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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10051LP

有価証券報告書抜粋 岩谷産業株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループは、基幹事業である「ガス&エネルギー」及び国家的課題である「環境」を基軸に研究開発活動を推進しました。当社グループの事業拡大および新規事業の創出を見据え、中・長期的テーマから、具体的・日常的な顧客ニーズに応える短期的なテーマまでバランスを考慮して取り組みました。
具体的な研究開発活動は、中央研究所、水素エネルギー部、技術・エンジニアリングプロジェクトが中心的役割を担う形で進めております。また、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、(一財)エンジニアリング協会(ENAA)、水素供給・利用技術研究組合(HySUT)、(公財)水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)など外部機関への研究員の出向派遣等を通じて、これら新技術開発に係る調査・研究機能の強化にも努めております。

水素社会の実現に向けて、燃料電池技術を主とした水素エネルギーについての研究開発は国策とも大いにリンクしております。この課題は中長期にわたることから、NEDO等からの委託研究や各種競争的研究資金制度を活用した研究助成(以下「国プロ」という)と自社開発を並行する形で進めています。
当社が参画している主な国プロ案件は、①ソーラー水素ステーションと燃料電池自動車を組み合わせたCO2排出ゼロシステムの開発、②燃料電池フォークリフトの実用化と最適水素インフラ整備の開発・実証事業、③次世代エネルギー・社会システム実証事業(北九州スマートコミュニティ創造事業)、④燃料電池自動車及び水素ステーション用低コスト機器・システム等に関する研究開発(水素計量管理方法研究開発、水素品質管理方法研究開発)、⑤先進超電導電力変換システムの基礎開発、⑥固体酸化物型燃料電池等実用化推進技術開発(マイクロSOFC小型発電機の開発)などとなっております。
さらに、山口県の助成事業として、①純水素型燃料電池コージェネレーションシステムの開発、②医療・健康分野における水素応用技術開発(水素水輸液の効果解明)についても、山口大学や山口県下の企業等と共同で推進しています。
水素ステーションについては、兵庫県尼崎市(当社中央研究所内)の国内第一号となる商用水素ステーションを皮切りに、福岡県北九州市にも建設し営業運用を開始しました。引き続き、東京都、愛知県、埼玉県ほかで20か所の水素ステーション建設を推進しています。水素ステーションの心臓部にはリンデ社(ドイツ)のイオニックコンプレッサー(IC-90)を搭載したパッケージシステムを採用していますが、高効率化やコストダウンに向けたプレクーリングシステムやディスペンサーシステムのイノベーションを行っています。
また、当社独自の取り組みとして、実用化を目指した簡易型水素充填設備の開発、水素吸蔵合金を用いた定置式水素貯蔵システムの研究開発などを行っています。

なお、セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりです。

(総合エネルギー事業)
当社の主力商品であるカセットガスを利用した応用商品として、マイクロSOFC(固体酸化物型燃料電池)を発電体とした200W級ポータブル発電機の開発に取り組みました。本開発は、NEDOの委託事業としてマイクロSOFCを開発した(独)産業技術総合研究所(AIST)、セルスタックの量産製造を行う岩尾磁器工業㈱、当社の3者共同で取り組んでいます。当社は、マイクロSOFCにて高効率で長期にわたり安定した発電が行えるカセットガス(ブタンガス)の改質システム(脱硫、排ガス中のCO除去技術を含む)や、急速起動が可能な加熱システムの開発を行いましたが、現段階では目標性能に届かず20W程度の発電に留まっています。今後も引き続き研究開発を進め、繰り返し起動に対する耐久性なども検証しながら発電能力を上げ、早期商品化に結び付けたいと考えています。
原子力発電やバイオマス等の再生可能エネルギー由来の水素と二酸化炭素から、航空機燃料などに適用できる液体合成燃料の製造技術(GTL:Gas to Liquid)に関する基礎研究を完了しました。2013年度からは、(公財)若狭湾エネルギー研究センター主幹の福井県拠点化推進事業計画の補助金を受けて、福井県内の化学プラントメーカーと共同で、量産化に向けたエンジニアリングに関わる研究開発を継続実施しております。


(産業ガス・機械事業)
これまで培ってきた高濃度オゾン技術を活かし、オゾンパッシベーション受託事業を伸長させました。金属表面の耐腐食性を高め反応性ガスに対して安定な表面に改質するオゾンパッシベーション技術は、大手半導体製造装置メーカーの標準部品への採用が進み、安定した収益が確保できるようになりました。また、オゾン濃度を簡便に25vol%程度に高めるオゾン濃縮ユニットを開発、大手半導体製造装置メーカー及び大手半導体デバイスメーカーでのALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積法)プロセスへの応用評価が良好であり、韓国、台湾市場を視野に入れた事業化を推進しています。
(独)科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業(A-STEP)に採用された、三フッ化塩素やフッ化水素など反応性ガスを利用した非イオン化ガスクラスター(分子塊)技術については、京都大学と共同研究を進め、3年間の受託事業を完了しました。従来法のプラズマプロセスに比べ、半導体シリコンに対して高精度なエッチング(深彫り)が可能になることを検証できましたが、DRAMなど大口径ウエハー向けにはスループットを上げることが実用化への課題となっています。一方、宇宙産業など少量多品種の半導体デバイスやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造プロセスは小口径ウエハーで対応が可能なため、現在はこの分野をターゲットに置きクラスター技術の実用化を目指しています。
溶接技術においては、シールドガス、溶接ワイヤー、溶接機の三位一体となったトータル技術での提案に力を入れました。とくに自動車業界では、軽量化に向けて溶融亜鉛めっき鋼板が用いられ、防錆を有する溶接技術が求められていますが、中央研究所にてデモテストを積極的に行い、ユーザーとタイアップしながら技術開発を行い溶接関連商品の拡販を推進しました。
ガス分析技術については、水素ステーションの品質管理に役立つ簡易水素分析装置(TOF-MS:飛行時間型質量分析装置)の開発を行っています。自動車用燃料として国際的に規定されている水素ガス中の不純物13成分のうち、酸素や一酸化炭素など8成分を同時分析できる画期的な基礎技術を確立しました。今後は実証ステーションや商用ステーションにて分析実績を作り、安定性や信頼性の評価を進め早期実用化を目指します。
産業機械関連では、特殊ワイヤーに高電圧を印加し、電界を発生させることにより空気中に大量のイオンを生成し、空間を漂うパーティクル(埃)に対する静電気を除去し、埃の付着しない空間を作るエリア除電システムの拡販に注力しました。ウエハー等対象部品へのパーティクル付着が抑制され、製品不良率の大幅な低減につながることが認められたことから、エレクトロニクス分野を中心に大手ユーザーでの採用、受注が伸長しています。また、空気中に漂う浮遊菌に対する低減効果を示すデータ蓄積も行っており、食品や医療分野への展開も進めています。

(マテリアル事業)
中国からの輸入に頼っている自動車や精密機械向けモーター磁石の原料となるレアアース(ネオジム、ディスプロシウム)のリサイクル技術として、使用済みモーターを消磁せずに電気炉でホウ素を入れて加熱溶融、分離してレアアース酸化物を高純度に取り出す技術開発をNEDOからの補助金を受けて行いました。本研究開発にて、既存技術である薬品で処理する場合に比べて、薬品使用量・廃液処理量が6分の1程度になるため環境面で優位性があることを検証しました。今後、電力消費量なども加味しながら事業化を検討していきます。
産業ガス分野にてこれまでに確立した半導体ガスの除害・回収・再利用技術の応用展開として、大手レンズメーカーと共同で、高性能レンズ原料用の高純度蛍石(フッ化カルシウム)の合成技術の製法を確立しました。この技術はHF(フッ酸)ガスと炭酸カルシウムとを高効率に反応させる技術ですが、冷媒フロン破壊装置メーカーとタイアップし、フロン分解プロセスから排出されるHFガスを利用した量産プロセスを追究しています。複数のレンズメーカー、デバイスメーカーから強い引き合いが寄せられており、サンプル出荷を積極的に行いながら、中国からの輸入に頼っている高純度蛍石の安定供給に役立つ事業に育てます。
また、パーム椰子殻やウッドチップなどのバイオマス燃料事業への本格的参入に際し、中央研究所にて公定法に従った性状分析や熱量分析の確立に向けて着手しました。また、発熱量の増大に向けた技術調査も行っています。


(自然産業事業)
「食の安全」を強化するために、当社輸入食品や取扱食品中の残留農薬分析に加え、一般生菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの微生物分析、カビ分析の分析・評価技術を高め、当社輸入食品・加工食品の品質管理に役立てています。
介護食市場への参入として、従来のキザミ食やミキサー食等とは異なり食品の形状はそのままで酵素を用いて食材をやわらかくした「やわらか食」の製造技術を追究しています。この「やわらか食」は、広島県立総合技術研究所食品工業技術センターより凍結含浸法の製造のライセンス供与を受け、中央研究所にて最適な酵素の選定など野菜ごとの最適レシピを確立し、中国の契約工場にて量産化を目指すものです。2014年度はすでに商品化したニンジン・ゴボウ・レンコン・里芋・ジャガイモの5品目に加え、シイタケ、タケノコ、ホウレンソウ、ブロッコリー、カリフラワーについて製造レシピを追究し、契約工場にて量産化に向けて調整を進めています。

こうした最先端の研究開発を効率よく推進するとともに、全社事業を幅広く支えるために、ガス分析はもとよりあらゆる分野の分析技術の向上にも取り組んでおり、そのために計画的に最新鋭の分析装置の導入も行っています。また、工場排水分析など環境計量証明事業所としての環境法に基づいた分析サービスや、国際規格であるISO17025(国際試験所)の認定取得をベースにおいた水素やヘリウムなどの高純度ガスの品質分析を通し、社会的信用度を向上させながら、顧客ニーズに迅速かつ確実に対応できる基盤技術及び組織体制を強化しています。

イワタニグループの技術を集約する形で兵庫県尼崎市にオープンした中央研究所は、開設以来2年が経ちましたが、併設の商用水素ステーションの営業開始にも伴い、初年度に引き続き多くのお客様やパートナー企業、公的研究機関の方々にご見学頂いております。開かれた研究所としてお客様と接する機会が増え、新たな共同研究や商品開発の創出につながっています。今後も水素技術はもとより、ガス・エネルギーから機械、マテリアル、食品など幅広くユーザーやパートナー企業と接点を持ち、基礎研究から応用研究、商品開発に到るまで開発スピードを重視して推進してまいります。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は12億50百万円であり、そのうち主なものは当社において11億90百万円(全社(共通))であります。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02567] S10051LP)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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