必要とされるヘルスケア分野は、デジタル技術やものづくりのノウハウといった当社が持つ強みを発揮できる分野であり、今後も成長市場と位置付けて積極的に経営資源を投入し、さらなる事業拡大を図ってまいります。
また、昨年9月には小型切削加工機の最新機種SRM-20と当社初の3DプリンターARM-10を「monoFab(モノファブ)シリーズ」として同時発売し、切削と積層のふたつの方式によるデジタル時代の新しいものづくりの提案にも注力しております。
これらの結果、工作機器の売上高は40億26百万円(前期比117.9%)となりました。
[サプライ]
プリンターの販売に伴いインクの売上が増加し、サプライの売上高は143億51百万円(前期比105.5%)となりました。
[その他]
保守やサービスパーツ等のその他売上につきましては、プリンターの導入増に伴う保守契約の増加等により、売上高は59億39百万円(前期比130.3%)となりました。
地域別の売上高は、以下の通りであります。
地域別売上高
地域 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 (百万円) | 構成比増減 (%) | 前期比 (%) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | ||||
日本 | 4,727 | 11.2 | 4,960 | 10.6 | 233 | △0.6 | 104.9 |
北米 | 11,638 | 27.6 | 12,351 | 26.4 | 713 | △1.2 | 106.1 |
欧州 | 14,354 | 34.1 | 16,616 | 35.5 | 2,261 | 1.4 | 115.8 |
アジア | 3,633 | 8.6 | 4,250 | 9.1 | 616 | 0.5 | 117.0 |
その他 | 7,789 | 18.5 | 8,592 | 18.4 | 803 | △0.1 | 110.3 |
合計 | 42,141 | 100.0 | 46,770 | 100.0 | 4,628 | 111.0 |
[日 本]
プリンターでは、サイン市場向けのプロ用機種が落ち込んだものの、小型フラットベッドUVプリンターLEFシリーズがオリジナルグッズ製作用途で好調な販売となりました。工作機器では、デンタル加工機DWXシリーズが2014年度よりスタートした「デジタルデータを用いて製作した歯の詰め物や被せ物に対する保険適用」に伴う歯科技工所の設備投資需要を取り込んだこともあり、特に上期を中心に売上を大きく伸ばしました。
これらの結果、日本の売上高は49億60百万円(前期比104.9%)となりました。
[北 米]
プリンターでは、主力機種のVS-iシリーズや低価格機種の新製品RF-640等が堅調だったものの、プロ用機種XR-640の販売が低調に推移しました。一方、UVプリンターLEFシリーズはオリジナルグッズ製作用途で売上を伸ばし、また、工作機器では、顧客へのトータルソリューション提案やトレーニング・サポート体制の構築が進んだデンタル加工機が伸長しました。
これらの結果に加え、円安効果もあり、北米の売上高は123億51百万円(前期比106.1%)となりました。
[欧 州]
ロシアや東欧地域では、地政学的リスクの影響等により減速傾向となったものの、南欧地域では、復調傾向が鮮明となりました。
プリンターでは、XR-640が伸び悩んだものの、VS-iシリーズが好調に推移しました。また、XF-640がスポーツウェア等を製作するテキスタイル用途で伸長しました。UVプリンターLEFシリーズは、オリジナルグッズ製作ビジネスを展開する企業に複数台導入されるケースが増加したこともあり、売上を大きく伸ばしました。工作機器では、南欧地域を中心にデンタル加工機DWXシリーズが堅調に推移しました。
これらの結果、欧州の売上高は166億16百万円(前期比115.8%)となりました。
[ア ジ ア]
中国や韓国では、現地のサイン製作で使用頻度の高い水性インクに対応したプリンターが、市場ニーズを捉え売上を伸ばしました。また、ASEAN地域では、販売子会社が各国の販売店との連携強化を図りながら、積極的なセールス・マーケティング活動を推進したことが奏功し堅調な結果となりました。
これらの結果、アジアの売上高は42億50百万円(前期比117.0%)となりました。
[そ の 他]
オーストラリアでは、プリンターの低価格機種やUVプリンターLEFシリーズが堅調な販売となりました。また、ブラジルでは、プリンターのプロ用機種XF-640がテキスタイル用途で導入が進みました。さらに、アフリカや中東地域も好調に推移しました。
これらの結果、その他地域の売上高は85億92百万円(前期比110.3%)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フロー計算書の要約
科目 | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減 (百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 6,353 | 5,467 | △886 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,236 | △523 | 713 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △2,242 | △5,407 | △3,165 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 941 | 159 | △782 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 3,817 | △303 | △4,121 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 10,713 | 10,409 | △303 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは54億67百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ8億86百万円の減少となりました。主な増加要因としましては、ブラジルやデンマークの連結子会社に関してのれんの減損損失を計上したこと、また、売上債権が減少し、仕入債務が増加したこと等によります。主な減少要因としましては、税金等調整前当期純利益が減少し、たな卸資産が増加したこと、未払金等のその他の流動負債が減少したことに加え、法人税等の支払額が増加したこと等によります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が12億36百万円の支出であったのに対し、当連結会計年度は5億23百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ7億13百万円の支出額の減少となりました。有形固定資産の取得による支出が増加した一方、定期預金の払戻し等による収入の増加があり支出減となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が22億42百万円の支出であったのに対し、当連結会計年度は54億7百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ31億65百万円の支出額の増加となりました。前連結会計年度は、短期借入金の返済により支出増となったのに対し、当連結会計年度は、借入れによる調達を行ったものの、自己株式の取得を行ったため大幅な支出増となりました。
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