有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10053UJ
テイ・エス テック株式会社 業績等の概要 (2015年3月期)
(1)業績
当期における世界経済は、新興国経済の先行きに不透明感はあったものの、アメリカ経済の復調により、ゆるやかな回復基調となりました。一方、当グループの事業環境は、アメリカを中心とした自動車需要の回復はあったものの、中国、タイ・ブラジル等の新興国を中心に経済成長率が鈍化したことや、日本における消費税増税後の自動車需要の減少等があり、総じて大変厳しい状況となりました。このような状況の中、当グループは2020年ビジョン「INNOVATIVE QUALITY COMPANY」の実現に向け、当期より「グローバル企業としての地位確立」を目標とする、第12次中期経営計画(2014年4月1日~2017年3月31日)に取組んでいます。
第12次中期経営計画では、第11次中期経営計画で推進してきた諸施策の進化に加えて「他販※の拡大」を主要施策と位置付け、取組みの更なる強化を図ります。当期の実績としては、TS TECH HUNGARY Kft. において、既に受注した欧州自動車メーカー向け製品の量産体制の整備を行いました。新規受注では、米州においてトリムカバーや二輪車用シートの受注を新規顧客から獲得する等、徐々に成果が現れています。
また、当期は、新興国における自動車需要の減少や、自動車業界で発生した数々のリコール問題等の影響により、全てのセグメントにおいて、主要客先からの受注台数が減少しましたが、中国を中心に世界各地で積極的な原価低減活動を推進した結果、過去最高益を更新した前期とほぼ同等の利益率を維持することができました。
当連結会計年度の売上高は、円安による為替換算効果があったものの、米州、中国をはじめ全てのセグメントにおいて主要客先からの受注台数が減少したこと等により、4,342億79百万円と前連結会計年度に比べ227億73百万円(5.0%)の減収となりました。利益面では、為替換算効果や、原価低減活動を積極的に展開したものの、減収影響により、営業利益は352億86百万円と前連結会計年度に比べ38億46百万円(9.8%)の減益となりました。経常利益は403億62百万円と前連結会計年度に比べ25億74百万円(6.0%)の減益、当期純利益は220億8百万円と前連結会計年度に比べ18億92百万円(7.9%)の減益となりました。
※他販:主要客先以外の完成車メーカーへの販売
セグメントごとの事業概況及び業績は次のとおりです。
(日本)
当連結会計年度につきましては、ホンダGRACE用シート及び内装品、ホンダ新型軽自動車N-BOX SLASH用リアシート及び内装品、ホンダLEGEND用シート及び内装品等の生産を開始しました。
埼玉工場においては、新内装工場の本格稼動により内装品事業を集約し、生産効率の向上並びに物流・管理コストを削減いたしました。また、軽自動車用シートの受注獲得に向け組織改革を行い、ホンダN-WGN用シート、N-BOX SLASH用リアシートに続く機種の受注に向け、積極的な営業活動を展開しました。
日本セグメントの業績は下記のとおりです。
(単位:百万円)
2014年3月期 | 2015年3月期 | 前期比増減額 | 前期比増減率 | ||
売上高 | 104,895 | 88,677 | △16,217 | △15.5 | % |
営業利益 | 6,893 | 6,765 | △128 | △1.9 | % |
前連結会計年度との主な増減理由
売上高 | 主要客先からの受注台数減少のほか、日本から海外への供給部品売上の減少により減収となりました。 |
営業利益 | 諸経費の減少はあるものの、上記の減収影響により減益となりました。 |
(米州)
当連結会計年度につきましては、ブラジルでホンダFIT用シート、ホンダCITY用シート及び内装品等の生産を開始しました。
厳しい競合環境が続く米州市場において、競争力を更に強化するため、メキシコで米州におけるシート部品の供給拠点として新工場を稼動開始したほか、ブラジルに新縫製会社を設立・稼動開始しました。また、これら部品競争力強化の諸施策と併せて、TS TECH AMERICAS, INC. (米州地域統括会社)の本社建屋を拡張し、米州における更なる事業拡大に向け、営業・開発体制の強化等の諸施策にも取組みました。
米州セグメントの業績は下記のとおりです。
(単位:百万円)
2014年3月期 | 2015年3月期 | 前期比増減額 | 前期比増減率 | ||
売上高 | 214,628 | 219,814 | 5,186 | 2.4 | % |
営業利益 | 16,334 | 15,601 | △733 | △4.5 | % |
前連結会計年度との主な増減理由
売上高 | 主要客先からの受注台数減少はあるものの、減収を上回る円安による為替換算効果により増収となりました。 |
営業利益 | 上記の増収効果はあるものの、主要客先からの受注台数減少影響が大きく減益となりました。 |
(中国)
当連結会計年度につきましては、ホンダODYSSEY用シート及び内装品等の生産を開始しました。
今後更なる人件費の上昇が見込まれる中では、生産の自動化等に取組んでいます。また、広州市増城区の都市開発計画に伴い、広州提愛思汽車内飾系統有限公司の移転準備を開始しました。移転に際しましては、生産・物流の最適化による効率向上だけではなく、環境にも配慮した工場の建設を計画しています。
中国セグメントの業績は下記のとおりです。
(単位:百万円)
2014年3月期 | 2015年3月期 | 前期比増減額 | 前期比増減率 | ||
売上高 | 104,063 | 98,652 | △5,410 | △5.2 | % |
営業利益 | 13,970 | 16,254 | 2,284 | 16.4 | % |
前連結会計年度との主な増減理由
売上高 | 円安による為替換算効果があるものの、主要客先からの受注台数の減少により減収となりました。 |
営業利益 | 上記の減収影響はあるものの、為替換算効果や原価低減効果等により増益となりました。 |
(アジア・欧州)
当連結会計年度につきましては、タイでホンダJAZZ用シートやホンダMOBILIO用シートを、インドネシアにおいてはホンダJAZZ用シートを、インドにおいてはホンダMOBILIO用シート等の生産を開始しました。
アジア地域においては、主要客先の生産に対応するため、インドで四輪車用シートの第2生産拠点であるTS TECH SUN RAJASTHAN PRIVATE LIMITEDの新工場を稼働開始したほか、二輪車用シートの第3生産拠点となる新会社TS TECH (MANDAL) PRIVATE LIMITEDを設立しました。なお、TS TECH HUNGARY Kft.においては、欧州自動車メーカー向け3列目シートの生産準備を完了しました。
アジア・欧州セグメントの業績は下記のとおりです。
(単位:百万円)
2014年3月期 | 2015年3月期 | 前期比増減額 | 前期比増減率 | ||
売上高 | 67,811 | 59,773 | △8,038 | △11.9 | % |
営業利益 | 7,994 | 3,007 | △4,987 | △62.4 | % |
前連結会計年度との主な増減理由
売上高 | インドネシア等において主要客先からの受注台数は増加しましたが、タイにおける受注台数の減少が大きく減収となりました。 |
営業利益 | 上記理由に加え、諸経費の増加等により減益となりました。 |
また、事業別の売上高については下記のとおりです。
(単位:百万円)
2014年3月期 | 2015年3月期 | 前期比増減額 | 前期比増減率 | |||||||
構成比 | 構成比 | |||||||||
二輪事業 | 6,855 | 1.5 | % | 6,595 | 1.5 | % | △259 | △3.8 | % | |
四輪事業 | 445,406 | 97.5 | % | 422,164 | 97.2 | % | △23,242 | △5.2 | % | |
(シート) | 396,148 | 86.7 | % | 376,335 | 86.7 | % | △19,813 | △5.0 | % | |
(内装品) | 49,258 | 10.8 | % | 45,828 | 10.5 | % | △3,429 | △7.0 | % | |
その他事業 | 4,791 | 1.0 | % | 5,519 | 1.3 | % | 728 | 15.2 | % | |
合計 | 457,053 | 100.0 | % | 434,279 | 100.0 | % | △22,773 | △5.0 | % |
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度に比べ80億92百万円増加し、当連結会計年度末残高は845億52百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、299億59百万円と前連結会計年度に比べ136億40百万円の減少となりました。これは、売上債権の増減額が前連結会計年度の83億70百万円の減少から106億49百万円の増加となったものの、仕入債務の増減額が前連結会計年度の89億71百万円の増加から127億69百万円の減少となったこと、及び法人税等の支払額が23億15百万円増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、203億68百万円と前連結会計年度に比べ21億34百万円の増加となりました。これは、関係会社出資金の払込による支出が13億41百万円の減少となったものの、定期預金の預入及び払戻による純増減額が前連結会計年度の37億40百万円の収入から21百万円の収入となったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、98億71百万円と前連結会計年度に比べ9億72百万円の増加となりました。これは、長期借入金の返済による支出が25億87百万円の減少となったものの、配当金の支払額(少数株主への支払額を含む)が34億14百万円の増加となったこと等によるものです。
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