有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10051OS
DOWAホールディングス株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
各セグメントでは、常に現行商品の改良・改善に努めていますが、これに加え、お客様のご要望を先取りした次期商品の開発、及び事業の基盤となる製造プロセス技術、設備技術の改善・改良を進めました。また、グループ全体として有望な新規商品については、社内インキュベーションセンターによって、開発・事業化を加速させました。さらに、近未来を見据えた新しいコンセプトの商品や革新的新技術に関する基礎研究領域については、大学等との交流を大幅に拡大し、数多くの共同研究を実施することによって、将来有望な開発テーマを着実に創出して来ています。これらの研究開発活動により、現在から近未来に渡る広範囲のフェイズにおける「技術立社」を推進しています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は4,199百万円です。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ② 連結損益計算書」の当連結会計年度における「開発研究費」は5,320百万円ですが、これには研究開発費のほか、新鉱床探鉱費等1,120百万円が含まれています。
各セグメントの研究開発活動、主な成果及び研究開発費は次のとおりです。
環境・リサイクル部門
環境リサイクル事業の競争力強化に向けて、環境技術研究所が関連事業所と連携して「リサイクル技術の開発」「廃棄物処理技術の開発」「土壌・地下水汚染の浄化技術開発」等に取り組みました。
主な成果としては、次のようなものが挙げられます。
リサイクル技術では、小型家電リサイクルなどに有効な選別技術を向上させ、事業収益に貢献しています。
廃棄物処理技術では、有害廃棄物の管理技術向上とともに、低濃度PCB廃棄物処理事業の準備に取り組みました。
土壌・地下水汚染の浄化技術では、原位置浄化技術の高度化を進めました。
また、ブランドビジョン「motivate our planet」のもとに、将来事業の探索として、グリーンビジネスの可能性についての事業・技術の両面から検討を行っています。
なお、当部門における研究開発費は350百万円です。
製錬部門
製錬事業が抱えている大きな課題を解決すべく、製錬技術研究所を中心として各事業所及び大学、研究機関を巻き込んだ形で、「電力使用量の削減」、「有価金属の高効率回収技術の確立」、「環境負荷低減技術の構築」に積極的に取り組みました。
主な成果としては、次のようなものが挙げられます。
電力使用量の削減に関しては、当年度2年目に入った経済産業省/独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の委託試験「高不純物銅アノードによる電解精製の実現」を計画的に遂行し、実機設備での鋳造及び電解を行いました。2年目の段階としては計画通りに進んでおり、今後、さらなるハードルをクリアするためにより多くの情報を収集するとともに、基礎試験では不純物の効率的な除去も視野に入れて対応していきます。
有価金属の高効率回収技術の確立に関しては、鉛銀残渣からのインジウム、ガリウム、ゲルマニウムの回収率を向上させるべく、処理方法改良に取り組んでいます。高酸浸出における改善が見られたものの、実操業への展開が難しく、今後はミクロの存在分布も考慮して改善に繋げていきます。
一方、半製品からのアンチモン回収についてはこれまで検討したプロセスを実機で確認したところ、脱Sb速度に改善の余地が残っていることが判明しました。操業に即したプロセスとなるよう、さらなる工夫が必要であり現場の協力を得ながら、研究を加速させていきます。
環境負荷低減技術の構築に関しては、添加物の選択により、反応性が向上し、従来のスコロダイトよりも反応が迅速で安定性が増した生成物を製造できることが判明しました。今後は添加物の違いの影響を詳細に解析していきます。
なお、当部門における研究開発費は312百万円です。
電子材料部門
グローバルな競争、流動的な経済情勢の中で、更に成長・発展し、変化に対応するために技術力強化とトップ商品の拡充を目的として、足元並びに将来の市場動向を見据えた戦略的な研究開発に取り組みました。
具体的には、半導体材料研究所、電子材料研究所、機能材料研究所並びに各事業所の技術開発部門において、化合物半導体、オプトデバイス、導電性材料、磁性材料、各種機能性粉体などで、新たな市場開拓・用途展開を見据えての新製品の開発、現行製品の品質改善・生産性の向上に取り組みました。
民生、医療などの幅広い分野で期待される深紫外LED、再生可能エネルギー関連の電極材料に使用される導電粉は引き続き重点テーマとして取り組んでいます。
また、次々世代に向けた超高密度磁気記録テープ用途での新規磁性粉、新たな分野・用途開発として低温焼成及び接合ペースト用途での金属ナノ粒子の開発にも重点的に取り組んでいます。
主な成果としては、深紫外LEDでは世界トップクラスの出力及び寿命特性を達成しました。
また、金属ナノ粒子も技術的課題の解決に目途が立ち、本格的に市場への参入が期待されます。今後、量産体制の強化を進めることで、収益への貢献が期待されます。
なお、当部門における研究開発費は2,549百万円です。
金属加工部門
金属加工事業では、車載用標準材である「NB-109」「NB-105」といった銅合金のお客様使用特性の改善、及びめっき技術開発などを行い、世界標準材としての位置付けを固めていきます。
また、スマートフォン用など小型コネクタ材として必須の高強度材「YCuTシリーズ」に新たなプロセスを開発し、ばね性の高い新商品「YCuT-GM」をラインナップしました。並行してこれらの生産性向上にも取り組んでいます。
めっき事業では、エコカー向け貴金属めっき材の機能特性向上及び省資源化に貢献する、部分めっきの高精度化・高効率化に取り組んでいます。
サーマルデバイス事業では、主力製品である金属セラミックス接合基板の信頼性・生産性向上に引き続き取り組んでおり、改良品をリリースしていく予定です。
新エネルギー、鉄道やエコカー向けに新製品である新構造基板の本格投入を予定しており、現在製造プロセス開発と生産性向上などに取り組んでいます。
なお、当部門における研究開発費は596百万円です。
熱処理部門
顧客ニーズを的確に捉えた新商品開発を目指し、既存技術と要素技術を融合させた新たな次世代商品を顧客と一緒に創出することで、熱処理・工業炉両事業部門に貢献するとともに世界No.1の熱処理メーカーをめざして商品開発に取り組みました。
工業炉事業では、顧客の環境変化を的確に捉え、今後益々加速する海外現地化や生産規模が縮小する国内生産に対応し、小規模かつ低コストな熱処理設備の開発を進めました。小ロットで汎用性のある真空浸炭や真空焼結向け小規模真空熱処理設備を開発導入し、要素技術の検証に着手しました。また、小型MIM・CIM装置も導入し、顧客からの試作対応及び装置導入における検証を開始しました。
熱処理事業では、自動車部品の高強度化を目的として開発した新窒化工法をさらに進化させ、複雑で高精度の雰囲気制御が不要な、新工法の開発目途付けが完了しました。来年度は進化版窒化の量産設備開発に取り組みます。また摺動部品や電子材、生体材など多岐用途への適用を目指しているDLC膜開発では、量産化試験を実施し商品化と適用拡大を進めています。
この他に既存設備のQCD改善技術開発も継続的に行っており、両事業部門の売上拡大に寄与するとともに、顧客とのパートナーシップ強化に貢献しました。
なお、当部門における研究開発費は390百万円です。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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